JP3080464B2 - 飲料抽出装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、熱湯で飲料を抽出す
る飲料抽出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の飲料抽出装置としては一般にコ
ーヒーメーカーが知られている。この従来のコーヒーメ
ーカーにおいては、コーヒー抽出容器内に紙フィルター
をセットし、この紙フィルター内に所要量のコーヒー粉
を収容し、この状態で水タンク内から引き込んだ水をヒ
ータで加熱して沸騰させ、その沸騰圧で熱湯を導湯管を
通して押し上げてコーヒー抽出容器内に順次間欠的に滴
下し、この熱湯をコーヒー粉中に浸透させてコーヒーを
抽出するようになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
な構成においては、専らコーヒーの抽出に適用すること
ができるだけで、例えばコーヒー抽出容器内に紅茶の葉
を収容して紅茶を抽出しようとしても風味のよい紅茶を
抽出することが困難である。

【０００４】紅茶の抽出にあたっては、貯留された充分
な量の熱湯中に紅茶の葉を充分な時間浸すことが重要
で、このような条件が満たされ、紅茶の葉が充分な量の
熱湯中に浸ると、その熱湯とともに茶葉が対流して縮ん
でいた葉が開き、そのエキス成分が充分に溶出して風味
のよい美味な紅茶となる。

【０００５】コーヒーメーカーにあっては、導湯管から
コーヒー抽出容器内に熱湯が間欠的に滴下され、またコ
ーヒー抽出容器の底部には常時開放の抽出孔が形成され
ており、このためコーヒー抽出容器内に紅茶の葉を収容
しても、この茶葉が充分な量の熱湯中に充分な時間浸さ
れるような状態とならず、したがって風味のよい紅茶を
抽出することができない。このようなことは番茶などの
緑茶を抽出しようとする場合も同様である。

【０００６】この発明はこのような点に着目してなされ
たもので、その目的とするところは、それぞれ風味のよ
い美味なコーヒーと紅茶などの茶湯とを必要に応じて抽
出することができる飲料抽出装置を提供することにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明はこのような目
的を達成するために、抽出部と、湯を沸すタンクと、こ
のタンク内の熱湯を前記抽出部に向けて流出させる出湯
部と、この出湯部を開閉する出湯弁と、前記抽出部に択
一的に配設が可能な茶抽出容器およびコーヒー抽出容器
と、前記茶抽出容器の下部に設けられた排出口と、この
排出口を開閉する排出弁と、前記コーヒー抽出容器が前
記抽出部に配設された際に前記出湯部から流出する熱湯
の流量を規制する流量規制弁と、前記コーヒー抽出容器
の下部に設けられた抽出孔とを具備し、前記抽出部に茶
抽出容器が配設された際には、前記出湯弁の動作で出湯
部を開放してこの出湯部から多量の熱湯を流出させ、こ
の熱湯を茶抽出容器内に流入させて貯留し、前記抽出部
にコーヒー抽出容器が配設された際には、前記出湯弁の
動作で出湯部を開放してこの出湯部から熱湯を流出させ
るとともに、この熱湯の流量を前記流量規制弁で少量に
絞ってコーヒー抽出容器内に流入させるようにしたもの
である。

【０００８】

【作用】例えば紅茶を抽出する場合には、茶抽出容器内
に所要量の紅茶の葉を収容してこの茶抽出容器を抽出部
にセットする。この状態で出湯弁の動作で出湯部が開放
され、この開放によりタンク内の熱湯が出湯部から流出
し、この熱湯が茶抽出容器内に流入する。この際、茶抽
出容器の下部の排出口は排出弁で閉塞されており、した
がって茶抽出容器内に流入した熱湯がこの茶抽出容器内
に貯留され、この熱湯中に紅茶の葉が浸される。

【０００９】茶抽出容器内に貯留された熱湯は対流を起
こして流動し、この熱湯の対流に応じて紅茶の葉も流動
し、このため紅茶の葉が充分に浸されて縮んでいた葉が
大きく開き、そのエキス成分が有効に溶出され、茶抽出
容器内に風味のよい紅茶が生成される。そしてこののち
茶抽出容器の排出弁を開放操作して排出口から茶抽出容
器内の紅茶を取り出すことができる。

【００１０】コーヒーを抽出する場合には、前記茶抽出
容器に替えて抽出部にコーヒー抽出容器をセットする。
コーヒー抽出容器内には予め紙フィルターを敷き込み、
この紙フィルター内に所要量のコーヒー粉を収容してお
く。この状態で出湯弁の動作で出湯部が開放され、この
開放によりタンク内の熱湯が出湯部から流出するが、こ
の熱湯は流量規制弁によりその流量が規制されて少量に
絞られる。そしてこのように流量が絞られた熱湯がコー
ヒー抽出容器内に順次滴下し、この熱湯がコーヒー粉中
に浸透し、これによりコーヒー粉が適量な熱湯で充分に
蒸らされ、その上面に泡立ちが生じ、風味のよい美味な
コーヒーが抽出され、このコーヒーが熱湯の滴下に伴っ
て順次抽出孔から流出する。

【００１１】

【実施例】以下、この発明の一実施例について図面を参
照して説明する。

【００１２】図中１は装置本体で、この装置本体１の上
部に湯沸し用のタンク２が設けられている。この湯沸し
用のタンク２は底部に金属製の熱板３を有し、この熱板
３に湯沸しヒータ４が埋設され、またこの熱板３の中央
部に給湯口５が形成されている。タンク２の上面には蓋
板６が設けられ、この蓋板６の一部に開閉フラップ７が
形成され、この開閉フラップ７を開いてタンク２内に水
を供給することができるようになっており、また蓋板６
の周縁側の下面に蒸気通路８が形成され、この蒸気通路
８内に突出するように蒸気センサ９が設けられている。

【００１３】タンク２の下方には仕切板１０が設けら
れ、この仕切板１０には流出口１１が形成され、この流
出口１１とタンク２の給湯口５との間にガイド管１２が
設けられ、これら給湯口５、流出口１１、ガイド管１２
とでタンク２内の熱湯を流出させる出湯部１３が構成さ
れている。そしてこの出湯部１３を開閉する出湯弁１４
がガイド管１２内に前記給湯口５に対向して設けられて
いる。この出湯弁１４は上下動自在に支持され、前記給
湯口５を常閉するようにスプリング１５を介して上方に
弾性的に付勢されている。

【００１４】出湯弁１４には連動杆１６を介してソレノ
イド１７が連結され、このソレノイド１７の作動で出湯
弁１４がスプリング１５に抗して下方に引き下げられ、
これにより給湯口５が開放されるようになっている。

【００１５】装置本体１の下部には保温ヒータ１８を備
える保温プレート１９が設けられ、この保温プレート１
９の上にボトル２０が載置され、このボトル２０と前記
仕切板１０との間が抽出部１ａで、図１の状態において
は、この抽出部１ａに茶抽出容器２１が設けられてい
る。この茶抽出容器２１は支持部材（図示せず）を介し
て着脱可能に支持されていて、この茶抽出容器２１を装
置本体１の前面の開口部１ｂを通して抽出部１ａから取
り出し、この茶抽出容器２１と交換して図２に示すよう
に抽出部１ａにコーヒー抽出容器２２を配設し、前記支
持部材を介して支持することができるようになってい
る。

【００１６】茶抽出容器２１について説明すると、この
茶抽出容器２１は底部に排出口２５を有し、この排出口
２５に排出弁２６が設けられている。この排出弁２６は
上下動自在に支持されているとともに、スプリング２７
により下方に弾性的に付勢され、この付勢力で排出口２
５を常閉するように構成されている。

【００１７】茶抽出容器２１の下部には連動杆２８が枢
支ピン２９を介して上下方向に回動自在に取り付けら
れ、この連動杆２８の一端部が前記排出弁２６に連結さ
れ、他端部が装置本体１の奥方部に延出している。装置
本体１の奥方部には作動ピン３０が上下動自在に設けら
れ、この作動ピン３０にソレノイド３１が連結されてい
る。そして前記連動杆２８の他端部が前記作動ピン３０
の下端に当接し、前記ソレノイド３１の作動に応じて作
動ピン３０を介して連動杆２８の他端部が下方に押し下
げられ、これに伴い排出弁２６がスプリング２７に抗し
て上昇し、排出口２５が開放されるようになっている。

【００１８】茶抽出容器２１の内底部には排出口２５を
覆うようにドーム状のフィルター３４が設けられ、また
茶抽出容器２１の上端の開口部にはカバー３５が着脱可
能に設けられ、このカバー３５の周縁部に複数の透孔３
６…が形成されている。

【００１９】一方、コーヒー抽出容器２２は、図２に示
すように、断面がほぼ三角形状をなし、下端部に複数の
抽出孔３８（一つのみ図示）が形成されている。そして
このコーヒー抽出容器２２の上端の開口部に蓋板３９が
着脱自在に設けられ、この蓋板３９の中央部にほぼ半球
状をなす流量規制弁４０が設けられている。この流量規
制弁４０は図３に明示するように、軸部４２を介して蓋
板３９に上下動自在に支持されているとともに、スプリ
ング４３を介して上方に弾性的に付勢されている。そし
てこの流量規制弁４０の上面には、図４に示すように、
その中央部から周辺側に放射状に延びる複数の流通溝４
４…が形成されている。

【００２０】流量規制弁４０の上面の中央部は、コーヒ
ー抽出容器２２が装置本体１の抽出部１ａに配置する状
態において、前記流出口１１の開口面にスプリング４３
の付勢力で当接し、これによりその上面の中央部に集合
した各流通溝４４…の一端部がそれぞれ流出口１１の内
側に連通するようになっている。

【００２１】蓋板３９の上面には流量規制弁４０の周囲
を囲むように囲み壁４６が一体に突出形成され、またこ
の囲み壁４６の内側において蓋板３９に複数の透孔４７
…が形成されている。

【００２２】装置本体１の前面には操作パネル５０が設
けられ、この操作パネル５０の内側にマイクロコンピュ
ータ５１を備える制御回路部５２が設けられている。そ
して操作パネル５０の前面にモード選択スイッチ５３お
よびスタートスイッチ５４などが配設されている。

【００２３】電気回路の構成を図５に示し、マイクロコ
ンピュータ５１にはタイマ５５が内蔵されているととも
に、このマイクロコンピュータ５１の入力ポートに蒸気
センサ９、モード選択スイッチ５３、スタートスイッチ
５４がそれぞれ接続され、出力ポートに湯沸しヒータ
４、保温ヒータ１８、ソレノイド１７，ソレノイド３１
がそれぞれ接続されている。次に作用について述べる。

【００２４】紅茶を抽出する場合においては、タンク２
内に所要量の水を収容し、また茶抽出容器２１内に所要
量の紅茶の葉を収容する。そしてこの茶抽出容器２１
を、図１に示すように、装置本体１の抽出部１ａにセッ
トする。

【００２５】そしてモード選択スイッチ５３を操作し、
紅茶抽出モードを選択するとともに、その抽出量や紅茶
の葉の種類の設定を行ない、この状態でスタートスイッ
チ５４を投入する。これに応じてマイクロコンピュータ
５１による制御で湯沸しヒータ４が通電され、この湯沸
しヒータ４によりタンク２内の水が加熱される。そして
タンク２内の水の温度が上昇して高温の湯として沸騰す
ると、その蒸気が蒸気通路８内を流通して蒸気センサ９
に接触し、これにより湯の沸騰が検出され、その信号が
マイクロコンピュータ５１に入力し、この入力に応じて
湯沸しヒータ４の通電が切れるとともにソレノイド１７
が作動し、またタイマ５５のカウント動作が開始する。

【００２６】ソレノイド１７の作動により出湯弁１４が
下方に引き下げられて給湯口５が開放され、この開放に
よりタンク２内の高温の熱湯が給湯口５から流出し、こ
の熱湯がガイド管１２、流出口１１、透孔３６…を通し
て茶抽出容器２１内に流入する。この際、茶抽出容器２
１の底部の排出口２５は排出弁２６で閉塞されており、
したがって茶抽出容器２１内に流入した熱湯はこの茶抽
出容器２１内に貯留され、この熱湯中に紅茶の葉が浸さ
れる。

【００２７】そして茶抽出容器２１内に貯留された熱湯
は対流を起こして流動し、この熱湯の対流に応じて紅茶
の葉も流動し、このため紅茶の葉が充分に浸されて縮ん
でいた葉が大きく開き、そのエキス成分が有効に溶出さ
れ、茶抽出容器２１内に風味のよい紅茶が生成される。

【００２８】茶抽出容器２１内に対する熱湯の貯留時間
はタイマ５５のカウント動作により計測される。そして
茶抽出容器２１内に熱湯が一定時間貯留されると、タイ
マ５５のカウント動作が停止し、その信号に基づいてマ
イクロコンピュータ５１の制御によりソレノイド３１が
作動し、また保温ヒータ１８が通電される。

【００２９】ソレノイド３１の作動により排出弁２６が
上方に押し上げられて排出口２５が開放され、この開放
により茶抽出容器２１内の紅茶が排出口２５から流出
し、この紅茶がボトル２０内に貯留され、保温ヒータ１
８により保温される。

【００３０】このように、紅茶の葉を茶抽出容器２１内
において充分な量の熱湯に充分に浸したすことができ、
したがって紅茶の葉が充分に大きく開いて常に風味のよ
い美味な紅茶を得ることができる。

【００３１】以上の説明は紅茶を抽出する場合である
が、モード選択スイッチ５３により緑茶抽出モードを選
択して紅茶の抽出工程とほぼ同様の工程で緑茶を抽出す
ることもできる。

【００３２】次にコーヒーを抽出する場合について説明
する。この場合には前記茶抽出容器２１に替えて装置本
体１の抽出部１ａに、図２に示すようにコーヒー抽出容
器２２をセットする。これに応じて流量規制弁４０の上
面の中央部が流出口１１にスプリング４３の付勢力で当
接して接続する。またコーヒー抽出容器２２内には予め
紙フィルター４８を敷き込み、この紙フィルター４８内
に所要量のコーヒー粉を収容し、さらにタンク２内に所
要量の水を収容する。

【００３３】このような状態のもとで、モード選択スイ
ッチ５３を操作し、コーヒー抽出モードを選択するとと
もに、その抽出量の設定を行ない、スタートスイッチ５
４を投入する。これに応じて前述の場合と同様に、タン
ク２内の水が沸騰するまで湯沸しヒータ４を介して加熱
され、こののちソレノイド１７が作動して給湯口５が開
放され、この開放によりタンク２内の高温の熱湯が給湯
口５から流出し、流出口１１に至る。

【００３４】ここで、流出口１１の開口面には流量規制
弁４０が当接しており、このため流出口１１から直接熱
湯が流出せず、その流量が規制されて少量ずつ流出す
る。すなわち、流出口１１内の熱湯がその開口面の全域
から流出せずに、流通溝４４…のみを通して少量ずつに
絞られながら流出する。

【００３５】そしてこのように流量が絞られた熱湯が透
孔４７…からコーヒー抽出容器２２内に順次滴下し、こ
の熱湯がコーヒー粉中に浸透し、これによりコーヒー粉
が適量な熱湯で充分に蒸らされ、その上面に泡立ちが生
じ、風味のよい美味なコーヒーが抽出され、このコーヒ
ーが熱湯の滴下に伴って順次抽出孔３８…から流出し、
ボトル２０内に順次貯留され、保温ヒータ１８により保
温される。なお、図２に示す４９はボトル２０の上端の
開口部に配設した保温用のカバーである。

【００３６】

【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、コ
ーヒーと紅茶などの茶湯とを必要に応じて抽出すること
ができ、コーヒーの抽出時にはコーヒー粉に熱湯を少量
ずつ滴下して風味のよい美味なコーヒーを得られ、紅茶
などの茶湯の抽出時には、茶葉を充分な量の熱湯中に充
分な時間浸して風味のよい美味な茶湯を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例に係る飲料抽出装置であっ
て、紅茶抽出時における状態を示す断面図。

【図２】同じくコーヒー抽出時における状態を示す断面
図。

【図３】その飲料抽出装置の流量規制弁の配置部分を拡
大して示す断面図。

【図４】その流量規制弁の平面図。

【図５】その飲料抽出装置の電気回路の構成を示すブロ
ック図。

【符号の説明】

１ａ…抽出部 ２…タンク １３…出湯部 １４…出湯弁 ２１…茶抽出容器 ２２…コーヒー抽出容器 ２５…排出口 ２６…排出弁 ３８…抽出孔 ４０…流量規制弁

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−33570（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−137653（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−212235（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−158020（ＪＰ，Ａ) 実開 昭53−152878（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−135322（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−109028（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−175730（ＪＰ，Ｕ) 実公 平２−17531（ＪＰ，Ｙ２) 実公 平２−28828（ＪＰ，Ｙ２) 特表 平６−510682（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A47J 31/00 - 31/60

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 抽出部と、湯を沸すタンクと、このタン
   ク内の熱湯を前記抽出部に向けて流出させる出湯部と、
   この出湯部を開閉する出湯弁と、前記抽出部に択一的に
   配設が可能な茶抽出容器およびコーヒー抽出容器と、前
   記茶抽出容器の下部に設けられた排出口と、この排出口
   を開閉する排出弁と、前記コーヒー抽出容器が前記抽出
   部に配設された際に前記出湯部から流出する熱湯の流量
   を規制する流量規制弁と、前記コーヒー抽出容器の下部
   に設けられた抽出孔とを具備し、前記抽出部に茶抽出容
   器が配設された際には、前記出湯弁の動作で出湯部を開
   放してこの出湯部から多量の熱湯を流出させ、この熱湯
   を茶抽出容器内に流入させて貯留し、前記抽出部にコー
   ヒー抽出容器が配設された際には、前記出湯弁の動作で
   出湯部を開放してこの出湯部から熱湯を流出させるとと
   もに、この熱湯の流量を前記流量規制弁で少量に絞って
   コーヒー抽出容器内に流入させることを特徴とする飲料
   抽出装置。