JPH0233630B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は昇降路の保守点検を行なう際に用いら
れるエレベータ保守運転装置に関する。

〔発明の背景〕

一般にエレベータ昇降路の保守点検は、保守員
が乗りかごの上部に乗り込んで行なつていた。

従来の乗り込み方は、２組の保守員が１組とな
り、そのうち１人がホールに出て待機し、他の１
人が乗りかご内の保守運転ボタンを操作して乗り
かごの上面が階床床面と同じ高さになる所まで下
降運転し、ホールで待機していた人がホールのド
アを開いて乗りかごの上部へ乗り込み、次に、乗
りかご上の保守専用ボタンによつて上昇運転し、
階床床面と乗りかご床面を合わせて乗りかご内の
人をホールへ出し、その後、再度乗りかご上の保
守専用ボタンを操作して乗りかご上面が階床床面
と同じ高さになる所まで下降運転し、ホールに出
ていた人を乗りかご上へ乗り込ませていた。

一方、昇降路の保守点検を終えた時は、階床床
面と乗りかご上面とが同じ高さになつた所で停止
して１人を降ろしてホールで待機させる。次に乗
りかご上の保守員は保守専用ボタンで操作して上
昇運転し、乗りかご床面が階床床面と合つた所で
停止し、ホールに待機していた保守員を乗りかご
内に乗せる。乗りかご上の保守員は、下降運転し
て再度階床床面と乗りかご上面とを同じ高さにな
るようにして停止し、乗りかご上面からホールへ
降りる。その後、乗りかご内の保守員は、乗りか
ご内の保守運転ボタンで乗りかご床面を階床床面
に合わせて停止し、乗りかご内から降りて作業を
終了していた。

しかし、最近では省力化に伴い昇降路の保守点
検を１人で行なうべく種々検討がなされている。

しかしながら、従来のやり方では１人の保守員
が乗りかご上部へ乗り込むには、乗りかご内の保
守運転ボタンで乗りかご床面を階床床面と合わせ
て停止し、ホールへ降りた保守員は１階床上の階
へ階段を昇つて行き上階ホールのドアを開いて乗
りかご上へ乗り込まなければならない。このた
め、階床ピツチが大きい場合には、階床床面と乗
りかご上面とに段差が生じ、乗りかごの上部に乗
り込む作業は極めて危険であり、実際には１人の
保守員で実施可能でも安全上の理由で２人で行な
わざるを得なかつた。

それで、１人の保守員で安全に乗りかご上へ乗
り込むことができるようにすることが望まれてい
る。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、１人で乗りかごの上部へ安全
に乗り込むことのできるエレベータ保守運転装置
を提供するにある。

〔発明の概要〕

本発明は、保守員の操作によつて乗りかごを運
転して乗りかごをその上面が階床面とほぼ一致す
る位置まで下降させて停止させる装置と、乗りか
ご上での保守点検後、該乗りかごを乗りかご床面
が階床床面と対応する位置まで、移動したとき停
止させる装置とを設けたことを特徴とする。

〔発明の実施例〕

以下本発明の実施例を図面と共に説明する。

第２図は定常状態にあるエレベータの側面図を
示し、主ローブ３によつて吊られた乗りかご４は
その乗りかご床面Ｂを上部階床面Ａに合わせて停
止している。主ローブ３は運転回路によつて制御
される駆動装置に連結されており、この駆動装置
によつて乗りかご４の上下動がなされる。乗りか
ご４には、第２図および第３図に示すように乗り
込み位置検出スイツチ５および降り位置検出スイ
ツチ７が取り付けられており、これらスイツチ
５，７は昇降路に形成したそれぞれのカム６，８
によつて作動させられる。

各スイツチ５，７は第１図に示すように運転回
路中に電気的に接続されている。

運転回路の電源間に乗りかご上に設けた運転切
り替えスイツチ９と、乗りかご内の高低速切替ス
イツチ１０が直列に接続されている。運転切り替
えスイツチ９は通常高低速切り替えスイツチ１０
に接続されており、かご上部低速用リレー１３に
切り替え接続できる。一方、高低速切り替えスイ
ツチ１０は通常高速用リレー１１に接続されてお
り、かご内低速用リレー１２に切り替え接続が可
能である。

乗りかご内に設けた保守運転準備用スイツチ１
４によつて電源から分離可能に保守運転装置２３
が接続されている。

保守運転装置２３は、かご上部低速リレー１３
のｂ接点１３ｂと、かご内低速用リレー１２のａ
接点１２ａとが直列接続され、かご上部低速用リ
レー１３が消磁されると共にかご内低速用リレー
１２が励磁されたときのみ作動する。

次に、昇降路内の保守点検を行なう場合につい
て説明すると共に、上記した保守運転装置２３の
詳細について説明する。

保守員は、乗りかご４を運転してある階床面Ａ
と乗りかご４の床面Ｂを合せて停止させ、乗りか
ご４内の高速運転と低速運転を切り替える高低速
切替スイツチ１０を切り替えて高速用リレー１１
を消磁すると共にかご内低速用リレー１２を励磁
する。すると保守運転装置２３のａ接点１２ａは
閉じる。次に、保守運転準備用スイツチ１４を投
入して乗り込み用ボタン２１を押し、乗かご４内
からこの階床面Ａへ出て待機する。乗り込み用ボ
タン２１を押すと、各接点１３ｂ，１２ａ，１６
ｂが閉じているので乗り込み用リレー１５が励磁
される。従つて、そのａ接点１５a₁が閉じ乗り込
み用ボタン２１を離しても回路は自己保持され、
またａ接点１５a₂が閉じて下降用タイムリレー１
７が電源間に接続される。下降用タイムリレー１
７は所定の時間経過した後、エレベータの運転回
路に下降指令を与えるため、乗りかご４は低速で
下降する。しばらくして、第２図に点線で示す位
置に乗りかご４が来ると、乗り込み位置検出スイ
ツチ５はカム６によつて閉じる。このため第１図
の乗り込み位置検出スイツチ５と直列に接続され
た乗り込み位置検出リレー１６が励磁され、その
ｂ接点１６ｂが開状態になる。従つて、乗り込み
用リレー１５は消磁され、そのａ接点１５a₁，１
５a₂は開いて下降用タイムリレー１７も消磁され
る結果、乗りかご４は第２図の点線で示すように
乗りかご上面Ｃが例えば先の階床面Ａと一致した
所で停止する。

そこで、先の階床面Ａで待機していた保守員は
上階出入口１のドアロツクを解錠して開き乗かご
上部へ乗り込む。この時、保守員は乗りかご上部
の運転切り替えスイツチ９を操作してかご上部低
速用リレー１３と接続するよう切り替え接続す
る。すると、かご内低速用リレー１２は消磁され
てかご上部低速用リレー１３が励磁されるため、
ｂ接点１３ｂは開き、ａ接点１２ａも開き、保守
運転装置２３は運転回路から切り離される。この
状態で保守員は昇降路内の保守点検を行なう。

この保守点検作業を終えると、第３図に示すよ
うに先の階床面Ａに乗りかご上面Ｃを合わせて停
止し、保守員は階床面Ａに降りる。その後、乗り
かご上部にある運転切り替えスイツチ９を身を乗
り出して高低速切り替えスイツチ１０側に切り替
え接続する。従つて、かご内低速用リレー１２は
励磁され、かご上部低速用リレー１３は消磁し、
それぞれｂ接点１３ｂは閉状態となりａ接点１２
ａも閉状態となり、保守運転装置２３が作動可能
となる。

更に保守員は、乗りかご上部に設けた降り用ボ
タン２２を押して階床面Ａで待機する。

降り用ボタン２２を押すと、降り用リレー１８
が励磁され、そのａ接点１８a₁によつて自己保持
される。またａ接点１８a₂により上昇用タイムリ
レー２０が電源に接続される。上昇用タイムリレ
ー２０は一定時間経過後、運転回路に対して上昇
指令を与え、乗りかご４を第３図の実線の位置か
ら点線の位置まで上昇させる。このとき降り位置
検出スイツチ７がカム８によつて動作して閉じ
る。このため第１図の降り位置検出リレー１９が
励磁され、そのｂ接点１９ｂが開いて降り用リレ
ー１８を消磁して乗りかご４の上昇指令が断たれ
て停止する。乗りかご４の停止位置は、乗りかご
床面Ｂが階床面Ａと一致しており、この階床面Ａ
で待機していた保守員は乗りかご４内に乗り込
み、保守運転準備用スイツチ１４を切り、高低速
切り替えスイツチ１０を高速用リレー１１側に切
り替え接続して定常運転状態となる。

上記実施例では、乗り込み用ボタン２１を乗り
かご４内に設け、タイマーを利用して保守員が上
部階床面へ出た後、所定位置まで下降するように
したが、この乗り込み用ボタン２１を上部階床の
任意の位置に設け、上部階床に降りた保守員がこ
の乗り込み用ボタンが操作するようにしても良
い。この場合、下降用タイムリレー１７はタイマ
ー機能のないものとすることもできる。同様にし
て、降り用ボタン２２を上部階床に設け、上昇用
タイムリレー２０はタイマー機能のないものとし
ても良く、第１図に保守運転装置の一例を示した
ように、乗り込み用ボタン２１の操作によつて乗
りかご床面Ｂと階床面Ａが一致している状態から
乗りかご４を下降操作する装置があり、この装置
による乗りかご４の下降によつて乗りかご上面が
階床面と一致したのを乗り込み位置検出スイツチ
５で検出して停止させるように乗り込み位置停止
装置を構成し、一方、降り用ボタン２２の操作に
よつて乗りかご上面Ｃと階床面Ａが一致した状態
から乗りかご４を上昇させる装置を構成し、この
装置によつて乗りかご４がその床面Ｂと階床面Ａ
とが一致する位置に達したのを降り位置検出スイ
ツチ７によつて検出して乗りかご４を停止させる
降り位置停止装置を構成していれば良く、図示の
実施例に限定するものではない。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明は、乗りかごの床面
と階床面とが対応する位置に至つた状態から乗り
かごをその上面が階床面とほぼ一致する位置まで
下降させ、保守点検作業終了後、乗りかごの床面
と階床面とが合つた位置へと乗りかごを上昇させ
る保守運転装置を設けたので、１人の保守員で昇
降路の保守点検を安全に実施することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例によるエレベータ保
守運転装置の回路図、第２図および第３図は運転
制御中のエレベータを示す側面図である。 Ａ……階床面、Ｂ……乗りかご床面、Ｃ……乗
りかご上面、４……乗りかご、５……乗り込み位
置検出スイツチ、６……カム、７……降り位置検
出スイツチ、８……カム、２１……乗り込み用ボ
タン、２２……降り用ボタン、２３……保守運転
装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 乗りかごの運転を制御する運転回路に、ある
   階床面と上記乗りかごの床面とが対応する位置に
   至つた状態から乗り込み用操作体の操作によつて
   上記乗りかごを下降させる装置と、この装置によ
   つて上記乗りかご上面が上記階床面とほぼ一致す
   る位置まで下降したことを検出して停止させる乗
   り込み位置停止装置と、上記乗りかごが上記位置
   まで下降した状態から降り用操作体の操作によつ
   て上記乗りかごを上昇させる装置と、この装置に
   よつて上記乗りかごの床面が上記階床面と対応す
   る位置に至つたことを検出して停止させる降り位
   置停止装置とを有する保守運転装置を接続したこ
   とを特徴とするエレベータ保守運転装置。