JPH0230982B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は枚葉輪転印刷機において印刷後の紙を
排紙のために搬送する排紙搬送装置に関するもの
である。

〔従来技術〕 枚葉輪転印刷機は印刷ユニツトで印刷された紙
を印刷胴から受け取つて排紙位置まで搬送する排
紙搬送装置を備えている。第１図は従来における
排紙搬送装置の概要側面図であつて、これを同図
に基いて説明すると、印刷ユニツトの圧胴１には
これと同径の排紙胴２が対接されており、この排
紙胴２と同軸上には、左右一対のスプロケツト３
が左右の排紙フレーム４にそれぞれ近接して軸着
されている。また、排紙フレーム４の前端部に
は、同じく左右一対のスプロケツト５が設けられ
ており、同じ側のスプロケツト３，５間にはそれ
ぞれ排紙チエーン６が張架されている。スプロケ
ツト３，５の回転とともに図に矢印Ａで示す方向
に走行する左右の排紙チエーン６間には、爪軸７
と爪台軸８とからなる数組の爪竿が一定間隔で支
架されており、爪軸７上と爪台軸８上には、複数
個の爪９と爪台１０とが互に対応してそれぞれ並
設されていて、これら爪竿と爪９、爪台１０とで
紙咥え装置１１が構成されている。紙咥え装置１
１の爪９はカム機構で開閉し、爪台１０との間で
紙１２を搬送するものであつて、その搬送終端部
下方には、咥えから解放されて落下する紙１２を
積載する紙積台１３が配設されている。

このように構成された排紙配送装置において
は、排紙チエーン６の走行とともに紙咥え装置１
１の１組が、図に矢印Ｂ，Ｃで示す方向に回転す
る圧胴１と排紙胴２との接触部へ上方から進入し
てきて圧胴１の紙咥え装置と対向すると、紙１２
の咥え替えが行なわれ、この紙１２は排紙胴２の
周面に添接されながら斜め上方へ向つて搬送され
たのち、さらに水平方向へ搬送されて咥えから解
放される。

このような紙の搬送、排紙動作において紙積台
１３上に積載される紙１２の揃いを良くするに
は、紙１２の搬送速度を低くすることが望ましい
ので、図において明らかなように、排紙胴２が圧
胴１と同径であるのに対し、同軸上のスプロケツ
ト３の基準円径を排紙胴２の径よりも10〜30％小
さくして紙１２を咥える爪先の走行軌跡径を排紙
胴２と同径にしている。こうすることにより、圧
胴１の爪から紙咥え装置１１に咥え替えられると
きの紙１２の走行速度は印刷速度と同速であり、
また紙１２が排紙胴２に巻き付けられている間は
同速であるが、紙咥え装置１１が直線運動に入る
と紙１２の咥え端の速度が排紙チエーン６と同速
に減速される。これに対して紙１２の尻側は排紙
胴２の表面速度による慣性で排紙胴２に巻き付い
たまゝ排紙胴２から離れまいとするので、遅い咥
え端と速い紙尻との速度差により紙１２は大きく
うねりながら安定せずに排紙位置へ向う。したが
つて紙１２はうねりにより部品に当つて破れるこ
とがあり、また破れないまでもこのまゝ紙積台１
３へ積載されると紙揃いがきわめて悪くなる。こ
れは比較的薄紙の場合でかつ高速運転の場合に発
生し易いので機械を高速化するための大きな障害
となつていた。そこで従来からエアを用いたり各
所にガイドをつけたりして薄紙でも高速運転の可
能な排紙搬送装置が種々提案されたが、いずれも
満足した効果を期待することができなかつた。

〔発明の概要〕

本発明は以上のような点に鑑みなされたもの
で、排紙胴の下部を覆い胴周面から離れるように
ふくらみを持たせた排紙案内板と、その上端に対
し下端を離間させて排紙チエーンの立上がり方向
に延びる紙受板と、この紙受板の表面上を下方へ
向うエアの吹き出し装置と、排紙胴に対する排紙
チエーンの立上がり接点へ向つて開口するノズル
とを設けることにより、圧胴から排紙胴を経て排
紙チエーンの立上がり部に沿つて排紙装置へ向う
紙を傷つけることなく安定した姿勢で搬送するこ
とを可能にした枚葉輪転印刷機の排紙搬送装置を
提供するものである。

〔実施例〕

第２図および第３図は本発明に係る排紙搬送装
置の実施例を示し、第２図はこれを実施した印刷
機排紙装置の側面図、第３図は排紙搬送装置の一
部破断側面図である。図において第１図と同符号
を付したものはこれと同じ構成であるからその詳
細な説明を省略する。印刷ユニツトの圧胴１に対
接するこれと同径の排紙胴２は、左右のフレーム
４に軸支されており、これと同軸上には、基準円
径が排紙胴２の径よりも小さい左右一対のスプロ
ケツト３が排紙胴２の両側に隣接して固定されて
いる。スプロケツト３とフレーム４前端部のスプ
ロケツト５との間に張架された排紙チエーン６に
は、第１図に示す複数組の咥え爪装置１１が一定
間隔で配設されており、咥え爪装置１１の紙咥え
位置の径が排紙胴２の径と同径となるように設定
されている。排紙チエーン６の走行径路にはこれ
を両側から挾むようにして案内する一対のチエー
ンガイド２１が固定金具２２で複数箇所を固定さ
れて設けられている。

排紙胴２の下方には、その周面下部を覆う排紙
案内板２３がステー２４に支持されて配設されて
いる。この排紙案内板２３は、板材により胴幅い
つぱいに形成されていてその円周方向中央部を排
紙胴２とほゞ同心円弧状に形成されており、この
箇所の円弧径は、排紙チエーン６の周回軌跡から
やゝ離れるように設定されている。また排紙案内
板２３の両胴１，２対接点Ｐ側の先端部は、対接
点Ｐ側へ向うにしたがい排紙胴２の周面から大き
く離れて圧胴１の軸芯へ向うような緩やかな円弧
状に形成されており、その先端は圧胴１の周面に
近接して直角状に折曲されている。さらに排紙案
内板２３の排紙チエーン６立上がり側は、先端へ
向うにしたがい次第に排紙チエーン６に近づくよ
う直線状に形成されており、その先端位置が排紙
胴２の胴芯とほゞ同高となるように設定されてい
る。

一方、排紙胴２と紙積台１３との間には、エア
源としての送風装置２５が設けられており、その
排気口には上方へ向つて延びるエア供給管２６が
接続されている。全体を符号２７で示すものは、
排紙チエーン６の紙搬送径路に沿う緩やかな円弧
状でかつチエーン間隔ほゞいつぱいの板状に形成
された紙受板であつて、前記エア供給管２６で後
述するように支持されて排紙チエーン６の立上が
り上端部から排紙チエーン６に沿つて斜め下方へ
延設されている。そしてこの紙受板２７の下端部
は、排紙案内板２３の上端部とわずかに重なりか
つこの箇所に開口部が形成されるように排紙案内
板２３の上端部から離間されている。エア供給管
２６は上下方向に４段と紙幅方向である左右方向
に２列の計８個に分岐されており、各分岐管の先
端部は紙受板２７の裏面に４段２列溶着された密
閉箱状の筐体２８，２９，３０，３１に接続され
ている。これらの筐体２８〜３１のうち最上段の
筐体２８は、排紙チエーン６の排紙立上がり上端
部に位置して設けられており、これには搬送され
る紙１２の紙尻方向へ風向を指向させたスリツト
（図示せず）が開口されている。またその他の筐
体２９〜３１は筐体２８と紙受板２７下端との間
をほゞ等間隔に分割した位置に設けられており、
各筐体２９〜３１の紙尻側には、スリツト３２，
３３，３４が、搬送される紙１２の紙尻方向へ風
向を指向させて開口されている。こうすることに
より、送風装置２５からのエアは、筐体２８のス
リツトと筐体２９〜３１のスリツト３２〜３４か
ら紙受板２７の表面と搬送される紙１２との間へ
斜め後方に向つて吹き出される。

また一方、排紙胴２に対する排紙チエーン６の
立上がり方向接点P₁の上方には、この接点P₁へ
向けて開口する複数個のノズル３５が、左右のフ
レーム４を連結する角ステー３６にブラケツト３
７と丸ステー３８とを介し支持されて紙幅方向に
並設されており、前記送風装置２５との間を図示
しないエア供給管で接続されている。３９は従来
周知の静電気除去装置である。

以上のように構成された排紙搬送装置の動作を
説明する。排紙チエーン６の走行とともに紙咥え
装置１１の１組が図に矢印Ｂ，Ｃで示す方向に回
転する圧胴１と排紙胴２との対接点Ｐへ上方から
進入して来て圧胴１の紙咥え装置に対向すると、
紙１２の咥え替えが行なわれ、紙端を咥えられた
紙１２は、排紙チエーン６の走行とともに排紙胴
２の周面と排紙案内板２３との間を搬送される。
この場合、紙１２の咥え端の走行速度は径の小さ
いスプロケツト３の基準円径の周回速度と同速で
あり、また紙尻の搬送速度は径の大きい圧胴１か
ら離れた直後の走行慣性を有する速度であるか
ら、この速度差により紙１２の後半部がたるもう
とする。しかしながら、この紙１２に対してはノ
ズル３５から接点P₁へ向うエアが吹き付けられ
ており、かつ排紙案内板２３が排紙胴２の周面か
ら離れるようにふくらみを持たされているので、
紙１２は排紙案内板２３に押し付けられてたるみ
が吸収される。

こうして伸ばされた紙１２は紙咥え装置１１で
咥えられ紙受板２７に沿つて搬送されるが、この
紙１２と紙受板２７との間へ各スリツト２９〜３
１から噴出したエアが紙１２の裏面へ吹き付けら
れるので、この箇所が負圧となり、紙１２が紙受
板２７側へ引き寄せられる。しかしそこにはエア
層が介在しているので、紙１２が紙受板２７に接
触することがない。このようにして搬送されるこ
とにより、紙１２はさらにたるみを伸ばされた状
態で搬送され、また紙１２と紙受板２７との間の
エアは、紙受板２７の下端と排紙案内板２３の上
端との間に設けた開口部から大気中へ放出され
る。こうして伸ばされながら搬送された紙１２
は、搬送終端部で紙咥え装置１１から解放されて
紙積台１３上に積載される。

〔発明の効果〕

以上の説明により明らかなように、本発明によ
れば排紙胴の周速より走行速度が遅い排紙チエー
ンを有する枚葉輪転印刷機の排紙搬送装置におい
て、排紙胴の下部を覆い胴周面から離れるように
ふくらみを持たせた排紙案内板と、その上端に対
し下端を離間させて排紙チエーンの立上がり方向
へ延びる紙受板と、この紙受板の表面上を下方へ
向うエアの吹き出し装置と、排紙胴に対する排紙
チエーンの立上がり接点へ向つて開口するノズル
とを設けることにより、圧胴から排紙チエーンに
渡されて搬送される紙は、ノズルからのエアで排
紙案内板のふくらみ部へ押し付けられ、咥え端と
紙尻との速度差でたるものとする紙が伸ばされな
がら搬送されるとともに、搬送立上がり部におい
てさらにエア吹き装置による負圧の作用で紙受板
上を伸ばされながら搬送されるので、紙を破るこ
となくきわめて安定した状態で搬送して紙積台へ
積むことができ、紙端がよく揃つて積載されるこ
とにより爾後の揃え直し工程が省略されて作業能
率が向上するとともに、高速運転が可能となり生
産性が著しく向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来における枚葉輪転印刷機の排紙搬
送装置の概要側面図、第２図および第３図は本発
明に係る枚葉輪転印刷機の排紙搬送装置の実施例
を示し、第２図はこれを実施した印刷機排紙装置
の側面図、第３図は排紙搬送装置の一部破断側面
図である。 １……圧胴、２……排紙胴、３……スプロケツ
ト、６……排紙チエーン、２３……排紙案内板、
２５……送風装置、２６……エア供給管、２７…
…紙受板、２８，２９，３０，３１……筐体、３
２，３３，３４……スリツト、３５……ノズル、
P₁……立上がり接点。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 互に対接する圧胴および排紙胴と、この排紙
   胴と同軸上に設けられ排紙胴の径より小さな基準
   円径をもつスプロケツトと、このスプロケツトに
   添接され斜め上方へ向かつて走行する排紙チエー
   ンとを備えた枚葉輪転印刷機において、前記排紙
   胴の下部を覆う排紙案内板を前記排紙チエーンの
   周回軌跡からやゝ離してほゞ同心状に設けその排
   紙チエーン立上り側を排紙胴芯とほゞ同高の先端
   へ向かうにしたがい次第に排紙チエーンに近づく
   よう直線状に延設するとともに、前記排紙チエー
   ンの立上り方向に沿つて延び表面上を下方へ向う
   エア吹き出し装置を備えた紙受板を前記排紙案内
   板の先端に対し下端を離間させて設け、前記排紙
   胴に対する前記排紙チエーンの立上り方向接点へ
   向けて開口するノズルをこの接点の上方において
   機体側に固定したことを特徴とする枚葉輪転印刷
   機の排紙搬送装置。