JPH02261Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は枚葉輪転印刷機において印刷後の紙を
搬送し排紙する装置に関するものである。

枚葉輪転印刷機は、印刷ユニツトで印刷された
紙を印刷胴から受け取つて排紙位置まで搬送して
排紙する排紙装置を備えている。第１図は従来に
おける排紙装置の概要側面図であつて、これを同
図に基いて説明すると、印刷ユニツトの圧胴１に
は、これと同径の排紙胴２が対接されており、こ
の排紙胴２と同軸上には、左右一対のスプロケツ
ト３が左右の排紙フレーム４はそれぞれ近接して
軸着されている。また、排紙フレーム４の前端部
には同じく左右一対のスプロケツト５が設けられ
ており、同じ側のスプロケツト３，５間にはそれ
ぞれ排紙チエーン６が張架されている。スプロケ
ツト３，５の回転とともに走行する左右の排紙チ
エーン６の間には、爪軸７と爪台軸８とからなる
複数組の爪竿が一定間隔で支架されており、爪軸
７上と爪台軸８上とには、複数個の爪９と爪台１
０とが互に対応してそれぞれ並設されていて、こ
れら爪竿と爪９、爪台１０とで紙咥え装置１１が
構成されている。紙咥え装置１１の爪９はカム機
構で開閉し、爪台１０との間で紙１２を咥えて搬
送するものであつて、その搬送終端部下方には、
これから解放されて落下する紙１２を積載する紙
積台１３が配設されている。

このように構成された排紙装置においては、排
紙チエーン６の走行とともに紙咥え装置１１の１
組が、図に矢印で示す方向に回転する圧胴１と排
紙胴２との接触部へ上方から進入してきて圧胴１
の紙咥え装置と対向すると、紙１２の咥え替えが
行なわれ、この紙１２は、排紙胴２の周面に添接
されながら斜め上方へ向つて搬送されたのちさら
に水平方向へ搬送されて紙咥え装置１１から解放
される。

この紙の搬送、排紙動作において、紙積台１３
上に積載される紙１２の揃いを良くするには、紙
１２の搬送速度を低くすることが望ましいので、
図において明らかなように、排紙胴２が圧胴１と
同径であるのに対し、同軸上のスプロケツト３の
基準径を排紙胴２よりも10〜30％小径にして紙１
２も咥える爪先の走行軌跡径を排紙胴２と同径に
している。こうすることにより、圧胴１の爪から
紙咥え装置１１に咥え替えられるときの紙１２の
走行速度は印刷速度と同速であり、また紙１２が
排紙胴２に巻き付けられている間は同速である
が、紙咥え装置１１が直線運動に入ると、紙１２
の咥え端の速度が排紙チエーン６と同速に減速さ
れる。ところが、紙１２の後半部は高速のときの
慣性モーメントがあつてそのまゝの速度で搬送さ
れようとするので、その影響により紙１２には図
示するようなばたつきが生じる。したがつてこの
紙あばれにより紙１２の印刷面が排紙胴２の周面
とこすれ合い、汚れや傷が発生するという欠点が
あつた。

そこで従来、第１図に示すように排紙胴２から
離れようとする紙１２の上方にエア吹きノズル１
４を設け、紙１２にエアを吹きつけて排紙胴２か
らの離れを良くすることにより、排紙胴２とのこ
すれをなくすることが試みられているが、この場
合、エア吹き効果を上げるためにノズル１４を紙
１２に近づけると、エアが狭い範囲で集中的に吹
きつけられるので、ノズル１４で吹く前の紙尻が
ノズル１４で巻き込んだ状態でノズル１４の側面
に当る虞がある。といつてノズル１４を紙面から
遠ざけると風力が不足し、ことに機械が高速化さ
れると満足したエア吹き効果を期待することがで
きなかつた。またこの効果を上げるためにノズル
１４を縦横に複数個ずつ設けると、紙面に当つた
エアが隣接するノズルの間から逃げてしまい、エ
アの損失がきわめて大きいという不具合があつ
た。

本考案は以上のような点に鑑みなされたもの
で、案内部材に沿つて排紙チエーンで搬送される
紙の表面と対向する多数のエア吹き孔と、紙の走
行方向に対向するエア吹き孔とを備えたダクト
を、排紙チエーンの排紙胴からの吐出し部に近接
させて胴軸方向に延設することにより、紙面の汚
れと傷の発生防止を計つた枚葉輪転印刷機の排紙
装置を提供するものである。以下、本考案の実施
例を図面に基いて詳細に説明する。

第２図および第３図は本考案に係る排紙装置の
実施例を示し、第２図は排紙胴の排紙チエーン吐
出し部近傍の側面図、第３図はダクトの正面図お
よび断面図である。排紙装置全体の構成は第１図
において説明したのでその説明を省略するととも
に、このあと必要あるときは同図を用いて説明す
る。図において、印刷ユニツトの圧胴１と対接す
る排紙胴２と同軸上には、排紙胴２よりも小径に
形成された左右一対のスプロケツト３が軸着され
ており、これらのスプロケツト３に張架された左
右の排紙チエーン６には、複数組の咥え爪装置１
１が一定間隔で配設されている。排紙チエーン６
の排紙胴２に沿つた円弧状走行部およびこれから
斜め上方へ向う直線状走行部には、排紙チエーン
６を両側から挟持して案内する一対のチエーンガ
イド２１，２２が連続して架設されている。この
チエーンガイド２１，２２の曲線部終端である排
紙胴２の排紙チエーン６吐出し部には、ダクト２
３が排紙胴２の周面とチエーンガイド２１，２２
とにきわめて近接して排紙胴２の軸方向に延設さ
れている。このダクト２３は、排紙胴２の周面に
沿つた円弧面２３ａと、咥え爪装置１１の走行軌
跡に沿つた緩かな円弧面２３ｂと、これら両面２
３ａ，２３ｂの連結面２３ｃとで断面三角形中空
状に形成されており、ブラケツト２４を介し、両
端を排紙フレーム４に支持されている。ダクト２
３は両端を閉塞されているとともに排紙対向面と
しての円弧面２３ｂと、その排紙搬送上流側端部
に続いて形成され排紙走行方向に対向する屈曲部
とには、多数のエア吹き孔２５が穿設されてい
る。２６は排紙フレーム４側に固定されたエア源
としてのエアブロアであつてダクト２３の両端部
との間を吸気源としてのホース２７で接続されて
いる。さらに排紙チエーン６で搬送される紙１２
を前記ダクト２３との間で挟む位置には、角ステ
ー２８が左右の排紙フレーム４を連結して支架さ
れており、この角ステー２８には、ダクト２３の
円弧面２３ｂと、排紙胴２の排紙吐出し部周面と
に対向して線材により円弧状に形成された複数個
の排紙案内部材としてのガイド棒２９がダクト２
３の延設方向に並列してボルトで固定されてい
る。

以上のように構成された排紙装置の動作を説明
する。排紙チエーン６の走行とともに紙咥え装置
１１の１組が、圧胴１と排紙胴２との接触部へ上
方から進入してきて圧胴１の紙咥え装置と対向す
ると、紙１２の咥え替えが行なわれる。この場
合、紙咥え装置１１に前端を咥えられた紙１２
は、紙咥え装置１１が円弧運動をする間、爪先の
走行軌跡の関係上排紙胴２の周速と同速度で搬送
される。そして、紙咥え装置１１が直線運動に移
ると、その走行速度が低速の排紙チエーン６と同
速に減速されるとともに、紙尻が圧胴１と排紙胴
２との保持から解任され、この位置では紙１２の
咥え端が低速で、紙尻が慣性モーメントにより高
速である。ところが、ダクト２３へはエアブロア
２６からホース２７を経てエアが送入されていて
このエアがダクト２３のエア吹き孔２５から噴出
しており、排紙胴２から吐出されて搬送されよう
とする紙１２には、このエア吹き孔２５から噴出
するエアが吹きつけられるので、紙１２は排紙胴
２の周面から離れガイド棒２９に紙尻部を添接さ
せながら搬送される。したがつてばたついたり排
紙胴２の周面にすれたりすることがなく、また、
ダクト２３と紙１２との間には噴出エアによつて
エア層ができているので、紙１２がダクト２３の
円弧面２３ｂに接触することがない。特に本装置
においては、ダクト２３の屈曲部にもエア吹き孔
２５が設けられていて、エアが紙搬送下流側から
紙搬送上流側へ向つて吹きつけられているので、
さらに紙１２のばたつきが少なくなり、また紙１
２が伸ばされる。このように紙１２は、ばたつい
たり排紙胴２、ダクト２３に接触したりすること
なくたるみが伸ばされた状態で搬送され、搬送終
端部で紙咥え装置１１から解放されて紙積台１３
上の積載される。この場合紙１２の搬送速度が低
速であつてしかもばたつきがないので、よく揃つ
た状態で積載される。

第４図は本考案の他の実施例を示す排紙胴の排
紙チエーン吐出し部近傍の側面図であつて、本実
施例においては前記実施例において棒状のガイド
棒２９であつた排紙案内部材が板状に形成されて
おり、これにエア吹き管が付設されている他は前
記実施例と同じである。すなわち、第２図に示す
エアブロア２６に接続された送気管３０の先端部
には、これと連通する角筒状のエア吹き管３１
が、紙１２の搬送方向と直交して延設されてい
る。このエア吹き管３１は、左右の排紙チエーン
６間の幅いつぱいに形成されており、これには排
紙胴２側上端部から前記ガイド棒２９と同じ曲線
の断面形状を有する板状のガイド板３２が、同幅
で一体形成されている。また、エア吹き管３１の
ガイド板３２側上端部には、全幅にわたるスリツ
ト３３が、搬送される紙１２とガイド板３２との
間に位置して紙尻方向へ向つて開口されている。
こうすることにより第２図に示す実施例と同様に
ダクト２３とガイド板３２とが動作するととも
に、排紙チエーン６で搬送される紙１２とガイド
板３２との間には、スリツト３３からエアが吹き
込まれているので、紙尻部が制動されて紙１２を
伸ばす作用がさらに助長される。また紙１２とガ
イド板３２との間にはエア層が介在しているの
で、紙１２がガイド板３２に接触することなく印
刷面の汚れや傷を防止することができる。

以上の説明により明らかなように本考案によれ
ば枚葉輪転印刷機の排紙装置において、排紙チエ
ーンで搬送される紙の案内部材と、この案内部材
上の紙の表面と対向する多数のエア吹き孔および
紙の走行方向に対向するエア吹き孔を備え排紙チ
エーンの排紙胴からの吐出し部に近接して胴軸方
向に延設されたダクトとを設けることにより、紙
の搬送速度が咥え端と紙尻とで差が生じて紙がた
るんだりばたついたりしようとしても、ダクトの
エア吹き孔からのエアによつて案内部材側へ吹き
付けられてたるみが伸ばされ、排紙胴の周面へ接
触することがないので、紙の汚れや傷をなくすこ
とができ印刷物の品質が著しく向上する。また、
紙のばたつきがなくなることにより、排紙後に積
載される紙の端が良く揃い〓後の紙揃え手間がな
くなつて作業能率が向上するとともに、機械を高
速化しても紙あばれがなく良好な状態で積載が行
なわれるので機械の高速化を計ることができる。
さらに従来のノズル式の装置のように局部的なエ
ア吹きではなく、広い範囲のエア吹きであるため
に腰のない紙に対して特に有利であるとともに、
ノズル式の装置と比較してエアの損失が少なくエ
ア源の効率が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来における枚葉輪転印刷機の排紙装
置の概要側面図、第２図ないし第４図は本考案に
係る枚葉輪転印刷機の排紙装置の実施例を示し、
第２図は排紙胴の排紙チエーン吐出し部近傍の側
面図、第３図はダクトの正面図および断面図、第
４図は本考案の他の実施例を示す排紙胴の排紙チ
エーン吐出し部近傍の側面図である。 １……圧
胴、２…排紙胴、３……スプロケツト、４……排
紙フレーム、６……排紙チエーン、２３……ダク
ト、２３ｂ……円弧面、２５……エア吹き孔、２
６……エアブロア、２７……ホース、２９……ガ
イド棒、３２……ガイド板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 印刷胴と対接する排紙胴と、この排紙胴と同軸
   上のスプロケツトに張架された左右一対の排紙チ
   エーンとを備えた枚葉輪転印刷機の排紙装置にお
   いて、機台フレーム側のエア源との間を送気管で
   接続された中空状のダクトを、前記排紙胴の排紙
   吐出し部に近接して排紙胴の軸方向に延設し、こ
   のダクトの排紙対向面およびこの排紙対向面の排
   紙搬送上流側端部に続いて形成された排紙走行方
   向に対向する屈曲部とに多数のエア吹き孔を穿設
   するとともに、前記ダクトのエア吹き面と前記排
   紙胴の排紙吐出し部周面とに対向する排紙案内部
   材を設けたことを特徴とする枚葉輪転印刷機の排
   紙装置。