JPH0227721Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は各種機器の回転軸を軸封するメカニカ
ルシールに関し、ことに静止型のメカニカルシー
ルの改良を提案するものである。

〔従来の技術〕

従来より、シートヘツドが非回転のハウジング
側に担持される静止型のメカニカルシールとし
て、第３図に示すようなものが広く知られてい
る。図において符号１は機器のハウジング、２は
該ハウジング１の軸孔内に回転自在に遊挿された
シヤフトで、該シヤフト２外周にフランジ３を介
して気密的に担持固定されシヤフト２とともに回
転するシートリング４に対して密接摺動するシー
ルヘツド５は、ハウジング１の軸孔段部６に内挿
されたコンプレツシヨンリング７を介して該ハウ
ジング１側に気密的に担持されており、かつ前記
軸孔段部６の径方向面に形成されたスプリング穴
８に一部が内挿されてなるコイルスプリング９に
より、前記コンプレツシヨンリング７を介して軸
方向に弾性付勢されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、上記従来の構成によればコンプレツシ
ヨンリング７が取り外された状態においては、コ
イルスプリング９がスプリング穴８から脱落し易
く、また該スプリング穴８の寸法は、コイルスプ
リング９の荷重を決定する大きな要素となつてい
るため、ハウジング１に対するスプリング穴８の
設計および加工を、当該メカニカルシールの製造
者側によつてなされなければならないという問題
点を有していた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、上記問題点に鑑み、これを解決する
ためになされたもので、コンプレツシヨンリング
前面部の段部内に嵌着されたシールヘツドが、該
コンプレツシヨンリングを介して非回転のハウジ
ング側に気密的に担持され、回転するシートリン
グと摺動する静止型のメカニカルシールにおい
て、前記コンプレツシヨンリングの後背部に軸方
向に刳貫された所要数のスプリング穴と、軸部お
よび該軸部よりも大径の頭部よりなり前記各スプ
リング穴の穴底に植設されて前記頭部側が該穴の
開口端から突出したドライブピンと、前記コンプ
レツシヨンリングの後背部と対向するハウジング
の径方向面に刳貫され前記ドライブピンの頭部側
が遊挿される係合穴と、前記頭部に抜け止めされ
た状態でドライブピンに遊嵌外挿され前記係合穴
よりも大径の環状のスプリングリテーナと、該ス
プリングリテーナと前記穴底に両端が当接した状
態で前記ドライブピンに外挿されたコイルスプリ
ングとを備え、前記ドライブピンと係合穴とが周
方向に対して互いに係合するとともに、前記コイ
ルスプリングが前記スプリングリテーナを介して
ハウジングの径方向面に担持された状態で前記コ
ンプレツシヨンリングに弾性を付勢するよう構成
したものである。

〔作用〕

したがつて本考案によれば、コイルスプリング
がメカニカルシールの構成部分であるコンプレツ
シヨンリング側に装着されており、その伸長がス
プリングリテーナを介してドライブピンの頭部に
よつて制限されるものであるため、荷重の設定を
容易に行なうことができ、該コイルスプリングお
よびスプリングリテーナが脱落することがないた
め、取り扱いが容易である。また、ハウジングに
は、従来設けられていたコイルスプリング装着用
の穴は不要となる。

〔実施例〕

つぎに、本考案に係るメカニカルシールの具体
的な構成および作用を、第１図および第２図に示
す実施例にもとづいて説明する。

図において、符号１１は非回転の機器ハウジン
グ、１２は該ハウジング１１内に遊挿されたシヤ
フト、１３は該シヤフト１２外周に気密的に固着
されたフランジ、１４は該フランジ１３の段部内
に気密的に嵌着されたシートリングで、該シート
リング１４はシヤフト１２と一体となつて回転す
る。１５はハウジング１１側に担持されたシール
ヘツドで、ハウジング１１の軸孔段部１６内周に
外周の一部が気密的に嵌着されるとともに後記す
るコイルスプリング２０により軸方向に弾性付勢
されてなるコンプレツシヨンリング１７の段部内
に気密的に嵌着されており、回転するシートリン
グ１４に対して密接摺動している。前記コンプレ
ツシヨンリング１７の後背部における周方向等配
位置には所要数のスプリング穴１８が軸方向に刳
貫され、該スプリング穴１８の穴底１８′にはド
ライブピン１９が軸方向に植設されるとともに、
その頭部１９ｂ側は該スプリング穴１８から突出
して、前記コンプレツシヨンリング１７後背部と
対向する前記径方向面１６′に刳貫された係合穴
２２内に遊嵌されている。該ドライブピン１９の
軸部１９ａには前記コイルスプリング２０および
環状のスプリングリテーナ２１が遊嵌外挿されて
いる。該スプリングリテーナ２１はその外周が前
記係合穴２２よりも適宜大径に形成されており、
ドライブピン１９が係合穴２２内に遊嵌係合した
状態において、スプリングリテーナ２１は係合穴
２２内への進入を阻まれて前記径方向面１６′に
当接し、コイルスプリング２０を圧縮する方向
に、ドライブピン１９の軸部１９ａ上を相対的に
移動している。ドライブピン１９の頭部１９ｂは
スプリングリテーナ２１の内周よりも適宜大径に
形成されているため、第２図に示すように、コン
プレツシヨンリング１７をハウジング１１から取
り外してもスプリングリテーナ２１およびコイル
スプリング２０が脱落してしまうようなことはな
い。また、コイルスプリング２０の伸長がスプリ
ングリテーナ２１を介してドライブピン１９の頭
部１９ｂによつて規制されるため、荷重の設定を
メカニカルシール側において行なうことができ
る。さらに、コイルスプリング２０がコンプレツ
シヨンリング１７に内挿された構成であるため、
本実施例においてはハウジング１１の軸孔段部１
６に対するスプリング穴（既述第３図符号８参
照）の刳貫加工は必要としていない。

〔考案の効果〕

以上延べたとおり、本考案メカニカルシール
は、静止側のシールヘツド、コンプレツシヨンリ
ング、ドライブピンおよびコイルスプリングが一
体に組立てられているので、取り扱いが容易にな
るほか、スプリング荷重を左右するスプリング穴
をハウジングに設計・加工する必要がないので価
格の低下に寄与し、かつコイルスプリングの荷重
をメカニカルシール側のみにおいて設定可能であ
る等、きわめて大なる実用的価値を発揮するもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案メカニカルシールの一実施例を
示す半截断面図、第２図は同実施例の要部断面
図、第３図は従来例に係るメカニカルシールの半
截断面図である。 １１……ハウジング、１５……シールヘツド、
１７……コンプレツシヨンリング、１８……スプ
リング穴、１８′……穴底、１９……ドライブピ
ン、１９ａ……軸部、１９ｂ……頭部、２０……
コイルスプリング、２１……スプリングリテー
ナ、２２……係合穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コンプレツシヨンリング前面部の段部内に嵌着
   されたシールヘツドが、該コンプレツシヨンリン
   グを介して非回転のハウジング側に気密的に担持
   され、回転するシートリングと摺動する静止型の
   メカニカルシールにおいて、前記コンプレツシヨ
   ンリングの後背部に軸方向に刳貫された所要数の
   スプリング穴と、軸部および該軸部よりも大径の
   頭部よりなり前記各スプリング穴の穴底に植設さ
   れて前記頭部側が該穴の開口端から突出したドラ
   イブピンと、前記コンプレツシヨンリングの後背
   部と対向するハウジングの径方向面に刳貫され前
   記ドライブピンの頭部側が遊挿される係合穴と、
   前記頭部に抜け止めされた状態でドライブピンに
   遊嵌外挿され前記係合穴よりも大径の環状のスプ
   リングリテーナと、該スプリングリテーナと前記
   穴底に両端が当接した状態で前記ドライブピンに
   外挿されたコイルスプリングとを備え、前記ドラ
   イブピンと係合穴とが周方向に対して互いに係合
   するとともに、前記コイルスプリングが前記スプ
   リングリテーナを介してハウジングの径方向面に
   担持された状態で前記コンプレツシヨンリングを
   押圧付勢してなることを特徴とするメカニカルシ
   ール。