JPH0226432Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はペルチエ素子を利用して冷却保冷、加
熱保温が出来る電子ジヤーに関するものである。

（従来技術） 従来一般の魔法壜は、真空断熱層を設けた二重
ガラス筒を用い、また水銀膜を設け、熱を反射さ
せて遮熱しているが、ガラスは破損し易いばかり
でなく、内容物を加熱又は冷却する機構は設けら
れていない。そこで近年加熱機構を設けた電子ジ
ヤーが提案されているが、この場合には冷却する
機能はなかつた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は、従来のジヤーが加熱（保温）又は保
冷の何れか一方の機能しか有しない点に鑑み、加
熱保温と冷却保冷の機能を共に持たせることを解
決しようとする問題点とするものである。

（問題点を解決するための手段） このため本考案は、水の注入口と注出口を備え
た外被中央に、注入された水を貯留する容器を液
密に固定してなるジヤーにおいて、該容器は中間
に真空断熱層を設けた内筒と外筒よりなり、該外
筒の周面にはフインが固定されると共に、前記外
被に設けた吸入口より吸入される外部の空気を該
フインに吹付けるフアンを前記外被内に取付け、
かつ前記内外筒の真空断熱層内に両接合部が内外
筒壁に接するようにペルチエ素子を配設すると共
に、前記外被に前記吸気の排出口を設けたもの
で、これを問題点解決のための手段とするもので
ある。

（作 用） 容器内に注入口より水を入れ、ペルチエ素子に
電流を流すと、容器の内筒側が冷却され、外筒側
が加熱されてフインが熱を帯びて来る。そこでフ
アンを回して外部の空気をフインに吹付けて冷す
と、容器内の水は冷却された後一定温度に保冷さ
れる。またペルチエ素子に逆方向の電流を流す
と、容器の内筒側が加熱されて水を加熱する。

（実施例） 以下本考案を図面の実施例に基づいて説明す
る。

本考案はペルチエ素子を利用しているが、先ず
ペルチエ効果について説明すると、２種の異なつ
た金属や半導体の組合せで２つの物質からなる閉
回路を作り、該閉回路の各部分を一定温度に保ち
ながら電流を通ずると、２つの接合部の一方でジ
ユール熱以外の熱が発生し、他方で吸収がみられ
る。この現象をペルチエ効果という。

さて図面は本考案の電子ジヤーの１実施例を示
し、１は外被で、水の注入口２と注出口３が設け
られており、注入口２には栓４が装着されてい
る。注出口３には、図示されていないが、水を注
出する時には開き、注出しない時は閉じる公知の
バルブ機構が設けられている。５は外被中央に液
密に固定された容器で、熱伝導性のよいアルミニ
ウム等の金属で形成された内筒６と、内面に反射
水銀膜をコーテイングした外筒７とが同心円的に
配設され、該内外筒６，７間は真空断熱層８とな
つている。この真空断熱層８の形成は、外筒７内
に内筒６を挿入してその口部９を溶接する作業
を、真空雰囲気中で行なうことにより簡単に形成
できる。また外被１の底部には外気の吸入口１０
を設け、上方部周囲には排出口１１を設ける。

１２は外筒７の外周面に直接溶接等で取付けら
れたフインで、図面は説明上分り易くするため、
フアン１３から送られる空気Ａの流れと直角状に
取付けてあるが、このフイン１２の配列は、空気
Ａの流れと平行状に配列して空気流の整流を図る
ようになつている。フアン１３は外被１内に固定
されたモータ１４により駆動されて、空気Ａの流
れを発生するものであるが、その取付け位置は図
面のように底部のみに限定されるものではなく、
フイン１２を空冷できるものであれば任意の位置
に取付けてよい。

１５は公知のペルチエ素子で、真空断熱層８内
に配置され、接合部の一方は内筒６に接し、他方
は外筒７に接するように固定されている。このペ
ルチエ素子１５の取付け位置も図面の位置に限定
されるものではなく、任意位置に取付けてよい。
なお、図示されていないが、フアンモータ１４、
ペルチエ素子１５に電流を流す電線、リード線、
スイツチ等は当然設けられているものとする。ま
た乾電池により作動する構造としてもよく、蓋部
には容器内の空気の空気抜き穴が設けられてい
る。また１６は断熱材である。

次に以上の如く構成された実施例について作用
を説明する。先ず栓４を外して注入口２より水を
内筒６内に吸入し、ペルチエ素子１５に電流を流
すと、内筒６側の接合部は冷却され、内筒６を介
して内部の水が冷却される。

一方外筒７側の接合部には熱が発生し、外筒７
を介してフイン１２が加熱される。そこでフアン
１３を回し、外気を吸入口１０より吸入し、空気
Ａを矢印の如く流すと、空気Ａはフイン１２から
熱を奪つて排出口１１より排出される。これによ
り内筒６内の水は冷却され、ペルチエ素子１５の
容量に応じた温度にまで冷却される。この場合、
所定温度以下にならないように、サーモスタツト
等が作動して、電流が切れるようにしてもよい。

次に内筒６内の水を加熱する場合には、ペルチ
エ素子１５に流す電流の方向を、図示しないスイ
ツチ等の切換えで逆方向にすると、内筒６側の接
合部には熱が発生して内筒６内の水を加熱する。

（考案の効果） 以上詳細に説明した如く本考案は構成されてい
るので、ペルチエ素子に電流を流すだけの操作
で、容器内の水を冷却して、そのまま保冷するこ
とができ、また電流の流れの方向を変えるだけで
容器内の水を加熱し、その温度に保温することが
できる。しかもペルチエ素子、フアン、フイン等
を設けただけの簡単な構造であり、かつ容器の内
外筒は熱伝導性のよい金属製であるので破損の虞
れはなく、しかも内外筒間は真空断熱層となつて
いるため、保冷、保温効果に優れている。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すフアンモータの側
断面図である。 図の主要部分の説明、１……外被、２……注入
口、３……注出口、５……容器、６……内筒、７
……外筒、８……真空断熱層、１２……フイン、
１３……フアン、１５……ペルチエ素子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水の注入口と注出口を備えた外被中央に、注入
   された水を貯留する容器を液密に固定してなるジ
   ヤーにおいて、該容器は中間に真空断熱層を設け
   た内筒と外筒よりなり、該外筒の周面にはフイン
   が固定されると共に、前記外被に設けた吸入口よ
   り吸入される外部の空気を該フインに吹付けるフ
   アンを前記外被内に取付け、かつ前記内外筒の真
   空断熱層内に両接合部が内外筒壁に接するように
   ペルチエ素子を配設すると共に、前記外被には前
   記吸気の排出口を設けたことを特徴とする電子ジ
   ヤー。