JPH0225945Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、減衰力が作動速度に依存して変化す
るようにした減衰力可変型フロントフオークに関
するものである。

（従来の技術） 車両用フロントフオークにあつては、低速域で
は車両の乗心地性を高く保つべく減衰力を下げ、
高速域では車両の走行安定性を高く保つべく減衰
力を高めることが望ましい。このため、作動速度
の増大と共に減衰力を高める所謂速度依存型のフ
ロントフオークが種々提案されるが、これらは構
造が複雑で、それ故に作動安定性に欠ける面もあ
つた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は上記の鑑みて成されたもので、その目
的とする処は、作動速度に依存して減衰力が変化
する構造が単純で作動安定性の高い減衰力可変型
フロントフオークを提供するにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成すべく本考案は、ボトムケース
内底部に植設されたシートパイプの外周に、通常
は開状態にあつて、圧縮行程の高速域で閉じてシ
ートパイプ側壁に穿設された油孔を開放せしめる
チエツクバルブを摺動自在に嵌合した。

（作用） このように圧縮行程の高速域で閉じてシートパ
イプ側壁に穿設した油孔を開放せしめるチエツク
バルブを設けたため、この高速域では油の流動を
絞つて抵抗を高め、減衰力を高く保つことができ
る。

（実施例） 以下に本考案の一実施例を添付図面に基づいて
説明する。

第１図は本考案に係るフロントフオーク下部の
破断側面図、第２図はチエツクバルブの作動を示
す同フロントフオーク要部の破断側面図、第３図
は減衰力特性線図である。

第１図に示す減衰力可変型フロントフオーク１
のボトムケース２内には上方よりフオークパイプ
３が上下摺動自在に挿入嵌合されている。又、ボ
トムケース２内の底部にはシートパイプ４がボル
ト５にて植設されており、図示しないが該シート
パイプ４の上端ピストン部はフオークパイプ３の
内周に摺接している。

ところで、上記シートパイプ４の下部外周には
オイルロツクピース６が嵌着されており、これの
下方にはチエツクバルブ７が上下摺動自在に嵌合
されている。チエツクバルブ７はこれとスプリン
グシート８間に縮装されたスプリング９にて上方
に弾発され、通常は図示の如くにその上端が前記
オイルロツクピース６の下端面に当接して開状態
にある。そして、このチエツクバルブ７は開状態
においては、シートパイプ４の側壁に穿設された
小径の油孔１０……を閉塞している。尚、シート
パイプ４側壁には更に前記油孔１０……よりも大
径の油孔１１……が穿設されている。又、第１図
中、１２はフリーバルブである。

而して、フロントフオーク１内には油室Ａ，
Ｂ，Ｃが区画形成され、これら油室Ａ，Ｂ，Ｃ内
には作動油が封入されている。

次に本フロントフオーク１の作用を説明する。

圧縮工程においてピストン作動速度Vpが低い
領域、即ち第３図において０＜Vp＜VP₀の領域
においては、フオークパイプ３のボルトケース２
内での下動に伴つて油室Ｂ内に発生する油圧はチ
エツクバルブ７をスプリング９の弾発力に抗して
閉じるには至らず、チエツクバルブ７は第１図に
示す如く開状態にあり、油孔１０……は閉塞され
ている。従つて、この領域においては、油室Ｂ内
の油は第１図中、矢印にて示す如くチエツクバル
ブ７、油孔１１……を通つて油室Ａ内に流入す
る。そして、このときの油の流動に伴う流動損失
に伴いフロントフオーク１内には第３図の曲線
OAに沿つて変化する比較的低い減衰力D_Fが発生
し、従つて低作動域での車両の乗心地性は高く保
たれる。

次にピストン作動速度Vp第３図に示すVp₀を
超えて増大すれば、油室Ｂの油は第２図に示す如
くその圧力でチエツクバルブ７をスプリング９の
弾発力に抗して押し差げて閉じる。このチエツク
バルブ７が下動して閉じれば、これによつて閉塞
されていたシートパイプ４の油孔１０……は第２
図に示す如く開き、油室Ｂの油は油孔１０……を
通つて油室Ａ内に流入する。油孔１０……は小径
であるため、ここを通過する油の流動抵抗は突然
増大し、この流動抵抗に基づいて発生する減衰力
D_Fも第３図の曲線ABに沿つて急激に増大する。
このように高速域での減衰力を高めるようにした
ため、この領域での車両の走行安定性は高く保た
れる。

以上において、減衰力の可変はチエツクバルブ
７を設けるのみで成されるため、フロントフオー
ク１内の構造の単純化が図られるとともに、これ
の作動の安定性が確保される。

（考案の効果） 以上の説明で明らかな如く本考案によれば、ボ
トムケース内底部に植設されたシートパイプの外
周に、通常は開状態にあつて、圧縮行程の高速域
で閉じてシートパイプ側壁に穿設された油孔を開
放せしめるチエツクバルブを摺動自在に嵌合した
ため、作動速度に依存して減衰力を可変とするこ
とができるとともに、フロントフオークの構造単
純化、作動安定性の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るフロントフオーク下半部
の破断側面図、第２図はチエツクバルブの作動を
示す同フロントフオーク要部の破断側面図、第３
図は減衰力特性線図である。 尚、図面中、１は減衰力可変型フロントフオー
ク、２はボトムケース、３はフオークパイプ、４
はシートパイプ、７はチエツクバルブ、９はスプ
リング、１０，１１は油孔、Ａ，Ｂ，Ｃは油室で
ある。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボトムケース内にフオークパイプを摺動自在に
   挿入嵌合し、ボトムケース内底部に植設したシー
   トパイプの上端ピストン部をフオークパイプ内周
   に摺接して成るフロントフオークであつて、上記
   シートパイプの外周に、通常は開状態にあつて、
   圧縮行程の高速域で閉じてシートパイプ側壁に穿
   設された油孔を開放せしめるチエツクバルブを摺
   動自在に嵌合したことを特徴とする減衰力可変型
   フロントフオーク。