JP3913294B2 - フロントフォーク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、レース仕様あるいはレース指向の自動二輪車に架装されるフロントフォークの改良に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】
自動二輪車に架装されるフロントフォークとしては、従来から種々の提案があるが、自動二輪車がレース仕様あるいはレース指向とされる場合のフロントフォークにあっては、ピストン速度が微低速域にある場合の伸側の減衰力が所望の通りに発生されることを強く要請される傾向にある。
【0003】
たとえば、図4に示す従来例としてのフロントフォークにあっては、車軸側チューブたるアウターチューブ1の上端側内に車体側チューブたるインナーチューブ2の下端側たる先端側が出没可能に挿通されてなる。
【0004】
そして、インナーチューブ2の下端部たる先端部の内周には、ピストン部3が設けられており、このピストン部3は、内周側においてアウターチューブ1の内底部から立設されてアウターチューブ1の軸芯部に配在されたセンターパイプ4の外周に対向し、外周側においてアウターチューブ1の内周に軸受5の配在下に摺接している。
【0005】
なお、センターパイプ4の上端ヘッド部4aの外周には、その外周がインナーチューブ2の内周に摺接するシールリング6が介装されており、このシールリング6でインナーチューブ2内を上端側のいわゆるリザーバ側と下端側のいわゆる油室側に区画している。
【0006】
また、センターパイプ4の上端と図示しないインナーチューブ2の内部上端との間には、懸架ばね7が配在されていて、この懸架ばね7の附勢力によってインナーチューブ2がアウターチューブ1内から突出される傾向に、すなわち、このフロントフォークが伸長傾向に常時附勢されるとしている。
【0007】
ところで、ピストン部3は、図中で下端側となる先端側に図示しない下方に定着されている油孔桿を内周側に離脱可能に侵入させるオイルロックケース8をインナーチューブ2の先端のカシメ加工で抜け落ちを防止された固定状態に有してなる。
【0008】
また、ピストン部3は、図中で上端側となる基端側に上下動可能に配在されたメインのバルブ9を有してなり、このバルブ9は、上端側に油の通過を許容する切欠部9aを有してなると共に、センターパイプ4の外周に油流れを許容する隙間Sを有して摺接している。
【0009】
そして、このバルブ9とオイルロックケース8の間には、板状に形成のスペーサ10が配在されると共に、このスペーサ10をオイルロックケース8との間に挟むようにしてバルブストッパ11が隣設され、このバルブストッパ11の内周側にリターンばね12の配在下に上記のバルブ9を臨在させている。
【0010】
なお、バルブストッパ11は、外周側の上端がインナーチューブ2の内周に形成された段差部2aに係止されており、前記したインナーチューブ2の先端のカシメ加工によって固定状態に定着されている。
【0011】
また、バルブストッパ11の上端とセンターパイプ4の上端ヘッド部4aの下端との間には、伸び切りばね13が配在されていて、このフロントフォークの最伸長時にピストン部3が上端ヘッド部4aに衝突することを阻止している。
【0012】
ちなみに、オイルロックケース8は、上端内周とセンターパイプ4の外周との間に環状オリフィス8aを形成していて、この環状オリフィス8aを介してのバルブ9側、すなわち、インナーチューブ2とセンターパイプ4の間にピストン部3で区画される上方油室R1と、オイルロックケース8の内周側、すなわち、アウターチューブ1とセンターパイプ4の間にピストン部3で区画される下方油室R2との連通を許容している。
【0013】
また、スペーサ10は、環状オリフィス8aに部分的に対向しながら下降状態にあるバルブ9によって部分的に閉塞される切欠孔10aを有していて、環状オリフィス8aと同様に、上方油室R1側と下方油室R2側との連通を許容している。
【0014】
そして、バルブストッパ11は、上端内周とセンターパイプ4の外周との間に形成されバルブ9の切欠部9aに連通する環状通路11aを有していて、バルブストッパ11内と上方油室R1との連通を許容している。
【0015】
それゆえ、この従来例としてのフロントフォークにあっては、図示する最伸長状態からピストン部3が下降する圧縮作動時には、下方油室R2側が高圧側となるがゆえにバルブ9がバルブストッパ11内で上昇する。
【0016】
したがって、下方油室R2からの作動油は、図中に破線矢印で示すように、オイルロックケース8部分における環状オリフィス8aとスペーサ10部分における切欠孔10aとで形成されるいわゆるオリフィスを通過すると共に、バルブ9の切欠部9aおよびバルブストッパ11の上端内周で形成される環状通路11aを通過して、上方油室R1内に流入することになる。
【0017】
そして、作動油が環状オリフィス8aと切欠孔10aとで形成されるオリフィスを通過することで、圧側の減衰力が発生されることになる。
【0018】
一方、下降状態にあるピストン部3が下方油室R2内を上昇することになる伸長作動時には、上方油室R1側が高圧側となるがゆえにバルブ9がバルブストッパ11内で下降する。
【0019】
したがって、上方油室R1からの作動油は、図中に実線矢印で示すように、環状通路11aおよび切欠部9aを通過すると共に、バルブ9で部分的に閉塞されているオリフィス、すなわち、切欠孔10aと環状オリフィス8aとで形成されるオリフィスを通過して、下方油室R2内に流入することになる。
【0020】
そして、作動油が切欠孔10aと環状オリフィス8aとで形成されてバルブ9で部分的に閉塞されているオリフィスを通過することで、伸側の減衰力が発生されることになる。
【0021】
また、この伸側作動時に上記オリフィスを通過しきれない作動油は、バルブ9の内周とセンターパイプ4の外周との間に形成される隙間Sを介して流れることになり、このとき、やはり伸側の減衰力が発生されることになる。
【0022】
すなわち、伸側作動時には、作動油が切欠孔10aと環状オリフィス8aとで形成されるオリフィスと隙間Sを通過することで、所定の伸側の減衰力が発生されるとしている。
【0023】
しかしながら、上記した伸側減衰力の発生は、ある程度の量の作動油がバルブ9を介するようにして流れることを期待できるピストン速度の場合、すなわち、ピストン速度が低速域以上にある場合のことである。
【0024】
したがって、ピストン速度が微低速域にある伸側作動時には、上方油室R1からの作動油がもっぱら切欠孔10aと環状オリフィス8aとで形成されるオリフィスを通過するが、このとき、このオリフィスに微低速域制御のための流路抵抗の発生を期待できないことになる。
【0025】
その結果、上記した減衰力発生構造を有するフロントフォークが自動二輪車に架装されるとしても、この自動二輪車がレース仕様やレース指向に形成されている場合には、ピストン速度が微低速域にあるときの所望の伸側減衰力の発生を期待し得なくする。
【0026】
そして、レース仕様やレース指向の実車にあっては、たとえば、急減速しながらヘヤピンカーブに進入するときに、所望のノーズダイブ傾向の車体姿勢を維持し難くなり、その後の加速体勢などをとり辛くするなどの不具合があることが指摘されることになっていた。
【0027】
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、ピストン速度が微低速域にあるときに所望の伸側減衰力が発生され、特に、レース仕様やレース指向とされる自動二輪車への架装に最適となるフロントフォークを提供することである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、この発明の手段は、車軸側チューブと、車軸側チューブ内に出没可能に挿通された車体側チューブと、車軸側チューブの内底部に立設されたセンターパイプと、上記車体側チューブの先端部に設けられて上記センターパイ4の外周に対向すると共に上記車軸側チューブの内周に摺接するピストン4と、上記ピストン3と上記センターパイの上端ヘッド部とで上記車体側チューブと上記センターパイプとの間に区画した上方油室と、上記ピストン部を介して上記車軸側チューブと上記センターパイプとの間に区画した下方油室と、上記センターパイプの外周に摺接して上記上方油室と上記下方油室とを開閉するチェックバルブと、上記センターパイプに開穿されて上記上方油室に連通するオリフィスとを有してなるフロントフォークにおいて、上記センターパイプの内周側に上記オリフィスを覆うようにして配在したバルブケースと、上記バルブケースに形成されて上記センターパイプ内リザーバに開口する通孔と、上記センターパイプと上記バルブケースとの間に上下移動自在に挿入して上記通孔を開閉する伸側バルブと、上記バルブケースの下端部と上記伸側バルブとで上記センターパイプと上記バルブケースとの間に区画されて上記オリフィスと上記通孔に連通する容室と、上記伸側バルブを上記通孔を閉じ方向に附勢する附勢ばねとを備えていることを特徴とするものである。
【0029】
そして、より具体的には、先端を伸側バルブに当接させる附勢ばねの基端がバルブケースの上端部外周に定着されたばね受に係止されてなるとする。
【0030】
また、好ましくは、 先端を伸側バルブに当接させる附勢ばねの基端がセンターパイプの上端ヘッド部の内周に定着されたばね受に係止されてなる一方で、当該ばね受の内周がバルブケースの上端部外周に螺合されてなり、バルブケースのセンターパイプに対する移動で附勢ばねの附勢力が変更されるように設定しても良い。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下本発明の各実施の形態を図1、図2に基づいて説明する。
本発明のフロントフォークの基本は従来と同じく、車軸側チューブ1と、車軸側チューブ1内に出没可能に挿通された車体側チューブ2と、車軸側チューブ1の内底部に立設されたセンターパイプ4と、上記車体側チューブ1の先端部に設けられて上記センターパイプ4の外周に対向すると共に上記車軸側チューブの内周に摺接するピストン部3と、上記ピストン部3と上記センターパイプ4の上端ヘッド部4 a とで上記車体側チューブ2と上記センターパイプ4との間に区画した上方油室R1と、上記ピストン部3を介して上記車軸側チューブ1と上記センターパイプ4との間に区画した下方油室R2と、上記センターパイプ4に開穿されて上記上方油室R1に連通するオリフィス4bとを有してなるものである。
そして、本発明の特徴となる構成は、上記センターパイプ4の内周側に上記オリフィス4bを覆うようにして配在したバルブケース15と、上記バルブケース15に形成されて上記センターパイプ4内リザーバに開口する通孔15 a と、上記センターパイプ4と上記バルブケース15との間に上下移動自在に挿入して上記通孔15aを開閉する伸側バルブ17と、上記バルブケース15の下端部15bと上記伸側バルブ17とで上記センターパイプ4と上記バルブケース15との間に区画されて上記オリフィス4bと上記通孔15 a に連通する容室Rと、上記伸側バルブ17を上記通孔15 a を閉じ方向に附勢する附勢ばね18とを備えているものである。
以下更に詳しく説明する。
【0033】
まず、この発明の一つの実施の形態によるフロントフォークは、図1に示すように、ピストン部3がセンターパイプ4の外周に摺接して上方油室R1の下方油室R2への連通を阻止する、すなわち、このフロントフォークの伸側作動時に上方油室R1からの作動油がピストン部3を介して下方油室R2へ流出することを阻止するチェックバルブ14を有してなる。
【0034】
このチェックバルブ14は、センターパイプ4の外周との間に油流れを許容する隙間Sを形成しており、したがって、このフロントフォークの伸側作動時に作動油が隙間Sを通過することによる伸側減衰力の発生を可能にしている。
【0035】
なお、チェックバルブ14は、このフロントフォークの圧側作動時に下方油室R2からの作動油が上方油室R1に向けて通過するのを許容する切欠部9aを有している。
【0036】
一方、このフロントフォークは、センターパイプ4の上端ヘッド部4aからその下方近傍にかけての内周側に伸側減衰力発生構造を有しており、以下には、この伸側減衰力発生構造の構成について説明する。
【0037】
まず、センターパイプ4は、上端ヘッド部4aの下方近傍に開穿されて上方油室R1とセンターパイプ4の内周側とを連通するオリフィス4bを有してなり、センターパイプ4の内周側には、オリフィス4bを覆うようにバルブケース15が配在されている。
【0038】
このバルブケース15は、内外の連通を可能にする通孔15aを有し、下端部15bの外周がセンターパイプ4の内周に密接するとしており、上端部15cの外周にフランジ状に形成されたばね受16を定着させている。
【0039】
なお、このばね受16の外周側端は、図示する実施の形態にあっては、センターパイプ4の上端、すなわち、上端ヘッド部4aの上端とその上方の懸架ばね7の下端との間に挟持されている。
【0040】
つぎに、バルブケース15とセンターパイプ4の間には、内周がバルブケース15の外周に摺接し外周がセンターパイプ4の内周に摺接する伸側バルブ17を有している。
【0041】
この伸側バルブ17は、図中で上方となる背後に配在の附勢ばね18によって図中で下降方向となる前進方向に附勢されており、最前進時には、バルブケース15の下端部15bの上方近傍の外周に形成された段差部15dに係止されると共にバルブケース15に開穿の通孔15aを閉塞する状態におかれるように設定されている。
【0042】
そして、伸側バルブ17が図示する最前進状態にあるときには、バルブケース15の下端部15bと上方の段差部15dとの間にセンターパイプ4に開穿のオリフィス4bに連通する容室Rが形成されるとしている。
【0043】
なお、先端を伸側バルブに当接させている附勢ばね18の図中で上端となる基端は、ばね受16の下端面に係止されている。
【0044】
それゆえ、以上のように形成された伸側減衰力発生構造を有するフロントフォークにあっては、インナーチューブ2がアウターチューブ1内から抜け出るようになる伸長作動時には、上方油室R1側が高圧側となるがゆえにチェックバルブ14がバルブストッパ11内で下降する。
【0045】
したがって、上方油室R1からの作動油は、図中に実線矢印で示すように、オリフィス4bを通過して容室R内に流入すると共に、伸側バルブ17が押し上げられることで開口される通孔15aを介してバルブケース15の内周側、すなわち、リザーバ室(符示せず)側に流出することになる。
【0046】
そして、伸側バルブ17が附勢ばね18の附勢力に抗して上昇されることで形成される隙間を作動油が通過するときに、伸側減衰力が発生されることになり、このときの減衰力は、バルブ特性となる。
【0047】
また、特に、ピストン速度が微低速域にあるとき、上記オリフィス4bによる流路抵抗の発生を期待できなくても、このオリフィス4bに直列する伸側バルブ17が作動することで所望の伸側減衰力の発生を期待できる。
【0048】
なお、この伸側作動時には、チェックバルブ14の内周とセンターパイプ4の外周との間に形成されている隙間Sを介しても作動油が流れることになり、このときにも、やはり伸側の減衰力が発生されることになる。
【0049】
また、圧側作動時には、下方油室R2側が高圧側となるがゆえにチェックバルブ14がバルブストッパ11内で上昇し、下方油室R2からの作動油がオイルロックケース8部分における環状オリフィス8aを通過すると共に、チェックバルブ14の切欠部14aおよびバルブストッパ11の上端内周で形成される環状通路11aを通過して、上方油室R1内に流入し、作動油が環状オリフィス8aを通過することで、圧側の減衰力が発生される。
【0050】
図2に示すフロントフォークにあっては、先端を伸側バルブ17に当接させる附勢ばね18の基端がセンターパイプ4の上端ヘッド部4aの内周に定着されたばね受16に係止されてなる一方で、ばね受16の内周がバルブケース15の上端側の外周に螺合されてなり、バルブケース15のセンターパイプ4に対する移動で附勢ばね18の附勢力が変更されるように設定されている。
【0051】
すなわち、ばね受16の内周に形成の螺条16aがバルブケース15の上端部15cから下方近傍の外周にかけて形成の螺条15eに螺合される一方で、バルブケース15の下端には、有孔連繋部材19が配在されており、この有孔連繋部材19の軸芯部にインナーチューブ2の軸芯部に配在されたコントロールロッド20が異形嵌合するとしている。
【0052】
なお、ばね受16の上端ヘッド部4aの内周側からの抜け出しは、図示する実施の形態にあって、上端ヘッド部4aの内周に嵌装されたストッパ21によって阻止されている。
【0053】
また、ばね受16の上端ヘッド部4aの内周での回動は、ばね受16の外周が異形とされると共に、たとえば、図示する実施の形態のように、この異形に形成された外周が上端のヘッド部4aの内周に形成の縦溝4cに嵌合する異形嵌合構造で阻止されるとしている。
【0054】
そして、コントロールロッド20の上端は、図示しないが、たとえば、インナーチューブ2の上端から突出するように設定されていて、この突出端が手動操作あるいは適宜のアクチュエータを利用した操作で回動されるように設定されていれば足りる。
【0055】
それゆえ、以上のように形成されたこの実施の形態によるフロントフォークにあっては、伸長作動時には、前記した実施の形態によるフロントフォークの場合と同様に、チェックバルブ14の内周とセンターパイプ4の外周との間に形成されている隙間Sにおける減衰力の発生に加えて、伸側バルブ17の作動で所望の伸側減衰力を発生することになる。
【0056】
そして、ピストン速度が微低速域にあるときには、その際の作動油の流量に応じる所望の伸側減衰力が発生され、要する場合のコントロールロッド20の回動操作で、伸側バルブ17を附勢する附勢ばね18の附勢力を変更し得ることになり、発生される伸側減衰力の大きさを任意に変更し得ることになる。
【0057】
なお、圧側作動時には、この実施の形態にあっても、前記した図1に示す実施の形態の場合と同様に、作動油が環状オリフィス8aを通過することで、圧側の減衰力が発生されることもちろんである。
【0058】
前記したところ、すなわち、ピストン速度が微低速域にあるときの伸側減衰力の発生状況を従来のフロントフォークの場合と比較すると、図3に示すようになる。
【0059】
すなわち、図3において、従来のフロントフォークにおける特性をAで示すとき、これは、切欠孔10aと環状オリフィス8aとで形成されるオリフィスによるオリフィス特性A1と、このオリフィスに並列するバルブ9の内周の隙間Sによるポート特性A2との合成からなるオリフィス特性として表出される。
【0060】
これに対して、図1に示す実施の形態によるロントフォークにおける特性は、Bで示すところとなり、これは、オリフィス4bによるオリフィス特性、すなわち、A1と、オリフィス4bに並列する隙間Sによるポート特性A2と、オリフィス4bに直列する伸側バルブ17によるバルブ特性B1との合成からなる緩いカーブのオリフィス特性として表出される。
【0061】
そして、図2に示す実施の形態によるロントフォークにあっては、ばね力が変更された伸側バルブ17によるバルブ特性がC1となり、これがオリフィス特性A1およびポート特性A2と合成されてCで示す特性となる。
【0062】
以上からも解るように、ピストン速度が微低速域にあるときの伸側減衰力は、従来のフロントフォークにおける特性Aに比較して、特性Bおよび特性Cで示すように、明らかに大きくなる。
【0063】
【発明の効果】
各請求項の発明によれば、センターパイプの内周側にオリフィスを覆うようにして配在したバルブケースと、上記バルブケースに形成されて上記センターパイプ内リザーバに開口する通孔と、上記センターパイプと上記バルブケースとの間に上下移動自在に挿入して上記通孔を開閉する伸側バルブと、上記バルブケースの下端部と上記伸側バルブとで上記センターパイプと上記バルブケースとの間に区画されて上記オリフィスと上記通孔に連通する容室と、上記伸側バルブを上記通孔を閉じ方向に附勢する附勢ばねとを備えているので、次の効果が得られる。
1)伸側作動時には、上方油室の圧力で伸側バルブが押し上げられて上方油室の作動油が通孔からリザーバに流出し、この伸側バルブでバルブ特性の伸側減衰力を発生する。特に、ピストン速度が微低速域にある時にオリフィスで流路抵抗の発生が期待できなくても、上記の伸側バルブで減衰力を発生できる。更に、チェックバルの内周とセンターパイプとの内周間の隙間からも作動油が上方油室から下方油室に流れてこの隙間でも伸側減衰力を発生させる。したがって、オリフイスによるオリフィス特性と、隙間によるオリフイス特性と、伸側バルブによるバルブ特性との合成の緩い減衰力を得る事ができる。
2)圧側作動時には、下方油室の圧力でチェックバルブが上昇し、その時開く流路面積で圧側減衰力を発生させる。
【0064】
そして、この発明にあっては、伸側バルブを附勢する附勢ばねの附勢力を調整するとき、ピストン速度が微低速域にあるときの伸側減衰力を高低自由に変更できることになる。
【0065】
また、この発明にあっては、ピストン部におけるわずかな設計変更をすることと、センターパイプの上端ヘッド部の下方近傍にオリフィスを開穿することを条件に、センターパイプの上端ヘッド部からその下方近傍にかけての内周側に伸側減衰力発生構造を配設けることのみで、所期の減衰力制御が可能になり、フロントフォーク全体の長さや径寸法の変更を招来させず、したがって、従来より提供されているフロントフォークに内部のわずかな設計変更をするだけで、その提供が可能になる。
【0066】
その結果、この発明によれば、いたずらなコスト上昇化を招来せずして、ピストン速度が微低速域にあるときに所望の伸側減衰力が発生されるフロントフォークが得られることになり、特に、レース仕様やレース指向とされる自動二輪車への架装に最適となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態によるフロントフォークを一部破断して要部のみを示す部分縦断面図である。
【図2】この発明の他の実施の形態によるフロントフォークを図1と同様に示す部分縦断面図である。
【図3】この発明のフロントフォークによるピストン速度に対する伸側減衰力の発生状況を従来例としてのフロントフォークの場合と比較して示す特性図である。
【図4】従来例としてのフロントフォークを図1と同様に示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
1 車軸側チューブたるアウタチユーブ
2 車体側チューブたるインナーチューブ
3 ピストン部
4 センターパイプ
4a 上端ヘッド部
4b オリフィス
14 チェックバルブ
15 バルブケース
15a 通孔
15b 下端部
16 ストッパ
17 伸側バルブ
18 附勢ばね
R 容室
R1 上方油室
R2 下方油室
Claims (3)
- 車軸側チューブと、車軸側チューブ内に出没可能に挿通された車体側チューブと、車軸側チューブの内底部に立設されたセンターパイプと、上記車体側チューブの先端部に設けられて上記センターパイプの外周に対向すると共に上記車軸側チューブの内周に摺接するピストン部と、上記ピストン部と上記センターパイプの上端ヘッド部とで上記車体側チューブと上記センターパイプとの間に区画した上方油室と、上記ピストン部を介して上記車軸側チューブと上記センターパイプとの間に区画した下方油室と、上記センターパイプの外周に摺接して上記上方油室と上記下方油室とを開閉するチェックバルブと、上記センターパイプに開穿されて上記上方油室に連通するオリフィスとを有してなるフロントフォークにおいて、上記センターパイプの内周側に上記オリフィスを覆うようにして配在したバルブケースと、上記バルブケースに形成されて上記センターパイプ内リザーバに開口する通孔と、上記センターパイプと上記バルブケースとの間に上下移動自在に挿入して上記通孔を開閉する伸側バルブと、上記バルブケースの下端部と上記伸側バルブとで上記センターパイプと上記バルブケースとの間に区画されて上記オリフィスと上記通孔に連通する容室と、上記伸側バルブを上記通孔を閉じ方向に附勢する附勢ばねとを備えているフロントフォーク。
- 先端を伸側バルブに当接させる附勢ばねの基端がバルブケースの上端部外周に定着されたばね受に係止されてなる請求項1のフロントフォーク。
- 先端を伸側バルブに当接させる附勢ばねの基端がセンターパイプの上端ヘッド部の内周に定着されたばね受に係止されてなる一方で、当該ばね受の内周がバルブケースの上端部外周に螺合されてなり、バルブケースのセンターパイプに対する移動で附勢ばねの附勢力が変更されるように設定されてなる請求項1のフロントフォーク
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