JPH0240339Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、減衰力可変型フロントフオークに関
するものである。

（従来の技術） 一般に、フロントフオークはこれの内部に封入
した油が流動する際の流動抵抗に基づいて減衰力
を生じるが、この減衰力は作動速度に対して２乗
カーブ的に増減する。従つて、高速度域では減衰
力が過大となり、この結果、フロントフオークが
剛的に作用し、その機能を十分発揮し得ない。

そこで、所定値以上の油圧で開くブローバルブ
を設け、フロントフオーク内の油圧上昇を抑制す
ることが行われる。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、ブローバルブが１つだけだと作動速
度に対する減衰力に大きな変曲点が生じ、乗りご
ごちに影響をおよぼす。

そこで本考案の目的とする処は従来のフロント
フオークのフリーバルブを１種のブローバルブと
して使い減衰力特性として大きな変曲点をなくし
よりリニアーな形に近づけることができる。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成すべく本考案は、ボトムケース
内にフオークパイプを摺動自在に挿入嵌合し、ボ
トムケース内底部に植設したシートパイプの上端
ピストン部をフオークパイプ内周に摺接するとと
もに、フオークパイプ内周部にフリーバルブを嵌
ピストン部をフオークパイプ内周に摺接するとと
もに、フオークパイプ内周部にフリーバルブを嵌
装して成るフロントフオークにおいて、前記フリ
ーバルブの近傍にこれとの間に所定隙間を設けて
コイルスプリングを設けた。

（実施例） 以下に本考案の一実施例を添付図面に基づいて
説明する。

第１図は本考案に係るフロントフオークの縦断
面図、第２図は同フロントフオーク要部の拡大破
断面図、第３図は同フロントフオークの減衰力特
性線図である。

第１図に示す減衰力可変型フロントフオーク１
において、２はボトムケースであり、これの内部
にはフオークパイプ３が上方より上下摺動自在に
挿入嵌合されている。又、ボトムケース２内の底
部にはシートパイプ４が植設されており、該シー
トパイプ４の上端ピストン部４ａは図示の如くフ
オークパイプ３の内周に摺接している。そして、
このシートパイプ４の側壁の上下には複数の油孔
５…，６…がそれぞれ穿設されている。

一方、フオークパイプ３の下部内周にはフリー
バルブ７及びオイルロツクカラー８が嵌装されて
おり、又これの上端部にはフオークボルト９が螺
着されている。そして、フオークパイプ３内のフ
オークボルト９とシートパイプ４の上端面間には
図示の如くコイルスプリング１０が介装されてい
る。

ところで、前記フリーバルブ７はシートパイプ
４外周との間に隙間△Ｓを有しており、又、これ
の上方にはコイルスプリング１１が設けられ、図
示の如くフリーバルブ７が下限に位置していると
きに両者間には所定隙間△Ｃが設けられている。

而して、フロントフオーク１内には室Ａ，Ｂ，
Ｃ，Ｄが区画形成され、これら室Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ
内には作動油が封入されている。尚、第１図中、
１２はダストシール、１３はオイルシールであ
る。

次に本フロントフオーク１の作用を説明する。

圧縮行程の低速域、即ち第３図において作動速
度V_p＜V_ppの領域では、フリーバルブ７は図示の
如く下限に位置しており、フオークパイプ３がボ
トムケース２内を下動すれば室Ｂ内の油はフリー
バルブ７とシートパイプ４間の隙間△Ｓを通つて
室Ｃ内に流入し、このときの流動抵抗に基づきフ
ロントフオーク１内には第３図中、曲線C₁に沿
つて変化する減衰力D_Fが発生する。

次に作動速度V_pがV_ppを超える高速域において
は、室Ｂの油はその圧力でフリーバルブ７を押し
上げ、隙間△Ｓの他に該フリーバルブ７とオイル
ロツクカラー８間を通つて流れるため、その流動
抵抗が下がり、従つて、この流動抵抗に基づいて
発生する減衰力D_Fの増加率も下がり、減衰力D_F
は第３図中、曲線C₂に沿つて変化する。斯くて、
第３図に示す如く減衰力特性に変曲点ａが生じ、
フリーバルブ７はブローバルブとして機能する。
尚、スプリング１１を設けたために、フリーバル
ブ７の上動には該スプリング１１によつて抵抗が
与えられ、、作動速度V_pに比例して減衰力D_Fが高
くなる。

以上はフリーバルブ１１による減衰力の１段の
制御であるが、第２図に示す如くシートパイプ４
内に別のブローバルブ１４を設ければ２段の制限
が可能となる。

即ち、第２図に示す如くシートパイプ４内の下
部にアジヤスタ１５を設け、該アジヤスタ１５内
にはこれとの間の隙間を設けてボルト１６を植設
している。そしてボルト１６の外周にはブローバ
ルブ１４が上下摺動自在に嵌合され、該ブローバ
ルブ１４はスプリング１７にて常時下方に弾発付
勢され、通常は図示の如くアジヤスタ１５の上端
面に着座している。アジヤスタ１５の側壁には油
孔１５ａが穿設されている。

而して、両スプリング１１，１７のばね定数を
適当に選定すれば、フリーバルブ７、ブローバル
ブ１４を例えば第３図中、ｂ点（作動速度V_p＝
V_p1）、ｃ点（作動速度V_p＝V_p2）で作動させこと
ができ、減衰力特性を第３図中、曲線obcdの如
き２つの変曲点ｂ，ｃを有するものとすることが
できる。

（考案の効果） 以上の説明で明らかな如く本考案によれば、フ
リーバルブをブローバルブとして機能せしめたた
め、特に小型のフロントフオークに対してもブロ
ーバルブを簡易に取付けることができ、当該フロ
ントフオークの高速域での減衰力を一定以下に抑
えてこれの緩衝機能の維持及び強度上の問題の解
決を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るフロントフオークの縦断
面図、第２図は同フロントフオーク要部の拡大破
断面図、第３図は同フロントフオークの減衰力特
性図である。 尚、図面中、１は減衰力可変型フロントフオー
ク、２はボトムケース、３はフオークパイプ、４
はシートパイプ、５，６は油孔、７はフリーバル
ブ、１０，１１，１７はスプリング、１４はブロ
ーバルブ、Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄは室、△Ｃ，△Ｓは隙
間である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボトムケース内にフオークバルブを摺動自在に
   挿入嵌合し、ボトムケース内底部に植設したシー
   トパイプの上端ピストン部をフオークパイプ内周
   に摺接するとともに、フオークパイプ内周部にフ
   リーバルブを嵌装して成るフロントフオークであ
   つて、前記フリーバルブの近傍にこれとの間に所
   定隙間を設けてコイルスプリングを設けたことを
   特徴とする減衰力可変型フロントフオーク。