JPH0225329B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は一枚一枚の紙又は一巻きの長い紙に多
色印刷をする、特に紙の通貨、例えば銀行紙幣に
保安地紋を印刷する輪転印刷機に関するもので、
この印刷機は、本来、その周りを印刷される紙が
通過するようにされた１つの圧胴と、第１のゴム
胴と、分離されたインク付け装置により異種の色
のインクが付けられかつ前記ゴム胴に多色の画像
を与えるようこのゴム胴と共働する少なくとも２
個の版胴と、印刷すべき全模様を表わす活版印刷
版が取りつけられた版胴及びこの版胴に接触する
第２のゴム胴からなる２つの胴の群とを具備する
形式のものである。

〔従来技術〕

このような特徴を有する機械は、単一の印刷版
と複数個のインク付けローラによつて並列した色
を持つた画像を印刷するものとして提案されてお
り、この方法は通常「オルロフ」（Orlof）法と云
われている。

この方法においては、印刷されるべき全模様を
表わしている単一の活版印刷版を担持する１つの
胴が用いられる。この印刷版は、インクが付けら
れた１つの重ね胴とこれに続く、特定のインク付
け装置から受け取つた色を転写するようにされた
それぞれの区分されたインク付けローラとによつ
て、インク付けがされる。この方法によれば、異
なつた色の模様間の各版の印刷面が完全に合致し
ているという特性のある多色の画像が得られこれ
は他のいかなる印刷方法によつても得られないも
のである。

他方において、色と模様を重ねる印刷がまた知
られており（間接活版印刷あるいはオフセツト）
これは同様に紙幣の保安地紋印刷に頻繁に用いら
れている。この方法においては、全模様は、色と
模様とを各版の印刷面を完全に合致させて重ねる
ことができるように版胴の周面に重ねられた印刷
版によつて担持された異色の部分模様より成り立
つている。印刷版の数及びそれに必らず伴なう版
胴の数は、多色の画像を構成する異種の色と模様
の数に一致する。ここに説明した技術分野におい
ては、上記の各方法のうちの１つの方法又は他の
方法を別々に用いる機械が開発されてきた。

〔発明の概要〕

本発明の第１の目的は、上記の２つの方法によ
る作動を単一の同一機械で行うことができかつ１
つの方法を他の方法にできるだけ簡単な方法で転
換することのできる機械を提供することにある。

この目的のため、本発明の機械は、とりわけ、
２つの全く異なつた方法を行うことができるばか
りでなく、運転者がその処理をするに当つて２つ
の別々の機械を要することなくその方法を選択す
ることができるという特別の経済的利益があると
いう事実によつて特徴づけられるものである。１
つの方法から他の方法への転換は、その両方の方
法による作動が行われるように構成された１つの
機械においては、特に簡単である。

１つの方法から他の方法への移行が行われる方
法をより明瞭に理解することができるよう、添付
図面に従つて以下に説明する。

２つの図面は、機械中の構成要素の関係位置が
変つている点が相違しているだけであり、したが
つて両図ともにこれらの構成要素は同一符号によ
つて示されている。

〔好適な実施態様の説明〕

図示の機械は、一枚一枚の紙（以下シートとい
う）を供給して印刷する機械であつて、この機械
は、停止ドラム２と、渡し胴３とシートの縁に番
号をつける装置４とシートの塵を払い除けかつ磁
気を取り除く装置５とが設けられたシート供給又
はシート搬入装置１を具備している。個々のシー
トは矢印方向に回転している圧胴６に移送され、
各シートの印刷後は無端チエーン及び把持装置２
０によつて搬出堆積部へ又は他の側面への印刷を
するもう１つの機械へ移送される。

圧胴６の周りを通過する紙シートは、本発明に
よれば、「オルロフ」法（第１図）により又は間
接活版法もしくはオフセツト法（第２図）のどち
らかの方法により、特に紙シートの一側面に保安
地紋印刷をするために印刷される。ゴム胴７はこ
の目的のために設けられその両方の場合に、しか
も異なつたやり方で用いられる。

この機械が「オルロフ」法によつて作動される
ときには、圧胴６はゴム胴７から離れるよう動か
される（第１図）。現実の実施においては、この
移動は、その上に中空の圧胴６が取りつけられて
いる偏心輪６ｂによつて簡単にもたらされる。こ
の偏心輪の取りつけはそれ自体よく知られてお
り、圧力の調整及び機械の不作動時の２つの胴間
の分離を行うことができる。この組立体は偏心輪
が回転したときに胴の軸線が移動するようなもの
である。その結果、この分離のためにこの機械は
現存する機械においてすでに知られているような
手段を用いる。２つの胴が分離されている時、こ
れらの胴内の間〓は極めて小さく例えば１mmもし
くは２〜３mmであり、第１図に示すその距離は説
明上特に誇張して示されている。

第１図に示されている実例においては、ゴム胴
７は４個の区分されて配設されたインク付けロー
ラ８と共働し、これらのローラ８には適当な色に
印刷される部分の外形輪郭に従つて切り抜かれた
浮き彫り部分８ａが設けられこれが複式インク塗
布装置９によつてそれぞれ特定の色にインク付け
がなされる。これらの浮き彫り部分８ａを持つた
インク付けローラ８は、その浮き彫りが極めて細
かい場合でもゆがむことがないように硬い材料で
作られるのが好ましく、そのため最終印刷におい
て非常に細かい線よりなる保安地紋が得られる。
４つの色を担持する部分はゴム胴７に転写され、
このゴム胴７は、これらの部分を集めかつこれら
の部分を印刷版１０ａが設けられた単一の版胴１
０上に転写する重ね胴として作用する。この印刷
版１０ａは、４つの色で印刷される全模様を表わ
している活版印刷版である。この４つの異なつた
色でインク付けされた全画像は次に、ゴム胴７よ
りも小さな直径を持ちかつ全画像を紙表面に施す
ために圧胴６と共働するゴム胴１１上に転写され
る。

この機械はさらに画像移送胴１２と、ゴム胴７
の色付けされた部分の同一画像を完全に各版を合
致させて版胴１０に転写するインク付けゴム胴１
３とを具備し、このようにして要求される色で印
刷版１０ａのインク付けの厚さを増し、その結果
要求されるインクでこれらの部分をさらに補強す
ることができる。実際に、ゴム胴７の回転方向を
みれば、インクの大部分は版胴１０の印刷版１０
ａ上に直接転写され、残りのインクは移送胴１２
を介してインク付けゴム胴１３によつて完全に各
版を合致させて転写されることがわかる。

ここに記載された実例においては、「オルロフ」
法による印刷の次に湿式オフセツト印刷が行われ
るが、これは紙が圧胴６の周りを通過している１
つの通過時に行われるもので、この印刷は紙幣の
主要な単色模様を印刷するのに特によく適用でき
るものである。この湿式オフセツト機構はインク
付け装置１５とそれ自体公知の湿り装置１６とが
設けられた凹版版胴１４を用い、この凹版版胴１
４は紙面に模様を転写するゴム胴１７と共働す
る。したがつて、意図したように、完成された印
刷が銀行紙幣の一側面に、例えば４色の保安地紋
が「オルロフ」法による印刷によつて得られ、ま
た単色の主要模様は湿式オフセツト法による印刷
によつて得られる。

図示の例における一方の胴８，１０，１１，１
２，１３，１４及び１７の直径の、他方の胴６及
び７の直径に対する割合は１：３であり、したが
つて、胴６及び７の円周は３枚の紙シートに一致
し、ゴム胴７は圧胴６と共に３個のブランケツト
７ａ及び６ａをそれぞれ担持し、一方においてゴ
ム胴１１、移送胴１２及びインク付けゴム胴１３
はそれぞれ唯一つのブランケツト１１ａ，１２ａ
及び１３ａを担持する。

実施態様の変形においては、版胴１０とゴム胴
１１の位置を変えることもまた可能である。この
場合には印刷は版胴１０によつて直接に行われ、
印刷版１０ａは、ゴム胴７とインク付けゴム胴１
３とに接触しているゴム胴１１によつてインク付
けがなされる。

同一の機械を、間接活版あるいはオフセツト法
（第２図）に従つて、シート又は巻き紙に印刷す
るように用いるときには、インク付けローラ８，
８ａを印刷版８ｂが設けられた版胴８，８ｂに取
り替え、ゴム胴１１を圧胴６から離し、版胴１０
と画像移送胴１２とをゴム胴７から離し、さらに
圧胴６をゴム胴７に向けてこれらが互いに係合す
るまで動かすことだけが必要である。印刷版８ｂ
は乾式オフセツト法で用いられているのと同様な
活版の印刷版であり、これらの印刷版は前記の場
合のようにインク付け装置９によつてインク付け
された部分模様を表わしている。これらの異なつ
た色で印刷された部分模様は、この場合多色の画
像を構成するこれらの部分模様の重ね胴として作
用するゴム胴７上で集められる。このようにし
て、乾式オフセツト４色印刷が、紙シートが圧胴
６とゴム胴７との間を通過する間に得られる。こ
の多色オフセツト印刷はまた前記の凹版版胴１４
とゴム胴１７とによる単色湿式オフセツト印刷に
よつて完成させることができる。

種々の胴相互間の間隔、すなわち圧胴６とゴム
胴７との間、ゴム胴１１と圧胴６との間、胴１
０，１２とゴム胴７との間は、他のローラ及び胴
がその位置の変えられた胴に対して移動するのが
必要であるのと同様に、それ自体の公知の方法に
よつて、特に全てのローラ及び胴を、圧胴６につ
いてすでに説明したように偏心輪上に取りつける
ことによつて、調節される。これらの相互間の間
隔は非常に小さい距離である点で一致しており、
２〜３ミリメートルのオーダーである。

オフセツト印刷中においては、不作動の版胴１
０、ゴム胴１１、画像移送胴１２及びインク付け
ゴム胴１３は駆動されず、これらの駆動機構は機
械の駆動からは離された状態に保たれる。

もちろん、本発明の範囲内で説明した湿式オフ
セツト機構は不要である。しかし、この機構は紙
幣の一側面に完成された印刷が得られる点におい
て有利である。

さらに、重ね機能を有するゴム胴７にインク付
けするようにされたインク付けローラ８，８ａは
１つの胴に添付される区分された印刷版に取り替
えることができる。この場合、１つの印刷方法を
他の印刷方法に転換させるためには、胴そのもの
は変えることなく、ゴム胴７に接している胴８に
より担持されている印刷版を取り替えるだけでよ
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は「オルロフ」法による作動中の本発明
機械の構成要素の各位置を図解的に示す図、第２
図は同上機械の間接活版法あるいはオフセツト法
による作動中の各構成要素位置を示す第１図と同
様な図である。 ６……圧胴、７……ゴム胴、８……インク付け
ローラ、９……インク付け装置、１０……版胴、
１１……ゴム胴、１２……移送胴、１３……イン
ク付けゴムローラ、１４……凹版版胴、１５……
インク付け装置、１７……ゴム胴。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 特に銀行紙幣のような信用発行紙の保安地紋
   を印刷するためのシート供給又はウエブ供給の多
   色輪転印刷機であつて、圧胴６と、第１のゴム胴
   ７と、この第１のゴム胴７と共働する、異なつた
   色を有するインク付け装置９によつてそれぞれが
   インク付けされ多色画像を得るようにする複数の
   胴８と、印刷されるべき全模様を現わす印刷版１
   ０ａを担持する版胴１０とこの版胴１０と共働す
   る第２の胴１１とからなる２つの胴の群とを、具
   備してなる印刷機において、圧胴６と、版胴１０
   が活版印刷版１０ａを担持し第２の胴がゴム胴１
   １である前記群の２つの胴１０，１１とが、合わ
   せ印刷位置とオフセツト印刷位置との間に移動自
   在に取付けられ、またこの合わせ印刷位置におい
   て圧胴６が第１のゴム胴７から離間され前記群の
   ２つの胴１０，１１の一方の胴１０が第１のゴム
   胴７と接触し他方の胴１１が圧胴６と共働しそれ
   により紙を前記圧胴６に押圧するようになつてお
   り、さらに第１のゴム胴７にインク付けする胴が
   インク付けローラ８，８ａに区分されて配列さ
   れ、さらにまた、オフセツト印刷位置において圧
   胴６が第１のゴム胴７と共働しそれにより紙を前
   記第１のゴム胴に押圧するようになつており、前
   記群の２つの胴１０，１１が第１のゴム胴７と圧
   胴６とから離間され、また第１のゴム胴７にイン
   ク付けする胴が、印刷版８ｂを担持する版胴８，
   ８ｂであることを特徴とする多色輪転印刷機。