JPH0225195Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、原子力発電プラントの燃料取扱建屋
内の使用済み燃料貯蔵ピツトにおいて使用される
使用済み燃料貯蔵ラツクに関するものである。

［従来の技術］ 原子力発電プラントの定期検査の際、原子炉か
ら取り出された使用済み燃料集合体は、原子炉格
納容器に隣接する燃料取扱建屋内の使用済み燃料
貯蔵ピツトに運ばれ、その中に設けられた使用済
み燃料貯蔵ラツクのラツクセルに収納されて、放
射能が冷却するまである期間貯蔵される。

第１図及び第２図は、このような使用済み燃料
貯蔵ラツクの代表的な従来例を示す側面図及び平
面図である。

第１図及び第２図において、使用済み燃料貯蔵
ラツクは垂直に保持される多数のラツクセル１を
有する。該ラツクセル１は、格子状に交叉して横
方向に延びる支持部材２ａ及び２ｂによつて画成
された開口内に一つ置きに挿入されており、隣接
する一対の支持部材２ａがその間にあるラツクセ
ル１の平行な二側面に熔接され、隣接する他の一
対の支持部材２ｂがその間にあるラツクセル１の
他の平行な二側面に熔接されている。各支持部材
２ａ及び２ｂの端部は、使用済み燃料貯蔵ピツト
壁３の埋込板４ａに固着されたブラケツト４にね
じ止め等の適宜な方法で取着される。このような
支持部材２ａ及び２ｂの組みが上下に隔置されて
各一対設けられ、該ラツクセル１をその比較的に
上部及び下部で支持している。

各ラツクセル１は、断面正方形の中空ラツク本
体１ａ、該ラツク本体の頂部に設けられた漏斗形
の燃料ガイド１ｂ、ピット底壁に支持されるベー
スプレート１ｃ、及びラツク本体１ａの底板であ
る燃料ストツパ１ｄからなり、また、ラツク本体
１ａの下端部の４側面には、ラツク本体１ａに収
納された使用済み燃料集合体を冷却する冷却水の
入口穴１ｅが設けられ、燃料ストツパ１ｄにも冷
却水入口穴１ｆ（第２図参照）が設けられている。

この使用済み燃料貯蔵ラツクは、使用済み燃料
貯蔵ピツトに据え付けて水を張り使用されるが、
最近、使用済み燃料の効率的貯蔵を狙つてリムー
バブルラツクの要求がでてきている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかし、上述した従来の構造では、ラツクを他
のものとそつくり取り替える必要が生じた場合
に、使用済み燃料貯蔵ピツトから水を抜かなけれ
ば上下の支持部材２ａ及び２ｂとブラケツト４と
の切り離しを行うことができず、これが作業性の
点で従来の使用済み燃料貯蔵ラツクの問題になつ
ていた。

［問題点を解決するための手段］ 従つて、本考案は上述した従来技術の問題点を
速やかに解決することを目的として、使用済み燃
料貯蔵ピツト内で多数の燃料集合体を直立状態に
保持する多数のラツクセルと、横方向に延びて該
ラツクセルを受け入れる多数の開口を画成すると
共に、互いに上下に隔置された上部ラツクサポー
ト及び下部ラツクサポートとを有する使用済み燃
料貯蔵ラツクにおいて、該上部及び下部ラツクサ
ポートを貫いて縦方向に延びる適数本のラツクサ
ポート支柱を備え、使用済み燃料貯蔵ピツト壁側
の前記各ラツクサポートの周縁には、該使用済み
燃料貯蔵ピツト壁のブラケツトに着脱自在の締付
けボルトで取着される複数の取付け部が横方向に
隔置して配設されると共に、上部ラツクサポート
の取付け部と下部ラツクサポートの取付け部とは
互いに横方向にずれて配置されており、更に、上
部ラツクサポートの上面から突出する前記ラツク
サポート支柱の上端には吊上げフツクと係合可能
な部分が設けられていることを特徴とするもので
ある。

［作用］ 使用済み燃料貯蔵ラツクを取り替えたい場合、
作業員は、張水された使用済み燃料貯蔵ピツトの
操作床面に立ち、長尺のボツクススパナーのよう
な工具を使用して、上部ラツクサポートの取付け
部を使用済み燃料貯蔵ピツト壁に取着されたブラ
ケツトに固定している締付けボルトを緩め、取り
除く。次に、上部ラツクサポートの取付け部と下
部ラツクサポートの取付け部とは互いに横方向に
ずれて配設されているので、工具を上部ラツクサ
ポートの隣接する２つの取付け部間に通し下方に
進めると、工具は、下部ラツクサポートの取付け
部を使用済み燃料ピツト壁に取着されたブラケツ
トに固定している締付けボルトに達して該締付け
ボルトに係合し、工具の回転によつて該締付けボ
ルトを緩め取り除くことができる。しかる後、作
業員はピツトクレーンのデツキ上から、ラツクサ
ポート支柱の上端にある部分にピツトクレーンの
吊上げフツクを係合させ、該ピツトクレーンの操
作により使用済み燃料貯蔵ラツクを吊り上げるこ
とができる。

［実施例］ 次に、本考案の好適な実施例を添付図面を参照
して詳細に説明するが、説明中、従来例と同一又
は対応する部分については同一符号を用いること
とする。

第３図は本考案による使用済み燃料貯蔵ラツク
の一部、即ち１ユニツトの平面図であり、第５図
は該ユニツトの側面図である。第３図及び第５図
において、使用済み燃料貯蔵ピツト内で多数の燃
料集合体（図示しない）を直立状態に保持する多
数のラツクセル１は、横方向に延びて該ラツクセ
ル１を受け入れる多数の開口５ｃを画成すると共
に互いに上下に隔置された板状の上部ラツクサポ
ート５ａ及び下部ラツクサポート５ｂによつて支
持され、そこに熔接等により固定されている。各
ラツクセル１の構造自体は、前述した従来例と同
一のものでよいので、その更なる説明は省略す
る。

上部ラツクサポート５ａ及び下部ラツクサポー
ト５ｂのピツト壁３に対向する周縁には、第１０
図に最も良く示すように、所定の間隔で横方向に
隔置された複数の取付け部５a′及び５b′がピツト
壁３に向かつて延びるように設けられており、隣
接する取付け部５a′間及び５b′間は空間部になつ
ている。また、第１０図から明らかなように、前
記取付け部５a′及び５b′は、下部ラツクサポート
５ｂの各取付け部５b′が上部ラツクサポート５ａ
の取付け部５a′間の空間部に直線的に整列するよ
うに、配設されている。

かかる構造を有する上部ラツクサポート５ａ及
び下部ラツクサポート５ｂは、第４Ａ図及び第４
Ｂ図に上部ラツクサポート５ａについて代表的に
示すように、ピツト壁３に取着される。即ち、ピ
ツト壁３に設けた埋込板４ａには、各取付け部５
a′に対応する位置にブラケツト４が設けられてお
り、該ブラケツト４に各取付け部５a′が支持板４
ｂを介して締付けボルト７により着脱自在に取り
付けられている。下部ラツクサポート５ｂの固定
方法も同様である。

第５図に最も良く示すように、多数のラツクセ
ル１間の要所には、上部ラツクサポート５ａ及び
下部ラツクサポート５ｂを貫いて縦方向に延びる
適数本のラツクサポート支柱６がピツト底壁に立
設されている。該ラツクサポート支柱６は、上部
ラツクサポート５ａ及び下部ラツクサポート５ｂ
に適宜な方法で固設されると共に、上部ラツクサ
ポート５ａの上面から突出する前記ラツクサポー
ト支柱６の上端には吊上げフツク８（第８図参
照）と係合可能な部分、即ち吊り金具６ａが設け
られている。この吊り金具６ａは、図示しない燃
料集合体の取り扱い中にその横移動の障害となら
ないように、ラツクサポート支柱６の前記上端に
関して着脱自在に構成されており、通常は取り外
されている。即ち、第６Ａ図及び第６Ｂ図に示す
ように、該吊り金具６ａは、ラツクサポート支柱
６の上端にねじ結合される円筒形の下部６a′と、
該下部から上方に延びる頭部半円形の平板状上部
６a″とから構成されており、平板状上部６a″には
吊上げフツク８が係合するための開口６ｂが穿設
されている。

このような構成を有する本考案の使用済み燃料
貯蔵ラツクを取り替える必要が生じた場合には、
作業員は、使用済み燃料貯蔵ピツト内の水を抜く
ことなく、第７図に示すように張水された使用済
み燃料貯蔵ピツトの操作床面に立ち、ピツトクレ
ーンの吊りフツク８で吊り下げた長尺のボツクス
スパナーのような工具９を使用して、先ず上部ラ
ツクサポート５ａの取付け部５a′（第８図参照）
を使用済み燃料貯蔵ピツト壁３に取着されたブラ
ケツト４に固定している締付けボルト７を緩め、
支持板４ｂ及び取付け部５a′から取り除く。この
際、締付けボルト７が自重により落下しないよう
に、工具９は既知構造のボールプランジヤー１０
（第９図参照）をその先端係合部９ａに有するこ
とが好ましい。

次に、上部ラツクサポート５ａの取付け部５
a′と下部ラツクサポート５ｂの取付け部５b′とは
前述したように、且つ第１０図に示したように互
いに横方向にずれて配設されているので、作業員
からは下部ラツクサポート５ｂの取付け部５b′に
取着された締付けボルト７が見えており、工具９
の先端係合部９ａを上部ラツクサポート５ａの隣
接する２つの取付け部５a′間に通し下方に進め
て、下部ラツクサポート５ｂの取付け部５b′を使
用済み燃料ピツト壁３に取着されたブラケツト４
に固定している締付けボルト７に、工具９の先端
係合部９ａを係合させ、工具９の回転によつて該
締付けボルト７を緩め取り除くことができる。

しかる後、図示しないピツトクレーンのデツキ
上から操作して、同様に図示しないつかみ工具で
ラツクサポート支柱６の上端に吊り金具６ａを取
り付けてから（第５図参照）、複数本のラツクサ
ポート支柱６の吊り金具６ａの開口６ｂに図示し
ない吊り上げ部材を介してピツトクレーンの吊上
げフツク８を係合させ、該ピツトクレーンの作動
により使用済み燃料貯蔵ラツクを１ユニツト毎に
吊り上げて使用済み燃料貯蔵ピツト外に取り出す
ことができる。

尚、この実施例では使用済み燃料貯蔵ラツクを
１ユニツト毎に吊り上げる場合について説明した
が、勿論、使用済み燃料貯蔵ラツク全体を一度に
吊り上げることも可能である。

［考案の効果］ 以上のように、本考案による使用済み燃料貯蔵
ラツクは、上部及び下部ラツクサポートを貫いて
縦方向に延びる適数本のラツクサポート支柱を備
え、使用済み燃料貯蔵ピツト壁側の前記各ラツク
サポートの周縁には、該使用済み燃料貯蔵ピツト
壁のブラケツトに着脱自在の締付けボルトで取着
される複数の取付け部が横方向に隔置して配設さ
れると共に、上部ラツクサポートの取付け部と下
部ラツクサポートの取付け部とは互いに横方向に
ずれて配設されており、更に、上部ラツクサポー
トの上面から突出する前記ラツクサポート支柱の
上端には吊上げフツクと係合可能な部分が設けら
れているので、作業員は、使用済み燃料貯蔵ピツ
ト内の水を抜くことなく、操作床面及びピツトク
レーンのデツキ上から工具の操作で使用済み燃料
貯蔵ラツクを使用済み燃料貯蔵ピツトから取り出
すことができ、使用済み燃料貯蔵ラツク取替えの
作業時間を大幅に短縮することが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の使用済み燃料貯蔵ラツクの側面
図、第２図は第１図の平面図、第３図は本考案に
よる使用済み燃料貯蔵ラツクの１ユニツトの平面
図、第４Ａ図は第３図のＡ−Ａ線断面図、第
４Ｂ図は第４Ａ図の平面図、第５図は第３図に示
した使用済み燃料貯蔵ラツクの側面図、第６Ａ図
は、本考案に従つてラツクサポート支柱の上端に
設けられた吊り金具を示す部分断面図、第６Ｂ図
は第６Ａ図の側面図、第７図は、本考案の使用済
み燃料貯蔵ラツクにおける上部ラツクサポート締
付けボルトの操作を説明する概要図、第８図は第
７図の円で囲んだ部分の拡大断面図、第９図は
第８図の−線断面図、第１０図は、本考案の
使用済み燃料貯蔵ラツクにおける下部ラツクサポ
ート締付けボルトの操作、並びに上部及び下部ラ
ツクサポートにある各取付け部間の位置的関係を
説明する斜視図である。 １……ラツクセル、３……使用済み燃料貯蔵ピ
ツトの壁、４……ブラケツト、５ａ……上部ラツ
クサポート、５ｂ……下部ラツクサポート、５ｃ
……開口、５a′……上部ラツクサポートの取付け
部、５b′……下部ラツクサポートの取付け部、６
……ラツクサポート支柱、６ａ……ラツクサポー
ト支柱にある係合可能な部分（吊り金具）、７…
…締付けボルト、８……吊上げフツク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 使用済み燃料貯蔵ピツト内で多数の燃料集合体
   を直立状態に保持する多数のラツクセルと、横方
   向に延びて該ラツクセルを受け入れる多数の開口
   を画成すると共に、互いに上下に隔置された上部
   ラツクサポート及び下部ラツクサポートとを有す
   る使用済み燃料貯蔵ラツクにおいて、該上部及び
   下部ラツクサポートを貫いて縦方向に延びる適数
   本のラツクサポート支柱を備え、使用済み燃料貯
   蔵ピツト壁側の前記各ラツクサポートの周縁に
   は、該使用済み燃料貯蔵ピツト壁のブラケツトに
   着脱自在の締付けボルトで取着される複数の取付
   け部が横方向に隔置して配設されると共に、上部
   ラツクサポートの取付け部と下部ラツクサポート
   の取付け部とは互いに横方向にずれて配設されて
   おり、更に、上部ラツクサポートの上面から突出
   する前記ラツクサポート支柱の上端には吊上げフ
   ツクと係合可能な部分が設けられていることを特
   徴とする使用済み燃料貯蔵ラツク。