JPH0215724Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の利用分野］ 本考案は、車両用シートに係り、特にオートバ
イ、ゴルフカー等の防水シートに装飾目的のため
に、化粧ボタン等の装飾品を備えた防水シートに
関する。

［考案の背景］ 従来、座席に凹凸感を与え美観を良くするため
に装飾目的の化粧ボタン等を取り付けているが、
この取り付け方法は、シートカバーを突破つて取
り付けられていた。

しかし、オートバイ、ゴルフカーなど屋外で使
用するシートには、雨天走行を考慮して縫目部分
などに防水対策を施す必要があり、シートカバー
を突き破つて取り付けた化粧ボタン等の装飾品を
用いた場合には、ボタン等装飾品を取り付けるた
めにシートカバーを突き破つた部分から、水分が
クツシヨン内部に吸収され、クツシヨンの性能を
低下させるとともにシートの耐久性を劣化させる
ことになる。さらにシート内部に水分が溜つてい
る状態で着座した場合には、塔乗者の尻部を濡ら
してしまうおそれがあり不都合であつた。

このため、装飾品とシートの間の隙間をなるべ
く少なくしたり、第３図で示されるようにシート
Ｓの表皮３０に穴３６を開け、クツシヨン３１お
よびボトムプレート３２にそれぞれ穿設した穴の
中に可撓性の管体３９を挿通して、この管体３９
からクツシヨン３１内に水が入らないようにし
て、かつ装飾品であるボタン３３を表皮３０上に
配し、ボタン３３の下部に設けられた係止部３７
に紐３４を係合させ、この紐３４によりボトムプ
レート３２にタツカ等３５で係止して、水をこの
管体３９を通して排水したりしていた。

さらに、第４図で示すように、高周波ウエルダ
加工による場合には、電極型４１，４２の間にボ
タン等の装飾品４３および表皮４０を置き、両電
極型間に高周波電流を通電して装飾品４３と表皮
４０の接合部４４，４４を溶融させて、装飾品４
３と表皮４０を溶着させる技術が提案されてい
る。

［考案が解決しようとする問題点］ 第３図で示される従来の技術においては、管体
を設ける必要があり、ボタンと表皮が別体となつ
ており、製造工程数多く、また管体を設けている
ためにクツシヨン性において問題があつた。その
上、表皮とボタンの間を完全な防水状態にするこ
とが困難であつた。

第４図で示す技術においては、装飾品の周囲の
表皮に電極跡である円形の溝が生じて、外観上問
題があり、その上、特にオートバイ用シートにあ
つては、シート自体が小さく限られたスペースで
あるために、装飾品を大きくすると、座者にとつ
て違和感が大きく、また小さくすると装飾品とし
て不適となる。また、このような技術において
は、吊り込み感が少なく、特にオートバイ用シー
ト、ゴルフカー等にあつては、シワの発生が少な
くルーズクツシヨンとして豪華さにおいて欠け、
外観上好ましくない。

本考案は、上記不都合に鑑みなされたものであ
り、オートバイ等の防水シート、特に装飾目的の
ために化粧ボタン等の装飾品を有する防水シート
に係り、シートの耐久性を向上させ、しかも外観
を損なうことのないシートを提供することを技術
的課題とする。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、上記技術的課題を解決するために、
少なくとも表皮とクツシヨン材とボトムプレート
とを備えた車両用シートにおいて、頭部を備えた
装飾品の頭部外径より内側で且つ前記表皮と接す
る部分で、装飾品の頭部と前記表皮とを直接ウエ
ルダ加工によつて一体に接合し、表皮と装飾品を
密着させた構成とする。なお本明細書において、
ウエルダ加工とは、高周波ウエルダ、超音波ウエ
ルダ、マイクロ音波など、或は赤外線ヒータなど
の加工（いわゆる熱融着法）を含むものとする。

［作用］ 本考案は上述のように構成されているので、装
飾品と表皮との間が完全に密閉され、水分が装飾
品と表皮との隙間から浸入することがなく、シー
トの耐久性が完全に保持され、シートの劣化が防
止できる。またウエルダ加工を用いない例に比
し、部品点数および工程数において省力化ができ
る。その上、従来のウエルダ加工の例に比して、
装飾品の頭部外径より内側で装飾品と表皮を直接
接合するので、接合部が露見せず接合強度を高め
ると共に吊り込みが十分でき、ルーズクツシヨン
として豪華なシワの発生をだせ、外観上において
も良好なシートを提供できる。

［考案の実施例］ 以下、図面に基づいて本考案に係る一実施例を
説明する。

なお、当然のことであるが、以下に説明するの
は単なる実施例であつて、本考案の要旨を限定す
る趣旨ではない。

第１図および第２図は本考案におけるシートの
一実施例を示す。第１図は装飾品を配したシート
の要部部分断面図であり、第２図はシートに装飾
品を取付ける製造法を示す説明図である。

第１図において、本例におけるシートＳは表皮
材１０，クツシヨン材１１，ボトムプレート１２
を構成要素とし、ボトムプレート１２上にクツシ
ヨン材１１を載置し、さらにクツシヨン材１１を
表皮材１０で覆つている。本例においては、表皮
材１０，クツシヨン材１１，ボトムプレート１２
の各々が整合するように表皮材１０およびボトム
プレート１２に穴を設け、クツシヨン材１１を穿
孔（符号１４参照）している。そして、装飾品で
あるボタン１３を吊り込む構成にしている。表皮
材１０には欠切部１０ａが設けられ、ボタン１３
の係止部１８が入るように構成されている。な
お、表皮材１０はウエルダ加工ができ、耐水性の
ある材質、たとえば塩化ビニル等からなり、クツ
シヨン材１１はウレタン発泡等のクツシヨン性の
よいものが用いられる。またボトムプレートは公
知のものたとえば硬質の合成樹脂、鋼等が用いら
れる。本例における装飾品としてのボタン１３は
熱可塑性の樹脂、たとえば塩化ビニル樹脂等から
なり、頭部表面にエンボツシング（しぼ付け）が
なされ、その下部（ボタンの頭部と反対側）に係
止部１８を有し、この係止部１８に設けられた穴
に吊り込み用紐材１５を係合し、ボトムプレート
１２側に吊り込み、ボトムプレート１２にタツカ
ー等で係合させ、吊り込む。このとき、表皮材１
０とボタン１３をウエルダ加工により溶着させ
る。この溶着部１７（ウエルダ加工部）はボタン
１３の下部（符号１７の位置）でされている。

次に、上記例のボタンと表皮を接合して作成す
る方法について説明する。

第２図における説明例は、高周波ウエルダ加工
の例であるが、これに限定されるものではない。

上型２１と下型２０の間にボタン１３と表皮材
１０を置き、高周波等の電流を通し、ウエルダ加
工をする。

下型２０は、ボタン１３の頭部が入るように半
球の凹状部２２が形成されている。上型２１は円
筒状をしており、下型２０の半球凹状部２２よ
り、若干小さめに構成されている（第２図仮想線
参照）。即ちウエルダ加工によりボタンの頭部外
径より内側部分で表皮材１０と溶着させる。そし
て、上型２１と下型２０はウエルダ加工をしたと
き２mm位の隙間ｈがあるが、この程度以内の隙間
ｈであれば、ウエルダ加工が可能である。但し、
両電極２０，２１でスパークさせないようにする
ため、上型２１と下型２０が接触しないように構
成する。このようにして表皮とボタンを接合した
ものを用いて、前述のようにシートを構成する。

なお、上記各例においては、一枚ものの表皮材
を用いたシートの例を示したが、これらに限ら
ず、表皮、ワデイング、ワデイングカバー等を備
えた表皮材においても、本考案に係る構造を備え
たシートとして適用できることは言うまでもな
い。

［考案の効果］ 本考案は上述のように構成されているので、装
飾品と表皮との間が完全に密閉され、水分が装飾
品と表皮との隙間から浸入することがなく、シー
トの耐水性が完全に保持されシートの劣化が防止
できる。またウエルダ加工を用いない従来例に比
し、部品点数および工程数において省力化ができ
る。その上、従来のウエルダ加工の例に比して、
装飾品の頭部外径より内側で装飾品と表皮を直接
接合するので、接合部が露見せず接合強度を高め
ると共に吊り込みが十分でき、ルーズクツシヨン
として豪華なシワの発生をだせ、外観上において
も良好なシートを提供できる。

また、当然のことであるが本考案は図示の例に
限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案におけるシートの
一実施例を示し、第１図は装飾品を配したシート
の要部部分断面図、第２図はシートに装飾品を取
付ける製造法を示す説明図、第３図および第４図
は従来例を示す。 １０……表皮材、１１……クツシヨン材、１２
……ボトムプレート、１３……装飾品、１７……
ウエルダ加工部、Ｓ……シート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 少なくとも表皮とクツシヨン材とボトムプレー
   トとを備えた車両用シートにおいて、頭部を備え
   た装飾品の頭部外径より内側で且つ前記表皮と接
   する部分で、装飾品の頭部と前記表皮とを直接ウ
   エルダ加工によつて一体に接合し、表皮と装飾品
   を密着させたことを特徴とする装飾品を備えた防
   水シート。