JPH027107Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分） 本考案は運転者用部分を低く、後乗者用部分を
高くして、途中の境界あたりに段差を設けた、主
として自動二輪車の一体型二人用座席（タンデム
シート）に関するもので、運転者（ドライバー）
と後乗者（タンデムライダー）の乗心地の改善を
目的としている。

（従来の技術） 従来、この種の座席は、基板を一体に成形し、
又その上に載せるクツシヨン体も一体成形し、そ
の上に表皮をかぶせて製作されているので、走行
中に運転者用部分が運転者の尻により急激に押し
下げられると、傾斜部分の基板がつつ張り、運転
者用部分のクツシヨン体が充分下方へ撓むことが
できなくなり、乗り心地が悪くなる。そしてこの
傾向は後乗者がある場合は一層顕著に表われる。

そこで、斯る不具合を除去するものとして実開
昭55−109088号公報に運転者用と後乗者用との境
界部に両者を絶縁する切込みを設けて、両者が互
いに干渉されることのないようにしたものが開示
されている。

しかし乍ら、これは両者の境界部において表皮
をクツシヨン体の切込みに単に喰い込ませた構造
であるからその部分の表皮が皺が生じ外観が悪い
不具合がある。これは、斯るクツシヨン体の切込
み部を被覆する表皮は座席の幅方向に吊込んで張
着できるが、座席の長さ方向に吊込むことが困難
であるためである。

（目的） 本考案は基板上にクツシヨン体を載置しそのク
ツシヨン体を表皮で被包して運転者用座部と後乗
者用座部とを形成してなる二輪車用座席におい
て、その運転者用座部と後乗者用座部とを仕切る
運転者用と後乗者用との両クツシヨン部間を被包
する部分の表皮に皺が生じないようにすると共
に、座席が運転者用座部と後乗者用座部とに完全
に分割したものの如く外観を呈するようにするこ
とを目的とするものである。

（構成） 本考案に係る二輪車用座席は運転者用クツシヨ
ン部と後乗者用クツシヨン部との上部において
夫々独立状に形成し、その両クツシヨン部間に表
皮と一体に形成した吊込部を挿入し、該吊込部を
前記基板に固定して、運転者用座部と後乗者用座
部とを別体状の外観に構成してなるものである。
従つて表皮は吊込部において、座席の長さ方向に
も吊込まれるため、両クツシヨン部間において皺
が生じることなく張設されることは勿論、この吊
込みによつて運転者用座部と後乗者用座部とが別
体状に形成されるため、外観が良く商品価値の高
い二輪車用座席を提供できる。

（実施例） 第１図は本考案に係る二輪車用座席を示し、図
中Ａは運転者用座部、Ｂは後乗者用座部を夫々示
し、両座部Ａ，Ｂは別体状の外観を呈するように
形成されている。この両座部Ａ，Ｂは第２図に示
すように構成されている。即ち、一枚状の基板１
と、モールド成形した発泡体製のクツシヨン体２
と、これらの外面を被包する運転者用と、この運
転者用に対して分離する後乗者用とからなる表皮
３とから構成され、クツシヨン体２は運転者用ク
ツシヨン部２１と後乗者用クツシヨン部２２とか
らなり、このクツシヨン２１，２２は切溝２３に
よつてその上部が分離されて下部に通孔２５，２
５が開孔されている（第５図）。前記基板１は第
６図に示すように、硬質合成樹脂、金属板等の剛
性部材で一枚状に形成して、座席の組立を容易化
している。第５図、第６図において２４，２４
…，１１，１１…は通気孔を示し、第６図におい
て１２，１２は後述する吊込部３３，３３を挿通
する通孔を示す。

表皮３は運転者用表皮部３１と後乗者用表皮部
３２とからなり、両表皮部３１，３２における身
頃部３１ａ，３２ａはレザー３４、スラブ材から
なるワデイング３５、ワデイングカバー３６の三
部材を重ね、格子状に高周波で溶着して一体にす
ると共に表面に格子状のウエルダーパターンイ，
イを設けて美感の向上を図つている。なお、まち
部は一枚のレザー３４で形成され、そのまち部の
端末は前記基板１の底面に、接着などによつて固
定される。

以上の表皮３の運転者用表皮部３１と後乗者用
表皮部３２には吊込部３３，３３が接着されてい
る。この吊込部３３，３３は両表皮部３１，３２
における前記両クツシヨン部２１，２２の切溝２
３に挿入する端末に設けてある。従つて両表皮部
３１，３２を両クツシヨン部２１，２２に被せた
後、吊込部３３，３３を前記クツシヨン体３の切
溝２３底部に開孔した通孔２５，２５及び基板１
の通孔１２，１２に挿通した後、基板１の底面に
おいて係止片１３に掛止すると、両表皮部３１，
３２はクツシヨン体３の切溝２３に引き込まれて
吊込まれ、第１図に示す座席が形成される。

（効果） 本考案によれば、運転者用クツシヨン部と後乗
者用クツシヨン部との間において、表皮は吊込部
によつて吊込まれるため、両クツシヨン部間にお
いて表皮が弛み皺が生じることがない。しかも吊
込部による吊込によつて、運転者用と後乗者用の
表皮が分離し、運転者用座部と後乗者用座部とが
夫々独立状の外観を呈するため、美感が前記従来
品に比べ向上し商品価値が増大する。

【図面の簡単な説明】

第１図は斜視図、第２図は一部を切欠して示す
側面図、第３図は表皮の部分断面図、第４図は同
斜視図、第５図はクツシヨン体の斜視図、第６図
は基板の斜視図である。 図中１は基板、２はクツシヨン体、３は表皮、
３３，３３は吊込部を夫々示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 基板上にクツシヨン体を載置しそのクツシヨン
   体を表皮で被包して運転者用座席と後乗者用座部
   とを形成してなる二輪車用座席において、前記表
   皮は前記クツシヨン体を被包する運転者用表皮部
   と、この運転者用表皮部に対して分離する後乗者
   用表皮部とから構成し、前記クツシヨン体は運転
   者用クツシヨン部と、この運転者用クツシヨン部
   と一体成形した後乗者用クツシヨン部とからな
   り、この両クツシヨン部の境界部に切溝を設ける
   と共に、該切溝の底部に通孔を開孔し、前記切溝
   内から通孔に表皮と一体に形成した吊込部を挿入
   し、該吊込部を前記基板に固定して、運転者用座
   席部と後乗者用座部とを別体状の外観に構成して
   なることを特徴とする二輪車用座席。