JPH0213583Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、人体局部を洗浄する機能を有する便
器において、局部洗浄用のノズル管を常に清潔に
するための改良に関する。

【従来の技術】

従来、人体局部を洗浄する機能を有する便器と
しては、特開昭56−93936号公報に記載のものが
ある。この便器は、便器本体に取付けられたノズ
ルシリンダーと、ノズルシリンダー内に進退自在
に内嵌したノズル管とを備え、洗浄水の供給に伴
ない所定洗浄位置まで前進したノズル管の吐出口
から人体局部へ向つて洗浄水を吐出するものであ
る。人体局部洗浄の終了により洗浄水の供給が停
止すると、ノズル管は、ノズルシリンダーとノズ
ル管との間に備えたリターンスプリングによりノ
ズルシリンダー内に後退し、ノズル管内の残留水
を、ノズル管の下面に穿設した排出孔から便器内
に排出する。

【考案が解決しようとする課題】

ノズル管は、洗浄水を噴出するものであので常
に清潔に保つ必要があるが、便鉢内に伸出するた
め、排泄物が付着したり、飛散した便鉢内の汚水
が付着することがある。ところが、前記従来の便
器は、ノズル管を洗浄する機能がないため、ノズ
ル管を清潔に保つことができない問題点がある。 なお、ノズル管を洗浄する従来構造としては、
ノズルシリンダー内の残留水を、ノズルシリンダ
ーの先端開口部とノズル管の外周面との間隙から
ノズル管外周面に向つて吐出するものがあるが、
ノズルシリンダー内の残留水が少量であるため、
充分な洗浄効果を得ることができない。 本考案は、上記問題点を解決するために、ノズ
ル管洗浄に充分な洗浄水をノズル管外周面に向つ
て吐出することができる局部洗浄機能を有する便
器の提供を目的とする。

【課題を解決するための手段】

本考案の要旨は、ノズル管の吐出孔から人体局
部洗浄用の洗浄水を噴出する機能を有する便器に
おいて、ノズル管は、後端閉塞で且つ先端開口の
ノズルシリンダーの内部に進退自在に内嵌される
と共に、ノズルシリンダー内に供給された洗浄水
の水圧により、ノズルシリンダーとノズル管との
間に配置したリターンスプリングに抗して局部洗
浄位置まで前進して吐出孔から洗浄水を吐出する
ものであり、ノズルシリンダーは、ノズルシリン
ダー先端開口部とノズル管外周面との間にノズル
管洗浄水吐出用の間隙を形成し、ノズル管後退の
際にノズルシリンダー内の洗浄水を該間隙からノ
ズル管外周面に向つて吐出するものであり、ノズ
ルシリンダーに洗浄水を供給するノズル用給水路
には、弁室に摺動自在に挿入され、上流路と下流
路との間に形成された弁座に着座する主弁と、主
弁に設けられた起動弁と、弁室と上流路との間に
形成され復帰水導入路とを備えたフラツシユ弁が
配置され、便器本体の外側部には、該起動弁を起
動操作する起動操作具を配置したことである。

【作用】

フラツシユ弁は、起動操作具の起動操作に伴な
い起動弁を起動すると、主弁を着座位置から弁室
に向つて離反させ、非着座状態の弁座を介して上
流路から下流路へ洗浄水を放出し、ノズルシリン
ダーに洗浄水を供給する。ノズル管は、洗浄水の
供給に伴ないノズルシリンダー内から局部洗浄位
置まで前進した後、吐出孔から人体局部に向つて
洗浄水を噴出する。 フラツシユ弁は、起動操作具の停止操作に伴な
い起動弁が着座すると、上流路から復帰水導入路
を介して弁室に復帰水を徐々に供給し、主弁を弁
座に向つて徐々に移動させる。下流路の洗浄水
は、主弁が弁座に接近するのに伴ない弁座が絞ら
れると、その圧力が低下する。ノズル管は、洗浄
水の圧力低下に伴ない、リターンスプリングの反
発弾性力を受けてノズルシリンダー内に後退す
る。ノズルシリンダーは、起動弁着座から主弁着
座までの間、洗浄水の供給を受け、ノズル管洗浄
水吐出用の間隙から後退中のノズル管の外周面に
向つて洗浄水を吐出する。

【実施例】

以下、本考案に係る局部洗浄機能を有する便器
（以下、「本案便器」という）を第１図乃至第４図
に示す実施例に基づいて説明する。 第１図は本案便器の概要を示すものである。止
水栓１は、二次側において、ロータンク４のボー
ルタツプ５へ便器洗浄水を供給する便器本体用給
水路３と、ノズル装置３１に局部洗浄水を供給す
るノズル用給水路７とに分岐８されている。分岐
８する位置は、止水栓の二次側に限定するもので
はないが、便器本体用給水路３及びノズル用給水
路７のメンテナンス等を考慮すると止水栓１の二
次側にて分岐することが好ましい。 ノズル装置３１は、第４図に示す如く、後端閉
塞で且つ先端開口部９ａを形成したノズルシリン
ダー９と、先端寄りに吐出孔２９を穿設すると共
に後端にピストン３２を備え且つノズルシリンダ
ー９内に進退自在に内嵌されたノズル管６と、ノ
ズルシリンダー９とノズル管６との間に配置した
ノズル管後退用のリターンスプリング３０とを備
えている。ノズルシリンダー９の後端閉塞部９ｂ
には、ノズルシリンダー９内にピストン操作水を
給排するためのピストン操作水導入孔３４を開設
してある。ピストン３２の側面には、ノズル管６
内と連通する連通孔２８を開設してある。ノズル
シリンダー９の周壁部９ｃには、ノズル管６が所
定洗浄位置まで前進してノズル管６の段部２５が
ノズルシリンダー９の係止部２４に係止ときに、
連通孔２８と連通状態となる洗浄水導入孔２７を
開設してある。ノズルシリンダー９の先端開口部
９ａとノズル管外周面６ａとの間には、ノズル管
洗浄水吐出用の間隙３３を形成してある。この間
隙３３は、ノズル管６が所定洗浄位置からノズル
シリンダー９内に後退するのに伴ない連通孔２８
と洗浄水導入孔２８とが非連通状態となつたと
き、洗浄水導入孔２８からノズルシリンダー９内
に供給された洗浄水を、後退中のノズル管６の外
周面６ａに向つて吐出する。ノズル装置３１は、
便器本体２にノズルシリンダー９を固定するのが
一般的であるが、便器本体２に取付けた便座（図
示は省略）にノズルシリンダー９を固定すること
もある。 前記ノズル用給水路７は、第１図に示す如く、
上流路７ａと下流路７ｂとの間にフラツシユ弁１
０を配置してある。フラツシユ弁１０は、第２図
及び第３図に示す如く、弁室２０に摺動自在に挿
入され、上流路７ａと下流路７ｂとの間に形成さ
れた弁座１８に着座する主弁１５と、主弁１５を
着座方向に付勢するスプリング１７と、主弁１５
に設けられた起動弁１６と、弁室２０と上流路７
ａとの間に形成された復帰水導入路３５と、起動
弁１６の弁軸１６ａを起動方向に押圧するように
外部から下流路７ｂに上下摺動自在に挿入された
押棒１９（第２図参照）と、押棒１９を起動方向
と逆方向へ付勢する復帰バネ３７とを備えてい
る。 前記ノズル用給水路７の下流路７ｂは、第４図
に示す如く、ピストン操作水路７ｃと洗浄水路７
ｄとに分岐され、ピストン操作水路７ｃをノズル
シリンダー９のピストン操作水導入孔３４に接続
すると共に、洗浄水路７ｄをノズルシリンダー９
の洗浄水導入孔２７に接続してある。 便器本体２の外側部には、第１図及び第２図に
示す如く、フラツシユ弁１０の押棒１９を押圧し
て起動弁１６を起動させるための起動操作具３６
を配置してある。起動操作具３６は、支軸部１２
を支点とする挺子１３と、挺子１３の一端に設け
られた足踏みペタル１１と、挺子１３の他端に連
結され且つ上端１４ａがフラツシユ弁１０の押棒
１９の下端１９ａに当接する連結棒１４とを備え
ている。起動操作具３６は、足踏みペタル１１を
踏むことにより、支軸部１２を支点として挺子１
３が回動して、連結棒１４を上方に軸動させ、フ
ラツシユ弁１０の押棒１９を起動方向へ押圧す
る。なお、連結棒１４、押棒１９、起動弁１６及
び主弁１５は、一軸上に配列してある。 次に、本案便器の動作を説明する。 起動操作具３６は、足踏みペタル１１が踏まれ
ると、支軸部１２を支点として挺子１３が回動し
て、連結棒１４を上方に軸動させ、フラツシユ弁
１０の押棒１９を起動方向へ押圧して起動弁１６
を起動する。フラツシユ弁１０は、起動弁１６が
起動すると、ノズル用給水路７の上流路７ａの水
圧で主弁１５を着座位置から弁室２０内に向つて
離反させ、非着座状態の弁座１８を介して上流路
７ａから下流路７ｂへ洗浄水を放出する。下流路
７ｂに放出された洗浄水は、ピストン操作水路７
ｃ（第４図参照）及びピストン操作水導入孔３４
を介してノズルシリンダー９内に導入され、ノズ
ル管９をリターンスプリング３０に抗して所定洗
浄位置まで前進させる。ノズル管９が所定洗浄位
置に達すると、上記下流路７ｂに放出された洗浄
水は、洗浄水路７ｄ、洗浄水導入孔２７及び連通
孔２８を介してノズル管６内に導入され、吐出孔
２９から人体局部に向つて噴出する。起動操作具
３６の足踏みペタル１１の踏み込みをやめると、
フラツシユ弁１０は、復帰バネ３７（第２図参
照）の反発弾性力により押棒１９を自動復帰し
て、起動弁１６を非起動状態とする。フラツシユ
弁１０は、弁室２０内のスプリング１７の反発弾
性力により起動弁１６が着座すると、上流路７ａ
から復帰水導入路３５を介して弁室２０に復帰水
を徐々に供給し、主弁１５を弁座１８に向つて
徐々に移動させる。上流路７ａから下流路７ｂに
放流される洗浄水は、主弁１５が弁座１８に接近
するのに伴ない弁座１８が絞られると、その圧力
が低下する。ノズル管６は、洗浄水の圧力低下に
伴ない、リターンスプリング３０の反発弾性力を
受けてノズルシリンダー９内に後退する。ノズル
装置３１は、起動弁着座から主弁着座までの間、
下流路７ｂに放出された洗浄水が、洗浄水路７ｄ
及び洗浄水導入孔２７を介してノズルシリンダー
９内に供給され、ノズル管洗浄水吐出用の間隙３
３から後退中のノズル管６の外周面６ａに向つて
洗浄に充分な水量の洗浄水を吐出する。吐出した
洗浄水は、ノズル管６の外周面６ａを洗浄する。

【考案の効果】

以上詳述の如く、本案便器は、ノズル管洗浄に
充分な洗浄水をノズル管外周面に向つて吐出する
ことができるため、ノズル管を常に清潔に保つこ
とができる実用的効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面はいずれも本案便器の実施例を示すもので
あつて、第１図は全体概要図、第２図はフラツシ
ユ弁及び起動操作具を示す中間省略した部分断面
図、第３図はフラツシユ弁の要部を示すものであ
つて主弁が着座する直前の状態を示す断面図、第
４図はノズル装置を示すものであつてノズル管が
所定洗浄位置まで前進した状態を示す断面図であ
る。 ２……便器本体、６……ノズル管、６ａ……外
周面、７……ノズル用給水路、７ａ……上流路、
７ｂ……下流路、９……ノズルシリンダ、１０…
…フラツシユ弁、１５……主弁、１６……起動
弁、１８……便座、２０……弁室、２９……噴出
孔、３０……リターンスプリング、３３……ノズ
ル管洗浄水吐出用の間隙、３５……復帰水導入
路、３６……起動操作具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ノズル管の吐出孔から人体局部洗浄用の洗浄水
   を噴出する機能を有する便器において、ノズル管
   は、後端閉塞で且つ先端開口のノズルシリンダー
   の内部に進退自在に内嵌されると共に、ノズルシ
   リンダー内に供給された洗浄水の水圧により、ノ
   ズルシリンダーとノズル管との間に配置したリタ
   ーンスプリングに抗して局部洗浄位置まで前進し
   て吐出孔から洗浄水を吐出するものであり、ノズ
   ルシリンダーは、ノズルシリンダー先端開口部と
   ノズル管外周面との間にノズル管洗浄水吐出用の
   間隙を形成し、ノズル管後退の際にノズルシリン
   ダー内の洗浄水を該間隙からノズル管外周面に向
   つて吐出するものであり、ノズルシリンダーに洗
   浄水を供給するノズル用給水路には、弁室に摺動
   自在に挿入され、上流路と下流路との間に形成さ
   れた弁座に着座する主弁と、主弁に設けられた起
   動弁と、弁室と上流路との間に形成され復帰水導
   入路とを備えたフラツシユ弁が配置され、便器本
   体の外側部には、該起動弁を起動操作する起動操
   作具を配置したことを特徴とする局部洗浄機能を
   有する便器。