JP2567694Y2 - フラッシュバルブ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、便器洗浄水の配管途中
に配されて便器洗浄を開始させるフラッシュバルブに関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】通常、フラッシュバルブ１は、図２に示
すように、フラッシュバルブ本体２内を流入室３と放流
室４とに区画分離し、その隔壁に流出孔５を穿設してい
る。流出孔５の流入室３側開口縁部には、弁座６が形成
されている。前記流出孔５を開閉する弁体７は、流入室
３側に形成した主圧力室８内へ嵌合装着されており、上
下方向へ摺動自在である。また弁体７の下面側には、前
記流出孔５内において弁体７の上下方向の移動を案内す
るピストンガイド９が突設されている。

【０００３】弁体７は、その内部に主圧力室８と放流室
４とを連通する起動用弁口１０が開口設置されると共
に、流入室３と主圧力室８とを連通する絞り流路１１が
形成されている。前記起動用弁口１０には、スプリング
１２により付勢された起動用弁１３が装着されている。
起動用弁１３の下面側には、伸縮自在な弁軸１４が突設
されている。

【０００４】ー方、放流室４の内壁面には、前記起動用
弁軸１４の軸心線と直交する方向に、押棒１５とレバー
ハンドル１６とがスプリング１７によって図２の右方向
へ付勢されて配設されている。押棒１５の先端は、起動
用弁軸１４の下端寄り側方に待機している。なお、図２
において、１８は止水栓である。

【０００５】このように構成された従来のフラッシュバ
ルブ１にあって、レバーハンドル１６を操作すると、そ
の先端面によって押棒１５が前進し、起動用弁軸１４が
傾斜して弁口１０を開口させるようになる。そのため、
主圧力室８が大気圧である放流室４へ連通して圧力低下
を来たし、弁体７は給水圧により瞬時に押し上げられ、
流出孔５を開状態にする。これにより、給水一次側から
流入室３及び流出孔５を経て放流室４へ便器洗浄用の洗
浄水が流れ、便器洗浄が開始される。弁体７が押し上げ
られた状態にあって、弁軸１４の下端側は押棒１５の上
端面側に乗るようになり、起動用弁１３はその弁口１０
を閉塞する。然る後に、レバーハンドル１６を放すと、
押棒１５はスプリング１７の付勢力によって図２の右方
向へ後退復帰する。

【０００６】便器洗浄が行われている間中、弁体７にあ
っては、絞り流路１１から主圧力室８へ給水一次側の水
が徐々に流入し、弁体７を次第に下降動作させるように
なり、弁体７はやがてその下端面側が弁座６へ着座して
流出孔５を閉塞し、便器洗浄を終了するようになる。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】ところが、前記従来の
フラッシュバルブ１にあっては、レバーハンドル１６の
操作を中途半端に行うと、起動弁軸１４が十分に押し上
げられない状態で押棒１５が後退復帰し、主圧力室８内
の水が放流室４へ十分に流れなくなる。そのため、弁体
７の上昇が通常よりも少なくなり、流出孔５を開口して
いる時間が短くなって、結果として便器へ供給される洗
浄水量が不足するという問題があった。すなわち、便器
内へ汚物が残ったままになったり、便鉢内へ汚物が付着
したままになるという欠点があった。

【０００８】このようなレバーハンドル１６の中途半端
な操作は、他人が操作したレバーハンドル１６を触るの
は気持ち悪いという使用者の心理的なものが影響し、極
めて頻繁に発生するものであった。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本考案は従来の前記課題
に鑑みてこれを改良除去したものであって、レバーハン
ドルの中途半端な操作でも確実な便器洗浄が行えるフラ
ッシュバルブを提供せんとするものである。

【００１０】而して、前記課題を解決するために本考案
が採用した手段は、フラッシュバルブ本体にレバーハン
ドルの装着室を設け、該装着室にレバーハンドルとバル
ブスピンドルと押棒とを一軸状に装着したスピンドルケ
ースを配置し、スピンドルケース内の押棒の配置されて
いる圧力室に水抜き孔を設けると共に、バルブスピンド
ルの先端に圧力室とバルブスピンドル室とを開閉する弁
を設け、バルブスピンドル室に給水一次側へ連通する通
路を設けたことを特徴とするフラッシュバルブである。

【００１１】

【作用】本考案のフラッシュバルブにあっては、レバー
ハンドルをわずかでも操作すると、これに衝合するバル
ブスピンドルが前進移動し、その先端側に取り付けられ
た弁が圧力室とバルブスピンドル室との連通を開状態に
する。そのため、給水一次側の洗浄水がバルブスピンド
ル室から圧力室へ流入し、押棒へ作用してこれを前進移
動させ、起動弁の弁軸を傾斜させて押し上げるようにな
る。しかも、レバーハンドルから操作直後に手を放した
としても、前記圧力室へ流入した水は水抜き孔から徐々
に流出するようになっており、押棒は所定時間をかけて
元の状態へ復帰するので起動弁の弁軸の操作を確実に行
うことが可能である。

【００１２】つまり、本考案にあっては、レバーハンド
ルの操作が不十分であっても、給水ー次圧を利用して起
動弁を確実に作動させ、フラッシュバルブ弁体を正規の
状態へ上昇させて便器洗浄を開始させることが可能であ
る。またレバーハンドルを長い時間操作した場合は、該
レバーハンドルとバルブスピンドルと押棒とがそれぞれ
当接して機械的な動作が得られる。

【００１３】

【実施例】以下に、本考案の構成を図面に示す実施例に
基づいて説明すると次の通りである。なお、従来の場合
と同一符号は同一部材である。図１は本考案の一実施例
に係るフラッシュバルブ１９の縦断面図である。この実
施例にあっては、フラッシュバルブ本体２の放流室４側
におけるレバーハンドル１６を設置する部位に、レバー
ハンドル１６の装着室２０を設けている。そして、この
装着室２０に、スピンドルケース２１を配設している。
スピンドルケース２１は、圧力室２２とバルブスピンド
ル室２３とレバーハンドル室２４とを有している。

【００１４】圧力室２２内には押棒１５がその先端を弁
軸１４へ向けて進退自在に嵌合装着されており、また圧
力室２２の周壁には水抜き孔２５が穿設されている。押
棒１５は、圧力室２２内においてピストンロッドと同じ
働きをしており、通常は復帰スプリング２６によって、
図１の右方向へ付勢されている。押棒１５のピストンロ
ッド頭部に相当する部位の前後面にはオリフィス２７が
穿設されており、また周側面にはシールパッキン２８が
装着されている。

【００１５】バルブスピンドル室２３は、弁体７をバイ
パスする通路２９を介して給水一次側へ連通接続されて
おり、バルブスピンドル３０が摺動自在に装着されてい
る。バルブスピンドル３０の先端側は、前記圧力室２２
へ進入して位置し、この圧力室２２に介在する部分に両
室２２及び２３間を区画するバルブシート３１に対して
離座及び着座し得る開閉弁３２が取り付けられている。
またバルブスピンドル３０の中間部周側面には、シール
パッキン３３が装着されており、後端側にはスピンドル
ケース２１との間に復帰スプリング３４が弾着されてお
り、図１の右方向へ付勢されている。なお、その他の弁
体７及び起動弁１３等の構成は、図２に示す従来の場合
と同じであり、ここでの説明は省略する。

【００１６】次に上述の如く構成された本実施例のフラ
ッシュバルブ１９の動作態様を説明する。先ず、使用者
がレバーハンドル１６をチョンと触る等の不確実な操作
を行った場合を仮定する。このようなレバーハンドル１
６の操作により、瞬間的に該レバーハンドル１６に衝合
するバルブスピンドル３０が図１の左方向へ押し出さ
れ、その先端側に取り付けられた開閉弁３２がバルブシ
ート３１を開状態にする。そのため、給水一次側の洗浄
水が、バイパス通路２９及びバルブスピンドル室２３を
経て圧力室２８へ流入し、瞬間的に押棒１５を同図の左
方向へ前進移動させるようになる。

【００１７】この押棒１５の前進移動により弁軸１４が
押されて傾斜し、起動弁１３の弁口１０を開状態にす
る。そのため、フラッシュバルブ本体２の圧力室８と放
流室４とが連通し、圧力室８の水が放流室４へ流出する
ので、弁体７は上昇移動し、流出孔５を開状態にする。
つまり、フラッシュが開始され、便器洗浄が行われる。

【００１８】そして、レバーハンドル１６を操作開始し
た後、直ぐに放した場合には、復帰スプリング３４の付
勢力によりバルブスピンドル３０とレバーハンドル１６
とは、図１の右方向へ後退移動し、元の状態へ復帰す
る。然しながら、押棒１５は給水一次圧によって付勢さ
れており、直ぐには復帰せずに、圧力室２２内へ流入し
た水がオリフィス２７及び水抜き孔２５を通じて流出す
るに連れて徐々に後退復帰する。

【００１９】すなわち、押棒１５に作用するスプリング
２６の付勢力によって、押棒１５の頭部よりも右側の圧
力室２２内の水が圧縮され、オリフィス２７を通って左
側へ移動し、更にスピンドルケース２１に設けた水抜き
孔２５を通って放流室４へ流出するようになる。押棒１
５は、圧力室２２内の水がオリフィス２７を通って左側
へ移動した流量に応じて後退復帰することになる。

【００２０】そのため、前記押棒１５は、使用者がチョ
ンと触るようなレバーハンドル１６の不確実な操作の場
合であっても給水一次圧によって弁軸１４を所定時間だ
け押圧付勢しておくことができ、確実な便器洗浄を行う
ことが可能である。つまり、本実施例にあっては、レバ
ーハンドル１６の操作が不十分であっても、給水一次圧
を利用して押棒１５を所定時間確実に押圧付勢して起動
弁１３を確実に動作させ、フラッシュバルブ本体の圧力
室８の水を全部排出してフラッシュバルブ弁体７を正規
の状態へ上昇させることができ、適正な吐出量の便器洗
浄を行うことが可能である。

【００２１】これに対してレバーハンドル１６を確実に
操作した場合は、該レバーハンドル１６と、バルブスピ
ンドル３０と、押棒１５とがそれぞれ機械的に当接して
連続して前進移動し、弁軸１４を押圧付勢することがで
きる。この場合は、必要以上にレバーハンドル１６の操
作を継続したとしても、弁体７は弁軸１４の下端側が押
棒１５の上へ乗った状態で弁座６へ着座し、流出孔５を
閉塞するので、予め設定されたフラッシュ時間の間しか
便器側へは洗浄水は供給されず、無駄な洗浄水が吐出さ
れるということはない。

【００２２】ところで、本考案は上述した実施例に限定
されるものではなく、適宜の変更が可能である。例え
ば、スピンドルケース２１の圧力室２２に設けた水抜き
孔２５の位置は、押棒１５の操作開始前の位置における
押棒１５の頭部よりも右側の位置に設けてもよく、この
場合は押棒１５に設けたオリフィス２７は省略すること
ができる。

【００２３】

【考案の効果】以上説明したように本考案にあっては、
レバーハンドルをわずかでも操作すると、これに衝合す
るバルブスピンドルが前進移動し、その先端側に取り付
けられた弁が圧力室とバルブスピンドル室との連通を開
状態し、給水一次圧を圧力室へ作用させて該圧力室の押
棒を前進移動させ、起動弁の弁軸を傾斜させてフラッシ
ュを開始させる。そして、レバーハンドルから操作直後
に手を放したとしても、前記圧力室へ流入した水はオリ
フィスから徐々に流出するようになっており、押棒は所
定時間をかけて元の状態へ復帰するので起動弁の弁軸の
操作を確実に行うことが可能である。つまり、適正な洗
浄水量を確保することが可能である。

【００２４】また本考案のフラッシュバルブにあって
は、レバーハンドルを長い間操作した場合は、該レバー
ハンドルとバルブスピンドルと押棒とがそれぞれ機械的
に当接係合し、この機械的な係合により起動弁の弁軸を
傾斜させてフラッシュを開始させることができる。その
ため、本考案のフラッシュバルブは、機械的操作と給水
一次圧を利用した操作との二態様を併せ持つものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るフラッシュバルブの全体を示す縦
断面図である。

【図２】従来のフラッシュバルブの全体を示す縦断面図
である。

【符号の説明】

２…フラッシュバルブ本体 ３…流入室 ４…放流室 ５…流出孔 ６…弁座 ７…弁体 ８…圧力室 １０…起動弁口 １１…絞り流路 １３…起動弁 １４…起動弁の弁軸 １５…押棒 １６…レバーハンドル １９…フラッシュ
バルブ ２０…装着室 ２１…スピンドル
ケース ２２…圧力室 ２３…バルブスピ
ンドル室 ２４…レバーハンドル室 ２５…水抜き孔 ２７…オリフィス ２９…バイパス通
路 ３０…バルブスピドル

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 フラッシュバルブ本体にレバーハンドル
   の装着室を設け、該装着室にレバーハンドルとバルブス
   ピンドルと押棒とを一軸状に装着したスピンドルケース
   を配置し、スピンドルケース内の押棒の配置されている
   圧力室に水抜き孔を設けると共に、バルブスピンドルの
   先端に圧力室とバルブスピンドル室とを開閉する弁を設
   け、バルブスピンドル室に給水一次側へ連通する通路を
   設けたことを特徴とするフラッシュバルブ。