JPH0156953B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は制動時の沈み込み防止装置を備えた自
動二輪車のフロントフオークの改良に関し、特
に、沈み込み防止装置の油路を開閉する弁機構
を、上方を開放し且つ側壁に油孔を形成した円筒
状の弁体と該弁体の外周に摺動自在に嵌合したフ
ランジ付円筒体で構成し、この弁体を制動操作と
連動するワイヤで上下作動するようにしたフロン
トフオークに関する。

シートパイプを植設したボトムケース内にフオ
ークパイプを摺動自在に嵌合してなるテレスコピ
ツク式のフロントフオークは走行中に制動をかけ
ると重心の移動並びに慣性力で圧縮力が作用し、
特に、急制動の場合はフロントフオークが大きく
沈み込むためきわめ危険である。しかも沈み込ん
だ状態で路面からの衝撃をうけるとハンドルに直
接伝達され、操縦安定性及び乗心地が著しく損わ
れるという問題がある。

本発明はこの問題を解消することを目的として
なされたもので特に制動時のハンドルの沈み込み
を抑制し、しかも制動時の路面からの衝撃を効果
的に緩和することができるとともに、弁体の初期
位置を調整することにより抑制の作動開始時期を
調整することができるフロントフオークを提供す
るものである。

以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図のように、フロントフオークは上端を二
輪車のハンドルに結合するフオークパイプ１の下
部をボトムケース２の底部から植立させシートパ
イプ３の上部をフオークパイプ１の内周壁に摺接
させ、シートパイプ３の上方にばね４を張架して
ある。ボトムケース２は内部に油を充填してあ
り、下部の取付孔５を介して二輪車の前輪軸に結
合するようになつている。

ボトムケース２とシートパイプ３の拡径先端部
との間を摺動するフオークパイプ１の先端にはボ
トムケース２内を上方油室Ａと下方油室Ｂに区画
するピストン６が設けられ該ピストン６はフロン
トフオークの圧縮時に開き、伸長時に閉じる逆止
弁７を有している。シートパイプ３の上部にはオ
リフイス８を形成し、下部に油孔９を形成すると
ともに、油孔９を形成したシートパイプ３の下部
外周には油孔１０を貫設したオイルロツクピース
１１を嵌め、かくして、シートパイプ３の内部油
室ｃは上部のオリフイス８を介してピストン上方
油室Ａを連通し、且つ下部の油孔９及びオイルロ
ツクピース１１の外部油溜室Ｄに連通している。
また、オイルロツクピース１１の上端には皿ばね
１２で押圧された環状の逆止弁１３を設けてあ
る。

以上は本発明を実施するテレスコピツク式フロ
ントフオーク本体の例であり、このように構成し
てなるフロントフオークのボトムケース２の下部
に、制動時の沈み込みを防止し且つ沈み込み防止
状態での衝撃を緩和するためのバルブケース１４
を結合してある。

バルブケース１４は内部に筒形の油路１５を形
成してその上部を油路１５ａを介してボトムケー
スの油室Ｂに連通させるとともに、その下部を、
シートパイプ３の油室Ｃに通ずる油路１５ｂを介
して油溜室Ｄに連通させてある。

バルブケース１４の油路１５内にはプランジヤ
ー１６に支持された円筒状の弁体１７を嵌装する
とともに該弁体１７の外周にセツトスプリング１
８に支持されたフランジ付き円筒体１９を摺動自
在に嵌合してある。バルブケース１４の軸芯方向
に摺動自在に嵌装されたプランジヤー１６はその
上端を制動操作と連動して索引されるワイヤー２
０に玉継手２１を介して連結し、該ワイヤーのア
ウタースリーブを調整ねじ部材３１により支持し
て調整可能とし、その下端部をバルブケース１４
の底蓋２２に形成した案内溝２３に挿入するとと
もに、プランジヤー１６の軸に設けた前記ばね受
２４ａとバルブケース上蓋２５に螺合したばね受
２６の間にリターンばね２７を張架して復帰自在
に配置してある。また、弁体１７は上方を開放
し、側壁１７ａに油孔１７ｂ、底壁１７ｃに流路
１７ｄ（第２図参照）を形成した円筒体からなり、
底壁１７ｃの中心に形成した嵌合孔をプランジヤ
ー１６の軸に嵌め、られている。尚２４ｂはプラ
ンジヤー１６に固定された前記ばね２８の一端の
ばね受である。底壁１７ｃの上面を前記プランジ
ヤー１６のばね受２４ａに係止させるとともに、
プランジヤー１６の軸下部外周に張架したばね２
８が弁体１７の底壁下面とプランジヤー１６の下
側ばね受２４ｂとの間に圧接して支持されてい
る。かくして、弁体１７は下方のばね２８に抗し
て下方へ摺動自在に嵌装されているとともにプラ
ンジヤー１６が上方に引かれると下方のばね２８
の反溌作用で上方に押し上げられ、弁体１７の上
端をバルブケース１４の上蓋２５下面に形成した
バルブシート面２９に圧接するようにしてある。
尚、好ましくはバルブシート面２９にはゴム等の
弾性材料を取り付け、制動時に弁体１７の上端が
バルブシート面に密閉状に係止するようにする。
またバルブケース上蓋２５の上部にはワイヤーケ
ース３０が接合し、該ワイヤーケース３０に中心
にワイヤ２０を貫設して該ワイヤーのアウタース
リーブを支持する調整ねじ部材３１の螺合位置を
変えることにより弁体１７とバルブシート面２９
との距離が変化しそのためフロントフオークの沈
み込み抑制の作動開始時期を調整することができ
る。

例えば制動レバー（図示なし）のストロークが
10mmで弁体１７とバルブシート面との距離が４mm
であるとするとレバーが４mm変位したところでフ
ロントフオークの沈み込み抑制が作動することに
なり、レバーのストローク残り６mmはばね２８の
圧縮によつて吸収する。

弁体１７の外周に嵌合した円筒体１９はフラン
ジ部１９ａの下方に設けたセツトスプリング１８
により油孔１５の縮径段部３２に圧接係止されて
いる。この円筒体１９は制動時に弁体１７が上方
に変位してバルブシート面２９に当接した位置で
弁体の油孔１７ｂを閉鎖し、この状態で油室Ｂの
油圧が上昇するとセツトスプリング１８に図のよ
うに抗して下動し弁体１７の油孔１７ｂを開くこ
とができるものである。

本発明は以上の構成になるので通常走行中は図
のようにプランジヤー１６のばね受２４ａに係止
された弁体１７の上端がバルブシート面２９から
離反している。この状態で路面からの衝撃でフロ
ントフオークが圧縮方向に作動するとボトムケー
スの油室Ｂの作動油はその一部がピストン６の逆
止弁７を径て上方油室Ａに流出し、フロントフオ
ークの進入体積に相当する余剰の作動油は、第１
図実線矢印のようにバルブケース１４の油路１５
に流れ、弁体１７をバルブシート面２９の間から
底壁１７ｃの流路１７ｄを経てシートパイプ３内
の油室ｃに流入する。

いま、図の状態で通常走行中に制動をかけると
制動操作するワイヤ２０の索引力によりプランジ
ヤー１６がばね２７に抗して図の上方に移動する
ため弁体１７は下方のばね２８でバルブシート面
２９に圧接され、同時に弁体１７の油孔１７ｂが
円筒体１９で閉鎖されるため油路１５が閉じる。
従つて、油路Ｂの油は逃げ場を失ないフロントフ
オークの沈み込みが防止される。この場合沈み込
み抑制の作動時期は弁体１７がバルブシート面２
９に圧接した時をもつて始まるわけであるが調整
ねじ部材３１の螺合位置を変えることにより弁体
１７とバルブシート面２９との間の距離が変化
し、そのためフロントフオークの沈み込み抑制の
作動開始時期を調整することができる。

さらに、移動状態すなわち弁体１７がバルブシ
ート面２９に圧接している状態で路面から衝撃を
うけると油室Ｂの油圧が急激に増大するためその
圧力で円筒体１９がセツトスプリング１８に抗し
て押圧され、第１図点線矢印のように弁体１７の
油孔１７ｂが開かれ路面からの衝撃を吸収するこ
とになる。

円筒体１９は油室Ｂの圧力、即ち路面からの衝
撃の度合に応じてのみ作動し、通路を開くので制
動時の操縦安定性は著しく向上する。

以上のように、本発明では走行中に制動をかけ
た場合、フロントフオークの沈み込みを効果的に
抑制することができ抑制開始時期を調整ねじ部材
により好みに応じて調整できる。また、制動状態
での路面からの衝撃は制動時に作動する弁体とは
無関係に開く油路によつて緩和される。従つて乗
心地がよくなり、特に制動時の操縦安定性が著し
く向上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係るフロントフオ
ークの要部縦断面図、第２図は第１図の−線
上の断面拡大図である。 １……フオークパイプ、２……ボトムケース、
１４……バルブケース、１５……油路、１６……
プランジヤー、１７……弁体、１７ｂ……油孔、
１８……セツトスプリング、１９……円筒体、２
０……ワイヤー、２７……リターンばね、２８…
…ばね、２９……バルブシート面、３１……調整
ねじ部材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ フオークパイプをボトムケースに摺動自在に
   嵌合し、ボトムケースの底部に植設したシートパ
   イプの上端のピストンをフオークパイプの内側に
   摺動自在に嵌合するとともに、ボトムケースの下
   部外側にシートパイプ内外油室と連通する油路を
   有するバルブケースを設け、圧縮作動時にシート
   パイプ外側の油室の余剰作動油をバルブケースの
   油路を介してシートパイプ内側に逃がすようにし
   た自動二輪車のフロントフオークにおいて、バル
   ブケース１４の油路１５内に、該バルブケースの
   上蓋２５下面に形成したバルブシート面２９に密
   閉状に係止しうる開放上端を有し且つ側壁１７ａ
   に油孔１７ｂを形成した円筒状の弁体１７を上下
   変位自在に嵌装するとともにプランジヤー１６の
   軸に摺動自在に嵌合し、前記弁体の底壁１７ｃは
   流路１７ｄを有し且つその上面をプランジヤー１
   ６のリターンばね２７用ばね受２４ａに係止さ
   せ、且つその下面を該プランジヤーに固定した下
   側ばね受２４ｂとの間に張架されたばね（２８で
   圧接し、且つ前記弁体１７の外周に、該弁体の上
   下摺動に応じてその油孔１７ｂを開閉する円筒体
   １９を、圧縮時の作動油の流れ方向に対応するセ
   ツトスプリング１８を介して押圧され油路１５の
   段部３２に係止するよう摺動自在に嵌合し、前記
   バルブケース１４の軸方向に摺動自在に嵌挿した
   前記プランジヤー１６の上端に結合された制動操
   作と連通するワイヤー２０のアウタースリーブを
   調整ねじ部材３１によりバルブケース１４の上部
   に固定したワイヤーケース３０に支持してフロン
   トフオークの沈み込み抑制の作動開始時期を調整
   可能としたことを特徴とする自動二輪車のフロン
   トフオーク。