JPH0132635Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、アンチノーズダイブ機構を備えた
フロントフオークの改良に関する。

自動二輪車の走行中に制動をかけると、慣性で
搭乗者の体重がハンドルに加えられてフロントフ
オークの内筒が外筒に沈み込むため操縦の安定性
が損われる。このため沈み込み防止機構、つまり
アンチノーズダイブ機構を設けたフロントフオー
クが種々開発されている。

この種のものに、外筒の側部に付設ケースを取
付け、該ケース内に外筒底部に植設したシートパ
イプの内外の油室を連絡する油路を穿設し、該油
路内に自動二輪車の制動時に閉動作し、かつシー
トパイプ外側油室内の油圧上昇時に開動作する開
閉弁を設けたものがある。上記付設ケースは別体
に製作され外筒の側部に取付けられるものである
ため、大型化するのは好ましくない。一方、シー
トパイプの基端部にオイルロツクピースを外嵌
し、フロントフオークの最圧縮時にシートパイプ
外側油室内の作動油が上記付設ケース内の油路を
介してシートパイプ内側油室内へ流入する油路を
任意位置で遮断し、シートパイプ外側油室内に封
入された作動油が内筒先端にて圧縮されて、あた
かも剛体の如く作用し、それ以上の内筒の下降を
阻止して内筒と外筒が衝突するのを防止するオイ
ルロツク機構を備えている。このオイルロツクス
ペースを確保するため、上記シートパイプ外側油
室と付設ケースの油路入口とを連通する外筒の油
孔は高位置であるほど良い。というのは、付設ケ
ース内の油路に設けられた開閉弁は油圧上昇時に
開動作して高圧油を逃がす仕組みであるため、上
記油孔が低位置にあるとその位置より下方でしか
オイルロツクが効かず、オイルロツクスペースが
確保され難いという間題があるためである。しか
しながら反面、同油孔を高位置に穿設すると付設
ケースの油路入口も高くなり出口との間隔も長く
なるため該付設ケースが大型化するという間題が
あつた。

この考案は上記間題の解消を目的とするアンチ
ノーズダイブ機構を備えたフロントフオークを提
案するもので、上記シートパイプ外側油室と付設
ケースの油路入口とを連通する外筒の油孔を、シ
ートパイプ外側油室に接続される側を高位置に、
付設ケースの油路入口に接続される側を低位置に
なるように段差をつけて穿設したことを要旨とす
る。

以下、この考案の一実施態様を添付図面に基づ
いて説明する。

１は内筒であり、その上端を自動二輪車のハン
ドルに取付けられている。２は内筒１下部を摺動
自在に内嵌した外筒であり、該外筒２の底面より
植設したシートパイプ３の上端を内筒１の内側に
摺動自在に嵌合して、シートパイプ３の上端と内
筒１の上部との間に車体懸架ばね４を張架してい
る。また内部は作動油が充填されている。なお、
５は前輪の軸を嵌合する取付孔、６はオイルシー
ル、７は内筒１の下端に設けられた逆止弁、８は
シートパイプ３の上部に穿設されたオリフイス、
９はシートパイプ３の基端部に外嵌されたオイル
ロツクピース、１０は外筒２との嵌合面に装着さ
れたＯリング、１１はオイルロツクピース９の上
端に皿ばね１２で押圧された環状の逆止弁、１３
はシートパイプ３の下部に、１４はオイルロツク
ピース９に各々穿設された油孔を示す。

一方、外筒２側部にはＯリング１５，１６を介
して付設ケース１７が固定され、該ケース１７内
に円筒状の油路１８が穿設されている。該油路１
８はその上部の入口を、外筒２側部に穿設した油
孔２ａを介して上記シートパイプ３の外側油室に
連通されている。また同油路１８の下部出口は、
外筒２側部の油孔２ａ下方に穿設された油孔２ｂ
を介して上記油孔１４，１３により同パイプ３の
内側油室に連絡されている。油孔２ａは、シート
パイプ３の外側油室に接続される側を高位置に、
付設ケース１７の油路１８入口に接続される側を
低位置になるように段差をつけて穿設されてい
る。

また、付設ケース１７上部には軸受部材１９が
内嵌され、該軸受部材１９内にピストン２０を摺
動自在に嵌通せしめ、その下端部を上記油路１８
内に臨ませている。該ピストン２０下部には油路
２０内を摺動する開閉弁２１が摺動自在に外嵌さ
れ、該開閉弁２１はピストン２０上部外周に固設
したばね受２２に上端を支持されたリリーフスプ
リング２３を内装して下方に付勢され、かつ、ピ
ストン２０下部外周に設けられたストツパーリン
グ２４により下動規制されている。また同油路１
８の開閉弁２１の下方に該開閉弁２１に対向して
筒状の弁座２５が内嵌固設され、該弁座２５内を
通つてピストン２０下端と付設ケース１７内底部
に固着されたばね座２６との間にリターンスプリ
ング２７が介在されている。更に、一定距離だけ
移動可能にしたプランジヤー２８を有するプラン
ジヤーケース２９を上記付設ケース１７上端に載
置し、キヤツプ３０にて外嵌螺着し一体化せし
め、かつプランジヤー２８の下端をピストン２０
上端に当接し、同プランジヤー２８の上端をプラ
ンジヤーケース２９内に設けた油室３１に臨ま
せ、該油室３１は自動二輪車の油圧制動機構に連
結された油導管３２と連結する。なお、３３はサ
ークリツプ、３４，３５はＯリング、３６は開閉
弁２１下部外周の縮径段部を示す。

上記構成よりなるフロントフオークにおいて、
常時は油導管３２における制動用の油圧が低いた
め、リターンスプリング２７によりピストン２０
は上方に付勢され、該ピストン２０に下動規制さ
れて外嵌した開閉弁２１は弁座２５から離隔され
油路１８を開放している。従つて圧縮行程時は逆
止弁７が上昇し、内筒１下部の作動油が弁７の上
面に形成した半径方向の溝を通つてその上部へ移
動すると共に、シートパイプ３外側油室内の作動
油が油孔２ａ、油路１８、油孔２ｂ，１４，１３
を順次通つて該パイプ３内側油室へ流入し、比較
的小さい減衰力を発生する。また走行中に制動を
かけるとその制動機構の油圧が上昇し、該油圧が
油導管３２を介して油室３１に伝達され、その油
圧でプランジヤー２８が下方へ移動し、ピストン
２０を下方に押圧してリターンスプリング２７を
圧縮せしめる。しかるにピストン２０が下降し、
開閉弁２１を弁座２５に圧接し油路１８を閉鎖す
る。このため搭乗者の慣性によつてハンドルに加
わる荷重で内筒１が外筒２内へ侵入すると、該内
筒１の下部の油が逆止弁７の上面の溝を通つてそ
の上部へ移動すると共に作動油の中へ侵入した内
筒１の代積に相当する油はオリフイス８からシー
トパイプ３の内部へ噴出する。即ち極めて大きな
減衰力が発生するから内筒１の侵入が阻止されて
ハンドルの沈み込みが防止され、安定な操縦性を
維持することができる。かつ、この状態で路面か
ら衝撃を受けると、内筒１に更に荷重が加わつて
その下部のシートパイプ３外側油室内の油圧が著
しく上昇し、開閉弁２１下部外周の縮径段部３６
にてその油圧を受け、前記リターンスプリング２
７よりばね応力を大きく設定したリリーフスプリ
ング２３を圧縮せしめて該開閉弁２１は上方へ移
動し弁座２５から離隔され油路１８を開放する。
従つてシートパイプ３外側油室内の高圧油が油孔
２ａ、油路１８、油孔２ｂ、１４，１３を順次通
つてシートパイプ３内側油室内へ移動し、内筒１
が外筒２内に比較的容易に侵入してこの衝撃を吸
収する。更に、フロントフオークの最圧縮時は、
外筒２側部に穿設された油孔２ａのシートパイプ
３外側油室に接続される側を高位置となしたた
め、その位置に内筒１先端が侵入した時点でシー
トパイプ内外を連絡する油路は遮断され、オイル
ロツクスペースは充分確保され良好に作用する。

この考案によれば上記の如く、構造上の簡単な
改良を加えるだけにもかかわらず、充分なオイル
ロツクスペースを確保し、かつ付設ケースの小型
化も可能ならしめる。また、制動時におけるハン
ドルの沈み込みを防止し、かつその状態で路面か
ら衝撃を受けたときも緩衝作用を維持し得、操安
性、応答性にも優れている。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施態様を示す一部省略
縦断正面図である。 １……内筒、２……外筒、２ａ，２ｂ……外筒
側部に穿設された油孔、３……シートパイプ、９
……オイルロツクピース、１３，１４……油孔、
１７……付設ケース、１８……油路、２０……ピ
ストン、２１……開閉弁、２２……ばね受、２３
……リリーフスプリング、２４……ストツパーリ
ング、２５……弁座、２７……リターンスプリン
グ、２８……プランジヤー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外筒と内筒を摺動自在に嵌合し、該外筒の底部
   より植設したシートパイプ先端を内筒内に摺動自
   在に嵌合し、該内筒の下部内周にオイルロツクカ
   ラーを内嵌すると共に、前記シートパイプの基端
   部にオイルロツクピースを外嵌し、外筒側部にシ
   ートパイプ内外の油室を連絡する油路を穿設して
   なる付設ケースを取付け、該油路内に自動二輪車
   の制動時に閉動作し、かつシートパイプ外側油室
   内の油圧上昇時に開動作する開閉弁を設けてなる
   フロントフオークにおいて、前記シートパイプ外
   側油室と付設ケースの油路入口とを連通し、フロ
   ントフオークの圧縮時に内筒の外周により閉塞さ
   れる油孔を、シートパイプ外側油室に接続される
   側を高位置に、付設ケースの油路入口に接続され
   る側を低位置になるように段差をつけて穿設した
   ことを特徴とするアンチノーズダイブ機構を備え
   たフロントフオーク。