JPH0147563B2 - - Google Patents

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JPH0147563B2
JPH0147563B2 JP59232309A JP23230984A JPH0147563B2 JP H0147563 B2 JPH0147563 B2 JP H0147563B2 JP 59232309 A JP59232309 A JP 59232309A JP 23230984 A JP23230984 A JP 23230984A JP H0147563 B2 JPH0147563 B2 JP H0147563B2
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pitch
spinning
hole
holes
slit
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JP59232309A
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JPS61113827A (ja
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Hideharu Sasaki
Tooru Sawaki
Yoshiaki Yoshioka
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0147563B2 publication Critical patent/JPH0147563B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は新規な微細断面構造を有する高強度・
高モジユラスの高性能ピツチ系炭素繊維を工業的
に製造する方法に関するものである。 従来技術 近年、光学異方性ピツチを原料とする高性能グ
レードの炭素繊維は、PAN系炭素繊維に比較し
て製造コストが安いという大きな利点を有する
が、その反面、機械的特性特に強度において
PAN系炭素繊維より依然として低いレベルにあ
るため、その用途が限定されている。 かかる高性能ピツチ系炭素繊維の機械的特性を
改善するため、従来、主として紡糸用ピツチの改
質が行われ、ネオメソフエース、ドーマントメソ
フエース、プリメソフエース等と称される種々の
紡糸用ピツチが提案されているが、未だにPAN
系炭素繊維に匹敵する機械的特性を有する繊維を
製造する技術は知られておらず、当業界では、ピ
ツチ系炭素繊維にあつてはPAN系炭素繊維に匹
敵し得る機械的特性を発現させることは不可能で
あるとさえ考えられている。 一方、ピツチ系炭素繊維において、該繊維の断
面構造がラジアル構造をとると繊維軸に沿つてク
ラツク(縦割れ)が生じ易く、少くとも繊維表層
部のラメラ配列が円周方向に配列しているスキン
オニオン構造又は全面オニオン構造が望ましいこ
とも知られており(「炭素」1983(No.113)P66〜
78、特開昭59−53717号、特開昭59−76925号)、
また、断面構造をランダム化してクラツク発生を
抑止する試みも提案されている(米国特許第
4376747号、特開昭59−88909号、特開昭59−
163422号、特開昭59−163424号参照)。 しかしながら、これらの高性能ピツチ系炭素繊
維でも、その引張強度は高々300〜350Kg/mm2程度
にとどまり、PAN系炭素繊維の機械的特性を下
廻つている。 発明が解決しようとする課題 本発明は、従来のピツチ系炭素繊維における上
述の問題を解決すべく、従来のものとは全く異な
る微細な内部断面構造を有し、従来の同種繊維に
比べて格段に優れた機械的特性を有する高性能ピ
ツチ系炭素繊維を製造する方法を提供しようとす
るものである。 課題を解決する手段 本発明者らは、機械的性能特に強度において
PAN系炭素繊維と同等か又はそれ以上の高性能
ピツチ系炭素繊維を製造すべく鋭意研究の結果、
光学異方性相が連続相を有するピツチを溶融紡糸
する際、紡糸口金装置内の溶融ピツチの流路を規
制することによつて、繊維構造の制御を行うこと
ができ、この際、繊維断面方向においては応力歪
みがスムーズに緩和されるようにピツチ分子を配
列し、かつ繊維軸方向にはできる限りピツチ分子
が平行に配列するように、紡糸孔に供給する溶融
ピツチ流を予め分割整流することにより、前記の
目的を達成できることを見い出した。 本発明は、かかる知見に基くもので、光学異方
性相が連続相を呈する光学異方性ピツチを溶融紡
糸し、次いで得られたピツチ繊維を不融化・焼成
することにより高性能ピツチ系炭素繊維を製造す
るに当り、1個又は複数個の紡糸孔を穿設した口
金板の上流側に、口金板の1個の紡糸孔に対して
複数個の貫通孔が対応するか、又は、紡糸孔より
大径の貫通孔内にピツチの流れ方向と平行に複数
の板を並べることにより形成してなる1個の異形
貫通孔が対応するように、貫通孔を設けたピツチ
流路制御盤を配置しピツチ流を細分化・整流する
とともに、口金板の上部に、紡糸孔へ向つて連続
的に流路断面積が減少しているテーパー状の溶融
ピツチ導入路を設け、ピツチ流路制御盤を出た溶
融ピツチ流を乱すことなく紡糸孔へ供給するよう
に構成した紡糸口金装置を使用して、光学異方性
ピツチを溶融紡糸する、ことを特徴とする高性能
ピツチ系炭素繊維の製造方法である。 本発明方法で使用する紡糸用ピツチは、光学異
方性相が連続相を形成しているピツチであること
が必要で、石炭系あるいは石油系の原料ピツチを
熱処理して高分子量化したもの、前記熱処理の前
又は後に水素化処理したもの等で、光学異方性相
が連続相を形成しているものが使用できる。 本発明方法では、これらの紡糸用ピツチのうち
でも、特に、(イ)全面が光学異方性相からなるピツ
チであるか、又は(ロ)連続した光学異方性相中に光
学等方性相が微細な球状となつて分散しており、
該球状相の最大直径が100μm以下でかつ平均直径
が15μm以下であり、しかも該光学等方性相の含
有率が15%以下で個数が100個/mm2以上のピツチ
であつて、かつその融点が250〜320℃である実質
上均質な光学異方性ピツチを用いることが好まし
い。 かかる紡糸用ピツチの調整方法の一例は、本発
明者らがさきに提案した特開昭61−47826号に詳
しく記載されている。 なお、室温状態と高温状態ではピツチ中の光学
異方性相の量はやや異なると思われるが、本発明
では、紡糸性との相関及び定量化の観点より「光
学異方性相」を次のように定義する。 すなわち、常温近くで固化したピツチ塊の断面
を研磨し反射型偏光顕微鏡で直交ニコル下で観察
したときに認められる光学的に異方性を有する部
分を「光学異方性相」と言い、直前の熱履歴は問
わない。そして光学的に異方性が認められない部
分を「光学等方性相」という。 この光学異方性相と光学等方性相の定量は、反
射型偏光顕微鏡を用い、直交ニコル下で写真撮影
し、画像解析装置を用いて、それぞれの占有する
面積率を測定して行なうが、これは統計上実質的
に体積%を表わす。また近似的には体積%と重量
%とはほぼ等しいと考えてよい。 本発明方法では、これらの紡糸用ピツチを溶融
紡糸するに当り、1個又は複数個の紡糸孔を有す
る口金板とその上流側に紡糸孔1孔に対し複数個
の貫通孔又は特定形状の1個の異形貫通孔を有す
るピツチ流路制御盤(以下、「整流板」と略称す
ることがある)とを備え、かつ口金板の紡糸孔と
整流板の貫通孔とが特定の対応関係にある紡糸口
金装置を使用する。 第1図は、このような紡糸口金装置の一例を示
す簡略化した縦断面図であり、該紡糸口金装置
は、第1図に示すごとく、貫通孔を有する整流板
1と口金板2とから構成されている、上記整流板
1は、中央の大孔内にピツチ流動方向に平行な多
数(第1図では9枚)の薄い仕切板1aを併設
し、各仕切り板の間〓に多数(第1図では10個)
の貫通孔1bを形成している。また口金板2に
は、上方が整流板1のピツチ流出口に連通したテ
ーパー状のピツチ導入孔2aと所定の断面形状を
有する紡糸孔(吐出孔)2bとが連続して設けら
れ、ピツチ導入孔2aにおいて整流板1内の貫通
孔を通過したピツチ流が集合し、そのまま乱れる
ことなく紡糸孔2bに至り、実質的な層流状体で
紡糸孔から吐出されるようになつている。第2図
a〜(h)はそれぞれ整流板中央の大孔内に形成した
整流部の構造を例示するもので、第1図における
線A−A′での断面図(又はこれに準ずる図)と
して表わしている。 第2図のa,b及びdは、それぞれ、平行又は
放射状に並べた多数の仕切板1aによつて形成し
た多数の独立スリツト状貫通孔1bを有するもの
であり、第2図のcは大孔の内部を部分的に平行
な多数の仕切板1aによつて仕切つて一方の端部
で連通したスリツトの組合せからなる一個の異形
貫通孔を形成せしめたものである。第2図のe及
び(g)は、互いに交差する多数の仕切板1aにより
形成した断面が四角形又は三角形の多数の貫通孔
を有するものである。また、fは整流板に小径の
円形断面貫通孔1bを多数穿設したもの、(h)は整
流板中央の1つの大孔内に多数の細い円柱状物1
cを互いに密接するよう併設して、その間の空〓
部からなる多数の異形貫通孔をピツチが流れるよ
うにしたものである。 これらは、いずれも1個の紡糸孔に対応するも
ので、それぞれを、紡糸孔との対応関係でみる
と、第2図aの場合は、貫通孔1aの断面形状が
平行なスリツト状であり、1個の紡糸孔に対し複
数個のスリツト群が位置し、bの場合は、貫通孔
が屈曲した1本のスリツト状であり、1個の紡糸
孔に対し1個の異形の貫通孔が位置している。ま
た、cの場合では、貫通孔の断面形状がほぼ三角
形状であり、1個の紡糸孔に対し複数個の貫通孔
が放射状に位置している。さらにdは、上記aに
おいて貫通孔のぬれぶちが曲線で形成されている
場合であり、e及び(g)は、貫通孔の断面形状がそ
れぞれ四角形及び三角形で1個の紡糸孔に対し複
数個の貫通孔が位置しており、またfは貫通孔が
円形で1個の紡糸孔に対し複数個の貫通孔が位置
しており、またfは貫通孔が円形で1個の紡糸孔
に対し複数個の貫通孔が対応するものである。(h)
は、整流板の大孔内に多数の棒状物が互いに密接
するよう設けられており、その間〓に形成される
多数の異形貫通孔で、1個の紡糸孔に対して、複
数個の貫通孔が位置することになる。 本発明方法において重要なことは、紡糸時に、
ピツチ分子の繊維断面内での配列を制御するため
に、 (イ) 1個の紡糸孔に対し、実質上複数個の互いに
交絡しない貫通孔が対応するか(この場合は貫
通孔の断面形状は任意)、又は、 (ロ) 1個の紡糸孔に対し、大径の貫通孔内にピツ
チの流れ方向と平行な複数の板を並べて紡糸孔
形状とは実質的に異なる形の異形貫通孔が対応
する、 ように、両者の形状や位置関係を選定することで
あり、この条件を満足しない場合は、本発明の効
果が発現し難い。 なお、ピツチの流れ方向に対する貫通孔の流線
は直線で形成されていてもよく、曲線で形成され
ていてもよく、また直線と曲線の複合であつても
よいが、ピツチ分子を流れ方向に配向させるため
には直線であるのが好ましい。 また、本発明方法では上記整流板の貫通孔は互
いに交絡しないことが必要である。これは、ピツ
チ分子の繊維軸方向への配向を高める上で重要で
ある。もし、貫通孔が交絡していると、これによ
り生ずる乱流効果のため、繊維の断面方向のみな
らず繊維軸方向にもピツチ分子の配列が乱れ、本
発明の目的とする高強度の炭素繊維が得られな
い。従つて、例えば特開昭59−88909号公報に記
載の如き多孔体では、ピツチに流路が複雑に交絡
しピツチ分子の繊維軸方向の配列が大巾に乱れる
ため、炭素繊維の顕著な強度向上がみられない。 前述の如き、整流板内に形成された貫通孔の長
さ(多くの場合、整流板の厚さと対応する)は、
1mm以上が適当であり、5mm以上が好ましい。 一方、口金板2の上面に開口したピツチ導入孔
2aは、整流板内の貫通孔から出たピツチ流を集
合せしめて紡糸孔2bに供給する作用を有する
が、この導入孔は整流板によつて制御されたピツ
チ分子配列を極力乱さないようにするためテーパ
ー状とする必要がある。この部分の断面形状(第
1図のB−B′線に沿つて横断面の形状)は、円
形でも非円形でもよい。また、この部分のピツチ
流れ方向の長さは20mm以内が好ましい。 第3図は、整流板内の仕切板が口金板のピツチ
導入孔内に達したものの簡略化した断面図である
が、本発明では、このような紡糸口金装置も使用
可能である。 第4図は、整流板内の仕切り板が口金板のピツ
チ導入孔内まで達していないものの簡略化した断
面図であり、紡糸口金装置の工作上好都合な構造
を有するものである。 一方、口金板2に設けられる紡糸孔2bの形状
(第1図の線C−C′での開口部断面形状)は、通
常の円形でもよいが、開口部が一文字形、Y字
形、十字形等の1本又は複数本のスリツトの組合
せからなる紡糸孔が好ましい。本発明者らの研究
によれば、このようなスリツト部を有する紡糸孔
のうち、各スリツト部における中心線距離をLn,
それに対応するぬれぶち幅をWnとしたとき、少
くとも1つのスリツト部におけるLn,Wnが次式 Ln5(mm) …() 1.5Ln/Wn20 …() を同時に満足する紡糸孔が、特に強度の大きな炭
素繊維が得られるので好ましい。 第5図〜第9図は、このような紡糸孔の形状の
いくつかを例示するものである。 なお、ここでいう中心線距離(Ln)及びぬれ
ぶち幅(Wn)は次のごとく定義される値であ
る。 (i) 紡糸孔における中心線距離Ln(m/m) 紡糸孔(開口部)が単一のスリツトで構成さ
れている場合には、そのスリツトの長手方向の
中心線の長さをLnとする。 例えば、第5図のごとき直線状の単一スリツ
トの場合は、その長手方向の中心線の長さL1
が中心線の距離であり、この場合はスリツトの
長さと一致する。 また第6図の如き曲線状の単一スリツトの場
合も同様に長手方向の中心線の長さL1である。 紡糸孔(開口部)が互いに交差する複数本の
スリツトで構成されている場合は、交差部に描
いた内接円を除いた部分の各スリツト中心線の
長さをいう。例えば、第7図の如きY字形紡糸
孔の場合は、3本のスリツトの各先端a1,a2
a3から紡糸孔の中心cを結ぶ各直線12
a3cにおいて、各先端から交差部の内接円の円
周に達するまでの長さL1,L2,L3が各スリツ
ト部の中心距離となる。従つて、このような紡
糸孔では各スリツトの長さが同一の場合はL1
=L2=L3となり、各スリツトの長さがそれぞ
れ異なる場合には、L1≠L2≠L3となる。 また第8図の如きH字形紡糸孔の場合には、
各スリツト先端a1,a2,a3,a4から各交差点中
心c1,c2における内接円の円周に至るまでの長
さL1,L2,L3,L4及び両交差点中心C1,C2
結ぶ直線1 2のうち各内接円に含まれない部分
の長さL5が、それぞれ中心線距離となる。 また、1つの紡糸孔単位が独立した(交差し
ない)複数のスリツトの組合せで構成されてい
る場合は、各スリツトの中心線の長さをいう。
例えば、第9図の如き2個の長円形の小孔で構
成されている場合は、それぞれの小孔における
長手方向の中心線の長さL1,L2が中心線距離
となる。 (ii) 紡糸孔におけるぬれぶち幅Wn(mm) 紡糸孔(開口部)において前述の中心線距離
算出の基準となる各スリツトの最大幅すなわち
各中心線と直交する直線の最大長をWnとす
る。 従つて、第7図、第8図の如く中心線の数が
複数の場合には、各中心距離(L1,L2,L3…)
に対応するぬれぶち幅(W1,W2,W3…)が
存在する。 本発明方法では、特に1〜6個のスリツト部を
有し、かつ、全てのスリツト部の中心線距離
(Ln)とそれに対応するぬれぶち幅(Wn)との
関連において Ln5(m/m) …() 1.5Ln/Wn20 …() を同時に満足する紡糸孔を有する口金板を用いる
ことが好ましく、なかでも、第5図の如き単一ス
リツトからなる紡糸孔を有するものが特に好まし
い。 しかし、本発明方法では、円形紡糸孔や上記以
外の光学紡糸孔であつても、上流側の整流板(流
路制御盤)でピツチ融液が適当に配列されるた
め、炭素繊維のクラツクの発生を防止し機械的特
性の向上をはかることが可能である。 溶融紡糸における紡糸温度としては紡糸ピツチ
の融点より40〜80℃高い温度を採用するのが好ま
しい。 本発明でいう融点とはDSCで測定される値で
あり、測定方法は後述するが、紡糸用ピツチの融
解開始温度を示す。 本発明において、口金温度は、紡糸孔が異形で
ある場合、繊維断面形状(外形)及び内部構造に
影響する。口金温度を高くすると繊維断面形状の
紡糸孔形状からの変化が大きく維断面形状(外
形)は円形に近づく。 さらに高温にすると可紡性が低下し、得られる
繊維もボイドを含んだものとなる。一方、口金温
度が低い程、得られる繊維の断面形状は、紡糸孔
の形状に近くなる。更に低温にするとドラフト率
が低下し繊維径を細くすることが困難となる。従
つて本発明方法では、口金温度として、ピツチの
融点より40〜80℃高い温度の範囲内で所望の繊維
断面形状に応じて適宜選定するのが適当である。 かくして整流板と紡糸孔によつて、光学異方性
ピツチは、流線方向に平行に配列されると同時に
断面内で規則的かつ微細に配列をされた後、溶融
吐出される。 紡糸時のドラフト率は30以上、好ましくは50以
上で引き取ることが好適である。紡糸引取速度
は、均質な紡糸用ピツチを用いれば、1000m/分
以上の高速でもよく、きわめて円滑に紡糸するこ
とができる。 このようにして得られたピツチ繊維は、次いで
酸素の存在下で加熱され不融化処理される。この
不融化処理工程は生産性及び繊維物性を左右する
重要な工程で、できるだけ短時間で実施すること
が好ましい。 このように不融化処理した繊維は次に不活性ガ
ス中において通常1000〜1500℃の温度で焼成する
ことにより、本発明方法の目的とする炭素繊維を
得ることができる。このものをそのまま使用して
もよいが更に約3000℃程度まで加熱して黒鉛化さ
せてから使用することもできる。 発明の効果 本発明方法においては、上述の如き流路制御盤
(整流板)により光学異方性ピツチを溶融吐出す
る寸前の流路を分割制御することにより、ピツチ
分子が、繊維軸方向に高度に配向すると同時に、
繊維断面内では微細に配列した構造となる。 これに対し、常法に従つて流路制御盤を設けず
に円形紡糸孔より溶融紡糸したときは、クラツク
の発生した繊維となり、強度の劣つたものしか得
られない。 第10図及び第11図は、それぞれ円形紡糸孔
を有する口金板を用いて製造した炭素繊維の断面
構造を示す走査型電子顕微鏡写真であるが、第1
0図は、本発明方法により紡糸時に流路制御盤を
使用したものであり、第11図は、従来法により
流路制御を行なうことなく紡糸したものである。
前者は基本的にはラジアル構造ではあるが、ラメ
ラが非常に微細化されており、クラツクは殆んど
認められない。これに対し後者は明瞭なラジアル
構造でありクラツクの発生が顕著である。 また、本発明方法において口金板として上述の
スリツト状紡糸孔を有する口金板を用いた場合
は、米国特許第4628001号に記載の如きリーフ構
造を有する炭素繊維が得られるが、本発明方法に
従つて、これにピツチ流路制御盤(整流板)を併
用した場合はリーフ構造を構成するラメラが微細
化され、強度が一段と向上する。なお、断面構造
は中心軸が明瞭にあらわれていない変形リーフ構
造をとる場合もある。第12図及び第13図は、
このような微細化したリーフ構造をもつ繊維の例
を示す走査型電子顕微鏡写真である。 繊維の内部構造がこのように繊維方向に配向さ
れ、かつ断面方向に微細化されることにより、不
融化、焼成段階でのクラツクの発生を防止するこ
とができ、構造の緻密化が可能となり、高強度高
モジユラスが発現するばかりでなく、繊維の屈曲
に対する耐久性も向上する。更に、本発明で特性
した紡糸用ピツチは低融点かつ均質であるため、
これを用いると比較的低温で紡糸でき、紡糸調子
も飛躍的に向上し、かつ得られる炭素繊維の物性
バラツキも小さく均質性の優れたものとなる。加
えて、本発明方法では、炭素繊維の内部構造を制
御するために特開昭59−53717号に記載のごとく
紡糸に際し高温を経由する必要もなく、比較的低
温で紡糸できるため、ピツチの熱安定性を必配す
ることもない。このため、紡糸条件が緩和され
る。 名指標の測定法 次に本発明におけるピツチ及び繊維の特性を表
わす各指標の測定法について説明する。 (a) 紡糸用ピツチの融点 パーキンエルマー社製DSC−ID型を用い、
アルミニウムセル(内径5mm)に100メツシユ
以下に粉砕したピツチ微粉末10mgを入れ、上
から押えた後、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/
minで400℃近くまで昇温しつつ測定しDSCの
チヤートにおける融点を示す吸熱ピークをもつ
て紡糸ピツチの融点とする。この点はピツチが
固体から液体に転移を開始する温度である。 (b) 紡糸用ピツチの光学異方性相含有量 固化した紡糸用ピツチ塊の断面を研磨し、反
射型偏光顕微鏡を用いて写真撮影する。倍率は
得られたピツチによつて適宜選択し、球状光学
等方性相の数が最小100個以上になるよう測定
視野をきめる。 次いで画像解析処理装置LUZEX500を用い
て、球状光学等方性相の全体に対する面積率、
円相当平均直径、単位面積当りの個数直径の分
布を求める。 (c) 炭素繊維の物性 引張強度、伸度、モジユラスは、JIS R−
7601「炭素繊維試験方法」に従つて測定する。 繊維径の測定は走査型電子顕微鏡写真より15
個の試料(n=15)の断面積の平均値を算出す
る。なお後述する実施例等においては、相当す
る断面積を有する真円に換算したときの直径
(μm)で表示した。 実施例 以下、実施例及び比較例により本発明の方法を
更に詳細に説明するが、本発明の範囲は、これら
の説明によつて何ら制限されるものではない。な
お、後述する各実施例及び比較例において使用し
た紡糸口金の紡糸孔は次の第1表に示す通りであ
る。表中のθは放射状のスリツトの中心線のなす
角をラジアンで表示したものである。
【表】 実施例 1 市販のコールタールピツチ(軟化点158℃、キ
ノリン不溶液2.2(重量)%、ベンゼン不溶部79
(重量)%、固定炭素量90%)より、室温でトル
エンに不溶な部分を取出し、このピツチ700gに
対しテトラハイドロキノリン(THQ)2100gを
容量5のオートクレーブ中に仕込み、窒素置換
後、撹拌下で昇温し450℃で1時間反応した。冷
却後金網フイルター(3μm以上カツト)を用いて
反応液を100℃で加圧下において過した。次い
で、液より溶剤及びピツチ中の低分子量物を減
圧蒸留により留去した後、460℃25分間減圧下
(≒10mmHg)に高温短時間の熱処理を施し、全
面流れ構造の光学異方性ピツチを得た。このピツ
チの融点は277℃、光学異方性相の含有量が100%
で実質的に光学等方性相を含有しないもので、キ
ノリン不溶部は27.4%であつた。 該紡糸用ピツチを溶融脱泡後、加熱ヒーターを
備えた定量フイーダーに仕込み、ピツチ流路制御
盤(整流板)ゾーンを経て前渇の第1表に示す円
形紡糸孔(イ)より、溶融紡糸を行なつた。ピツチ流
路制御盤(整流板)は、第2図aに示した平行ス
リツト群からなるものを用いた。このもののスリ
ツト幅は0.5mm、貫通孔長は40mmであつた。 この装置により、フイーダー吐出量0.06m/
分/孔、フイーダー部温度320℃、ピツチ流路制
御盤部温度320℃、口金温度340℃の条件で紡出
し、引取速度800m/分で引取り、ピツチ繊維を
製造した。紡糸調子は良好で、紡糸を1時間続行
したが全く断糸することはなかつた。 このピツチ繊維にシリカ微粉末を融着防止剤と
して塗布した後、乾燥空気中にて10℃/分の昇温
速度で200℃から300℃まで昇温加熱し、300℃で
30分間保持した。 次いで、窒素雰囲気中500℃/分の昇温速度で
1300℃まで昇温加熱し、保持時間1分で焼成を行
い炭素繊維とした。得られた繊維の物性及び断面
構造を第2表及び第10図に示す。 比較例 1 実施例1と同じピツチを、ピツチ流路制御盤を
設置しない状態で、実施例1と同じ条件で紡糸
し、不融化・焼成して得られた炭素繊維の物性及
び断面構造を第2表及び第11図に示す。第2表
及び第11図から明らかな如く、該繊維はクラツ
クが生じ、強度の低いものであつた。 実施例 2 実施例1において紡糸口金を単一スリツト紡糸
孔(ハ)を有するものに変えた以外は、全く同様にし
て炭素繊維を製造した。得られた繊維の物性及び
断面構造を第2表及び第12図に示す。この場合
は、中心軸が明瞭でない微細なリーフ構造とな
る。 実施例 3 実施例1において紡糸孔としてY字型スリツト
紡糸孔(ロ)を有するものに変えた以外は全く同様に
して炭素繊維を製造した。得られた繊維の物性を
第2表に、断面構造を第13図に示す。 実施例 4 ピツチ流路制御盤として第2図bのような形状
のものを用いた以外は、実施例1と全く同じ条件
で炭素繊維を製造した。得られた繊維の物性を第
2表に示す。この繊維はクラツクを有せず非常に
微細な断面構造を有していた。
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図、第3図及び第4図は、それぞれ本発明
方法を実施するに当り使用する紡糸口金装置の一
例を示す縦断面図、第2図a〜hは、それぞれ紡
糸口金装置のピツチ流路制御盤におけるピツチ流
路の形状を例示する横断面図である。 第1図〜第4図において、1……ピツチ流路制
御盤、1a……仕切板、1b……貫通孔、1c…
…棒状物、2……口金板、2a……ピツチ導入
孔、2b……紡糸孔。第5図〜第9図は、それぞ
れ紡糸孔の断面形状の例を示す。第5図〜第9図
において、l2……l5は紡糸孔の中心線距離、W1
W2……W5は紡糸孔のぬれぶち幅を示す。第10
図〜第13図は、それぞれピツチ系炭素繊維断面
を示す走査型電子顕微鏡写真であり、第10図、
第12図及び第13図はいずれも本発明方法によ
るもの、第11図は従来法によるものを示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 光学異方性相が連続相を呈する光学異方性ピ
    ツチを溶融紡糸し、次いで得られたピツチ繊維を
    不融化・焼成することにより高性能ピツチ系炭素
    繊維を製造するに当り、 1個又は複数個の紡糸孔を穿設した口金板の上
    流側に、口金板の1個の紡糸孔に対して複数個の
    貫通孔が対応するか、又は、紡糸孔より大径の貫
    通孔内にピツチの流れ方向と平行に複数の板を並
    べることにより形成してなる1個の異形貫通孔が
    対応するように、貫通孔を設けたピツチ流路制御
    盤を配置するとともに、口金板の上部に、紡糸孔
    へ向つて連続的に流路断面積が減少しているテー
    パー状の溶融ピツチ導入路を設け、ピツチ流路制
    御盤を出た溶融ピツチ流を乱すことなく紡糸孔へ
    供給するように構成した紡糸口金装置を使用して
    溶融紡糸する、 ことを特徴とする高性能ピツチ系炭素繊維の製造
    方法。 2 ピツチ流路制御盤が、大径の貫通孔内にピツ
    チの流れ方向と平行な多数の仕切板を設け、これ
    によりスリツト状又は多角形状断面の貫通孔を多
    数形成し、1個の紡糸孔に対し複数個の貫通孔が
    対応するようにしたものである特許請求の範囲第
    1項記載の製造方法。 3 ピツチ流路制御盤が、ピツチの流れ方向と平
    行に小径の貫通孔を多数穿設し、1個の紡糸孔に
    対し複数個の貫通孔が対応するようにしたもので
    ある特許請求の範囲第1項記載の製造方法。 4 ピツチ流路制御盤の貫通孔の長さが1mm以上
    である特許請求の範囲第1項記載の製造方法。 5 口金板に穿設した紡糸孔が、少くとも1個の
    スリツト状部分を有する異形紡糸孔であつて、各
    スリツト状部分における中心線距離をLn、ぬれ
    ぶち幅をWnとしたとき、少くとも1個のスリツ
    ト状部分におけるLn及びWnが、 Ln5mm …() 1.5Ln/Wn20 …() を同時に満足するものである特許請求の範囲第1
    項記載の製造方法。
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