JP2722270B2 - 炭素繊維およびそれを主成分とする不織布 - Google Patents

炭素繊維およびそれを主成分とする不織布

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は高強度の炭素繊維およびそれを主成分とする
不織布に関する。本発明は特にメソフェーズピッチから
メルトブロー法によって紡糸された、繊維に亀裂を生じ
難い高強度高弾性率の不連続な炭素繊維およびこれを主
成分とする不織布に関するものである。
本発明の炭素繊維は、横断面に於ける炭素層の配向が
ほぼ均一な小ドメインが多数、モザイク状に集合してい
ることを特徴とする。本発明の炭素繊維は平均的には炭
素層がランダム配向、もしくはラジアル方向を中心に分
布した配向を持っているが、小ドメインの境界では炭素
層の配向方向が急変するため、ひび割れが発生しても境
界を越えて成長し難く、引っ張り強度および疲労強度が
大きい利点を有する。
本発明の炭素繊維はメルトブロー法により製造される
ものであり、その製造装置が比較的簡単であるため製造
コストが低い利点を有する。また繊維をシート状に採取
することが容易に出来る利点を有するため、不織布とし
て優れている。
〔従来の技術〕
炭素繊維は航空機等の材料として急速な発展を続けて
いる。しかし炭素繊維は広範囲な用途に使用されるには
高価な材料であると言われている。この問題を解決する
ために、原料として低コストのピッチを採用する研究が
進められて来た。
ピッチの繊維化の研究は古くから行なわれているが、
近年は炭化時に配向の維持が容易なメソフェーズピッチ
を使用する連続繊維の研究が進展している。メソフェー
ズピッチは特開昭49-19127号などに開示されているよう
に、易黒鉛化材料であり高強度高弾性率の炭素繊維の原
料として優れた性質を示す。
メソフェーズピッチの紡糸は、三次元的に極度の異方
性を持った液晶の繊維化であるため、通常の高分子物の
溶融紡糸には認められないような配向挙動を示す。J.B.
Barrらは、Applied Polymer Symposia 29 p.161−173
(1976)に、このような配向挙動に対応する炭素層状構
造がピッチ系炭素繊維に存在することを報告しており、
配向タイプをラジアル型、オニオンスキン型、ランダム
型に分類した。
メソフェーズピッチの紡糸の研究の進展により、配向
タイプとしては概してラジアル型をとり易いこと、ラジ
アル型は他の型にくらべて表面に開裂きずを生じ易く、
機械的変形の繰り返しに対して弱いことが判明してき
た。
このような問題を解決する方法として、特開昭57-154
416号では遠心紡糸を行なう際に高温ではあるピッチの
紡糸温度よりは低温の気流を用いて冷却することによ
り、ランダム型又はオニオンスキン型の配向を持った連
続繊維を製造する方法を開示している。
特開昭59-53717には、連続繊維の溶融紡糸に於いてピ
ッチの粘度の対数と絶対温度の逆数の関係に現われる折
れ曲り点より紡糸温度が高温側の時にランダム型とオニ
オンスキン型、低温側の時にラジアル型が現れると述べ
られている。
これらの事実は溶融紡糸時のピッチの温度を、高温サ
イドに持って行くとランダム型ないしオニオンスキン型
になることを示しているが、この紡糸条件はピッチの曳
糸性を低下させ、紡糸の安定性を阻害する方向に向かっ
ていることがわかる。
ピッチはメソフェーズピッチの様に分子量の大きなも
のでも一般の高分子材料に比べれば分子量が小さく、そ
の曳糸性は高分子に現れるものとは異なり、一般にガラ
ス状過冷却液体に現われるものと同一と考えられる。そ
れは溶融ピッチのような液体の粘性が表面張力の割に大
きいため、液体が形状を円柱状に保つ事が出来、球状に
分断され難くなることによる。ピッチの紡糸の場合、温
度を高温サイドに移行させると、液体の粘性が低下する
ため、円柱状であることが不安定である時間が長くな
り、液柱にくびれや破断が発生し易くなり、紡糸が不安
定化する。また繊維直径の変動が著しく大きくなる。
ラジアル型の表面に開裂きずを生び易い問題を解決す
るために、特開昭59-163424号は異形断面を有する紡糸
孔からメソフェーズピッチを溶融紡糸する方法を開示し
ている。この方法では凝固するまでの間に、異形断面状
に紡出された液柱が液の表面張力により円柱に近い形に
変形すると共に、炭素前駆体分子の配向がランダム化す
るため、炭素後の強度及び弾性率が高くなる効果を有す
る。この方法は確かに優れた方法であるが、紡糸孔の異
形度が低くて、得られる繊維の断面形が実質的に真円の
場合には、得られる繊維に於いて炭素分子の配向のラン
ダム化が不十分であり、紡糸孔の異形度を大きくした場
合には、紡糸孔の製作費が高くなる上、使用時に摩耗に
よる変形や損耗が大きい欠点がある。
また別の方法として、特開昭59-163422号は紡糸孔内
部の最狭部断面積よりも出口部断面積が大きい紡糸孔か
らメソフェーズピッチを溶融紡糸する方法を開示してい
る。この方法では紡糸孔中での高剪断部で生じた液晶の
ラジアル配向が、紡糸孔の拡大と紡糸孔から吐出後の伸
長倍率が大きいことが原因でランダム化し、更にオニオ
ンスキン配向に移行しようとする傾向を利用するものと
思われるが、紡糸孔の製作費が非常に高くなる問題があ
る。
また特開昭59-168127号は紡糸孔を拡大した後にさら
に縮小する方法を開示しているが、このような紡糸孔の
製作はさらに難しく、二枚の紡糸口金を貼りつけるよう
な加工が必要となり、非常に高価になる。
また別に特開昭62-41320号は断面に褶曲構造を有し、
表面から開裂きずが拡大し難く、強度、弾性率とも優れ
ているピッチ系炭素繊維を開示している。この炭素繊維
の具体的な製造方法としては、石油系のメソフェーズピ
ッチを断面積で表示した拡大倍率が2倍以上の紡糸孔か
ら、紡糸温度250〜350℃で溶融紡糸する方法が開示され
ている。この方法の問題点は紡糸孔の拡大倍率が大きい
ため、紡糸孔出口での液の離れる位置が不安定になり、
繊維の直接の変動が大きいことである。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明はメソフェーズピッチから製造される高強度、
高弾性率炭素繊維に発生し易い欠点である。繊維が繊維
軸に平行に裂け易く、その結果強度等の性質、特に耐疲
労性が低くなる欠点を改良した安価な不連続炭素繊維を
得ることも目的とする。
本発明の不連続炭素繊維とは、平均繊維長数mm〜数十
cmに紡糸され、概して広い繊維長分布を有する炭素短繊
維をいう。
ピッチ繊維を製造する際に、紡糸孔の中でメソフェー
ズピッチは液流の進行方向及びラジアル方向に分子配向
を起こす。これは紡糸孔内に生じる速度勾配が、ラジア
ル方向を回転面とする回転運動を起こすためである。こ
れは他の高分子液体でも生じる現象であるが、メソフェ
ーズピッチの場合には、液晶の特性として配向の緩和時
間が極端に長いことが原因で、この配向が長い時間保存
され、紡糸後のピッチ繊維の構造に影響する。
ピッチ分子のラジアル配向が、得られる炭素繊維の性
質に対して有利であるならば特に問題ないのであるが、
ラジアル配向した炭素の分子は、構造上一番弱い方向を
ラジアル方向に並べることになる。黒鉛液晶は共有結合
を持たない面を一方向に有しているが、ラジアル配向し
たピッチ繊維はこの面をラジアル方向に持っている。こ
のことは得られた炭素繊維がその周辺に引っ張り応力を
受けたとき、引き裂け易いことを意味する。またこの面
は炭素分子が異種分子によりインターカレーションを生
じる面であり、化学的にも不安定な方向である。
メソフェーズピッチから高強度、高弾性率炭素繊維を
製造するには、このような炭素分子の弱点が露出しない
構造の繊維を、あらかじめピッチ繊維の段階から製造す
る必要があるが、メソフェーズピッチ系の不連続炭素繊
維の構造を制御する技術は知られていない。
〔課題を解決する手段〕
本発明の繊維は、平均相当直径0.03μm〜1μmの小
ドメイン内では横断面に於ける炭素層の配向がほぼ一定
であり、該小ドメインが繊維の横断面のほぼ全域をモザ
イク状に覆っており、かつ繊維の横断面全体では炭素層
の配向が実質的にランダムであるか、あるいはラジアル
方向を中心に分布していることを特徴とするメルトブロ
ー紡糸により製造したメソフェーズピッチ系の不連続な
炭素繊維である。
小ドメインとは、その概略を第1図に示すように、い
くつかのほぼ同一配向の炭素層が集合した領域をいい、
隣接する小ドメインとの間に仮に境界線を引いたとすれ
ば、その形状は実際には円形であることは少なく、むし
ろ長円形や多角形のものが多い。その際のドメインの大
きさの表示には、直径のかわりに相当直径(4×断面積
/周辺長)を用いる。
小ドメインの相当直径は、好ましくは平均0.07μm〜
0.7μmである。直径が小さい場合、黒鉛結晶の発達が
不良で、ドメインとしての効果が小さくなり、直径が大
きい場合、表面に開裂きずが付き易くなる問題がある。
繊維の横断面での炭素層の配向は、一般の繊維では横
方向からの偏光による精密な観測により、求めることが
出来る。また繊維を薄片状にして屈折率の分布を観測す
ることにより求めることが出来る。しかし炭素繊維は光
の透過性が小さく、この方法の適用には限界がある。炭
素繊維の場合には繊維横断面を薄片状とて、透過型電子
顕微鏡を用いて黒鉛結晶の劈開面に沿って現われる線に
より、配向の方向を推定する。薄片は数μm以下のごく
薄いものとする必要があり、炭素繊維は強くかつ脆いた
めその製作は極めて難しい。薄片が厚すぎるとドメイン
の境界が不明瞭になり、大きさ、形状等の計測が困難に
なる。また配向の方向を正確に求めることが困難にな
る。
本発明の炭素繊維は、炭素層の配向が小ドメイン内で
はほぼ同一であるが繊維の横断面全体としてみた場合は
平均的にランダムであるか、ラジアル配向を示すもので
ある。また小ドメインは、ほぼ均一な大きさを有してい
ることが強度上の欠陥部を作らないので好ましい。また
小ドメインの中の炭素層は完全な平面状でないことが好
ましく、特に特開昭62-41320に記載されているような褶
曲状のものが耐衝撃性に優れており、好ましい。
本発明のメソフェーズピッチとしては、炭素繊維の弾
性率等の物性を高くするためにはメソフェーズ含有量が
多い方が好ましく、通常、メソフェーズ含有量は約70%
〜100%が好ましい。
本発明の炭素繊維の紡糸方法は、高速の気体を噴出す
るスリットもしくはノズルの中に設けた紡糸孔からメソ
フェーズピッチを紡糸するもので、この紡糸法は基本的
にはメルトブロー法と呼ばれるものであるが、紡糸口金
温度をピッチの軟化点(高架式フローテスターで測定)
より20℃〜80℃高くし、さらに気体温度を紡糸口金温度
より高くすることが好ましい。
紡糸されるピッチの温度は紡糸口金温度より若干低い
と推定される。
ピッチの紡糸粘度は約500ポイズ以上であることが好
ましい。
メソフェーズピッチの溶融紡糸においては、これま
で、紡糸粘度を約10〜300ポイズの範囲にすることが必
要であり、紡糸温度が低く紡糸粘度が高くなるとラジア
ル配向が優勢になって繊維が開裂し易くなると考えられ
ていた。
本発明の炭素繊維は高粘度でメルトブローされたにも
かかわらず開裂に対する抵抗力が強い特徴を有する。
このような、従来とは異なるメルトブロー式の紡糸を
行なう場合に小ドメイン構造が得られる理由はよくわか
らないが、紡糸粘度が高く紡糸ノズル内での剪断力が大
きいので、紡糸ノズル出口で開放された時に配向を乱す
力が大きくなること、炭素層の移動速度が高粘度のため
に遅いこと、一法、紡糸孔のまわりから噴出させる高速
の気体の温度が、紡糸口金の温度より高い値に保たれ、
冷却は紡糸口金から少し離れた場所で、周辺の低温の気
体を巻き込むことにより行なわれることでピッチの柱状
流は紡糸孔を出て少しの間、あまり冷却されずに走行
し、この間に紡糸孔の中の剪断力によって生じた液晶の
ラジアル配向が、熱拡散等により変形することなどが複
雑に影響し合っていると考えられる。
紡糸温度が高くなると、横断面に於ける小ドメインの
サイズの大きな繊維の含まれる割合が大きくなる傾向が
みられる。紡糸口金温度がピッチの軟化点+80℃より高
い場合にも、依然としてモザイク構造を示すが、小ドメ
イン内の炭素層の褶曲が少なくなり、炭化後の層面間隔
d002が小さくなることから、炭素層の平面化が進行して
ドメインが大きくなり、境界面が弱点になり易くなるた
めか、概して炭化後の強度が低めになる傾向を示す繊維
の方が多くなる。
紡糸されたピッチ繊維は、不連続で、平均繊維長数mm
〜数十cmの概して広い繊維長分布を有するものであり、
好ましくは直ちに多孔質のベルトの上に採取する。ピッ
チ繊維とシート状に成形され、好ましくはその形で不融
化、炭化処理を行なう。この繊維シートは、適宜の工程
で絡合処理もしくは接着処理を行なって、不織布とする
ことができる。この不織布は従来の炭素繊維のフィラメ
ント糸を切断して作ったものに比べて、繊維長の分布が
広く、また繊維の中に曲ったものを多く含む傾向があ
り、嵩高く保湿性に優れており、繰り返し変形による疲
労に強い利点を有する。
〔作用〕
ピッチ繊維を製造する際に、紡糸孔の中でメソフェー
ズピッチは液流の進行方向及びラジアル方向に分子配向
を起こす。これは紡糸孔内に生じる速度勾配が、ラジア
ル方向を回転面とする回転運動を起こすためである。こ
れは他の高分子液体でも生じる現象であるが、メソフェ
ーズピッチの場合には、液晶の特性として配向の緩和時
間が極端に長いことが原因で、この配向が長い時間保存
され、紡糸後のピッチ繊維の構造に影響する。
ピッチ分子のラジアル配向が、得られる炭素繊維の性
質に対して有利であるならば特に問題はないのである
が、ラジアル配向した炭素層は、構造上一番弱い方向を
ラジアル方向に並べることになる。黒鉛結晶は共有結合
を持たない面を一方向に有しているが、ラジアル配向し
た炭素繊維はこの面をラジアル方向に持っている。この
ことは得られた炭素繊維がその周辺に引っ張り応力を受
けたとき、引き裂は易いことを意味する。またこの面は
炭素層が異種分子によりインターカレーションを生じる
面であり、化学的にも不安定な方向である。
本発明はメソフェーズピッチを、その軟化点よりもあ
まり高くない温度で高粘度で紡糸し、紡糸孔の出口近傍
から噴出するピッチ温度と同程度なしい若干高温の気体
により牽引、不連続化し、周辺から流入する低温の気体
によって急冷して凝固させ、この際に発生する構造によ
り、弱点の生成を防止するものである。
本発明の炭素繊維は、その横断面に於ける炭素層の配
向がほぼ均一な小ドメインが多数、モザイク状に集合し
て出来ている。本発明の炭素繊維は平均的には炭素層が
ほぼランダムな配向分布を有しているか、あるいはラジ
アル方向を中心に分布した配向を持っているが、各々の
ドメインは炭素層の配向の方向が隣のドメインとの境界
で急変するので、仮に衝撃や疲労により繊維内にひび割
れを生じたとしても、ひび割れの進行は境界で阻止され
る。そのため引っ張り強度及び疲労強度が大きい。
このような構造の炭素短繊維は今までに報告されたこ
とはない。
ドメインサイズが大きすぎると、ドメイン内に生じた
ひび割れに対する応力の集中が大きくなり、強度の低下
を起こす。またドメインサイズが小さくなり過ぎると、
ドメインとしての効果が小さくなり、ドメインの境界が
ひび割れの成長を阻止する能力が低下するので、強度の
低下を起こす。
本発明の炭素繊維はメルトブロー紡糸の際、口金を離
れると急激に気流の牽引力が低下するため、曲った状態
で成形され易い傾向にあり、また、広い繊維長分布を有
するので、シート状物や不織布として嵩高いものが得ら
れ易い。
〔実施例〕
次に実施例により本発明を更に具体的に説明する。
実施例1 軟化点275℃(高架式フローテスターで測定)、メソ
フェーズ含有率95%の石油系ピッチを原料とし、紡糸孔
の内径0.06mm、外径0.2mmの中空針状の紡糸孔の周囲か
ら340℃の加熱空気を噴出する紡糸口金を用いてメルト
ブロー紡糸を行なった。紡糸口金温度320℃(紡糸粘度
約1,500ポイズ)、加熱空気の噴出速度150m/秒で繊維を
製造し、ネットコンベヤー上にシート状に採取した。
得られたピッチ繊維を常法により不融化し、さらに引
き続いて最高温度2800℃で炭化処理を行なった。
得られた炭素繊維の引張強度は320kgf/mm2、伸度は0.
43%、弾性率は 75ton/mm2、平均繊維長は87mm、d002
3.385Å、LC(002)は20.5Åであった。この繊維の横断面
を厚さ約0.07μmの薄片を作って、透過型電子顕微鏡に
より観察した。
横断面は第2図に示すように平均相当直径がほぼ0.2
μmの多数の小ドメインからなるモザイク状で、全体的
にはラジアル状の炭素層配向を有する構造であった。各
々の小ドメインから写真上で25サンプルをランダムに取
り、ラジアル方向を基準として炭素層の偏角を測定し
た。左への偏角をプラスとして平均及び標準偏差を求め
た。平均値は+9.2°、標準偏差は27.1°であった。
また、炭素層は褶曲しているものが多く認められた。
実施例2 実施例1と同じピッチ及び紡糸口金を用いて、紡糸温
度を変えて繊維を作り、同様にして不融化及び炭化を行
なって横断面の構造を調べた。
紡糸口金温度を350℃(紡糸粘度約500ポイズ)とした
場合、横断面の配向構造は粗大化し、ドメインの平均相
当直径0.9μm、平均繊維長は3mmとなった。この繊維は
実施例1より若干低い強度を有していた。さらに紡糸温
度を上昇した場合、370℃でドメインの平均相当直径は
1.1μmとなった。これは構造が粗大なためか、繊維の
強度としては実施例1にかなり劣る値を示した。
紡糸口金温度を300℃とした場合、横断面の構造はラ
ンダム状となり、小ドメインの相当直径は平均0.05μ
m、繊維長は平均35cmであり、繊維強度としては、実施
例1にほぼ近似の値が得られた。
紡糸口金温度を290℃とした場合、横断面の配向構造
はさらに微細化し、小ドメインの境界が不明瞭になっ
た。このため繊維強度としては実施例1にやや劣るもの
となった。
実施例3 実施例1の紡糸後のピッチ繊維のシート状物を、常法
により不融化し、650℃で軽度の炭化を行なった後、120
回/cm2のニードルパンチを行ない、更に1400℃で炭化
処理を行ない炭素繊維不織布を得た。得られた不織布は
従来の炭素繊維のフィラメントから製造したものと比べ
て、嵩高く、保湿材やクッション材として優れていた。
実施例4 軟化点282℃、メソフェーズ含有率100%の石油系ピッ
チを原料とし、高速気流(温度350℃)を噴出する幅1.2
mmのスリットの中に、直径0.25mmの紡糸孔を設けた紡糸
口金を用い、紡糸口金温度320℃(紡糸粘度約2,000ポイ
ズ)、スリットでの気流速度200m/sec、ピッチの吐出量
0.2g/minで繊維ネットコンベヤー上に採取した。
得られたピッチ繊維を常法により不融化し、さらに引
き続いて最高温度2800℃で炭化処理を行なった。
得られた平均繊維長18cmの炭素繊維の横断面を、厚さ
約0.07μmの薄片を作って、透過型電子顕微鏡により観
察した。
横断面は第3図に示すように平均相当直径がほぼ0.3
μmの、さまざまな配向方向を持った小ドメインからな
るランダム状の構造を有していた。炭素層は褶曲してい
るものが多く認められた。
実施例5 実施例4と同じピッチ及び紡糸口金を用い、紡糸口金
温度を変更して繊維を採取した。
得られたピッチ繊維を常法により不融化し、さらに引
き続いて最高温度2800℃で炭化処理を行なった。
得られた炭素繊維の横断面を、厚さ約0.07μmの薄片
を作って、透過型電子顕微鏡により観察した。
紡糸口金温度を370℃とした場合、平均相当直径は1.1
μmとなり繊維強度としては実施例4にかなり劣る結果
となった。
紡糸口金温度を355℃とした場合、横断面の構造はモ
ザイク状となり、小ドメインの相当直径は平均0.8μm
であった。
紡糸口金温度が305℃の場合、平均繊維長は38cmと長
くなった横断面の配向構造は微細化し、小ドメインの相
当直径は平均0.07μmで境界が明瞭でなくなる傾向を示
した。
紡糸口金温度が295℃の場合には、ピッチの粘性が大
きくなるため、紡糸が極めて不安定になった。
実施例6 軟化点272℃、メソフェーズ含有率78%の石炭系ピッ
チを原料とし、紡糸孔の内径0.1mm、外径0.25mmの中空
針状の紡糸孔の周囲から340℃の加熱空気を噴出する紡
糸口金を用いてメルトブロー紡糸を行なった。紡糸口金
温度325℃、加速空気の噴出速度120m/秒で繊維を製造
し、ネットコンベヤー上にシート状に採取した。
得られたピッチ繊維を実施例1と同様の条件で不融
化、炭化を行なったところ、実施例1と類似のモザイク
状構造を有する炭素繊維が得られた。
〔発明の効果〕
本発明はメソフェーズピッチからメルトブロー法によ
り紡糸された、繊維に亀裂を生び難い高強度高弾性率の
不連続な炭素繊維に関する。
本発明の炭素繊維は、横断面に於ける炭素層の配向が
ほぼ均一な小ドメインが多数、モザイク状に集合してい
ることを特徴とする。本発明の炭素繊維と平均的には炭
素層がランダム配向、もしくはラジアル方向を中心に分
布した配向を持っているが、小ドメインの境界では炭素
層の配向が急変するため、ひび割れが発生しても境界を
越えて成長し難く、引張強度及び疲労強度が大きい利点
を有する。
本発明の炭素繊維はメルトブロー法により製造される
ものであり、その製造装置が比較的簡単であるため製造
コストが低い利点を有する。また繊維をシート状に採取
することが容易にできる利点を有するため、不織布の製
法として優れている。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の炭素繊維の横断面に於ける配向構造の
特徴であるモザイク構造を説明する略図である。 第2図はラジアル状断面構造の、そして第3図はランダ
ム状断面構造の本発明の炭素繊維の横断面により繊維の
形状を表わす。透過型電子顕微鏡写真である。 1:小ドメイン 2:仮の境界線 3:炭素層 4:繊維外表面

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均相当直径0.03μm〜1μmであり、横
    断面に於ける炭素層の配向がほぼ一定である小ドメイン
    が繊維の横断面のほぼ全域をモザイク状に覆っており、
    かつ繊維の横断面全体では炭素層の配向が実質的にラン
    ダムであるか、あるいはラジアル方向を中心に分布して
    いることを特徴とするメルトブロー法により製造したメ
    ソフェーズピッチ系の不連続な炭素繊維。
  2. 【請求項2】炭素層が褶曲していることを特徴とする請
    求項1記載の炭素繊維。
  3. 【請求項3】小ドメインがほぼ均一な大きさを有してい
    ることを特徴とする請求項2記載の炭素繊維。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれかに記載の炭素
    繊維を主成分とする不織布。
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