JPH0142416Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、田植え時に苗の植付作業と同時に施
肥作業を行うべく施肥装置を一体に有せしめた乗
用形施肥田植機の改良に関し、更に詳しくは、上
記施肥装置における肥料タンクをこの田植機の補
助座席に兼用利用する簡単な機体構造によつて、
苗植付作業機に対する苗補給作業を容易となし、
かつ専任作業員の乗車をも可能とした田植機を提
供するものである。

乗用形田植機は一般に、乗用形機体の後尾に苗
植付作業機を連結すると共に、機体の前部上に予
備苗を収納するラツクを設けて、田植え作業に伴
つて苗植付作業機側の苗のせ台から苗が減少して
ゆくのに応じ、遂時予備苗収納ラツク中より予備
苗を引出し、これを苗のせ台に補給できるように
しているが、この苗補給作業を従来では田植機の
操縦者席位置より行なわしていたため、操縦者の
労力的負担が大きい難点があり、特に６条植え、
８条植えのように苗植付条数を多くとつた田植機
では、苗植付作業機も大型化し、且つその苗のせ
台が、操縦席から容易に手の届く範囲を越えて機
体両外側に突出することになるから、操縦席から
最も遠い両端部の苗のせ台に対する苗補給にあた
つては、操縦者に操縦席から立ち上がるような過
剰な動きを強いることになつていた。それ故、操
縦者の疲労は一層大きく、またその間機体の操縦
がおろそかになつて、田植機の走行に危険をもた
らし、場合によつては田植機を一時停止させて苗
補給を行なうような非能率的使用をせねばならな
かつた。

本考案はかかる不都合を簡単な機体構造によつ
て払拭すべく案出されたもので、その要旨とする
ところは、乗用形田植機のうち、施肥装置を一体
装備した乗用形施肥田植機において、該施肥装置
に用いる肥料タンクを操縦席の側部で且つ機体上
面に搭載して、これを機体に固有の補助座席とし
て使用することにより、この補助座席に操縦者が
座乗できるようになし、或は苗補給作業用専従者
の乗車を可能ならしめて操縦者をして苗補給作業
から解放させることによつて田植機走行上の安全
を確保し、併せて上記専任作業員の苗補給作業を
楽に行なはせうるようにした点にある。

以下、本考案の一実施例を図面に基づき説明す
ると、第１図および第２図は８条植えを行なう田
植機を示し、図中１は乗用形の機体であり、この
機体１に走行装置として左右一対ずつの前輪２お
よび後輪３が設けられると共に、該機体１の上部
は操縦部とされて操縦座席４、ハンドル５、各種
の操作レバー６等が装備され、また該機体１の前
部にエンジン７が搭載されると共に、このエンジ
ン７を挾む機体両側部に後記する構造を具備する
予備苗収納ラツク８が取付けられている。一方、
上記機体１の後尾に昇降用リンク機構９を介して
苗植付作業機１０が連結され、該作業機１０に機
体１側から動力を入力軸１１を経て受取る駆動装
置１２、該駆動装置１２によつて横方向に往復動
せしめられる苗のせ台１３，１３ａ、同じく駆動
装置１２にて駆動される植付爪機構１４等が一体
的に装備されている。１５はこの苗植付作業機１
を植付泥面上に保持するフロートである。また施
肥装置１６は肥料タンク１７、肥料埋込み器１
８、および肥料タンク１７底部の肥料操出し部１
９と肥料埋込み器１８とを連通接続する肥料給送
用ホース２０を含み、この施肥装置１６が左右一
対装備され、且つ各施肥装置１６における上記埋
込み器１８が前述のフロート１５の前方部に取付
けられると共に、肥料タンク１７が機体１側にお
いて、操縦座席４を挾む両側部で、且つ機体フレ
ーム２１の上面に突出的に固着され、この肥料タ
ンク１７の上面に座席シート２２を設置する等し
て該タンク１７により補助座席が構成されてい
る。

従つてかかる構成を有する田植機では、操縦者
を操縦座席４に乗車させるのであるが、機体１の
進行を一時的に停めて、肥料タンク１７上に設け
た補助座席２２に操縦者を座乗させて苗の補給作
業を行なわせうるのであり、或はこの補助座席に
苗補給作業用の補給者を専任的に乗車させること
も可能となるので、従つて苗植付作業機１０側に
おいて植付爪機構１４が順次苗のせ台１３，１３
ａから苗を取出して植付けてゆくに伴い、上記作
業員によつて遂時予備苗収納ラツク８中の予備苗
を苗のせ台１３に補給させることが可能になる。
そして、この苗補給作業にあつては、補助座席２
２が操縦席４の側部に配置されているから、作業
員の乗車位置も、機体１の前後方向中心から外側
寄りとなつて、その分だけ該作業員と、外端側に
存する苗のせ台１３ａとの距離が近くなり、この
苗のせ台１３ａが補助座席２２から容易に手の届
く範囲内におさまる。故に作業員は補助座席２２
に座つたまゝ手を伸ばすだけで、外端側の苗のせ
台１３ａにも楽に苗を補給できる。

前述の予備収納ラツク８は第１図および第２図
の実施例図面では、エンジン７の両側部におい
て、機体１に前後一対の支柱２３，２３を立設さ
せ、この前後の支柱２３，２３にわたつて複数枚
のラツク板２４…を上下多段に固着して、これら
ラツク板２４上に挿抜自在に苗箱２５を収納させ
るように構成しており、更に第３図の如く機体中
心側（エンジン側）に向つて下がり勾配のテーパ
をラツク板２４に付与すると共に、該ラツク板２
４の傾斜下端にストツパー２６を起立形成して収
納した苗箱２５を常に機体中心側に滑り寄ろうと
する矢印(A)方向の自重の働きでストツパー２６に
接当させ、且つ同じくラツク板２４に起立形成し
た他のストツパー２７で苗箱２５を機体前後方向
から挾みこんで、位置決め保持させている。従つ
て、ラツク板２４のテーパ構造およびストツパー
２６，２７の共存によつて苗箱２５がラツク板２
４から脱落するのを避けることができるのである
が、圃場移動を比較的高速で行なうような場合に
は、上記構成だけでは、機体走行時の衝撃で苗箱
２５がラツク板２４から飛びだす惧れがあるた
め、第３図および第４図に示すようなクリツプ手
段２８を一体装備するのが望ましい。このクリツ
プ手段２８は、ラツク板２４の下面側ブラケツト
２９に枢軸３０を中心として回動自由に吊下され
た略Ｃ字状のクリツプ金具３１からなつており、
且つこのクリツプ金具３１が先杆部３１ａと基杆
部３１ｂとを枢支ピン３２にて接続した中折れ構
造とされると共に、該枢支ピン３２に巻着された
つる巻きばね３３のばね力を双方３１ａ，３１ｂ
に加えてクリツプ金具３１が縮径方向に付勢され
ている。それ故、第３図の仮想線に示すようにク
リツプ金具３１が垂れ下がつた非クリツプ姿勢か
ら、ラツク板２４上に苗箱２５を挿入し、且つつ
る巻きばね３３に抗してクリツプ金具３１を拡径
させつつ枢軸３０を中心に上方に持上げ、しかる
後先端爪部３４を上記ばね力で実線のように苗箱
２５に喰いこませるようにすれば、該苗箱２５に
クリツプ力が働いてラツク板２４上に強固に固定
される。また逆動作によつて苗箱２５からクリツ
プ金具３１を外せば、苗箱２５は引出し自由とな
る。更に、クリツプ金具３１はその尖鋭な先端爪
部３４に代えて第５図のフオーク板３５を形成
し、該フオーク板３５によつて苗箱２５をラツク
板２４に押さえつけるようにすれば、苗箱２５を
傷めることがなく、一層好適である。

尚、前記苗箱２５は図面では、予備苗３６を植
設させた苗床３７を皿板３８によつて支えたもの
を示している。

以上のよう本考案は、施肥装置を有する乗用形
の田植機において、この施肥装置における肥料タ
ンクを補助座席として利用したから、この肥料タ
ンクとは別個に補助座席を装備する場合に比べて
機体構造を簡素に保てるものであり乍ら、この補
助座席に作業員を乗車させて植付作業機に対する
苗補給作業を行なわせることにより、苗の補給作
業が迅速かつ無理なく安楽な姿勢で能率よく行な
わせうる利点を有するのである。

しかも、上記補助座席は操縦座席側部における
機体の略中央上面に設けられているから、機の重
心安定に寄与させ、しかも上記作業員の乗車位置
もそれだけ機体外側寄りとなつて、苗植付作業機
における外端部側苗のせ台も補助座席から容易に
手の届く範囲内におさめられる。それ故植付条数
の多い田植機においても、その苗のせ台の全面に
楽に苗を補給でき、作業員の労力的負担は小さ
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す田植機の側面
図、第２図は同じく平面図、第３図は予備苗収納
ラツクの一部拡大図、第４図は予備収納ラツクに
用いる止め金の一例を示す要部破断拡大図、第５
図ａ，ｂは止め金の変形例を示す側面図および平
面図である。 １……乗用形機担、４……操縦座席、１０……
植付作業機、１７……肥料タンク、１８……肥料
埋込み器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 乗用形機体側に肥料タンクを装備すると共に、
   この乗用形機体に連結された植付作業機側に肥料
   埋込み器を取付て、上記肥料タンクから肥料埋込
   み器に肥料を供給すべくした田植機において、上
   記肥料タンクを操縦席の側部に設置すると共に該
   タンク上面を補助座席として用いるようにしたこ
   とを特徴とする乗用形施肥田植機。