JPH0138349Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、車両用ドラムブレーキに関し、特に
ブレーキドラム制動面の摩滅によるブレーキシユ
ーの交換を容易にした制動間隙自動調整装置を備
えた車両用ドラムブレーキに関する。

〔従来の技術〕

一対のブレーキシユーをバツクプレートに枢支
し、該ブレーキシユーをホイルシリンダの拡開に
より、回転するブレーキドラムの内周面に摺接し
て制動作用を行なう車両用ドラムブレーキにおい
ては、ブレーキライニングの摩耗によつて生じる
制動間隙を補償すべく、両ブレーキシユー間に制
動間隙自動調整装置を備えたものがあり、ブレー
キドラム内周の制動面とブレーキライニングとの
間を、常に適正な制動間隙に保つているが、繰返
しの制動によつてブレーキドラムの制動面に凹溝
が形成され、この凹溝内にブレーキシユーがアジ
ヤストされていくため、ブレーキシユーが凹溝内
に入り込んで、メンテナンスやシユー交換による
ブレーキドラムの取外しを困難にすることがあ
る。

この対策として、例えば実開昭56−90519号公
報に示されるように、制動間隙自動調整装置のス
トラツトの両端をブレーキシユーにそれぞれ間隙
を存してボルト止めし、ブレーキシユーのドラム
入り込み時には、バツクプレート外部よりボルト
を外してブレーキシユーを前記間隙の分縮径させ
て入り込みを解除させていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、上記の構造では、ストラツトと両ブレ
ーキシユー間をボルトで連結する場合の位置合せ
が面倒で好ましくなかつた。

そこで本考案は、ブレーキシユーの入り込み解
除を容易にした車両用ドラムブレーキを提供する
ことを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上記の点に鑑みなされたもので、対向
配置した一対のブレーキシユーの端部を当接面で
支持するアンカをバツクプレートに設け、かつ制
動間隙自動調整装置を備えた車両用ドラムブレー
キにおいて、前記バツクプレートのアンカ取付部
にバツクプレート径方向の長孔を穿設し、前記ア
ンカには、上記長孔内を移動する突起をバツクプ
レートより突出して設けるとともに、前記当接面
をバツクプレート径方向のテーパ状に形成し、該
アンカをバツクプレート径方向に移動可能に取付
けたことを特徴とする。

〔作用〕

このように構成することにより、アンカとバツ
クプレートとの取付けを解除したのち、バツクプ
レートの長孔に沿つてアンカの突起を移動させる
と、アンカのブレーキシユー当接面がテーパ状に
形成されているので、ブレーキシユーの端部がド
ラムの内方へ移動してブレーキシユーを縮径させ
る。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図乃び第２図は本考案の一実施例を示すも
ので、ドラムブレーキ１は、バツクプレート２に
一対の弓型ブレーキシユー３，４を、それぞれシ
ユーホールドダウンピン５，６、及びシユーホー
ルドスプリング７，８にて対向配置し、両シユー
３，４のウエブ３ａ，４ａの下端をアンカ９に、
拡開側となる上端を、バツクプレート２に固設し
たホイールシリンダ１０の両端に突出するピスト
ン１１，１１にそれぞれ当接している。

ブレーキシユー３，４のウエブ３ａ，４ａ間に
は、アンカ９の上部にリターンスプリング１２
が、またホイールシリンダ１０の下部にリターン
スプリング１３がそれぞれ張設されており、該ス
プリング１３は、制動間隙自動調整装置１４の外
周に巻装されている。

ブレーキシユー３のバツクプレート側面には、
バーキングブレーキレバー１５が回動可能に設け
られており、該レバー１５には、ブレーキケーブ
ル１６が連結されている。

上記制動間隙自動調整装置１４は、リターンス
プリング１２，１３の付勢力により縮小する両ブ
レーキシユー３，４の後退限を規制し、各ブレー
キシユー３，４の外周に設けたライニング１７，
１８の摩耗量を自動的に補償して、ブレーキドラ
ムとの制動間隙を常に一定に保持するためのもの
で、該調整装置１４は、両ブレーキユー３，４間
に配置されるストラツト１９と、爪車２０を備え
てストラツト１９に螺入するアジヤストボルト２
１と、アジヤストボルト２１を伸長させてアジヤ
スト作用を行なうアジヤストレバー２２と、該ア
ジヤストレバー２２をストラツト１９側へ付勢す
るアジヤストスプリング２３より構成される。

一方、バツクプレート２のアンカ９の取付面に
はバツクプレート２の径方向に長孔２４が、ま
た、該長孔２４の両側にはボルト挿通孔（図示せ
ず）をそれぞれ穿設している。

アンカ９は、該アンカ９のバツクプレート２の
取付面に前記長孔２４よりバツクプレート１の外
面に突出する突起２５を突設ししており、突起２
５の両側には、ボルト挿通孔（図示せず）が穿設
され、前記ブレーキシユー３，４のウエブ３ａ，
４ａの下端が当接すり当接面２６，２６は、バツ
クプレートの中心方向へ向けて狭くなるテーパ状
に形成され、反バツクプレート側に設けたブレー
キシユー３，４の浮上りを防止するアンカプレー
ト２７とともにボルト２８，２８と該ボルト２
８，２８に螺合するナツト２９，２９にてバツク
プレート２へ着脱可能に取付けられている。

本実施例は以上のように構成され、運転者のペ
ダル操作により、ホイールシリンダ１０に圧液が
供給されると、ピストン１１，１１が突出して両
ブレーキシユー３，４を拡開し、ライニング１
７，１８がブレーキドラムの内周面に摺接して制
動作用が行なわれる。

そして、ライニング１７，１８の摩耗により制
動間隙が所定量以上に広がると、制動間隙自動調
整装置１４のアジヤスト作用により摩耗量が順次
補償されて行く。更に制動作用の繰返しにより、
両ブレーキシユー３，４がブレーキドラムの内周
面の摩滅した凹溝内までアジヤストして入り込ん
だ場合には、前記バツクプレート２にアンカ９を
取付けたボルト２８，２８を取外し、バツクプレ
ート２の外面に突出した前記突起２５を工具等に
よりバツクプレート２の外周方向に押動すると、
アンカ９のブレーキシユー３，４の下端との当接
面２６，２６がバツクプレート２の中心方向へ向
けて狭くなるテーパ状に形成されているので、ブ
レーキシユー３，４の下端面の間隔が狭くなり、
これによりブレーキシユー３，４が縮径してブレ
ーギドラムへの入り込みを容易に解除することが
できる。

第３図及び第４図は、ブレーキシユー３，４の
浮上りを防止するアンカプレートをアンカに一体
に形成した別の実施例を示すもので、アンカ３０
は、前記実施例と同様に突起３１を突設し、当接
面３２，３２をバツクプレート２の中心方向へ向
けて狭くなるようにテーパ状に形成するととも
に、前記突起３１の両側にボルト装着孔３３，３
３を穿設し、前記当接面３２，３２の反バツクプ
レート側にはブレーキシユー３，４の浮上りを防
止する突片３４，３４を一体に形成している。

そして、本実施例においても前記実施例と同様
にボルト２８，２８を取外し、バツクプレート２
の外面に突出した前記突起３１を工具等によりバ
ツクプレート２の外周方向に押動しブレーキシユ
ー３，４を縮径させて入り込みを解除する。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように、バツクプレートのアン
カ取付部に、バツクプレート径方向の長孔を穿設
し、前記アンカには上記長孔内を移動する突起を
バツクプレートより突出して設けるとともに、ア
ンカの当接面をバツクプレート径方向のテーパ状
に形成し、該アンカをバツクプレート径方向に移
動可能に取付けたので、アンカとバツクプレート
との取付けを解除したのち、バツクプレートの長
孔に沿つてアンカの突起を移動させると、アンカ
の両ブレーキシユー当接面の間隔が狭くなり、両
ブレーキシユーが各々縮径するのでブレーーキド
ラムの凹溝に入り込んだ両ブレーキシユーを容易
に解除することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示し、
第１図はドラムブレーキの正面図、第２図は第１
図の−断面図、第３図は及び第４図は他の実
施例を示し、第３図は要部の正面図、第４図は第
３図の−断面図である。 １……ドラムブレーキ、２……バツクプレー
ト、３，４……ブレーキシユー、９，３０……ア
ンカ、２４……長孔、２５，３１……突起、２
６，３２……当接面、２７……アンカプレート、
２８……ボルト、３４……突片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 対向配置した一対のブレーキシユーの端部を当
   接面で支持するアンカをバツクプレートに設け、
   かつ制動間隙自動調整装置を備えた車両用ドラム
   ブレーキにおいて、前記バツクプレートのアンカ
   取付部にバツクプレート径方向の長孔を穿設し、
   前記アンカには、上記長孔内を移動する突起をバ
   ツクプレートより突出して設けるとともに、前記
   当接面をバツクプレート径方向のテーパ状に形成
   し、該アンカをバツクプレート径方向に移動可能
   に取付けたことを特徴とする車両用ドラムブレー
   キ。