JPH0137952Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車の柱部材に設けられるシート
ベルトアンカ取付部構造に関する。

現在普遍的に用いられている自動車用シートベ
ルトは、一端が車体側部の柱部材上部にアンカー
を介して取付けられ、他端がフロア部材にリトラ
クタを介して取付けられている。柱部材はインナ
ーパネルとアウターパネルとを互いに接合した閉
断面構造からなり、その内部にナツトを有するナ
ツトプレートが取付けられ、このナツトプレート
にシートベルトアンカーが取付けられる。インナ
ーパネル及びアウターパネルは板金製であるた
め、普通はナツトプレート取付部を補強して剛性
を高める目的で、該インナーパネルとアウタパネ
ルとの間にステイフナーを配置する。

従来公知のナツトプレートとして実公昭54−
25768号公報に開示された形状のものがある。公
知のナツトプレートは、内面にナツトが取付けら
れた基部と、該基部の両側からナツト側の面の方
向に折り曲げられた２つの側部とからなるほぼコ
字形断面を有し、両側部は基部の両端を越えて上
下方向に延長されている。このナツトプレート
は、両側部をアウターパネルの側壁に溶接するこ
とによつて柱部材に取付けられる。この公知の構
造のナツトプレートは、両側部の存在により、基
部の面に対し直角方向の力に対しては高い剛性を
示すが、該面に対し平行な方向の力に対しては基
部が座屈し易く、比較的強度が低いという欠点を
有する。

また実開昭54−100324号公報に開示されたシー
トベルトアンカ取付構造では、インナーパネルと
アウターパネルとを接合して閉断面を構成する柱
部材に取付けられるナツトプレートの全周辺にフ
ランジを形成し、両側のフランジをアウターパネ
ルに溶接すると共に、中央部にはインナーパネル
方向に凹入する凹部を形成し、その凹部にインナ
ーパネルに内接する平面を設けるとともに、該平
面部にナツトが取付けられる。この構造もボルト
の引張り方向の力に対しては強度が高いが、ボル
トの剪断方向の力、特に斜横方向の力に対しては
変形を起こし易いという欠点がある。

従つて本考案の目的は、シートベルトアンカの
取付部に作用するナツトプレートの基部の面に直
角方向の力及び該面に対し平行な方向の力のいず
れに対しても十分な強度を有するシートベルトア
ンカ取付部構造を提供することである。

本考案の構成は、インナーパネルとアウターパ
ネルとを互いに接合して閉断面構造に構成した柱
部材のインナーパネルとアウターパネルとの間に
ステイフナーを設け、ステイフナーにナツトプレ
ートを取付けたシートベルトアンカ取付部におい
て、ナツトプレートに対向するステイフナーの中
央部が切欠かれており、ナツトプレートの両側部
がステイフナーの両側部に各々溶接され、ナツト
プレートの両脚部のうち上側の脚部はステイフナ
ーの中央部の外面に、下側の脚部はステイフナー
の中央部の内面に、それぞれ溶接されていること
を特徴とする自動車のシートベルトアンカ取付部
構造である。

本考案によれば、両側部及び両端脚部が溶接さ
れているため、ナツトプレートの剛性が著しく高
められ、またステイフナーの中央部が切欠かれて
いることにより、側部とステイフナーとの溶接を
スムーズに行うことができ、この溶接接合を強固
なものにすることができる。この溶接部はアンカ
取付部に近接しているので基部の平行方向への変
形が起こりにくい。また、両側部がステイフナー
に溶接されていることと、上側の脚部がステイフ
ナー中央部の外側に、下側の脚部が内側にそれぞ
れたがいちがいに溶接されているので、基部に直
角方向の力に対しても容易に剥離するようなこと
はなく十分な強度が得られる。すなわち、本考案
によるアンカ取付部は衝撃力のいずれの方向の力
に対しても十分な強度を有している。

以下、本考案の実施例につき図面を参照にしつ
つ説明する。

第１図を参照すれば、ナツトプレートは背面に
アンカーナツト２が固定された基部３を備えてお
り、この両側には基部３より上下に長く延びた二
つの側部４，５及びこれと直角方向の両側には脚
部６，７がそれぞれ形成されている。第２図に示
すように、ステイフナー８の中央部８ａは切欠か
れており、第３図のように、ナツトプレート１は
この切欠き部に配置される。そしてナツトプレー
ト１は両側部４，５及び両脚部６，７でそれぞれ
ステイフナー８に溶接接合されている。この場
合、第４図に示すように脚部６，７の先端部は互
いに反対方向に折り曲げられており、上側の脚部
６の折り曲げ部６ａはステイフナー８の外側に、
下側の折り曲げ部７ａはステイフナー８の内側
に、接触しており、この折り曲げ部６ａ，７ａで
ステイフナー８と溶接接合される。

第５図を参照すれば、上記のように形成された
ナツトプレート及びステイフナーはインナーパネ
ル９及びアウタパネル１０の間に挾み込まれるよ
うに組み入れられている。

第５図に示すように、このシートベルトアンカ
取付部に衝撃力Ｆが作用した場合において、基部
３と直角方向の力F₁に対しては両側部４，５及
び脚部の折り曲げ部６ａ，７ａが溶接されている
ため、十分な剛性を有する。特に折り曲げ部とス
テイフナーの溶接部がたがいちがいにされている
ので容易に剥離するようなことはない。また基部
面に平行な方向の力F₂に対しては両脚部の剛性
が高くしかも折り曲げ部が溶接されているため補
強効果が高められていることと、切欠部があるこ
とにより、両側部の溶接が強固に行なわれるため
十分な強度を有する。

また、このシートベルトアンカ取付部に第４図
に示すように衝撃力Ｆが作用した場合、脚部６の
折り曲げ部６ａがステイフナ８の外側に溶接され
ているため、この溶接部にはく離方向の荷重が作
用することがなく十分な溶接強度が得られる。

なお、上記実施例では閉断面の柱部材として、
センタピラーを示しているが本考案は、アツパー
サイドレールやフロアーのアンカ取付部にも適用
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の１実施例に係るナツトプレ
ートの斜視図、第２図はステイフナーの斜視図、
第３図は第１図のナツトプレートを組込んだステ
イフナーの斜視図、第４図はナツトプレートとス
テイフナーの部分断面図、第５図は柱部材の断面
図である。 符号の説明、１……ナツトプレート、２……ア
ンカナツト、３……基部、４，５……側部、６，
７……脚部、８……ステイフナー、９……インナ
ーパネル、１０……アウターパネル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. インナーパネルとアウターパネルとを互いに接
   合して閉断面に構成した柱部材の前記インナーパ
   ネルとアウターパネルとの間にステイフナーを設
   け、該ステイフナーにナツトプレートを取付けた
   シートベルトアンカ取付部において、前記ナツト
   プレートに対向するステイフナーの中央部が切欠
   かれており、前記ナツトプレートの両側部がステ
   イフナーの両側部に各々溶接され、前記ナツトプ
   レートの両脚部のうち上側の脚部はステイフナー
   の中央部の外面に、下側の脚部はステイフナーの
   中央部の内面にそれぞれ溶接されていることを特
   徴とする自動車のシートベルトアンカ取付部構
   造。