JPH0228129Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は自動車の後部車体構造、詳しくはス
ペアタイヤの格納部を設けたフロアパネルを備
え、該フロアパネルにおける前記格納部の前方近
くにクロスメンバーを配設した後部車体構造に関
する。

一般に自動車の後部には、平行な１対のサイド
メンバー間に複数のクロスメンバーを架設して成
るリヤフロアメンバーを設け、該フロアメンバー
の上部にフロアパネルを取付けている。

また前記フロアパネルは、後部に対し前部を低
位として、この前部に後部座席の取付部を形成す
ると共に、フロアパネルの後部には絞り加工によ
りスペアタイヤの格納部を形成している。

しかして前記フロアパネルの後席取付部とスペ
アタイヤ格納部との中間位置に、後席用シートベ
ルトのアンカーを取付け、該アンカーに前記シー
トベルトを固定すべくしているが、前記フロアパ
ネルにおけるアンカーの取付位置は、強度的に弱
くなつている。

即ち、フロアパネルは、後部に対し前部が低位
とされ、中間に段部が形成されており、このフロ
アパネルの後部に、前記段部の一部に差しかかる
べくスペアタイヤの格納部が形成されるため、該
格納部の前部側は浅絞りとなつていて、この格納
部の前方周辺においては、強度が弱くなつている
のである。

そこでこの種フロアパネルにシートベルトのア
ンカーを取付けるに際して、例えば実開昭56−
13070号公報に示されるごとく、フロアパネルの
内面側でアンカー取付位置に補強部材を添設し、
該補強部材を介してフロアパネルにアンカーを取
付けることを考えたのであるが、斯くのごとくフ
ロアパネルに補強部材を設けただけでは、アンカ
ーの取付強度を大きく向上させることは期待でき
ないのであり、更には、前記アンカーの取付によ
り該部の車体強度の向上は図れないのである。

本考案は以上のごとき考察のもとに考案したも
ので、フロアパネルの下部に設けるリヤフロアメ
ンバーのクロスメンバーを利用して、アンカーを
取付けるアンカーブラケツトをフロアパネルとク
ロスメンバーとで構成される閉鎖断面空間に横断
するように設けることにより、アンカーブラケツ
ト及び前記アンカーの取付部における車体強度を
強化させるべくしたのであつて、後部に対し、前
部を低位とし、後部にスペアタイヤの格納部を設
けたフロアパネルを備え、該フロアパネルにおけ
る前記格納部の前方近くの下面側に、上面開放の
クロスメンバーを配設して、前記フロアパネルと
の間に閉断面空間を形成すると共に、前記クロス
メンバーの車幅方向ほぼ中央部で、前記格納部の
前方部位に、後席用シートベルトのアンカーブラ
ケツトを、前記閉断面空間を横断するごとく配設
して、前記クロスメンバーと閉鎖断面を形成し、
かつ、前記ブラケツトの前後部を前記クロスメン
バーとフロアパネルとの間に重合して固定する一
方、前記アンカーブラケツトにおけるアンカーへ
の固定部を前記フロアパネルに当接させたことを
特徴とするものである。

以下本考案にかかる自動車の後部車体構造を図
面の実施例によつて説明する。

図中１はリヤフロアメンバーであつて、前後方
向に延びる平行な１対のサイドメンバー１１，１
１間に、複数のクロスメンバー１２を架設して構
成し、前記リヤフロアメンバー１の上部には、フ
ロアパネル２を取付けている。

前記フロアパネル２は、後部に対し前部側を低
位となし、中間に斜前方に傾斜する段部２１を設
け、この段部２１の前部側に後部座席Ｃの取付部
２２を形成すると共に、後部側には絞り加工によ
りスペアタイヤＴの格納部２３を、前記段部２１
に差しかかるべく形成しており、この段部２１付
近の格納部２３は浅絞りとされている。

また前記フロアパネル２の段部２１で、前記格
納部２３の浅絞り部と対応する前方部位には、後
席用シートベルト３のアンカー４をボルトＢ及び
ナツトＮを介して固定し、このアンカー４に前記
シートベルト３を結合させている。

しかして前記車体構造において、前記シートベ
ルト３のアンカー４を、次のごとくして取付けた
のである。

即ち、前記フロアパネル２の下部で段部２１と
対応する箇所に、前記リヤフロアメンバー１を構
成するクロスメンバー１２のうち、１本のクロス
メンバー１２を配置し、このクロスメンバー１２
を上部が開放１２ａされた概略断面コ字形状に形
成する。

そして前記クロスメンバー１２の車幅方向ほぼ
中央部で、該メンバー１２の上方開放部１２ａ側
に、前記アンカー４の取付ブラケツト５を、前記
メンバー１２との間に閉鎖断面を形成すべく固定
するのであり、さらに具体的には前記メンバー１
２における開放部１２ａの両端縁に、外側方に延
びるフランジ１２ｂ，１２ｂをそれぞれ設け、こ
の各フランジ１２ｂ，１２ｂに前記ブラケツト５
をスポツト溶接して、ブラケツト５を前記メンバ
ー１２に固定するのである。

斯くして前記ブラケツト５を前記フロアパネル
２の段部２１で、スペアタイヤ格納部２３におけ
る浅絞り部の前方下面に当接させて、前記フロア
パネル２と前記クロスメンバ１２の各フランジ１
２ｂ，１２ｂをスポツト溶接で固定するときに、
該フロアパネル２とクロスメンバ１２との間に重
合して固定するのである。

さらに、前記フロアパネル２の段部２１の上部
に前記アンカー４を当接させて、該アンカー４の
外方から前記フロアパネル２、ブラケツト５及び
該ブラケツト５の内面側に設けたパツチ６へとボ
ルトＢを貫通させ、このボルトＢの貫通端部にナ
ツトＮを螺締させて、前記アンカー４を取付ける
のである。

以上説明したごとく本考案にかかる自動車の後
部車体構造では、後部に対し、前部を低位とし、
後部にスペアタイヤの格納部を設けたフロアパネ
ルを備え、前記格納部の前方近くに設けた前記シ
ートアンカー４の取付部におけるフロアパネル２
の下面側にクロスメンバー１２を配設させること
によつて、フロアパネル２のシートベルト３によ
る荷重に対する車体強度を向上しながら、しか
も、前記アンカーブラケツト５を、前記フロアパ
ネル２とクロスメンバー１２との間の閉断面空間
を横断するごとく配設して前記クロスメンバー１
２と閉鎖断面を形成するから、該アンカーブラケ
ツト５自体の強度も向上できるし、さらに、前記
ブラケツト５の前後部を前記クロスメンバー１２
とフロアパネル２との間に重合して固定し、か
つ、前記アンカーブラケツト５におけるアンカー
４への固定部を前記フロアパネル２に当接させた
ものであるから、前記シートベルトアンカー４の
取付部におけるフロアパネル２の強度をより一層
向上でき、この結果、アンカー４をフロアパネル
２の強度が弱い部分、つまりスペアタイヤＴ格納
部２３における浅絞り部で、剛性の低い前方部位
に取付けるにも拘らず、その剛性を向上してアン
カーを強固に取付けることができるのである。換
言すれば、前記シートベルトアンカー４の取付強
度を強化できるので、安全性を向上させることが
できるし、しかも、前記アンカーブラケツト５に
よつて車体後部の強度をも強化できる相互補完の
効果を期待できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる自動車の後部車体構造
を示す斜面図、第２図は同拡大縦断面図、第３図
は要部の平面図である。 １２……クロスメンバー、２……フロアパネ
ル、２３……格納部、３……後席用シートベル
ト、４……アンカー、５……アンカーブラケツ
ト、Ｔ……スペアタイヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 後部に対し、前部を低位とし、後部にスペアタ
   イヤの格納部を設けたフロアパネルを備え、該フ
   ロアパネルにおける前記格納部の前方近くの下面
   側に、上面開放のクロスメンバーを配設して、前
   記フロアパネルとの間に閉断面空間を形成すると
   共に、前記クロスメンバーの車幅方向ほぼ中央部
   で、前記格納部の前方部位に、後席用シートベル
   トのアンカーブラケツトを、前記閉断面空間を横
   断するごとく配設して、前記クロスメンバーと閉
   鎖断面を形成し、かつ、前記ブラケツトの前後部
   を前記クロスメンバーとフロアパネルとの間に重
   合して固定する一方、前記アンカーブラケツトに
   おけるアンカーへの固定部を前記フロアパネルに
   当接させたことを特徴とする自動車の後部車体構
   造。