JPS594822Y2 - 自動車の車体後部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車の車体後部構造、特にシートベルトを装
備してなる自動車において衝突時シートベルトに加わる
荷重により生じる車体の変形を防止するための車体補強
構造に関する。

従来、シートベルトは一般に第１図に示すように、後席
用シートベルトはフロアａのキックアップ部すにアンカ
ーナラ）ｃを溶着した補強板ｄを固定してシートベルト
アンカレッジを形成し、該アンカナツトＣにアンカーボ
ルトによりシートベルトアンカー（図示せず）を固定す
る構造としており、また前席用シートベルトは同様にア
ンカーナツトＣ′を溶着した補強板ｄ′をフロアトンネ
ル（フロアトンネルのないものはフロア）に固定してシ
ートベルトアンカレッジを形威しアンカーボルトにより
アンカーを固定する構造としている。

しかしながら、シートベルトアンカレッジ部を単に補強
部材で補強するだけでは衝突時シートベルトに大荷重Ｐ
が加わった場合、フロア自体の剛性が該大荷重に耐えき
れず、第１図一点鎖線で示すようにフロアａが大きく変
形し、シートベルト本来の機能を充分発揮できないこと
がある。

そのため、従来、該シートベルトアンカレッジ部を補強
するため、上記補強部材を大きくしたりあるいは他の補
強部材を追加する方法が行なわれているが、これらの方
法では部品点数の増加や重量増加といった問題が生じる
。

また荷重を車体の剛性体に分散支承する考えから、シー
トベルトをクロスメンバーやサイドメンバー等に直接、
あるいは前記補強部材を介して固定する方法が種々試み
られている。

一般に、例えば実開昭５０−１５３３１３号公報のよう
に車体のフロア下方の空間には燃料タンクが配置されて
いる。

本考案は、上記問題に鑑み、既存の燃料タンクを利用し
た補強構造に関するものであり、車体フロア自体の剛性
を向上させてフロアの変形を減少させることにより、シ
ートベルトアンカレッジ部の補強対策を容易にし、補強
構造の簡略化を図り、部品点数あるいは補強部材の板厚
の減少を可能ならしめ、重量の低減およびコストダウン
を図るものである。

以下、図面に示す実施例にもとづき本考案を説明する。

第２図〜第４図は本考案の実施例を示し、第２図は車体
を前後方向に切断した断面図、第３図は部分斜視図、第
４図は後席用シートベルトアンカレッジ部の構造を示す
部分拡大図である。

図において、１は車体フロアで、該車体フロアはその後
方に上方に突出するキックアップ部１ａが形成され、さ
らにその後方には該キックアップ部１ａから段下げした
トランクルームフロア１ｂが形成されている。

上記キックアップ部１ａおよびその前方の段部１Ｃ下面
にはそれぞれ第１クロスメンバー２および第２クロスメ
ンバー３が配置され、それぞれフロア１とともに閉断面
構造体を形成している。

なお４は後部座席である。上記フロア構造において、Ａ
およびＢはそれぞれ前席用および後席用シートベルト５
および６のアンカー７および８を取り付けるためのシー
トベルトアンカレッジ部であり、前席用シートベルトア
ンカレッジ部Ａはフロア１に溶接固定された補強部材９
および該補強部材９に溶接固定されたアンカーナツト１
０から構成されており、アンカーボルト１１をアンカー
ナツト１０に締め付けることによりアンカー７を該アン
カレッジ部Ａに固定する構造、となっている。

一方、後席用シートベルトアンカレッジ部Ｂは上記前席
用アンカレッジ部Ａと同様にフロア１のキックアップ部
１ａの下面に固定された補強部材１２および該補強部材
１２に固定されたアンカーナツト１３により構成されて
おり、アンカーボルト１４をアンカーナツト１３に締め
付けることによりアンカー８を該アンカレッジ部Ｂに固
定している。

この後席用アンカレッジ部Ｂの補強部材１２は第４図に
示す如く後方に延長され、その先端部１２ａは第１クロ
スメンバー２の下面に溶接固定されている。

１５は前記第１クロスメンバー２および第２クロスメン
バー３の間のフロア１下方に配置された燃料タンクで、
その前端部はフランジ１６を上記第２クロスメンバー３
にボルト１７により固定されており、また後端部はフラ
ンジ１６を第１クロスメンバー２に溶接固定した取付ブ
ラケット１８にボルト１７により固定されている。

以上のように本考案は車体フロアのキックアップ部およ
びその前方のフロア下面に設けた２つのクロスメンバー
間に燃料タンクを配置し、該燃料タンクを該２つのクロ
スメンバーにボルト等の締結手段により強固に固定し、
燃料タンクを介して２つのクロスメンバーを連結する構
成としたため車体フロア自体の剛性が向上することにな
る。

したがってシートベルトを装着車において、衝突時、シ
ートベルトを介してフロアに荷重が加わってもフロアの
変形を減少させることができ、そのため補強対策として
はシートベルトアンカレッジ部を補強して応力集中を緩
和するだけでよく補強対策が極めて容易となり、補強構
造の簡略化、板厚の減少が可能となり重量低減およびコ
ストダウンを図ることができる。

さらに本考案は上記構成により車体フロア自体の剛性を
向上させる構造のため前席用および後席用双方のアンカ
レッジ部の変形を防止できるため各々のアンカレッジ部
に変形を減少させる構造を採る場合に比べ構成が簡単と
なる利点を有する。

さらに、実施例に示すようにシートベルトアンカレッジ
部を構成する補強部材をクロスメンバー等の剛性体に連
結する構成とすればより一層車体フロアの変形を減少さ
せることができるものである。

また、燃料タンクを本考案のようにキックアップ部より
前方に配置することにより追突時、車体後部がクラッシ
ュしても燃料タンクには影響が少なく燃料洩れ等が発生
することも少なくなるという効果をも合わせ持つもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の車体構造の概略図を示す断面図、第２図
は本考案の車体構造を示す断面図、第３図は同部分斜視
図、第４図は第２図の部分拡大図である。 １・・・車体フロア、１ａ・・・キックアップ部、２・
・・第１クロスメンバー、３・・・第２クロスメンバー
、Ａ・・・前席用シートベルトアンカレッジ、９・・・
前席用補強部材、Ｂ・・・後席用シートベルトアンカレ
ッジ、１２・・・後席用補強部材、１５・・・燃料タン
ク、１６・・・フランジ、１８・・・取付ブラケット。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体フロアに前席用および後席用シートベルトアンカレ
   ッジを形成してなる自動車において、車体フロア後方の
   キックアップ部下面に設けられた第１クロスメンバーと
   、該キックアップ部前方の車体フロア下面に設けられた
   第２クロスメンバーと、該第１および第２クロスメンバ
   ー間に配設された燃料タンクとからなり、該燃料タンク
   の後端部は第１クロスメンバーに、前端部は第２クロス
   メンバーにそれぞれ固着され、前記後席用シートベルト
   アンカレッジは、前部を車体フロア下面に、後部を第１
   クロスメンバーに固着してなる補強部材、および該補強
   部材の前部に固着されたアンカーナツトから構成されて
   なることを特徴とする自動車の車体後部構造。