JPS602996Y2 - 車両センタピラ−のシ−トベルト取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両センタピラーのシートベルト取付構造に関
する。

現在、大部分の車両ではその運転室内に例えば第１図に
示すように衝突事故から乗員を保護するためにシートベ
ルト１が取付けられており、このシートベルト１の一端
部はセンタピラー２にボルトにより固締されている。

衝突事故時にはシートベルト１に前向きの高荷重が作用
するので従来のセンタピラー２そのものにシートベルト
１の一端部を固定するとシートベルト１による前向きの
高荷重によってセンタピラー２が変形し、それによって
シートベルト１の本来の機能を果せなくなるという問題
がある。

従って従来より例えば第２図から第４図に示すようにセ
ンタピラー２のシートベルト１取付部は補強構造となっ
ている。

第２図から第４図を参照すると、センタピラー２内には
第３図に示すようなコ字形断面の補強部材３が第３図の
×印の位置でセンタピラー２にスポット溶接され、シー
トベルト１の一端部は補強部材３に固着のナツト４に螺
着されたボルト５によってセンタピラー２に固定される
。

更に、第４図に示スように補強部材３には補強用橋絡部
材６が溶接部７によって固着される。

しかしながらこのような補強構造のセンタピラー２を用
いても第３図かられかるように補強部材３の中央部はそ
の構造上からスポット溶接することができないのでシー
トベルト１に前向きの高荷重が加わったときには第５図
に示すように補強部材３が伸びきってナツト４の取付部
が内方に膨出し、その結果センタピラー２が座屈してシ
ートベルト１の本来の機能が果せないという問題がある
。

本考案は生産性を低下させることなくシートベルトの取
付ナツト取付部が内方に膨出するのを極力抑制し、それ
によってシートベルトの本来の機能を確実に発揮できる
ようにしたシートベルトの取付構造を提供することにあ
る。

以下、添附図面を参照して本考案を詳細に説明する。

第６図を参照すると、１はシートベルト、２は車両セン
タピラーを夫々示し、このセンタピラー２はほぼコ字形
断面のアウタパネル１０と、インナパネル１１とにより
構成される。

センタピラー２の内部にはコ字形断面の補強部材１２が
設けられ、第６図から第８図に示すようにこの補強部材
１２はほぼ平坦な基部１２ａと、この基部１２ａの両端
から基部１２ａに対してほぼ垂直に延びる一対の両側片
１２ｂ、１２ｂとにより構成される。

第７図並びに第８図かられかるように両側片１２ｂ、１
２ｂは夫々基部１２ａに対して長手方向に突出し、この
両側片１２ｂ、１２ｂの突出部が第７図において×印で
示す位置においてアウタパネル１０の内壁面上にスポッ
ト溶接される。

補強部材１２の基部１２ａにはボルト挿通孔１３が形成
され、このボルト挿通孔１３に整列してナツト１４が基
部１２ａの背面に溶接固定される。

一方、インナパネル１１上にもボルト挿通孔１３と整列
するボルト挿通孔１５が形成され、更にこのインナパネ
ル１１は補強部材基部１２ａの前面に重ね合わせるよう
にしてアウタパネル１０とスポット溶接により互いに結
合せしめられる。

第６図に示されるようにナツト１４にはボルト１６が螺
着され、このボルト１６によってシートベルト用支持プ
レート１′が支持される。

なお、シートベルト用支持プレート１′とインナパネル
１１間にはスペーサ１７が挿入される。

一方、第６図並びに第８図に示されるように補強部材１
２の内面にはコ字形断面の補強用橋絡部材１８が挿着さ
れ、この橋絡部材１８は補強部材基部１２ａに対してほ
ぼ平行に延びる下段部１８ａ、上段部１８ｃをもつ役付
部１８ｅと、この役付部１８ｅの両端から段付部１８ｅ
に対してほぼ垂直に延びる両側片１８ｂ、１８ｂとによ
り構成される。

橋絡部材両側片１８ｂ、１８ｂはその橋絡部１８ａに対
して補強部材両側片１２ｂ、１２ｂと同一方向に延設さ
れ、これら橋絡部材両側片１８ｂ、１８ｂが補強部材両
側片１２ｂ、１２ｂの内壁面にスポット溶接される。

橋絡部材１８は長手方向断面（第６図Ａ−Ａ断面）が第
９図に示すように台形の段付部１８ｅを有し、この段付
部１８ｅは中央部をコ字形補強部材基部１２ａからの間
隔を大きくした上段部１８ｅとし、中央部の上下部をコ
字形補強部材基部１２ａからの間隔を小さくした下段部
１８ａとし、上段部１８ｃと下段部１８ａを結ぶ折曲げ
部１８ｄが全幅に亘って設けられる。

上段部１８ｃ上にはボルト挿通孔１９が形成され、第６
図に示されるようにボルト１６の先端部がこのボルト挿
通孔１９内を貫通して延びる。

本考案によれば第８図かられかるように橋絡部材１８の
下段部１８ａが補強部材１２の基部１２ａの近傍に位置
しており、従って補強部材両側片１２ｂ、１２ｂの中央
部は基部１２ａの近傍において橋絡部材１８によって支
持される。

従って衝突事故時にシートベルト１に高荷重が作用した
ときに補強部材側片１２ｂが第５図に示すように伸びき
ることがなく、また橋絡部材１８が突っ張っているので
補強部材基部１２ａの変形量が少なく、その結果ナツト
取付部が第５図に示すように膨出するのを阻止すること
ができる。

従って衝突事故時におけるセンタピラー２の断面形状変
化を抑制することができる。

また、橋絡部材１８の全幅に亘る折曲げ部１８ｄで段付
部１８ｅを形成することによって橋絡部材１８自体の強
度が向上し、またナツト１４に対面していない下段部１
８ａを補強部材基部１２ａに十分近づけることができる
ので更に補強効果が向上し、それによってナツト取付部
の膨出を更に抑制することができる。

また、ボルト１６の先端部を橋絡部材１８のボルト挿通
孔１９内に挿入することによってシートベルト１に高荷
重が加わったときにボルト１６の先端部の自由な移動が
阻止され、その結果シートベルト１に高荷重が加わった
ときにセンタピラー２に加わるねじ荷重をセンタピラー
１、補強部材１２並びに橋絡部材１８の全体で受けるこ
とになるので更にセンタピラー２の変形量は少くなる。

このようにシートベルト１に高荷重が加わった際にシー
トベルト取付部におけるセンタピラー２の変形量を小さ
くできるのでセンタピラー２が座屈を起すのを阻止でき
、斯くしてシートベルト１の機能を確実に果せることに
なる。

また、橋絡部材１８は生産性のよいスポット溶接を採用
することができるので製造コストを低減することができ
るという利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は車両内部の斜視図、第２図は第１図の従来のセ
ンタピラーの一部の斜視図、第３図は従来の補強部材の
斜視図、第４図は第２図のＩＶ−ＩＶ線に沿ってみた従
来のセンタピラーの断面図、第５図はシートベルトに高
荷重が作用したときの第４図と同様に示す従来のセンタ
ピラーの断面図、第６図は第４図と同様に示す本考案に
よるセンタピラーの断面図、第７図は本考案による補強
部材の斜視図、第８図は第７図の補強部材を反対側から
見たところを示す斜視視図、第９図は第６図に示すＡ−
Ａ断面の橋絡部材のみを示す図である。 １・・・・・・シートベルト、２・・・・・・センタピ
ラー、１０・・・・・・アウタパネル、１１・・・・・
・インナパネル、１２・・・・・・補強部材、１４・・
・・・・ナツト、１６・・曲ボルト、１８・・・・・・
橋絡部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 背面にナツトを固着した基部と、該基部の両端から該基
   部に対してほぼ垂直に延びる両側片とにより構成された
   断面コ字形の補強部材をほぼ断面コ字形のアウタパネル
   とインナパネルからなる車両センタピラーのシートベル
   ト取付部に設けである上記両側片を夫々対応する該コ字
   形アウタパネルの内壁面に溶接固定し、上記インナパネ
   ルを補強部材の基部前面に重ね合わせるようにしてアウ
   タパネルに固着し、該インチパネルを貫通して上記ナツ
   トに螺着されたボルトによってシートベルトの一端部を
   インナパネルに固定するようにしたシートベルト取付構
   造において、上記補強部材の基部に対してほぼ平行に延
   びる上段部と下段部をもつ段付部と、該役付部の両側端
   から該段付部に対してほぼ垂直に下段部よりみて上段部
   の側に向けて延びる両側片とにより構成されたコ字形補
   強用橋絡部材を該橋絡部材両側片が上記補強部材両側片
   と同一方向に延びるようにし、上段部には上記ナツトに
   螺合したボルトの先端を貫通して係止するボルト挿通孔
   を設け、前記コ字形補強用橋絡部材の両側片を該補強部
   材のコ字形内壁面内に挿着し、該橋絡部材両側片を夫々
   対応する補強部材両側片の内壁面上に溶接固定した車両
   センタピラーのシートベルト取付構造。