JPH0130613B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、金型キヤビテイー内を真空に引いた
状態で高速に樹脂を射出成形するための金型真空
シール装置に関するものである。

従来の技術 樹脂成形金型、特に射出成形金型においては、
キヤビテイーのガス抜きは成形品質上重要なポイ
ントであり、一般式にはパーテイング面や突出し
ピンにエアベントを設けている。しかし、エアベ
ントが小さいと排気が不充分になつて充填不足や
ガス焼け等の成形不良を生じ、大きいとバリが発
生するなどの品質低下を招き、その設定は微妙で
根本的な対策ではない。

特に、高速成形や精密成形を行うためにはエア
ベントでのガス抜きでは不充分であり、キヤビテ
イー内を予め真空に引いておくことが必要である
が、真空機械を用いて真空引きを行う場合には、
シール構造とタイミングが問題となる。

第３図の従来例の場合、可動側型板３に設けら
れた真空溝３ａは、エアベント３ｂによりキヤビ
テイーと連絡している。真空溝３ａの外側の溝に
はＯリング６が取付られており、固定側型板２と
可動側型板３間が閉じられると固定側型板２によ
りＯリング６が押しつぶされ、パーテイング面の
シールがなされる。シール後、キヤビテイー内の
空気はエアベント３ｂから真空溝３ａを通り、金
型外に貫通した穴から真空機械に引かれる。この
例の場合、シール構造は簡単であるが、型締後で
ないとシールがされないため、型締後の真空吸引
のための間隙が必要であり、成形サイクルが長く
なるという問題がある。

第４図の従来例の場合には、固定側型板２に、
可動側に突かつて突起部を設け、この突起部に相
対する可動側型板３の側面にＯリング６を取付け
ている。固定側型板２と可動側型板３間が閉じら
れていき、固定側型板２の突起部がＯリング６に
当たるとパーテイング面のシールがなされる。シ
ールがなされた状態では、いまだ固定側型板２と
可動側型板３の間には隙間があるため、第３図の
従来例のようにエアベントや真空溝を設ける必要
はなく、隙間からキヤビテイーの真空引きができ
るが、固定側型板２の突起部がＯリング６および
可動側型板３と離れたり摺動する動作を繰返すた
め、Ｏリング６の破損や型板２，３のカジリを発
生し易く、シールの耐久性に問題がある。

発明が解決しようとする問題点 このように従来の第３図の構成例の場合、型締
後でないと両型板間のシールがされないため、型
締後の真空吸引のための間隙（エアベント、真空
溝）が必要であり、また成形サイクルが長くなる
という問題を有し、また第４図の構成例の場合、
成形のたびに固定側型板２の突起部がＯリング６
および可動側型板３と離れたり摺動する動作を繰
り返すため、Ｏリング６の破損や型板２，３のカ
ジリが発生しやすく、シールの耐久性に問題を有
するものである。

本発明はこのような従来の問題点を解消するも
ので、型締工程中にパーテイング面のシールと次
いでキヤビテイーの真空引きができ、成形サイク
ルの短縮化を図ることができ、しかもシールの耐
久性、信頼性に優れた樹脂成形金型の真空シール
装置を提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 本発明の真空シール装置は、固定側型板あるい
は可動側型板に取付けられた第１のＯリングにシ
ールされながら固定側型板あるいは可動側型板の
型厚方向に摺動可能なごとく摺動体を設置し、型
締工程の途中で可動側型板あるいは固定側型板に
取付けられた第２のＯリングを上記摺動体の先端
で押し付けることによりパーテイング面のシール
を行うようにしたものである。

作 用 本発明の真空シール装置は、型締工程の途中で
摺動体にて一方の型板のＯリングを押し付けてパ
ーテイング面のシールをはかるようにしたため、
型締工程の途中から真空機械による真空吸引が可
能となり、成形サイクルの短縮化がはかれるとと
もに、上記摺動体をＯリングに押し付けてシール
をはかることにより両型板にカジリが発生するこ
とはなく、耐久性および信頼性を高めることがで
きる。

実施例 以下、本発明の一実施例の真空シール装置を図
面を参照して説明する。

第１図に示すように、固定側および可動側の型
板２，３のそれぞれ外周に加工された溝にＯリン
グ５，６が取付けられている。固定側の型板２に
は、両端にネジが切られ一端にナツト９を装着し
たハンガーボルト７により型厚方向に摺動自在に
摺動リング４が取付けられており、この摺動リン
グ４はＯリング５とは常にシールされた状態にあ
る。摺動リング４はバネ８により可動側型板３の
位置する方向に付勢されている。

次に、第２図を用いて動作の説明を行う。第４
図ａの状態から成形機の型締機構により型締めが
行われ、固定側型板２と可動側型板３の間が閉じ
られていくと、バネ８により可動側に付勢された
摺動リング４のテーパ面がＯリング６に当たり、
バネ８の力でＯリング６を押しつぶすことによつ
てパーテイング面のシールがなされる（第２図
ｂ）。シールのタイミングは、ナツト９の位置を
ずらしてハンガーボルト７の摺動ストロークを変
えることにより調整できる。この第４図ｂのタイ
ミングで真空機械はシーケンスにより起動し、真
空吸引を行う。摺動リング４は型締めとともに、
Ｏリング６を押しつぶしたまま固定側の取付板１
方向に逃げ、パーテイング面は完全に閉じられる
（第２図ｃ）。型締めが完了すると成形機により射
出が行われ、真空に引かれたキヤビテイー内に樹
脂が高速に充填される。

このように、型締工程で固定側と可動側の型板
２，３間がシールできるので、エアベントが不要
となり、バリの心配がなく、型締状態ではキヤビ
テイー内は既に真空に引かれているため、即時に
射出・充填ができ、成形サイクル的にも有利であ
る。

また、キヤビテイーの大きさや真空機械の能力
によつては、ハンガーボルト７のストロークを変
えて真空引きのタイミングを調整できる。

さらに、Ｏリング５，６を固定側と可動側の
各々に用いることにより、摺動リング４との間に
無理な作用がなくなり、シールの耐久性の点から
も優れている。

発明の効果 以上のように本発明の金型真空シール装置は、
固定側および可動側の型板間に橋渡し用の摺動体
を設けることにより、型締工程の途中でパーテイ
ング面のシールができ、真空機械によるキヤビテ
イーの真空引きを可能としたものであり、成形サ
イクルの短縮を図ることができる。

また、固定側と可動側の型板間を直接シールす
るのではなく、固定側型板と摺動体、摺動体と可
動側型板と２段でシールすることにより、型板と
Ｏリングの干渉および固定側と可動側の型板同士
の干渉によるトラブルを防ぐことができ、シール
の耐久性・信頼性の点からも有利である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例における金型真空シ
ール装置の断面図、第２図ａ，ｂ，ｃはその動作
工程を示す部分断面図、第３図、第４図はおのお
の従来例の金型真空シール装置を示す断面図であ
る。 ２……固定側型板、３……可動側型板、４……
摺動リング、５，６……Ｏリング、７……ハンガ
ーボルト、８……バネ、９……ナツト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 固定側型板、可動側型板のいずれか一方に第
   １のＯリングを取付け、他方のパーテイング面部
   に第２のＯリングを取付け、上記第１のＯリング
   にシールされながら型板の型厚方向に摺動可能な
   ごとく摺動体を設置し、型締工程の途中で他方の
   型板に取付けられた第２のＯリングを上記摺動体
   の先端で押し付けて両型板のパーテイング面のシ
   ールを行うようにしたことを特徴とする金型真空
   シール装置。