JPH0118908Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案はばねの力によつて被制動体に制動力を付
与し、電磁吸引力によつてその制動を解除する所
謂励磁解放形の電磁ブレーキに係り、構造を簡素
化するとともに軸方向の寸法を極力短縮させるこ
とのできるこの種電磁ブレーキを提供することを
目的とする。

先づ従来のこの種電磁ブレーキを第１図および
第２図について説明するに、第１図において１は
励磁コイル２を有するヨークで右側面が磁極面と
なつており、当該ブレーキの使用機械（図示せ
ず）の適所に固着される。３は左側面をヨーク１
の磁極面に対向させたアーマチユアでヨーク１に
横向きに貫通固定された調整ボルト４上を軸方向
へ摺動可能となつている。調整ボルト４は同一円
周上に複数個等間隔に配設される。５は調整ボル
ト４の端部に摺動自在に嵌入された環状プレート
でその調整ボルトに螺合されたナツト６によつて
そのボルトからの脱落が防止せられると同時にこ
のナツト６の回動によつてヨーク１の磁極面から
の距離を変更できるようになつている。７はハブ
８にスプラインによつて係合せられたブレーキデ
イスクでアーマチユア３とプレート５間に介在す
る。９はヨーク１に設けられた孔に挿入支持され
た制動用バネで複数個設けられると共にアーマチ
ユア３を左右へ偏倚させ、このアーマチユアを介
してブレーキデイスクをプレート５に押し付けて
いる。１０は制動トルクを伝達するピンでヨーク
１に横向きに植設され、アーマチユア３とプレー
ト５に貫通し、これ等を摺動自在に支承してい
る。

従来の一形式の電磁ブレーキはこのように構成
され通常バネ９のアーマチユア３に対する押圧力
に基づきブレーキデイスク７はアーマチユアとプ
レート５間に挟圧され、そのデイスクにハブ８を
介して動力的に連なる図示しない被制動軸にブレ
ーキが掛けられており、励磁コイル２に電流を供
給することにより、アーマチユア３が電磁吸引力
によつてバネ９の力に抗してヨーク１側に吸引さ
れ、これによりデイスク７に対するアーマチユア
とプレート５による挟圧力が解除され、従つて、
被制動軸に対するブレーキが解放される。また、
ヨーク１の磁極面とアーマチユア３間の磁気空隙
の調整についてはナツト６を回動させることによ
り、ヨーク１とプレート５間の距離が変るのでそ
の空隙の調整ができる。

第２図に示すものはヨーク１の磁極面とアーマ
チユア３間の磁気空隙の調整手段を異にするもの
でアーマチユア３の支承方法としてはヨーク１に
横向きに植設されたピン１０によつて、そのアー
マチユア３を軸方向へ摺動可能に支承するととも
にプレート５は円筒状部１１を形成し、この円筒
状部においてヨーク１の外周のネジ部に螺合さ
せ、このプレートを回動させることによつて、そ
の螺合部のネジ作用で該プレートを軸方向へ移動
させて上記磁気空隙を調整するようになつてお
り、その他の構成および作用については第１図の
それと同様であるのでそれと同一部分に同一符号
を付し、その説明を省略する。

上記従来の電磁ブレーキにおいては、第１図に
示す形式のものでは空隙調整のための調整ボルト
４はその長さをで表示する分だけ長くする必要
があり、それだけ全体の寸法が軸方向へ大きくな
るといつた不利があり、また第２図のものではプ
レート５に円筒状部１１を設け、この部分でヨー
ク１の外周に螺合するためその円筒状部の厚さＬ
だけ全体の径方向の寸法が大きくなる欠点がある
と同時に、これ等ヨークおよびプレートに径の大
きいネジを削設せねばならず、このための加工費
が嵩むと云つた不利もある。

また、一方この種電磁ブレーキは従来高トルク
と高仕事、および大なる耐久性が要求され、これ
に沿つたものが開発されてきたが、近年工業用ロ
ボツトの普及に伴ない軸方向寸法を極力短縮し、
サーボモータ内へも容易に収納できるような電磁
ブレーキが要求されてきた。

本案は上記従来の欠点を除去するとともにその
ような要求を満足することのできる電磁ブレーキ
を提供するもので以下第３図および第４図に示す
各実施例とともに本案を説明する。

第３図に示す第１の実施例において１は励磁コ
イル２を有するヨーク、３はアーマチユア、５は
プレート、７はブレーキデイスク、８はハブ、９
は制動用スプリングであり、これ等の構成につい
ては上記従来のものと略同様であるが本案では調
整ボルト１２として頭部を皿状とした所謂皿ネジ
を用い、このボルトの頭部をプレート５に埋没さ
せた状態に、このボルトをプレート５、およびア
ーマチユア３に貫通させた上、ヨーク１のネジ孔
にねじ込み、更にこの調整ボルトにトルク伝達部
材としてのカラー１３を嵌入させ、このカラーの
外周面と、この面と接合するアーマチユア面とを
制動トルク伝達面とすると同時に同カラー１３の
存在によつて調整ボルト１２のヨーク１に対する
ネジ部の結合を強固ならしめ、そのネジ部におけ
る調整ボルトのがたつきを防止するようにしたも
のである。

又、第４図に示す第２の実施例では第１の実施
例におけるトルク伝達部材としてのカラー１３の
代りに、一端部に平行面を形成し、この部分をス
パナに対する係合部としたネジ管１４を調整ボル
ト１２に螺合させたもので他の部分の構成につい
ては第１実施例の場合と同様なのでそれ等と同一
符号を対応部分に付すに止め、その説明を省略す
る。

更に第５図は他の実施例を示すものでトルク伝
達部材としてのカラー１５を調整ボルト１２に嵌
合させ、このカラーによつてアーマチユア３を摺
動自在に支承させ、このアーマチユアに働らくト
ルクを受けさせ、また同調整ボルト１２にナツト
１６を螺合させ、このナツトの締付けによりこの
ナツトとボルトとを突張り合わせ、これによつて
調整ボルトのネジ部をヨーク１に押圧させ、この
調整ボルトとヨークのネジ部に生じる摩擦力でそ
の調整ボルトの回り止めを行わせるようにしたも
のである。

本案の実施例はこのように構成されるものでそ
れ等のブレーキ本来の基本的な作用としては第１
図、および第２図に示す従来の電磁ブレーキのそ
れと何等異なるところはないが磁気空隙の調整に
ついては第３図および第５図に示す実施例ではカ
ラー１３，１５の夫々の長さを適宜選びヨーク１
とプレート５間の距離を設定することによつてそ
れを実現することができ、また第４図に示す実施
例ではネジ管１４を一方へ回動させて調整ボルト
１２のヨーク１に対するネジ結合を緩めた上、こ
のボルトを回動させて、このボルトの、ヨークに
対する突出度、従つてヨーク１とプレート５間の
距離を変更することにより、その空隙調整を行な
うことができる。

なお、各実施例とも調整ボルトとして皿状の頭
を有するものを示したがそれに限らず多角形或は
円形のものであつてもよい。

本案はこのように調整ボルトをヨークにねじ込
むとともにこの調整ボルトにカラを嵌入させ、或
はアーマチユアに対するトルク伝達面を有するネ
ジ管等を螺合させる構成として磁気空隙の調整を
可能ならしめたので調整ボルトの頭部はプレート
に埋没させることができ、従つて調整ボルトの頭
部をプレートの側方へ突出させた従来のものに比
し、その突出分だけ全体の軸方向の寸法を短縮さ
せることができ、また第２図に示すようにプレー
ト５をヨークに螺合させたものに比し、そのプレ
ートの円筒状部の厚みに相当する分だけ、径方向
の寸法を小ならしめることができ、かつその実施
例のようにヨークの外周、およびプレート円筒状
部の内周にネジを削設する必要がなく、即ち、大
径のネジを設ける必要がなく製作費を低減するこ
とができ、更には調整ボルトにカラー或はネジ管
を嵌合させ、これ等の外周面をアーマチユアとの
間のトルクの伝達面としたので、ピンを用いなく
てもボルトを直接トルク伝達部材としたもののよ
うにそのボルトが制動トルクによつて折損すると
いつた事故を防止、十分そのトルクに耐えさせる
ことができ、更にはそれ等のカラー、またはネジ
管の使用により調整ボルトのヨークに対するネジ
部の結合を強固ならしめ、そのネジ部のがたつき
を防止し、この部分の外力に対する耐久性を確保
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は従来の電磁ブレーキを示す縦
断面図、第３図、第４図および第５図は本案の実
施例を示すもので第３図、第４図は縦断面図であ
り、第５図は一部分のみ断面図である。 １……ヨーク、３……アーマチユア、５……プ
レート、７……ブレーキデイスク、９……バネ、
１２……調整用ボルト、１３，１５……カラー、
１４……ネジ管。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 一側面をヨークの磁極面に磁気空隙を隔てて
   対向させたアーマチユア、このアーマチユアに
   付与されたバネ力に基づきブレーキデイスク
   を、上記アーマチユアと共同して挟圧するプレ
   ート、このプレートとともに上記アーマチユア
   を貫通させたうえ、上記ヨークにねじ込まれか
   つ頭部が上記プレート外側に突出しないようプ
   レートに座ぐりしてその頭部を埋設したボル
   ト、およびこのボルトと上記アーマチユアの当
   該ボルトに対する貫通孔との間にブレーキトル
   ク伝達面を形成するトルク伝達部材とを備えて
   成ることを特徴とする励磁解放形電磁ブレー
   キ。 (2) 上記トルク伝達部材は上記ヨーク側面と上記
   プレート間の長さのカラーであつて上記ボルト
   に嵌入したことを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の励磁解放形電磁ブレーキ。 (3) 上記トルク伝達部材は上記ヨークと上記プレ
   ート間における適宣長さのネジ菅であつて、上
   記ボルトに螺合して成ることを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の励磁解放形電
   磁ブレーキ。 (4) 上記トルク伝達部材は上記ヨークと上記プレ
   ート間における適宣長さのカラーであつて、上
   記ボルトに嵌合し、かつ当該カラーの上記プレ
   ート側端面に当接するようナツトを上記ボルト
   に螺合したことを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の励磁解放形電磁ブレーキ。