JPH0116810Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、隣接する建物の壁体にまたがつて取
付けられる継手装置に関するものである。

従来より、建物壁体の膨脹収縮、地震振動、不
同沈下などに起因する建物の変形を吸収するため
に、壁体に一定の間隙を変形吸収可能な構造を有
する継手装置を用いて塞いでいる。

しかし、従来の継手装置は構造が複雑であり、
且つ上下左右方向の変形吸収性能が充分でないた
め、変形に追随適応できない場合が多く、上記の
間隙を確実に塞ぎ切れない問題点があつた。

本考案は、このような従来装置の持つ問題点に
鑑み、構造が簡単であつて変形吸収性能の大きい
継手装置を提供することを目的として、その構造
に独自の創意工夫を凝らしたものである。

即ち、本考案装置は、適宜間隔をおいて隣接す
る壁体の一方の上面にこの上面との間に他方の壁
体側に開口する空隙を形成して水切板を取付け、
他方の壁体側面にジヨイントプレートと補助体と
カバー材の各々の一端を係止する係止部を備えた
支持材を取付けて、当該支持材の係止部に一端を
係止したジヨイントプレートの他端を水切板の上
面に位置させ、当該ジヨイントプレートの下方で
上記支持材の係止部に一端を係止し且つ上記空隙
に他端を突入させて水切板の下面に当接する補助
体と上記ジヨイントプレートを、両者の間に介在
した引張スプリングで連結するとともに、上記支
持材の係止部に一端を係止し且つ他端を水切板上
に当接して上記ジヨイントプレート上に被着した
カバー材で、両壁体間を閉塞して成ることを特徴
とするものである。

以下、本考案を図示した実施例に従つて説明す
る。

第１図に示された壁体Ｗ１は建物の屋上に設け
られた立上り壁であり、これと適宜間隔１をおい
て隣接する壁体Ｗ２は建物の外壁である。

壁体Ｗ１の上面には水切板Ａが取付けられる
が、この水切板Ａは壁体Ｗ２の反対側へ下り勾配
を有する基板部２の壁体Ｗ２対向側に上方端部に
立上り部３を連設し、反対側の下方端部に垂下部
４を連設するとともに、当該垂下部４の裏面に取
付け用の係止突条５を有し、又、基板部２の立上
り部寄り下面にも取付け用の係止突条６を設けて
成るものである。

この水切板Ａは、壁体Ｗ１の上面に対して、一
点鎖線で示す固定金具Ｂを介在した状態で他方の
壁体Ｗ２側へ開口する一定の空隙イを保持して取
付けられる。

固定金具Ｂは、壁体Ｗ１の上面に当接重合する
基体７の壁体Ｗ２側端部に、上記水切板Ａの係止
突条６に係止する係止爪８を連結するとともに、
他側端部に垂下した縦壁部９の先端部に、上記係
止突条５に係止する鉤状係止片１０を連設して成
るものであり、壁体Ｗ１上面への固定にあたつて
は、誘水板１１及び両壁体Ｗ１，Ｗ２間にまたが
る止水板１２を押さえた状態で、アンカーボルト
１３を用いて固定する。

一方、壁体Ｗ２の側面には壁体Ｗ１の上端面よ
りも若干高い位置に支持材Ｃが取付けられる。こ
の支持材Ｃは一定幅を有する長尺材から成り、そ
の断面形状において、下端部に止水板取付け用凹
溝１４、中央部に係止部としてのジヨイントプレ
ート・補助体係止用凹溝１５、上端部に同じく係
止部としてのカバー材係止用凹溝１６を有してい
る。

この支持材Ｃを取付けた壁体Ｗ２と前記水切板
Ａを取付けた壁体Ｗ１との間隔１を閉塞するため
に、カバー材Ｄが両壁体Ｗ１，Ｗ２にまたがるよ
うに取付けられるが、カバー材Ｄを支持するため
にジヨイントプレートＥが用いられる。ジヨイン
トプレートＥは、一端に支持材Ｃの中央部凹溝１
５に係止する係止部１７を備えた翼板１８の他端
に、やや傾斜して垂下する脚片１９を有するとと
もに、係止部１７寄りにネジ取付け用凹部２４を
設けて成るものであり、上記係止部１７を中央部
凹溝１５内に嵌入して係止し、且つ他端の脚片１
９を水切板Ａの上面に位置させた状態で、両壁体
Ｗ１，Ｗ２間にまたがつている。

このジヨイントプレートＥの下方に補助体Ｆが
対向状態で設けられるが、この補助体Ｆは支持材
Ｃと別体に成形されており、ネジ通入部を有する
平板部２０の一端に、前記中央部凹溝１５に係止
する係止部２１を備えた〓型片２２を連設したも
のである。そして、その係止部２１を支持材Ｃの
中央部凹溝１５内に上記ジヨイントプレートＥの
係止部１７とともに嵌入係止しており、これによ
つて補助体Ｆは壁体Ｗ１の方向へ突出状に設けら
れ、平板部２０の他端である突出状先端部を水切
板Ａと壁体Ｗ１との空隙イ内に突入させ、且つ水
切板Ａの下面における前記係止突条６に平板部２
０が当接している。

この補助体ＦとジヨイントプレートＥは両者の
間に介在するコイル状引張スプリング２３によつ
て一体的に連結されているが、両者と引張スプリ
ング２３との連結は次のようになつている。

即ち、第２図に示すように、ジヨイントプレー
トＥのネジ取付け用凹部２４に挿通したネジ２５
の軸部２６と、補助体Ｆのネジ通入部に挿通した
ネジ２７の軸部２８とを向き合わせ、夫々の軸部
２６，２８に引張スプリング２３の端部を螺合す
ることにより、引張スプリング２３の端部がジヨ
イントプレートＥ及び補助体Ｆに連結される。

この結果、上方のジヨイントプレートＥと補助
体Ｆは、その間に介在連結した引張スプリング２
３によつて、互いに引寄せられる状態にあり、且
つ、引張スプリング２３の張力に抗して離反し得
るようになつている。このような状態の下で補助
体Ｆは水切板Ａ下面（この実施例では係合突条６
の先端）に圧接し、ジヨイントプレートＥは水切
板Ａに対して圧接しようとし、この圧接作用によ
り被着されるカバー材Ｄを水切板Ａの基板部２上
に圧接するようになつている。

上記ジヨイントプレートＥの上面に被着される
カバー材Ｄは、基板２９の壁体Ｗ２側に上部凹溝
１６との係止部３０を有しており、反対側には下
向きの支片３１を連設しているとともに、その下
端にはタイト材取付け用溝部３２を有して成るも
のであり、上記係止部３０を支持材Ｃの上部凹溝
１６内に嵌入係止し、且つ、支片３１の下端溝部
３１をジヨイントプレートＥの傾斜脚片１９上を
すべらせてその下端に係止させ、更に、上部凹溝
１６の開口部に嵌着された塞ぎ材３３で、係止部
３０を支持材Ｃに対して連結状態とし、これによ
つて、ジヨイントプレートＥを被うと同時に、両
壁体Ｗ１，Ｗ２間を閉塞しているのである。

なお、上記カバー材Ｄの支片下端に設けられた
溝部３２にはタイト材３４が取付けられており、
このタイト材３４は溝部３２がジヨイントプレー
トＥの脚片１９で下方へ押圧されていることによ
り、水切板Ａの基板部２上に圧接している。

従つて、壁体Ｗ１，Ｗ２の間隔１の状態がいか
ように変化しようとしても、水切板Ａの下面に当
接する補助体Ｆとの間に介装した引張スプリング
２３の作用によつてジヨイントプレートＥが常時
水切板Ａの上面に圧接しようとするので、カバー
材Ｄに取付けられたタイト材３４は確実に水切板
Ａとの圧接状態を保持することになる。

以上のように、本考案においては、一方の壁体
側面に取付けた支持体の係止部に一端を係止し且
つ他方の壁体上面に空隙を介して取付けた水切板
の下面に当接する補助体を設け、この補助体に連
結した引張スプリングを用いて、ジヨイントプレ
ートを、他方の壁体上面に取付けた水切板の上面
に位置させて圧接するものであるから、上記支持
材の係止部に一端を係止し且つ他端を水切板上に
当接してこのジヨイントプレート上に被着される
カバー材は一方の壁体側面と他方の壁体の水切板
上にまたがつて密着状態を保持し、確実に壁体間
を閉塞することができるのであり、従つて、両壁
体間に雨水が侵入することを防止できるのであ
る。

又、カバー材を被着状態としたジヨイントプレ
ートが水切板と重なり状態となつているので、壁
体間隔の拡大方向へのズレに対しては、水切板の
立上り部とジヨイントプレートの脚片との距離だ
け追随することが可能であり、逆に壁体間隔の収
縮方向のズレに対しては、水切板の立上り部と、
介在しているスプリングとの距離だけ追随するこ
とが可能となつている。

更に、壁体同士が上下方向へずれる場合には、
引張スプリングが伸びることによつて追随するこ
とができる上、壁体間の伸縮と上下方向のズレが
複合する場合には、引張スプリング自体の自由な
弾性変形によつて、適確に追随することが可能と
なつている。

而も、前記ジヨイントプレートと補助体は、引
張スプリングの作用で水切板を上下から挟持して
いる状態にあり、壁体間のいかなる変化に対して
も、ジヨイントプレートを水切板に向つて引寄せ
るようにしているので、ジヨイントプレートを水
切板に向つて引寄せるようにしているので、ジヨ
イントプレートと水切板の重なり状態が確実に保
持されると共に、壁体上面と水切板との間に設け
た空隙に補助体の端部を突入させているので、前
記補助体はその動きを妨げられることなく水切板
に常に圧接状態となつてジヨイントプレートの引
寄せをより確実にし、なお且つ柔軟な動作を実現
することができるのであつて、ジヨイントプレー
ト上に被着されたカバー材は確実に壁体間を閉塞
することができる。

このように、本考案は引張スプリングを用いた
ことにより、大きな変形吸収性能を有しているの
で、建物壁体の膨脹収縮、地震振動、不同沈下な
どに起因する建物同士の複雑な変形に対して適確
に追随し、両壁体間を確実に閉塞することのでき
る効果を発揮するのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る継手装置を示
す縦断面図、第２図は引張スプリングの連結状態
を示す要部断面図である。 符号、Ａ……水切板、Ｃ……支持材、Ｄ……カ
バー材、Ｅ……ジヨイントプレート、Ｆ……補助
体、Ｗ１，Ｗ２……壁体、１……間隔、１５……
凹溝（係止部）、１６……凹溝（係止部）、２３…
…引張スプリング、イ……空隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 適宜間隔をおいて隣接する壁体の一方の上面に
   この上面との間に他方の壁体側に開口する空隙を
   形成して水切板を取付け、他方の壁体側面にジヨ
   イントプレートと補助体とカバー材の各々の一端
   を係止する係止部を備えた支持材を取付けて、当
   該支持材の係止部に一端を係止したジヨイントプ
   レートの他端を水切板の上面に位置させ、当該ジ
   ヨイントプレートの下方で上記支持材の係止部に
   一端を係止し且つ上記空隙に他端を突入させて水
   切板の下面に当接する補助体と上記ジヨイントプ
   レートを、両者の間に介在した引張スプリングで
   連結するとともに、上記支持材の係止部に一端を
   係止し且つ他端を水切板上に当接して上記ジヨイ
   ントプレート上に被着したカバー材で両壁体間を
   閉塞して成ることを特徴とする継手装置。