JPH0114590Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、複写機等に用いられる給紙カセツト
に関する。

〔従来技術〕

複写機等に記録用紙（以下単に用紙と言う）を
供給するには、カセツトと呼ばれる箱状の容器に
多数の用紙を重ねて装填し複写機等の本体に装着
し、本体内に設けられた給紙ローラ等の給紙手段
によつて、一枚ずつ機内に送り込む方法が最も一
般的である。この際、正常な給紙を行なうために
は、集積された用紙がカセツト内の所定位置に正
確にセツトされていることが必要である。用紙の
位置が不正確であつたり動き易かつたりすると、
用紙上に形成される画像の位置がズレたり、紙詰
りが起つたりして実用上支障を来たすことにな
る。

第１図はカセツト給紙機構をもつた複写機の一
例を示す概容図であつて、給紙カセツトが装着さ
れた状態である。１はカセツトの本体をなす用紙
収納容器で、その底面に長方形の押上げ板２が設
けてある。そして、用紙Ｐは、押上げ板２の上に
集積して用紙収納容器１内に装填される。用紙Ｐ
は半月形の給紙ローラ３によつて一枚ずつ間欠的
に送り出され矢印ｐの経路を通り感光ドラム４上
に形成されたトナー像を転写されたのち定着ロー
ラ５によつて定着処理され完成した複写物となつ
て機外に排出される。押上げ板２は、複写機本体
側に設けられたレバー６によつて用紙Ｐの減少に
応じて徐々に押上げられ用紙Ｐの上面位置を常に
一定に保つている。レバー６は図に画かれていな
い本体側の駆動装置によつて駆動される。図中７
は現像装置、８は転写電極、９はクリーニング装
置である。

図の場合用紙Ｐの位置は収納容器の両側壁（図
には画かれていない）及び後端部の壁面によつて
規制されている。したがつて、サイズの異つた用
紙を使用する場合には、使用する紙のサイズに合
わせて収納容器の寸法を変えたり、或いは容器内
に固定の用紙位置規制部材を設けたりした専用カ
セツトを用意しその都度着し替えて使用するのが
普通であつたが、不使用のカセツトの保管に大き
なスペースを必要とする等、不便なことが多かつ
た。大型の複写機等ではサイズの異つた用紙をそ
れぞれ装填した複数のカセツトを並列的に装着し
ボタン操作によつて任意の用紙を引き出して使用
する等の方法も採られているが卓上型の小型機で
はこうした方法は実施困難であり、各種サイズの
用紙が使用できる汎用カセツトが望まれている。

このような目的のために、本出願人によつて次
に説明するような給紙カセツトの提案がなされて
いる。

すなわち、該提案は用紙を押上げる長方形の押
上げ板を、その長辺を使用する第１の系列の用紙
の一辺の長さに合わせ、押上げ板の短辺を使用す
る第２の系列の用紙の一辺の長さに合わせた長方
形とし、第２図のように使用する用紙のサイズに
応じてその取付方向を90゜変換することにより同
一のカセツトを第１、第２両系列の用紙に適応す
るようにしたものである。

第２図において２１はカセツトを構成する用紙
収納容器、２２は長方形の押上げ板でハツチング
を付してある。第２図Ａは押上げ板２２の長辺を
用紙進行方向（矢印で表示）に対し直角にセツト
した場合で図中一点鎖線で示した大型用紙を装填
することができ、又用紙後部押え板２４を移動さ
せれば２点鎖線で示すその1/2サイズのものも装
填可能である。

第２図Ｂ及びＣは第２図Ａと同一の収納容器２
１に押上げ板２２を、第２図Ａの場合から90゜回
転した、短辺を用紙進行方向に対し直角になるよ
うセツトした場合で、第２図Ａの場合よりも小型
の用紙（１点鎖線）及びその1/2サイズ（２点鎖
線）の用紙に使用できる。第２図Ｂの場合、側板
２３ｂは収納容器２１の側壁に固定するか、或い
は側壁そのものを側板として用いればよく、側板
２３ａ、及び後部押え板２４を変位可能とすれば
よい。第２図Ｃは用紙位置をカセツトの中央に合
わせた場合であつてこの場合には側板２３ｂも位
置可変にする必要がある。上記いずれの方法をと
ることも可能であるが取付位置を変えるべき部材
の少ない第２図Ｂの方式、すなわち押上げ板の位
置を片寄せ、その進行方向と平行な一辺を収納容
器の側壁と揃えるようにする方が好ましい。

押上げ板２２の短辺及び長辺の寸法は特に限定
されるものではなく、用紙サイズとその使用頻度
を勘案して定めればよいが、例えば一辺をJISA
列他辺をJISB列の用紙サイズに適合するように
すればよい。第２図の場合例えば押上げ板２２の
長辺を257mm短辺を210mmとすれば第２図Ａの状態
でB4判、B5判、第２図Ｂ又はＣの状態でA4判、
A5判の使用が可能である。

前記押上げ板を収納容器に対し着脱自在且つ回
動可能に取付けるには、公知の各種の方法を用い
ることが出来るが、例えば押上げ板の隣接した長
辺及び短辺にそれぞれ屈曲した突出部を設け、収
納容器底面に設けた取付孔に第３図のように引掛
けて留めるのが構造、取扱共に簡単で好ましい方
法である。収納容器底面の取付孔は第３図のよう
に下面に向け広げた形状とすることが押上げ板の
着脱を容易にする上で好ましい。

側板及び用紙後部押え板を取付位置変更可能と
するためには、収納容器の所要個所（複数）に孔
を設け側板、或いは用紙後部押え板をネジ、或い
は押し込み式の留具等で係止すればよい。また、
側板の用紙進行方向の先端部には用紙の重ね送り
防止のための押え爪を設けることが好ましい。

しかし、何れの形式の給紙用カセツトにおいて
も、コピーが進むにつれて押上げ板上の用紙が減
少して行くと、用紙を搬出する半月型の給紙ロー
ラによる圧力が押上げ板の反力によつて最下位に
ある用紙にまで作用し、もともと用紙相互間の摩
擦抵抗より小さい摩擦抵抗をもつ前記押上げ板上
を滑つて、複数枚の用紙が同時に給紙用カセツト
から複写機内に給送されるいわゆる、重送による
事故を起すことがある。

このような事故を防止するため各給紙用カセツ
トにおいては、それぞれ用紙の給紙ローラに対す
る圧接角度や荷重が定められた範囲内に収まるよ
うな条件にて押上げ板を設けている実状にある
が、前述したように用紙のサイズに応じてその取
付方向が90゜変換される長方形の押上げ板を備え
た汎用の給紙用カセツトにおいては、用紙の給紙
ローラに対する圧接角度の範囲は非常に大きくな
り、したがつて用紙の圧接荷重も著しく変化する
条件をもつているため前述したように用紙の重送
による給紙不良事故を起す確率が極めて高くなる
危険をもつている。

〔考案の目的〕

本考案は、汎用の給紙カセツトに積載して収納
される各種サイズの記録紙が、何れも最下位の１
枚まで円滑かつ確実に複写機内に給送されるよう
構成した給紙カセツトの提供を目的としたもので
ある。

〔考案の構成〕

本考案は、汎用の給紙カセツトにおける記録紙
の押上げ板の複数の側端部に記録紙摩擦部材を設
けることによつて構成するもので、それは、シー
トを収納する収納容器２１，４１と、該収納容器
２１，４１の底部に着脱自在に設けられた前記シ
ートを押上げる長方形の押上げ板２２，４２と、
前記シートの進行方向に平行な側縁の位置を規制
する側板４３ａ，４２ｂを備えた給紙カセツト２
１において、前記収納容器２１，４１の底部に
横・縦位置のいずれにも取付け得る取付手段によ
り設置可能の前記長方形の押上げ板２２，４２
と、前記横・縦位置に対応して複数方向に記録紙
摩擦部材６０，６０ａ，６０ｂ，６０ｃ，６０ｄ
を前記押上げ板２２，４２に設け、前記押上げ板
２２，４２の横・縦位置変更に応じて取付位置を
変更する側板４３ａ，４３ｂとを設けたことを特
徴とする給紙カセツトによつて達成される。

〔実施例〕

第４図は本考案による給紙カセツトの１列を示
す斜視図である。

４１はカセツトの本体をなす記録紙収納容器、
４２は長方形の押上げ板、４２ａ，４２ｂはそれ
ぞれ押上げ板４２の長辺及び短辺に設けられた取
付用突起部で、第２図Ａの状態で使用する際には
突起部４２ａを収納容器底面の取付孔４５ａに係
止し、第２図Ｂの状態で使用する際には突起部４
２ｂを取付孔４５ｂに係止する。４３ａは取付位
置変更可能側板であり位置決め用突起部及び留め
具４８によつて収納容器側の取付孔４７ａ若しく
は４７ｂに押上げ板４２の取付方向に応じて係止
する。他の一つの側板４３ｂは収納容器４１の内
壁に固定されている。用紙後部押え板４４は用紙
のサイズに応じ留具５０によつて収納容器４１底
面或いは押上げ板４２に設けられた取付孔４９ａ
〜４９ｄに係止する。５１は収納容器４１のカバ
ーである。

さらに、本考案においては、前記押上げ板４２
の上面でかつ複写機に装着した場合、該複写機の
給紙ローラに対応する、すなわち長辺・短辺の隣
接する２辺の側縁部分に記録紙摩擦部材６０ａお
よび６０ｂを設けてある。

該記録紙摩擦部材６０ａおよび６０ｂは、ゴ
ム、プラスチツク、布等の素材からつくられた板
状の部材で接着等の手段によつて前記押上げ板４
２に固着されており、該押上げ板４２上の用紙が
僅少になつた時においても最下位の用紙を摩擦に
よつて確保し、用紙の重送を防止するに有効な摩
擦特性と必要面積とを有しているものとする。

さらに、前記記録紙摩擦部材６０ａおよび６０
ｂは、給紙ローラの圧力が最下位にある用紙に対
して強過ぎて作用しないよう、押上げ板４２の上
面より僅かに突出し適度の弾性を備えていること
が好ましい。

なお、前記記録紙摩擦部材６０ａおよび６０ｂ
は、押上げ板４２上にあつて記録紙の先端位置近
傍に設けるもので、第５図ａに示すように一体の
記録紙摩擦部材６０としても良いし、また第５図
ｂに示すように記録紙摩擦部材６０ｃおよび６０
ｄに分離して設けても良い。

また、前記記録紙摩擦部材６０ａおよび６０ｂ
が厚手の素材からつくられている場合には、第５
図ａにおける断面AAを示した第５図ｃのよう
に、前記押上げ板４２に凹部を設け摩擦部材６０
ａおよび６０ｂが必要最小限度だけ前記押上げ板
４２の上面から突出するよう設けるのが望まし
い。

以上の条件を備えた本考案による給紙用カセツ
トによつて多くの実験を試みた結果、押上げ板上
の用紙が少数枚になつた場合でも、用紙は１枚宛
給紙ローラによつて確実に搬出され、さらに最下
位の用紙も給紙ローラによる摩擦力が前記摩擦部
材による摩擦抵抗に打勝つて容易に搬出されるこ
とが確認された。

〔考案の効果〕

本考案は、異種系列の各種サイズの記録用紙に
使用出来る押上げ板を備えた給紙用カセツトにお
いても、収納した記録紙を最終の１枚まで確実に
複写機に給送することの出来る汎用の給紙カセツ
トを提供することゝなつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般的な複写機の概要図。第２図は汎
用給紙カセツトにおける用紙収納状態を示す略
図。第３図は前記汎用給紙カセツトにおける押上
げ板の係止部の断面図。第４図は本考案による給
紙カセツトの斜視図、第５図は、本考案に関わる
記録紙摩擦部材の取付状態を示す要部図。 ４１……収納容器、４２……押上げ板、４２
ａ，４２ｂ……取付用突起部、４３ａ，４３ｂ…
…側板、４４……用紙後部押え板、４６ａ，４６
ｂ……押え爪、６０，６０ａ〜６０ｄ……記録紙
摩擦部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートを収納する収納容器２１，４１と、該収
   納容器２１，４１の底部に着脱自在に設けられた
   前記シートを押上げる長方形の押上げ板２２，４
   ２と、前記シートの進行方向に平行な側縁の位置
   を規制する側板４３ａ，４３ｂを備えた給紙カセ
   ツト２１において、前記収納容器２１，４１の底
   部に横・縦位置のいずれにも取付け得る取付手段
   により設置可能の前記長方形の押上げ板２２，４
   ２と、前記横・縦位置に対応して複数方向に記録
   紙摩擦部材６０，６０ａ，６０ｂ，６０ｃ，６０
   ｄを前記押上げ板２２，４２に設け、前記押上げ
   板２２，４２の横・縦位置変更に応じて取付位置
   を変更する側板４３ａ，４３ｂとを設けたことを
   特徴とする給紙カセツト。