I.定義
用語は、以下に別段の定義がない限り、当技術分野で一般的に使用されるように本明細書で使用される。
本明細書で使用される場合、抗原結合ドメイン等に関する「第1」、「第2」又は「第3」という用語は、各タイプの部分が2つ以上存在するときに区別の便宜のために使用される。これらの用語の使用は、そのように明示的に示されていない限り、部分の特定の順序又は向きを与えることを意図していない。
「抗NKG2D抗体」及び「NKG2Dに結合する抗体」という用語は、抗体がNKG2Dの標的化において診断剤及び/又は治療剤として有用であるように十分な親和性を有して、NKG2Dに結合することができる抗体を指す。一態様では、無関係な非NKG2Dタンパク質に対する抗NKG2D抗体の結合度は、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定される場合、NKG2Dに対する抗体の結合の約10%未満である。ある特定の態様では、NKG2Dに結合する抗体は、≦1μM、≦500nM、≦200nM、又は≦100nMの平衡解離定数(KD)を有する。例えば、SPRにより測定して、抗体が1μM以下のKDを有する場合、抗体は、NKG2Dに「特異的に結合する」と称する。ある特定の態様では、抗NKG2D抗体は、異なる種由来のNKG2Dの中で保存されているNKG2Dのエピトープに結合する。
逆に、ある特定の抗原に「結合しない」抗体は、当該抗原を標的とする際の診断剤及び/又は治療剤として有用であるような十分な親和性で当該抗原に結合することができない。ある特定の態様では、ある特定の抗原に結合しない抗体は、当該抗原に対して1μMを超える解離定数(KD)を有する。
「抗体」という用語は、本明細書では最も広い意味で使用され、限定されるものではないが、それらが所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含めた、さまざまな抗体構造を包含する。
「抗体断片」とは、インタクト抗体が結合する抗原に結合するインタクト抗体の一部を含む、インタクト抗体以外の分子である。抗体断片の例として、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、ダイアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子(例えばscFv及びscFab)、単一ドメイン抗体、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の抗体断片の総説としては、Hollinger and Hudson,Nature Biotechnology 23:1126-1136(2005)を参照されたい。
「全長抗体」、「インタクト抗体」及び「全抗体」という用語は、ネイティブ抗体構造に実質的に類似した構造を有する抗体を指すために、本明細書で相互に置き換え可能に用いられる。
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、実質的に均一な抗体の集合から得られる抗体を指し、即ち、集合に含まれる個々の抗体は、同一である及び/又は同じエピトープに結合するが、但し、例えば、天然に存在する突然変異又はモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる突然変異を含む、可能な変異体抗体は含まれず、そのような変異体は一般的に少量で存在する。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、モノクローナル抗体製剤のそれぞれのモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向する。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集合から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするように解釈すべきではない。例えば、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法、例えば、本明細書に記載のモノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法を含むが、これらに限定されない多様な技術によって作製され得る。
「単離」抗体は、その自然環境の構成成分から分離された抗体である。いくつかの態様では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー)方法によって決定したとき、純度95%又は99%を超えるまで精製される。抗体純度の評価のための方法の総説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。いくつかの態様では、本発明により提供される抗体は、単離抗体である。
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の供給源又は種に由来し、重鎖及び/又は軽鎖の残りの部分が異なる供給源又は種に由来する抗体を指す。
「ヒト化」抗体とは、非ヒトCDR由来のアミノ酸残基、及びヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。ある特定の態様では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの全てを実質的に含み、そのドメイン中ではCDRの全て又は実質的に全てが非ヒト抗体のCDRに対応し、FRの全て又は実質的に全てがヒト抗体のFRに対応することになる。そのような可変ドメインは、本明細書では「ヒト化可変領域」と呼ばれる。ヒト化抗体は、任意に、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでいてもよい。いくつかの態様では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性又は親和性を回復又は改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が由来する抗体)からの対応する残基で置換される。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
「ヒト抗体」とは、ヒト若しくはヒト細胞により産生された抗体、又はヒト抗体レパートリ等のヒト抗体をコードする配列を利用した非ヒト由来の抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。ある特定の態様では、ヒト抗体は、非ヒトトランスジェニック哺乳動物、例えば、マウス、ラット、又はウサギに由来する。ある特定の態様では、ヒト抗体は、ハイブリドーマ細胞株に由来する。ヒト抗体ライブラリから単離された抗体又は抗体断片も、本発明のヒト抗体又はヒト抗体断片であると考えられる。
「抗原結合ドメイン」という用語は、ある抗原の一部又は全部に結合し、且つある抗原の一部又は全てに相補的な領域を含む抗体の一部を指す。抗原結合ドメインは、例えば、1又は複数の抗体可変ドメイン(抗体可変領域とも呼ばれる)によって与えられてもよい。好ましい態様では、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)と抗体重鎖可変ドメイン(VH)とを含む。
「可変領域」又は「可変ドメイン」とは、抗体と抗原との結合に関与する、抗体の重鎖又は軽鎖のドメインである。ネイティブ抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH及びVL)は、一般に同様の構造を有し、それぞれのドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と相補性決定領域(CDR)とを含む。例えば、Kindt et al.,Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman&Co.,page 91(2007)を参照されたい。単一のVH又はVLドメインは、抗原結合特異性を付与するために充分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、抗原に結合する抗体のVH又はVLドメインを使用し、それぞれ、相補的VL又はVHドメインのライブラリをスクリーニングして、単離してもよい。例えば、Portolano et al.,J.Immunol.150:880-887(1993);Clarkson et al.,Nature 352:624-628(1991)を参照されたい。可変領域配列と組み合わせて本明細書で使用される場合、「Kabatナンバリング」は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)によって記載されるナンバリングシステムを指す。
本明細書で使用される場合、重鎖及び軽鎖の全ての定常領域及びドメインのアミノ酸位置は、Kabat,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th ed.,Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)に記載されるKabatナンバリングシステムに従ってナンバリングされ、本明細書では「Kabatによるナンバリング」又は「Kabatナンバリング」と呼ばれる。具体的には、Kabatナンバリングシステム(Kabat,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th ed.,Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)の647-660頁を参照されたい)を、カッパ及びラムダアイソタイプの軽鎖定常ドメインCLに使用し、Kabat EUインデックスナンバリングシステム(661-723頁を参照されたい)を、重鎖定常ドメイン(CH1、ヒンジ、CH2及びCH3)に使用し、この場合には、「Kabat EUインデックスによるナンバリング」又は「Kabat EUインデックスナンバリング」と言及することによってさらに明確にしている。
本明細書で使用する場合、「超可変領域」又は「HVR」という用語は、配列内で超可変であり、抗原結合特異性を決定する、抗体可変ドメインの領域、例えば「相補性決定領域」(CDR)のそれぞれを意味する。一般的に、抗体は、6つのCDRを含み、VHに3つ(HCDR1、HCDR2、HCDR3)、VLに3つ(LCDR1、LCDR2、LCDR3)含む。本明細書における例示的なCDRとしては、以下が挙げられる:
(a)アミノ酸残基26-32(L1)、50-52(L2)、91-96(L3)、26-32(H1)、53-55(H2)及び96-101(H3)で生じる超可変ループ(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987));
(b)アミノ酸残基24-34(L1)、50-56(L2)、89-97(L3)、31-35b(H1)、50-65(H2)及び95-102(H3)に存在するCDR(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991));並びに
(c)アミノ酸残基27c-36(L1)、46-55(L2)、89-96(L3)、30-35b(H1)、47-58(H2)及び93-101(H3)で生じる抗原接触(MacCallum et al.J.Mol.Biol.262:732-745(1996))が挙げられる。
特に断りのない限り、CDRは、上記のKabat et al.に従い決定される。当業者は、CDRの表記は、上記Chothia、上記McCallum、又は、任意の他の、科学的に認可された命名システムに従い決定することができることを理解するであろう。
「フレームワーク」又は「FR」は、相補性決定領域(CDR)以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、以下の4つのFRドメインからなる:FR1、FR2、FR3及びFR4。したがって、HVR配列及びFR配列は、概して、VH(又はVL)中で以下の順序で現れる:FR1-HCDR1(LCDR1)-FR2-HCDR2(LCDR2)-FR3-HCDR3(LCDR3)-FR4。
別段の指示がない限り、CDR残基及び可変ドメイン内の他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書において、上記のKabatらに従ってナンバリングされている。
本明細書の目的において「アクセプターヒトフレームワーク」とは、以下に定義するように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「由来の」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでいてもよく、又はアミノ酸配列の変更を含んでいてもよい。いくつかの態様では、アミノ酸変更の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。いくつかの態様では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において、最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda MD(1991),vols.1-3にあるようなサブグループである。
「免疫グロブリン分子」という用語は、天然に存在する抗体の構造を有するタンパク質を指す。例えば、IgGクラスの免疫グロブリンは、約150,000ダルトンのヘテロテトラマー糖タンパク質であり、ジスルフィド結合した2つの軽鎖と2つの重鎖から構成される。N末端からC末端に向かって、それぞれの重鎖は、可変重鎖ドメイン又は重鎖可変領域とも呼ばれる可変ドメイン(VH)と、その後に重鎖定常領域とも呼ばれる3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)と、を有する。同様に、N末端からC末端に向かって、それぞれの軽鎖は、可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変領域とも呼ばれる可変ドメイン(VL)と、その後に軽鎖定常領域とも呼ばれる定常軽鎖(CL)ドメインと、を有する。免疫グロブリンの重鎖は、α(IgA)、δ(IgD)、ε(IgE)、γ(IgG)又はμ(IgM)と呼ばれる5種類の1つに割り当てられてもよく、このいくつかは、例えば、γ1(IgG1)、γ2(IgG2)、γ3(IgG3)、γ4(IgG4)、α1(IgA1)及びα2(IgA2)等のさらなるサブタイプに分けられてもよい。免疫グロブリンの軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2種類のうちの1つに割り当てられてもよい。免疫グロブリンは、免疫グロブリンヒンジ領域を介して接続する、2つのFab分子とFcドメインとから実質的になる。
抗体又は免疫グロブリンの「クラス」は、抗体又は免疫グロブリンの重鎖が保有する定常ドメイン又は定常領域の種類を指す。抗体には、次の5種類の主要なクラスがある:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMであり、これらのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2に分けられてもよい。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
「Fab分子」とは、免疫グロブリンの重鎖(「Fab重鎖」)のVHドメイン及びCH1ドメインと、免疫グロブリンの軽鎖(「Fab軽鎖」)のVLドメイン及びCLドメインと、からなるタンパク質を指す。
「クロスオーバー」Fab分子(「Crossfab」とも呼ばれる)とは、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメイン及び定常ドメインが交換されている(即ち、互いに置き換わっている)Fab分子を意味し、即ち、クロスオーバーFab分子は、軽鎖可変ドメインVL及び重鎖定常ドメイン1 CH1(VL-CH1、N末端からC末端方向に)から構成されるペプチド鎖と、重鎖可変ドメインVH及び軽鎖定常ドメインCL(VH-CL、N末端からC末端方向に)から構成されるペプチド鎖と、を含む。明確性のために、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変ドメインが交換されているクロスオーバーFab分子において、重鎖定常ドメイン1 CH1を含むペプチド鎖は、本明細書では、(クロスオーバー)Fab分子の「重鎖」と呼ばれる。逆に、Fab軽鎖及びFab重鎖の定常ドメインが交換されているクロスオーバーFab分子において、重鎖可変ドメインVHを含むペプチド鎖は、本明細書では、(クロスオーバー)Fab分子の「重鎖」と呼ばれる。
これとは対照的に、「従来の」Fab分子は、その天然のフォーマットでのFab分子を意味し、即ち、重鎖可変ドメイン及び定常ドメインから構成される重鎖(VH-CH1、N末端からC末端方向に)と、軽鎖可変ドメイン及び定常ドメインから構成される軽鎖(VL-CL、N末端からC末端方向に)と、を含む。
「Fcドメイン」又は「Fc領域」という用語は、本明細書において、定常領域の少なくとも一部を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。該用語は、ネイティブ配列Fc領域と変異体Fc領域とを含む。一態様では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。しかし、宿主細胞によって産生される抗体は、重鎖のC末端から1又は複数、特に1つ又は2つのアミノ酸の翻訳後開裂を受けてもよい。したがって、全長重鎖をコードする特定の核酸分子の発現によって、宿主細胞によって産生する抗体は、全長重鎖を含んでいてもよい、又は全長重鎖の開裂した変異体を含んでいてもよい。これは、重鎖の最終的な2つのC末端アミノ酸がグリシン(G446)及びリジン(K447、Kabat EUインデックスによるナンバリング)である場合であってもよい。したがって、Fc領域のC末端リジン(Lys447)、又はC末端グリシン(Gly446)及びリジン(Lys447)が存在してもよく、又は存在していなくてもよい。Fc領域(又は本明細書に定義されるFcドメインのサブユニット)を含む重鎖のアミノ酸配列は、別段の指示がない場合、本明細書ではC末端グリシン-リジンジペプチドを含まないもが示される。一態様では、本発明による抗体に含まれる、本明細書に明記されるFc領域(サブユニット)を含む重鎖は、さらなるC末端グリシン-リジンジペプチド(G446及びK447、Kabat EUインデックスによるナンバリング)を含む。一態様では、本発明による抗体に含まれる、本明細書に明記されるFc領域(サブユニット)を含む重鎖は、さらなるC末端グリシン残基(G446、Kabat EUインデックスによるナンバリング)を含む。本明細書で別途明記されない限り、Fc領域又は定常領域におけるアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991(上も参照されたい)に記載されるような、EUナンバリングシステム(EUインデックスとも呼ばれる)に従う。Fcドメインの「サブユニット」は、本明細書で使用される場合、二量体Fcドメインを形成する2つのポリペプチドのうちの1つ、即ち、安定した自己会合が可能な、免疫グロブリン重鎖のC末端定常領域を含むポリペプチドを指す。例えば、IgG Fcドメインのサブユニットは、IgG CH2及びIgG CH3定常ドメインを含む。
「融合した」が意味するのは、構成要素(例えば、Fab分子及びFcドメインサブユニット)が、ペプチド結合によって直接的に又は1又は複数のペプチドリンカーを介してのいずれかにより結合されていることである。
「多重特異性」という用語は、抗体が、少なくとも2つの別個の抗原決定基に特異的に結合することができることを意味する。多重特異性抗体は、例えば、二重特異性抗体であり得る。典型的には、二重特異性抗体は、2つの抗原結合部位を含み、それぞれが異なる抗原決定基に対して特異的である。ある特定の態様では、多重特異性(例えば二重特異性)抗体は、2つの抗原決定基、特に、2つの別個の細胞で発現する2つの抗原決定基に同時に結合することができる。
「価数」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原結合分子内の特定数の抗原結合部位の存在を示す。この場合、「抗原に対する一価の結合」という用語は、抗原結合分子内の抗原に特異的な1つ(及び1つを超えない)抗原結合部位の存在を示す。
「抗原結合部位」は、抗原との相互作用を与える抗原結合分子の部位、即ち1又は複数のアミノ酸残基を指す。例えば、抗体の抗原結合部位は、相補性決定領域(CDR)からのアミノ酸残基を含む。ネイティブ免疫グロブリン分子は、典型的には、2つの抗原結合部位を含み、Fab分子は、典型的には、1つの抗原結合部位を有する。
本明細書で使用される場合、「抗原決定基」又は「抗原」という用語は、抗原結合ドメイン-抗原複合体を形成する、抗原結合ドメインが結合するポリペプチド高分子上の部位(例えば、アミノ酸の連続伸長部又は異なる領域の非連続アミノ酸から構成される配座構成)を指す。有用な抗原決定基は、例えば、腫瘍細胞の表面上に、ウイルス感染した細胞の表面上に、他の疾患細胞の表面上に、免疫細胞の表面上に、血清中で遊離して、及び/又は細胞外マトリックス(ECM)中に認めることができる。好ましい態様では、抗原はヒトタンパク質である。
「NKG2D」は、別途明記しない限り、霊長類(例えばヒト)、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意のネイティブNKG2Dを指す。この用語は、「全長」の、未処理のNKG2D、及び細胞内でのプロセシングから生じる任意の形態のNKG2Dを包含する。この用語は、NKG2Dの天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体も包含する。一態様では、NKG2Dは、ヒトNKG2D、特にヒトNKG2Dの細胞外ドメイン(ECD)である。ヒトNKG2Dのアミノ酸配列及びそのECDをそれぞれ配列番号87及び配列番号88に示す。UniProt(www.uniprot.org)エントリP26718(バージョン176)も参照されたい。別の態様では、NKG2Dはカニクイザル(Macaca fascicularis)NKG2D、特にカニクイザルNKG2DのECDである。カニクイザルNKG2D及びそのECDのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号89及び配列番号90に示す。UniProtエントリP61252(バージョン71)も参照されたい。別の態様では、NKG2Dは、マウス(Mus musculus)NKG2D、特にマウスNKG2DのECDである。マウスNKG2D及びそのECDのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号91及び配列番号92に示す。UniProtエントリO54709(バージョン151)も参照されたい。ある特定の態様では、本発明の抗体は、異なる種、特にヒト及びカニクイザルNKG2DからのNKG2D抗原の間で保存されているNKG2Dのエピトープに結合する。好ましい態様では、抗体はヒトNKG2Dに結合する。一態様では、第1の抗原結合ドメインは、ヒト及びカニクイザルNKG2Dに対して交差反応性である(即ち、それに結合する)。
「標的細胞抗原」は、本明細書で使用される場合、標的細胞、例えば、がん細胞又は(「腫瘍細胞抗原」の場合)腫瘍間質細胞といった腫瘍内の細胞の表面に提示された抗原決定基を意味する。好ましくは、標的細胞抗原はNKG2Dではなく、及び/又はNKG2Dとは異なる細胞上で発現される。一態様では、標的細胞抗原はCEAである。
「CEA」は癌胎児性抗原(癌胎児性抗原関連細胞接着分子5(CEACAM5)としても知られる)を表す。ヒトCEAのアミノ酸配列をUniProtエントリP06731(バージョン188)に示す。本明細書で使用される場合、「CEA」は、特に明記しない限り、霊長類(例えばヒト)、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む任意の脊椎動物が供給源の任意のネイティブCEAを指す。この用語は、「全長」の、未処理のCEA、及び細胞内でのプロセシングから生じる任意の形態のCEAを包含する。この用語は、CEAの天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体も包含する。一態様では、CEAはヒトCEAである。一態様では、CEAは細胞膜結合CEAである。一態様では、CEAは、細胞、例えばがん細胞の表面に発現したCEAである。
「親和性」は、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合相手(例えば、抗原)との間の、合計の非共有性相互作用の強度を指す。特に明記しない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体と抗原)のメンバー間の1:1相互作用を反映する特異的結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(KD)によって表し得る。親和性は、本明細書に記載するものを含め、当技術分野で既知の十分に確立された方法によって測定することができる。親和性を測定するための好ましい方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)である。
「親和性成熟」抗体とは、変化を有しない親抗体と比較して、1又は複数の相補性決定領域(CDR)において1又は複数の変化を有し、かかる改変によって抗原に対する抗体の親和性を改善する、抗体を指す。
「結合の低減」、例えば、Fc受容体に対する結合の低減は、例えば、SPRによって測定される場合、それぞれの相互作用についての親和性の低下を指す。明確性のために、本用語はまた、親和性のゼロ(又は分析方法の検出限界を下回る)までの低減、即ち、相互作用の完全な終止も含む。逆に、「結合の増加」は、個々の相互作用に対する結合親和性の増加を指す。
本明細書で使用する「T細胞活性化」は、増殖、分化、サイトカイン分泌、細胞傷害性エフェクター分子の放出、細胞傷害性活性、及び活性化マーカーの発現から選択される、Tリンパ球、特に細胞傷害性Tリンパ球の1又は複数の細胞応答を指す。T細胞活性化を測定するために適したアッセイは、当技術分野で既知であり、本明細書に記載されている。
本明細書で使用される「T細胞活性化剤」は、例えばCD3等のT細胞受容体に結合してそれを活性化する(その成分)ことによって、T細胞活性化を誘導することができる分子を指す。したがって、例示的なT細胞活性化剤は、CD3、特にCD3のイプシロンサブユニットに結合する抗体であり得る。本発明において有用な特定のT細胞活性化剤は、CD3及び腫瘍細胞抗原等の標的細胞抗原に結合する二重特異性抗体である。そのようなT細胞活性化二重特異性抗体は、本明細書では「T細胞二重特異性抗体」又は「TCB」とも呼ばれる。
「CD3」は、別途明記しない限り、霊長類(例えばヒト)、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意のネイティブCD3を指す。この用語は、「全長」の、未処理のCD3、及び、細胞内でのプロセシングによりもたらされる任意の形態のCD3を包含する。この用語は、CD3の天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体も包含する。一態様では、CD3は、ヒトCD3、特にヒトCD3のイプシロンサブユニット(CD3ε)である。ヒトCD3εのアミノ酸配列をUniProt(www.uniprot.org)エントリP07766(バージョン202)に示す。別の態様では、CD3は、カニクイザル(Macaca fascicularis)CD3、特にカニクイザルCD3εである。カニクイザルCD3εのアミノ酸配列は、NCBI GenBank番号BAB71849.1に示されている。ある特定の態様では、本発明で有用なT細胞活性化剤は、異なる種、特にヒト及びカニクイザルCD3由来のCD3抗原の間で保存されているCD3のエピトープに結合する。好ましい態様では、T細胞活性化剤はヒトCD3に結合する。
「Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットとの会合を促進する修飾」は、ホモ二量体を形成するためのFcドメインサブユニットを含むポリペプチドの同一のポリペプチドとの会合を減少又は防止する、ペプチド骨格の操作又はFcドメインサブユニットの翻訳後修飾である。会合を促進する修飾は、本明細書で使用される場合、好ましくは、会合することが望ましい2つのFcドメインサブユニット(即ち、Fcドメインの第1のサブユニット及び第2のサブユニット)の各々に対して行われる別個の改変を含み、この修飾は、2つのFcドメインサブユニットの会合を促進するために互いに相補性である。例えば、会合を促進する修飾は、それぞれ立体的又は静電的に望ましい会合を行うように、Fcドメインサブユニットの片方又は両方の構造又は電荷を変えてもよい。したがって、(ヘテロ)二量体化は、第1のFcドメインサブユニットを含むポリペプチドと、第2のFcドメインサブユニットを含むポリペプチドとの間で起こり、サブユニットの各々に融合するさらなる構成要素(例えば抗原結合ドメイン)が同じではないという意味で、同一ではなくてもよい。いくつかの態様では、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットとの会合を促進する修飾は、Fcドメイン内のアミノ酸変異、具体的にはアミノ酸置換を含む。好ましい態様では、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットとの会合を促進する修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットの各々における別個のアミノ酸変異、具体的にはアミノ酸置換を含む。
「エフェクター機能」という用語は、抗体のFc領域に帰属可能な生体活性を指し、抗体アイソタイプによって変わる。抗体エフェクター機能の例としては、以下のものが挙げられる:C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介障害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、サイトカイン分泌、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取り込み、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御、及びB細胞活性化。
「活性化Fc受容体」は、抗体のFcドメインによる係合の後に、エフェクター機能を発揮するために受容体を含む細胞を刺激するシグナル伝達事象を誘発するFc受容体である。ヒト活性化Fc受容体としては、FcγRIIIa(CD16a)、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32)及びFcαRI(CD89)が挙げられる。一態様では、活性化Fc受容体はFcγRIIIa(CD16a)である。その配列を含むヒトFcγRIIIa(CD16a)は、UniProtエントリP08637(バージョン203)に記載されている。
抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)は、免疫エフェクター細胞による、抗体で被覆された標的細胞の溶解を引き起こす免疫機構である。標的細胞は、Fc領域を含む抗体又はその誘導体が、一般的にFc領域に対してN末端であるタンパク質部分を介して、特異的に結合する細胞である。本明細書で使用される場合、「減少したADCC」という用語は、上記で定義されたADCCの機構による、標的細胞を取り囲む培地中の所与の濃度の抗体で所与の時間に溶解される標的細胞の数の減少、及び/又はADCCの機構による、所与の時間に所与の数の標的細胞の溶解を達成するために必要な、標的細胞を取り囲む培地中の抗体の濃度の増加のいずれかとして定義される。ADCCの減少は、同じ標準的な産生、精製、製剤化及び保存の方法(当業者に知られている)を使用して、同じ種類の宿主細胞によって産生される同じ抗体によって媒介されるが、操作されていないADCCと比較している。例えば、そのFcドメインを含む抗体によって媒介されるADCCの低下である、ADCCを低下させるアミノ酸置換は、Fcドメイン中にこのアミノ酸置換を含まない同じ抗体によって媒介されるADCCに対するものである。ADCCを測定するのに適したアッセイは、当技術分野で周知である(例えば、PCT出願国際公開第2006/082515号又はPCT出願国際公開第2012/130831号を参照されたい)。
本明細書で使用される「操作する」、「操作された」、「操作すること」という用語は、天然に存在するポリペプチド又は組換えポリペプチド又はこれらの断片のペプチド骨格の何らかの操作又は翻訳後修飾を含むと考えられる。操作することは、アミノ酸配列の修飾、グリコシル化パターンの修飾、又は個々のアミノ酸の側鎖基の修飾、及びこれらのアプローチの組合せを含む。
「アミノ酸変異」という用語は、本明細書で使用される場合、アミノ酸の置換、欠失、挿入及び修飾を包含することを意味している。置換、欠失、挿入及び修飾の任意の組合せは、最終構築物が、所望の特徴、例えば、Fc受容体に対する結合の低減、又は別のペプチドとの会合の増加を有する限り、最終構築物に到達するように行うことができる。アミノ酸配列の欠失及び挿入は、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端のアミノ酸の欠失及び挿入を含む。好ましいアミノ酸変異はアミノ酸置換である。例えば、Fc領域の結合特性を変更する目的のために、非保存的アミノ酸置換、即ち、1つのアミノ酸を、構造特性及び/又は化学特性が異なる別のアミノ酸と置き換えることが特に好ましい。アミノ酸の置換には、非天然アミノ酸による置き換え、又は20の標準的なアミノ酸の天然に存在するアミノ酸誘導体(例えば、4-ヒドロキシプロリン、3-メチルヒスチジン、オルニチン、ホモセリン、5-ヒドロキシリジン)による置き換えが含まれる。アミノ酸変異を、当技術分野で周知の遺伝的方法又は化学的方法を使用して生成することができる。遺伝的方法には、特定部位の突然変異誘発、PCR、遺伝子合成等が含まれ得る。遺伝子工学以外の方法によってアミノ酸の側鎖基を変更する方法、例えば化学修飾も有用であり得ると考慮される。同じアミノ酸変異を示すために、本明細書で様々な名称を使用することができる。例えば、Fcドメインの位置329のプロリンからグリシンへの置換は、329G、G329、G329、P329G又はPro329Glyと示すことができる。
参照ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大の配列同一性パーセントを達成するために、配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入した後に、いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮せずに、参照ポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当技術分野の技術の範囲内にある種々の様式で、例えば、公的に入手可能なコンピュータソフトウェア、例えば、BLAST、BLAST-2、Clustal W、Megalign(DNASTAR)ソフトウェア又はFASTAプログラムパッケージを用いて達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大整列度を達成するのに必要とされる任意のアルゴリズムを含め、配列をアラインメントさせるのに適切なパラメータを決定することができる。或いは、同一性パーセントの値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成することができる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって作成されており、ソースコードは、米国著作権局(Washington D.C.,20559)のユーザドキュメンテーションにファイルされており、米国著作権登録番号TXU510087の下に登録されており、且つ、国際公開第2001/007611号に記載されている。
別段の指定がない限り、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一性%の値は、FASTAパッケージバージョン36.3.8cのggsearchプログラムを使用するか、又はその後にBLOSUM50比較マトリックスを用いて生成される。FASTAプログラムパッケージは、W.R.Pearson及びD.J.Lipman(’’Improved Tools for Biological Sequence Analysis’’,PNAS 85(1988):2444-2448)、W.R.Pearson(’’Effective protein sequence comparison’’ Meth.Enzymol.266(1996):227-258)、及びPearson et.al.(Genomics 46(1997)24-36)により作成され、www.fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/fasta_down.shtml又はwww.ebi.ac.uk/Tools/sss/fastaから公開されて利用可能である。或いは、ggsearch(global protein:protein)プログラム及びデフォルトオプション(BLOSUM50;open:-10;ext:-2;Ktup=2)を用いて、fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/index.cgiでアクセス可能な公開サーバを使用して配列を比較し、ローカルではなくグローバルなアラインメントを確実に実行することができる。アミノ酸同一性パーセントは、アウトプットアラインメントヘッダーで与えられる。
「ポリヌクレオチド」又は「核酸分子」という用語は、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物及び/又は物質を含む。各ヌクレオチドは、塩基から構成され、具体的には、プリン塩基又はピリミジン塩基(即ち、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、チミン(T)又はウラシル(U))、糖(即ち、デオキシリボース又はリボース)、及びリン酸基で構成される。多くは、核酸分子は、塩基配列によって記述され、ここで、当該塩基は、核酸分子の一次構造(線形構造)を表す。塩基の配列は、典型的には、5’から3’へと表される。本明細書において、核酸分子という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)、例えば、相補性DNA(cDNA)及びゲノムDNA、リボ核酸(RNA)、特に、メッセンジャーRNA(mRNA)、DNA又はRNAの合成形態、及びこれらの分子の2つ以上を含む混合ポリマーを包含する。核酸分子は、線形又は環状であってもよい。これに加え、核酸分子という用語は、センス鎖及びアンチセンス鎖、並びに一本鎖形態及び二本鎖形態の両方を含む。さらに、本明細書で記載される核酸分子は、天然に存在するヌクレオチド又は天然に存在しないヌクレオチドを含んでいてもよい。誘導体化された糖又はリン酸骨格結合又は化学修飾された残基を含む、天然に存在しないヌクレオチドの例としては、修飾されたヌクレオチド塩基が挙げられる。核酸分子はまた、例えば、宿主又は患者において、in vitro及び/又はin vivoで本発明の抗体の直接的な発現のためのベクターとして好適なDNA分子及びRNA分子も包含する。そのようなDNA(例えば、cDNA)又はRNA(例えば、mRNA)ベクターは、修飾されていなくてもよく、又は修飾されていてもよい。例えば、mRNAは、RNAベクターの安定性及び/又はコードされた分子の発現を増強するために化学的に修飾することができ、その結果、mRNAを対象に注射して、in vivoで抗体を生成することができる(例えば、Stadler et al.(2017)Nature Medicine 23:815-817、又は欧州特許第2 101 823号B1を参照されたい)。
「単離」核酸分子は、その自然環境の構成要素から分離された核酸分子を指す。単離核酸分子には、通常核酸分子を含む細胞内に含まれる核酸分子が含まれるが、この核酸分子は、染色体外に存在するか、又はその本来の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
「抗体をコードする単離ポリヌクレオチド(又は核酸)」は、抗体の重鎖及び軽鎖(又はその断片)をコードする1又は複数のポリヌクレオチド分子を指し、単一のベクター又は別個のベクターにおいて、そのようなポリヌクレオチド分子(複数可)が宿主細胞の1又は複数の位置に存在するそのようなポリヌクレオチド分子(複数可)を含む。
「ベクター」という用語は、本明細書では、連結している別の核酸を増殖可能な核酸分子を指す。この用語には、自己複製する核酸構造としてのベクターだけでなく、ベクターが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターも含まれる。ある特定のベクターは、それらが作動的に連結された核酸の発現を指示することができる。そのようなベクターを本明細書では、「発現ベクター」と呼ぶ。
「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養物」という用語は、相互に置き換え可能に使用され、外因性核酸が導入された細胞を指し、かかる細胞の子孫を含む。宿主細胞としては、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が含まれ、これらには、初代形質転換細胞及び継代の数にかかわらず宿主細胞に由来する子孫が含まれる。子孫は、親細胞と完全に同一の核酸含量でない場合があるが、突然変異を含んでもよい。本明細書では、最初に形質転換された細胞においてスクリーニング又は選択されたものと同じ機能又は生物学的活性を有する変異体の子孫が、含まれる。宿主細胞は、本発明の抗体を生成するために使用可能な任意の種類の細胞系である。宿主細胞としては、培養細胞、例えば、哺乳動物培養細胞、例えば、数例を挙げると、HEK細胞、CHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞又はハイブリドーマ細胞、酵母細胞、昆虫細胞及び植物細胞が挙げられるが、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物又は培養植物又は動物組織に含まれる細胞も含まれる。一態様では、本発明の宿主細胞は、真核細胞、特に哺乳動物細胞である。一態様では、宿主細胞は、ヒト身体中の細胞ではない。
「医薬組成物」又は「薬学的製剤」という用語は、調製物の中に含有される有効成分の生物活性が有効になるような形態であり、組成物が投与されるであろう対象にとって許容できない有毒を有する追加の成分を何も含有しない調製物を指す。
「薬学的に許容され得る担体」は、有効成分以外の医薬組成物又は製剤中の成分であって、対象にとって非毒性である成分を指す。薬学的に許容され得る担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、又は防腐剤が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「処置(treatment)」(及びその文法的な変化形、例えば、「処置する(treat)」又は「処置すること(treating)」)は、処置される個体における疾患の本来の経過を変える試行における臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理の経過の間に行うことができる。処置の所望の効果としては、疾患の発症又は再発を予防すること、症状の軽減、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的結果の減弱、転移を予防すること、疾患進行速度を低下させること、病状の寛解又は緩和、及び回復又は予後の改善が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、本発明の抗体は、疾患の発症を遅延させるために、又は疾患の進行を遅らせるために使用される。
「個体」又は「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物としては、限定されないが、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト及びサル等の非ヒト霊長類)、ウサギ、齧歯類(例えば、マウス及びラット)が挙げられる。ある特定の態様では、個体又は対象は、ヒトである。
薬剤、例えば、医薬組成物の「有効量」は、所望の治療結果又は予防結果を達成するために必要な投薬量及び所要期間で有効な量を指す。
「添付文書」という用語は、治療製品の市販パッケージに通常含まれる指示を指すために用いられ、そのような治療製品に関する適応症、使用、投薬量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告に関する情報を含む。
II.組成物及び方法
本発明は、NKG2D及び第2の抗原に結合する多重特異性抗体を含む、NKG2Dに結合する抗体を提供する。抗体は、NKG2Dに対して優れた結合活性及びアゴニスト活性を示し、例えば、有効性及び安全性、薬物動態、並びに生産性に関して、治療適用のための他の好ましい特性と組み合わされる。本発明の抗体は、例えば、がん等の疾患の処置に有用である。
本発明の抗体は、例えばT細胞二重特異性抗体(TCB)等のT細胞活性化剤と組み合わせて、細胞傷害性T細胞の(共)刺激に特に有用である。本発明の抗体はまた、FcγRIIIa(CD16a)等の活性化Fc受容体を介した同時刺激を必要とせずとも、ナチュラルキラー(NK)細胞及びγδ T細胞等の他のNKG2D発現免疫細胞を効率的に活性化することができる。Fc受容体結合及びその機能に対する活性化の必要性を回避することにより、本発明の抗体は、その機能のためにFc受容体結合及び活性化を必要とするNKG2D抗体よりも全身性副作用のリスクが小さい効率的な免疫細胞活性化を可能にすると考えられる。本発明の抗体はまた、標的免疫細胞活性化を達成するためにNKG2D及び標的細胞抗原(例えば、腫瘍抗原)に結合するが、全身性副作用のリスクを低下させるために活性化Fc受容体(特にFcγRIIIa(CD16a))にも結合しない多重特異性フォーマットで使用することができる。
A.抗NKG2D抗体
本発明は、NKG2Dに結合する抗体を提供する。
第1の態様では、本発明は、NKG2Dに結合する抗体であって、
(i)配列番号73の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号74、配列番号102、配列番号103、配列番号104及び配列番号105からなる群から選択されるHCDR2、並びに配列番号75のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号76の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号77のLCDR2及び配列番号78のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL);
(ii)配列番号65のHCDR1、配列番号66のHCDR2及び配列番号67のHCDR3を含むVHと、配列番号68のLCDR1、配列番号69のLCDR2及び配列番号70のLCDR3を含むVL;
(iii)配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2及び配列番号3のHCDR3を含むVHと、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を含むVL;
(iv)配列番号25のHCDR1、配列番号26のHCDR2及び配列番号27のHCDR3を含むVHと、配列番号28のLCDR1、配列番号29のLCDR2及び配列番号30のLCDR3を含むVL;
(v)配列番号49のHCDR1、配列番号50のHCDR2及び配列番号51のHCDR3を含むVHと、配列番号52のLCDR1、配列番号53のLCDR2及び配列番号54のLCDR3を含むVL;
(vi)配列番号57のHCDR1、配列番号58のHCDR2及び配列番号59のHCDR3を含むVHと、配列番号60のLCDR1、配列番号61のLCDR2及び配列番号62のLCDR3を含むVL;
(vii)配列番号9のHCDR1、配列番号10のHCDR2及び配列番号11のHCDR3を含むVHと、配列番号12のLCDR1、配列番号13のLCDR2及び配列番号14のLCDR3を含むVL;
(viii)配列番号17のHCDR1、配列番号18のHCDR2及び配列番号19のHCDR3を含むVHと、配列番号20のLCDR1、配列番号21のLCDR2及び配列番号22のLCDR3を含むVL;
(ix)配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCDR2及び配列番号35のHCDR3を含むVHと、配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR2及び配列番号38のLCDR3を含むVL;又は
(x)配列番号41のHCDR1、配列番号42のHCDR2及び配列番号43のHCDR3を含むVHと、配列番号44のLCDR1、配列番号45のLCDR2及び配列番号46のLCDR3を含むVL、を含む第1の抗原結合ドメインを含む、抗体を提供する。
一態様では、本発明は、NKG2Dに結合する抗体であって、
(i)配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号80のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号72のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVL;
(iii)配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVL;
(iv)配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVL;
(v)配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVL;
(vi)配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVL;
(vii)配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVL;
(viii)配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVL;
(ix)配列番号39のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号40のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVL;或いは
(x)配列番号47のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号48のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVL、を含む第1の抗原結合ドメインを含む、抗体を提供する。
一態様では、抗体は、
配列番号73の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号74、配列番号102、配列番号103、配列番号104及び配列番号105からなる群から選択されるHCDR2、並びに配列番号75のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号76の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号77のLCDR2及び配列番号78のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)を含む第1の抗原結合ドメインを含む。
一態様では、抗体は、
配列番号73の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号74のHCDR2、及び配列番号75のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号76の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号77のLCDR2、及び配列番号78のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む第1の抗原結合ドメインを含む。
一態様では、抗体は、
配列番号73の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号102のHCDR2、及び配列番号75のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号76の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号77のLCDR2、及び配列番号78のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む第1の抗原結合ドメインを含む。
特定の態様では、抗体は、
配列番号73の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号104のHCDR2、及び配列番号75のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号76の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号77のLCDR2、及び配列番号78のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む第1の抗原結合ドメインを含む。
一態様では、抗体は、ヒト化抗体である。一態様では、抗原結合ドメインは、ヒト化抗原結合ドメイン(即ちヒト化抗体の抗原結合ドメイン)である。一態様では、VH及び/又はVLは、ヒト化可変領域である。一態様では、VHはヒト化可変領域であり、VLはヒト可変領域である。
一態様では、VH及び/又はVLは、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。
一態様では、VHは、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択される重鎖可変領域配列、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択される重鎖可変領域配列、最も特には配列番号112の重鎖可変領域配列の1又は複数の重鎖フレームワーク配列(即ち、FR1、FR2、FR3及び/又はFR4配列)を含む。一態様では、VHは、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、最も特には配列番号112のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。一態様では、VHは、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、最も特には配列番号112のアミノ酸配列と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を含む。一態様では、VHは、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、最も特には配列番号112のアミノ酸配列と少なくとも約98%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の態様では、少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%の同一性を有するVH配列は、基準配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含有するが、その配列を含む抗体はNKG2Dに結合する能力を保持する。ある特定の態様では、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、最も特には配列番号112のアミノ酸配列において、合計1から10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。ある特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。一態様では、VHは、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、最も特には配列番号112のアミノ酸配列を含む。任意に、VHは、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、最も特には配列番号112のアミノ酸配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
一態様では、VLは、配列番号80の軽鎖可変領域配列の1又は複数の軽鎖フレームワーク配列(即ち、FR1、FR2、FR3及び/又はFR4配列)を含む。一態様では、VLは、配列番号80のアミノ酸配列に少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、VLは、配列番号80のアミノ酸配列に少なくとも約95%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、VLは、配列番号80のアミノ酸配列に少なくとも約98%同一のアミノ酸配列を含む。ある特定の態様では、少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%の同一性を有するVL配列は、基準配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含有するが、その配列を含む抗体はNKG2Dに結合する能力を保持する。ある特定の態様では、合計で1~10個のアミノ酸が、配列番号80のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている及び/又は欠失している。ある特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。一態様では、VLは、配列番号80のアミノ酸配列を含む。任意に、VLは、配列番号80のアミノ酸配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
一態様では、VHは、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、最も特には配列番号112のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号80のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、VHは、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、最も特には配列番号112のアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号80のアミノ酸配列を含む。
さらなる態様では、本発明は、NKG2Dに結合する抗体であって、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列、最も特には配列番号112のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号80のアミノ酸配列を含むVLとを含む第1の抗原結合ドメインを含む、抗体を提供する。
さらなる態様では、本発明は、NKG2Dに結合する抗体であって、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH配列、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH配列、最も特には配列番号112のVH配列と、配列番号80のVL配列とを含む第1の抗原結合ドメインを含む、抗体を提供する。
別の態様では、本発明は、NKG2Dに結合する抗体であって、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、最も特には配列番号112のVHの重鎖CDR配列を含むVHと、配列番号80のVLの軽鎖CDR配列を含むVLとを含む第1の抗原結合ドメインを含む、抗体を提供する。
さらなる態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、最も特には配列番号112のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と、配列番号11のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列とを含む。
一態様では、VHは、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、より特には、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、最も特には、配列番号112のVHの重鎖CDR配列と、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、最も特には配列番号112のVHのフレームワーク配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のフレームワークを含む。一態様では、VHは、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、より特には、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、最も特には、配列番号112のVHの重鎖CDR配列と、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、最も特には配列番号112のVHのフレームワーク配列と少なくとも約95%の配列同一性のフレームワークを含む。別の態様では、VHは、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、より特には、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、最も特には、配列番号112のVHの重鎖CDR配列と、配列番号79、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、より特には配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112及び配列番号113からなる群から選択されるVH、最も特には配列番号112のVHのフレームワーク配列と少なくとも約98%の配列同一性のフレームワークを含む。
一態様では、VLは、配列番号80のVLの軽鎖CDR配列と、配列番号80のVLのフレームワーク配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のフレームワークとを含む。一態様では、VLは、配列番号80のVLの軽鎖CDR配列と、配列番号80のVLのフレームワーク配列と少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。別の態様では、VLは、配列番号80のVLの軽鎖CDR配列と、配列番号80のVLのフレームワーク配列と少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
一態様では、抗体は、
配列番号65のHCDR1、配列番号66のHCDR2及び配列番号67のHCDR3を含むVHと、配列番号68のLCDR1、配列番号69のLCDR2及び配列番号70のLCDR3を含むVLとを含む第1の抗原結合ドメインを含む。
一態様では、抗体は、ヒト抗体である。一態様では、抗原結合ドメインは、ヒト抗原結合ドメイン(即ちヒト抗体の抗原結合ドメイン)である。一態様では、VH及び/又はVLは、ヒト可変領域である。
一態様では、VH及び/又はVLは、ヒトフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンフレームワークを含む。
一態様では、VHは、配列番号71の重鎖可変領域配列の1又は複数の重鎖フレームワーク配列(即ち、FR1、FR2、FR3及び/又はFR4配列)を含む。一態様では、VHは、配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%同一であるアミノ酸配列を含む。一態様では、VHは、配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を含む。一態様では、VHは、配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも約98%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の態様では、少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%の同一性を有するVH配列は、基準配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含有するが、その配列を含む抗体はNKG2Dに結合する能力を保持する。ある特定の態様では、合計で1~10個のアミノ酸が、配列番号71のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている及び/又は欠失している。ある特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。一態様では、VHは、配列番号71のアミノ酸配列を含む。任意に、VHは、配列番号71のアミノ酸配列を含み、これにはその配列の翻訳後修飾が含まれる。
一態様では、VLは、配列番号72の軽鎖可変領域配列の1又は複数の軽鎖フレームワーク配列(即ち、FR1、FR2、FR3及び/又はFR4配列)を含む。一態様では、VLは、配列番号72のアミノ酸配列に少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、VLは、配列番号72のアミノ酸配列に少なくとも約95%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、VLは、配列番号72のアミノ酸配列に少なくとも約98%同一のアミノ酸配列を含む。ある特定の態様では、少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%の同一性を有するVL配列は、基準配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含有するが、その配列を含む抗体はNKG2Dに結合する能力を保持する。ある特定の態様では、合計で1~10個のアミノ酸が、配列番号72のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている及び/又は欠失している。ある特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。一態様では、VLは、配列番号72のアミノ酸配列を含む。任意に、VLは、配列番号72のアミノ酸配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
一態様では、VHは、配列番号71のアミノ酸配列に対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号72のアミノ酸配列に対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、VHは配列番号71のアミノ酸配列を含み、VLは配列番号72のアミノ酸配列を含む。
さらなる態様では、本発明は、NKG2Dに結合する抗体であって、配列番号71のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号72のアミノ酸配列を含むVLを含む第1の抗原結合ドメインを含む、抗体を提供する。
さらなる態様では、本発明は、NKG2Dに結合する抗体であって、配列番号71のVH配列及び配列番号72のVL配列を含む第1の抗原結合ドメインを含む、抗体を提供する。
別の態様では、本発明は、NKG2Dに結合する抗体であって、配列番号71のVHの重鎖CDR配列を含むVH及び配列番号72のVLの軽鎖CDR配列を含むVLを含む第1の抗原結合ドメインを含む、抗体を提供する。
さらなる態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号71のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3アミノ酸配列と、配列番号72のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3アミノ酸配列と、を含む。
一態様では、VHは、配列番号71のVHの重鎖CDR配列と、配列番号71のVHのフレームワーク配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のフレームワークとを含む。一態様では、VHは、配列番号71のVHの重鎖CDR配列と、配列番号71のVHのフレームワーク配列と少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。別の態様では、VHは、配列番号71のVHの重鎖CDR配列、及び配列番号71のVHのフレームワーク配列と少なくとも98%の配列同一性のフレームワークを含む。
一態様では、VLは、配列番号72のVLの軽鎖CDR配列と、配列番号72のVLのフレームワーク配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のフレームワークとを含む。一態様では、VLは、配列番号72のVLの軽鎖CDR配列と、配列番号72のVLのフレームワーク配列と少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。別の態様では、VLは、配列番号72のVLの軽鎖CDR配列と、配列番号72のVLのフレームワーク配列と少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
一態様では、抗体は、
配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2及び配列番号3のHCDR3を含むVHと、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2及び配列番号6のLCDR3を含むVLとを含む第1の抗原結合ドメインを含む。
一態様では、抗体は、ヒト抗体である。一態様では、抗原結合ドメインは、ヒト抗原結合ドメイン(即ちヒト抗体の抗原結合ドメイン)である。一態様では、VH及び/又はVLは、ヒト可変領域である。
一態様では、VH及び/又はVLは、ヒトフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンフレームワークを含む。
一態様では、VHは、配列番号7の重鎖可変領域配列の1又は複数の重鎖フレームワーク配列(即ち、FR1、FR2、FR3及び/又はFR4配列)を含む。一態様では、VHは、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%同一であるアミノ酸配列を含む。一態様では、VHは、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を含む。一態様では、VHは、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも約98%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の態様では、少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%の同一性を有するVH配列は、基準配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含有するが、その配列を含む抗体はNKG2Dに結合する能力を保持する。ある特定の態様では、合計で1~10個のアミノ酸が、配列番号7のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている及び/又は欠失している。ある特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。一態様では、VHは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。任意に、VHは、配列番号7のアミノ酸配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
一態様では、VLは、配列番号8の軽鎖可変領域配列の1又は複数の軽鎖フレームワーク配列(即ち、FR1、FR2、FR3及び/又はFR4配列)を含む。一態様では、VLは、配列番号8のアミノ酸配列に少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、VLは、配列番号8のアミノ酸配列に少なくとも約95%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、VLは、配列番号8のアミノ酸配列に少なくとも約98%同一のアミノ酸配列を含む。ある特定の態様では、少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%の同一性を有するVL配列は、基準配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含有するが、その配列を含む抗体はNKG2Dに結合する能力を保持する。ある特定の態様では、合計で1~10個のアミノ酸が、配列番号8のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている及び/又は欠失している。ある特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。一態様では、VLは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。任意に、VLは、配列番号8のアミノ酸配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
一態様では、VHは、配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、VHは配列番号7のアミノ酸配列を含み、VLは配列番号8のアミノ酸配列を含む。
さらなる態様では、本発明は、NKG2Dに結合する抗体であって、配列番号7のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVLを含む第1の抗原結合ドメインを含む、抗体を提供する。
さらなる態様では、本発明は、NKG2Dに結合する抗体であって、配列番号7のVH配列及び配列番号8のVL配列を含む第1の抗原結合ドメインを含む、抗体を提供する。
別の態様では、本発明は、NKG2Dに結合する抗体であって、配列番号7のVHの重鎖CDR配列を含むVH及び配列番号8のVLの軽鎖CDR配列を含むVLを含む第1の抗原結合ドメインを含む、抗体を提供する。
さらなる態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号7のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3アミノ酸配列と、配列番号8のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3アミノ酸配列と、を含む。
一態様では、VHは、配列番号7のVHの重鎖CDR配列と、配列番号7のVHのフレームワーク配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のフレームワークと、を含む。一態様では、VHは、配列番号7のVHの重鎖CDR配列と、配列番号7のVHのフレームワーク配列と少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。別の態様では、VHは、配列番号7のVHの重鎖CDR配列、及び配列番号7のVHのフレームワーク配列と少なくとも98%の配列同一性のフレームワークを含む。
一態様では、VLは、配列番号8のVLの軽鎖CDR配列と、配列番号8のVLのフレームワーク配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のフレームワークとを含む。一態様では、VLは、配列番号8のVLの軽鎖CDR配列と、配列番号8のVLのフレームワーク配列と少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。別の態様では、VLは、配列番号8のVLの軽鎖CDR配列と、配列番号8のVLのフレームワーク配列と少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
一態様では、本発明は、NKG2Dに結合する抗体であって、上記に提供した態様のいずれかのVH配列及び上記に提供した態様のいずれかのVL配列を含む第1の抗原結合ドメインを含む、抗体を提供する。
一態様では、抗体は、ヒト定常領域を含む。一態様では、抗体は、ヒト定常領域を含む免疫グロブリン分子、特にヒトCH1、CH2、CH3及び/又はCLドメインを含むIgGクラス免疫グロブリン分子である。ヒト定常ドメインの例示的な配列は、配列番号83及び84(それぞれ、ヒトカッパ及びラムダCLドメイン)、並びに配列番号85(ヒトIgG1重鎖定常ドメインCH1-CH2-CH3)で与えられる。一態様では、抗体は、配列番号83又は配列番号84のアミノ酸配列、特に配列番号83のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む。一態様では、抗体は、配列番号85のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。特に、重鎖定常領域は、本明細書に記載のFcドメインにおけるアミノ酸変異を含んでもよい。
一態様では、第1の抗原結合ドメインは、ヒト定常領域を含む。一態様では、第1の抗原結合部分は、ヒト定常領域、特にヒトCH1及び/又はCLドメインを含むFab分子である。一態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号83又は配列番号84のアミノ酸配列、特に配列番号83のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む。特に、軽鎖定常領域は、「電荷修飾」の状態で本明細書に記載のアミノ酸変異を含んでいてもよい、及び/又は、クロスオーバーFab分子での場合、1又は複数の(特に2つの)N末端アミノ酸の欠失又は置換を含んでいてもよい。いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号85のアミノ酸配列に含まれるCH1ドメイン配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。特に、重鎖定常領域(具体的にはCH1ドメイン)は、「電荷修飾」状態において本明細書に記載のアミノ酸変異を含んでいてもよい。
一態様では、抗体は、モノクローナル抗体である。
一態様では、抗体は、IgG、特にIgG1抗体である。一態様では、抗体は、全長抗体である。
別の態様では、抗体は、Fv分子、scFv分子、Fab分子、及びF(ab’)2分子の群から選択される抗体断片、特にFab分子である。別の態様では、抗体断片は、ダイアボディ、トリアボディ、又はテトラボディである。
本発明による抗体に含まれる第1の抗原結合ドメインは、NKG2Dに結合する。
好ましい態様では、抗体は、NKG2Dに結合する1つを超えない抗原結合ドメインを含む。一態様では、抗体は、NKG2Dに対する一価の結合を提供する。他の態様では、抗体は、NKG2Dに結合する2つ以上(例えば、2つ、3つ、又は4つ)の抗原結合ドメインを含む。一態様では、抗体は、NKG2Dに対する多価結合を提供する。一態様では、抗体は、NKG2Dに結合する2つの抗原結合ドメインを含む。一態様では、抗体はNKG2Dへの二価結合を提供する。別の態様では、抗体は、NKG2Dに結合する4つの抗原結合ドメインを含む。一態様では、抗体はNKG2Dへの四価結合を提供する。
抗体がNKG2Dに結合する2つ以上の抗原結合ドメインを含む態様では、好ましくはこれらの抗原結合ドメインの全てが同一である、即ち、それらは同じ分子フォーマット(例えば、従来のFab分子又はクロスオーバーFab分子)を有し、同じアミノ酸配列を含む。
別の態様では、第1の抗原結合ドメインは、Fv分子、scFv分子、Fab分子及びF(ab’)2分子の群から選択される抗体断片である。
一態様では、第1の抗原結合ドメインは、Fab分子である。好ましい態様では、第1の抗原結合部分は、Fab軽鎖及びFab重鎖の、可変ドメインVL及びVH又は定常ドメインCL及びCH1、特に可変ドメインVL及びVHが互いに置き換わっているFab分子である(即ち、第1の抗原結合ドメインは、クロスオーバーFab分子である)。
さらなる態様では、上記態様のうちのいずれかによる抗体は、下記のセクションII.A.1.~10.に記載されるように、任意の特徴を単独で又は組み合わせて組み込むことができる。
好ましい態様では、抗体は、Fcドメイン、特にIgG Fcドメイン、より特にはIgG1 Fcドメインを含む。一態様では、Fcドメインは、ヒトFcドメインである。一態様では、Fcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメインである。Fcドメインは、第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成され、Fcドメイン変異体に関連して本明細書の以下(セクションII.A.10.)に記載される特徴のうちのいずれかを、単独で又は組み合わせて組み込んでもよい。
別の好ましい態様では、抗体は、第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインを含む(即ち、抗体は、本明細書の以下(セクションII.A.9.)にさらに記載される多重特異性抗体である)。
1.抗体断片
ある特定の態様では、本明細書に提供される抗体は、抗体断片である。
一態様では、抗体断片は、Fab分子、Fab’分子、Fab’-SH分子、又はF(ab’)2分子であり、特に本明細書に記載のFab分子である。「Fab’分子」は、抗体ヒンジ領域から1又は複数のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端における残基の付加だけ、Fab分子とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を保持するFab’分子である。ペプシン処置により、2つの抗原結合部位(2つのFab分子)と、Fc領域の一部とを有するF(ab’)2分子が得られる。
別の態様では、抗体断片は、ダイアボディ、トリアボディ、又はテトラボディである。ダイアボディは、二価又は二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、欧州特許第404,097号、国際公開第1993/01161号、Hudsonら,Nat.Med.9:129-134(2003)、及びHollingerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディはまた、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)においても説明されている。
さらなる態様では、抗体断片は、一本鎖Fab分子である。「一本鎖Fab分子」又は「scFab」は、抗体重鎖可変ドメイン(VH)、抗体重鎖定常ドメイン1(CH1)、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)、抗体軽鎖定常ドメイン(CL)、及びリンカーからなるポリペプチドであり、当該抗体ドメイン及び当該リンカーは、N末端からC末端への方向において、以下の順序:a)VH-CH1-リンカー-VL-CL、b)VL-CL-リンカー-VH-CH1、c)VH-CL-リンカー-VL-CH1、又はd)VL-CH1-リンカー-VH-CLのうちの1つを有する。特に、上記リンカーは、少なくとも30個のアミノ酸、好ましくは32~50個のアミノ酸のポリペプチドである。一本鎖Fab分子は、CLドメインとCH1ドメインとの間の天然ジスルフィド結合によって安定化される。さらに、これらの一本鎖Fab分子は、システイン残基の挿入(例えば、Kabatナンバリングによれば、可変重鎖の44位及び可変軽鎖の100位)による鎖間ジスルフィド結合の生成によって、さらに安定化されるであろう。
別の態様では、抗体断片は一本鎖可変断片(scFv)である。「一本鎖可変断片」又は「scFv」は、リンカーにより接続された、抗体の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変ドメインの融合タンパク質である。特に、リンカーは、10~25個のアミノ酸の短いポリペプチドであり、通常、柔軟性のためにグリシンが、且つ、溶解性のためにセリン又はスレオニンが豊富であり、VHのN末端をVLのC末端と、又はこの逆のいずれかで、接続させることができる。このタンパク質は、定常領域が取り除かれ、リンカーが導入されているにもかかわらず、元の抗体の特異性を保持することができる。scFv断片の総説としては、例えば、Plueckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)、また国際公開第93/16185号、並びに米国特許第5,571,894号及び米国特許第5,587,458号を参照されたい。
別の態様では、抗体断片は単一ドメイン抗体である。「単一ドメイン抗体」とは、抗体の重鎖可変ドメインの全部若しくは一部、又は軽鎖可変ドメインの全部若しくは一部を含む抗体断片である。ある特定の態様では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.マサチューセッツ州ウォルサム;例えば、米国特許第6,248,516号B1を参照されたい)。
抗体断片は、限定されないが、本明細書に記載される、インタクト抗体のタンパク質分解による消化、及び組換え宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli))による組換え産生を含む種々の技術によって作製することができる。
2.キメラ抗体及びヒト化抗体
ある特定の態様では、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号;及びMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984))に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又はサル等の非ヒト霊長類に由来する可変領域)とヒト定常領域を含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のそれらから変更されている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
ある特定の態様では、本明細書に提供される抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体が、親の非ヒト抗体の特異性及び親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低下させるためにヒト化される。通常、ヒト化抗体は、CDR(又はその一部)が非ヒト抗体に由来する1又は複数の可変ドメインを含み、FR(又はその一部)はヒト抗体配列に由来する。任意に、ヒト化抗体はまた、ヒト定常領域の少なくとも一部を含む。いくつかの態様では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性又は親和性を回復又は改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が由来する抗体)からの対応する残基で置換される。
ヒト化された抗体及びその作製方法については、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)で総説され、さらに以下に記載される:Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);Queen et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029-10033(1989);米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号及び同第7,087,409号;Kashmiri et al.,Methods 36:25-34(2005)(特異性決定領域(SDR)グラフトの記述);Padlan,Mol.Immunol.28:489-498(1991)(リサーフェシングについての記述);Dall’Acqua et al.,Methods 36:43-60(2005)(FRシャッフルについての記述);並びにOsbourn et al.,Methods 36:61-68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252-260(2000)(FRシャッフルの「ガイド付き選択アプローチの記述)。
ヒト化のために使用され得るヒトフレームワーク領域としては、限定されないが、「ベストフィット」法を使用して選択されたフレームワーク領域(例えばSims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい)、軽鎖又は重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992)、及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)を参照されたい)、ヒト成熟(体細胞性変異)フレームワーク領域又はヒト生殖細胞フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい)、並びにFRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照されたい)が挙げられる。
3.ヒト抗体
ある特定の態様では、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技術を使用して産生することができる。ヒト抗体は一般的に、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)に記載されている。
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答して、インタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製することができる。そのような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座に取って代わるヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部を含むか、又は染色体外に存在するか、又は動物の染色体にランダムに統合されている。そのようなトランスジェニック動物では、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般的に不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117-1125(2005)を参照されたい。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載する米国特許第6,075,181号及び米国特許第6,150,584号;HuMab(登録商標)技術を記載する米国特許第5,770,429号;K-M MOUSE(登録商標)技術を記載する米国特許第7,041,870号;及び、VelociMouse(登録商標)技術を記載する米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい。そのような動物によって生成されたインタクトな抗体からのヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、さらに改変されてもよい。
また、ヒト抗体は、ハイブリドーマを用いた方法で作製することができる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が、記載されている(例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987);及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照されたい。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体もまた、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)に記載されている。さらなる方法は、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載する)、及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265-268(2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載する)を含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はまた、Histology and Histopathology,20(3):927-937(2005)及びVollmers and Brandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185-91(2005)にも記載されている。
ヒト抗体はまた、ヒト由来のファージディスプレイライブラリから選択される可変ドメイン配列を単離することによって生成することができる。その後、そのような可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わせられ得る。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技術を以下に記載する。
4.ライブラリ由来の抗体
ある特定の態様では、本明細書に提供される抗体はライブラリから得られる。本発明の抗体は、1つ以上の所望の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離され得る。コンビナトリアルライブラリをスクリーニングするための方法は、例えば、Lerner et al.のNature Reviews 16:498-508(2016)において総説されている。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリをスクリーニングするための様々な方法が当技術分野で知られている。そのような方法は、例えば、Frenzel et al.のmAbs 8:1177-1194(2016);Bazan et al.のHuman Vaccines and Immunotherapeutics 8:1817-1828(2012)及びZhao et al.のCritical Reviews in Biotechnology 36:276-289(2016)、並びにHoogenboom et al.のMethods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)及びMarks and BradburyのMolecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)で総説されている。
ある特定のファージディスプレイ法において、VH遺伝子及びVL遺伝子のレパートリは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって個別にクローニングされ、ファージライブラリにおいて無作為に組換えられており、次いで、Winter et al.のAnnual Review of Immunology 12:433-455(1994)で説明されたように、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、典型的には、抗体断片を一本鎖Fv(scFv)断片又はFab断片のいずれかとしてディスプレイする。免疫源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。代替的に、EMBO Journal 12:725-734(1993)のGriffiths et al.によって記載されるように、ナイーブなレパートリをクローン化し(例えば、ヒトから)、免疫化することなく、非自己及びさらには自己抗原の広範囲に対する単一の抗体源を得ることができる。最終的に、ナイーブライブラリはまた、Journal of Molecular Biology 227:381-388(1992)でHoogenboom and Winterによって記載されるように、再整列していないV遺伝子セグメントを幹細胞からクローニングすること、及びランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して、高度に可変性のCDR3領域をコードし、in vitroで再整列を達成することによって、合成により作製することができる。ヒト抗体ファージライブラリについて記載する特許公報としては、例えば:米国特許第5,750,373号、同第7,985,840号、同第7,785,903号及び同第8,679,490号、並びに米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2007/0117126号、同第2007/0237764号及び同第2007/0292936号が挙げられる。
1又は複数の所望の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングするための当技術分野で知られている方法のさらなる例には、リボソーム及びmRNAディスプレイ、並びに細菌、哺乳動物細胞、昆虫細胞又は酵母細胞における抗体ディスプレイ及び選択のための方法が含まれる。酵母表面ディスプレイのための方法は、例えば、Methods in Molecular Biology 503:135-56(2012)のScholler et al.及びMethods in Molecular biology 1319:155-175(2015)のCherf et al.並びにMethods in Molecular Biology 889:73-84(2012)のZhao et al.で総説される。リボソームディスプレイのための方法は、例えば、He et al.のNucleic Acids Research 25:5132-5134(1997)及びHanes et al.のPNAS 94:4937-4942(1997)に記載されている。
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体又は抗体断片は、本明細書ではヒト抗体又はヒト抗体断片とみなされる。
5.グリコシル化変異体
ある特定の態様では、本明細書において提供する抗体を変えて、抗体のグリコシル化の程度を増減させる。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、1又は複数のグリコシル化部位が作り出されるか、又は除去されるようにアミノ酸配列を改変させることにより好都合に達成され得る。
抗体がFc領域を含む場合、抗体に付着しているオリゴ糖を変更してもよい。哺乳動物細胞によって産生されたネイティブ抗体は、典型的には、N結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に一般に結合される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26-32(1997)を参照されたい。オリゴ糖には、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、並びに二分岐型オリゴ糖構造の「幹」のGlcNAcに結合したフコースが含まれ得る。いくつかの態様では、本発明の抗体中のオリゴ糖の修飾が、ある特定の改良された特性を有する抗体変異体を生成するために行われてもよい。
一態様では、非フコシル化オリゴ糖、即ち、Fc領域へのフコース結合(直接又は間接)が欠落した、オリゴ糖構造を有する抗体変異体を提供する。そのような非フコシル化オリゴ糖(「アフコシル化」オリゴ糖とも呼ばれる)は特に、二分枝オリゴ糖構造の幹に第1のGlcNAcが結合したフコース残基を欠く、N結合オリゴ糖である。一態様では、ネイティブ又は親抗体と比較して、Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の比率が増加した抗体変異体を提供する。例えば、非フコシル化オリゴ糖の割合は、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、又は場合によっては約100%(即ち、フコシル化オリゴ糖が存在しない)であってもよい。非フコシル化オリゴ糖の割合は、例えば、国際公開第2006/082515号に記載のMALDI-TOF質量分析法により測定した、Asn297に結合した全てのオリゴ糖の合計(例えば、複合体、ハイブリッド、及びハイマンノース構造)に対する、フコース残基を欠くオリゴ糖の(平均)量である。Asn297は、Fc領域の約297位に位置するアスパラギン残基を指す(Fc領域残基のEUナンバリング);但し、Asn297はまた、抗体のマイナーな配列変化のために、位置297の上流又は下流、即ち、位置294と300の間の約±3個のアミノ酸に位置していてもよい。Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の割合が増加したそのような抗体は、改善されたFcγRIIIa受容体結合、及び/又は改善されたエフェクター機能、特に改善されたADCC機能を有することができる。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号;米国特許出願公開第2004/0093621号を参照されたい。
フコシル化が低下した抗体を産生可能な細胞株の例としては、タンパク質フコシル化が不足しているLec13CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);米国特許出願公開第2003/0157108号;及び国際公開第2004/056312号、特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えばアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子のFUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614-622(2004);Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006);及び国際公開第2003/085107号を参照されたい)、又はGDP-フコース合成若しくはトランスポータータンパク質の活性が低下若しくは消滅した細胞(例えば、米国特許出願公開第2004259150号、米国特許出願公開第2005031613号、米国特許出願公開第2004132140号、米国特許出願公開第2004110282号を参照されたい)が挙げられる。
さらなる態様では、抗体変異体は、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcにより二分されている二分されたオリゴ糖と共に提供される。そのような抗体変異体は、上述のように、低下したフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有してもよい。そのような抗体変異体の例は、例えば、Umana et al.,Nat Biotechnol 17,176-180(1999);Ferrara et al.,Biotechn Bioeng 93,851-861(2006);国際公開第99/54342号;国際公開第2004/065540号、国際公開第2003/011878号に記載されている。
Fc領域に付着したオリゴ糖の少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体変異体も提供される。そのような抗体変異体は、CDCの機能を改善している可能性がある。かかる抗体変異体は、例えば、国際公開第1997/30087号、国際公開第1998/58964号、及び国際公開第1999/22764号に記載されている。
6.システイン操作抗体変異体
ある特定の態様では、抗体の1又は複数の残基がシステイン残基で置換されているシステイン操作抗体、例えば、THIOMAB(商標)を生成することが望ましい場合がある。好ましい態様では、置換された残基は、抗体のアクセス可能な部位で生じる。これらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基は、それによって抗体のアクセス可能な部位に配置され、本明細書にさらに記載されるように、抗体を薬物部位又はリンカー薬物部位等のような他の部位に抱合して免疫抱合体を作製するために使用することができる。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号、米国特許第8,30,930号、米国特許第7,855,275号、米国特許第9,000,130号、又は国際公開第2016040856号に記載のように生成することができる。
7.抗体誘導体
ある特定の態様では、本明細書で提供される抗体は、当技術分野で既知であり、容易に入手可能な、さらなる非タンパク質性部分を含むようにさらに修飾されてもよい。抗体の誘導体化に適した部位としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造時に有利であり得る。ポリマーは、任意の分子量であってもよく、分岐していても、分岐していなくてもよい。抗体に付着しているポリマーの数は様々であり、複数のポリマーが付着している場合には、それらは同じ分子であっても、異なった分子であってもよい。一般に、誘導体化のために使用されるポリマーの数及び/又はタイプは、限定するものではないが、改良される抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が定義された条件下で治療に使用されるかどうか等の考慮事項に基づいて決定することができる。
8.免疫抱合体
本発明はまた、細胞傷害性薬剤、化学療法剤若しくは化学療法薬、成長阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌真菌、植物、若しくは動物起源の酵素活性毒素、又はそれらの断片)、又は放射性同位体等の1又は複数の治療剤と抱合された本明細書における抗NKG2D抗体を含む、免疫抱合体を提供する。
一態様では、免疫抱合体は、抗体が、前述の治療剤の1又は複数に抱合した、抗体薬物抱合体(ADC)である。抗体は典型的には、リンカーを使用して、治療剤の1又は複数に接続される。治療剤及び薬剤及びリンカーの例を含む、ADC技術の概観は、Pharmacol Review 68:3-19(2016)に記載されている。
別の態様では、免疫抱合体は、酵素活性毒素又はその断片に抱合化した本発明の抗体を含み、これには、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、エキソトキシンA鎖(緑膿菌からのもの)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、シナアブラギリのタンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウのタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、ツルレイシ阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、並びにトリコテセンが含まれるが、これらに限定されない。
別の態様では、免疫抱合体は、放射性原子に抱合化して放射性抱合体を形成する、本発明の抗体を含む。放射性物質の製造には、様々な放射性同位体が利用可能である。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位元素が挙げられる。放射性抱合体が検出のために使用されるとき、その例には、シンチグラフィー研究のための放射性原子、例えば、Tc99m若しくはI123、又は核磁気共鳴(NMR)画像法(別名、磁気共鳴画像法、MRI)のための、I123、I131、In111、F19、C13、N15、O17、ガドリニウム、マンガン、若しくは鉄等のスピン標識が含まれ得る。
抗体と細胞毒性剤との抱合体は、例えば、各種の二官能性タンパク質カップリング剤を用いて作製することができる:N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCl等)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジル等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビスアジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トルエン2,6-ジイソシアネート等)、及び二活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン等)。例えば、Vitetta et al.,Science 238:1098(1987)に記載されているように、リシン免疫トキシンを調製することができる。炭素14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)は、抗体にラジヌクレオチドを共役させるための例示的なキレート剤である。国際公開第94/11026号を参照されたい。リンカーは、細胞内での細胞傷害性薬物の放出を促進する「開裂性リンカー」であってもよい。例えば、酸解離性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光解離性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari et al.,Cancer Res.52:127-131(1992);米国特許第5,208,020号)を使用することができる。
本明細書に記載の免疫抱合体(immunuoconjugate)又はADCは、市販(例えば、米国イリノイ州ロックフォードのPierce Biotechnology,Inc.,製)の、以下のものを含むがこれらに限定されない架橋試薬を用いて調製されたそのような抱合体を明示的に企図する:BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、及びスルホ-SMPB、及びSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)が、これらに限定されない。
9.多重特異性抗体
ある特定の態様では、本明細書に提供される抗体は多重特異性抗体、特に、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原決定基(例えば、2つの異なるタンパク質、又は同じタンパク質上の2つの異なるエピトープ)に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある特定の態様では、多重特異性抗体は3つ以上の結合特異性を有する。ある特定の態様では、結合特異性の一方はNKG2Dへのものであり、他方は任意の他の抗原へのものである。ある特定の態様では、多重特異性抗体は、NKG2Dの2つ(又はそれ以上)の異なるエピトープに結合し得る。多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、細胞傷害性薬剤又は細胞を、NKG2Dを発現する細胞に局在化するために使用することもできる。多重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片として調製することができる。
多重特異性抗体を作製するための技術には、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983)を参照されたい)及び「ノブ・イン・ホール(knob-in-hole)」操作(例えば、米国特許第5,731,168号及びAtwell et al.,J.Mol.Biol.270:26(1997)を参照されたい)が含まれるが、これらに限定されない。多重特異性抗体は、また、抗体Fcヘテロ二量体分子を作製するための静電ステアリング効果の操作(例えば、国際公開第2009/089004号を参照されたい);2つ以上の抗体若しくは断片の架橋(例えば、米国特許第4,676,980号及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照されたい);ロイシンジッパーを使用した二重特異性抗体の産生(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992)及び国際公開第2011/034605号を参照されたい);軽鎖の誤対合問題を回避するための一般的な軽鎖技術の使用(例えば、国際公開第98/50431号を参照されたい);二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術の使用(例えば、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)を参照されたい);及び一本鎖Fv(scFv)二量体の使用(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照されたい);並びに例えばTutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載されている三重特異性抗体の調製によって作製することができる。
例えば、「オクトパス(Octopus)抗体」を含む3つ以上の抗原結合部位を有する操作抗体、又はDVD-Igも本明細書に含まれる(例えば、国際公開第2001/77342号及び国際公開第2008/024715号を参照されたい)。3つ以上の抗原結合部位を有する多重特異性抗体の他の例は、国際公開第2010/115589号、国際公開第2010/112193号、国際公開第2010/136172号、国際公開第2010/145792号及び国際公開第2013/026831号に見出すことができる。多重特異性抗体又はその抗原結合断片は、NKG2Dに、同様に別の異なる抗原に、又はNKG2Dの2つの異なるエピトープに結合する抗原結合部位を含む「二重作用FAb」又は「DAF」も含む(例えば、米国特許出願公開第2008/0069820号及び国際公開第2015/095539号を参照されたい)。
多重特異性抗体は、同じ抗原特異性の1又は複数の結合アームにドメインクロスオーバーを有する非対称形態(いわゆる「クロスマブ(CrossMab)」技術)で、即ちVH/VLドメイン(例えば、国際公開第2009/080252号及び国際公開第2015/150447号を参照されたい)、CH1/CLドメイン(例えば、国際公開第2009/080253号を参照されたい)又は完全なFabアーム(例えば、国際公開第2009/080251号、国際公開第2016/016299号参照、Schaefer et al,PNAS,108(2011)1187-1191及びKlein at al.,MAbs 8(2016)1010-20)も参照されたい)を交換することによっても提供され得る。非対称Fabアームは、荷電又は非荷電アミノ酸変異をドメインインターフェースに導入して正しいFabペアリングを指示することによって操作することもできる。例えば、国際公開第2016/172485号を参照されたい。
多重特異性抗体の様々なさらなる分子フォーマットが当技術分野で知られており、本明細書に含まれる(例えば、Spiess et al.,Mol Immunol 67(2015)95-106を参照されたい)。
本発明の多重特異性抗体の好ましい態様を以下に記載する。
一態様では、本発明は、本明細書に記載されているNKG2Dに結合する第1の抗原結合ドメインを含み、且つ第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインを含む、NKG2Dに結合する抗体を提供する。
本発明の好ましい態様によれば、抗体に含まれる抗原結合ドメインはFab分子である(即ち、各々が可変ドメイン及び定常ドメインを含む、重鎖及び軽鎖から構成される抗原結合ドメインである)。一態様では、第1及び/又は第2の抗原結合ドメインは、Fab分子である。一態様では、当該Fab分子は、ヒトのものである。別の態様では、当該Fab分子はヒト化のものである。また別の態様では、当該Fab分子は、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインを含む。
好ましくは、抗原結合ドメインの少なくとも1つは、クロスオーバーFab分子である。そのような修飾は、異なるFab分子の重鎖と軽鎖の誤対合を低減し、それによって、組換え産生における本発明の(多重特異性)抗体の収率及び純度を改善する。本発明の(多重特異性)抗体に有用な好ましいクロスオーバーFab分子では、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変ドメイン(それぞれ、VL及びVH)が交換されている。しかしながら、このドメイン交換によっても、(多重特異性)抗体の調製は、誤対合重鎖及び軽鎖の間の、いわゆる、ベンス・ジョーンズ型相互作用に起因して、ある特定の副生成物を含むことがある(Schaefer et al,PNAS,108(2011)11187-11191を参照されたい)。異なるFab分子の重鎖及び軽鎖の誤対合をさらに減少し、これにより望ましい(多重特異性)抗体の純度及び収率を増加するため、反対の電荷を有する荷電アミノ酸を、第1の抗原(NKG2D)に結合するFab分子(複数可)又は第2の抗原(例えば、標的細胞抗原、例えば腫瘍細胞抗原)に結合するFab分子(複数可)のいずれかのCH1及びCLドメインにおける特定のアミノ酸位置に導入することができ、本明細書にさらに記載される。電荷修飾は、(多重特異性)抗体に含まれる従来のFab分子(複数可)(例えば、図12に示される)、又は(多重特異性)抗体に含まれるVH/VLクロスオーバーFab分子(複数可)において行われる(但し両方で行われることはない)。好ましい態様では、電荷改変は、(多重特異性)抗体に含まれる(好ましい態様では、第2の抗原、例えば標的細胞抗原、例えば腫瘍細胞抗原に結合する)従来のFab分子(複数可)において行われる。
本発明による好ましい態様では、(多重特異性)抗体は、第1の抗原(即ち、NKG2D)及び第2の抗原(例えば、標的細胞抗原、例えば、腫瘍細胞抗原)に同時に結合することができる。一態様では、(多重特異性)抗体は、NKG2D及び標的細胞抗原に同時に結合することによって、NKG2D発現細胞(T細胞又はNK細胞等)及び標的細胞(腫瘍細胞等)を架橋することができる。一態様では、そのような同時結合は、標的細胞、特に標的細胞抗原発現腫瘍細胞の溶解を生じる。一態様では、そのような同時結合は、NKG2D発現細胞(T細胞又はNK細胞等)の活性化をもたらす。他の態様では、そのような同時結合は、増殖、分化、サイトカイン分泌、細胞傷害性エフェクター分子放出、細胞傷害活性、及び活性化マーカーの発現の群から選択されるNKG2D発現細胞(T細胞又はNK細胞等)の細胞応答をもたらす。一態様では、標的細胞抗原への同時結合を伴わないNKG2Dへの(多重特異性)抗体の結合は、NKG2D発現細胞(T細胞又はNK細胞等)の活性化をもたらさない。
ある特定のこれらの態様では、本発明の(多重特異性)抗体を、T細胞活性化剤、例えばCD3に結合する抗体、特にCD3及び標的細胞抗原、特に腫瘍細胞抗原、に結合する二重特異性抗体と組み合わせる。
好ましくは、本発明のいずれかの態様によるT細胞は、細胞傷害性T細胞である。いくつかの態様では、T細胞はCD8+T細胞である。他の態様では、T細胞はγδT細胞である。
a)第1の抗原結合ドメイン
本発明の(多重特異性)抗体は、NKG2Dに結合する少なくとも1つの抗原結合ドメイン(第1の抗原結合ドメイン)を含む。好ましい態様では、NKG2DはヒトNKG2D又はカニクイザルNKG2D、最も特にヒトNKG2Dである。一態様では、第1の抗原結合ドメインは、ヒト及びカニクイザルNKG2Dに対して交差反応性である(即ち、それに結合する)。いくつかの態様では、NKG2Dは、NKG2Dの細胞外ドメインである。
好ましい態様では、(多重特異性)抗体は、NKG2Dに結合する1つを超えない抗原結合ドメインを含む。一態様では、(多重特異性)抗体は、NKG2Dに対する一価の結合を提供する。他の態様では、(多重特異性)抗体は、NKG2Dに結合する2つ以上(例えば、2つ、3つ、又は4つ)の抗原結合ドメインを含む。一態様では、(多重特異性)抗体は、NKG2Dに対する多価の結合を提供する。一態様では、(多重特異性)抗体は、NKG2Dに結合する2つの抗原結合ドメインを含む。一態様では、(多重特異性)抗体は、NKG2Dに対する二価の結合を提供する。別の態様では、(多重特異性)抗体は、NKG2Dに結合する4つの抗原結合ドメインを含む。一態様では、(多重特異性)抗体は、NKG2Dに対する四価の結合を提供する。
(多重特異性)抗体がNKG2Dに結合する2つ以上の抗原結合ドメインを含む態様では、好ましくはこれらの抗原結合ドメインの全てが同一である、即ち、それらは同じ分子フォーマット(例えば、従来のFab分子又はクロスオーバーFab分子)を有し、本明細書に記載のCH1ドメイン及びCLドメインに同じアミノ酸置換を含む同じアミノ酸配列を含む(存在する場合)同じアミノ酸配列を含む。
一態様では、NKG2Dに結合する抗原結合ドメイン(複数可)は、Fv分子、scFv分子、Fab分子及びF(ab’)2分子の群から選択される抗体断片である。好ましい態様では、NKG2Dに結合する抗原結合ドメイン(複数可)はFab分子である。
いくつかの態様では、NKG2Dに結合する抗原結合ドメイン(複数可)は、本明細書に記載されるクロスオーバーFab分子、即ち、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメインVH及びVL又は定常ドメインCH1及びCLが交換されている/互いに置き換わっているFab分子である。そのような態様では、第2の抗原(例えば、標的細胞抗原、例えば、腫瘍細胞抗原)に結合する抗原結合ドメイン(複数可)は、好ましくは従来のFab分子である。
代替的な態様では、NKG2Dに結合する抗原結合ドメイン(複数可)は、従来のFab分子である。そのような態様では、第2の抗原(例えば、標的細胞抗原、例えば、腫瘍細胞抗原)に結合する抗原結合ドメイン(複数可)は、本明細書に記載されるクロスオーバーFab分子、即ち、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメインVH及びVL又は定常ドメインCH1及びCLが交換されている/互いに置き換わっているFab分子である。
好ましい態様では、第1の抗原結合ドメインは、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変ドメインVL及びVH又は定常ドメインCL及びCH1、特に可変ドメインVL及びVHは、互いに置き換わっているFab分子である(即ち、そのような態様によると、第1の抗原結合ドメインは、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変ドメイン又は定常ドメインが交換されているクロスオーバーFab分子である)。そのような一態様では、第2の抗原結合ドメインは、従来のFab分子である。
b)第2の抗原結合ドメイン
ある特定の態様では、本発明の(多重特異性)抗体は、第2の抗原に結合する抗原結合ドメイン(第2の抗原結合ドメイン)を含む。第2の抗原は、好ましくはNKG2Dではない、即ちNKG2Dとは異なる。一態様では、第2の抗原は、NKG2Dとは異なる細胞上で発現される(例えば、T細胞又はNK細胞以外の細胞上で発現される)抗原である。一態様では、第2の抗原は、活性化Fc受容体、特にFcγRIIIa(CD16a)ではない。一態様では、抗体は、活性化Fc受容体、特にFcγRIIIa(CD16a)に結合しない。一態様では、第2の抗原はCD3ではない。一態様では、抗体はCD3に結合しない。
好ましい態様では、第2の抗原は、標的細胞抗原、特に腫瘍細胞抗原である。具体的な態様では、第2の抗原はCEAである。本発明によれば、第2の抗原結合ドメインは、(多重特異性)抗体を標的部位へ、例えば、第2の抗原を発現する特定のタイプの腫瘍細胞へ向かわせることができる。
好ましい態様では、(多重特異性)抗体は、第2の抗原に結合する1つを超えない抗原結合ドメインを含む。一態様では、(多重特異性)抗体は、第2の抗原に対する一価の結合を提供する。他の態様では、(多重特異性)抗体は、第2の抗原に結合する2つ以上(例えば、2つ、3つ、又は4つ)の抗原結合ドメインを含む。一態様では、(多重特異性)抗体は、第2の抗原に対する多価の結合を提供する。一態様では、(多重特異性)抗体は、第2の抗原に結合する2つの抗原結合ドメインを含む。一態様では、(多重特異性)抗体は、第2の抗原に対する二価の結合を提供する。
(多重特異性)抗体が、第2の抗原に結合する2つ以上の抗原結合ドメイン、特にFab分子を含む態様では、好ましくはこれらの抗原結合ドメインのそれぞれが同じ抗原決定基に結合する。さらにより好ましい態様では、これらの抗原結合ドメインの全ては、同一であり、即ち、同じ分子フォーマット(例えば、従来又はクロスオーバーFab分子)を有し、(存在する場合)本明細書に記載されるCH1及びCLドメインに同じアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含む。
一態様では、第2の抗原に結合する抗原結合ドメイン(複数可)は、Fv分子、scFv分子、Fab分子及びF(ab’)2分子の群から選択される抗体断片である。好ましい態様では、第2の抗原に結合する抗原結合ドメイン(複数可)はFab分子である。別の態様では、第2の抗原に結合する抗原結合ドメイン(複数可)はFv分子である。
いくつかの態様では、第2の抗原に結合する抗原結合ドメイン(複数可)は、従来のFab分子である。そのような態様では、NKG2Dに結合する抗原結合ドメイン(複数可)は、本明細書に記載されるクロスオーバーFab分子、即ち、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメインVH及びVL又は定常ドメインCH1及びCLが交換されている/互いに置き換わっているFab分子である。
代替的な態様では、第2の抗原に結合する抗原結合ドメイン(複数可)は、本明細書に記載されるクロスオーバーFab分子、即ち、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメインVH及びVL又は定常ドメインCH1及びCLが交換されている/互いに置き換わっているFab分子である。そのような態様では、NKG2Dに結合する抗原結合ドメイン(複数可)は、従来のFab分子である。
一態様では、第2の抗原結合ドメインは、ヒト定常領域を含む。一態様では、第2の抗原結合ドメインは、ヒト定常領域、特にヒトCH1及び/又はCLドメインを含むFab分子である。ヒト定常ドメインの例示的な配列は、配列番号83及び84(それぞれ、ヒトカッパ及びラムダCLドメイン)、並びに配列番号85(ヒトIgG1重鎖定常ドメインCH1-CH2-CH3)で与えられる。一態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号83又は配列番号84のアミノ酸配列、特に配列番号83のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む。特に、軽鎖定常領域は、「電荷修飾」の状態で本明細書に記載のアミノ酸変異を含んでいてもよい、及び/又は、クロスオーバーFab分子での場合、1又は複数の(特に2つの)N末端アミノ酸の欠失又は置換を含んでいてもよい。いくつかの態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号85のアミノ酸配列に含まれるCH1ドメイン配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。特に、重鎖定常領域(具体的にはCH1ドメイン)は、「電荷修飾」状態において本明細書に記載のアミノ酸変異を含んでいてもよい。
いくつかの態様では、第2の抗原はCEA、特にヒトCEAである。
一態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号114の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号115のHCDR2及び配列番号116のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)、並びに配列番号117の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号118のLCDR2及び配列番号119のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号120のVHの重鎖CDR配列を含むVHと、配列番号121のVLの軽鎖CDR配列を含むVLとを含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインのVHは、配列番号120のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含み、及び/又は第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号121のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。一態様では、VHは配列番号120のアミノ酸配列を含み、及び/又はVLは配列番号121のアミノ酸配列を含む。
別の態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号122の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号123のHCDR2及び配列番号124のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号125の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号126のLCDR2及び配列番号127のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインは、ヒト化抗体である(ヒト化抗体に由来する)。一態様では、第2の抗原結合ドメインは、ヒト化抗原結合ドメイン(即ち、ヒト化抗体の抗原結合ドメイン)である。一態様では、第2の抗原結合ドメインのVH及び/又はVLは、ヒト化可変領域である。
一態様では、第2の抗原結合ドメインのVHは、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインのVHは、配列番号128の重鎖可変領域配列の1又は複数の重鎖フレームワーク配列(即ち、FR1、FR2、FR3及び/又はFR4配列)を含む。一態様では、VHは、配列番号128のアミノ酸配列と少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%同一であるアミノ酸配列を含む。一態様では、VHは、配列番号128のアミノ酸配列と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を含む。一態様では、VHは、配列番号128のアミノ酸配列と少なくとも約98%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の態様では、少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%の同一性を有するVH配列は、基準配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含有するが、その配列を含む抗体は第2の抗原に結合する能力を保持する。ある特定の態様では、合計で1~10個のアミノ酸が、配列番号128のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている及び/又は欠失している。ある特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。一態様では、VHは、配列番号128のアミノ酸配列を含む。任意に、VHは、配列番号128のアミノ酸配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号129の軽鎖可変領域配列の1又は複数の軽鎖フレームワーク配列(即ち、FR1、FR2、FR3及び/又はFR4配列)を含む。一態様では、VLは、配列番号129のアミノ酸配列に少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、VLは、配列番号129のアミノ酸配列に少なくとも約95%同一のアミノ酸配列を含む。一態様では、VLは、配列番号129のアミノ酸配列に少なくとも約98%同一のアミノ酸配列を含む。ある特定の態様では、少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%の同一性を有するVL配列は、基準配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含有するが、その配列を含む抗体は第2の抗原に結合する能力を保持する。ある特定の態様では、合計で1~10個のアミノ酸が、配列番号129のアミノ酸配列において置換されている、挿入されている及び/又は欠失している。ある特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。一態様では、VLは、配列番号129のアミノ酸配列を含む。任意に、VLは、配列番号129のアミノ酸配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインのVHは、配列番号128のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含み、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号129のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。一態様では、VHは配列番号128のアミノ酸配列を含み、VLは配列番号129のアミノ酸配列を含む。
さらなる態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号128のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号129のアミノ酸配列を含むVLとを含む。
さらなる態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号128のVH配列と、配列番号129のVL配列とを含む。
別の態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号128のVHの重鎖CDR配列を含むVHと、配列番号129のVLの軽鎖CDR配列を含むVLとを含む。
さらなる態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号128のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3アミノ酸配列と、配列番号129のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3アミノ酸配列とを含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインのVHは、配列番号128のVHの重鎖CDR配列と、配列番号128のVHのフレームワーク配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のフレームワークとを含む。一態様では、VHは、配列番号128のVHの重鎖CDR配列と、配列番号128のVHのフレームワーク配列と少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。別の態様では、VHは、配列番号128のVHの重鎖CDR配列、及び配列番号128のVHのフレームワーク配列と少なくとも98%の配列同一性のフレームワークを含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号129のVLの軽鎖CDR配列と、配列番号129のVLのフレームワーク配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のフレームワークを含む。一態様では、VLは、配列番号129のVLの軽鎖CDR配列と、配列番号129のVLのフレームワーク配列と少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。別の態様では、VLは、配列番号129のVLの軽鎖CDR配列と、配列番号129のVLのフレームワーク配列と少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
別の態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号165の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号168のHCDR2及び配列番号171のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号177の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号126のLCDR2及び配列番号179のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)とを含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインは、
(i)配列番号122の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号123のHCDR2、及び配列番号172のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号125の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号126のLCDR2、及び配列番号180のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL);
(ii)配列番号122の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号123のHCDR2、及び配列番号173のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号125の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号126のLCDR2、及び配列番号181のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL);
(iii)配列番号122の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号123のHCDR2、及び配列番号174のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号125の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号126のLCDR2、及び配列番号182のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL);
(iv)配列番号166の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号169のHCDR2、及び配列番号124のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号178の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号126のLCDR2、及び配列番号127のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL);
(v)配列番号122の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号170のHCDR2、及び配列番号124のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号125の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号126のLCDR2、及び配列番号127のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL);
(vi)配列番号122の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号123のHCDR2、及び配列番号175のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号125の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号126のLCDR2、及び配列番号183のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL);
(vii)配列番号122の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号169のHCDR2、及び配列番号175のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号125の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号126のLCDR2、及び配列番号183のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL);
(viii)配列番号122の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号169のHCDR2、及び配列番号175のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号125の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号126のLCDR2、及び配列番号183のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL);
(ix)配列番号122の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号123のHCDR2、及び配列番号176のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号125の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号126のLCDR2、及び配列番号182のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL);
(x)配列番号122の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号169のHCDR2、及び配列番号176のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号125の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号126のLCDR2、及び配列番号182のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL);
(xi)配列番号166の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号169のHCDR2、及び配列番号172のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号125の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、列番号126のLCDR2、及び配列番号180のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL);又は
(xii)配列番号167の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号170のHCDR2、及び配列番号172のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号125の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号126のLCDR2、及び配列番号180のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインは、ヒト化抗体である(ヒト化抗体に由来する)。一態様では、第2の抗原結合ドメインは、ヒト化抗原結合ドメイン(即ち、ヒト化抗体の抗原結合ドメイン)である。一態様では、第2の抗原結合ドメインのVH及び/又はVLは、ヒト化可変領域である。
一態様では、第2の抗原結合ドメインのVHは、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインのVHは、配列番号184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204及び206からなる群から選択される重鎖可変領域配列の1又は複数の重鎖フレームワーク配列(即ち、FR1、FR2、FR3及び/又はFR4配列)を含む。一態様では、VHは、配列番号184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204及び206からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。一態様では、VHは、配列番号184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204及び206からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を含む。一態様では、VHは、配列番号184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204及び206からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約98%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の態様では、少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%の同一性を有するVH配列は、基準配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含有するが、その配列を含む抗体は第2の抗原に結合する能力を保持する。ある特定の態様では、配列番号184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204又は206のアミノ酸配列において、合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。ある特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。一態様では、VHは、配列番号184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204及び206からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。任意に、VHは、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204及び206からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205及び207の群から選択される軽鎖可変領域配列の1又は複数の軽鎖フレームワーク配列(即ち、FR1、FR2、FR3及び/又はFR4配列)を含む。一態様では、VLは、配列番号185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205及び207の群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。一態様では、VLは、配列番号185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205及び207の群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を含む。一態様では、VLは、配列番号185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205及び207の群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約98%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の態様では、少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%の同一性を有するVL配列は、基準配列と比べて、置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含有するが、その配列を含む抗体は第2の抗原に結合する能力を保持する。ある特定の態様では、配列番号185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205又は207のアミノ酸配列において、合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。ある特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。一態様では、VLは、配列番号185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205及び207の群から選択されるアミノ酸配列を含む。任意に、VLは、配列の翻訳後修飾を含む、配列番号185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205及び207の群から選択されるアミノ酸配列を含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインのVHは、
(i)配列番号184のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含み、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号185のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む;
(ii)配列番号186のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含み、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号187のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む;
(iii)配列番号188のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含み、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号189のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む;
(iv)配列番号190のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含み、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号191のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む;
(v)配列番号192のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含み、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号193のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む;
(vi)配列番号194のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含み、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号195のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む;
(vii)配列番号196のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含み、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号197のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む;
(viii)配列番号198のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含み、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号199のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む;
(ix)配列番号200のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含み、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号201のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む;
(x)配列番号202のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含み、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号203のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む;
(xi)配列番号204のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含み、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号205のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む;又は
(xii)配列番号206のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含み、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号207のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む。
一態様では、VHは、
(i)配列番号184のアミノ酸配列を含み、VLは配列番号185のアミノ酸配列を含む;
(ii)配列番号186のアミノ酸配列を含み、VLは配列番号187のアミノ酸配列を含む;
(iii)配列番号188のアミノ酸配列を含み、VLは配列番号189のアミノ酸配列を含む;
(iv)配列番号190のアミノ酸配列を含み、VLは配列番号191のアミノ酸配列を含む;
(v)配列番号192のアミノ酸配列を含み、VLは配列番号193のアミノ酸配列を含む;
(vi)配列番号194のアミノ酸配列を含み、VLは配列番号195のアミノ酸配列を含む;
(vii)配列番号196のアミノ酸配列を含み、VLは配列番号197のアミノ酸配列を含む;
(viii)配列番号198のアミノ酸配列を含み、VLは配列番号199のアミノ酸配列を含む;
(ix)配列番号200のアミノ酸配列を含み、VLは配列番号201のアミノ酸配列を含む;
(x)配列番号202のアミノ酸配列を含み、VLは配列番号203のアミノ酸配列を含む;
(xi)配列番号204のアミノ酸配列を含み、VLは配列番号205のアミノ酸配列を含む;又は
(xii)配列番号206のアミノ酸配列を含み、VLは配列番号207のアミノ酸配列を含む。
さらなる態様では、第2の抗原結合ドメインは、
(i)配列番号184のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号185のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号186のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号187のアミノ酸配列を含むVL;
(iii)配列番号188のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号189のアミノ酸配列を含むVL;
(iv)配列番号190のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号191のアミノ酸配列を含むVL;
(v)配列番号192のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号193のアミノ酸配列を含むVL;
(vi)配列番号194のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号195のアミノ酸配列を含むVL;
(vii)配列番号196のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号197のアミノ酸配列を含むVL;
(viii)配列番号198のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号199のアミノ酸配列を含むVL;
(ix)配列番号200のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号201のアミノ酸配列を含むVL;
(x)配列番号202のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号203のアミノ酸配列を含むVL;
(xi)配列番号204のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号205のアミノ酸配列を含むVL;又は
(xii)配列番号206のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号207のアミノ酸配列を含むVLを含む。
さらなる態様では、第2の抗原結合ドメインは、
(i)配列番号184のVH配列及び配列番号185のVL配列;
(ii)配列番号186のVH配列及び配列番号187のVL配列;
(iii)配列番号188のVH配列及び配列番号189のVL配列;
(iv)配列番号190のVH配列及び配列番号191のVL配列;
(v)配列番号192のVH配列及び配列番号193のVL配列;
(vi)配列番号194のVH配列及び配列番号195のVL配列;
(vii)配列番号196のVH配列及び配列番号197のVL配列;
(viii)配列番号198のVH配列及び配列番号199のVL配列;
(ix)配列番号200のVH配列及び配列番号201のVL配列;
(x)配列番号202のVH配列及び配列番号203のVL配列;
(xi)配列番号204のVH配列及び配列番号205のVL配列;
(xii)配列番号206のVH配列及び配列番号207のVL配列を含む。
別の態様では、第2の抗原結合ドメインは、
(i)配列番号184のVHの重鎖CDR配列を含むVHと、配列番号185のVLの軽鎖CDR配列を含むVL;
(ii)配列番号186のVHの重鎖CDR配列を含むVHと、配列番号187のVLの軽鎖CDR配列を含むVL;
(iii)配列番号188のVHの重鎖CDR配列を含むVHと、配列番号189のVLの軽鎖CDR配列を含むVL;
(iv)配列番号190のVHの重鎖CDR配列を含むVHと、配列番号191のVLの軽鎖CDR配列を含むVL;
(v)配列番号192のVHの重鎖CDR配列を含むVHと、配列番号193のVLの軽鎖CDR配列を含むVL;
(vi)配列番号194のVHの重鎖CDR配列を含むVHと、配列番号195のVLの軽鎖CDR配列を含むVL;
(vii)配列番号196のVHの重鎖CDR配列を含むVHと、配列番号197のVLの軽鎖CDR配列を含むVL;
(viii)配列番号198のVHの重鎖CDR配列を含むVHと、配列番号199のVLの軽鎖CDR配列を含むVL;
(ix)配列番号200のVHの重鎖CDR配列を含むVHと、配列番号201のVLの軽鎖CDR配列を含むVL;
(x)配列番号202のVHの重鎖CDR配列を含むVHと、配列番号203のVLの軽鎖CDR配列を含むVL;
(xi)配列番号204のVHの重鎖CDR配列を含むVHと、配列番号205のVLの軽鎖CDR配列を含むVL;又は
(xii)配列番号206のVHの重鎖CDR配列を含むVHと、配列番号207のVLの軽鎖CDR配列を含むVLを含む。
さらなる態様では、第2の抗原結合ドメインは、
(i)配列番号184のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と、配列番号185のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列;
(ii)配列番号186のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と、配列番号187のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列;
(iii)配列番号188のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と、配列番号189のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列;
(iv)配列番号190のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と、配列番号191のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列;
(v)配列番号192のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と、配列番号193のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列;
(vi)配列番号194のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と、配列番号195のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列;
(vii)配列番号196のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と、配列番号197のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列;
(viii)配列番号198のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と、配列番号199のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列;
(ix)配列番号200のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と、配列番号201のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列;
(x)配列番号202のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と、配列番号203のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列;
(xi)配列番号204のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と、配列番号205のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列;又は
(xii)配列番号206のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と、配列番号207のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列を含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインのVHは、配列番号184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204及び206からなる群から選択されるVHの重鎖CDR配列と、配列番号184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204及び206からなる群から選択されるVHのフレームワーク配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のフレームワークとを含む。一態様では、VHは、配列番号184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204及び206からなる群から選択されるVHの重鎖CDR配列と、配列番号184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204及び206からなる群から選択されるVHのフレームワーク配列と少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。別の態様では、VHは、配列番号184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204及び206からなる群から選択されるVHの重鎖CDR配列と、配列番号184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204及び206からなる群から選択されるVHのフレームワーク配列と少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインのVLは、配列番号185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205及び207の群から選択されるVLの軽鎖CDR配列と、配列番号185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205及び207の群から選択されるVLのフレームワーク配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性のフレームワークとを含む。一態様では、VLは、配列番号185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205及び207の群から選択されるVLの軽鎖CDR配列と、配列番号185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205及び207の群から選択されるVLのフレームワーク配列と少なくとも95%の配列同一性のフレームワークとを含む。別の態様では、VLは、配列番号185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205及び207の群から選択されるVLの軽鎖CDR配列と、配列番号185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205及び207の群から選択されるVLのフレームワーク配列と少なくとも98%の配列同一性のフレームワークとを含む。
一態様では、第2の抗原結合ドメインは、このセクション上記に提供された態様のいずれかのVH配列及びこのセクション上記に提供された態様のいずれかのVL配列を含む。
c)電荷修飾
本発明の(多重特異性)抗体は、それに含まれるFab分子に、1つ(又は2つより多い抗原結合Fab分子を含む分子の場合には、さらに多くの)結合アーム中にVH/VL交換を有するFabベース多重特異性抗体の産生において生じ得る、軽鎖と適合しない重鎖との誤対合(ベンス・ジョーンズ型副生成物)を低減するうえで特に効率的であるアミノ酸置換を含み得る(全体が本明細書に参照により組み込まれる国際公開第2015/150447号、特にその中の実施例も参照されたい)。望ましくない副生成物、特に、結合アームの1つにVH/VLドメイン交換を有する多重特異性抗体に生じるベンス・ジョーンズ型副生成物と比較した、所望の(多重特異性)抗体の比を、CH1及びCLドメインの特定のアミノ酸位置と反対の電荷を有する荷電アミノ酸を導入することによって改善することができる(本明細書で「電荷修飾」と呼ぶことがある)。
したがって、(多重特異性)抗体の第1及び第2の抗原結合ドメインが両方ともFab分子であり、抗原結合ドメインの1つ(特に、第1の抗原結合ドメイン)において、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変ドメインVL及びVHが互いに置き換わっている、いくつかの特定の態様では、
i)第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸が、正に帯電したアミノ酸で置換されており(Kabatによるナンバリング)、第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸又は位置213のアミノ酸が、負に帯電したアミノ酸で置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング);又は
ii)第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸は、正に帯電したアミノ酸で置換されており(Kabatによるナンバリング)、第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸又は位置213のアミノ酸は、負に帯電したアミノ酸で置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
(多重特異性)抗体は、i)及びii)に記述されている修飾を両方とも含むことはない。VH/VL交換を有する抗原結合ドメインの定常ドメインCL及びCH1は、互いに置き換わっていない(即ち、交換されていないままである)。
より具体的な態様では、
i)第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸が、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)により独立して置換されており(Kabatによるナンバリング)、第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸又は位置213のアミノ酸が、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)により独立して置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング);又は
ii)第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸は、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)により独立して置換されており(Kabatによるナンバリング)、第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸又は位置213のアミノ酸は、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)により独立して置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
そのような一態様では、第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸が、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)により独立して置換されており(Kabatによるナンバリング)、第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸又は位置213のアミノ酸が、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)により独立して置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
さらなる態様では、第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸が、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)により独立して置換されており(Kabatによるナンバリング)、第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸が、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)により独立して置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
好ましい態様では、第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸が、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)により独立して置換されており(Kabatによるナンバリング)、位置123のアミノ酸が、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)により独立して置換されており(Kabatによるナンバリング)、第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸が、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)により独立して置換されており(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、位置213のアミノ酸が、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)により独立して置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
より好ましい態様では、第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸がリジン(K)により置換されており(Kabatによるナンバリング)、位置123のアミノ酸はリジン(K)により置換されており(Kabatによるナンバリング)、第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸がグルタミン酸(E)により置換されており(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、位置213のアミノ酸がグルタミン酸(E)により置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
さらにより好ましい態様では、第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸がリジン(K)により置換されており(Kabatによるナンバリング)、位置123のアミノ酸はアルギニン(R)により置換されており(Kabatによるナンバリング)、第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸がグルタミン酸(E)により置換されており(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、位置213のアミノ酸がグルタミン酸(E)により置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
好ましい態様では、上の態様に係るアミノ酸置換が、第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCL及び定常ドメインCH1でなされる場合、第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCLは、カッパアイソタイプである。
あるいは、上記の態様によるアミノ酸置換は、第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCL及び定常ドメインCH1の代わりに、第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCL及び定常ドメインCH1において行われる。好ましいそのような態様では、第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCLは、カッパアイソタイプである。
したがって、一態様では、第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸は、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)により独立して置換されており(Kabatによるナンバリング)、第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸又は位置213のアミノ酸は、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)により独立して置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
さらなる態様では、第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸は、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)により独立して置換されており(Kabatによるナンバリング)、第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸は、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)により独立して置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
なお別の態様では、第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸は、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)により独立して置換されており(Kabatによるナンバリング)、位置123のアミノ酸は、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)により独立して置換されており(Kabatによるナンバリング)、第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸は、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)により独立して置換されており(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、位置213のアミノ酸は、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)により独立して置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
一態様では、第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸はリジン(K)により置換されており(Kabatによるナンバリング)、位置123のアミノ酸はリジン(K)によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸はグルタミン酸(E)によって置換されており(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、位置213のアミノ酸はグルタミン酸(E)によって置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
別の態様では、第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸はリジン(K)により置換されており(Kabatによるナンバリング)、位置123のアミノ酸はアルギニン(R)により置換されており(Kabatによるナンバリング)、第1の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸はグルタミン酸(E)により置換されており(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、位置213のアミノ酸はグルタミン酸(E)により置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
好ましい態様では、本発明の(多重特異性)抗体は、
(a)NKG2Dに結合する第1の抗原結合ドメインであって、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変ドメインVL及びVHが互いに置き換わっているFab分子であり、本明細書において第1の抗原結合ドメインに関して提供される態様のいずれかのような重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む、第1の抗原結合ドメインと;
(b)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインであって、
第2(及び存在する場合、第3)の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸が、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)により独立して(好ましい態様では、リジン(K)又はアルギニン(R)により独立して)置換されており(Kabatによるナンバリング)、位置123のアミノ酸が、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)により独立して(好ましい態様では、リジン(K)又はアルギニン(R)により独立して)置換されており(Kabatによるナンバリング)、第2(及び存在する場合、第3)の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸が、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)により独立して置換されており(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、位置213のアミノ酸が、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)により独立して置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、第2の抗原結合ドメインと、を含む。
d)多重特異性抗体フォーマット
本発明による(多重特異性)抗体は、様々な構造を有することができる。例示的な構造が図12に描写されている。
好ましい態様では、(多重特異性)抗体に含まれる抗原結合ドメインは、Fab分子である。そのような態様では、第1、第2等の抗原結合ドメインは、それぞれ本明細書において第1、第2等のFab分子と呼ばれることがある。
好ましい態様では、第1及び第2の抗原結合ドメインは、各々がFab分子である。いくつかの態様では、第1及び/又は第2(特に第2)の抗原結合ドメインはFv分子であり得る。
第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインがそれぞれFab分子である態様では、好ましくは第1の抗原結合ドメインは本明細書に記載のクロスオーバーFab分子であり(即ち、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメインVH及びVL、又は定常ドメインCH1及びCLが交換されている/互いに置き換わっているFab分子)、第2の抗原結合ドメインは従来のFab分子であり、又はその逆である。
(多重特異性)抗体が、NKG2Dに結合する2つ以上の抗原結合ドメイン及び/又は第2の抗原に結合する2つ以上の抗原結合ドメインを含む態様では、好ましくはNKG2Dに結合する全ての抗原結合ドメインが本明細書に記載のクロスオーバーFab分子であり、第2の抗原に結合する全ての抗原結合ドメインが従来のFab分子であり、又はその逆である。
好ましい態様では、本発明の(多重特異性)抗体は、第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインを含む。Fcドメインの第1のサブユニット及び第2のサブユニットは、安定な会合が可能である。
本発明による(多重特異性)抗体は、異なる構造を有することができ、即ち、第1、第2及び任意にさらなる抗原結合ドメインは、互いに、異なる様式でFcドメインに融合していてもよい。構成要素は、直接的に、又は好ましくは1又は複数の適切なペプチドリンカーを介して、互いに融合していてもよい。Fab分子の融合が、FcドメインのサブユニットのN末端へのものである場合、それは典型的には免疫グロブリンヒンジ領域を介するものである。
好ましい態様では、本発明の(多重特異性)抗体は、
(a)NKG2Dに結合する第1の抗原結合ドメインと、
(b)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインと、
(c)第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインと、を含む(多重特異性)抗体と、を含み、
第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインがそれぞれFab分子であり、
(i)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されており、且つ第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されているか、又は(ii)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されており、且つ第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されている。
例示的なそのような構成を図12Fに示す。
そのような一態様では、第1の抗原結合ドメインは本明細書に記載のクロスオーバーFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは従来のFab分子である。より具体的なそのような態様では、第1の抗原結合ドメインは、可変ドメインVH及びVLが交換されている/互いに置き換わっているクロスオーバーFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは、本明細書に記載の電荷修飾を含む従来のFab分子である。
別のそのような態様では、第1の抗原結合ドメインは従来のFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは本明細書に記載のクロスオーバーFab分子である。より具体的なそのような態様では、第1の抗原結合ドメインは、本明細書に記載の電荷修飾を含む従来のFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは、可変ドメインVH及びVLが交換されている/互いに置き換わっているクロスオーバーFab分子である。
さらなるそのような態様では、Fcドメインは、本明細書中に記載されるように、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットとの会合を促進する改変を含む。
なおさらなるそのような態様では、(多重特異性)抗体は、第1及び第2の抗原結合ドメインと、Fcドメインと、任意に1又は複数のペプチドリンカーとから本質的になる。
他の態様では、本発明の二重特異性抗体は、
(a)NKG2Dに結合する第1の抗原結合ドメインと、
(b)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインと、
(c)NKG2Dに結合する第3の抗原結合ドメインと、
(d)第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインと、を含み、
第1の抗原結合ドメイン、第2の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインがそれぞれFab分子であり、
(i)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合され、第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合され、第3の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において、第1の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合されるか、又は(ii)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合され、第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合され、第3の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において、第1の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合されている。
例示的なそのような構成を図12Eに示す。
そのような一態様では、第1の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインはそれぞれ、本明細書に記載のクロスオーバーFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは従来のFab分子である。より具体的なそのような態様では、第1の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインはそれぞれ、可変ドメインVH及びVLが交換されている/互いに置き換わっているクロスオーバーFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは、本明細書に記載の電荷修飾を含む従来のFab分子である。
別のそのような態様では、第1の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインはそれぞれ、従来のFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは本明細書に記載のクロスオーバーFab分子である。より具体的なそのような態様では、第1の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインはそれぞれ、本明細書に記載の電荷修飾を含む従来のFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは、可変ドメインVH及びVLが交換されている/互いに置き換わっているクロスオーバーFab分子である。
さらなるそのような態様では、Fcドメインは、本明細書中に記載されるように、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットとの会合を促進する改変を含む。
なおさらなるそのような態様では、(多重特異性)抗体は、第1、第2及び第3の抗原結合ドメインと、Fcドメインと、任意に1又は複数のペプチドリンカーとから本質的になる。
他の態様では、本発明の二重特異性抗体は、
(a)NKG2Dに結合する第1の抗原結合ドメインと、
(b)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインと、
(c)NKG2Dに結合する第3の抗原結合ドメインと、
(d)第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインと、を含み、
第1の抗原結合ドメイン、第2の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインがそれぞれFab分子であり、
(i)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合され、第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のN末端において、Fcドメインの第2のサブユニットのC末端に融合され、第3の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において、第1の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合されるか、又は(ii)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合され、第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のN末端において、Fcドメインの第1のサブユニットのC末端に融合され、第3の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において、第1の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合されている。
例示的なそのような構成を図12Cに示す。
そのような一態様では、第1の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインはそれぞれ、本明細書に記載のクロスオーバーFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは従来のFab分子である。より具体的なそのような態様では、第1の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインはそれぞれ、可変ドメインVH及びVLが交換されている/互いに置き換わっているクロスオーバーFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは、本明細書に記載の電荷修飾を含む従来のFab分子である。
別のそのような態様では、第1の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインはそれぞれ、従来のFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは本明細書に記載のクロスオーバーFab分子である。より具体的なそのような態様では、第1の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインはそれぞれ、本明細書に記載の電荷修飾を含む従来のFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは、可変ドメインVH及びVLが交換されている/互いに置き換わっているクロスオーバーFab分子である。
さらなるそのような態様では、Fcドメインは、本明細書中に記載されるように、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットとの会合を促進する改変を含む。
なおさらなるそのような態様では、(多重特異性)抗体は、第1、第2及び第3の抗原結合ドメインと、Fcドメインと、任意に1又は複数のペプチドリンカーとから本質的になる。
他の態様では、本発明の二重特異性抗体は、
(a)NKG2Dに結合する第1の抗原結合ドメインと、
(b)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインと、
(c)NKG2Dに結合する第3の抗原結合ドメインと、
(d)NKG2Dに結合する第4の抗原結合ドメインと、
(e)NKG2Dに結合する第5の抗原結合ドメインと、
(f)第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインと、を含み、
第1、第2、第3、第4及び第5の抗原結合ドメインがそれぞれFab分子であり、
(i)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、第3の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合されており、且つ第3の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されており、(ii)第4の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、第5の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合されており、且つ第5の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されており、(iii)第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のN末端で、Fcドメインの第1又は第2のサブユニットのC末端に融合されている。
例示的なそのような構成を図12Bに示す。
そのような一態様では、第1、第3、第4及び第5の抗原結合ドメインはそれぞれ、本明細書に記載のクロスオーバーFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは従来のFab分子である。より具体的なそのような態様では、第1、第3、第4及び第5の抗原結合ドメインはそれぞれ、可変ドメインVH及びVLが交換されている/互いに置き換わっているクロスオーバーFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは、本明細書に記載の電荷修飾を含む従来のFab分子である。
別のそのような態様では、第1、第3、第4及び第5の抗原結合ドメインはそれぞれ従来のFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは本明細書に記載のクロスオーバーFab分子である。より具体的なそのような態様では、第1、第3、第4及び第5の抗原結合ドメインはそれぞれ、本明細書に記載の電荷修飾を含む従来のFab分子であり、第2の抗原結合ドメインは、可変ドメインVH及びVLが交換されている/互いに置き換わっているクロスオーバーFab分子である。
さらなるそのような態様では、Fcドメインは、本明細書中に記載されるように、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットとの会合を促進する改変を含む。
なおさらなるそのような態様では、(多重特異性)抗体は、第1、第2、第3、第4及び第5の抗原結合ドメインと、Fcドメインと、任意に1又は複数のペプチドリンカーとから本質的になる。
他の態様では、本発明の二重特異性抗体は、
(a)NKG2Dに結合する第1の抗原結合ドメインと、
(b)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインと、
(c)NKG2Dに結合する第3の抗原結合ドメインと、
(d)第2の抗原に結合する第4の抗原結合ドメインと、
(e)第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインと、を含み、
第1、第2、第3、及び第4の抗原結合ドメインがそれぞれFab分子であり、
第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されており、第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のN末端においてFcドメインの第1のサブユニットのC末端に融合されており、第3の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されており、第4の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のN末端においてFcドメインの第2のサブユニットのC末端に融合されている。
例示的なそのような構成を図12Aに示す。
そのような一態様では、第1の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインはそれぞれ、本明細書に記載のクロスオーバーFab分子であり、第2の抗原結合ドメイン及び第4の抗原結合ドメインはそれぞれ、従来のFab分子である。より具体的なそのような態様では、第1の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインはそれぞれ、可変ドメインVH及びVLが交換されている/互いに置き換わっているクロスオーバーFab分子であり、第2の抗原結合ドメイン及び第4の抗原結合ドメインはそれぞれ、本明細書に記載の電荷修飾を含む従来のFab分子である。
別のそのような態様では、第1の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインはそれぞれ従来のFab分子であり、第2の抗原結合ドメイン及び第4抗原結合ドメインはそれぞれ本明細書に記載のクロスオーバーFab分子である。より具体的なそのような態様では、第1の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインはそれぞれ、本明細書に記載の電荷修飾を含む従来のFab分子であり、第2の抗原結合ドメイン及び第4の抗原結合ドメインはそれぞれ、可変ドメインVH及びVLが交換されている/互いに置き換わっているクロスオーバーFab分子である。
さらなるそのような態様では、(多重特異性)抗体は、第1、第2、第3及び第4の抗原結合ドメインと、Fcドメインと、任意に1又は複数のペプチドリンカーとから本質的になる。
他の態様では、本発明の二重特異性抗体は、
(a)NKG2Dに結合する第1の抗原結合ドメインと、
(b)第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインと、
(c)NKG2Dに結合する第3の抗原結合ドメインと、
(d)第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインと、を含み、
第1の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインはそれぞれFab分子であり、第2の抗原結合ドメインはFv分子であり、
第1の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合され、第3の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合され、第2の抗原結合ドメインは、(i)Fv重鎖のN末端においてFcドメインの第1のサブユニットのC末端に融合されており、且つFv軽鎖のN末端においてFcドメインの第2のサブユニットのC末端に融合されているか、又は(ii)Fv重鎖のN末端においてFcドメインの第2のサブユニットのC末端に融合されており、且つFv軽鎖のN末端においてFcドメインの第1のサブユニットのC末端に融合されている。
例示的なそのような構成を図12Dに示す。
そのような一態様では、第1の抗原結合ドメイン及び第3の抗原結合ドメインはそれぞれ、従来のFab分子である。
さらなるそのような態様では、Fcドメインは、本明細書中に記載されるように、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットとの会合を促進する改変を含む。
なおさらなるそのような態様では、(多重特異性)抗体は、第1、第2及び第3の抗原結合ドメインと、Fcドメインと、任意に1又は複数のペプチドリンカーとから本質的になる。
Fab分子が、免疫グロブリンヒンジ領域を介してFab重鎖のC末端でFcドメインのサブユニットの各々のN末端に融合している(多重特異性)抗体の構造において、2つのFab分子、ヒンジ領域及びFcドメインは、免疫グロブリン分子を本質的に形成する。好ましい態様では、免疫グロブリン分子は、IgGクラス免疫グロブリンである。さらにより好ましい態様では、免疫グロブリンは、IgG1サブクラス免疫グロブリンである。別の態様では、免疫グロブリンは、IgG4サブクラス免疫グロブリンである。さらに好ましい態様では、免疫グロブリンは、ヒト免疫グロブリンである。他の態様では、免疫グロブリンは、キメラ免疫グロブリン又はヒト化免疫グロブリンである。一態様では、免疫グロブリンは、ヒト定常領域、特にヒトFc領域を含む。
抗原結合ドメインは、Fcドメインに又は互いに、直接的に又は1又は複数のアミノ酸、典型的には約2~20個のアミノ酸を含むペプチドリンカーを介して融合していてもよい。ペプチドリンカーは、当技術分野で公知であり、本明細書に説明される。適切な非免疫原性ペプチドリンカーには、例えば、(G4S)n、(SG4)n、(G4S)n又はG4(SG4)nペプチドリンカーが挙げられる。「n」は、一般的に、1~10、典型的には2~4の整数である。一態様では、当該ペプチドリンカーは、少なくとも5個のアミノ酸長さ、一態様では5~100個、さらなる態様では10~50個のアミノ酸長さを有する。一態様では、上記ペプチドリンカーは、(GxS)n又は(GxS)nGmであり、ここでG=グリシン、S=セリン及び(x=3、n=3、4、5又は6、m=0、1、2又は3)又は(x=4、n=2、3、4又は5、m=0、1、2又は3)であり、一態様では、x=4及びn=2又は4である。一態様では、ペプチドリンカーは(G4S)2又は(G4S)4である。特定の態様では、上記の多重特異性抗体フォーマットにおいて第1及び第2のFab分子のFab重鎖を互いに融合するためのペプチドリンカーは(G4S)2である。さらなる特定の態様では、本明細書中上記の多重特異性抗体フォーマットにおいてFab分子又はFv分子をFcドメインのC末端に融合するためのペプチドリンカーは、(G4S)4である。好適なペプチドリンカーはまた、免疫グロブリンヒンジ領域(の一部)を含んでいてもよい。特に、Fab分子が、FcドメインサブユニットのN末端に融合する場合、免疫グロブリンヒンジ領域又はその一部を介し、さらなるペプチドリンカーを伴い、又は伴わずに融合してもよい。特定の態様では、本明細書中上記の多重特異性抗体フォーマットにおけるFcドメインサブユニットのN末端へのFab分子の融合は、免疫グロブリンヒンジ領域を介して、好ましくはFcドメインと同じサブクラスの免疫グロブリンヒンジ領域を介する(例えば、FcドメインがIgG1サブクラスのものであるIgG1ヒンジ領域)。
一態様では、本発明は、
(a)NKG2Dに結合する第1の抗原結合ドメインであって、第1の抗原結合ドメインが、配列番号73の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号104のHCDR2、及び配列番号75のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号76の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号77のLCDR2、及び配列番号78のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)と、を含む第1の抗原結合ドメインと、
(b)第2の抗原、特に標的細胞抗原、より具体的には腫瘍細胞抗原に結合する第2の抗原結合ドメインと、
(c)第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインと、を含む(多重特異性)抗体と、を含み、
第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインがそれぞれFab分子であり、
(i)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されており、且つ第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されているか、又は(ii)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されており、且つ第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されている、(多重特異性)抗体を提供する。
一態様では、本発明は、
(a)NKG2Dに結合する第1の抗原結合ドメインであって、第1の抗原結合ドメインが、配列番号73の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号104のHCDR2、及び配列番号75のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号76の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号77のLCDR2、及び配列番号78のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)と、を含む第1の抗原結合ドメインと、
(b)第2の抗原、特に標的細胞抗原、より具体的には腫瘍細胞抗原に結合する第2の抗原結合ドメインと、
(c)第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインであって、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットとの会合を促進する修飾を含む、Fcドメインと、
第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインがそれぞれFab分子であり、
(i)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されており、且つ第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されているか、又は(ii)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されており、且つ第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されている、(多重特異性)抗体を提供する。
一態様では、本発明は、
(a)NKG2Dに結合する第1の抗原結合ドメインであって、第1の抗原結合ドメインが、配列番号73の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号104のHCDR2、及び配列番号75のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号76の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号77のLCDR2、及び配列番号78のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)と、を含む第1の抗原結合ドメインと
(b)第2の抗原、特に標的細胞抗原、より具体的には腫瘍細胞抗原に結合する第2の抗原結合ドメインと、
(c)第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインと、を含む(多重特異性)抗体であって、
第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインがそれぞれFab分子であり、
(i)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されており、且つ第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されているか、又は(ii)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されており、且つ第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されているいずれかであり、
Fcドメインが、Fc受容体への結合及び/又はエフェクター機能を低下させる1又は複数のアミノ酸置換を含み、及び/又は抗体がFcγRIIIa(CD16a)に結合しない、(多重特異性)抗体を提供する。
一態様では、本発明は、
a)NKG2Dに結合する第1の抗原結合ドメインであって、第1の抗原結合ドメインは、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変ドメインVL及びVH又は定常ドメインCL及びCH1が互いに置き換わっているFab分子であり、配列番号73の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号104のHCDR2及び配列番号75のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)、並びに配列番号76の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号77のLCDR2及び配列番号78のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)を含む第1の抗原結合ドメインと、
b)第2の抗原、特に標的細胞抗原、より具体的には腫瘍細胞抗原に結合する第2の抗原結合ドメインであって、第2の抗原結合ドメインは(従来の)Fab分子である、第2の抗原結合ドメインと、
c)第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインと、を含む、(多重特異性)抗体であって、
(i)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されており、且つ第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されているか、又は(ii)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されており、且つ第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されている、(多重特異性)抗体を提供する。
本発明による(多重特異性)抗体の異なる構造の全てにおいて、本明細書に記載されるアミノ酸置換(「電荷改変」)は、存在する場合、第2の抗原結合ドメイン/Fab分子のCH1及びCLドメイン、又は第1の抗原結合ドメイン/Fab分子のCH1又はCLドメインのいずれかにおけるものであってもよい。好ましくは、これらは、第2の抗原結合ドメイン/Fab分子のCH1ドメイン及びCLドメイン内にある。本発明の概念によれば、本明細書に記載されるアミノ酸置換が、第2の抗原結合ドメイン/Fab分子においてなされる場合、そのようなアミノ酸置換は、第1の抗原結合ドメイン/Fab分子においてはなされない。逆に、本明細書に記載されるアミノ酸置換が、第1の抗原結合ドメイン/Fab分子においてなされる場合、そのようなアミノ酸置換は、第2の抗原結合ドメイン/Fab分子においてはなされない。アミノ酸置換は、好ましくは、Fab軽鎖とFab重鎖の可変ドメインVL及びVH1が互いに置き換わっているFab分子を含む(多重特異性)抗体において行われる。
本発明による(多重特異性)抗体の好ましい態様では、特に、本明細書に記載されるアミノ酸置換が、第2の抗原結合ドメイン/Fab分子において行われる場合、第2のFab分子の定常ドメインCLは、カッパアイソタイプのものである。本発明による(多重特異性)抗体の他の態様では、特に、本明細書に記載されるアミノ酸置換が、第1の抗原結合ドメイン/Fab分子において行われる場合、第1の抗原結合ドメイン/Fab分子の定常ドメインCLは、カッパアイソタイプのものである。いくつかの態様では、第2の抗原結合ドメイン/Fab分子の定常ドメインCL、並びに第1の抗原結合ドメイン/Fab分子の定常ドメインCLは、カッパアイソタイプのものである。
一態様では、本発明は、
a)NKG2Dに結合する第1の抗原結合ドメインであって、第1の抗原結合ドメインは、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変ドメインVL及びVHが互いに置き換わっているFab分子であり、配列番号73の重鎖相補性決定領域(HCDR)1、配列番号104のHCDR2及び配列番号75のHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)、並びに配列番号76の軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、配列番号77のLCDR2及び配列番号78のLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)を含む第1の抗原結合ドメインと、
b)第2の抗原、特に標的細胞抗原、より具体的には腫瘍細胞抗原に結合する第2の抗原結合ドメインであって、第2の抗原結合ドメインは(従来の)Fab分子である、第2の抗原結合ドメインと、
c)第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインと、を含む、(多重特異性)抗体であって、
b)の第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸がリジン(K)によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、位置123のアミノ酸が、リジン(K)又はアルギニン(R)によって(最も好ましくはアルギニン(R)によって)置換されており(Kabatによるナンバリング)、b)の第2の抗原結合ドメインの定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸がグルタミン酸(E)によって置換されており(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、位置213のアミノ酸がグルタミン酸(E)によって置換されており(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、
(i)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されており、且つ第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されているか、又は(ii)第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されており、且つ第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されている、(多重特異性)抗体を提供する。
上記の態様のいずれかによると、(多重特異性)抗体の構成要素(例えば、Fab分子、Fcドメイン)は、直接的に又は様々なリンカーを介して、特に本明細書に記載される又は当技術分野において知られている、1又は複数のアミノ酸、典型的には約2~20個のアミノ酸を含むペプチドリンカーを介して融合されていてもよい。適切な非免疫原性ペプチドリンカーには、例えば、(G4S)n、(SG4)n、(G4S)n又はG4(SG4)nペプチドリンカーが含まれ、「n」は通常1~10、典型的には2~4の整数である。
本発明のこれらの態様による一態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号112のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号80のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。
本発明のこれらの態様による一態様では、Fcドメインの第1のサブユニットにおいて、位置366のトレオニン残基がトリプトファン残基で置き換えられており(T366W)、Fcドメインの第2のサブユニットにおいて、位置407のチロシン残基がバリン残基で置き換えられており(Y407V)、任意に位置366のトレオニン残基がセリン残基で置き換えられており(T366S)、位置368のロイシン残基がアラニン残基で置き換えられている(L368A)(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
本発明のこれらの態様によるさらなる態様では、Fcドメインの第1のサブユニットにおいて、追加的に、位置354のセリン残基がシステイン残基で置き換えられている(S354C)か又は位置356のグルタミン酸残基がシステイン残基で置き換えられており(E356C)(特に、位置354のセリン残基がシステイン残基で置き換えられており)、Fcドメインの第2のサブユニットにおいて、追加的に、位置349のチロシン残基がシステイン残基により置き換えられている(Y349C)(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
本発明のこれらの態様によるさらなる態様では、Fcドメインの第1のサブユニット及び第2のサブユニットの各々において、位置234のロイシン残基がアラニン残基(L234A)と置き換わっており、位置235のロイシン残基がアラニン残基と置き換わっており(L235A)、位置329のプロリン残基がグリシン残基により置き換えられている(P329G)(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
本発明のこれらの態様によるさらなる態様では、Fcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメインである。
一態様では、本発明は、配列番号209の配列に少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番号210の配列に少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番号211の配列に少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列を含むポリペプチド、及び配列番号212の配列に少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、NKG2D及びCEAに結合する(多重特異性)抗体を提供する。一態様では、本発明は、配列番号209のアミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番号210のアミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番号211のアミノ酸配列を含むポリペプチド、及び配列番号212のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、NKG2D及びCEAに結合する(多重特異性)抗体を提供する。
別の態様では、本発明は、配列番号213の配列に少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番号214の配列に少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番号215の配列に少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列を含むポリペプチド、及び配列番号216の配列に少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、NKG2D及びCEAに結合する(多重特異性)抗体を提供する。一態様では、本発明は、配列番号213のアミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番号214のアミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番号215のアミノ酸配列を含むポリペプチド、及び配列番号216のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、NKG2D及びCEAに結合する(多重特異性)抗体を提供する。
さらなる態様では、本発明は、配列番号213の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドと、配列番号214の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドとを含み、VL領域配列(配列番号193)が配列番号185、187、189、191、195、197、199、201、203、205及び207からなる群から選択されるVL領域配列によって置き換えられている、配列番号215の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドと、配列番号216の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドとを含み、VH領域配列(配列番号192)が配列番号184、186、188、190、194、196、198、200、202、204及び206からなる群から選択されるVH領域配列によって置き換えられている、NKG2D及びCEAに結合する(多重特異性)抗体を提供する。一態様では、本発明は、NKG2D及びCEAに結合する(多重特異性)抗体であって、配列番号213のアミノ酸配列を含むポリペプチドと、VL領域配列(配列番号193)が、配列番号185、187、189、191、195、197、199、201、203、205及び207からなる群から選択されるVL領域配列によって置き換えられている配列番号214のアミノ酸配列を含むポリペプチドと、配列番号215のアミノ酸配列を含むポリペプチドと、VH領域配列(配列番号192)が、配列番号184、186、188、190、194、196、198、200、202、204及び206からなる群から選択されるVH領域配列によって置き換えられている配列番号216のアミノ酸配列を含むポリペプチドとを含む、NKG2D及びCEAに結合する(多重特異性)抗体を提供する。好ましくは、上記の態様では、VH及びVL領域(配列番号192及び193)は、表16で特定される結合因子に対応するVH及びVL領域の対によって置き換えられる。
2.Fcドメイン変異体
好ましい態様では、本発明の(多重特異性)抗体は、第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインを含む。
(多重特異性)抗体のFcドメインは、免疫グロブリン分子の重鎖ドメインを含む一対のポリペプチド鎖からなる。例えば、免疫グロブリンG(IgG)分子のFcドメインは、ダイマーであり、それぞれのサブユニットは、CH2及びCH3 IgG重鎖定常ドメインを含む。Fcドメインの2つのサブユニットは、互いに安定な会合が可能である。一態様では、本発明の(多重特異性)抗体は1つを超えるFcドメインを含まない。
一態様では、(多重特異性)抗体のFcドメインは、IgG Fcドメインである。好ましい態様では、FcドメインはIgG1 Fcドメインである。別の態様では、Fcドメインは、IgG4 Fcドメインである。より具体的な態様では、Fcドメインは、位置S228にアミノ酸置換、特にアミノ酸置換S228Pを含むIgG4 Fcドメインである(Kabat EUインデックスナンバリング)。このアミノ酸置換は、in vivoでのIgG4抗体のFabアーム交換を低減する(Stubenrauch et al.,Drug Metabolism and Disposition 38,84-91(2010)を参照されたい)。さらなる好ましい態様では、Fcドメインは、ヒトFcドメインである。より好ましい態様では、Fcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメインである。ヒトIgG1 Fc領域の例示的な配列は、配列番号86で与えられる。
a)ヘテロ二量体化を促進するFcドメイン修飾
本発明による(多重特異性)抗体は、Fcドメインの2つのサブユニットの一方又は他方に融合し得る異なる抗原結合ドメインを含み、したがってFcドメインの2つのサブユニットは、典型的には2つの非同一ポリペプチド鎖に含まれる。これらのポリペプチドの組換え同時発現及びその後の二量化によって、2つのポリペプチドのいくつかの可能な組合せが生じる。組換え産生における(多重特異性)抗体の収率及び純度を改善するため、(多重特異性)抗体のFcドメインに、所望のポリペプチドの会合を促進する修飾を導入することが有利である。
したがって、好ましい態様では、本発明による(多重特異性)抗体のFcドメインは、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットとの会合を促進する修飾を含む。ヒトIgG Fcドメインの2つのサブユニット間の最も長いタンパク質-タンパク質相互作用の部位は、FcドメインのCH3ドメイン内にある。したがって、一態様では、当該修飾は、FcドメインのCH3ドメインの中にある。
ヘテロ二量体化を強化するために、FcドメインのCH3ドメイン中の修飾に複数の手法が存在し、それらは例えば、国際公開第96/27011号、国際公開第98/050431号、欧州特許第1870459号、国際公開第2007/110205号、国際公開第2007/147901号、国際公開第2009/089004号、国際公開第2010/129304号、国際公開第2011/90754号、国際公開第2011/143545号、国際公開第2012058768号、国際公開第2013157954号、国際公開第2013096291号に十分に記載されている。典型的には、全てのそのような手法において、Fcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメイン及びFcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメインは、両方とも、各CH3ドメイン(又はそれを含む重鎖)がもはやそれ自体とホモ二量体化することができず、相補的に操作された他のCH3ドメインとヘテロ二量体化させるような(第1及び第2のCH3ドメインがヘテロ二量体化し、2つの第1又は2つの第2のCH3ドメインの間にホモ二量体が形成されないような)、相補的な様式で操作される。改善された重鎖ヘテロ二量体化のためのこれらの異なる手法は、重鎖/軽鎖の誤対合及びベンス・ジョーンズ型副生成物を低減する、(多重特異性)抗体における重鎖-軽鎖修飾との組合せでの異なる代替例として考慮される(例えば、1つの結合アームにおけるVH及びVLの交換/置き換え、並びにCH1/CL界面における反対の電荷を有する荷電アミノ酸の置換の導入)。
具体的な態様では、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットとの会合を促進する修飾は、いわゆる「ノブ・イントゥ・ホール(knob-into-hole)」修飾であり、Fcドメインの2つのサブユニットの一方に「ノブ(knob)」修飾及びFcドメインの2つのサブユニットの他方に「ホール(hole)」修飾を含む。
ノブ・イントゥ・ホール技術は、例えば、米国特許第5,731,168号、米国特許第7,695,936号、Ridgway et al.,Prot Eng 9,617-621(1996)及びCarter,J Immunol Meth 248,7-15(2001)に記載される。一般的に、この方法は、第1のポリペプチドの界面にある突起(「ノブ」)と、第2のポリペプチドの界面にある空洞(「ホール」)とを導入することを含み、その結果、突起が、ヘテロ二量体形成を促進し、ホモ二量体形成を妨害するように空洞内に位置することができる。突起は、第1のポリペプチドの界面からの小さなアミノ酸側鎖を、より大きな側鎖(例えば、チロシン又はトリプトファン)で置き換えることによって構築される。突起と同一又は同様の大きさの相補性空洞が、大きなアミノ酸側鎖を、より小さなアミノ酸側鎖(例えば、アラニン又はトレオニン)と置き換えることによって、第2のポリペプチドの界面に作られる。
したがって、好ましい態様では、(多重特異性)抗体のFcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメインにおいて、アミノ酸残基は、より大きな側鎖量を有するアミノ酸残基で置き換えられ、それによって、第1のサブユニットのCH3ドメイン内に、第2のサブユニットのCH3ドメイン内の空洞に配置可能な突起を生成し、Fcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメインにおいて、アミノ酸残基は、より小さな側鎖量を有するアミノ酸残基で置き換えられ、それによって、第2のサブユニットのCH3ドメイン内に空洞を生成し、その中に、第1のサブユニットのCH3ドメイン内の突起が位置することが可能である。
好ましくは、より大きな側鎖量を有する当該アミノ酸残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)及びトリプトファン(W)からなる群から選択される。
好ましくは、より小さな側鎖量を有する当該アミノ酸残基は、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)及びバリン(V)からなる群から選択される。
突起及び空洞は、ポリペプチドをコードする核酸を変えることによって、例えば、部位特異的変異導入法によって、又はペプチド合成によって作り出すことができる。
具体的な態様では、Fcドメインの第1のサブユニット(「ノブ」サブユニット)(のCH3ドメイン)において、位置366のトレオニン残基がトリプトファン残基で置き換えられており(T366W)、Fcドメインの第2のサブユニット(「ホール」サブユニット)(のCH3ドメイン)において、位置407のチロシン残基がバリン残基で置き換えられている(Y407V)。一態様では、Fcドメインの第2のサブユニットにおいて、追加的に、位置366のトレオニン残基がセリン残基で置き換えられており(T366S)、位置368のロイシン残基がアラニン残基で置き換えられている(L368A)(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
さらなる態様では、Fcドメインの第1のサブユニットにおいて、追加的に位置354のセリン残基がシステイン残基で置き換えられており(S354C)又は位置356のグルタミン酸残基がシステイン残基で置き換えられており(E356C)(特に、位置354のセリン残基がシステイン残基で置き換えられており)、Fcドメインの第2のサブユニットにおいて、追加的に位置349のチロシン残基がシステイン残基で置き換えられている(Y349C)(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。これら2つのシステイン残基の導入によって、Fcドメインの2つのサブユニットの間にジスルフィド架橋の形成が生じ、二量体がさらに安定化する(Carter,J Immunol Methods 248,7-15(2001))。
好ましい態様では、Fcドメインの第1のサブユニットは、アミノ酸置換S354C及びT366Wを含み、Fcドメインの第2のサブユニットは、アミノ酸置換Y349C、T366S、L368A及びY407Vを含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
好ましい態様では、CD3に結合する抗原結合ドメインは、(任意に、第2の抗原に結合する第2の抗原結合ドメイン及び/又はペプチドリンカーを介して)Fcドメインの(「ノブ」改変を含む)第1のサブユニットに融合する。理論に拘束されるものではないが、CD3に結合する抗原結合ドメインの、Fcドメインのノブ含有サブユニットへの融合は、CD3に結合する2つの抗原結合ドメインを含む抗体の生成(2つのノブ含有ポリペプチドの立体的衝突(steric clash))を(さらに)最小化する。
ヘテロ二量体化を強化するCH3修飾のための他の技術が本発明による代替例として考慮され、例えば、国際公開第96/27011号、国際公開第98/050431号、欧州特許第1870459号、国際公開第2007/110205号、国際公開第2007/147901号、国際公開第2009/089004号、国際公開第2010/129304号、国際公開第2011/90754号、国際公開第2011/143545号、国際公開第2012/058768号、国際公開第2013/157954号、国際公開第2013/096291号に記載されている。
一態様では、欧州特許第1870459号に記載されているヘテロ二量体化手法が代替的に使用される。この手法は、Fcドメインの2つのサブユニット間のCH3/CH3ドメイン界面における特定のアミノ酸位置における反対の電荷を有する荷電アミノ酸の導入に基づく。本発明の(多重特異性)抗体の特定の態様は、(Fcドメインの)2つのCH3ドメインの一方におけるアミノ酸変異R409D、K370E及びFcドメインのCH3ドメインの他方におけるアミノ酸変異D399K、E357Kである(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
別の態様では、本発明の(多重特異性)抗体は、Fcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメインにおけるアミノ酸変異T366W及びFcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメインにおけるアミノ酸変異T366S、L368A、Y407Vを含み、追加的に、Fcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメインにおけるアミノ酸変異R409D、K370E及びFcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメインにおけるアミノ酸変異D399K、E357Kを含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
別の態様では、本発明の(多重特異性)抗体は、Fcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメインにおけるアミノ酸変異S354C、T366W及びFcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメインにおけるアミノ酸変異Y349C、T366S、L368A、Y407Vを含むか、又は当該(多重特異性)抗体は、Fcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメイン内のアミノ酸変異Y349C、T366W及びFcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメイン内のアミノ酸変異S354C、T366S、L368A、Y407Vを含み、追加的に、Fcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメイン内のアミノ酸変異R409D、K370E及びFcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメイン内のアミノ酸変異D399K、E357Kを含む(全てKabat EUインデックスによるナンバリング)。
一態様では、国際公開第2013/157953号に記載されているヘテロ二量体化手法が代替的に使用される。一態様では、第1のCH3ドメインはアミノ酸変異T366Kを含み、第2のCH3ドメインはアミノ酸変異L351Dを含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。さらなる態様では、第1のCH3ドメインは、さらなるアミノ酸変異L351Kを含む。さらなる態様では、第2のCH3ドメインは、Y349E、Y349D及びL368Eから選択されるアミノ酸変異(特に、L368E)をさらに含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
一態様では、国際公開第2012/058768号に記載されているヘテロ二量体化手法が代替的に使用される。一態様では、第1のCH3ドメインはアミノ酸変異L351Y、Y407Aを含み、第2のCH3ドメインはアミノ酸変異T366A、K409Fを含む。さらなる態様では、第2のCH3ドメインは、位置T411、D399、S400、F405、N390又はK392に、例えば、a)T411N、T411R、T411Q、T411K、T411D、T411E又はT411W、b)D399R、D399W、D399Y又はD399K、c)S400E、S400D、S400R又はS400K、d)F405I、F405M、F405T、F405S、F405V又はF405W、e)N390R、N390K又はN390D、f)K392V、K392M、K392R、K392L、K392F又はK392Eから選択されるさらなるアミノ酸変異を含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。さらなる態様では、第1のCH3ドメインは、アミノ酸変異L351Y、Y407Aを含み、第2のCH3ドメインはアミノ酸変異T366V、K409Fを含む。さらなる態様では、第1のCH3ドメインはアミノ酸変異Y407Aを含み、第2のCH3ドメインはアミノ酸変異T366A、K409Fを含む。さらなる態様では、第2のCH3ドメインは、アミノ酸変異K392E、T411E、D399R及びS400Rをさらに含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
一態様では、国際公開第2011/143545号に記載されているヘテロ二量体化手法が代替的に使用され、例えば、368及び409からなる群から選択される位置にアミノ酸修飾を有する(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
一態様では、上記に記載されたノブ・イントゥ・ホール技術も使用する、国際公開第2011/090762号に記載されているヘテロ二量体化手法が代替的に使用される。一態様では、第1のCH3ドメインはアミノ酸変異T366Wを含み、第2のCH3ドメインはアミノ酸変異Y407Aを含む。一態様では、第1のCH3ドメインはアミノ酸変異T366Yを含み、第2のCH3ドメインはアミノ酸変異Y407Tを含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
一態様では、(多重特異性)抗体又はそのFcドメインは、IgG2サブクラスのものであり、国際公開第2010/129304号に記載されているヘテロ二量体化手法が代替的に使用される。
代替的な態様では、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットとの会合を促進する改変は、例えば、PCT出願国際公開第2009/089004号に記載されるように、静電操縦効果に介在する改変を含む。一般的に、この方法は、2つのFcドメインサブユニットの界面に、ホモ二量体生成が静電的に望ましくないが、ヘテロ二量化が静電的に望ましいように、帯電したアミノ酸残基による1又は複数のアミノ酸残基の置き換えを含む。そのような一態様では、第1のCH3ドメインは、負に帯電したアミノ酸によるK392又はN392のアミノ酸置換(例えば、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)による、特にK392D又はN392D)を含み、第2のCH3ドメインは、正に帯電したアミノ酸によるD399、E356、D356又はE357のアミノ酸置換(例えば、リジン(K)又はアルギニン(R)による、特にD399K、E356K、D356K又はE357K、より特にはD399K及びE356K)を含む。さらなる態様では、第1のCH3ドメインは、負に帯電したアミノ酸によるK409又はR409のアミノ酸置換(例えば、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)による、特にK409D又はR409D)をさらに含む。さらなる態様では、第1のCH3ドメインは、負に帯電したアミノ酸(例えば、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D))によるK439及び/又はK370のアミノ酸置換を追加的に又は代替的に含む(全てKabat EUインデックスによるナンバリング)。
さらなる態様では、国際公開第2007/147901号に記載されているヘテロ二量体化手法が代替的に使用される。一態様では、第1のCH3ドメインは、アミノ酸変異K253E、D282K及びK322Dを含み、第2のCH3ドメインは、アミノ酸変異D239K、E240K及びK292Dを含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
また別の態様では、国際公開第2007/110205号に記載されているヘテロ二量体化手法を代替的に使用することができる。
一態様では、Fcドメインの第1のサブユニットは、アミノ酸置換K392D及びK409Dを含み、Fcドメインの第2のサブユニットは、アミノ酸置換D356K及びD399Kを含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
b)Fc受容体結合及び/又はエフェクター機能を下げるFcドメイン改変
Fcドメインは、(多重特異性)抗体に、標的組織における良好な蓄積に寄与する長い血清半減期を含む好ましい薬物動態特性及び好ましい組織血液分布比を付与する。同時に、Fc受容体を発現する細胞への(多重特異性)抗体のFcドメインを介した結合は、Fc受容体発現細胞(NK細胞等)と他のNKG2D発現細胞(CD8 T細胞等)との架橋をもたらし、それによって全身投与時に望ましくない毒性をもたらす可能性がある。さらに、Fc受容体シグナル伝達経路の同時活性化はサイトカイン放出をもたらすことがあり、これはT細胞活性化特性及び(多重特異性)抗体の長い半減期と組み合わさって、全身投与するとサイトカイン受容体の過剰な活性化及び重篤な副作用を生じる。T細胞以外の(Fc受容体担持)免疫細胞の活性化は、例えば、NK細胞によるT細胞の破壊の可能性によって、(多重特異性)抗体の有効性さえも低減し得る。
したがって、好ましい態様では、本発明による(多重特異性)抗体のFcドメインは、ネイティブIgG1 Fcドメインと比較して、Fc受容体への結合親和性の低減及び/又はエフェクター機能の低減を呈する。そのような一態様では、Fcドメイン(又は当該Fcドメインを含む(多重特異性)抗体)は、ネイティブIgG1 Fcドメイン(又はネイティブIgG1 Fcドメインを含む(多重特異性)抗体)と比較して、50%未満、特に20%未満、より特には10%未満、最も特には5%未満の結合親和性をFc受容体に対して呈する、及び/又はネイティブIgG1 Fcドメインドメイン(又はネイティブIgG1 Fcドメインを含む(多重特異性)抗体)と比較して、50%未満、特に20%未満、より特には10%未満、最も特には5%未満のエフェクター機能を呈する。一態様では、Fcドメイン(又は上記Fcドメインを含む(多重特異性)抗体)は、Fc受容体に実質的に結合しない及び/又はエフェクター機能を誘導しない。好ましい態様では、Fc受容体はFcγ受容体である。一態様では、Fc受容体は、ヒトFc受容体である。一態様では、Fc受容体は、活性化Fc受容体である。具体的な態様では、Fc受容体は、活性化ヒトFcγ受容体であり、より具体的には、ヒトFcγRIIIa、FcγRI又はFcγRIIaであり、最も具体的には、ヒトFcγRIIIa(CD16a)である。一態様では、エフェクター機能は、CDC、ADCC、ADCP及びサイトカイン分泌の群から選択される1又は複数である。好ましい態様では、エフェクター機能はADCCである。一つの態様では、Fcドメインのドメインは、ネイティブIgG1 Fcドメインと比較して、新生児Fc受容体(FcRn)に対して実質的に同様の結合親和性を示す。FcRnへの実質的に同様の結合は、Fcドメイン(又は当該Fcドメインを含む(多重特異性)抗体)が、ネイティブIgG1 Fcドメイン(又はネイティブIgG1 Fcドメインを含む(多重特異性)抗体)の約70%超、特に約80%超、より特には約90%超の結合親和性をFcRnに対して呈するとき、達成される。
ある特定の態様では、Fcドメインは、非操作Fcドメインと比較して、Fc受容体への結合親和性が低減される及び/又はエフェクター機能が低減されるように操作される。好ましい態様では、(多重特異性)抗体のFcドメインは、Fc受容体へのFcドメインの結合親和性及び/又はエフェクター機能を低減する1又は複数のアミノ酸変異を含む。典型的には、Fcドメインの2つのサブユニットそれぞれに、同じ1又は複数のアミノ酸変異が存在する。一態様では、アミノ酸変異は、Fc受容体に対するFcドメインの結合親和性を下げる。一態様では、アミノ酸変異は、Fc受容体へのFcドメインの結合親和性を、少なくとも2分の1、少なくとも5分の1又は少なくとも10分の1に低減する。Fc受容体へのFcドメインの結合親和性を低減する1つを超えるアミノ酸変異が存在する態様では、これらのアミノ酸変異の組合せは、Fc受容体へのFcドメインの結合親和性を少なくとも10分の1、少なくとも20分の1又はさらには少なくとも50分の1にまで低減し得る。一態様では、操作Fcドメインを含む(多重特異性)抗体は、非操作Fcドメインを含む(多重特異性)抗体と比較して、20%未満、特に10%未満、より特には5%未満の結合親和性をFc受容体に対して呈する。好ましい態様では、Fc受容体はFcγ受容体である。いくつかの態様では、Fc受容体はヒトFc受容体である。いくつかの態様では、Fc受容体は、活性化Fc受容体である。具体的な態様では、Fc受容体は、活性化ヒトFcγ受容体であり、より具体的には、ヒトFcγRIIIa、FcγRI又はFcγRIIaであり、最も具体的には、ヒトFcγRIIIa(CD16a)である。好ましくは、これらそれぞれの受容体に対する結合が低下する。いくつかの態様では、補体成分に対する結合親和性(具体的には、C1qに対する結合親和性)も低下する。一態様では、新生児Fc受容体(FcRn)に対する結合親和性は、低下しない。FcRnへの実質的に同様の結合、即ち、当該受容体へのFcドメインの結合親和性の保存は、Fcドメイン(又は当該Fcドメインを含む(多重特異性)抗体)が、Fcドメインの非操作形態(又は当該Fcドメインの非操作形態を含む(多重特異性)抗体)の結合親和性の約70%超をFcRn対して呈するとき、達成される。Fcドメイン又は当該Fcドメインを含む本発明の(多重特異性)抗体は、そのような親和性の約80%超、さらには約90%超を呈し得る。ある特定の態様では、(多重特異性)抗体のFcドメインは、非操作Fcドメインと比較して、エフェクター機能が低減されるように操作される。エフェクター機能の低減として、補体依存性細胞傷害(CDC)の低減、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の低減、抗体依存性細胞食作用(ADCP)の低減、サイトカイン分泌の低減、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取り込みの低減、NK細胞への結合の低減、マクロファージへの結合の低減、単球への結合の低減、多形核細胞への結合の低減、直接的なシグナル伝達誘導性アポトーシスの低減、標的結合抗体の架橋の低減、樹状細胞成熟の低減、又はT細胞プライミングの低減のうちの1又は複数を挙げることができるが、これらに限定されない。一態様では、エフェクター機能の低減は、CDCの低減、ADCCの低減、ADCPの低減及びサイトカイン分泌の低減の群から選択される1又は複数である。好ましい態様では、低下したエフェクター機能は、低下したADCCである。一態様では、ADCCの低減は、非操作Fcドメイン(又は非操作Fcドメインを含む(多重特異性)抗体)により誘導されるADCCの20%未満である。
一態様では、Fc受容体へのFcドメインの結合親和性及び/又はエフェクター機能を低減するアミノ酸変異は、アミノ酸置換である。一態様では、Fcドメインは、E233、L234、L235、N297、P331及びP329の群から選択される位置にアミノ酸置換を含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。より具体的な態様では、Fcドメインは、L234、L235及びP329の群から選択される位置にアミノ酸置換を含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。いくつかの態様では、Fcドメインは、アミノ酸置換L234A及びL235Aを含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。そのような一態様では、Fcドメインは、IgG1 Fcドメイン、特にヒトIgG1 Fcドメインである。一態様では、Fcドメインは、P329位にアミノ酸置換を含む。より具体的な態様では、アミノ酸置換は、P329A又はP329G、特にP329Gである(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。一態様では、Fcドメインは、位置P329にアミノ酸置換を含み、E233、L234、L235、N297及びP331から選択される位置にさらなるアミノ酸置換を含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。より具体的な態様では、さらなるアミノ酸置換は、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D又はP331Sである。好ましい態様では、Fcドメインは、位置P329、L234及びL235にアミノ酸置換を含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。より好ましい態様では、Fcドメインは、アミノ酸変異L234A、L235A及びP329G(「P329G LALA」、「PGLALA」又は「LALAPG」)を含む。具体的には、好ましい態様では、Fcドメインのそれぞれのサブユニットは、アミノ酸置換L234A、L235A及びP329Gを含み(Kabat EUインデックスナンバリング)、即ち、Fcドメインの第1のサブユニット及び第2のサブユニットのそれぞれにおいて、位置234のロイシン残基はアラニン残基と置き換わっており(L234A)、位置235のロイシン残基はアラニン残基と置き換わっており(L235A)、位置329のプロリン残基はグリシン残基と置き換わっている(P329G)(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
そのような一態様では、Fcドメインは、IgG1 Fcドメイン、特にヒトIgG1 Fcドメインである。アミノ酸置換の「P329G LALA」の組合せは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2012/130831号に記載されているように、ヒトIgG1 FcドメインのFcγ受容体(同様に補体)結合をほとんど完全に消滅させる。国際公開第2012/130831号は、そのような変異Fcドメインの調製方法及びその特性、例えばFc受容体結合又はエフェクター機能を決定するための方法も記載する。
IgG4抗体は、IgG1抗体と比較して、Fc受容体への結合親和性の低減及びエフェクター機能の低減を呈する。したがって、いくつかの態様では、本発明の(多重特異性)抗体のFcドメインは、IgG4 Fcドメイン、特にヒトIgG4 Fcドメインである。一態様では、IgG4 Fcドメインは、位置S228にアミノ酸置換を含み、具体的にはアミノ酸置換S228Pを含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。Fc受容体への結合親和性及び/又はエフェクター機能をさらに低減させるため、一態様では、IgG4 Fcドメインは、位置L235におけるアミノ酸置換、具体的にはアミノ酸置換L235Eを含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。別の態様では、IgG4 Fcドメインは、位置P329におけるアミノ酸置換、具体的にはアミノ酸置換P329Gを含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。好ましい態様では、IgG4 Fcドメインは、位置S228、L235及びP329におけるアミノ酸置換、具体的にはアミノ酸置換S228P、L235E及びP329Gを含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。そのようなIgG4 Fcドメイン変異体及びこれらのFcγ受容体結合特性は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2012/130831号に記載されている。
好ましい態様では、ネイティブIgG1 Fcドメインと比較して、Fc受容体への結合親和性の低減及び/又はエフェクター機能の低減を呈するFcドメインは、アミノ酸置換L234A、L235A及び任意にP329Gを含むヒトIgG1 Fcドメイン、又はアミノ酸置換S228P、L235E及び任意にP329Gを含むヒトIgG4 Fcドメインである(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
ある特定の態様では、FcドメインのN-グリコシル化が排除された。そのような一態様では、Fcドメインは、位置N297におけるアミノ酸変異、特にアスパラギンをアラニンにより置き換えるアミノ酸置換(N297A)又はアスパラギン酸に置き換えるアミノ酸置換(N297D)を含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
本明細書に上述され、且つ国際公開第2012/130831号に記載されているFcドメインに加え、Fc受容体結合及び/又はエフェクター機能が低減されたFcドメインには、Fcドメイン残基238、265、269、270、297、327及び329のうちの1又は複数の置換を有するものも含まれる(米国特許第6,737,056号)(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。そのようなFc変異体としては、アミノ酸位置265、269、270、297及び327のうち2つ以上での置換を有するFc変異体が挙げられ、残基265及び297がアラニンに置換されている、いわゆる「DANA」Fc変異体を含む(米国特許第7,332,581号)。
変異体Fcドメインは、当技術分野で周知の遺伝的方法又は化学的方法を用い、アミノ酸の欠失、置換、挿入又は改変によって調製することができる。遺伝的方法は、コードDNA配列の部位特異的変異導入法、PCR、遺伝子合成等を含んでいてもよい。正しいヌクレオチド変化は、例えば、スクリーニングによって確認することができる。
Fc受容体に対する結合は、例えば、ELISAによって、又はBIAcore装置(GE Healthcare)等の標準的な装置と組換え発現によって得られ得るFc受容体を用いた表面プラズモン共鳴(SPR)によって、容易に決定することができる。代替的に、Fc受容体に関するFcドメイン又はFcドメインを含む(多重特異性)抗体の結合親和性は、特定のFc受容体を発現することが知られている細胞株、例えば、FcγIIIa受容体を発現するヒトNK細胞を使用して評価してもよい。
Fcドメイン又はFcドメインを含む(多重特異性)抗体のエフェクター機能は、当技術分野に既知の方法によって測定することができる。目的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの例は、米国特許第5,500,362号;Hellstrom et al.Proc Natl Acad Sci USA 83,7059-7063(1986)及びHellstrom et al.,Proc Natl Acad Sci USA 82,1499-1502(1985);米国特許第5,821,337号;Bruggemann et al.,J Exp Med 166,1351-1361(1987)に記載されている。代替的に、非放射性アッセイを用いてもよい(例えば、ACTI(商標)フローサイトメトリー用非放射性細胞傷害アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA)及びCytoTox96(登録商標)非放射性細胞傷害アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照されたい)。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核球(PBMC:peripheral blood mononuclear cell)及びナチュラルキラー(Natural Killer:NK)細胞が挙げられる。これに代えて、又はさらに、目的の分子のADCC活性は、in vivoで、例えば、Clynes et al.,Proc Natl Acad Sci USA 95,652-656(1998)に開示されるような動物モデルにおいて評価されてもよい。
いくつかの態様では、相補性構成要素に対する(特定的にはC1qに対する)Fcドメインの結合が低下する。したがって、Fcドメインが低減されたエフェクター機能を有するように操作されるいくつかの態様では、当該低減されたエフェクター機能は、低減されたCDCを含む。C1q結合アッセイを実施して、Fcドメイン又はFcドメインを含む(多重特異性)抗体がC1qに結合することができ、したがってCDC活性を有するかどうかを決定することができる。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号のC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行ってもよい(例えば、Gazzano-Santoro et al.、J Immunol Methods 202、163(1996);Cragg et al.、Blood 101、1045-1052(2003);及びCragg and Glennie、Blood 103、2738-2743(2004)を参照されたい)。
FcRn結合及びin vivoクリアランス/半減期の決定は、当技術分野で既知の方法を使用して実施することもできる(例えば、Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006);国際公開第2013/120929号を参照されたい)。
B.ポリヌクレオチド
本発明は、本発明の抗体をコードする単離ポリヌクレオチドをさらに提供する。そのような単離ポリヌクレオチドは、単一のポリヌクレオチド又は複数のポリヌクレオチドであってよい。
本発明の(多重特異性)抗体をコードするポリヌクレオチドは、完全な抗体をコードする単一のポリヌクレオチドとして発現されてもよく、又は共発現される複数の(例えば、2つ以上の)ポリヌクレオチドとして発現されてもよい。共発現されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、例えば、ジスルフィド結合又は他の手段を介して会合し、機能的な抗体を形成し得る。例えば、抗体の軽鎖部分は、抗体の重鎖を含む抗体の一部分に由来する別個のポリヌクレオチドによってコードされてもよい。共発現すると、重鎖ポリペプチドは、軽鎖ポリペプチドと会合し、抗体を形成する。別の例では、2つのFcドメインサブユニットのうち一方と、任意に1又は複数のFab分子(の一部)とを含む抗体の一部分は、2つのFcドメインサブユニットの他方と、任意にFab分子(の一部)とを含む抗体の一部分に由来する別個のポリヌクレオチドによってコードされてもよい。共発現すると、Fcドメインサブユニットは会合してFcドメインを形成する。
いくつかの態様では、単離ポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるように本発明による抗体分子全体をコードする。他の態様では、単離ポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるように本発明による抗体に含まれるポリペプチドをコードする。
ある特定の態様では、ポリヌクレオチド又は核酸は、DNAである。他の態様では、本発明のポリヌクレオチドは、RNAであり、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)の形態である。本発明のRNAは、一本鎖又は二本鎖であってもよい。
C.組換え方法
本発明の抗体は、例えば、固体状態ペプチド合成(例えば、Merrifield固相合成)又は組換え産生によって得られてもよい。組換え産生について、抗体をコードする1つ又以上のポリヌクレオチド、例えば、上述のものは、さらなるクローニング及び/又は宿主細胞での発現のために、単離され、1又は複数のベクターに挿入される。そのようなポリヌクレオチドは、従来の手順を用い、容易に単離され、配列決定されてもよい。一態様では、本発明のポリヌクレオチド(とりわけ単一のポリヌクレオチド又は複数のポリヌクレオチド)を含むベクター、特に発現ベクターが提供される。当業者に周知の方法を使用し、適切な転写/翻訳制御シグナルと共に、抗体のコード配列を含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、in vitro組換えDNA技術、合成技術及びin vivo組換え/遺伝子組換えが挙げられる。例えば、Maniatis et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.(1989);及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Y(1989)に記載される技術を参照されたい。発現ベクターは、プラスミド、ウイルスの一部であってもよく、又は核酸断片であってもよい。発現ベクターは、抗体をコードするポリヌクレオチド(即ち、コード領域)が、プロモーター及び/又は他の転写又は翻訳制御要素と共に操作可能に会合してクローン化される発現カセットを含む。本明細書で使用される場合、「コード領域」は、アミノ酸に翻訳されるコドンからなる核酸の一部である。「停止コドン」(TAG、TGA又はTAA)は、アミノ酸に翻訳されないが、コード領域の一部であると考えられてもよいが、存在する場合、任意のフランキング配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロン、5’及び3’未翻訳領域等は、コード領域の一部ではない。2つ以上のコード領域が、単一のポリヌクレオチド構築物中に例えば、単一のベクター上に存在していてもよく、又は別個のポリヌクレオチド構築物中に例えば別個の(異なる)ベクター上に存在していてもよい。さらに、任意のベクターは、単一のコード領域を含んでいてもよく、又は2つ以上のコード領域を含んでいてもよく、例えば本発明のベクターは、1又は複数のポリペプチドをコードしてもよく、翻訳後又は翻訳と同時に、タンパク質分解による開裂によって、最終的なタンパク質へと分離される。これに加え、本発明のベクター、ポリヌクレオチド又は核酸は、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチド、又はその変異体若しくは誘導体に融合するか、又は融合しない、異種コード領域をコードし得る。異種コード領域としては、限定されないが、特殊な要素又はモチーフ、例えば、分泌シグナルペプチド又は異種機能性ドメインが挙げられる。作動可能な会合は、ある遺伝子産物(例えばポリペプチド)のコード領域が、制御配列(複数可)の影響下又は制御下で、遺伝子産物の発現を行うような様式で、1又は複数の制御配列と会合する。2つのDNA断片(例えば、ポリペプチドコード領域及びこれに関連するプロモーター)は、プロモーター機能の導入によって、所望の遺伝子産物をコードするmRNAの転写が起こる場合、2つのDNA断片間の結合の性質が、遺伝子産物の発現を試行する発現制御配列の能力を妨害しないか、又はDNAテンプレートを転写する能力を妨害しない場合、「作動可能に会合する」。したがって、プロモーター領域は、プロモーターが核酸の転写を行うことが可能な場合、ポリペプチドをコードする核酸と作動可能に会合していてもよい。プロモーターは、所定の細胞内でのDNAの実質的な転写のみに指向する細胞特異的なプロモーターであってもよい。プロモーター以外の他の転写制御要素、例えば、エンハンサー、オペレーター、転写停止シグナルは、細胞特異的な転写に指向するために、ポリヌクレオチドに作動可能に会合してもよい。適切なプロモーター及び他の転写制御領域は、本明細書に開示される。種々の転写制御領域が当業者に知られている。これらとしては、限定されないが、脊椎動物細胞内で機能する転写制御領域、例えば、限定されないが、サイトメガロウイルス由来のプロモーター及びエンハンサーセグメント(例えば最初期プロモーター、イントロン-Aと組み合わせる)、シミアンウイルス40(例えば初期プロモーター)及びレトロウイルス(例えばラウス肉腫ウイルス等)が挙げられる。他の転写制御領域としては、脊椎動物遺伝子から誘導されるもの、例えば、アクチン、ヒートショックタンパク質、ウシ成長ホルモン及びウサギβ-グロビン、並びに真核細胞において遺伝子発現を制御することのできる他の配列が挙げられる。さらなる適切な転写制御領域としては、組織特異的なプロモーター及びエンハンサー、並びに誘導性プロモーター(例えばテトラサイクリン誘導性プロモーター)が挙げられる。同様に、種々の翻訳制御要素は、当業者に知られている。これらとしては、限定されないが、リボソーム結合部位、翻訳開始及び停止コドン、ウイルス系から誘導される要素(特に、内部リボソーム侵入部位、即ちIRES、CITE配列とも呼ばれる)が挙げられる。発現カセットは、例えば、複製の起源及び/又は染色体組み込み要素、例えば、レトロウイルスの長い末端反復(LTR)、又はアデノ随伴ウイルス(AAV)末端逆位配列(ITR)等の他の特徴も含んでいてもよい。
本発明のポリヌクレオチド及び核酸コード領域は、分泌又はシグナルペプチドをコードする追加のコード領域と会合してもよく、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの分泌を指向する。例えば、抗体の分泌が望ましい場合、シグナル配列をコードするDNAは、本発明の抗体又はその断片をコードする核酸の上流に置かれていてもよい。シグナル仮説によれば、哺乳動物細胞によって分泌されるタンパク質は、シグナルペプチド又は分泌リーダー配列を有しており、これらは、粗い小胞体を通って成長したタンパク質鎖が外に出始めると、成熟タンパク質から切断される。当業者は、脊椎動物細胞によって分泌されるポリペプチドが、一般的に、ポリペプチドのN末端に融合するシグナルペプチドを有しており、ポリペプチドの分泌した形態又は「成熟」形態を産生するために、翻訳されたポリペプチドから切断されることを知っている。ある特定の態様では、ネイティブシグナルペプチド、例えば免疫グロブリン重鎖又は軽鎖シグナルペプチドが使用されるか、又は作動可能に会合するポリペプチドの分泌を指示する能力を保持する配列の機能性誘導体が使用される。又は、異種哺乳動物シグナルペプチド、又はその機能性誘導体を使用してもよい。例えば、野生型リーダー配列は、ヒト組織プラスミノーゲンアクティベーター(TPA)又はマウスβ-グルクロニダーゼのリーダー配列で置換されてもよい。
後の精製を容易にするため又は抗体を標識するのに役立てるために使用可能な短いタンパク質配列(例えば、ヒスチジンタグ)をコードするDNAが、ポリヌクレオチドをコードする抗体(断片)の中に、又はその末端に含まれていてもよい。
さらなる態様では、本発明のポリヌクレオチド(即ち、単一のポリヌクレオチド又は複数のポリヌクレオチド)を含む宿主細胞が提供される。ある特定の態様では本発明のベクターを含む宿主細胞が提供される。ポリヌクレオチド及びベクターは、それぞれポリヌクレオチド及びベクターに関連して本明細書に記載する特徴のいずれかを単独で、又は組み合わせて組み込んでもよい。そのような一態様では、宿主細胞は、本発明の抗体(の一部)をコードする1又は複数のポリヌクレオチドを含む1又は複数のベクターを含む(例えば、それらで形質転換又はトランスフェクトされている)。本明細書で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、本発明の抗体又はその断片を生成するように操作することが可能な任意の種類の細胞系を指す。抗体の複製及び発現補助に適した宿主細胞は、当技術分野で周知である。そのような細胞は、適切な場合、特定の発現ベクターを用いてトランスフェクト又は形質導入されてよく、大規模発酵機に接種するために大量のベクターを含む細胞を成長させ、臨床用途に十分な量の抗体 を得ることができる。適切な宿主細胞としては、原核微生物(例えば大腸菌(E.coli))又は種々の真核生物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、昆虫細胞等が挙げられる。例えば、ポリペプチドは、特にグリコシル化が必要とされない場合には、細菌内で産生されてもよい。発現後、ポリペプチドは、適切なフラクション中の細菌細胞ペーストから単離されてもよく、さらに精製されてもよい。原核生物に加え、真核生物の微生物、例えば、糸状菌又は酵母は、ポリペプチドをコードするベクターに適切なクローニング又は発現の宿主であり、グリコシル化経路が「ヒト化」された真菌株及び酵母株を含み、部分的又は完全にヒトグリコシル化パターンを有するポリペプチドを産生する。Gerngross,Nat Biotech 22,1409-1414(2004)及びLi et al.,Nat Biotech 24,210-215(2006)を参照されたい。(グリコシル化)ポリペプチドの発現に適した宿主細胞も、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)から誘導される。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株が同定されており、昆虫細胞と組み合わせて使用することができ、特にスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションに使用することができる。植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、米国特許第6,040,498号、米国特許第6,420,548号、米国特許第7,125,978号、及び米国特許第6,417,429号(トランスジェニック植物で抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載している)を参照されたい。脊椎動物細胞も、宿主として使用され得る。例えば、懸濁物中で成長するように適合した哺乳動物細胞株が有用な場合がある。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胎児性腎株(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載される293又は293T細胞);ベビーハムスター腎細胞(baby hamster kidney cell:BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載されるTM4細胞;サル腎細胞(CV1);アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌腫細胞(HELA);イヌ腎細胞(MDCK);バッファローラット肝細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳腫瘍細胞(MMT 060562);例えばMather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載されるTRI細胞;MRC 5細胞;並びにFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、dhfr-CHO細胞を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub et al.,Proc Natl Acad Sci USA 77,4216(1980))、骨髄腫細胞株、例えば、YO、NS0、P3X63及びSp2/0が挙げられる。タンパク質産生に適したある特定の哺乳動物宿主細胞の総説としては、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照されたい。宿主細胞としては、培養細胞、例えば、ほんの数例を挙げると、哺乳動物培養細胞、酵母細胞、昆虫細胞、細菌細胞及び植物細胞が挙げられるが、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物又は培養植物又は動物組織に含まれる細胞も含まれる。一態様では、宿主細胞は、真核細胞、特にチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胚腎臓(HEK)細胞又はリンパ球細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)といった哺乳動物細胞である。一態様では、宿主細胞は、ヒト身体中の細胞ではない。
これらの系において外来遺伝子を発現させる標準的な技術は、当技術分野で既知である。抗体等の抗原結合ドメインの重鎖又は軽鎖を含むポリペプチドを発現する細胞を操作して他方の抗体鎖も発現させ、発現した生成物が、重鎖及び軽鎖の両方を有する抗体となるようにすることができる。
一態様では、本発明による抗体を生成する方法が提供され、この方法は、抗体の発現に適した条件下で、本明細書に提供される抗体をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養すること、及び任意に、宿主細胞(又は宿主細胞培地)から抗体を回収することを含む。
本発明の(多重特異性)抗体の成分は、互いに遺伝的に融合され得る。(多重特異性)抗体は、その構成要素が互いに直接的に又はリンカー配列を通して間接的に融合されるように設計することができる。リンカーの組成及び長さは、当技術分野で周知の方法に従って決定されてもよく、有効性について試験されてもよい。(多重特異性)抗体の異なる構成要素の間のリンカー配列の例が、本明細書で提供される。必要に応じて、開裂部位を組み込んで融合の個々の構成要素を分離するために、追加の配列が含まれていてもよい(例えば、エンドペプチダーゼ認識配列)。
本明細書で記載するように調製される抗体は、例えば、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー等の当技術分野で既知の技術によって精製されてもよい。特定のタンパク質を精製するために使用される実際の条件は、一部には、正味の電荷、疎水性、親水性等の因子に依存し、当業者には明らかである。アフィニティークロマトグラフィー精製のために、抗体が結合する抗体、リガンド、受容体又は抗原を使用することができる。例えば、本発明の抗体のアフィニティークロマトグラフィー精製のために、プロテインA又はプロテインGを含むマトリックスを使用することができる。連続したプロテインA又はGのアフィニティークロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーを使用して、実施例に本質的に記載されるように抗体を単離することができる。抗体の純度は、ゲル電気泳動、高圧液体クロマトグラフィーを含む種々の周知の分析方法のいずれかによって決定することができる。
D.アッセイ
本明細書に提供される抗体は、それらの物理的/化学的特性及び/又は生物活性について、当技術分野で既知の様々なアッセイによって、同定、スクリーニング、又は特性評価され得る。
1.結合アッセイ
Fc受容体又は標的抗原に対する抗体の結合(親和性)は、例えば、BIAcore機器(GE Healthcare)等の標準的な器具類、及び例えば組換え発現により入手可能な受容体又は標的タンパク質を使用する表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定することができる。代替的に、異なる受容体又は標的抗原に対する抗体の結合が、特定の受容体又は標的抗原を発現する細胞株を使用して、例えばフローサイトメトリー(FACS)により、評価されてもよい。ヒト又はカニクイザルNKG2Dに対する結合活性を測定するための特定の説明的且つ例示的な態様が以下に記載される。
一態様では、NKG2Dに対する結合活性は、以下のようにSPRによって決定される:
SPRをBiacore B4000機器(GE Healthcare)で行う。抗Fab捕捉抗体(GE Healthcare、#28958325)は、標準的なアミンカップリングケミストリーを用いて、約1500共鳴単位(RU)の表面密度でSeries S Sensor Chip CM5(GE Healthcare)に固定化される。ランニングバッファー及び希釈バッファーとしては、PBS-T(0.05%Tween20を含む10mMリン酸緩衝生理食塩水、pH7.4)を用いる。フローセルを25℃に設定し、ランニングバッファーで2回プライミングする。
約10μg/mlの溶液を10μl/分の流速で60秒間注入することによって、抗体を捕捉する。会合は、溶液中の様々な濃度のdi huNKG2D ECD Fc avi(配列番号96)又はdi cyNKG2D ECD Fc avi(配列番号97)を、600nM、300nM、150nMから開始して1:3希釈後に30μl/分の流量で180秒間注入することによって測定する。解離段階を最大450秒間監視し、サンプル溶液からランニングバッファーに切り替えることで誘発する。流速30μl/分及び追加の安定化時間180秒で10mMグリシンpH2.1で2×90秒間洗浄することによって、表面を再生する。バルク屈折率差を、捕捉抗体のみで表面から得られた応答を差し引くことによって補正する。ブランク注入も差し引く(二重参照)。KD、ka及びkdの計算には、Biacore 4000 Evaluation software 1.1(GE Healthcare)又はTraceDrawer 1.6.1(Ridgeview Instruments AB)のLangmuir 1:1モデルを使用する。
2.活性アッセイ
本発明の(多重特異性)抗体の生物活性は、実施例に記載されるように、様々なアッセイによって測定することができる。生物学的活性としては、例えば、NKG2D発現細胞の増殖の誘導、NKG2D発現細胞におけるシグナル伝達の誘導、NKG2D発現細胞における活性化マーカーの発現の誘導、NKG2D発現細胞によるサイトカイン分泌の誘導、腫瘍細胞等の標的細胞の溶解の誘導、並びに腫瘍退縮の誘導及び/又は生存の改善を挙げることができる。
E.組成物、製剤及び投与経路
さらなる態様では、本発明は、例えば以下の治療方法のいずれかにおいて使用するための、本明細書に提供される抗体のうちのいずれかを含む医薬組成物を提供する。一態様では、医薬組成物は、本発明による抗体と、薬学的に許容され得る担体とを含む。別の態様では、医薬組成物は、本発明による抗体と、少なくとも1つの追加の治療剤、例えば、以下に記載するものとを含む。
さらには、in vivoでの与に適した形態で本発明の抗体を生成する方法が提供され、この方法は、(a)本発明による抗体を得ること、及び(b)抗体と、少なくとも1つの薬学的に許容され得る担体とを配合し、それによって、抗体の製剤を、in vivoでの投与のために配合することとを含む。
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容され得る担体に溶解又は分散した有効量の抗体を含む。「薬学的に許容され得る」という表現は、通常、使用する投薬量及び濃度でレシピエントに非毒性であり、即ち、適切な、例えばヒトといった動物に投与したときに、有害な反応、アレルギー反応又は他の不都合な反応を生まない分子要素及び組成物を指す。抗体と、任意にさらなる有効成分とを含む医薬組成物の調製は、参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990に例示される本開示の観点から、当業者に既知である。さらに、動物(例えば、ヒト)投与の場合、製剤が、FDA Office of Biological Standards又は他の国の対応する機関によって要求される滅菌性、発熱原性、一般的安全性及び純度基準を満たすべきであることが理解されるであろう。好ましい組成物は、凍結乾燥製剤又は水溶液である。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る担体」は、当業者に知られているように(例えば、参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990,pp.1289-1329を参照されたい)、任意及び全ての溶媒、緩衝液、分散媒体、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤(例えば抗菌剤、抗真菌剤)、等張化剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、酸化防止剤、タンパク質、薬物、薬物安定化剤、ポリマー、ゲル、バインダー、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、染料、そのような類似の材料及びこれらの組合せを含む。任意の従来の担体が、有効成分と不適合である場合を除き、医薬組成物における使用が想定される。
本発明の抗体(及び任意の追加の治療剤)は、非経口、肺内、及び鼻腔内、並びに局所処置のために望まれる場合、病変内投与を含む、任意の適切な手段によって投与することができる。非経口輸液には、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、又は皮下投与が含まれる。投薬は、任意の適切な経路によるもの、例えば、一部には、投与が一時的であるか慢性的であるかに依存して、注射によって、例えば、静脈又は皮下への注射によるものであってもよい。
非経口組成物としては、注射、例えば皮下、皮内、病巣内、静脈内、動脈内、筋肉内、髄腔内、又は腹腔内注射により投与されるように設計されているものが挙げられる。注射のため、本発明の抗体は、水溶液中、特に生理学的に適合性の緩衝液、例えばハンクス溶液、リンゲル液又は生理食塩水緩衝液中で製剤化され得る。溶液は、配合剤、例えば、懸濁剤、安定化剤及び分散剤を含有していてもよい。代替的に、抗体は、適切なビヒクル、例えば、滅菌した発熱性物質除去水と共に使用前に構成するための粉末形態であってもよい。滅菌した注射可能な溶液は、必要に応じて以下に列挙する種々の他の成分と共に、本発明の抗体を必要な量で適切な溶媒に組み込むことによって調製される。滅菌性は、例えば、滅菌ろ過膜を通したろ過によって容易に達成され得る。一般的に、分散物は、種々の滅菌した有効成分を、塩基性分散媒体及び/又は他の成分を含む滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射可能溶液、懸濁物又は乳化物を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、既に滅菌濾過した液体媒体から有効成分と任意のさらなる所望な成分の粉末が得られる減圧乾燥又は凍結乾燥技術である。液体媒体は、必要な場合には適切に緩衝化されているべきであり、注射する前に、十分な食塩水又はグルコースで液体希釈剤をまず等張性にする。組成物は、製造条件及び保存条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌等の微生物の混入作用から保護されなければならない。エンドトキシン汚染を安全なレベルに最小限に、例えば、0.5ng/mgタンパク質未満に維持すべきであることが認識されるだろう。適切な薬学的に許容され得る担体としては、限定されないが、緩衝液、例えば、ホスフェート、シトレート及び他の有機酸;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド;ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルパラベン又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン;単糖類、二糖類及び他の炭水化物(グルコース、マンノース又はデキストリンを含む);キレート化剤、例えば、EDTA;糖類、例えば、ショ糖、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩を形成する対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又は非イオン性界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。水性注射懸濁物は、懸濁物の粘度を上げる化合物(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、デキストラン等)を含んでいてもよい。任意に、懸濁物は、適切な安定化剤、又は高度に濃縮した溶液の調製を可能にするために、化合物の溶解度を高める薬剤も含んでいてもよい。さらに、活性化合物の懸濁物は、適切な油注射懸濁物として調製されてもよい。適切な親油性溶媒又はビヒクルとしては、脂肪族油(例えば、ゴマ油)、又は合成脂肪酸エステル(例えば、エチルクリート(ethyl cleat)又はトリグリセリド)又はリポソームが挙げられる。
有効成分は、例えば、コアセルベーション技術によって、又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル中に封入されてもよく(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションに封入されてもよい。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th Ed.Mack Printing Company,1990)に開示されている。徐放性調製物を調製してもよい。徐放性製剤の適切な例としては、ポリペプチドを含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは、例えば、フィルム又はマイクロカプセル等の成型物品の形態である。特定の態様では、注射可能組成物の持続性吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチン、又はこれらの組合せの組成物での使用によってもたらすことができる。
前述の組成物に加え、抗体は、デポ剤として配合されてもよい。そのような長く作用する製剤は、埋め込みによって(例えば、皮下又は筋肉内)、又は筋肉内注射によって投与されてもよい。したがって、例えば、抗体は、適切なポリマー若しくは疎水性材料(例えば、許容され得る油中のエマルジョンとして)若しくはイオン交換樹脂を用いて、又は難溶性の誘導体として、例えば難溶性の塩として配合されてもよい。
本発明の抗体を含む医薬組成物は、従来の混合、溶解、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスによって製造されてもよい。医薬組成物は、1又は複数の生理学的に許容され得る担体、希釈剤、賦形剤又はタンパク質を薬学的に使用可能な製剤へと加工するのを容易にする補助剤を用い、従来の様式で配合されてもよい。適切な製剤は、選択する投与経路によって変わる。
抗体は、遊離酸若しくは遊離塩基、中性又は塩形態で組成物に配合されてもよい。薬学的に許容され得る塩は、遊離酸又は遊離塩基の生体活性を実質的に保持する塩である。薬学的に許容され得る塩としては、酸付加塩、例えば、タンパク質組成物の遊離アミノ基と形成される酸付加塩、又は塩酸又はリン酸等の無機酸と形成されるか、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸又はマンデル酸等の有機酸と形成されるものが挙げられる。遊離カルボキシル基と形成される塩も、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムの水酸化物又は水酸化第二鉄等の無機塩基から誘導されてもよく、又はイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン又はプロカイン等の有機塩基から誘導されてもよい。医薬塩は、対応する遊離塩基形態よりも、水及び他のプロトン性溶媒に溶けやすい傾向がある。
F.治療方法及び組成物
本明細書で提供される抗体のいずれも、治療方法に使用することができる。本発明の抗体は、例えばがんの処置において、免疫治療剤として使用され得る。
治療方法における使用のために、本発明の抗体は、医学行動規範と一致した様式で配合され、用量決定され、投与される。これに関連して考慮すべき要因としては、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療従事者に既知である他の要因が挙げられる。
一態様では、医薬としての使用のための本発明の抗体が提供される。さらなる態様では、疾患の処置における使用のための本発明の抗体が提供される。ある特定の態様では、処置の方法における使用のための本発明の抗体が提供される。一態様では、本発明は、疾患の治療を必要とする個体の疾患の処置における使用のための本発明の抗体を提供する。ある特定の態様では、本発明は、個体に有効量の抗体を投与することを含む、疾患を有する個体を処置する方法における使用のための抗体を提供する。ある特定の態様では、処置される疾患は、増殖性障害である。好ましい態様では、疾患は、がんである。ある特定の態様では、この方法は、さらに、個体に、有効量の少なくとも1つのさらなる治療剤(例えば、処置される疾患ががんである場合、抗がん剤)を投与することを含む。さらなる態様では、本発明は、標的細胞、特に腫瘍細胞の溶解を誘導することに使用するための本発明の抗体を提供する。ある特定の態様では、本発明は、標的細胞の溶解を誘導するために個体に有効量の抗体を投与することを含む、個体において、標的細胞、特に腫瘍細胞の溶解を誘導する方法における使用のための本発明の抗体を提供する。ある特定の態様では、方法は、T細胞活性化剤、例えばCD3に結合する抗体、特にCD3及び標的細胞抗原、特に腫瘍細胞抗原、に結合する二重特異性抗体を投与することをさらに含む。ある特定の態様では、使用は、T細胞活性化剤、例えばCD3に結合する抗体、特にCD3及び標的細胞抗原、特に腫瘍細胞抗原、に結合する二重特異性抗体と組み合わせたものである。上記のいずれかの態様に係る「個体」は、哺乳動物、好ましくはヒトである。
さらなる態様では、本発明は、医薬の製造又は調製における本発明の抗体の使用を提供する。一態様では、医薬は、疾患の処置を必要とする個体における、疾患の処置のためのものである。さらなる態様では、医薬は、疾患を有する個体に対し、有効量の医薬を投与することを含む、疾患を処置する方法における使用のためのものである。ある特定の態様では、処置される疾患は、増殖性障害である。好ましい態様では、疾患は、がんである。一態様では、この方法は、個体に対し、少なくとも1つの追加の治療剤(例えば、処置される疾患ががんである場合は抗がん剤)の有効量を投与することをさらに含む。さらなる態様では、医薬は、標的細胞、特に腫瘍細胞の溶解を誘導するためのものである。またさらなる態様では、医薬は、標的細胞の溶解を誘導するために個体に対して有効量の医薬を投与することを含む、個体において、標的細胞、特に腫瘍細胞の溶解を誘導する方法における使用のためのものである。ある特定の態様では、方法は、T細胞活性化剤、例えばCD3に結合する抗体、特にCD3及び標的細胞抗原、特に腫瘍細胞抗原、に結合する二重特異性抗体を投与することをさらに含む。ある特定の態様では、処置は、T細胞活性化剤、例えばCD3に結合する抗体、特にCD3及び標的細胞抗原、特に腫瘍細胞抗原、に結合する二重特異性抗体と組み合わせたものである。上記のいずれかの態様による「個体」は、哺乳動物、好ましくはヒトであってよい。
さらなる態様では、本発明は、疾患を処置するための方法を提供する。一態様では、この方法は、そのような疾患を有する個体に対し、本発明の抗体の有効量を投与することを含む。一態様では、組成物は、上記個体に投与され、本発明の抗体を薬学的に許容され得る形態で含んでいる。ある特定の態様では、処置される疾患は、増殖性障害である。好ましい態様では、疾患は、がんである。ある特定の態様では、この方法は、さらに、個体に、有効量の少なくとも1つのさらなる治療剤(例えば、処置される疾患ががんである場合、抗がん剤)を投与することを含む。ある特定の態様では、方法は、T細胞活性化剤、例えばCD3に結合する抗体、特にCD3及び標的細胞抗原、特に腫瘍細胞抗原、に結合する二重特異性抗体を投与することをさらに含む。上記のいずれかの態様による「個体」は、哺乳動物、好ましくはヒトであってよい。
さらなる態様では、本発明は、標的細胞、特に腫瘍細胞の溶解を誘導するための方法を提供する。一態様では、この方法は、T細胞、特に細胞傷害性T細胞の存在下において、標的細胞を本発明の抗体と接触させることを含む。さらなる態様では、個体において、標的細胞、特に腫瘍細胞の溶解を誘導するための方法が提供される。そのような一態様では、方法は、個体に対し、標的細胞の溶解を誘導するために、有効量の本発明の抗体を投与することを含む。ある特定の態様では、方法は、T細胞活性化剤、例えばCD3に結合する抗体、特にCD3及び標的細胞抗原、特に腫瘍細胞抗原、に結合する二重特異性抗体を投与することをさらに含む。一態様では、「個体」は、ヒトである。
ある特定の態様では、処置される疾患は、増殖性障害、特にがんである。がんの非限定的な例としては、膀胱がん、脳がん、頭頸部がん、膵臓がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、子宮がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、食道がん、結腸がん、結腸直腸がん、直腸がん、胃がん、前立腺がん、血液がん、皮膚がん、扁平上皮癌腫、骨がん及び腎臓がんが挙げられる。本発明の抗体を用いて処置され得る他の細胞増殖障害としては、限定されないが、腹部、骨、乳房、消化器系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、副甲状腺、脳下垂体、睾丸、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭頸部、神経系(中枢及び末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、脾臓、胸部領域及び泌尿生殖器系に位置する新生物が挙げられる。前がん状態又は病変及びがん転移も含まれる。ある特定の態様では、がんは、腎臓がん、膀胱がん、皮膚がん、肺がん、結腸直腸がん、乳がん、脳がん、頭頸部がん及び前立腺がんからなる群から選択される。一態様では、がんは、第2の抗原を発現するがんである。当業者であれば、多くの場合に、抗体は治癒を提供せずに部分的な恩恵のみを提供する場合があることを容易に認識する。いくつかの態様では、いくらかの効果を有する生理学的変化もまた、治療上有益であるとみなされる。したがって、いくつかの態様では、生理学的変化を与える抗体の量は、「有効量」と考えられる。処置が必要な対象、患者又は個体は、典型的には、哺乳動物であり、より特定的には、ヒトである。
いくつかの態様では、有効量の本発明の抗体が、疾患を処置するために個体に投与される。
疾患の予防又は処置のために、本発明の抗体の適切な投薬量(単独で又は1又は複数の他の追加の治療剤と組み合わせて使用される場合)は、治療される疾患の種類、投与経路、患者の体重、抗体の種類、疾患の重篤度及び経過、抗体が予防目的で投与されるか又は治療目的で投与されるか、以前又は現在の治療介入、患者の病歴及び抗体に対する応答、並びに主治医の裁量に依存するであろう。投与に責任を持つ施術者はいずれにせよ、組成物中の有効成分(複数可)の濃度、及び個々の対象での適切な用量(複数可)を決定する。単回又は様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス輸注を含むが、これらに限定されない様々な投薬スケジュールが、本明細書では企図される。
本発明の抗体は、好適には、患者に一度に又は一連の処置にわたって投与される。疾患の種類及び重篤度に応じて、約1μg/kg~15mg/kg(例えば0.1mg/kg~10mg/kg)の抗体を、例えば、1又は複数回の別個の投与によるか、又は連続的な注入によるかにかかわらず、患者に投与するための初期の候補投薬量とすることができる。典型的な1日投薬量は、上述の因子に依存して、約1μg/kg~100mg/kgの範囲であってもよい。数日間又はそれ以上にわたる反復投与において、状態に応じ、処置は通常、疾患症状の所望の抑制が生じるまで続けられる。抗体の1つの例示的な投与量は、約0.005mg/kg~約10mg/kgの範囲であろう。他の非限定的な例では、用量は、1回の投与当たり、約1μg/kg体重、約5μg/kg体重、約10μg/kg体重、約50μg/kg体重、約100μg/kg体重、約200μg/kg体重、約350μg/kg体重、約500μg/kg体重、約1mg/kg体重、約5mg/kg体重、約10mg/kg体重、約50mg/kg体重、約100mg/kg体重、約200mg/kg体重、約350mg/kg体重、約500mg/kg体重から、約1000mg/kg体重、又はそれよりも多く、及びこれらから誘導される任意の範囲を含んでもよい。本明細書に列挙される数から誘導可能な範囲の非限定的な例では、約5mg/kg体重~約100mg/kg体重、約5μg/kg体重~約500mg/kg体重等の範囲を、上述の数に基づいて投与することができる。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、5.0mg/kg又は10mg/kg(又はこれらの任意の組合せ)の1回以上の投薬を患者に投与してもよい。かかる用量は、断続的に、例えば毎週又は3週間毎(例えば、患者が約2~約20回、又は例えば約6回の用量の抗体を受容するように)投与されてもよい。最初の多めの投与量、それに続く1回以上の量の少ない用量を投与してよい。しかしながら、他の投薬レジメンが有用であってもよい。この療法の進行は、従来の技術及びアッセイによって容易に監視される。
本発明の抗体は、通常、意図した目的を達成するために有効な量で使用される。疾患状態を処置又は予防するための使用のために、本発明の抗体、又はその医薬組成物が、有効量で投与又は塗布される。
全身投与の場合、有効な用量は、in vitroアッセイ、例えば細胞培養アッセイから最初に概算することができる。次いで、細胞培養物で決定されるようなIC50を含む血中濃度範囲を達成するために、用量を動物モデルで配合してもよい。そのような情報を使用し、ヒトにおける有用な用量をさらに正確に決定することができる。
初期用量も、in vivoデータから、例えば、動物モデルから、当技術分野で周知の技術を用いて概算することができる。
治療効果を維持するために十分な抗体の血漿濃度を与えるように、投薬量及び投薬間隔は個々に調節されてもよい。注射による投与に有用な患者投薬量は、約0.1~50mg/kg/日、典型的には約0.5~1mg/kg/日の範囲である。治療に有効な血漿濃度は、各日に複数回用量を投与することによって達成されてもよい。血漿中のレベルは、例えば、HPLCによって測定されてもよい。
本発明の抗体の有効用量は、一般に、実質的な毒性を引き起こすことなく治療上の利益を提供する。抗体の毒性及び治療有効性は、細胞培養物又は実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができる。細胞培養アッセイ及び動物実験を使用し、LD50(集団の50%が致死に至る用量)及びED50(集団の50%が治療に有効である用量)を決定することができる。毒性と治療効果との間の投薬比は、治療指数であり、比LD50/ED50として表すことができる。大きい治療指数を呈する抗体が好ましい。一態様では、本発明による抗体は、高い治療指数を呈する。細胞培養アッセイ及び動物実験から得られるデータを、ヒトでの使用に適した投与範囲を配合する際に使用することができる。投薬量は、好ましくは、毒性がほとんどないか、全くない状態で、ED50を含む血中濃度の範囲内にある。投薬量は、例えば、使用される投与量、利用される投与経路、対象の状態等の種々の因子に依存して、この範囲内で変動してもよい。正確な製剤、投与経路及び投与量は、患者の状態(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、The Pharmacological Basis of Therapeutics,Ch.1,p.1のFingl et al.,1975を参照されたい)を考慮して個々の医師が選択することができる。
本発明の抗体で処置される患者の主治医は、毒性、臓器不全等に起因して、どのように、いつ、投与を中止、中断、又は調整するかを知っているであろう。逆に、主治医は、臨床応答が充分ではない場合(毒性を生じずに)、処置をもっと高レベルにするように調整することも知っている。関心のある障害の管理において投与される用量の大きさは、処置される状態の重篤度、投与経路等に伴って変動する。状態の重篤度は、例えば、部分的には、標準的な予後評価方法によって評価されてもよい。さらに、用量と、おそらく投薬頻度は、個々の患者の年齢、体重及び応答によっても変わる。
本発明の抗体は、治療において、1又は複数の他の薬剤と組み合わせて投与されてもよい。例えば、本発明の抗体は、少なくとも1つの追加の治療剤と共投与されてもよい。「治療剤」という用語は、そのような処置が必要な個体において、症状又は疾患を処置するために投与される任意の薬剤を包含する。そのような追加の治療剤は、処置される特定の疾患に適した任意の有効成分、好ましくは、互いに有害な影響を与えない相補的な活性を有するものを含むことができる。ある特定の態様では、追加の治療剤は、免疫制御剤、細胞増殖抑制剤、細胞接着の阻害剤、細胞傷害性薬剤、細胞アポトーシスの活性化剤、又はアポトーシス誘導因子に対する細胞の感受性を高める薬剤である。一態様では、追加の治療剤は、抗がん剤、例えば、微小管破壊剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼ阻害剤、DNAインターカレーター、アルキル化剤、ホルモン治療、キナーゼ阻害剤、受容体アンタゴニスト、腫瘍細胞アポトーシスの活性化剤、又は抗血管形成剤である。好ましい態様では、追加の治療剤はT細胞活性化剤である。そのような一態様では、さらなる治療剤は、CD3に結合する抗体、特にCD3及び標的細胞抗原、特に腫瘍細胞抗原、に結合する二重特異性抗体である。一態様では、さらなる治療剤が結合する標的細胞抗原は、第2の抗原と同じであり、及び/又は第2の抗原と同様に(例えば、同じ標的細胞上で)共発現される。
一態様では、さらなる治療剤はCD3×CEA二重特異性抗体である。本発明の抗NKG2D(多重特異性)抗体と組み合わせて使用され得るCD3×CEA二重特異性抗体のさらなる態様を以下に記載する。特定の態様では、追加の治療剤はCEA-TCB(配列番号130~135(CD3)及び138~143(CEA)のCDR配列、配列番号136及び137(CD3)並びに144及び145(CEA)の可変領域配列、配列番号154~157の完全配列)、又はCEA-TCB(2)(配列番号130~135(CD3)及び146~151(CEA)のCDR配列、配列番号136及び137(CD3)並びに152及び153(CEA)の可変領域配列、配列番号158~161の完全配列)である。
そのような他の薬剤は、適切には、意図する目的にとって有効な量で組み合わせた状態で存在する。そのような他の薬剤の有効量は、使用される抗体の量、障害又は処置の種類、及び上述の他の因子に依存する。抗体は、通常、同じ投薬量で、本明細書に記載の投与経路で使用されるか、又は約1~99%の本明細書に記載の投薬量で、又は経験的/臨床的に適切であると決定される任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
上述のそのような併用療法は、組み合わせた投与(2つ以上の治療剤が、同じ又は別個の組成物に含まれる)、及び別個の投与を包含し、この場合、本発明の抗体の投与は、追加の治療剤及び/又はアジュバントの投与前、投与と同時及び/又は投与後に行うことができる。本発明の抗体を、放射線治療と組み合わせても使用することができる。
本発明の抗体との組合せのためのCD3×CEA二重特異性抗体
CD3×CEA二重特異性抗体は、CD3に特異的に結合する第1の抗原結合部分と、CEAに特異的に結合する第2の抗原結合部分とを含む。
一態様では、第1の抗原結合部分は、配列番号130の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号131のHCDR2、及び配列番号132のHCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号133の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号134のLCDR2、及び配列番号135のLCDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む。
一態様では、第2の抗原結合部分は、配列番号138の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号139のHCDR2、及び配列番号140のHCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号141の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号142のLCDR2、及び配列番号143のLCDR3を含む軽鎖可変領域と、を含むか、又は(ii)配列番号146の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号147のHCDR2、及び配列番号148のHCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号149の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号150のLCDR2、及び配列番号151のLCDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む。
特定の態様では、CD3×CEA二重特異性抗体は、
(i)CD3に特異的に結合し、配列番号130の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号131のHCDR2、及び配列番号132のHCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号133の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号134のLCDR2、及び配列番号135のLCDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、第1の抗原結合部分と、
(ii)CEAに特異的に結合し、配列番号138の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号139のHCDR2、及び配列番号140のHCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号141の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号142のLCDR2、及び配列番号143のLCDR3を含む軽鎖可変領域と、を含むか、又は(ii)配列番号146の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号147のHCDR2、及び配列番号148のHCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号149の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号150のLCDR2、及び配列番号151のLCDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む第2の抗原結合部分とを含む。
一態様では、第1の抗原結合部分は、配列番号136のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である重鎖可変領域配列と、配列番号137のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である軽鎖可変領域配列とを含む。
一態様では、第1の抗原結合部分は、配列番号136の重鎖可変領域配列と、配列番号137の軽鎖可変領域配列とを含む。
一態様では、第2の抗原結合部分は、配列番号144のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である重鎖可変領域配列と、配列番号145のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である軽鎖可変領域配列とを含むか、又は、(ii)配列番号152のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である重鎖可変領域配列と、配列番号153のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である軽鎖可変領域配列とを含む。
一態様では、第2の抗原結合部分は、配列番号144の重鎖可変領域配列と、配列番号145の軽鎖可変領域配列を含むか、又は(ii)配列番号152の重鎖可変領域配列と、配列番号153の軽鎖可変領域配列とを含む。
いくつかの態様では、第1及び/又は第2の抗原結合部分は、Fab分子である。いくつかの態様では、第1の抗原結合部分は、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変領域又は定常領域のいずれかが交換されているクロスオーバーFab分子である。そのような態様では、第2の抗原結合部分は、好ましくは、従来のFab分子である。
二重特異性抗体の第1及び第2の抗原結合部分が両方ともFab分子であり、抗原結合部分の1つ(特に、第1の抗原結合部分)において、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変ドメインVL及びVHが互いに置き換わっているいくつかの態様では、
i)第1の抗原結合部分の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸は、正に帯電したアミノ酸によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、第1の抗原結合部分の定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸又は位置213のアミノ酸は、負に帯電したアミノ酸によって置換されているか(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、又は
ii)第2の抗原結合部分の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸は、正に帯電したアミノ酸によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、第2の抗原結合部分の定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸又は位置213のアミノ酸は、負に帯電したアミノ酸によって置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
二重特異性抗体は、i)及びii)に記述されている修飾を両方とも含むことはない。VH/VLが置き換わっている抗原結合部分の定常ドメインCL及びCH1は、互いに置き換わっていない(即ち、交換されていないままである)。
より具体的な態様では、
i)第1の抗原結合部分の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸は、独立して、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、第1の抗原結合部分の定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸又は位置213のアミノ酸は、独立して、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)によって置換されているか(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、又は
ii)第2の抗原結合部分の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸は、独立して、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、第2の抗原結合部分の定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸又は位置213のアミノ酸は、独立して、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)によって置換されているか(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
そのような一態様では、第2の抗原結合部分の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸は、独立して、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、第2の抗原結合部分の定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸又は位置213のアミノ酸は、独立して、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)によって置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
さらなる態様では、第2の抗原結合部分の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸は、独立して、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、第2の抗原結合部分の定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸は、独立して、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)によって置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
特定の態様では、第2の抗原結合部分の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸が、独立して、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、位置123のアミノ酸が、独立して、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、第2の抗原結合部分の定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸が、独立して、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)によって置換されており(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、位置213のアミノ酸が、独立して、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)によって置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
より具体的な態様では、第2の抗原結合部分の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸が、リジン(K)によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、位置123のアミノ酸が、リジン(K)によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、第2の抗原結合部分の定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸が、グルタミン酸(E)によって置換されており(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、位置213のアミノ酸が、グルタミン酸(E)によって置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
さらに特定の態様では、第2の抗原結合部分の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸が、リジン(K)によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、位置123のアミノ酸が、アルギニン(R)によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、第2の抗原結合部分の定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸が、グルタミン酸(E)によって置換されており(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、位置213のアミノ酸が、グルタミン酸(E)によって置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
特定の態様では、上の態様に係るアミノ酸置換が、第2の抗原結合部分の定常ドメインCL及び定常ドメインCH1でなされる場合、第2の抗原結合部分の定常ドメインCLは、カッパアイソタイプである。
いくつかの態様では、第1及び第2の抗原結合部分は、任意にペプチドリンカーを介して、互いに融合されている。
いくつかの態様では、第1及び第2の抗原結合部分は、それぞれFab分子であり、(i)第2の抗原結合部分が、Fab重鎖のC末端で、第1の抗原結合部分のFab重鎖のN末端に融合されているか、又は(ii)第1の抗原結合部分が、Fab重鎖のC末端で、第2の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合されているか、のいずれかである。
いくつかの態様では、CD3×CEA二重特異性抗体は、CD3に対する一価の結合を提供する。
特定の態様では、CD3×CEA二重特異性抗体は、CD3に特異的に結合する単一の抗原結合部分と、CEAに特異的に結合する2つの抗原結合部分とを含む。よって、いくつかの態様では、CD3×CEA二重特異性抗体は、CEAに特異的に結合する第3の抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、第3の抗原結合部分は、第1の抗原結合部分と同一である(例えば、第3の抗原結合分子は、Fab分子でもあり、同じアミノ酸配列を含む)。
特定の態様では、CD3×CEA二重特異性抗体は、第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインをさらに含む。一態様では、Fcドメインは、IgG Fcドメインである。特定の態様では、FcドメインはIgG1 Fcドメインである。別の態様では、Fcドメインは、IgG4 Fcドメインである。より具体的な態様では、Fcドメインは、位置S228にアミノ酸置換、特にアミノ酸置換S228Pを含むIgG4 Fcドメインである(Kabat EUインデックスナンバリング)。このアミノ酸置換は、in vivoでのIgG4抗体のFabアーム交換を低減する(Stubenrauch et al.,Drug Metabolism and Disposition 38,84-91(2010)を参照されたい)。さらに特定の態様では、Fcドメインは、ヒトFcドメインである。特定の好ましい態様では、Fcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメインである。ヒトIgG1 Fc領域の例示的な配列は、配列番号86で与えられる。
第1の抗原結合部分、第2の抗原結合部分、及び、存在する場合、第3の抗原結合部分が、それぞれFab分子であるいくつかの態様では、(a)(i)第2の抗原結合部分が、Fab重鎖のC末端で、第1の抗原結合部分のFab重鎖のN末端に融合され、第1の抗原結合部分が、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されているか、又は(ii)第1の抗原結合部分が、Fab重鎖のC末端で、第2の抗原結合部分のFab重鎖のN末端に融合され、第2の抗原結合部分が、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されているかのいずれか一方であり、且つ、(b)存在する場合、第3の抗原結合部分が、Fab重鎖のC末端で、Fcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されている。
特定の態様では、Fcドメインは、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットとの会合を促進する修飾を含む。ヒトIgG Fcドメインの2つのサブユニット間の最も長いタンパク質-タンパク質相互作用の部位は、CH3ドメインの中にある。したがって、一態様では、当該修飾は、FcドメインのCH3ドメインの中にある。
具体的な態様では、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットとの会合を促進する修飾は、いわゆる「ノブ・イントゥ・ホール」修飾であり、Fcドメインの2つのサブユニットの一方に「ノブ(knob)」修飾及びFcドメインの2つのサブユニットの他方に「ホール(hole)」修飾を含む。ノブ・イントゥ・ホール技術は、例えば、米国特許第5,731,168号、米国特許第7,695,936号、Ridgway et al.,Prot Eng 9,617-621(1996)及びCarter,J Immunol Meth 248,7-15(2001)に記載される。一般的に、この方法は、第1のポリペプチドの界面にある突起(「ノブ」)と、第2のポリペプチドの界面にある空洞(「ホール」)とを導入することを含み、その結果、突起が、ヘテロ二量体形成を促進し、ホモ二量体形成を妨害するように空洞内に位置することができる。突起は、第1のポリペプチドの界面からの小さなアミノ酸側鎖を、より大きな側鎖(例えば、チロシン又はトリプトファン)で置き換えることによって構築される。突起と同一又は同様の大きさの相補性空洞が、大きなアミノ酸側鎖を、より小さなアミノ酸側鎖(例えば、アラニン又はトレオニン)と置き換えることによって、第2のポリペプチドの界面に作られる。
したがって、いくつかの態様では、Fcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメインにおけるアミノ酸残基を、より大きな側鎖量を有するアミノ酸残基で置き換えることにより、第2のサブユニットのCH3ドメイン内の空洞に配置可能な第1のサブユニットのCH3ドメイン内に突起を生成し、Fcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメインにおけるアミノ酸残基を、より小さな側鎖量を有するアミノ酸残基で置き換えることにより、第1のサブユニットのCH3ドメイン内の突起が配置可能な第2のサブユニットのCH3ドメイン内に空洞を生成する。好ましくは、より大きな側鎖量を有する当該アミノ酸残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)及びトリプトファン(W)からなる群から選択される。好ましくは、より小さな側鎖量を有する当該アミノ酸残基は、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)及びバリン(V)からなる群から選択される。突起及び空洞は、ポリペプチドをコードする核酸を変えることによって、例えば、部位特異的変異導入法によって、又はペプチド合成によって作り出すことができる。
具体的なそのような態様では、Fcドメインの第1のサブユニットにおいて、位置366のトレオニン残基がトリプトファン残基と置き換わっており(T366W)、Fcドメインの第2のサブユニットにおいて、位置407のチロシン残基がバリン残基と置き換わっており(Y407V)、任意に、位置366のトレオニン残基がセリン残基と置き換わっており(T366S)、位置368のロイシン残基がアラニン残基と置き換わっている(L368A)(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。さらなる態様では、Fcドメインの第1のサブユニットにおいて、追加的に位置354のセリン残基がシステイン残基と置き換わっており(S354C)又は位置356のグルタミン酸残基がシステイン残基と置き換わっており(E356C)(特に、位置354のセリン残基がシステイン残基と置き換わっており)、Fcドメインの第2のサブユニットにおいて、追加的に位置349のチロシン残基がシステイン残基と置き換わっている(Y349C)(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。好ましい態様では、Fcドメインの第1のサブユニットは、アミノ酸置換S354C及びT366Wを含み、Fcドメインの第2のサブユニットは、アミノ酸置換Y349C、T366S、L368A及びY407Vを含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
いくつかの態様では、Fcドメインは、Fc受容体への結合を低下させる、且つ/又はエフェクター機能を低下させる1又は複数のアミノ酸置換を含む。
特定の態様では、Fc受容体は、Fcγ受容体である。一態様では、Fc受容体は、ヒトFc受容体である。一態様では、Fc受容体は、活性化Fc受容体である。具体的な態様では、Fc受容体は、活性化ヒトFcγ受容体であり、より具体的には、ヒトFcγRIIIa、FcγRI又はFcγRIIaであり、最も具体的には、ヒトFcγRIIIa(CD16a)である。一態様では、エフェクター機能は、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介細胞障害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、及びサイトカイン分泌の群から選択される1又は複数である。特定の態様では、エフェクター機能は、ADCCである。
典型的には、同じ1又は複数のアミノ酸置換が、Fcドメインの2つのサブユニットのそれぞれに存在する。一態様では、1又は複数のアミノ酸置換は、Fc受容体へのFcドメインの結合親和性を低減する。一態様では、1又は複数のアミノ酸置換は、Fc受容体へのFcドメインの結合親和性を、少なくとも2分の1、少なくとも5分の1又は少なくとも10分の1に低減する。
一態様では、Fcドメインは、E233、L234、L235、N297、P331及びP329の群から選択される位置にアミノ酸置換を含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。より具体的な態様では、Fcドメインは、L234、L235及びP329の群から選択される位置にアミノ酸置換を含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。ある特定の態様では、Fcドメインは、アミノ酸置換L234A及びL235Aを含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。そのような一態様では、Fcドメインは、IgG1 Fcドメイン、特にヒトIgG1 Fcドメインである。一態様では、Fcドメインは、P329位にアミノ酸置換を含む。より具体的な態様では、アミノ酸置換は、P329A又はP329G、特にP329Gである(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。一態様では、Fcドメインは、位置P329にアミノ酸置換を含み、E233、L234、L235、N297及びP331から選択される位置にさらなるアミノ酸置換を含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。より具体的な態様では、さらなるアミノ酸置換は、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D又はP331Sである。特定の態様では、Fcドメインは、位置P329、L234及びL235にアミノ酸置換を含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。より具体的な態様では、Fcドメインは、アミノ酸変異L234A、L235A及びP329G(「P329G LALA」、「PGLALA」又は「LALAPG」)を含む。具体的には、好ましい態様では、Fcドメインのそれぞれのサブユニットは、アミノ酸置換L234A、L235A及びP329Gを含み(Kabat EUインデックスナンバリング)、即ち、Fcドメインの第1のサブユニット及び第2のサブユニットのそれぞれにおいて、位置234のロイシン残基はアラニン残基と置き換わっており(L234A)、位置235のロイシン残基はアラニン残基と置き換わっており(L235A)、位置329のプロリン残基はグリシン残基と置き換わっている(P329G)(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。そのような一態様では、Fcドメインは、IgG1 Fcドメイン、特にヒトIgG1 Fcドメインである。
好ましい態様では、CD3×CEA二重特異性抗体は、
(i)CD3に特異的に結合し、配列番号130の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号131のHCDR2、及び配列番号132のHCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号133の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号134のLCDR2、及び配列番号135のLCDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む、第1の抗原結合部分であって、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変領域又は定常領域のいずれか、特に定常領域が交換されているクロスオーバーFab分子である、第1の抗原結合部分と、
(ii)CEAに特異的に結合し、配列番号138の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号139のHCDR2、及び配列番号140のHCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号141の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号142のLCDR2、及び配列番号143のLCDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む、第2及び第3の抗原結合部分であって、それぞれFab分子、特に従来のFab分子である、第2及び第3の抗原結合部分と、
(iii)第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインであって、
第2の抗原結合部分はFab重鎖のC末端において第1の抗原結合部分のFab重鎖のN末端に融合されており、第1の抗原結合部分はFab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されており、第3の抗原結合部分はFab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されている、Fcドメインとを含む。
一態様では、第1の抗原結合部分は、配列番号136のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である重鎖可変領域配列と、配列番号137のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である軽鎖可変領域配列とを含む。
一態様では、第1の抗原結合部分は、配列番号136の重鎖可変領域配列と、配列番号137の軽鎖可変領域配列とを含む。
一態様では、第2及び第3の抗原結合部分は、配列番号144のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である重鎖可変領域配列と、配列番号145のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である軽鎖可変領域配列とを含む。
一態様では、第2及び第3の抗原結合部分は、配列番号144の重鎖可変領域配列と、配列番号145の軽鎖可変領域配列とを含む。
上記の態様によるFcドメインは、Fcドメインに関して上に記載される特徴の全てを単独で又は組み合わせて組み込んでもよい。
一態様では、抗原結合部分及びFc領域は、ペプチドリンカー、特に、配列番号154及び配列番号155にあるようなペプチドリンカーによって、互いに融合している。
一態様では、CD3×CEA二重特異性抗体は、配列番号154の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一の配列を含むポリペプチドと、配列番号155の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一の配列を含むポリペプチドと、配列番号156の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一の配列を含むポリペプチドと、配列番号157の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一の配列を含むポリペプチド(特に2つのポリペプチド)とを含む。
一態様では、CD3×CEA二重特異性抗体は、配列番号154の配列を含むポリペプチドと、配列番号155の配列を含むポリペプチドと、配列番号156の配列を含むポリペプチドと、配列番号157の配列を含むポリペプチド(特に2つのポリペプチド)とを含む。
特定の態様では、CD3×CEA二重特異性抗体はシビサタマブ(WHO Drug Information(International Nonproprietary Names for Pharmaceutical Substances),Recommended INN:List 80,2018,vol.32,no.3,p.438)である。
一態様では、CD3×CEA二重特異性抗体は、
(i)CD3に特異的に結合し、配列番号130の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号131のHCDR2、及び配列番号132のHCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号133の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号134のLCDR2、及び配列番号135のLCDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む、第1の抗原結合部分であって、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変領域又は定常領域のいずれか、特に可変領域が交換されているクロスオーバーFab分子である、第1の抗原結合部分と、
(ii)CEAに特異的に結合し、配列番号146の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号147のHCDR2、及び配列番号148のHCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号149の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号150のLCDR2、及び配列番号151のLCDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む、第2及び第3の抗原結合部分であって、それぞれFab分子、特に従来のFab分子である、第2及び第3の抗原結合部分と、
(iii)安定した会合が可能な第1のサブユニット及び第2のサブユニットから構成されるFcドメインであって、
第2の抗原結合部分はFab重鎖のC末端において第1の抗原結合部分のFab重鎖のN末端に融合されており、第1の抗原結合部分はFab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されており、第3の抗原結合部分はFab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されている、Fcドメインとを含む。
一態様では、第1の抗原結合部分は、配列番号136のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である重鎖可変領域配列と、配列番号137のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である軽鎖可変領域配列とを含む。
一態様では、第1の抗原結合部分は、配列番号136の重鎖可変領域配列と、配列番号137の軽鎖可変領域配列とを含む。
一態様では、第2及び第3の抗原結合部分は、配列番号152のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である重鎖可変領域配列と、配列番号153のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である軽鎖可変領域配列とを含む。一態様では、第2及び第3の抗原結合部分は、配列番号152の重鎖可変領域配列と、配列番号153の軽鎖可変領域配列とを含む。
上記の態様によるFcドメインは、Fcドメインに関して上に記載される特徴の全てを単独で又は組み合わせて組み込んでもよい。
一態様では、抗原結合部分及びFc領域は、ペプチドリンカー、特に、配列番号158及び配列番号159にあるようなペプチドリンカーによって、互いに融合している。
一態様では、(ii)の第2及び第3のFab分子の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸がリジン(K)によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、位置123のアミノ酸がリジン(K)又はアルギニン(R)によって、特にアルギニン(R)によって置換されており(Kabatによるナンバリング)、(ii)の第2及び第3のFab分子の定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸がグルタミン酸(E)によって置換されており(Kabat EUインデックスによるナンバリング)、位置213のアミノ酸がグルタミン酸(E)によって置換されている(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
一態様では、二重特異性抗体は、配列番号158の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一の配列を含むポリペプチドと、配列番号159の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一の配列を含むポリペプチドと、配列番号160の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一の配列を含むポリペプチドと、配列番号161の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一の配列を含むポリペプチド(特に2つのポリペプチド)とを含む。
一態様では、二重特異性抗体は、配列番号158の配列を含むポリペプチドと、配列番号159の配列を含むポリペプチドと、配列番号160の配列を含むポリペプチドと、配列番号161の配列を含むポリペプチド(特に2つのポリペプチド)とを含む。
当業者に知られるであろう他のCD3×CEA二重特異性抗体も、本発明における使用が検討されている。
一態様では、CD3×CEA二重特異性抗体はMEDI565(AMG211、MT111)である。
G.製造物品
本発明の別の態様では、上述の障害の処置、予防及び/又は診断に有用な材料を含む製造物品が提供される。製造物品は、容器と、容器に挿入されるか、又は容器に付随するラベル又はパッケージ添付文書とを備えている。適切な容器としては、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、静注溶液袋等が挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成され得る。容器は、それ自体で、又は、状態を処置、予防、及び/又は診断するのに有効な別の組成物と組み合わせられる組成物を保持し、無菌アクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、静脈内溶液バッグ又は皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを有するバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本発明の抗体である。ラベル又は添付文書は、組成物が、選択される病態を処置するために使用されることを示す。さらに、製造物品は、(a)組成物を含む第1の容器を含み、この組成物は本発明の抗体を含み、(b)組成物を含む第2の容器を含み、この組成物は細胞疾患性又は他の治療剤をさらに含む。本発明のこの態様における製造物品は、組成物が特定の状態を処置するために使用され得ることを示す添付文書をさらに含んでいてもよい。あるいは、又は加えて、製造物品は、薬学的に許容され得る緩衝液、例えば、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝化生理食塩水、リンゲル溶液及びデキストロース溶液を含む第2の(又は第3の)容器をさらに備えていてもよい。他の緩衝剤、希釈剤、フィルタ、針、注射器を含む、商業的及び使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含んでいてもよい。
H.診断及び検出のための方法及び組成物
ある特定の態様では、本明細書で提供される抗体のいずれかは、生物学的試料中のその標的(例えばNKG2D)の存在を検出するのに有用である。本明細書で使用される「検出」という用語は、定量的又は定性的な検出を包含する。ある特定の態様では、生体試料は、細胞又は組織、例えば前立腺組織を含む。
一態様では、診断又は検出の方法における使用のための、本発明による抗体が提供される。さらなる態様では、生物学的試料中のNKG2Dの存在を検出する方法が提供される。ある特定の態様では、方法は、生体試料と、本発明の抗体とを、NKG2Dに対する抗体の結合を許容する条件下で接触させることと、複合体が、抗体とNKG2Dとの間で形成されるかどうかを検出することとを含む。そのような方法は、in vitro法又はin vivo法であってもよい。一態様では、本発明の抗体は、例えばNKG2Dが患者の選択のためのバイオマーカーである場合、NKG2Dに結合する抗体を用いた治療法に適格な対象を選択するために使用される。
本発明の抗体を使用して診断され得る例示的な障害には、がんが含まれる。
ある特定の態様では、標識された、本発明による抗体が提供される。ラベルには、直接検出されるラベル又は部位(例えば、蛍光ラベル、発色性ラベル、電子密度ラベル、化学発光ラベル、放射性ラベル等)、及び酵素反応又は分子間相互作用を介して間接的に検出される部位(例えば、酵素又はリガンド等)が含まれるが、これらに限定されるものではない。例示的なラベルには、以下のものが含まれる:放射性同位元素32P、14C、125I、3H及び131I、希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体のようなフルオロフォア、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、ルシフェラーゼ、例えば ホタルルシフェラーゼ及び細菌性ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカライドオキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼのような複素環オキシダーゼ、HRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はマイクロペルオキシダーゼのような色素前駆体を酸化するために過酸化水素を用いる酵素、ビオチン/アビジン、スピンラベル、バクテリオファージラベル、安定したフリーラジカル、及びそのようなものと結合したもの。
III.配列
V.実施例
以下は、本発明の方法及び組成物の例である。上に提供された一般的な説明を考慮すると、種々の他の態様が実施されてもよいことが理解される。
実施例1.一般的な方法及びツール
組換えDNA技術
標準的な方法を使用して、Sambrook,J.et al,Molecular cloning:A laboratory manual;Cold Spring Harbor Laboratory press,Cold spring Harbor,New York,1989において説明されるように、DNAを操作した。分子生物学的試薬は、製造元の説明書に従って使用した。ヒト免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖のヌクレオチド配列に関する一般的な情報は、以下に与えられる:Kabat,E.A.et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Ed.,NIH Publication No 91-3242.
DNA配列決定
DNA配列は、二本鎖配列決定によって決定した。
遺伝子の合成
必要に応じて、望ましい遺伝子セグメントを、適切なテンプレートを使用してPCRにより生成したか、又はGeneart AG(Regensburg,Germany)で合成オリゴヌクレオチドとPCR生成物から自動遺伝子合成によって合成した。単一の制限エンドヌクレアーゼ開裂部位に隣接する遺伝子セグメントを、標準的なクローニング/配列決定ベクター内へとクローニングした。プラスミドDNAを形質転換細菌から精製し、濃度をUV分光法によって測定した。サブクローニングした遺伝子断片のDNA配列は、DNA配列決定によって確認した。遺伝子セグメントは、それぞれの発現ベクター内へのサブクローニングを可能にする適切な制限部位を用いて設計した。全ての構築物は、真核細胞における分泌のためのタンパク質を標的とするリーダー配列についてコードする5’末端DNA配列を用いて設計した。
NKG2D受容体及びMIC-Bリガンドの生成
NKG2D受容体のいくつかの構築物並びにMIC-Bリガンドを、ファージディスプレイ用の抗原、トランスジェニックウサギのタンパク質免疫化のための免疫原として、並びにスクリーニング及び特徴づけツールとして使用するために生成した。ヒトNKG2Dの細胞外ドメイン(ECD)を4つの異なる構築物としてクローニングした:1.非共有結合二量体(his avi huNKG2D ECD)を形成するためのN末端H6-avi-タグ(配列番号93)、2.「空の」ヒトIgG1 Fc-ホール鎖と対になっているaviタグ付きヒトIgG1 Fc-ノブ鎖のC末端への一価Fc融合物として(mono huNKG2D ECD Fc kh avi)(配列番号94及び95)、3.インタクトなヒンジ領域によって二量体化されたaviタグ付きヒトIgG1 FcのC末端への二量体Fc融合物として(di huNKG2D ECD Fc avi)(配列番号96)、及び4.インタクトなヒンジ領域によって二量体化されたマウスIgG1 FcのC末端への二量体Fc融合物として(di huNKG2D ECD mu IgG1 Fc)(配列番号99)。このマウスFc融合物を、トランスジェニックウサギにおける免疫原性の増加のために使用した。カニクイザル及びマウスNKG2DのECD(それぞれdi cyNKG2D ECD Fc avi及びdi muNKG2D ECD Fc avi)を、上記で概説したように、aviタグ付きヒトIgG1 FcのC末端へのヒト二量体Fc融合と同様の様式でクローニングした(それぞれ配列番号97及び98)。さらに、NKG2DリガンドMIC-B(ECD FL MIC-B Fc avi)のECDを、一価のN末端融合物として、C末端aviタグを有するヒトIgG1 Fc-ノブ鎖にクローニングし、「空の」ヒトIgG1 Fc-ホール鎖と対にした(配列番号100及び101)。上記の受容体及びMIC-Bリガンドを図1に示す。di huNKG2D ECD mu IgG1 Fcを除いて、それらは、Bir Aビオチンリガーゼの共発現の際に部位特異的ビオチン化を可能にするN末端aviタグを含む。発現カセットに加えて、各ベクターには、EBV-EBNA発現細胞株における自律性複製のためのEBV oriP配列が含まれている。それらをHEK293細胞に一過性トランスフェクトし、EBV由来タンパク質EBNAを安定して発現させた。ビオチンリガーゼBirAをコードする同時に共トランスフェクトされたプラスミドが、in vivoでのaviタグ特異的なビオチン化を可能にした。次いで、Fcタグ付きタンパク質をプロテインA MabSelectSureカラムを使用して精製し、続いてゲル濾過したが、H6タグ付きNKG2D構築物をNi-NTAアフィニティークロマトグラフィーによって精製し、続いてゲル濾過した。
NKG2D/DAP10発現細胞株の生成
ヒトNKG2D及びDAP10をコードする全長cDNAを、哺乳動物発現ベクター内にサブクローニングした。製造業者のプロトコルに従い、Lipofectamine LTX Reagent(Invitrogen,#15338100)を使用してプラスミドをCHO-K1M細胞(Roche)及び293T細胞(ATCC、CRL-3216)にトランスフェクションした。安定にトランスフェクトされたNKG2D/DA10陽性CHO細胞を、10nM L-グルタミン(Gibco、#25030081)を補足したCDM2 Opt.1.1培地(GIBCO、#08-0059)中で維持した。293T細胞を、10%ウシ胎児血清(Gibco、#16140063)及び1%GlutaMAXサプリメント(Gibco;#31331-028)を補充したDMEM(Gibco、#11965092)中で維持した。トランスフェクションの2日後、ピューロマイシン(Invivogen;#ant-pr-1)をCHO細胞の場合は6μg/mL及び293T細胞の場合は1μg/mLまで添加した。最初の選択後、NKG2Dの最も高い細胞表面発現を有する細胞を、BD FACSAria III細胞選別機(BD Biosciences)により選別し、培養して安定な細胞クローンを確立した。発現レベル及び安定性を、抗NKG2D抗体KYK-2.0(Kwong et al.(2008)J Mol Biol 384,1143-1156)及びPerCP抱合化Fcガンマ特異的ヤギ抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch、#109-126-097)を二次抗体として4週間にわたって使用するFACS分析によって確認した。
実施例2.ファージディスプレイによる抗NKG2D抗体の生成
一般的なFabライブラリの生成
Fabフォーマットの2つの一般的なファージディスプレイ抗体ライブラリを、ヒト生殖細胞系遺伝子に基づいて生成した。これらのCDRにまたがる異なる長さのランダム化プライマーを使用して、ライブラリを軽鎖のCDR3(L3)及び重鎖のCDR3(H3)にランダム化し、「重複伸長によるスプライシング」(SOE)PCRによって3つの断片から組み立てた。十分な量の完全長ランダム化Fab断片の組立て後、それらを同様に処置されたアクセプターファージミドベクターと共にNcoI/NheIで消化した。Fabライブラリインサートをファージミドベクターで連結し、精製連結を大腸菌(E.coli)TG1への形質転換に使用した。ヘルパーファージVCSM13を使用してFabライブラリを表示するファージミド粒子を救出し、PEG/NaCl精製によって精製して選択に使用した。
ファージディスプレイによる一般的なFabライブラリからの抗NKG2D結合因子の選択
NKG2D結合因子を、di muNKG2D ECD Fc avi(配列番号98)及びdi huNKG2D ECD Fc avi(配列番号96)、又はdi huNKG2D ECD Fc avi(配列番号96)及びhis avi huNKG2D ECD(配列番号93)に対するライブラリから、4回のパンニングラウンドにわたって交互に選択した。
特異的結合因子を、ELISAによって以下のように同定した:100μlの50nMビオチン化di huNKG2D ECD Fc avi(配列番号96)又はhis avi huNKG2D ECD(配列番号93)をニュートラアビジンプレート上にコーティングした。Fabを含む細菌の上清を加え、抗Flag/HRP二次抗体を使用して結合FabをそれらのFlagタグを介して検出した。クローン5C5及びクローン13C6のようにバックグラウンドよりも有意なシグナルを示すクローンを、配列決定及びさらなる分析のために候補に入れた。
Fabの精製
細菌培養物からのFabを、速度論パラメータの決定のために精製した。各クローンについて、500mlの培養物に、対応するファージミドを保有する細菌を接種し、OD600 0.9で1mM IPTGを用いて誘導した。その後、培養物を25℃で一晩インキュベートし、遠心分離により回収した。再懸濁したペレットを25mlのPPB緩衝液(30mM Tris-HCl pH8、1mM EDTA、20%ショ糖)で20分間インキュベートした後、細菌を再度遠心分離し、上清を回収した。このインキュベーションステップを、25mlの5mM MgSO4溶液で1回繰り返した。両方のインキュベーション工程の上清をプールし、フィルタにかけ、IMACカラム(His gravitrap、GE Healthcare)にロードした。続いて、カラムを40mlの洗浄緩衝液(500mM NaCl、20mMイミダゾール、20mM NaH2PO4 pH7.4)で洗浄した。溶出後(500mM NaCl、500mMイミダゾール、20mM NaH2PO4 pH 7.4)、PD10カラム(GE Healthcare)を使用して溶出液を再緩衝化した。次いで、精製されたFabの動態パラメータを、クローン5C5(配列番号7(VH)及び配列番号8(VL))については100nM~6.25nM、クローン13C6(配列番号15(VH)及び配列番号16(VL))については200nM~12.5nMの範囲の希釈系列でSPR分析(ProteOn XPR36、Biorad)によって調査した。
表面プラズモン共鳴(SPR)による親和性決定
選択されたFabクローンの親和性(K
D)を、ニュートラアビジン捕捉によってNLCチップ上に固定化されたビオチン化mono huNKG2D ECD Fc kh avi(配列番号94及び配列番号95)及びdi huNKG2D ECD Fc avi(配列番号96)を用いて、ProteOn XPR36装置(Biorad)を25℃で使用する表面プラズモン共鳴によって測定した。組換え抗原(リガンド)の固定:抗原をPBST(10mMリン酸塩、150mM塩化ナトリウムpH7.4、0.005%Tween 20)で10μg/mlに希釈し、次いで固定化のため垂直方向で様々な接触時間で30μl/分で注入した。分析物の注入:ワンショット速度論測定のため、注入方向を水平方向に変更し、精製Fabの二倍希釈系列(200nM~6.25nMの様々な濃度範囲)を別々のチャネル1~5に沿って60μl/分で同時に注入し、会合時間はそれぞれ200秒又は300秒、解離時間は360秒であった。緩衝液(PBST)を第6のチャネルに沿って注入して、参照用の「インライン」ブランクを提供した。会合速度定数(k
on)と解離速度定数(k
off)は、ProteOn Manager v3.1ソフトウェアの単純な1:1ラングミュア結合モデルを使用して、会合及び解離センサーグラムを同時にフィッティングすることで計算した。平衡解離定数(K
D)は、k
off/k
onの比として計算した。全ての測定の動力学的及び熱力学的データを表1に要約する。カニクイザルNKG2Dに対するクローン5C5及び13C6の交差反応性、即ち、di cyNKG2D ECD Fc aviへの結合をIgGレベルで評価した(実施例9参照)。
IgG発現ベクターへの可変抗体ドメインのクローニング(IgG変換)
ファージディスプレイ由来抗体5C5及び13C6のFabを、それぞれIgG1/ラムダ抗体又はカッパ抗体に変換した。このため、重鎖及び軽鎖VドメインのPCR増幅DNA断片を、それぞれのレシピエント哺乳動物発現ベクターを含むヒトIgG1定常重鎖又はヒト定常ラムダ若しくは定常カッパ軽鎖のいずれかにインフレームで挿入した。抗体発現をMPSVプロモーターによって駆動し、CDSの下流に位置する合成ポリAシグナル配列によって転写を終結させた。発現カセットに加えて、各ベクターは、EBV-EBNA発現細胞株における自律性複製のためのEBV oriP配列を含んだ。
実施例3トランスジェニックウサギの免疫化による抗NKG2D抗体の生成
動物の世話、ウサギの免疫化及び臓器の摘除
上記のファージディスプレイによって生成された抗体に加えて、NKG2D抗原で免疫すると、ヒト化抗体レパートリ(例えば、国際公開第2000/46251号、国際公開第2002/12437号、国際公開第2005/007696号、国際公開第2006/047367号、国際公開第2007/019223号及び国際公開第2008/027986号を参照されたい。これらは全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。)を発現するトランスジェニックウサギからさらなる抗体が得られた。動物は、付録A「動物の収容と世話に関するガイドライン」に従ってAAALAC認定の動物施設に収容された。全ての動物免疫化プロトコル及び実験は、オーバーバイエルン行政府(Government of Upper Bavaria)により承認され(許可番号55.2-1-54-2532-90-14)、ドイツ動物保護法並びに欧州議会及び理事会指令2010/63に従って実施された。
ウサギを、全長ヒトNKG2D及びDAP10を組換え発現するCHO細胞と交互に、全長ヒトNKG2D及びDAP10をコードするプラスミド発現ベクターを使用して、マウスIgG1 Fc(di huNKG2D ECD mu IgG1 Fc(配列番号99))のC末端に融合した組換えヒトNKG2D ECDタンパク質(his avi huNKG2D ECD(配列番号93))又は組換えヒトNKG2D ECDで免疫化するか、又は遺伝子免疫化した。
抗原特異的力価を、免疫化動物由来の血清中のELISAによって決定した(下記を参照されたい)。
B細胞数クローニング
ウサギ末梢血単核細胞(PBMC)をB細胞クローニングのために単離した。マクロファージ及び単球を、HEK293細胞の層への非特異的接着によって枯渇させた。上清中の細胞(末梢血リンパ球(PBL))を抗原パニング工程に使用した。抗原特異的B細胞を、抗原被覆プレート(全長ヒトNKG2D及びDAP10を組換え発現するhis avi huNKG2D ECD(配列番号93)又はHEK293T細胞)への結合によって濃縮した。濃縮された細胞を、フローサイトメトリーによる単一細胞選別に供した。
ウサギB細胞をSeeber et al.(Seeber et al.(2014)PLoS One 4;9(2))によって記載されるように培養し、上清をELISAによるレベル1スクリーニングに使用した(下記を参照されたい)。
IgG抗体の組換え発現のためのVドメインのPCR増幅及びサブクローニング
全RNAをB細胞溶解物から調製し、逆転写酵素反応によってcDNAを生成するために使用した。cDNAを使用して、免疫グロブリン重鎖可変領域及び免疫グロブリン軽鎖可変領域(VH及びVL)を、適切なプライマーを使用するPCRによって増幅した。
ウサギモノクローナル二価抗体の組換え発現のために、オーバーハング方法によって、VH又はVLをコードするPCR産物を、cDNAとして発現ベクターへとクローン化した(Haun et al.(1992)Biotechniques 13,515-518;Li et al.(2007)Nature Methods 4,251-256)。発現ベクターは、イントロンAを含む5’CMVプロモーターと、3’BGH ポリアデニル化配列とからなる発現カセットを含んでいた。発現カセットに加え、プラスミドは、pUC18由来の複製と、大腸菌(E.coli)中のプラスミド増幅について、アンピシリン耐性を与えるβ-ラクタマーゼ遺伝子を含んでいた。塩基性プラスミドの3つの変異体を使用し、1つのプラスミドはVH領域を受容するように設計されたウサギIgG定常領域を含み、2つの追加のプラスミドは、VL領域を受容するためのウサギ又はヒトカッパLC定常領域のいずれかを含んだ。κ又はγ定常領域及びVL/VH挿入物をコードする線形発現プラスミドは、重複するプライマーを用い、PCRによって増幅された。精製されたPCR産物を、T4 DNA-ポリメラーゼと共にインキュベートし、一本鎖オーバーハングを生成した。dCTP添加によって反応を止めた。次の工程で、プラスミドと挿入物を合わせ、部位特異的な組換えを誘発するrecAと共にインキュベートした。組換えプラスミドを大腸菌(E.coli)内で形質転換した。次の日、成長したコロニーを取り出し、プラスミド調製、制限分析及びDNAシークエンシングによって、正しい組換えプラスミドについて試験した。ELISAによるレベル2スクリーニング(下記を参照されたい)のために、単離した重鎖(HC)及び軽鎖(LC)プラスミドをHEK293細胞に一過性に同時トランスフェクトし、1週間後に上清を回収して、その後、顕微精製に供した。
実施例4.ELISAによるNKG2D結合についての抗NKG2D抗体のスクリーニング
トランスジェニックウサギの免疫化に由来するクローンのスクリーニングのため、B細胞培養物の上清(レベル1スクリーニング、上記を参照されたい)又はサブクローニング及び微量精製されたIgG(レベル2スクリーニング、上記を参照されたい)のいずれかを使用した。
ヒトNKG2Dに対するタンパク質結合ELISA
Nuncストレプトアビジン被覆プレート(マイクロコート、#11974998001)を0.5μg/mlの濃度で25μl/ウェルのビオチン化his avi huNKG2D ECD(配列番号93)で被覆し、室温(RT)で1時間インキュベートした。3×90μl/ウェルのPBST緩衝液(10×PBS、Roche#11666789001+0.1%Tween 20)で洗浄した後、25μlの抗NKG2D抗体を、3μg/mlの濃度で開始して1:3希釈で、又は代わりに元の試料の1:30希釈で添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄(3×90μl/ウェルPBST緩衝液)後、25μl/ウェル抗huカッパ鎖HRP(セイヨウワサビペルオキシダーゼ)抱合体(Millipore、#AP502P、1:2000)を添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄後(3×90μl/ウェルPBST緩衝液)、25μl/ウェルのTMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)基質(Roche、#11835033001)を添加した。測定をOD 370/492nmで実施し、結果を以下の表2に要約する。
全ての抗体を、固定化されたhis avi huNKG2D ECDに特異的且つ用量依存的に結合した。
カニクイザルNKG2Dに対するタンパク質結合ELISA
Nuncストレプトアビジン被覆プレート(マイクロコート、#11974998001)を0.25μg/mlの濃度で25μl/ウェルのビオチン化di cyNKG2D ECD Fc avi(配列番号97)で被覆し、室温(RT)で1時間インキュベートした。アッセイを、ヒトNKG2Dについて上記のように行った。
結果を表3に要約する。全ての抗体はカニクイザルNKG2Dに対して交差反応性であり、これは表面プラズモン共鳴によっても確認されている(実施例9を参照されたい)。
マウスNKG2Dに対するタンパク質結合ELISA
Nuncストレプトアビジン被覆プレート(マイクロコート、#11974998001)を1μg/mlの濃度で25μl/ウェルのビオチン化di muNKG2D ECD Fc avi(配列番号98)で被覆し、室温(RT)で1時間インキュベートした。アッセイを、ヒトNKG2Dについて上記のように行った。
結果を表4に要約する。抗体は、マウスNKG2Dに対して交差反応性ではないか、又は非常に弱い交差反応性しか示さない。
ヒトNKG2D細胞表面結合ELISA
25μl/ウェルの全長ヒトNKG2D及びDAP10を組換え発現するHEK293T細胞(15000細胞/ウェル)又は未改変HEK293T細胞を384ウェルポリ-D-リジンプレート(Corning、#356662)に播種し、細胞培養培地(Gibco、#42430-25+10%FCS(PAN、#P30-2006)+1μg/mlピューロマイシン+1×ペニシリン/ストレプトマイシン(Roche、#11074440001、500倍))中37℃で一晩インキュベートした。培地除去の翌日、25μlの抗NKG2D抗体を、3μg/mlの濃度で開始して1:3希釈で、又は代わりに元の試料の1:20希釈で添加し、4℃で2時間インキュベートした。洗浄後(PBST中1×90μl)、室温で10分間、30μl/ウェルのグルタルアルデヒドを0.05%(Sigma、#G5882)の最終濃度まで添加することによって細胞を固定した。洗浄(2×90μl/ウェルPBST緩衝液)後、25μl/ウェル抗huカッパPOD(Millipore、#AP502P、1:2000)を添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄した後(PBSTバッファーを用いて3×90μl/ウェル)、25μl/ウェルのTMB基質(Roche、番号11835033001)を加え、6~10分間インキュベートした。測定をTecan Safire 2機器で、OD370/492nmで行った。
結果を表5に要約する。全ての抗体は、このアッセイで結合を検出できなかった弱い結合因子のクローン013及び014を除いて、全長ヒトNKG2D及びDAP10を組換え発現したHEK293T細胞に特異的且つ用量依存的に結合した。これらの抗体はいずれもトランスフェクトされていないHEK293T参照細胞に結合しなかった。
実施例5.ELISAによるMIC-B競合についての抗NKG2D抗体のスクリーニング。
384ウェルMaxisorpプレート(Nunc、#464718)を2μg/mlの濃度で25μl/ウェルの組換えヒトMIC-B(ECD FL MIC-B Fc avi、配列番号100及び101))によりコーティングし、室温(RT)で1時間インキュベートした。3×90μl/ウェルのPBST緩衝液(10×PBS(Roche、#11666789001)+0、1%Tween 20)で洗浄した後、各ウェルを90μlのブロッキング緩衝液(10×PBS(Roche、#11666789001)+2%ウシ血清アルブミン画分V、無脂肪酸(Roche、#10735086001)+0.05%Tween 20)と共に室温で1時間インキュベートした。並行して、組換えビオチン化ヒトNKG2Dを、ポリプロピレンプレート(Weidman、♯23490-101)上で抗NKG2D抗体(3μg/mlの濃度で開始する抗体の1:3希釈物を含む2μg/ml NKG2D)と共に室温で1時間インキュベートした。洗浄(3×90μl/ウェルPBST緩衝液)後、25μl/ウェルのNKG2D抗体混合物をアッセイプレートに移し、室温で1時間インキュベートした。洗浄(3×90μl/ウェルPBST緩衝液)後、25μl/ウェルのポリ-HRP40-ストレプトアビジン(Fitzgerald、#65R-S104PHRPx)を1:2000希釈で添加し、室温で1時間インキュベートした。さらなる洗浄工程(3×90μl/ウェルPBST緩衝液)の後、25μlのTMB基質(Roche、#11835033001)を各ウェルに添加した。測定をOD 370/492nmで行った。
結果を図2及び表6に示す。クローン013及び014の「陰性」阻害曲線は、抗体によって架橋されたNKG2Dのプレート上の固定化MIC-Bへのより強い再結合によって説明することができる(0値は、抗NKG2D抗体なしの、プレート固定化MIC-Bへの組換えビオチン化ヒトNKG2Dの結合である)。したがって、そのようなプロファイルを有する抗体は、NKG2Dに関して非阻害性である。MIC-B相互作用他の8つの抗体は、異なる効力でNKG2DのそのリガンドMIC-Bへの結合を阻害する。
実施例6.アップスケールされたIgGの発現、精製及び分析
抗体分子を、F17培地(Invitrogen)中で培養した一過性トランスフェクトHEK293細胞(ヒト胎児腎臓細胞株293由来)において生成した。トランスフェクション「293-Free」にはトランスフェクション試薬(Novagen)を使用した。上記の各抗体重鎖及び軽鎖分子を個々の発現プラスミドから発現させた。トランスフェクションは、製造者の説明書に明記されているように実施した。免疫グロブリン含有細胞培養上清をトランスフェクションの3~7日後に回収し、精製するまで-80℃で凍結した。例えばHEK293細胞におけるヒト免疫グロブリンの組換え発現に関する一般情報は、Meissner et al.(2001)Biotechnol Bioeng 75,197-203(参照により本明細書に組み込まれる)に示されている。
組換え抗体を、プロテインA-Sepharose(商標)親和性クロマトグラフィー(GE Healthcare)及びSuperdex200(GE Healthcare)サイズ排除クロマトグラフィーを使用する親和性クロマトグラフィーによって2段階で上清から精製した。簡潔には、抗体を含有する清澄化した培養上清を、PBS緩衝液(10mM Na2HPO4、1mM KH2PO4、137mM NaCl及び2.7mM KCl、pH7.4)で平衡化したMabSelectSuReプロテインA(5~50ml)カラムにロードした。未結合タンパク質を平衡化緩衝液で洗い流した。抗体を100mMクエン酸緩衝液(pH2.8)で溶出した。タンパク質含有画分を溶出液の1/10の体積の2M Tris緩衝液(pH9.0)で中和した。続く工程では、溶出したタンパク質画分をプールし、以下の3つの選択肢のうちの1つに従って処置した:a)Amicon Ultra遠心濾過装置(MWCO:30K、Millipore)で濃縮し、20mMヒスチジン、140mM NaCl、pH6.0で平衡化したSuperdex200 HiLoad 16/60ゲル濾過カラム(GE Healthcare)にロードするか、又はb)20mMヒスチジン、140mM NaCl、pH6.0で平衡化したSuperdex200 HiLoad 16/60ゲル濾過カラム(GE Healthcare)にロードするか、又はc)10K Slide-A-Lyzer(Thermo Fisher Scientific)で透析した。単量体抗体画分をプールした。精製された抗体及び誘導体のタンパク質濃度を、Pace et.al.(1995)Protein Science 4,2411-2423(参照により組み込まれる)によるアミノ酸配列に基づいて計算されたモル吸光係数を用いて、バックグラウンド補正として320nmでのODを用いて280nmでの光学密度(OD)を決定することによって決定した。抗体試料を急速凍結し、-80℃で保存した。
抗体の均一性は、還元剤の存在下又は非存在下でCE-SDS LabChip GX(PerkinElmer)により確認した。還元条件下で、計算した分子量に類似する見かけの分子サイズでCE-SDS後にIgGの軽鎖及び重鎖ポリペプチド鎖を識別した。
抗体の品質を、UltiMate 3000 HPLCシステム(Thermo Fisher Scientific)で実行されるBioSuite High Resolution SEC、250Å、5μmを使用する分析SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)によって確認した。クロマトグラフィー材料からの溶出は、200mM K2HPO4/KH2PO4、250mM KCl、pH6.2を適用することによって行った。分析SECのメインピークは、分析した全ての試料で91%超をもたらした。
実施例7.FACSによるNKG2D結合についての抗NKG2D抗体(IgG)のスクリーニング
NK-92細胞への結合のEC50決定のため、抗体をZenon(商標)Human IgG Labeling Kit(Thermo Fisher Scientific)で予め標識した。IgGを5倍過剰のZenon試薬Aで染色し、結合していない染色試薬を等量のZenon試薬Bでブロックした。1:3の段階で希釈系列を調製した後、96ウェルプレート中のウェルあたり5.0×104個のNK-92細胞を、50μLの予め標識された抗体溶液と共に4℃で1時間インキュベートした。細胞をFACS緩衝液(PBS中2.5%FCS)で2回洗浄し、70μL緩衝液に再懸濁した。蛍光を、BD FACS Cantoデバイスを使用して測定し、EC50を決定した(表7)。
抗体は、NK92細胞に対する特異的且つ用量依存的な結合を示し、EC50値は0.988μg/mL~0.031μg/mLの範囲であった。弱い細胞結合因子であるクローン013、014及び5C5については、EC
50値を決定することができなかった。
実施例8.抗NKG2D抗体(IgG)による標的細胞の再指向溶解
標的細胞のカルセイン標識
P815細胞(マウスFcγR発現マスト細胞株)を50mLファルコンチューブ中での遠心分離(300×g、5分)によって回収し、続いてP815増殖培地中で1.0×106細胞/mLまで再懸濁した。5.0×106細胞あたり50μLのカルセイン-AMを添加し、標識反応物を37℃で30分間インキュベートした。細胞をAIM-Vアッセイ培地で3回洗浄し、6.0×105細胞/mLに再懸濁した。
抗体処置
アッセイ培地中で抗体を80μg/mLに調整した。その後、40μLの予備希釈液を80μLのAIM-V培地と混合することによって、プレートスキームに従ってV底プレート中のAIM-V培地で1:3希釈液を調製した。P815細胞を6.0×105細胞/mLに調整し、50μL/ウェルの細胞懸濁液を抗体希釈液に添加して3.0×104細胞/ウェルとし、37℃で30分間インキュベートして、細胞のFc受容体への抗体の結合を可能にした。
その後、プレートを400×gで3分間遠心分離し、上清を廃棄した。NK-92細胞をアッセイ培地中7.5×105細胞/mLに再懸濁した。P815細胞を200μLのNK-92細胞懸濁液(=1.5×105細胞/ウェル=E:T比1:5)中で再増殖させた。プレートを37℃で4時間インキュベートした。
カルセイン放出
プレートを420×gで4分間遠心分離した後、上清を廃棄し、細胞を200μLのPBS(最終遠心分離420×g、4分)で1回洗浄した。次いで、細胞を200μL/ウェルの1%TritonX-100 PBSに再懸濁し、溶解した細胞180μLを底が透明な黒色Costar(登録商標)Assay PLate、96ウェルに移し、蛍光を測定した(励起フィルタ485nm、バンドパスフィルタ530nm)。「%細胞死滅」は、細胞をアッセイ培地中の200μLの1%TritonX-100に再懸濁した場合の最大放出に対する測定値の商として決定した。
結果を図3に示す。試験した抗体は、様々な程度の細胞死滅を示した。特に、クローン395及び5C5について、活性化NK92細胞による用量依存的な細胞死滅を観察することができた。
実施例9.表面プラズモン共鳴(SPR)によるヒト及びカニクイザルNKG2Dに対する抗NKG2D抗体(IgG)の速度論的速度定数及び親和性の決定
捕捉抗体(10μg/mlヒトFab捕捉キット、GE Healthcare Life Sciences、#28958325)の約1500個の共鳴単位(RU)を、GE Healthcareによって供給されるアミンカップリングキットを使用することによってpH5.0でBIACORE B4000装置(GE Healthcare)を使用してCM5チップ(GEヘルスケア、#BR-1005-30)上にカップリングさせた。サンプル及びシステムバッファーは、PBS-T(0.05%Tween20を含む10mMのリン酸緩衝生理食塩水)pH7.4であった。フローセルを25℃に設定し、サンプルブロックを12℃に設定し、ランニングバッファーで2回プライミングした。約10μg/mlの溶液を10μl/分の流速で60秒間注入することによって、抗体を捕捉した。会合は、溶液中の様々な濃度のdi huNKG2D ECD Fc avi(配列番号96)又はdi cyNKG2D ECD Fc avi(配列番号97)を、600nM、300nM、150nMから開始して1:3希釈後に30μl/分の流量で180秒間注入することによって測定した。解離段階を最大450秒間監視し、サンプル溶液からランニングバッファーに切り替えることで誘発した。流速30μl/分及び追加の安定化時間180秒でグリシンpH2.1溶液で2×90秒洗浄することによって、表面を再生した。バルク屈折率の差を、抗ヒトFab表面から得られた応答を差し引くことによって補正した。ブランク注入も差し引いた(二重参照)。KD、ka及びkd(表8を参照されたい)の計算には、Biacore 4000 Evaluation software 1.1(GE Healthcare)又はTraceDrawer 1.6.1(Ridgeview Instruments AB)のLangmuir 1:1モデルを使用した。
これらのアゴニスト抗NKG2D抗体の親和性は、サブナノモル(クローン395)~マイクロモル(クローン014)の親和性の範囲である。それらの全てがカニクイザルNKG2Dと交差反応するが、クローン296については、ヒトNKG2D(3.8nM)に対する結合とカニクイザルNKG2D(710nM)に対する結合との間に187倍の差がある。クローン395は、3桁のピコモル濃度範囲で、全ての抗体のうちヒト及びカニクイザルNKG2Dに対して最も高い親和性を示す。
実施例10.SPRによるヒトNKG2Dに対する抗NKG2D抗体(IgG)のエピトープビニング
SAチップ(GE Healthcare、#BR-1005-31)のセンサー表面を、50mM NaOH中の1M NaClの3回の1分間の注入でコンディショニングした後、リガンドを固定化した。約200~300共鳴単位(RU)のmono huNKG2D ECD Fc kh avi(配列番号94及び95)を、BIACORE T200機器(GE Healthcare)を使用してセンサーチップ表面に連結した。リガンド注入後、1M NaCl及び50mM NaOH中50%イソプロパノールを使用した追加の洗浄を行った。サンプル及び系緩衝液は、PBS-T(0.05%Tween20を含む10mMリン酸緩衝生理食塩水)pH7.4であった。フローセルを25℃に設定し、サンプルブロックを12℃に設定し、センサーチップ表面をランニングバッファーで2回プライミングした。第1及び第2の抗体を、それぞれ200nMの濃度で30μl/分の流速で180秒間の「二重」注入によって注入した。固定化された抗原を第1の抗体で飽和させることが必須であった。解離段階を最大120秒間監視し、サンプル溶液からランニングバッファーに切り替えることで誘発した。流速30μl/分で40秒及び追加の安定化時間180秒でグリシンpH2.1溶液で洗浄することによって、表面を再生した。バルク屈折率の差を、ブランク表面から得られた応答を差し引くことによって補正した。ブランク注入も差し引いた(二重参照)。結合応答をBiacore T200 Evaluation software 3.0(GE Healthcare)によって分析した。
第2の抗体は、そのエピトープが第1の抗体のエピトープと同じでないか又は重複しない場合にのみ、第1の抗体によって飽和された抗原に結合することができる。例示的なセンサーグラムを図4に示す。両方の抗体のエピトープが同一又は重複している場合、完全又は部分的な遮断が起こる。ブロッキングを、第1の抗体の結合レベルに対する第2の抗体の結合%(表9)として計算した(第1の抗体の結合レベルの値を100%に設定した)。
表9それぞれの自己ブロッキング対照を含む、互いに対して試験した抗体の異なるパネル。値は、第1の抗体の結合応答に対する第2の抗体の結合のパーセンテージを表す。太字の数字は同時結合を示し、下線の数字は相互ブロッキングを示す。同時結合とブロッキングとの間のカットオフを30%と定義した。
このSPRに基づく競合アッセイによって、3つの異なるエピトープビンを確立することができた(表10)。抗体の大部分は、エピトープビン2を表す2つの抗体(クローン5C5及び132)及びエピトープビン3を表す3つの抗体(クローン013、014及び366)を有するエピトープビン1に分類される。
抗NKG2D抗体クローン5C5、320、230、013、296及び395をさらなる分析のために選択した。
実施例11.免疫細胞上のヒトNKG2Dへの抗NKG2D抗体(IgG)の特異的結合
NKG2D陽性免疫細胞、即ち、NK細胞、γδT細胞及びCD8 T細胞を使用して、選択された抗体クローンについてヒトNKG2Dへの結合を確認した。ヒトCD8 T細胞、増殖ヒトNK細胞及び増殖ヒトγδT細胞へのヒトNKG2D陽性NK細胞株NK92に対する抗体の結合を、フローサイトメトリーによって評価した。非結合対照を実験に含めた(Fc領域にL234A L235A P329G(「PGLALA」)突然変異を有する非標的IgG(配列番号81及び82のVH及びVL配列)。
方法
ヒトNK細胞株NK92への結合
NK92細胞の生存能を確認し、細胞を再懸濁し、1mio細胞/mLの密度に調節した。100μLのこの細胞懸濁液(0.1mio細胞を含有)を、96ウェルの丸底フラスコに播種した。プレートを4分間400xgで遠心分離し、上清を取り除いた。次に、40μLの希釈抗体又はFACS緩衝液を細胞に添加し、30分間4℃でインキュベートした。インキュベーション後、細胞をウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。次いで、20μlの希釈APC抗ヒトFc特異的二次抗体(Jackson ImmunoResearch、#109-116-170)を細胞に添加した。細胞をさらに30分間、4℃にてインキュベートした。結合していない抗体を取り除いた後、細胞を再び、ウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。細胞を固定するために、1%PFAを含有する100μLのFACS緩衝液をウェルに添加した。測定前に、細胞を150μLのFACS緩衝液に再懸濁した。BD CantoIIフローサイトメーターを使用して蛍光を測定した。
CD8 T細胞への結合
新たに単離したPBMCの生存性を確認し、細胞をFACS緩衝液中1mio細胞/mlの密度に調整した。100μLのPBMC(0.1mio細胞を含有)を、96ウェルの丸底フラスコに播種した。プレートを4分間400xgで遠心分離し、上清を取り除いた。次いで、ウェルあたり総体積20μlのFcブロック(BD Bioscience)0.5μlを添加し、プレートを4℃で30分間インキュベートした。上清を除去し、次いで、40μlの希釈NKG2D抗体を細胞に添加し、4℃でさらに30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。次いで、20μlの希釈FITC抗ヒトFc特異的二次抗体(Jackson ImmunoResearch、#109-096-098)をCD8 APC(クローンSK1、BioLegend)及びCD3 PE/Cy7(クローンUCHT1、BioLegend)と共に細胞に添加して、NKG2D抗体を検出し、CD8 T細胞をPBMC内のCD8及びCD3陽性細胞として同定した。細胞をさらに30分間、4℃にてインキュベートした。結合していない抗体を取り除いた後、細胞を再び、ウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。細胞を固定するために、1%PFAを含有する100μLのFACS緩衝液をウェルに添加した。測定前に、細胞を150μLのFACS緩衝液に再懸濁した。BD CantoIIフローサイトメーターを使用して蛍光を測定した。
増殖NK細胞への結合
増殖NK細胞の生存性を確認し、細胞をFACS緩衝液中1mio細胞/mlの密度に調整した。100μLのこれらの細胞懸濁液(0.1mio細胞を含有)を、96ウェルの丸底フラスコに播種した。プレートを4分間400xgで遠心分離し、上清を取り除いた。次いで、ウェルあたり総体積20μlのFcブロック(BD Bioscience)0.5μlを添加し、プレートを4℃で30分間インキュベートした。上清を除去し、次いで、40μlの希釈NKG2D抗体を細胞に添加し、4℃でさらに30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。次いで、20μlの希釈FITC抗ヒトFc特異的二次抗体(Jackson ImmunoResearch、#109-096-098)を細胞に添加した。細胞をさらに30分間、4℃にてインキュベートした。結合していない抗体を取り除いた後、細胞を再び、ウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。細胞を固定するために、1%PFAを含有する100μLのFACS緩衝液をウェルに添加した。測定前に、細胞を150μLのFACS緩衝液に再懸濁した。BD CantoIIフローサイトメーターを使用して蛍光を測定した。
増殖γδT細胞への結合
増殖γδT細胞の生存性を確認し、細胞をFACS緩衝液中1mio細胞/mlの密度に調整した。100μLのこれらの細胞懸濁液(0.1mio細胞を含有)を、96ウェルの丸底フラスコに播種した。プレートを4分間400xgで遠心分離し、上清を取り除いた。次いで、40μlの希釈NKG2D抗体を細胞に添加し、4℃でさらに30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。次いで、20μlの希釈二次FITC抗ヒトFc特異的二次抗体(Jackson ImmunoResearch、#109-096-098)を細胞に添加した。細胞をさらに30分間、4℃にてインキュベートした。結合していない抗体を取り除いた後、細胞を再び、ウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。細胞を固定するために、1%PFAを含有する100μLのFACS緩衝液をウェルに添加した。測定前に、細胞を150μLのFACS緩衝液に再懸濁した。BD CantoIIフローサイトメーターを使用して蛍光を測定した。
増殖ヒトNK細胞の生成
NK細胞単離キット(Miltenyi Biotec、#130-092-657)を使用して、PBMCからNK細胞を単離した。このため、非NK細胞を間接的に磁気標識し、続いてMACSセパレータを使用して磁気分離した。次いで、非標識NK細胞をMACSカラムに通し、非NK細胞をカラムに保持した。
細胞単離後、NK細胞活性化/増殖キット(Miltenyi Biotec、♯130-094-483)を用いてNK細胞を培養した。NK増殖培養から開始する場合、抗ビオチンビーズ粒子に、CD335及びCD2に対するビオチン化抗体をロードした。次いで、これらの粒子を1:2のビーズ対細胞比で細胞培養物に1回添加した。細胞を24ウェル細胞培養プレートに1mlあたり100万細胞の細胞密度で入れた。NK細胞を6日間インキュベートし、毎日検査した。必要に応じて新鮮な培地を添加した。6日目に、細胞を再懸濁し、計数した。次いで、NK細胞を、さらなる培養のため1ml当たり100万~150万細胞に維持した。NK細胞の増殖培地は、NK MACS培地(2%NK MACSサプリメント(#130-107-210)を含むNK MACS基礎培地(Miltenyi Biote、#130-107-879、)、5%ヒトAB血清及び500IU/ml IL2(Proleukin、Novartis)を含んでいた。
増殖ヒトγδT細胞の生成
増殖ヒトγδT細胞を生成するために使用されるプロトコルを、Rincon-Orozco et al.(2005)J Immunol 175,2144-2151(参照により本明細書に組み込まれる)から適合させた。簡潔には、新たに単離したPBMCを、γδT細胞増殖培地(RPMI1640、10%FBS、1%Glutamax、100mMピルビン酸ナトリウム、10mM MEM NEAA、100μMβ-メルカプトエタノール、1μg/ml IPP(Sigma-Aldrich)及び100U/ml IL-2(Proleukin、Novartis)に1mio細胞/mlで再懸濁し、24ウェル細胞培養プレートに播種した。培地の半分を3日目及び7日目に交換した。単離後10日目に、ヒトTCRγδ T細胞単離キット(Miltenyi Biotec、#130-092-892)を用いてγδT細胞を単離した。γδT細胞を、それらをさらに増殖させるため、γδT細胞増殖培地において1~2mio細胞/mlで24ウェル細胞培養プレートに維持した。
結果
選択された抗体5C5、320、230、013、296及び395は、試験された免疫細胞に濃度依存的に結合した(図5)。NKG2Dの発現レベルは各免疫細胞サブセットで異なるが、EC
50値(表11)によって示される結合強度は、全てのNKG2D陽性免疫細胞で各クローンについて同等であった。興味深いことに、NKG2D抗体は、それらの結合挙動に関して2つの群にクラスター化した;群Aはより高い全体的な結合を有し、群BはNKG2Dに対するより低い(Aと比較して約半分)結合を有した(図5)。このパターンは、試験した全てのNKG2 D陽性免疫細胞(NK細胞、CD8 T細胞及びγδT細胞)で観察され、アゴニストNKG2D抗体の2つの群間の結合様式の違いを示した。
抗NKG2D抗体は、NKG2Dを発現すると記載されている免疫細胞に特異的に結合する。ほとんどの抗体は低いEC50値(0.28~13.5nM)を有し、これは、NK細胞、γδT細胞及びCD8 T細胞である異なる試験された免疫細胞サブセットに匹敵する、NKG2Dに対する高い親和性結合を示す。
実施例12.架橋抗NKG2D抗体(IgG)によるNKG2D陽性免疫細胞の活性化
次に、ヒトNKG2D IgG1抗体のアゴニスト活性を確認した。
NK92細胞に対する抗NKG2D抗体の活性
本発明者らは、指定の濃度の抗体をプロテインAビーズにコーティングすることによって、架橋時のヒトNK細胞株NK92上のNKG2Dの活性化を試験した。抗NKG2D抗体を提示するプロテインAビーズをNK92細胞と24時間共インキュベートした。続いて、上清へのNK92細胞のIFNγ放出を、NKG2D活性化によって誘導されるNK92細胞の活性化についてのマーカーとしてサイトメトリービーズアレイ(CBA)によって決定した。
全ての抗NKG2D抗体をそれらのアゴニスト活性について試験し、その後、さらなる特性決定のため最良のアゴニストクローンを選択した。
図6では、一連の抗NKG2D抗体の例をIFNγ放出について試験し、それらの活性を、NK92細胞のIFNγ放出を誘導する活性がわずかであったベンチマークアゴニスト抗NKG2D抗体KYK-2.0(Kwong et al.(2008)J Mol Biol 384,1143-1156)と比較した。
最良のアゴニスト性抗NKG2D抗体を、それらの機能活性をより詳細に再試験するために選択した。
選択された抗NKG2D抗体は、NK92細胞のIFNγ放出を、効力の差を伴う架橋に依存して濃度依存的に誘導した(図7A)。アゴニスト抗NKG2D抗体によるNKG2Dの活性化は、架橋抗体によってのみ誘導することができ、溶液中の抗NKG2D抗体は、この状況でIFNγ放出を誘導するアゴニスト能力を有していなかった(図7B)。これは、本発明者らのアゴニスト性抗NKG2D抗体が、架橋剤の非存在下では免疫細胞活性化を誘導せず、したがって、これらの抗体では全身活性化が予想されないことを示す。
初代ヒトNK細胞に対する抗NKG2D抗体の活性
続いて、ヒトNK92細胞株に対してアゴニスト活性を示した抗NKG2D抗体を、より生理学的な細胞集団として増殖させた初代ヒトNK細胞で試験した。同じ設定を使用して、この細胞型に対する抗体の機能活性を評価した。NK92細胞で見られるように、試験した全ての抗NKG2D抗体は、IFNγ及びTNFαの上清への放出によって示される非結合アイソタイプ対照IgG1と比較して、ヒトNK細胞の活性化を誘導した(図8)。非結合アイソタイプコントロールIgG1(上記を参照されたい)は、IgG1抗体がNK細胞上のFc受容体に結合して架橋する能力に起因して、いくらかのバックグラウンド活性を誘導した。これは、この設定におけるアゴニストNKG2D抗体の測定された効果が、活性化Fc受容体とNKG2Dとの組み合わせであり、Fc受容体単独の活性化(対照で見られる)と比較して優れていたことを意味する。
ヒトγδT細胞に対する抗NKG2D抗体の活性
NK細胞上のアゴニスト抗NKG2D抗体を試験した後、それらがγδT細胞を活性化できるかどうかも試験した。γδT細胞は、NKG2D誘発時に直接応答すると報告されている第2の細胞集団である。十分な量のγδT細胞を得るために、新たに単離したPBMCをIPP(イソペンテニルピロリン酸)及びIL-2で活性化して、γδT細胞を優先的に増殖させた。増殖したγδT細胞を単離し、続いてプロテインAビーズに結合したアゴニストNKG2D IgG1抗体と共培養した。ここでも、非結合アイソタイプコントロール(上記を参照されたい)を実験に含めた。24時間後、上清を回収し、上清中へのTNFαの放出をCBAによって決定した。試験したNKG2D抗体は上清へのγδT細胞のTNFα放出を誘導し、他の試験した細胞サブセットについて見られるように抗体によるNKG2Dの活性化を示した(図9)。
方法
プロテインA Dynabeads(Invitrogen、#10001D)を再懸濁し、10μlのビーズ溶液を5mlのPBS内で希釈した。続いて、希釈ビーズ溶液50μlを、1ウェルあたり約200’000ビーズに相当する96ウェル丸底プレートの各ウェルに移した。1μlのストックビーズ溶液が約200万個のビーズを含むと仮定して計算を行った。プレートを400×gで3分間遠心分離し、上清を除去した。次いで、PBSで希釈した抗NKG2D抗体50μlをビーズに添加し、冷蔵庫内で1時間インキュベートして抗体をビーズに結合させた。
インキュベーション後、プレートを400×gで3分間再度遠心分離し、150μlのPBS/ウェルで2回洗浄して、プロテインAビーズによって捕捉されなかった抗体を除去した。NK92、増殖ヒトNK細胞又は増殖ヒトγδT細胞であり得るエフェクター細胞を計数し、生存率を確認した。NK92及び増殖したNK細胞を、10%FCS、1%グルタミン及び10ng/ml Proleukinを含むRPMI1640に再懸濁し、γδT細胞を、10%FBS、1%GlutaMax及び100U/ml IL-2(Proleukin、Novartis)を含むRPMI1640に再懸濁した。1mlあたり1mio細胞の濃度を有する100μlの細胞懸濁液を、プロテインAビーズを含有する96ウェル丸底プレートの各ウェルに播種し、37℃で24時間インキュベートした。
24時間のインキュベーション後、放出されたサイトカインを含有する上清を回収し、-20℃で保存するか、又はCBA(BD Bioscience)分析に直接使用した。エフェクター細胞に応じて、異なるサイトカインを分析した。CBA分析を製造業者の指示に従って実施したが、50μlのビーズ及びサンプル量の代わりに25μlのビーズ及びサンプル量のみを使用し、それに応じて他の全ての試薬量を適合させた。分析を、BD FACS CantoIIフローサイトメーターを用いて行った。
実施例13.架橋抗NKG2D抗体によるCD8 T細胞クローンの共刺激
NLV特異的CD8 T細胞クローン及びMART1特異的CD8 T細胞クローンを使用して、抗NKG2D抗体の共刺激能を評価した。使用したCD8 T細胞クローンはNKG2D陽性である。抗NKG2D抗体の共刺激能に対処するために(一次刺激(「シグナル1」)を提供するCD3抗体を用いて)、96ウェルプレートを抗ヒト抗体でコーティングして抗NKG2D抗体を固定化し、抗マウス抗体でコーティングしてCD3抗体を捕捉した。その後、CD8 T細胞をプレートに添加し、24時間インキュベートした。刺激後、CD8 T細胞クローンを回収し、活性化についてCD25のアップレギュレーションを測定することによって分析した。さらに、CD3抗体の非存在下でNLV特異的CD8 T細胞クローンを用いて同じ実験を行い、抗NKG2D抗体がシグナル1の非存在下でCD8 T細胞を直接活性化する可能性を評価した。ここでも、非結合アイソタイプコントロール(上記を参照されたい)を実験に含めた。
より詳細には、抗NKG2D抗体によるCD8 T細胞クローンの共刺激を試験するために、96ウェル丸底プレートを、2μg/mlの抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch、#109-006-098)及び2μg/mlの抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch、#115-005-071)を含む50μlのPBS/ウェルで4℃にて一晩コーティングした。翌日、1%BSAを含有する200μlのPBSでプレートを3回洗浄した。次いで、1%BSAを含有する200μlのPBSを各ウェルに添加し、37℃で90分間インキュベートして、遊離プラスチック表面をBSAでブロックした。上清を除去した後、50μl/ウェルのCD3抗体(BioLegend、#317304)中0.25μg/ml及びそれぞれの抗NKG2DヒトIgG1抗体又は対照を各ウェルに添加した。プレートを37℃で90分間インキュベートした。その後、プレートを、1%BSAを含有するPBS 200μl/ウェルで3回洗浄し、CD8 T細胞クローン100’000細胞を夕方に添加するまで冷蔵庫に保存した。細胞を37℃で一晩インキュベートした。翌日、CD8 T細胞クローンを回収し、FACS緩衝液で2回洗浄し、4℃で30分間、CD8 FITC(クローンSK-1、BioLegend)、CD25 PE(クローンM-A251、BioLegend)及びCD69 BV421又はCD69 APC(クローンFN50、BioLegend)で染色した。結合していない抗体を取り除いた後、細胞を再び、ウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。細胞を固定するために、1%PFAを含有する100μLのFACS緩衝液をウェルに添加した。測定前に、細胞を150μLのFACS緩衝液に再懸濁した。蛍光は、BD CantoII又はFortessaフローサイトメーターを用いて測定した。
結果を図10に示す。本発明者らは、本発明者らのアゴニストNKG2D抗体がCD8 T細胞に対して排他的に共刺激能を有し、ここではCD8 T細胞の活性化を誘導したCD3抗体によって送達される「シグナル1」に依存することを確認することができた。
実施例14.アゴニスト性抗NKG2D抗体のヒト化395
アゴニスト性抗NKG2D抗体395を、トランスジェニックウサギの免疫化によって得た。VLドメインは既にヒトであったが、VHドメインはウサギ配列であり、ヒト化されなければならなかった。より正確には、VLドメインは、3アミノ酸がCDRL1(S28D、S31G、及びY32A)で成熟し、3アミノ酸がCDRL3(S91A、Y92N、及びT94F)で成熟したヒト生殖細胞系IGKV1D-39#01である。CDRL2に変更はなかった。さらに、2つの体細胞突然変異、K45N及びF71YがFR2L及びFR3Lにおいてそれぞれ認められる。このヒト可変ドメインは改変されなかった。抗体395の可変重鎖は、FR H1では8、HCDR1では4、FR H2ではなし、HCDR2では4、FR H3では6のフレームワーク領域及びCDRにいくつかの体細胞突然変異を有する生殖系列RABBIT_IGHV1S7#01から成熟したウサギVHである。さらに、クローン395の免疫グロブリンVHドメインは、Kabatによる位置21、50、及び79に3つのさらなるシステインを含含む。その生殖系列によれば、位置21及び79はジスルフィド架橋を形成する。生殖系列のパートナーC35がトレオニンに成熟しているので、50位のシステインはパートナーを有していない。
ヒト生殖細胞系はそのような特徴を示さないため、ヒト化は追加のジスルフィド架橋を排除した。発達上の理由から、クローン395のその標的NKG2Dへの結合に過度に影響することを回避するために、C50をその近縁類似体であるセリンに変異させた。アクセプターフレームワークとして選択されたヒト生殖系列はいずれもKabatによる位置50にセリンを有していない。
hVH5_51、hVH3_23及びhVH4_59をアクセプターフレームワークとして選択した。それらは、頻繁に使用されるヒト生殖細胞系を表し、抗体395のVHドメインと高度の配列類似性を有し、予測されるAbangle偏差は全くないか、又はわずかである(両方とも非改変ヒト軽鎖可変ドメインと対になった元のウサギ可変重鎖と比較したそれぞれのヒト化可変重鎖ドメインの配向の変化を表す)。さらに、抗体395のVHドメインのCDRを、VH3_23に基づくフレームワークであり、安定な抗体として十分に特徴付けられたトラスツズマブのVHフレームワークに移植した。
図11に示すヒト化配列を選択して発現させ、それらの結合及び機能について試験した。配列は、配列番号107、108、109、110、111、112及び113(配列P1AE4973、P1AE4975、P1AE4977、P1AE4978、P1AE4979、P1AE4980及びP1AE4981)にも示されている。配列P1AE4972(配列番号106)は、C50S突然変異を有する抗体395(配列番号79)の親VH配列に対応する。
これらの残基は抗原NKG2Dへの結合部位から遠く離れていると考えられるため、いくつかの正突然変異をHCDR2の末端で考慮した。一方、クローン395の元のアミノ酸により密接に付着するために、いくつかの復帰突然変異も考慮した。顕著な例は、hVH3_23上のS49G復帰突然変異である。いくつかの変異体では、N末端QEモチーフは、それらのアミノ酸がHCDR3の後ろに位置するとも考えられる。「CDR4」ループは、このループが時折可変重鎖ドメインの第4のCDRとして抗原と接触しているため、いくつかの変異体に再導入された配列IDQSを特徴とする。
抗体395のヒト化VHドメイン変異体及びその元のヒトVLドメインを使用して二重特異性NKG2D×CEA抗体を生成し、次いで、これを結合及び機能性について試験した(実施例17及び18を参照されたい)。
実施例15.二重特異性NKG2D抗体の生成
例示的な第2の特異性としてCEAを使用して、いくつかの形式の二重特異性NKG2D抗体を生成し、試験した。二重特異性抗体フォーマットは、D、J、K、I、L及びMと呼ばれ、図12に概略的に示されている。DフォーマットはNKG2D及びCEAについては二価であり、JフォーマットはNKG2Dについては四価であり、CEAについては一価であり、K、I及びLフォーマットはNKG2Dについては二価であり、CEAについては一価であるのに対して、MフォーマットはNKG2D及びCEAについては一価である。異なる重鎖の場合、ノブ・イントゥ・ホール技術の適用によってヘテロ二量体化が達成された。軽鎖の誤対合を回避するため、Iフォーマットを除いて、CrossMab(Fabドメイン交差)技術を適用したが、Iフォーマットでは、これは必要ではない。二重特異性抗体の交差(これらの例ではNKG2D結合)Fab部分(複数可)では、VH及びVLドメインは互いに交換されたが、特異的電荷突然変異(これらの例では、それぞれ147E/213E(Kabat EUインデックス)及び123R/124K(Kabat))は、非交差(これらの例ではCEA結合)Fab(複数可)の定常ドメインCH1及びCLに導入された。
IgGとして良好なアゴニスト活性を示したアゴニスト抗NKG2D抗体5C5、013、230、320及び395を、異なる二重特異性抗体フォーマットにおける機能評価のために選択した。ウサギVHドメインを含む抗体395では、結合又は機能に影響を及ぼすことなく、CDRH2中の不対システインC50がセリンに置き換えられた。抗体B9(配列番号114~119、120及び121のCDR並びにVH及びVL配列;国際公開第2007/071422号(配列番号27~29、32~34、22及び26)も参照されたい;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)及びhuA5B7(CDR配列並びにVH配列及びVL配列、配列番号122~127、配列番号128及び配列番号129;その全体が参照により本明細書に組み込まれる、欧州特許出願第19182505.8号及びその優先権を主張するPCT出願も参照されたい)を、第2の特異性のための例示的な抗CEA抗体として使用した。
二重特異性抗体の産生
HEK293 EBNA細胞を一過性トランスフェクションすることにより、二重特異性抗体を生成した。細胞を遠心分離し、予め温めたCD CHO培地(Thermo Fisher,#10743029)により培地を置き換えた。CD CHO培地中で発現ベクターを混合し、ポリエチレンイミン(PEI、Polysciences,#23966-1)を加え、溶液をボルテックスして室温で10分間インキュベートした。その後、細胞(2mio/mL)をベクター/PEI溶液と混合して、フラスコに移し、5% CO2雰囲気の振盪インキュベータ内で、3時間37℃でインキュベートした。インキュベーション後、サプリメントを含むExcell培地(全体積の80%)を添加した(Mammalian Cell Cultures for Biologics Manufacturing,Eds.W.Zhou and A.Kantardjieff,Springer Verlag 2014)。トランスフェクションの1日後に、補充液(Feed、全体積の12%)を添加した。7日後に、遠心分離、及びその後の濾過(0.2μmフィルタ)により細胞上清を回収し、後述の標準的な方法により、回収した上清を精製した。
二重特異性抗体の精製及び分析
タンパク質は、標準プロトコルに言及される、フィルタにかけた細胞培養物上清から精製した。簡潔には、Fc含有タンパク質を、プロテインA-アフィニティークロマトグラフィー(平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、20mMリン酸ナトリウム、pH7.5;溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、pH3.0)によって細胞培養上清から精製した。溶出はpH3.0で達成され、続いて試料をすぐにpH中和した。遠心分離(Millipore Amicon(登録商標)ULTRA-15、#UFC903096)によりタンパク質を濃縮し、凝集したタンパク質を、20mMヒスチジン、140mM塩化ナトリウム、pH6.0のサイズ排除クロマトグラフィーにより、単量体タンパク質から分離した。
Pace et al.(Protein Science,4,2411-2423(1995)に従ったアミノ酸配列に基づき計算した質量減衰係数を用いて、280nmにおける吸収を測定することにより、精製したタンパク質の濃度を測定した。LabChipGXII(Perkin Elmer)を使用して、還元剤の存在下及び非存在下にて、CE-SDSにより、タンパク質の純度及び分子量を分析した。ランニング緩衝液(それぞれ、25mM K2HPO4,125mM NaCl,200mM Lアルギニンモノヒドロクロリド,pH6.7、又は200mM KH2PO4,250mM KCl,pH6.2)中で平衡化した、分析用サイズ排除カラム(TSKgel G3000 SW XL又はUP-SW3000)を使用して、HPLCクロマトグラフィーにより25℃にて、凝集内容物の測定を実施した。
実施例16.異なる二重特異性抗体フォーマットと異なるアゴニスト抗NKG2D抗体との比較
良好なアゴニスト活性(5C5、013、230、320)を有する選択された抗NKG2D抗体を、例示的な第2の特異性として抗CEA抗体B9を使用して、Iフォーマットの二重特異性抗体に変換した。二重特異性抗体は、腫瘍細胞上のCEAを介した架橋によって免疫細胞上のNKG2Dの活性化を誘導するはずである。
二重特異性抗体を、Jurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイにおいて最適以下の固定濃度のCEA×CD3二重特異性抗体(CEA-T細胞二重特異性抗体(TCB)、配列番号130~137(CD3 CDR及びVH/VL)、138~145(CEA CDR及びVH/VL)及び154~157;「シグナル1」を提供するため)と組み合わせて、それらの機能活性について試験した。このアッセイでは、CD3活性化を介してCEA-TCBによって送達されるシグナル1の存在下でのNKG2Dの関与は、NFATの活性化の増加をもたらした。この活性化は、ルシフェラーゼ基質の添加時に発光の増加をもたらした。
図13に示すように、試験した4つのCEA-NKG2D構築物は全て、濃度依存的に、固定濃度のCEA-TCBの上で活性化を誘導することができた。抗NKG2Dクローン320及び230を含有する構築物が最も高い活性を有し、抗NKG2Dクローン013及び5C5を含む構築物がそれに続いた。これらの結果は、本発明者らの選択されたアゴニスト抗NKG2D抗体が、この実施例ではCEA-TCBによるCD3の関与を通して送達される「シグナル1」の存在下で、腫瘍細胞上のCEAを介した架橋の際にT細胞活性化を増加させることができることを証明した。
抗NKG2D抗体320を、種々の二重特異性抗体フォーマットのさらなる評価のために選択した。これは、試験されたIフォーマットにおいて最も強力なものの中にあり、したがって、異なる二重特異性フォーマットのさらなる評価のための良好な候補であると考えられた。NKG2Dをアゴナイズするための理想的な特性を有するフォーマットを同定することができるように、NKG2D及びCEAについて異なる原子価を有する4つの追加の二重特異性フォーマットを設計した。二重特異性フォーマットD、J、K及びLを、ここでも例示的な第2の特異性として抗CEA抗体B9を使用して産生し、それらの機能活性を、CEA-TCBと組み合わせたJurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイで試験した。新しいフォーマットの活性を以前に試験したIフォーマットと比較し、続いてNKG2D活性化を誘導する最も高い効力を有するフォーマットを選択した。フォーマットD及びLは、以前に試験されたIフォーマットの活性と同様に、最も高い効力を有した。フォーマットK及びJは、他の試験されたフォーマットと比較してはるかに弱い活性を有し、したがってさらなる特性決定には考慮されなかった(図14)。
二重特異性抗体フォーマットD、J、K、L及びIの抗体320を、フローサイトメトリーによって測定して、NKG2Dを発現するNK92細胞及びCEAを発現するLS180細胞への結合についてさらに試験した。
NK92細胞では、四価構築物Jが最も低いEC50値を有し、続いて同様に結合する320 IgG及びIフォーマットであり、フォーマットK、L及びDが最も弱い結合を有する(図15A)。CEA発現LS180細胞では、フォーマットD、J、K及びIは、フォーマットLと比較してCEAへの結合が減少していた。フォーマットLは、それぞれのB9 IgGと同等のEC50を有していたが、より高い全体的な結合を有していた(図15B)。
次の工程では、選択されたフォーマットを、2つのさらなる強力なアゴニスト抗NKG2D抗体、5C5及び013について試験した。抗NKG2D抗体5C5をフォーマットD、J及びKに変換し、抗体013をフォーマットD及びKに変換した。機能活性を、CEA-TCBと組み合わせたJurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイで試験し、それぞれのIフォーマットの活性と比較した。抗体320で見られるように、抗体5C5(図16A)及び抗体013(図16B)でも、以前に試験されたフォーマットIは最も強力なフォーマットの1つであり、二価フォーマットKは最も低い活性を有していた。
次いで、さらなる強力なアゴニスト抗NKG2D抗体である抗体395を、これまでのところ最も強力な二重特異性フォーマットである二重特異性Iフォーマットに変換した。また、抗体395を用いてIgG様1+1フォーマット(Mフォーマット)を生成した。これらの構築物の機能活性を、CEA-TCBと組み合わせたJurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイで試験し、これまで試験した最も強力なものの1つであった抗体320を用いたIフォーマットの機能活性と比較した。図17に見られるように、抗NKG2D抗体395を用いた両二重特異性フォーマットは、抗体320を用いたものよりも有意に強力であった。これらの2つのフォーマットを抗体395と比較すると、MフォーマットはIフォーマットよりも全体的な活性が高く、したがってさらなる特性決定のために選択された(図17)。
NK92上のNKG2D(図18A)及びL180細胞上のCEA(図18B)に対する抗NKG2D抗体395の2つの二重特異性フォーマットI及びMの結合を、フローサイトメトリーによって評価した。二価Iフォーマットは、対応する395 IgGとしてNKG2Dに同等に良好に結合した。一価フォーマットMは、一価結合のために全体的な結合がより高かった(即ち、より多くの分子が結合する)が、EC50値は、それぞれの395 IgGで見られたものと依然として類似していた。CEA陽性LS180細胞では、Mフォーマットは、それぞれのB9 IgGと比較して、全体的な結合がより高く、EC50値もより高かった。IフォーマットはCEAへの弱い結合しか有さず、CEA結合因子B9のC末端融合物がCEAへの結合に悪影響を及ぼすことを示した。
抗体395による二重特異性Mフォーマット及び抗体320によるIフォーマットをさらに特性決定するため、両方の構築物を、CEA高MKN-45細胞、CEA中LS-180細胞及びCEA低HT-29細胞に対するJurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイで試験した。抗体320を用いたIフォーマットは、CEA高MKN-45細胞及びCEA中LS-180に対して良好な活性を有したが、CEA低HT-29細胞に対しては非常に弱い活性しか有さず(図19A)、抗体395を用いたMフォーマットは、試験した3つ全てのCEA細胞株に対して良好な活性を有し(図19B)、CEA低細胞株では活性がわずかに低下しただけであった。
続いて、Mフォーマットのアゴニスト抗NKG2D抗体395が、試験した他の全ての二重特異性構築物と比較して最も高い効力を有したことから、さらなる特性決定ためにフォーマットMを選択した。次の工程として、CD8 T細胞及びNK細胞上に発現したNKG2Dへの二重特異性フォーマットMの結合を、健康なドナーから新たに単離したPBMCを用いてフローサイトメトリーによって試験した。陰性対照として、NKG2D陰性CD4 T細胞への結合を試験し、非結合対照を実験に含めた(Fc領域にL234A L235A P329G(「PGLALA」)突然変異を有する非標的IgG(配列番号81及び82のVH及びVL配列)-上記も参照されたい)。予想通り、二重特異性構築物は、CD8 T細胞(図20A)及びNK細胞(図20B)に強い結合を示したが、CD4 T細胞(図20C)には結合せず、一方、非結合対照は、試験した細胞型のいずれにも結合を示さなかった。
次いで、選択された二重特異性抗体(Mフォーマットの抗体395)の機能活性を、CEA発現腫瘍細胞と新たに単離したPBMCとの共培養アッセイで試験して、TCBと組み合わせたNKG2D結合時のCD8 T細胞の活性化を評価した。初期活性化マーカーCD69及び後期活性化マーカーCD25のアップレギュレーションを、CD8 T細胞活性化のマーカーとして測定した。CD3×CEA二重特異性抗体(CEA-TCB(2)、配列番号130~137(CD3 CDR及びVH/VL)、146~153(CEA CDR及びVH/VL)及び158~161)と組み合わせたNKG2D×CEA二重特異性抗体の処置は、CEA-TCB(2)単独による処置と比較して、結腸直腸腺癌腫細胞株LS-180の存在下でCD8 T細胞上のCD25及びCD69のアップレギュレーションの増加を誘導した(図21A及びB)。NKG2D×CEA二重特異性抗体はまた、MKN-45細胞の存在下でCEA-TCBによって媒介されるCD8 T細胞の活性化を増強し、これは、CEA-TCB単独と比較してNKG2D×CEA二重特異性抗体とCEA-TCBとの組合せを用いたCD8 T細胞上のCD25及びCD69のアップレギュレーションの増加によって見ることができた(図21C及びD)。
方法
Jurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイ
NKG2D発現Jurkat NFAT細胞(Jurkat NFAT NKG2D)を、Jurkat NFAT Fluc細胞(Promega)の安定なトランスフェクションによって生成した。細胞を、2%FBS、1%GlutaMax(Gibco)及び200μg/mlハイグロマイシン(hygromcyin)を含有する改良RPMI1640(Gibco)培地で培養した。Jurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞を腫瘍細胞株MKN45(DSMZ ACC 409)、LS180(ATCC CL-187)、HT-29(ATCC HTB-38)又はHeLa(ATCC CRM-CCL-2)と共培養した。アッセイは、アッセイ培地(2%FCS及び1%GlutaMax(Gibco)を含有するadvanced RPMI1640(Gibco))で行った。
トリプシンを用いて腫瘍細胞を剥離した。細胞を計数し、生存率を確認した。標的細胞をアッセイ培地に再懸濁し、白色平底96ウェルプレートに1ウェルあたり60 000細胞を播種した。次いで、T細胞二重特異性抗体(TCB)、NKG2D二重特異性抗体を指定の濃度で添加した。Jurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞を計数し、生存率を確認し、1.6:1のエフェクター対標的(E:T)比に相当する0.1mio細胞を1ウェルあたりに播種した。また、2%エンドボリューム(end-volume)のGloSensor cAMP Reagent(E1291、Promega)を各ウェルに添加した。示されたインキュベーション時間の後、Tecan Spark 10M装置を使用して発光を測定した。
NK92及び腫瘍細胞株への結合
NK92細胞又は腫瘍細胞(MKN-45、LS180)の生存性を確認し、細胞を再懸濁し、1mio細胞/mlの密度に調整した。100μl/ウェルのこの細胞懸濁液(0.1mio細胞を含有する)を96ウェル丸底プレートに播種した。プレートを4分間400xgで遠心分離し、上清を取り除いた。次に、40μLの希釈抗体又はFACS緩衝液を細胞に添加し、30分間4℃でインキュベートした。インキュベーション後、細胞をウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。次いで、20μlの希釈APC抗ヒトFc特異的二次抗体(Jackson ImmunoResearch、#109-116-170)を細胞に添加した。細胞をさらに30分間、4℃にてインキュベートした。結合していない抗体を取り除いた後、細胞を再び、ウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。細胞を固定するために、1%PFAを含有する100μLのFACS緩衝液をウェルに添加した。測定前に、細胞を150μLのFACS緩衝液に再懸濁した。BDフローサイトメーターを使用して蛍光を測定した。
PBMCへの結合
新たに単離した末梢血単核細胞(PBMC)の生存性を確認し、細胞をFACS緩衝液中1mio細胞/mlの密度に調整した。1ウェルあたり100μLのPBMC(0.1mio細胞を含有)を、96ウェルの丸底フラスコに播種した。プレートを4分間400xgで遠心分離し、上清を取り除いた。次いで、ウェルあたり総体積20μlのFcブロック(BD Bioscience)0.5μlを添加し、プレートを4℃で30分間インキュベートした。上清を除去し、次いで、40μlの希釈抗NKG2D抗体を細胞に添加し、4℃でさらに30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。次いで、20μlの希釈PE抗ヒトFc特異的二次抗体(Jackson ImmunoResearch、#109-116-170)をCD3 FITC(クローンUCHT1、BioLegend)、CD8 APC/Cy7(クローンSK1、BioLegend)、CD4 APC(クローンRPA-T4、BioLegend)及びCD56 BV421(クローンHCD56、BioLegend)と共に細胞に添加して、抗NKG2D抗体を検出し、PBMC内のCD8 T細胞をCD8及びCD3二重陽性細胞として、CD4 T細胞をCD4及びCD3二重陽性細胞として、NK細胞をCD3陰性及びCD56陽性細胞として同定した。細胞をさらに30分間、4℃にてインキュベートした。結合していない抗体を取り除いた後、細胞を再び、ウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。細胞を固定するために、1%PFAを含有する100μLのFACS緩衝液をウェルに添加した。測定前に、細胞を150μLのFACS緩衝液に再懸濁した。BDフローサイトメーターを使用して蛍光を測定した。
T細胞二重特異性抗体(TCB)と組み合わせたCD8 T細胞の活性化
PBMCを健康なドナーの血液から単離し、アッセイの開始前に生存率を確認した。標的細胞(MKN-45又はLS180)をトリプシン(Gibco)を用いて剥離し、生存率を確認した。標的細胞を、0.6mio細胞/mlの密度でアッセイ培地(2%FBS及び1%GlutaMax(Gibco)を含む高度RPMI1640(Gibco))に再懸濁した。細胞を96ウェルプレートに30 000細胞/ウェルで播種した。抗体をアッセイ培地で希釈し、指定の濃度の希釈抗NKG2D抗体又はTCBを標的細胞に添加した。次いで、6mio細胞/ml(E:T 10:1)の細胞密度で単離したPBMCを添加し、300 000細胞/ウェル及び200μl/ウェルの最終体積を得た。アッセイをインキュベータ内で37℃で48時間インキュベートした。その後、PBMCを採取し、フローサイトメトリーによって分析した。細胞を400×gで4分間遠心分離し、PBSで1回洗浄した。Aqua Live stain(L34957、Thermo Fisher Scientific)を50μlのPBS(PBSで1:1000に希釈)に添加し、室温で20分間インキュベートした。その後、100μlのFACS緩衝液を添加し、プレートを400×gで4分間遠心分離した。上清を除去し、細胞を150μlのFACS緩衝液で再び洗浄した。次いで、CD3 FITC(クローンUCHT1、BioLegend)、CD8 APC/Cy7(クローンSK1、BioLegend)、CD56 BV421(クローンHCD56、BioLegend)、CD25 PE(クローンM-A251、BioLegend)、CD69 APC(クローンFN50、BioLegend)及びCD44 AF700(クローンIM7、BioLegend)を含む抗体混合物30μl/ウェルを細胞に添加した。細胞を冷蔵庫内で30分間インキュベートした。その後、細胞をFACSバッファーで2回洗浄し、ウェルあたり1%のPFAを含有するFACSバッファー100μlで再懸濁した。測定の前に、細胞を150μlのFACS緩衝液に再懸濁した。分析は、BD LSR Fortessa装置を用いて行った。
実施例17.表面プラズモン共鳴(BIACORE)を使用した、ヒトNKG2D及びヒトCEAに対する抗体395のヒト化変異体を含むMフォーマットの二重特異性NKG2D×CEA抗体の親和性の決定
抗体395のヒト化変異体を含むMフォーマットの二重特異性NKG2D×CEA抗体の親和性を、BIACORE T200装置を使用した表面プラズモン共鳴によって評価した。CM5チップ上に、抗ペンタ-His捕捉抗体(Qiagen Penta・His抗体、BSA不含;#34660)を、フローセル2及び3上に約12’000 RUで標準的なアミンカップリングによって固定化した。それぞれのリガンドとして、his avi huNKG2D ECD(配列番号93)をフローセル2上に捕捉し、ヒトCEAのA2ドメインを含有するhu N(A2B2)A-avi-His(配列番号208)をフローセル3上に約20 RUで捕捉した。続いて、抗体395のヒト化変異体を含むMフォーマットの二重特異性NKG2D×CEA抗体を、800~0.366nMの範囲の3倍希釈で、120秒の接触時間、250又は1000秒の解離時間及び30μl/分の流速で分析物として注入した。抗H6タグ捕捉抗体のレベルでの再生は、10mMグリシン/HCl pH2.0の60秒間の2パルスによって達成された。不動態化フローセル1、及び分析物のゼロ濃度に対して、データを二重参照した。分析物のセンサーグラムを単純な1:1ラングミュア相互作用モデルに当てはめた。両標的に対する親和定数[K
D]を表14に要約する。
アゴニスト抗NKG2D抗体395のヒト化VHドメイン変異体を含む二重特異性NKG2D×CEA抗体は、非ヒト化親ウサギVHドメインを有する構築物よりもわずかに低い親和性を有する(P1AE4972)。しかしながら、P1AE4980は、P1AE4972と非常に同等の親和性をヒトNKG2Dに対して有する(13nM対11nM)。ヒトCEA(A2ドメイン)に対するこれらの二重特異性抗体の親和性は、それらが全て同じCEA結合因子(huA5B7)を含むので有意に異ならない。
ヒト化変異体P1AE4980(CEA結合因子huA5B7と組み合わせたMフォーマット)を、さらなる詳細な機能的特性決定のために選択した。さらに、この二重特異性分子は、動的光散乱(DLS)(Tagg 63℃)によって決定されるように熱的に安定であり、細胞株の開発に適している。
この好ましい分子P1AE4980(CEA結合因子huA5B7と組み合わせたMフォーマット)の効力をさらに増加させるために、CEA結合因子huA5B7を親和性成熟結合因子に置き換えた(実施例19を参照されたい)。
実施例18.二重特異性Mフォーマットにおける抗NKG2D抗体395のヒト化変異体の機能的特性決定
アゴニスト抗NKG2D抗体395の親(C50S突然変異を有する)及び7つのヒト化変異体を、第2の特異性としてCEA結合因子huA5B7を使用して、MフォーマットのNKG2D×CEA二重特異性抗体に変換した。二重特異性フォーマットのヒト化変異体のNK92上のNKG2Dへの結合を、親抗体395(P1AE4972、C50S突然変異を含む)の結合と比較した。変異体P1AE4980は親抗体としてNKG2Dに匹敵する結合を示し、変異体P1AE4973、P1AE4975、P1AE4977及びP1AE4979の結合はわずかに減少し、変異体P1AE4978の結合はより強く減少し、変異体P1AE4981はNKG2Dに弱くしか結合しなかった(図22、表15)。
さらに、7つのヒト化変異体の機能活性を、CEA-TCBと組み合わせたJurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイで試験し、CEA高発現腫瘍細胞株MKN-45(図23A及びB)及びCEA低発現腫瘍細胞株HT-29(図23C及びD)での親抗体395(C50S突然変異を有する)の機能活性と比較した。試験した両方の腫瘍細胞株では、二重特異性フォーマットの395個全てのヒト化変異体が良好な活性を有していた。変異体P1AE4980の活性は常に、結合データと一致する親抗体の活性に非常に近かった。
次いで、ヒト化変異体P1AE4980を、NKG2Dへの良好な結合を示し、ヒト化変異体の中で最も高い機能活性を有し、親抗体395に匹敵する活性を有することから、さらなる特性決定のため選択した。
次の工程では、本発明者らは、NKG2D結合を介したCEA-TCB活性の増強が、腫瘍細胞上に発現したCEAを介したNKG2Dの架橋に依存するかどうかを試験した。FolR1×CD3二重特異性抗体(FolR1-TCB)とCEA-TCBとの組合せを、Jurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイにおいてCEA陰性、FolR1陽性HeLa細胞で試験した。この設定では、シグナル1はFolR1-TCBを介して送達され得るが、NKG2D×CEA二重特異性抗体は、HeLa細胞上のCEA発現が欠如しているために架橋することができない。FolR1-TCBはJurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイを活性化することができたが、NKG2D×CEA二重特異性抗体の添加によって活性化を増強することはできなかった(図24A)。陽性対照として、NKG2D×CEA二重特異性抗体とCEA-TCBとの組合せを、CEA発現HT-29及びMKN-45細胞で試験した。ここで、NKG2D×CEA二重特異性抗体を架橋し、CEA-TCB単独と比較して発光の強い増加によって測定されるJurkat NFAT NKG2D細胞の活性化の増加を測定することができる(図24B及び24C)。
次いで、NKG2D×CEA二重特異性抗体の機能活性をシェッドCEA(sCEA)の存在下で試験した。NKG2D×CEA二重特異性抗体とMKN-45上のCEA-TCBとの組合せを、漸増濃度のsCEAの存在下でJurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイで試験した。
高濃度(>5μg/ml)でのみ、sCEAはNKG2D×CEA二重特異性抗体の活性に悪影響を及ぼした(図25)。
次の工程では、可溶性NKG2Dリガンドの存在がCEA-TCBと組み合わせたNKG2D×CEA二重特異性抗体の活性を妨害し得るかどうかも試験した。可溶性MICA(sMICA;R&D Systems、#1300-MA-050)及び可溶性ULBP2(sULBP2;R&D Systems、#1298-UL-050)をNKG2D×CEA二重特異性抗体とCEA-TCBとの組合せに添加し、Jurkat NFAT NKG2D細胞の活性化を試験し、可溶性NKG2Dリガンドの非存在下での活性化と比較した。
nMの可溶性MICA又は可溶性ULBP2のいずれかの添加は、Jurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイにおいてCEA-TCBと組み合わせたNKG2D×CEA二重特異性抗体の活性を変化させなかった(図26)。これらの結果は、NKG2D×CEA二重特異性抗体の活性が可溶性NKG2Dリガンドの存在によって影響されない/阻害されないことを示している。
実施例19.抗体huA5B7の親和性成熟変異体を用いたNKG2D×CEA二重特異性抗体の生成
CEA結合因子huA5B7は、抗体A5B7のヒト化バージョンである。抗体A5B7は例えば、M.J.Banfield et al,Proteins 1997,29(2),161-171により開示されており、その構造は、タンパク質構造データベースPDB(www.rcsb.org,H.M.Berman et al,The Protein Data Bank,Nucleic Acids Research,2000,28,235-242)中で、PDB ID:1CLOとして見いだすことができる。A5B7のCDR及び可変領域配列は、配列番号122(HCDR1)、162(HCDR2)、124(HCDR3)、125(LCDR1)、126(LCDR2)、127(LCDR3)、163(VH)及び164(VL)に示されている。huA5B7の生成は、欧州特許出願第19182505.8号及びその優先権を主張するPCT出願に記載されている。huA5B7のCDR及び可変領域配列は、配列番号122(HCDR1)、123(HCDR2)、124(HCDR3)、125(LCDR1)、126(LCDR2)、127(LCDR3)、128(VH)及び129(VL)に示されている。
好ましい分子P1AE4980(上記の実施例17を参照されたい)の効力をさらに増加させるため、CEA結合因子huA5B7をその親和性成熟変異体に置き換えた。huA5B7の親和性成熟は、欧州出願番号第19182505.8号及びその優先権を主張するPCT出願に記載されている。
huA5B7の選択された親和性成熟変異体のCDR配列及び可変領域配列を配列表に示し、対応する配列番号を以下の表16に要約する。
全ての親和性成熟変異体の可変ドメインを合成し、(それぞれ、正しい重鎖/重鎖及び重鎖/軽鎖のペアリングのため)pGLALA Fcドメイン突然変異と組み合わせたノブ・トゥ・ホール及びCrossMab技術に基づくIgG様NKG2D×CEA二重特異性抗体をコードするプラスミドにクローニングした。この実施例で調製した二重特異性分子の概略図を図27に示す。huA5B7及びその親和性成熟変異体のVH配列及びVL配列を含む重鎖及び軽鎖(表16を参照されたい)を、NKG2Dに特異的な重鎖及び軽鎖(それぞれクローンP1AE4980、配列番号112及び80のVH配列及びVL配列を含む)と組み合わせた。CEA結合因子P011.177を含む例示的なこのような二重特異性抗体の配列を配列番号213、214、215及び216に示す。
構築物を、従来の(非PCRベースの)クローニング技術を使用して調製し、動物成分を含まない培地及び血清を含まない培地で増殖させた、一過性にトランスフェクトされた懸濁適応性CHO K1細胞で発現させた。タンパク質は、標準プロトコルに言及される、フィルタにかけた細胞培養物上清から精製した。簡潔には、Fc含有タンパク質を、プロテインAを使用するアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製した。溶出をpH3.0で達成し、続いて試料を直ちに中和した。タンパク質を濃縮し、凝集したタンパク質を、20mMヒスチジン、140mM塩化ナトリウム、pH6.0のサイズ排除クロマトグラフィーにより、単量体タンパク質から分離した。
実施例20.親和性成熟CEA結合因子を含む二重特異性CEA×NKG2D抗体の特性決定
2つの親和性成熟CEA結合因子P002.139及びP001.177を、上記の実施例19に記載されているように二重特異性分子に変換した。これらの2つの分子の中CEA発現LS180腫瘍細胞への結合を、親ヒト化A5B7 CEA結合因子(huA5B7)を含む対応する分子の結合と比較した。腫瘍細胞への分子の結合をフローサイトメトリーによって分析した(図28)。親和性成熟CEA結合因子P002.139及びP001.177を含む二重特異性分子は、親huA5B7結合因子を含む対応する分子よりもわずかに良好なCEAへの結合を有していた。
次の工程では、これらの3つの二重特異性NKG2D×CEA抗体の機能活性を、MKN45細胞(図29)並びにLS180及びHT29細胞(図30)に対するJurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイで決定した。親和性成熟CEA結合因子P002.139又はP001.177を有する分子の活性は、いくつかの条件下で、huA5B7 CEA結合因子を含む分子で測定された活性よりもわずかに強力であった。
上記の実施例16に記載されるように実験を行った。Jurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイのために、いくつかの例では、以下のように384ウェルプレートを使用した。10000個の標的細胞を白色の平底384ウェルプレートに播種した。次いで、TCB及び二重特異性NKG2D×CEA抗体を指定の濃度で添加し、15000個のJurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞を、1.5:1のE:T比に対応して添加した。
実施例21.NKG2D結合因子C26及びADI27743を使用した抗NKG2D(二重特異性)抗体のクローニング、産生及び精製
抗NKG2D抗体C26及びADI27743(国際公開第2018/148445号)の可変ドメインを合成し、ヒトIgG1又はMフォーマットの二重特異性分子をコードするプラスミドにクローニングし(図12F)(それぞれPGLALA Fcドメイン突然変異を有する)。二重特異性抗体は、第2の結合因子として抗CEA抗体huA5B7を含んでいた。産生された分子の完全なアミノ酸配列は、配列番号221~222(C26 IgG)、配列番号223~224(ADI27743 IgG)、配列番号225、226、229及び230(C26二重特異性)及び配列番号227~230(ADI27743二重特異性)に示されている。
従来の(非PCRベースの)クローニング技術を伴う、専有のベクターシステム、及び(元は、ATCCより受託し、Evitriaにて懸濁培養液中での無血清増殖に適合した)懸濁適応性CHO K1細胞を使用し、Evitria(スイス)により、得られた構築物を調製した。産生のため、Evitriaの独自の動物成分不含及び無血清培地(eviGrow及びeviMake2)及びその独自のトランスフェクション試薬(eviFect)を使用した。
タンパク質は、標準プロトコルに従い、フィルタにかけた細胞培養物上清から精製した。簡潔には、Fc含有タンパク質を、プロテインAを使用するアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製した。溶出をpH3.0で達成し、続いて試料を直ちに中和した。タンパク質を濃縮し、凝集したタンパク質を、20mMヒスチジン、140mM塩化ナトリウム、pH6.0のサイズ排除クロマトグラフィーにより、単量体タンパク質から分離した。
実施例22.C26及びADI27743に対する抗NKG2D抗体P1AE4980の比較
NK92細胞株上のNKG2Dへの結合
実施例21からの抗NKG2D抗体P1AE4980、C26及びADI27743を、NK92細胞上のNKG2Dへの結合について試験した。
NK92細胞は、2%FBS、1%GlutaMax(Gibco)及び10ng/ml Proleukin(Novartis)を含有する改良RPMI1640培地(Gibco)で培養した。NK92細胞の生存能を確認し、細胞を再懸濁し、1.5mio細胞/mLの密度に調節した。100μLのこの細胞懸濁液(0.15mio細胞を含有)を、96ウェルの丸底フラスコに播種した。プレートを4分間400xgで遠心分離し、上清を取り除いた。次に、40μLの希釈抗体又はFACS緩衝液を細胞に添加し、30分間4℃でインキュベートした。インキュベーション後、細胞をウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。次いで、30μlの希釈二次PE抗ヒトFc特異的二次抗体(Jackson ImmunoResearch、#109-116-170)を細胞に添加した。細胞をさらに30分間、4℃にてインキュベートした。結合していない抗体を取り除いた後、細胞を再び、ウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。測定のために、細胞を150μlのFACS緩衝液に再懸濁した。BDフローサイトメーターを使用して蛍光を測定した。
図31に示されるように、抗NKG2D抗体P1AE4980は、NK92細胞に対する最も高い全体的な結合を示し、ADI27743及びC26と比較して、細胞に結合した抗体の数が最も多いことを示している。抗NKG2D抗体C26は、試験された最高濃度でNK92に非常に弱くしか結合しない。
実施例21からの対応する二重特異性NKG2D×CEA抗体についても結合を試験した。
IgGで見られるように、NKG2D結合因子としてP1AE4980を含む二重特異性抗体は、C26又はADI27743のいずれかを含む二重特異性抗体と比較して、NK92細胞に対する最も高い全体的な結合を示す(図32)。
Jurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイにおける機能活性の試験
NKG2D結合因子としてC26、ADI27743又はP1AE4980のいずれかを含む二重特異性CEA×NKG2D抗体を、上記の実施例16に記載されるように、腫瘍細胞株MKN45(DSMZ ACC 409)及びHT-29(ATCC HTB-38)を用いて、5nM CEA-TCBと組み合わせてJurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイで試験した。
MKN45(図33)又はHT-29(図34)細胞の存在下でのJurkat NFAT NKG2Dレポーター細胞アッセイは、NKG2D結合因子としてP1AE4980を含む二重特異性抗体が、ADI27743又はC26を含む二重特異性抗体と比較して、5nM CEA-TCBと組み合わせたJurkat NFAT NKG2D細胞の最も高い活性化をもたらすことを示す。ADI27743を含む二重特異性抗体は、P1AE4980を含む二重特異性抗体と比較して、Jurkat NFAT NKG2D細胞を適度に活性化する。C26を含む二重特異性抗体は、両方の試験標的細胞株の存在下でJurkat NFAT NKG2D細胞を非常に弱く活性化するにすぎない。
実施例23.野生型Fcドメイン又はエフェクターサイレントFcドメインを含む抗NKG2D抗体の比較
野生型Fcドメイン又はエフェクターサイレントFcドメインのいずれかを有する抗NKG2D抗体によるNK細胞の活性化を評価した。このアッセイのため、抗体P1AE4980又は395を(単一特異性)ヒトIgG1フォーマットで使用した。
PBMCを全血から新たに単離した。単離したPBMCを計数し、生存率を確認した。細胞をRPMI+10%FBS+1%Glutamaxに3mio細胞/mlの密度で再懸濁した。100μlの細胞懸濁液を96ウェルU底プレートに1ウェルあたりに播種した(300000細胞/ウェルとなる)。50μlの希釈抗NKG2D抗体を各ウェルに添加し、合計150μl/ウェルを得た。
プレートをインキュベータ内で37℃で24時間インキュベートし、次いで350×gで2分間遠心分離した。PBMCを回収し、フローサイトメトリーによる分析のために別の96ウェルU底プレートに播種した。細胞を400×gで4分間遠心分離し、PBSで1回洗浄した。50μlの希釈Aqua Live/Dead染色液(PBS、Invitrogen、#L34965で1:1000希釈)を各ウェルに添加し、4℃で30分間インキュベートした。その後、150μlのFACS緩衝液(1×PBS、2%FBS、1%0.5 M EDTA pH8、0.25%NaN3(20%))を添加し、プレートを400×gで4分間遠心分離した。上清を除去し、細胞を150μlのFACS緩衝液で再び洗浄した。次いで、30μl/ウェルのFITC抗ヒトCD3(BioLegend、#300406)、Brilliant Violet 421(商標)抗ヒトCD56(BioLegend、#318328)、APC抗ヒトCD69(BioLegend、#310910)の抗体混合物を細胞に添加した。細胞を4℃で60分間インキュベートした。その後、細胞をFACSバッファーで2回洗浄し、細胞を固定するため、ウェルあたり1%のPFAを含有するFACSバッファー100μlで再懸濁した。プレートを4℃で一晩インキュベートした。翌日のFACS測定の前に、細胞を150μlのFACS緩衝液に再懸濁した。分析を、BD LSR Fortessa装置を用いて行った。
図35に示すように、野生型Fcドメインを有する抗NKG2D抗体は、NK細胞上のCD69のアップレギュレーションを誘導し、これは活性化を示す。対照的に、エフェクターサイレントFcドメイン(PGLALA突然変異を含む)を有する抗NKG2D抗体は、NK細胞上のCD69のアップレギュレーションを誘導しない。これは、本発明者らのアゴニスト抗NKG2D抗体が、機能的Fcドメインの非存在下でNK又は他のFcγ受容体発現免疫細胞の全身的な活性化を誘導しないことを示している(しかしながら、標的細胞抗原に結合し、それを介して架橋すると、NKG2D発現細胞の局所活性化のみが誘導される)。
上述の発明を、理解を明確にする目的で、説明及び実施例によって、ある程度詳細に説明してきたが、説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。本明細書に引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照によりその全体が明示的に組み込まれる。