JP2018510623A - Nkg2d及び腫瘍関連抗原に対する二価抗体 - Google Patents

Nkg2d及び腫瘍関連抗原に対する二価抗体 Download PDF

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Abstract

癌細胞表面の腫瘍関連抗原(TAA)及びNKG2D受容体に結合するポリペプチドを開示する。NKG2D受容体は、ナチュラルキラー細胞、T細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びガンマデルタT細胞などの、キラー細胞の表面に発現される。一部の例では、TAAはCS−1又はEGFRvIIIである。また、開示するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、開示するポリヌクレオチドを含むベクター、及び開示するベクターを含む宿主細胞も開示する。また、開示するポリペプチドを含む二価抗体も開示する。また、開示する抗体を含む医薬組成物も開示する。また、開示する二重特異性抗体を使用して被験体で癌を治療する方法も開示する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年2月20日に出願された米国仮出願第62/118,561号、及び2015年2月23日に出願された米国仮出願第62/119,645号の利益を主張するものであり、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
2014年には、新たに診断された癌症例が160万件あり、報告された死亡は585,720件であった。現在の治療は、主に化学療法、放射線、手術、及び骨髄移植に依存している。しかしながら、これらは重篤な副作用を伴うことがあり、いくつかの症例では、癌は治療に影響されない。したがって、新たな治療方法が緊急に必要とされる。癌免疫療法は、リンパ球からの腫瘍溶解活性の誘発に非常に特異的かつ有効であるため、有望である。二重特異性T細胞エンゲージャ又は二重特異性キラー細胞エンゲージャ(BiTE及びBiKE)などの融合タンパク質は、腫瘍細胞とT細胞との結合を(又はナチュラルキラー細胞との結合をそれぞれ)形成する癌免疫療法である。BiTE又はBiKEタンパク質は、異なる抗体の2つの一本鎖可変断片(scFv)を有し、その一方は腫瘍特異的分子に結合し、もう一方はリンパ球表面の受容体に結合する。BiTE及びBiKE療法は、従来の抗体療法と比べて腫瘍細胞溶解の効果が100〜10,000倍高いと予想される。しかしながら、BiTE療法は、特異的にT細胞表面のCD3受容体を標的とし、BiKE療法は、ナチュラルキラー細胞表面の受容体を標的とする。現在のところ、CD8+T細胞、NK細胞、NKT細胞、及びγδT細胞などの、すべてのキラー免疫細胞をクロストリガーする二重特異性エンゲージャタンパク質は設計されていない。
腫瘍関連抗原(TAA)及びNKG2D受容体に結合するポリペプチドを開示する。ポリペプチドは、TAAに結合する抗体又はその断片を含み得る。いくつかの実施形態では、TAAはCS−1又はEGFRvIIIであり得る(したがって、抗体又は断片は「CS−1抗体」又は「EGFRvIII抗体」である)。ポリペプチドは、NKG2D受容体に結合する抗体又はその断片(「NKG2D抗体」)を更に含み得る。したがって、ポリペプチドは、NKG2D抗体及びCS−1抗体又はEGFRvIII抗体を含み得る。いくつかの実施形態では、TAA抗体及び/又はNKG2D抗体は、一本鎖可変断片(scFv)抗体である。
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、TAA抗体及びNKG2D抗体を発現する核酸により発現される融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、TAA抗体及びNKG2D抗体は、開示するポリペプチドを形成するように化学的に結合された別個のペプチドである。
ポリペプチドのいくつかの実施形態では、TAA抗体及びNKG2D抗体は、非免疫原性リンカーにより結合される。非免疫原性リンカーは、ヒト筋肉アルドースタンパク質、その断片、その変異体、又はそれらの任意の組み合わせのアミノ酸配列を含み得る。
NKG2D受容体は、細胞傷害性T細胞、ガンマ−デルタT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、及びNKT細胞により発現され、これらはまとめて本明細書で一般に「キラー細胞」と呼ばれ得る。NKG2D受容体は、タンパク質に結合すると、キラー細胞を活性化し得る。このような活性化には、キラー細胞が細胞傷害性になることが挙げられ得る。
CS−1は、多発性骨髄腫細胞により発現される抗原である。EGFRタイプIII変異体(EGFRvIII)は、その細胞外ドメインに欠損を有し、それによって神経膠芽腫、並びに乳癌、卵巣癌、前立腺癌、及び肺癌に見られる新たな腫瘍特異的標的が形成される。
したがって、開示するポリペプチドは、特定の癌により発現されるCS−1又はEGFRvIIIなどのTAAと、キラー細胞により発現されるNKG2D受容体とに結合できる。開示するポリペプチドは、癌細胞により発現されるTAAとキラー細胞により発現されるNKG2D受容体とに同時に結合でき、それによって癌細胞とキラー細胞との間に橋を形成する。このような橋は、腫瘍細胞及びキラー細胞間の免疫溶解性シナプスの形成を促進し得る。キラー細胞は、免疫シナプス上にパーフォリン及び/又はグランザイムを放出し、それによって多発性骨髄腫細胞の死滅を誘発し得る。死滅には、癌細胞の細胞溶解が挙げられ得る。このように、開示するポリペプチドは、キラー細胞の動員(recruitment)及び活性化により標的とする癌細胞の死滅を達成する。
また、多発性骨髄腫、神経膠芽腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、及び肺癌などの、癌の治療が必要な被験体で癌を治療する方法も開示する。方法は、上記のポリペプチドを被験体に投与することを含み得る。いくつかの症例では、ポリペプチドは治療有効量で投与される。
本発明の1つ若しくは2つ以上の実施形態の詳細が、添付の図面及び以下の説明において記載される。本発明の他の特性、目的、及び利点は、説明及び図面から、並びに請求項から明らかとなるであろう。
抗CS−1三重特異性細胞傷害性リンパ球エンゲージャ(TriCLE)ポリペプチドの設計の模式図である。抗CS−1一本鎖可変断片(scFv)及び抗NKG2D scFvは、ヒト筋肉アルドース(HMA)リンカーにより結合される。VH:重鎖、VL:軽鎖、(G4S)3:グリシン−セリンリンカー、6XHis:ヒスチジンの6反復体。 精製タンパク質が抗CS−1 TriCLEを含むscFvであることを確認するウエスタンブロットを示す。 抗CS−1 TriCLEの存在下におけるNK細胞株NKLの多発性骨髄腫(MM)細胞株H929に対する細胞傷害性のグラフである。50pg/mL〜10μg/mLの範囲のTriCLEの漸増用量を、20:1のエフェクター比でNKL:H929の共培養に添加した。 CS1細胞株に対するTriCLEの結合を示す。0.2×10のH929細胞をTriCLEと共に室温で20分間インキュベートした。細胞を洗浄し、二次抗体結合タンパク質L−ビオチンで染色した後、フローサイトメトリー分析のために抗ビオチンPE抗体で染色した。ヒストグラムは、3回の独立した試験の典型である。 一次抗体としての抗CS−1 TriCLEの平均蛍光強度を比較したグラフを示す。 TriCLEによるT細胞、NKT細胞、及びNK細胞の活性化を示す。5μg/mLのTriCLEを休止ヒトPBMCに4時間添加した後、細胞を採取し、CD3、CD56、CD14、及びCD69について室温で20分間染色した。細胞をフローサイトメトリーにより分析した。 抗CD3抗体がTriCLEに相乗作用を与え、キラー細胞の3つのすべてのサブセットの活性化を高めたことを示す。 活性化ヒトPBMCの細胞傷害性が、3種類の多発性骨髄腫細胞MM1.s、H929、及びRPMI−8226に対してTriCLEにより高められたことを示す。非線形回帰曲線からEC50を計算した。 抗CS−1 TriCLEが、24時間及び48時間でのCD56枯渇エフェクター細胞を使用して、細胞傷害性を誘発したことを示す。***p<0.001 抗EGFRvIII TriCLEの図式表示を示す。V:重鎖、V:軽鎖、(G4S)3:グリシン−セリンリンカー、HMA:ヒト筋肉アルドース。全配列をpGEX6p1mベクターにクローン化した。 抗EGFRvIII TriCLEによるT細胞、NKT細胞、及びNK細胞の活性化を示す。5μg/mLのTriCLEを休止ヒトPBMCに4時間添加した後、細胞を採取し、CD3、CD56、CD14、及びCD69について室温で20分間染色した。細胞をフローサイトメトリーにより分析した。 活性化ヒトPBMCの細胞傷害性が、3種類の多発性骨髄腫細胞GBM1123に対してTriCLEにより高められたことを示す。非線形回帰曲線からEC50を計算した。結果は3人の個別ドナーから得られた。***p<0.001、**p<0.01。図6Cは示す
発明の詳細な説明
TAA及びNKG2D受容体に結合するポリペプチド。ポリペプチドは、TAAに結合する抗体又はその断片を含み得る。図1Aの模式図で表されるものなどの一実施形態では、TAAはCS−1であり得る(したがって、抗体又は断片は「CS−1抗体」である)。ポリペプチドは、NKG2D受容体に結合する抗体又はその断片(「NKG2D抗体」)を更に含み得る。ポリペプチドは、CS−1抗体及びNKG2D抗体を含み得る。CS−1抗体及び/又はNKG2D抗体は、一本鎖可変断片であり得る。
開示するポリペプチドは、すべての強力なキラー細胞の細胞傷害性を漸増し(recruiting)、腫瘍細胞(又はウイルス感染細胞)を死滅させ、オフターゲットの副作用なしに優れた効能をもたらすことにより、従来の抗CD16 BiKE又は抗CD3 BiTEとは異なる。いくつかの実施形態では、開示するポリペプチドは、NKG2Dトリガー分子及び腫瘍関連抗原(TAA)を標的とする2つの一本鎖可変断片(scFv)の操作された融合タンパク質を含む。NKG2D受容体は、特に細胞傷害性T細胞、ガンマ−デルタT細胞、NK細胞、及びNKT細胞に高発現される活性化分子である。NKG2D受容体が、例えば、抗NKG2D scFv、抗体、又は他のリガンドにより係合されると、その活性化モチーフは、DAP10などの他のアダプタータンパク質のリン酸化(phosphylation)を誘発し、次に一連の細胞活性化及び細胞傷害性の実行を誘発するであろう。参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2010/0150870号は、ヒトNKG2Dに特異性を有する抗体及び癌治療におけるその使用方法について記載している。
開示するポリペプチドは、ナチュラルキラー細胞、T細胞、及び腫瘍細胞を標的とするその能力に関して、三重特異性細胞傷害性リンパ球エンゲージャ(TriCLE)と呼ばれる。
また一方で、TAAは癌細胞に発現される。特定のTAAは癌特異性である。例えば、CS−1は、多発性骨髄腫細胞に発現されるTAAである。CS1は、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAM)ファミリーに属する細胞表面受容体である。CS1が正常細胞ではなくMM細胞で高発現することから、CS1はMM治療の魅力的な標的になる。エロツズマブを用いた前臨床データは、CS1に対し、エロツズマブが、PBMC又は精製NK細胞と共にインキュベートされると、ヒトMM細胞株の細胞溶解を誘発する強い能力を示すことを示した。EGFRvIIIは、その細胞外ドメインに欠損を有し、それによって神経膠芽腫、並びに乳癌、卵巣癌、前立腺癌、及び肺癌に見られる新たな腫瘍特異的標的の形成を生じる。scFvの抗原特異性により、融合タンパク質は特異的にNKG2D及びTAA分子に係合でき、現在の治療方法より副作用を少なくすることができる。
開示するポリペプチドは、組換えDNA技術を使用して操作され得る。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、TAA抗体及びNKG2D抗体を発現する核酸により発現される融合タンパク質である。操作された融合タンパク質をコードするDNA配列は、細菌発現ベクターに組み込まれ得る。開示するポリペプチドは、容易に産生され、再び折り畳まれ、アニオン交換クロマトグラフィーカラムを用いて精製され得る。いくつかの実施形態では、TAA抗体及びNKG2D抗体は、開示するポリペプチドを形成するように化学的に結合された別個のペプチドである。
抗TAA抗体及び抗NKG2D抗体のscFvは、非免疫原性リンカーで結合され得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、ヒト筋肉アルドースタンパク質由来であってよく、又はその変異体であってよい。
開示するポリペプチドがTAAを発現する癌細胞を有する被験体に投与されると、抗TAA scFvは一方のアームで癌細胞表面に結合し、抗NKG2D scFvはもう一方のアームでキラー細胞のNKG2D受容体に結合する。係合により、癌及びキラー細胞が架橋され、免疫溶解性シナプスが形成されるであろう。キラー細胞は、シナプス上にパーフォリン及びグランザイムを放出し、それによって細胞膜を破壊し、癌細胞の細胞死を誘発し得る。いくつかの実施形態では、抗TAA scFvは抗CS−1である。別の特定の実施形態では、抗TAA scFvは抗EGFRvIIIである。したがって、開示するポリペプチドは、キラー細胞を多発性骨髄腫細胞、神経膠芽腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、及び肺癌に結合させることができる。
いくつかの実施形態では、開示するポリペプチドは、NKG2Dに結合するリガンドを含む(即ち、抗体の代わりに)。このようなリガンドは、MIC又はULBPファミリーのものであってよい。例えば、NKG2Dリガンドは、MICA若しくはMICBであってよく、又はNKG2Dリガンドは、ULBP1、ULBP2、ULBP3、ULBP4、ULBP5、若しくはULBP6であってよい。
別の実施形態では、開示するポリペプチドは、CS−1又はEGFRvIIIなどのTAAに結合するリガンドを含む(即ち、抗体の代わりに)。
また、開示するポリペプチドをコードする2つの核酸構築物、例えば、pGEX6p1m−TriCLE及びpET21d−TriCLEも本明細書で開示する。構築物は、細菌、哺乳類、又は真菌細胞を使用する、タンパク質の高収率翻訳に使用され得る。翻訳は、強力なT7プロモータにより推進され得る。pGEX6p1m及びpET21d発現ベクターは、効率的なタンパク質翻訳を支持するために発見されてきたが、本発明の範囲は、本明細書で開示する融合タンパク質をコードする配列と対になる他の発現ベクターを含む。
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。例えば、用語「1つの(a)細胞」は、これらの混合物を含む、複数の細胞を含む。
用語「約」及び「およそ」は、当業者に理解されるように、「近似」していると定義される。1つの非限定実施形態では、この用語は10%以内であると定義される。別の非限定実施形態では、この用語は5%以内であると定義される。更に別の非限定実施形態では、この用語は1%以内であると定義される。
用語「ペプチド」、「タンパク質」、及び「ポリペプチド」は、互換的に使用され、1個のアミノ酸のカルボキシル基が別のアミノ酸のアルファアミノ基に結合した2個以上のアミノ酸を含む天然又は合成分子を指す。用語「タンパク質」は、ペプチド結合又は修飾ペプチド結合により互いに結合したアミノ酸、例えばペプチド同配体などを含み、20遺伝子にコードされるアミノ酸以外の修飾アミノ酸を含み得る。ポリペプチドは、翻訳後プロセシングなどの自然プロセス、又は当該技術分野で周知の化学修飾技術のいずれかにより、修飾され得る。
用語「タンパク質ドメイン」は、タンパク質の一部分、タンパク質の複数部分、又は構造的一体性を示すタンパク質全体を指し、この判断は、タンパク質の一部分、タンパク質の複数部分、又はタンパク質全体のアミノ酸組成に基づき得る。
本明細書で使用するとき、「ペプチド模倣体」は、標準的なペプチド化学のいくつかの改変を含むペプチドの模倣物質を意味する。ペプチド模倣体は、典型的に元のペプチドのいくつかの特性を向上させており、例えば、安定性の向上、有効性の向上、送達の向上、半減期の向上などが挙げられる。既知のポリペプチド配列に基づくペプチド模倣体の作製方法は、例えば、米国特許第5,631,280号、同第5,612,895号、及び同第5,579,250号に記載されている。ペプチド模倣体の使用は、所定の位置で非アミド結合を用いて非アミノ酸残基を組み込むことを伴い得る。本発明の一実施形態は、ペプチド模倣体であり、この化合物は、結合、ペプチド骨格、又は好適な模倣体で置換されたアミノ酸成分を有する。好適なアミノ酸模倣体であり得る非天然アミノ酸のいくつかの非限定的な例としては、β−アラニン、L−α−アミノ酩酸、L−γ−アミノ酩酸、L−α−アミノイソ酩酸、L−ε−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、N−ε−Boc−N−α−CBZ−L−リシン、N−ε−Boc−N−α−Fmoc−L−リシン、L−メチオニンスルホン、L−ノルロイシン、L−ノルバリン、N−α−Boc−N−δCBZ−L−オルニチン、N−δ−Boc−N−α−CBZ−L−オルニチン、Boc−p−ニトロ−L−フェニルアラニン、Boc−ヒドロキシプロリン、及びBoc−L−チオプロリンが挙げられる。
用語「融合タンパク質」は、1個のポリペプチドのアミノ末端と別のポリペプチドのカルボキシル末端との間に形成されたペプチド結合を介して2個以上のポリペプチドが結合することにより形成されるポリペプチドを指す。融合タンパク質は、構成ポリペプチドの化学結合により形成されてもよく、又は単一の連続した融合タンパク質をコードする核酸配列から単一のポリペプチドとして発現されてもよい。一本鎖融合タンパク質は、単一の連続したポリペプチド骨格を有する融合タンパク質である。融合タンパク質は、分子生物学の従来技術を使用して調製され、単一核酸中にフレームで2つの遺伝子を結合し、次いで融合タンパク質が産生される条件下で適切な宿主細胞で核酸を発現させ得る。
用語「抗体」は、標的抗原に選択的に結合する、天然又は合成の抗体を指す。この用語は、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を含む。完全な免疫グロブリン分子に加えて、用語「抗体」には、そうした免疫グロブリン分子の断片又はポリマー、及び標的抗原に選択的に結合するヒト又はヒト化バージョンの免疫グロブリン分子も含まれる。
用語「タンパク質断片」又は「抗体断片」は、全長タンパク質又は抗体の機能部分を指す。抗体断片と呼ぶとき、断片は、一般に標的結合又は可変領域である。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片が挙げられる。抗体の「機能的断片又は類似体」という語句は、全長抗体と同じような質的生物活性を有する化合物である。例えば、抗CS−1抗体の機能的断片又は類似体は、癌細胞表面でCS−1分子に結合できるものである。本明細書で使用するとき、抗体に関する「機能的断片」は、Fv、F(ab)、及びF(ab’)2断片を指す。「Fv」断片は、完全な標的認識及び結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は、強力な非共有結合性会合における1つの重鎖及び1つの軽鎖の可変ドメインの二量体(V−V二量体)からなる。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用し、V−V二量体の表面で標的結合部位を画定することは、この構造におけるものである。全体として、6つのCDRが、抗体に対する標的結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(scFv、即ち標的に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)であっても、結合部位全体より親和性は低いが、標的を認識して結合する能力を有する。
用語「CDR」及びその複数形の「CDRs」は、相補性決定領域を意味し、その3つが軽鎖可変領域の結合特性を形成し(CDR−L1、CDR−L2、及びCDR−L3)、3つが重鎖可変領域の結合特性を形成する(CDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3)。CDRは、抗体の抗原との特異的相互作用に関与する残基の大部分を含み、したがって抗体分子の機能的活性に寄与する(それらは抗原特異性の主な決定子である)。
「一本鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のV及びVドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、sFvが標的結合に望ましい構造を形成するのを可能にする、V及びVドメイン間のポリペプチドリンカーを更に含む。
本明細書で使用するとき、用語「特異的に結合する」は、ポリペプチド(抗体を含む)又は受容体に言及するとき、タンパク質及び他の生物製剤の不均質な集団においてタンパク質若しくはポリペプチド又は受容体の存在の決定要因である結合反応を意味する。したがって、指定条件(例えば、抗体の場合は免疫学的測定条件)下で、規定のリガンド又は抗体は、試料中に存在する他のタンパク質に、又はリガンド若しくは抗体が生物中で接触できる他のタンパク質に多量に結合しないとき、その特定の「標的」に「特異的に結合する」(例えば、抗体は内皮抗原に特異的に結合する)。一般に、第2の分子に「特異的に結合する」第1の分子は、第2の分子に対する親和性(K)が約10−1より大きい(例えば、10−1、10−1、10−1、10−1、1010−1、1011−1、及び1012−1以上)。いくつかの実施形態では、Kは10−6〜10−9−1であり得る。他の実施形態では、Kは10−9〜10−12−1であり得る。
「リガンド」は、本明細書で使用するとき、一般に標的細胞上の受容体と反応できるか、又はさもなければ受容体を認識できる若しくは受容体に結合できる、すべての分子を指す。
開示するポリペプチド構築物の共有結合修飾も意図され、これらは一般に翻訳後に実施されるが、必ずしも翻訳後とは限らない。例えば、開示するポリペプチドの共有結合修飾のいくつかの種類は、ポリペプチド構築物の特異的アミノ酸残基を、選択した側鎖又はN若しくはC末端残基と反応できる有機誘導体化剤と反応させることにより、分子に導入され得る。
いくつかの実施形態では、開示するポリペプチドのグリコシル化パターンが変更される。当該技術分野で周知のように、グリコシル化パターンは、タンパク質の配列(例えば、特定のグリコシル化アミノ酸残基の存在の有無)、又はタンパク質が産生される宿主細胞若しくは生物の両方に依存し得る。ポリペプチドのグリコシル化は、典型的にN結合型又はO結合型のいずれかである。N結合型は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付加を意味する。トリペプチド配列のアスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−スレオニン(Xはプロリン以外の任意のアミノ酸)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的付加の認識配列である。したがって、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列のいずれかが存在すると、潜在的なグリコシル化部位を生じる。O結合型グリコシル化は、糖であるN−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つをヒドロキシアミノ酸に付加することを意味し、ヒドロキシアミノ酸は、5−ヒドロキシプロリン又は5−ヒドロキシリシンも使用できるが、最も一般的にはセリン又はスレオニンである。炭水化物部分の数を増やす別の手段は、タンパク質へのグリコシドの化学的又は酵素的結合による。これらの方法は、N及びO結合型グリコシル化のグリコシル化能を有する宿主細胞でタンパク質の産生を必要としない点で有利である。
いくつかの実施形態では、開示するポリペプチドは、1つ又は2つ以上の標識を更に含む。標識基は、立体障害の可能性を減らすために様々な長さのスペーサーアームを介して開示するポリペプチドに結合され得る。様々なタンパク質の標識方法は、当該技術分野で周知である。一般に、標識は、標識を検出するアッセイに基づいて様々なクラスに分類されており、以下の例が挙げられるが、これらに限定されない:a)同位体標識であって、放射性同位体又は放射性核種などの、放射性同位体又は重同位体であり得る(例えば、3H、14C、15N、35S、89Zr、90Y、99Tc、111In、125l、131I);b)磁気標識(例えば、磁性粒子);c)酸化還元活性部分;d)光学色素(発色団、リン光体、及びフルオロフォアを含むが、これらに限定されない)、例えば、蛍光性基(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン光体)、化学発光基、及び「小分子」蛍石又はタンパク性蛍石のいずれかであり得るフルオロフォア;e)酵素群(例えば、西洋わさびペルオキシターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ);f)ビオチン化基;g)二次リポーターにより認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグなど);及びh)PEG化。
開示するポリペプチドは、例えば、分子の分離に有用である、又は分子の適応された薬学動態プロフィルに関連する、追加ドメインも含み得る。ポリペプチドの分離に有用なドメインは、ペプチドモチーフ又は二次導入部分から選択されてよく、分離カラムなどの分離方法で捕獲され得る。このような追加ドメインの非限定的な実施形態は、Myc−タグ、HAT−タグ、HA−タグ、TAP−タグ、GST−タグ、キチン結合ドメイン(CBD−タグ)、マルトース結合タンパク質(MBP−タグ)、Flag−タグ、Strep−タグ、及びそれらの変異体(例えば、Strepll−タグ)及びHis−タグとして知られる、ペプチドモチーフを含む。いくつかの実施形態では、開示するポリペプチドは、His−タグドメインを含み、これは一般に分子のアミノ酸配列中の連続したHis残基の反復として知られ、好ましくは6つのHis残基からなる。
アミノ酸配列修飾も意図される。例えば、ポリペプチドの結合親和性を高めること、生物学的特性を変更すること、又は機能獲得型変異を導入することが望ましいことがある。アミノ酸配列変異体は、適切なヌクレオチドの変更をポリペプチドの核酸に導入することにより、又はペプチド合成により、調製される。
用語「アミノ酸」又は「アミノ酸残基」は、典型的に、アラニン(Ala又はA);アルギニン(Arg又はR);アスパラギン(Asn又はN);アスパラギン酸(Asp又はD);システイン(Cys又はC);グルタミン(Gin又はQ);グルタミン酸(Glu又はE);グリシン(Gly又はG);ヒスチジン(His又はH);イソロイシン(He又はI):ロイシン(Leu又はL);リシン(Lys又はK);メチオニン(Met又はM);フェニルアラニン(Phe又はF);プロリン(Pro又はP);セリン(Ser又はS);スレオニン(Thr又はT);トリプトファン(Trp又はW);チロシン(Tyr又はY);及びバリン(Val又はV)からなる群から選択されるアミノ酸などの、その分野で認識される定義を有するアミノ酸を指すが、所望により修飾、合成、又は希アミノ酸を使用してもよい。一般に、アミノ酸は、非極性側鎖を有するもの(例えば、Ala、Cys、He、Leu、Met、Phe、Pro、Val);負帯電側鎖を有するもの(例えば、Asp、Glu);正帯電側鎖を有するもの(例えば、Arg、His、Lys);又は非帯電極性側鎖を有するもの(例えば、Asn、Cys、Gin、Gly、His、Met、Phe、Ser、Thr、Trp、及びTyr)として分類され得る。
アミノ酸修飾としては、例えば、抗体構築物のアミノ酸配列中の残基からの除去、及び/又はそれらへの挿入、及び/又はそれらの置換が挙げられる。除去、挿入、及び置換の任意の組み合わせは、最終構築物が所望の特性を有するという前提で、最終構築物を得るように実施される。アミノ酸の変更はまた、グリコシル化部位の数又は位置の変更などの、開示するポリペプチドの翻訳後プロセスも変更し得る。
例えば、各CDRで1、2、3、4、5、又は6個のアミノ酸を挿入又は除去してよい(当然のことながら、その長さに基づく)。開示するポリペプチドの挿入変異体としては、酵素に対する開示するポリペプチドのN末端若しくはC末端への融合、又は開示するポリペプチドの血中半減期を向上させるポリペプチドへの融合が挙げられる。
置換変異誘発に最も興味深い部位としては、重鎖及び/又は軽鎖CDR、特に超可変領域が挙げられる。置換は、本明細書で記載するとき、好ましくは保存的置換である。好ましくは、CDR又はFRの長さに基づいて、CDRでは1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸を置換してよく、その一方でフレームワーク領域(FR)では1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又は25個のアミノ酸を置換してよい。例えば、CDR配列が6個のアミノ酸を含む場合、これらのアミノ酸の1、2、又は3個を置換することが考えられる。同様に、CDR配列が15個のアミノ酸を含む場合、これらのアミノ酸の1、2、3、4、5、又は6個を置換することが考えられる。
変異誘発に好ましい位置である抗体構築物の特定の残基又は領域の有用な同定方法は、Cunningham and Wells in Science,244:1081〜1085(1989)に記載されるように「アラニン系統的変異導入法」と呼ばれる。ここで、抗体構築物内の残基又は標的残基の群は、同定され(例えば、arg、asp、his、lys、及びgluなどの荷電残基)、アミノ酸とエピトープとの相互作用に影響を及ぼすように中性又は負帯電アミノ酸(最も好ましくはアラニン又はポリアラニン)に置換される。
置換に対する機能的感受性を示すこれらのアミノ酸の位置は、次いで置換位置に更なる又は他の変異体を導入することにより精製される。したがって、アミノ酸配列変異を導入する部位又は領域は既定されるが、突然変異の性質自体を既定する必要はない。例えば、所定の部位での突然変異の実行を分析又は最適化するために、標的コドン又は領域でアラニン系統的変異導入法又はランダム変異導入法を実施してよく、発現した抗体構築物変異体を所望の活性の最適な組み合わせでスクリーニングする。既知の配列を有するDNAの所定の部位で置換突然変異を行う技術は周知であり、例えば、M13プライマー変異誘発及びPCR変異誘発が挙げられる。突然変異体のスクリーニングは、標的抗原結合活性のアッセイを使用して行われる。
また、保存的アミノ酸置換、非保存的アミノ酸置換(即ち、縮重変異体)、アミノ酸をコードする各コドン(即ち、DNA及びRNA)の不安定位置内の置換、ペプチドのC末端に付加されたアミノ酸、又は参照配列に対して60%、70%、80%、90%、若しくは95%の相同性を有するペプチドを有する、開示するポリペプチドの変異体も開示する。
用語「配列同一性パーセント(%)」又は「相同性」は、必要に応じて最大パーセントの配列同一性を得るために、配列のアライニング及びギャップの導入後に、参照核酸配列中のヌクレオチド又はアミノ酸と同一である候補配列中のヌクレオチド又はアミノ酸のパーセンテージとして定義される。
一般に重鎖及び/又は軽鎖CDRの1つ若しくは2つ以上又はすべてでアミノ酸が置換されている場合、後に得られる「置換」配列は、「元」のCDR配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%同一であることが好ましい。これは、「置換」配列と同一である度合は、CDRの長さに基づくことを意味する。例えば、5個のアミノ酸を有するCDRは、少なくとも1個の置換されたアミノ酸を有するには、その置換配列と80%同一であり得る。したがって、抗体構築物のCDRは、その置換配列に対して異なる程度の同一性を有してよく、例えば、CDRL1は80%を有し得るのに対し、CDRL3は90%を有し得る。
一部の例では、置換(又は置き換え)は保存的置換である。しかしながら、抗体構築物が、第1の結合ドメインを介してNKG2Dに結合し、第2の結合ドメインを介してCS−1又はEGFRvIIIなどのTAAに結合するその能力を保持する限り、任意の置換が考えられる。
アミノ酸配列に関して、配列同一性及び/又は類似性は、当該技術分野で周知の標準的技術を使用して決定され、これには以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:局所的配列同一性アルゴリズム(Smith and Waterman,1981,Adv.Appl.Math.2:482)、配列同一性アラインメントアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443)、類似性の検索方法(Pearson and Lipman,1988,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.85:2444)、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実施(GAP,BESTFIT,FASTA,and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,Wis.)、Devereux et a/.,1984,Nucl.Acid Res.12:387〜395により記載され、好ましくはデフォルト設定を使用し、又は検査による、Best Fit配列プログラム。好ましくは、同一性パーセントは、以下のパラメータに基づくFastDBにより計算される:1のミスマッチペナルティ、1のギャップペナルティ、0.33のギャップサイズペナルティ、及び30の結合ペナルティ、「Current Methods in Sequence Comparison and Analysis」、Macromolecule Sequencing and Synthesis,Selected Methods and Applications,pp 127〜149(1988),Alan R.Liss,Inc.有用なアルゴリズムの例は、PILEUPである。PILEUPは、逐次的ペアアラインメントを使用して関連配列の群から複数の配列アラインメントを作成する。また、アラインメントの作成に使用されるクラスタリング相関を示す3つをプロットすることができる。PILEUPは、逐次的アラインメント方法(Feng & Doolittle,1987,J.Mol.Evol.35:351〜360)の簡略化を使用しており、この方法は、Higgins and Sharp,1989,CABIOS 5:151〜153により記載されるものとほぼ同じである。有用なPILEUPパラメータとしては、3.00のデフォルトギャップウエイト、0.10のデフォルトギャップレングスウエイト、及びウエイテッドエンドギャップが挙げられる。
有用なアルゴリズムの別の例は、BLASTアルゴリズムであり、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215:403〜410;Altschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389〜3402;及びKarin et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:5873〜5787に記載されている。特に有用なBLASTプログラムは、Altschul ef al.,1996,Methods in Enzymology 266:460〜480から得られたWU−BLAST−2プログラムである。WU−BLAST−2は、いくつかの検索パラメータを使用し、その大部分はデフォルト値に設定される。調整可能なパラメータは、以下の値に設定される:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワード閾値(T)=ll。HSP S及びHSP S2パラメータは、動的値であり、特定の配列の構成と所望の配列を検索している特定のデータベースの構成とに基づいてプログラム自体により設定されるが、値を調整して感度を増してもよい。
更なる有用なアルゴリズムは、Altschul ef al.,1993,Nucl.Acids Res.25:3389〜3402により報告されたようなGapped BLASTである。Gapped BLASTは、BLOSUM−62置換スコアを使用し;閾値Tパラメータを9に設定し;ギャップなし延長(ungapped extensions)をトリガーするための2ヒット法は、10+kのkaコストのギャップ長をチャージし;Xuは16に設定し;Xgはデータベース検索ステージでは40、アルゴリズムの出力ステージでは67に設定される。ギャップアラインメントは、約22ビットに相当するスコアによりトリガーされる。
一般に、個々の変異CDR間のアミノ酸相同性、類似性、又は同一性は、本明細書に示す配列に対して少なくとも60%であり、より典型的には、好ましくは相同性又は同一性を高めて少なくとも65%又は70%、より好ましくは少なくとも75%又は80%、更により好ましくは少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、及びほぼ100%である。同様に、本明細書で同定される結合タンパク質の核酸配列に関する「核酸配列同一性パーセント(%)」は、抗体構築物のコード配列中のヌクレオチド残基と同一である候補配列中のヌクレオチド残基のパーセンテージとして定義される。特異的方法は、デフォルトパラメータに設定されたWU−BLAST−2のBLASTNモジュールを使用し、オーバーラップスパン及びオーバーラップフラクションはそれぞれ1及び0.125に設定される。
一般に、個々の変異CDRをコードするヌクレオチド配列と本明細書に示すヌクレオチド配列との間の核酸配列相同性、類似性、又は同一性は、少なくとも60%であり、より典型的には、好ましくは相同性又は同一性を高めて少なくとも65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、及びほぼ100%である。したがって、「変異CDR」は、本発明の親CDRに対して規定の相同性、類似性、又は同一性を有するものであり、これらに限定されないが、親CDRの特異性及び活性の少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%などの、生物学的機能を共有する。
いくつかの実施形態では、開示するポリペプチドは、以下の式を有する二重特異性一本鎖抗体である。
N−VN−−VT−VT、
N−VN−−VT−VT、
N−VN−−VT−VT、又は
N−VN−−VT−VT、
式中、「VN」は、NKG2Dに特異的な重鎖可変ドメインであり、
「VN」は、NKG2Dに特異的な軽鎖可変ドメインであり、
「VT」は、腫瘍細胞抗原に特異的な重鎖可変ドメインであり、
「VT」は、腫瘍細胞抗原に特異的な軽鎖可変ドメインであり、
「−」は、ペプチドリンカー又はペプチド結合から構成され、
「−−」は、ペプチドリンカー又はペプチド結合から構成される。
上記の式は方向を指定しておらず、したがっていずれの末端もアミノ末端又はカルボキシ末端になり得ることが意図されることに留意されたい。
いくつかの実施形態では、腫瘍細胞抗原はCS−1又はEGFRvIIIである。
いくつかの実施形態では、VNは配列番号5のアミノ酸配列を含み、VNは配列番号6のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、VTは配列番号13のアミノ酸配列を含み、VTは配列番号14のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、VTは配列番号19のアミノ酸配列を含み、VTは配列番号20のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、「−」リンカーは配列番号8のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、「−−」リンカーは配列番号10のアミノ酸配列を含む。これらの実施形態のいずれに関しても、指定した配列は、ポリペプチドの結合親和性を高め、生物学的特性を変更し、又は機能獲得型変異を導入するように修飾され得る。例えば、いくつかの実施形態では、上記の配列は、結合親和性を維持又は向上する1、2、3、4、又は5個のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)を含み得る。
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を含む。
二重特異性抗体は、抗体可変ドメインのみを使用して構築され得る。非常に有効かつ比較的簡単な方法は、V及びVドメイン間のリンカー配列を、折り重なって互いに結合できないほど短くすることである。リンカー長を3〜12残基に減らすことは、scFv分子の単量体構成を防止し、60kDaの非共有結合性scFv二量体「ディアボディ」の形成を伴う分子間V−V対合に有利である。ディアボディ型も組換え二重特異性抗体の生成に使用でき、これは、別の抗体のVドメインに短いリンカーで結合されたある抗体由来のVドメインからなる、2つの一本鎖融合生成物の非共有結合性会合により得られる。リンカー長を更に3残基未満に減らすと、三量体(「トリアボディ」、約90kDa)又は四量体(「テトラボディ」、約120kDa)が形成され得る。操作された抗体、特に単一ドメイン断片の評価に関しては、Holliger and Hudson,2005,Nature Biotechnology,23:1126〜1136を参照されたい。このような操作された抗体のすべてを、本明細書で提供する融合ポリペプチドに使用することができる。
Tetravalent Tandab(登録商標)は、Tandab(登録商標)分子の作製方法を教示するために参照により組み込まれる、国際公開第1999057150 A3号又は米国特許出願公開第20060233787号に記載されるように実質的に調製され得る。
操作された抗体の抗原認識部位又は可変領域全体は、任意の所望の抗原(例えば、CS−1)に対する1つ又は2つ以上の親抗体に由来し得る。親抗体としては、自然発生抗体又は抗体断片、自然発生抗体から応用された抗体又は抗体断片、所望の抗原に特異的なことが知られている抗体又は抗体断片の配列を使用して新たに構築された抗体が挙げられ得る。親抗体に由来し得る配列は、重鎖及び/又は軽鎖可変領域及び/又はCDR、フレームワーク領域、又はそれらの他の部分を含む。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトに投与されると免疫原性が低くなるように改変され得る。このような改変は、最も近いヒト生殖系列配列に相当するように(生殖系列化)、フレームワーク領域のアミノ酸のキメラ化、ヒト化、CDR移植、脱免疫化、及び/又は突然変異として周知の技術のうちの1つ又は2つ以上を含み得る。したがって、改変された二重特異性抗体は、より長期間投与可能なまま、このような改変がいずれもされていない相当する二重特異性抗体より、免疫応答に関する副作用が減少するか又はなくなるであろう。当業者は、望ましくない宿主免疫応答の誘発を防ぐために、抗体を改変する必要性の有無及び改変する程度を決定する方法を理解するであろう。
本明細書で使用するとき、「キラー細胞」は、細胞傷害性T細胞、ガンマ−デルタT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、及びナチュラルキラーT(NKT)細胞であり得る。
一般に、リンカーは、タンパク質を結合すること、又はタンパク質間のいくつかの最小距離若しくは他の空間的関係を保持すること以外、特異的な生物学的活性を有していない。しかしながら、リンカーの構成アミノ酸は、分子の折り畳み、正味荷電、又は疎水性などの、分子のいくつかの特性に影響を与えるように選択され得る。scFv抗体の作製に好適なペプチドリンカー(−)は、Kumada Y,et al.Biochemical Engineering Journal.2007 35(2):158〜165;Albrecht H,et al.J Immunol Methods.2006 310(1〜2):100〜16;Feng J,et al.J Immunol Methods.2003 282(1〜2):33〜43;Griffiths AD,et al.Curr Opin Biotechnol.1998 9(1):102〜8;Huston JS,et al.Methods Enzymol.1991 203:46〜88;Bird RE,et al.Science.1988 242(4877):423〜6;Takkinen K,et al.Protein Eng.1991 4(7):837〜41;Smallshaw JE,et al.Protein Eng.1999 12(7):623〜30;Argos P.J Mol Biol.1990 211(4):943〜58;及びWhitlow M,et al.Protein Eng.1993 6(8):989〜95に記載されており、これらの文献は、これらのリンカーと、様々なリンカーを使用して異なる標的に対するscFv抗体を作製する方法とを教示するために、参照により本明細書に組み込まれる。
scFv分子の結合に使用されるペプチドリンカーの特定の長さは、構築物全体の半減期、免疫原性、及び活性を決定する上で重要である。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、アミノ酸が4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個、又はそれ以上の長さである。いくつかの実施形態では、リンカー配列(−−)は、ヒト筋肉アルドースタンパク質の断片(配列番号10)、又はその変異体を含む。リンカーは、好ましくはV−V鎖の適切な折り畳み及び会合を妨げない程度に長いが、更なる免疫原性を引き起こす程長くない。
本明細書で開示するタンパク質又は断片はまた、単一scFvのV及びV鎖を結合するために、少なくとも1つの更なるリンカーを含み得る。例えば、リンカーは、GGGGS(配列番号22)を3〜5回反復したサイズが異なり得る、グリシン−セリンリンカーであってよい。例えば、配列番号8は、GGGGS(配列番号22)を3回反復したものであり、アミノ酸15個の長さのリンカーを生じる。単一scFvのV及びV鎖を結合するための他の可能な配列としては、CHIドメインの最初の6個のアミノ酸、及び/又は親水性アルファチューブリンペプチド配列を含む、人工リンカーが挙げられる。
また、本明細書で開示するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも開示する。また、開示するポリヌクレオチドを含むベクターも開示する。ベクターは、(外来)遺伝物質を細胞内に導入するためのビヒクルとして使用される核酸分子である。用語「ベクター」は、プラスミド、ウイルス、コスミド、及び人工染色体を包含するが、これらに限定されない。一般に、操作されたベクターは、複製開始点、マルチクローニング部位、及び選択可能マーカーを含む。ベクター自体は、一般に、挿入部分(導入遺伝子)と、ベクターの「骨格」として働くより大きな配列とを含む、ヌクレオチド配列、通常はDNA配列である。最新のベクターは、導入遺伝子挿入及び骨格以外に、プロモータ、遺伝マーカー、抗生物質耐性、レポーター遺伝子、標的配列、タンパク質精製タグといった更なる特徴を包含し得る。発現ベクターは、導入遺伝子を標的細胞で発現させるためであり、一般にコントロール配列を有する。用語「コントロール配列」は、特定の宿主生物で操作可能に連結したコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。原核生物に好適なコントロール配列は、例えば、プロモータと、任意追加的にオペレータ配列と、リボソーム結合部位とを含む。真核細胞は、プロモータ、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサを使用するために周知である。
また、開示するポリヌクレオチド又はベクターで形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞も開示する。本明細書で使用するとき、用語「宿主細胞」又は「レシピエント細胞」は、ベクター、外来性核酸分子、及び開示するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのレシピエント;及び/又はポリペプチド自体のレシピエントであり得るか又はレシピエントであった、任意の個々の細胞又は細胞培養物を含むことが意図される。それぞれの物質の細胞への導入は、形質転換、トランスフェクションなどの方法により行われる。用語「宿主細胞」はまた、単一細胞の子孫又は潜在的子孫を含むことが意図される。自然、偶発的、若しくは意図的突然変異のいずれかにより、又は環境の影響により、世代継承で特定の変異が起こり得るため、このような子孫は、実際には、親細胞と(形態学的に、又はゲノム若しくは全DNA相補体において)完全に同じではあり得ないが、本明細書で使用するとき、依然として用語の範囲内に含まれる。好適な宿主細胞としては、原核又は真核細胞が挙げられ、また、細菌、酵母細胞、真菌細胞、植物細胞、及び動物細胞、例えば、昆虫細胞及び哺乳類細胞(例えば、マウス、ラット、マカク、又はヒト)も挙げられるが、これらに限定されない。
開示するポリペプチドは、細菌で産生され得る。原核生物に加えて、糸状菌又は酵母などの真核微生物は、開示するポリペプチドに好ましいクローニング又は発現宿主である。Saccharomyces cerevisiae、即ち一般的なパン酵母は、下等真核宿主微生物中で最も一般的に使用される。しかしながら、多くの他の属、種、及び株が一般的に使用可能及び本明細書で有用であり、例えば、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces宿主、例えば、K.lactis、K.fragilis(ATCC 12424)、K.bulgaricus(ATCC 16045)、K.wickeramii(ATCC 24178)、K.waltii(ATCC 56500)、K.drosophilarum(ATCC 36906)、K.thermotolerans、及びK.marxianus;yarrowia(欧州特許第402 226号)、Pichia pastoris(欧州特許第183 070号);Candida;Trichoderma reesia(欧州特許第244 234号);Neurospora crassa;Schwanniomyces、例えば、Schwanniomyces occidentalis;及び糸状菌、例えば、Neurospora、Penicillium、Tolypocladium、及びAspergillus宿主、例えば、A.nidulans及びA.nigerが挙げられる。
グリコシル化ポリペプチドの発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物に由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。多くのバキュロウイルス株及び変異株並びに対応する宿主由来の許容昆虫宿主細胞、例えば、Spodoptera frugiperda(イモムシ)、Aedes aegypti(蚊)、Aedes albopictus(蚊)、Drosophila melanogaster(ショウジョウバエ)、及びBombyx moriが、同定されている。トランスフェクション用の様々なウイルス株が公的に入手可能であり、例えば、Autographa californica NPVのL−1変異株及びBombyx mori NPVのBm−5株が挙げられる。綿、トウモロコシ、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、トマト、シロイヌナズナ、及びタバコの植物細胞培養物も、宿主として使用され得る。植物細胞培養物でのタンパク質の産生に有用なクローニング及び発現ベクターは、当業者に周知である。
好適な宿主細胞には脊椎動物細胞も挙げられ、脊椎動物細胞の培養(組織培養)における増殖は常法になっている。有用な哺乳類宿主細胞株の例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7,ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(懸濁培養液での増殖のためにサブクローンされた293又は293細胞、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977));子ハムスター腎臓細胞(BHK,ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO,Urlaub ef al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));マウスセルトリ細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.23:243〜251(1980));サル腎臓細胞(CVI ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76,ATCC CRL1587);ヒト子宮頚部癌細胞(HELA,ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK,ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A,ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2,1413 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562,ATCC CCL5 1);TRI細胞(Mather et al.,Annals N.Y Acad.Sci.(1982)383:44〜68);MRC 5細胞;FS4細胞;及びヒト肝癌株(Hep G2)である。
また、本明細書で開示するポリペプチドの産生方法も開示し、この方法は、開示するポリペプチドを発現させる条件下で本明細書に開示する宿主細胞を培養する工程と、培養物からポリペプチドを回収する工程とを含む。
組換え技術を使用するとき、開示するポリペプチドは、組織内で、細胞膜周辺腔で、又は培質中に直接分泌して、産生され得る。ポリペプチドが細胞内で産生される場合、第1の工程として、粒子破片(宿主細胞又は溶解した断片のいずれか)を、例えば、遠心分離又は限外濾過により除去する。ポリペプチドは、E.coliの細胞膜周辺腔に分泌されてもよい。簡単に言うと、細胞ペーストは、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、及びフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)の存在下で約30分以上融解される。細胞破片は、遠心分離により除去され得る。ポリペプチドが媒質中に分泌される場合、このような発現系から得られた上澄み液は、一般に市販のタンパク質濃縮フィルター(例えば、Amicon又はMillipore Pellicon限外濾過ユニット)を使用して最初に濃縮される。前述の工程のいずれかに、タンパク質分解を阻害するためにPMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を含んでもよく、外来性汚染物の増殖を防ぐために抗生物質を含んでもよい。
宿主細胞から調製された開示するポリペプチドは、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及びアフィニティクロマトグラフィーを使用して回収又は精製され得る。他のタンパク質精製技術、例えば、イオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSE(商標)でのクロマトグラフィー、アニオン又はカチオン交換樹脂(ポリアスパラギン酸カラムなど)でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、及び硫安沈殿も、回収するポリペプチドに基づいて使用可能である。開示するポリペプチドがCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX樹脂(J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)が精製に有用である。
アフィニティクロマトグラフィーを使用してもよい。親和性リガンドが付着するマトリックスは、ほとんどの場合にアガロースであるが、他のマトリックスも使用可能である。制御された細孔性ガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定なマトリックスは、アガロースで得られるより速い流速と短い処理時間を可能にする。
また、本明細書で開示するポリペプチドを医薬的に許容される担体中に含む、医薬組成物も開示する。「医薬的に許容される」とは、生物学的に又はその他の点で望ましくなくない物質を意味し、即ち、物質は、望ましくない生物学的効果をいずれも引き起こすことなく、又は物質が含まれる医薬組成物の他の成分のいずれかと有害な様式で相互作用することなく、核酸又はベクターと共に被験体に投与され得る。担体は、当業者に周知であるように、活性成分の分解を最小限にするため、及び被験体における任意の有害な副作用を最小限にするため、当然選択される。
本明細書で開示する化合物は、非経口投与用に処方され得る。非経口製剤は、当該技術分野で周知の技術を使用して、水性組成物として調製され得る。典型的には、このような組成物は、注射製剤、例えば、溶液又は懸濁液;注射前に再構成媒質を添加して溶液又は懸濁液を調製するように使用するのに好適な固形;乳剤、例えば、油中水(w/o)型乳剤、水中油(o/w)型乳剤、及びそれらのマイクロエマルション、リポソーム、又はエマルソームとして調製され得る。
担体は、例えば、水、エタノール、1つ又は2つ以上のポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、植物油などの油(例えば、落花生油、コーン油、ゴマ油など)、及びそれらの組み合わせを含む、溶剤又は分散媒であり得る。
適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合に必要な粒径の維持により、及び/又は界面活性剤の使用により、維持され得る。多くの場合に、等張化剤、例えば、糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。
活性化合物の遊離酸又は塩基又は薬学的に許容される塩としての溶液及び分散液は、水又は他の溶剤又は分散媒中で調製され、1つ又は2つ以上の医薬的に許容される賦形剤と適切に混合されてよく、これらの賦形剤としては、界面活性剤、分散剤、乳化剤、pH調整剤、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
好適な界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性、又は非イオン性界面活性剤であり得る。好適なアニオン性界面活性剤としては、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、及び硫酸イオンを含むものが挙げられるが、これらに限定されない。アニオン性界面活性剤の例としては、長鎖アルキルスルホン酸及びアルキルアリールスルホン酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、例えば、ビス−(2−エチルチオキシル)−スルホコハク酸ナトリウム;及びアルキル硫酸塩、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、四級アンモニウム化合物、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化セトリモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ポリオキシエチレン及びココナツアミンが挙げられるが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤の例としては、モノステアリン酸エチレングリコール、ミリスチン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ポリグリセリル−4−オレエート、ソルビタンアシレート、スクロースアシレート、PEG−150ラウレート、PEG−400モノラウレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリソルベート、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、PEG−100セチルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリプロピレングリコールブチルエーテル、Poloxamer(登録商標)401、ステアロイルモノイソプロパノールアミド、及びポリオキシエチレン水添獣脂アミドが挙げられる。両性界面活性剤の例としては、N−ドデシル−β−アラニンナトリウム、N−ラウリル−β−イミノジプロピオン酸ナトリウム、ミリストアンホ酢酸、ラウリルベタイン、及びラウリルスルホベタインが挙げられる。
製剤は、微生物の増殖を防ぐために防腐剤を含み得る。好適な保存剤としては、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、及びチメロサールが挙げられるが、これらに限定されない。製剤はまた、活性薬剤の分解を防ぐために酸化防止剤も含み得る。
製剤は、典型的には再構成時に非経口投与用にpH3〜8に中和される。好適な緩衝液としては、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、及びクエン酸緩衝液が挙げられが、これらに限定されない。
水溶性ポリマーは、多くの場合に非経口投与用の製剤に使用される。好適な水溶性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、及びポリエチレングリコールが挙げられが、これらに限定されない。
無菌注射剤は、必要量の活性化合物を、必要に応じて1つ又は2つ以上の上記の賦形剤と共に適切な溶剤又は分散媒に加え、次いで濾過滅菌することにより調製され得る。一般に、分散液は、様々な滅菌した活性成分を、塩基性分散媒と上記成分のうちの必要な他の成分とを含む無菌ビヒクルに加えることにより調製される。無菌注射剤を調製するための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、予め無菌濾過した活性成分及び任意の所望の追加成分の溶液からそれらの粉末を得る、真空乾燥及び凍結乾燥技術である。粉末は、粒子が事実上多孔質になるように調製されてよく、それによって粒子の溶解を向上させ得る。多孔質粒子の作製方法は、当該技術分野で周知である。
ペプチドは、誘導体の経口送達が有効であるように化学的に修飾され得る。一般に、意図される化学修飾は、少なくとも1つの部分を成分分子自体に結合させることであり、この部分は、(a)タンパク質分解の阻害、及び(b)胃又は腸から血流への取り込みを可能にする。また、成分の全体的な安定性を向上させ、体内での循環時間を向上させることが望ましい。例えば、PEG化は、医薬用途に好ましい化学修飾である。使用され得る他の部分としては、プロピレングリコール、エチレングリコール及びプロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリプロリン、ポリ−1,3−ジオキソラン、及びポリ−1,3,6−チオキソカンが挙げられる。
経口製剤に関しては、放出場所は、胃、小腸(十二指腸、空腸(jejunem)、若しくは回腸)、又は大腸であり得る。当業者は、胃で溶解せず、しかも十二指腸又は他の腸内で物質を放出する、利用可能な製剤を有する。好ましくは、放出は、ペプチド(又は誘導体)を保護するか、又は胃内環境を越えて腸内などでペプチド(又は誘導体)を放出するかのいずれかにより、胃内環境の悪影響を避けるであろう。
完全な胃内耐性を保証するために、コーティングは少なくともpH5.0まで不透過性にすることができる。腸溶コーティングとして使用されるより一般的な不活性成分の例は、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、HPMCP 50、HPMCP 55、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、Eudragit L30D、Aquateric、セルロースアセテートフタレート(CAP)、Eudragit L、Eudragit S、及びShellacである。これらのコーティングを混合フィルムとして使用してもよい。
コーティング又はコーティング混合物はまた、胃に対する保護を意図しない、錠剤に使用してもよい。これには、糖衣、又は錠剤を飲み込みやすくするコーティングが挙げられ得る。カプセルは、乾燥治療(即ち、粉末)の送達のためにハードシェル(ゼラチンなど)から構成されてよく、液体ではソフトゼラチンシェルを使用してよい。カシェ剤のシェル材料は、薄いデンプン又は他の食用紙であり得る。ピル、トローチ剤、成型錠剤、又は粉薬錠剤に関しては、湿潤集塊技術を使用してよい。
ペプチドの水性環境への溶解を補助するために、湿潤剤として界面活性剤を添加し得る。界面活性剤には、アニオン性洗剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、及びジオクチルスルホン酸ナトリウムが挙げられ得る。カチオン性洗剤は、塩化ベンザルコニウム又は塩化ベンゼトニウムを使用してよく、これらを含み得る。界面活性剤として製剤に含まれ得る潜在的非イオン性洗剤のリストは、ラウロマクロゴール400、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50、及び60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート20、40、60、65、及び80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースである。これらの界面活性剤は、タンパク質又は誘導体の製剤中に単体又は異なる割合の混合物のいずれかとして存在してよい。
ペプチドの取り込みを潜在的に高める添加剤は、例えば、脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸である。
放出制御経口製剤が望ましいことがある。ペプチドは、拡散又は浸出機構のいずれかにより放出を可能にする不活性基質に加えられてよい(例えば、ゴム質)。徐々に変質する基質も製剤に組み込まれ得る。いくつかの腸溶コーティングも遅延放出効果を有する。別の放出制御形態は、Oros治療システム(Alza Corp.)に基づく方法によるものであり、即ち、薬剤は半透膜中に封入されており、半透膜は、単一の小孔から浸透圧効果により水が浸入して薬剤を押し出すことができる。
他のコーティングを製剤に使用してもよい。これらには、コーティングパンに適用され得る様々な糖が含まれる。ペプチドをフィルムコート錠に提供してもよく、この場合に使用される材料は2つの群に分けられる。第1の群は、非腸溶性材料であり、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポロビドン、及びポリエチレングリコールを含む。第2の群は、フタル酸の一般的なエステルである腸溶性材料から構成される。
材料の混合物を使用して、最適なフィルムコーティングを提供してもよい。フィルムコーティングは、パンコーター若しくは流動層で、又は圧縮コーティングにより行われ得る。
また、癌の治療が必要な被験体で癌を治療する方法も開示し、これは本明細書で開示するポリペプチドを被験体に投与することを伴う。いくつかの症例では、ポリペプチドは治療有効量で投与される。
医薬組成物などの、本明細書で開示する組成物は、局所治療又は全身治療が望まれているかどうか、及び治療する領域に応じて、多数の方法で投与され得る。例えば、開示する組成物は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内、又は経皮的に投与され得る。組成物は、例えば、経口的に、非経口的に(例えば、静脈内に)、筋肉内注射によって、腹腔内注射によって、経皮的に、体外に、眼科用に、膣内に、直腸に、鼻腔内に、局所的に投与されてよく、これには、局所鼻腔内投与又は吸入による投与が含まれる。
組成物の非経口投与は、使用される場合、一般に注射を特徴とする。注射剤は、溶液若しくは懸濁液、注射前に液体で懸濁する溶液に好適な固形、又は乳剤のいずれかとして、従来の形態で調製されてよい。見直された非経口投与の方法は、一定用量が維持されるように徐放系又は持続放出系の使用を伴う。
本明細書で開示する組成物は、癌のリスクがある患者又は被験体に予防的に投与され得る。したがって、方法は、本明細書で開示する組成物の投与の前に癌のリスクがある被験体を識別することを更に含み得る。
必要とされる組成物の正確な量は、被験体の人種、年齢、体重及び全身状態、治療されるアレルギー性疾患の重症度、使用される特定の核酸又はベクター、組成物の投与様式などに依存して、被験体によって異なるであろう。したがって、すべての組成物の正確な量を指定することは不可能である。しかしながら、適量は、本明細書の教示に鑑みて、通常の実験のみを使用して、当業者によって決定され得る。例えば、組成物を投与するための有効用量及びスケジュールは、経験的に判定され得、かかる判定を行うことは、当該技術分野の技術内である。組成物の投与用量範囲は、疾患が引き起こされる症状に所望の効果を生じるほど大きいものである。用量は、望ましくない交差反応、アナフィラキシー反応などの有害な副作用を引き起こすほど大きくあるべきではない。一般に、用量は、年齢、状態、性別、及び患者の疾患の程度、投与経路、又は他の薬物がレジメンに含まれているかどうかとともに変動し、当業者によって判定することができる。用量は、いずれかの禁忌がある場合には、個々の医師によって調整することができる。用量は、毎日、1日、又は数日間、変更することができ、かつ1つ若しくは2つ以上の用量の投与において投与することができる。指針は、所与のクラスの医薬製品に対する適切な用量に関する文献において見出すことができる。例えば、抗体の適切な用量選択における指針は、抗体の治療用途に関する文献に見出すことができ、これには例えば、Handbook of Monoclonal Antibodies,Ferrone et al.,eds.,Noges Publications,Park Ridge,N.J.,(1985)ch.22 and pp.303〜357;Smith et al.,Antibodies in Human Diagnosis and Therapy,Haber et al.,eds.,Raven Press,New York(1977)pp.365〜389が挙げられる。典型的な単独使用の抗体の一日用量は、上記の因子に基づいて、一日につき体重1kg当たり約1μg〜最大100mg又はそれ以上の範囲であり得る。
いくつかの実施形態では、開示するポリペプチドは、体重1kg当たり約0.1ng〜約100g、体重1kg当たり約10ng〜約50g、体重1kg当たり約100ng〜約1g、体重1kg当たり約1μg〜約100mg、体重1kg当たり約1μg〜約50mg、体重1kg当たり約1mg〜約500mg、及び体重1kg当たり約1mg〜約50mgの非経口投与に相当する用量で投与される。あるいは、治療有効量を得るために投与されるポリペプチドの量は、体重1kg当たり約0.1ng、1ng、10ng、100ng、1μg、10μg、100μg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、500mg、又はそれ以上である。
「被検体」という用語は、投与又は治療の標的である任意の個体を指す。被検体は、脊椎動物、例えば、哺乳類であり得る。このため、被検体は、ヒト又は獣医学的患者であり得る。「患者」という用語は、臨床医、例えば、医師の治療下にある被検体を指す。
開示する方法の癌は、未制御の増殖、浸潤、又は転移を起こす被験体の任意の細胞であり得る。いくつかの態様では、癌は、現在放射線療法が使用される、任意の新生物又は腫瘍であり得る。あるいは、癌は、標準的な方法を使用する放射線療法の影響を十分に受けない、新生物又は腫瘍であり得る。したがって、癌は、肉腫、リンパ腫、白血病、癌種、芽腫、又は胚細胞腫瘍であり得る。開示する組成物を治療に使用できる癌の代表的な非限定的リストには、リンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、菌状息肉腫、ホジキン病、骨髄性白血病、膀胱癌、脳腫瘍、神経系癌、頭頚部癌、頭頚部扁平上皮癌、腎臓癌、小細胞肺癌及び非小細胞肺癌などの肺癌、神経芽細胞腫/神経膠芽腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、肝臓癌、黒色癌、口腔、咽喉、喉頭、及び肺の扁平上皮癌、結腸癌、子宮頸癌、子宮頸癌種、乳癌、上皮癌、腎臓癌、泌尿生殖器癌、肺癌、食道癌、頭頚部癌種、大腸癌、造血性癌;精巣癌;結腸及び直腸癌、前立腺癌、及び膵臓癌が挙げられる。
本発明のいくつかの実施形態について説明されている。それでもなお、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく種々の修正を加えてもよいことが理解される。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。
実施例1:抗CS−1 TriCLEの作製及びその特徴
材料及び方法
抗CS1及び抗EGFRvIII TriCLEのクローニング。TriCLEをインシリコ(in silco)で設計し、遺伝子断片として合成した(Invitrogen)。遺伝子断片を発現ベクター(例えば、pGEX6p−1及びpET21d)にクローンした。SEQ ID NOs:1及び2は、それぞれpET21d−TriCLE及びpGEX6p−1−TriCLEのヌクレオチド配列を提供する。
タンパク質の産生。30℃で一晩100μM IPTGを添加することにより、タンパク質の発現を誘発した。その後、細菌細胞を採取し、Tris pH7.4及びプロテアーゼ阻害剤を含む溶解緩衝液中で超音波処理により溶解させた。TriCLEタンパク質をHisTRAPカラム(GE Health Science)で精製し、再び折り畳み、遠心分離フィルターユニットを使用してPBS/グリセリンで透析した。TriCLEの濃度を測定し、試験用に希釈した。
フローサイトメトリー。TriCLEの結合親和性をフローサイトメトリーの使用により試験した。2×10−5の多発性骨髄腫細胞株(例えば、MM1.s)又は神経膠芽腫(GBM)細胞株を使用して、一次染色試薬としてTriCLEで染色した後、scFvの存在を検出するためにビオチン標識タンパク質Lを使用し、フローサイトメトリーによりPE結合抗ビオチン抗体で検出した。ヒト末梢血単核細胞における他の表現型検査に関して、次の抗体を使用した:CD56−APC(Beckman Coulter)、CD3−APCH7(BD Bioscience)、CD14−FITC(BD Bioscience)、CD69−PE(Beckman Coulter)。
細胞傷害性アッセイ。TriCLEの細胞傷害性アッセイを24及び48時間実施した。したがって、フロー計測細胞傷害性アッセイを使用した。簡単に言うと、20:1のエフェクター対標的比でNK細胞株NKLを多発性骨髄腫細胞株H929細胞と混合した。TriCLEを50pg/mL〜10μg/mLの指定漸増用量で共培養に添加し、2時間インキュベートした。対照としてTriCLEあり又はなしのNKL単独及びH929単独を使用し、TriCLEの毒性を測定した。細胞を採取し、フローサイトメトリーにより分析して、各条件の生細胞及び死細胞の割合を測定した。
配列:
pET21d−抗CS−1−TriCLEのDNA配列



pGEX6p1m−抗CS−1−TriCLEのDNA配列


抗NKG2D重鎖のDNA配列
抗NKG2D軽鎖のDNA配列
抗NKG2D重鎖のタンパク質配列
抗NKG2D軽鎖のタンパク質配列
ScFvリンカー(G4S)3のDNA配列
ScFvリンカー(G4S)3のタンパク質配列
HMAのDNA配列
HMAのタンパク質配列
3’〜5’CS−1 scFv軽鎖のDNA配列
3’〜5’CS−1 scFv軽鎖のDNA配列
3’〜5’CS−1 scFv重鎖のタンパク質配列
3’〜5’CS−1 scFv軽鎖のタンパク質配列
ヒスチジンタグのDNA配列
ヒスチジンタグのタンパク質配列
3’〜5’EGFRvIII scFv重鎖のDNA配列
3’〜5’EGFRvIII scFv軽鎖のDNA配列
3’〜5’EGFRvIII scFv重鎖のタンパク質配列
3’〜5’EGFRvIII scFv軽鎖のタンパク質配列
TriCLE
グリシン−セリンリンカー
TriCLEは、scFv(G4S)4リンカーによる抗NKG2D抗体の重鎖及び軽鎖と、ヒト筋肉アルドースの20アミノ酸リンカーと、抗CS−1抗体の重鎖及び軽鎖とを結合することにより、インシリコで設計された(Chu et al.,Leukemia 28(2014),917〜27及びChu et al.Clin Cancer Res 20(2014),3989〜4000)。設計を図1に示す。抗NKG2D scFvのDNA及びタンパク質配列を上記に示す(配列番号3〜6)。抗NKG2D scFv及び抗CS1 scFvの重鎖及び軽鎖を結合するために、グリシン及びセリンの反復で構成されたリンカーを使用した(配列番号7及び8)。HMAのDNA及びタンパク質配列を配列番号9及び10として示す。抗CS1 scFvのDNA配列(配列番号11及び12)及びタンパク質配列(配列番号13及び14)を3’〜5’まで示した。配列全体にヒスチジン(配列番号15〜16)の6反復が続く。
抗CS−1 TriCLEの生化学的分析は、56.6kDaの分子量を有することを示し、7.99のpIを有した。全アミノ酸組成を表1に示す。TriCLEのサイズは、タンパク質Lにより検出されるとき、Commassie Blue染色及びウエスタンブロットを使用して標準的なSDS−PAGEにより確認された(図2)。TriCLEの吸光係数は、水中で102720M−1cm−1である。細菌における概算半減期は10時間超である。
実施例2:抗CS−1 TriCLE活性化NK細胞の多発性骨髄腫(MM)細胞に対する細胞傷害性
図3は、抗CS−1 TriCLE存在下におけるNK細胞株NKLの多発性骨髄腫(MM)細胞株H929に対する細胞傷害性のグラフである。50pg/mL〜10μg/mLの範囲のTriCLEの漸増用量を、20:1のエフェクター比でNKL:H929の共培養に添加した。
実施例3:抗CS−1 TriCLEは、多発性骨髄腫細胞を効率的に染色し得る
抗CS−1 TriCLEをフローサイトメトリー用の染色試薬として使用したとき、多発性骨髄腫患者から単離された典型的な細胞株であるMM1.sの80%を染色することができた(図4A)。アイソタイプ対照と比べると、平均蛍光強度が有意に上昇した。これは、CS1 scFvが機能的であったことを示唆する(図4B)。
実施例4:抗CS−1 TriCLEは、ヒトキラー細胞を活性化し、特異的細胞傷害性を誘発した
TriCLEは、5μg/mLにおいて、CD69のアップレギュレーションにより示されるように、初代T細胞、NKT細胞、及びNK細胞をPBMC中で4時間で活性化した(図5A)。これは、抗NKG2D scFvが固定化され、細胞活性化を誘発するのに機能的であったことを示唆した。抗CD3抗体を同時に投与したとき、CD69のアップレギュレーションが見られた(図5B)。TriCLEをMM1.s、H929、及びRPMI−8226などの多発性骨髄腫細胞株の共培養で使用したとき、TriCLE活性化PBMCの細胞傷害性が上昇した(図5C)。MM1.sのEC50は3×10−12Mであった。CS1の発現が低い細胞株に関しては、H929細胞のEC50は1.2×10−9Mであり、RPMI−8226のEC50は1.8×10−9Mであった。TriCLEは、24時間及び48時間でのCD56枯渇エフェクター細胞を使用して、細胞傷害性を誘発した(図5D)。
実施例5:抗EGFRvIII TriCLEは、ヒトキラー細胞を活性化し、特異的細胞傷害性を誘発した
図1Aは、抗EGFRvIII TriCLEの図式表示を示す。EGFRvIII scFvの重鎖及び軽鎖のDNA及びタンパク質配列を配列番号17〜20として示す。図6Aは、抗EGFRvIII TriCLEによるT細胞、NKT細胞、及びNK細胞の活性化を示す。5μg/mLのTriCLEを休止ヒトPBMCに4時間添加した後、細胞を採取し、CD3、CD56、CD14、及びCD69について室温で20分間染色した。細胞をフローサイトメトリーにより分析した。図6Bは、活性化ヒトPBMCの細胞傷害性が、3種類の多発性骨髄腫細胞GBM1123に対して抗EGFRvIII TriCLEにより高められたことを示す。非線形回帰曲線からEC50を計算した。結果は3人の個別ドナーから得られた。***p<0.001、**p<0.01。
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、開示される発明に属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に引用される刊行物及びそれらが引用される資料は、参照により具体的に組み込まれる。
当業者であれば、日常的な実験のみを使用して、本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を理解するか、又は解明することができる。かかる等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されるものとする。

Claims (29)

  1. NKG2D受容体及び腫瘍関連抗原(TAA)の両方に結合するポリペプチドであって、前記TAAがCS−1又はEGFRvIIIのいずれかである、ポリペプチド。
  2. 前記ポリペプチドが、NKG2Dに結合する抗体又はその断片(「NKG2D抗体」)を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 前記NKG2D抗体が一本鎖可変断片である、請求項2に記載のポリペプチド。
  4. 前記NKG2D抗体が、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重鎖(V)ドメインと、配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V)ドメインとを含む、請求項3に記載のポリペプチド。
  5. 前記ポリペプチドが、CS−1又はEGFRvIIIのいずれかに結合する抗体又はその断片(「CS−1抗体」又は「EGFRvIII抗体」)を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  6. 前記CS−1抗体が一本鎖可変断片である、請求項5に記載のポリペプチド。
  7. 前記CS−1抗体が、配列番号13のアミノ酸配列を含む可変重鎖(V)ドメインと、配列番号14のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V)ドメインとを含む、請求項6に記載のポリペプチド。
  8. 前記EGFRvIII抗体が一本鎖可変断片である、請求項5に記載のポリペプチド。
  9. 前記EGFRvIII抗体が、配列番号19のアミノ酸配列を含む可変重鎖(V)ドメインと、配列番号20のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V)ドメインとを含む、請求項8に記載のポリペプチド。
  10. 非免疫原性リンカーを更に含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  11. 前記非免疫原性リンカーが配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載のポリペプチド。
  12. 以下の式:
    N−VN−−VT−VT、
    N−VN−−VT−VT、
    N−VN−−VT−VT、又は
    N−VN−−VT−V
    (式中、
    「VT」は、CS−1又はEGFRvIIIに特異的な重鎖可変ドメインであり、
    「VT」は、CS−1又はEGFRvIIIに特異的な軽鎖可変ドメインであり、
    「VN」は、NKG2Dに特異的な軽鎖可変ドメインであり、
    「VN」は、NKG2Dに特異的な重鎖可変ドメインであり、
    「−」は、ペプチドリンカー又はペプチド結合から構成され、
    「−−」は、ペプチドリンカー又はペプチド結合から構成される)
    を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  13. 二重特異性抗体であって、請求項12に記載のポリペプチドを含み、前記VN及び前記VNが、NKG2Dに対する抗原結合部位を形成するように二量体化されており、前記VT及び前記VTが、CS−1又はEGFRvIIIに対する抗原結合部位を形成するように二量体化されている、二重特異性抗体。
  14. 第1の抗原結合領域及び第2の抗原結合領域を含む二重特異性抗体を含む単一ポリペプチド鎖を含む二重特異性抗体であって、
    前記第1の抗原結合領域は、ヒト免疫エフェクター細胞上のNKG2Dに特異的に結合することにより、ヒト免疫エフェクター細胞の活性を漸増することができ、
    前記第2の抗原結合領域は、標的細胞上のCS−1又はEGFRvIIIに特異的に結合することができる、二重特異性抗体。
  15. 前記第1の部分が2つの抗体可変ドメインを含む、請求項14に記載の二重特異性抗体。
  16. 前記第2の部分が2つの抗体可変ドメインを含む、請求項14又は15に記載の二重特異性抗体。
  17. 前記第1及び第2の部分がヒト抗体由来である、請求項14〜16のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
  18. 前記第1の抗原結合領域が、配列番号5のアミノ酸配列を有する可変重鎖(V)ドメインと、配列番号6のアミノ酸配列を有する可変軽鎖(V)とを含む、請求項14〜17のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
  19. 前記第2の抗原結合領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有する可変重鎖(V)ドメインと、配列番号14のアミノ酸配列を有する可変軽鎖(V)とを含む、請求項14〜18のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
  20. 前記第2の抗原結合領域が、配列番号19のアミノ酸配列を有する可変重鎖(V)ドメインと、配列番号20のアミノ酸配列を有する可変軽鎖(V)とを含む、請求項14〜18のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
  21. 前記抗体が配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の二重特異性抗体。
  22. 請求項14〜21のいずれか一項に記載の二重特異性抗体を医薬的に許容される担体中に含む、医薬組成物。
  23. 請求項22に記載の医薬組成物の治療有効量を被験体に投与することを含む、被験体における癌の治療方法。
  24. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸配列を含む、単離ポリヌクレオチド。
  25. 異種発現コントロール配列に操作可能に連結した請求項24に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
  26. 請求項25に記載のベクターを含む、宿主細胞。
  27. NKG2D受容体及び腫瘍関連抗原(TAA)の両方に結合するポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、
    NKG2Dに結合する抗体又はその断片(「NKG2D抗体」)であって、配列番号5のアミノ酸配列を含む可変重鎖(V)ドメイン、配列番号6のアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V)ドメイン、又はそれらの組み合わせを含む、NKG2D抗体と、
    TAAに結合する抗体又はその断片(「TAA抗体」)と、を含む、ポリペプチド。
  28. 以下の式:
    N−VN−−VT−VT、
    N−VN−−VT−VT、
    N−VN−−VT−VT、又は
    N−VN−−VT−V
    (式中、
    「VT」は、TAAに特異的な重鎖可変ドメインであり、
    「VT」は、TAAに特異的な軽鎖可変ドメインであり、
    「VN」は、NKG2Dに特異的な軽鎖可変ドメインであり、
    「VN」は、NKG2Dに特異的な重鎖可変ドメインであり、
    「−」は、ペプチドリンカー又はペプチド結合から構成され、
    「−−」は、ペプチドリンカー又はペプチド結合から構成される)
    を含む、請求項27に記載のポリペプチド。
  29. 請求項28に記載のポリペプチドを含み、前記VN及び前記VNが、NKG2Dに対する抗原結合部位を形成するように二量体化されており、前記VT及び前記VTが、TAAに対する抗原結合部位を形成するように二量体化されている、二重特異性抗体。
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