JP7472528B2 - ほぐれ性及び食感が改善された調理麺類の製造方法 - Google Patents

ほぐれ性及び食感が改善された調理麺類の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、喫食時の麺類のほぐれ性及び食感が改善された調理麺類の製造方法、および当該調理麺類の製造のために使用されるほぐれ性及び食感改善用組成物に関する。
うどん、そば、中華麺、パスタ等の麺類は古くから日本人の食生活に浸透し、現在でも食卓には頻度高く登場する食品である。近年では、調理済みの麺類も世に広く流通しており、電子レンジで再加熱処理を行うだけで、あるいは麺つゆをかけるだけで、すぐに喫食できるような麺類がその簡便性を評価されて多くの家庭で利用されている。
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等で販売されているような調理麺類は、主に茹で麺や蒸し麺であり、製造現場で加熱調理されてから消費者が喫食するまでに時間差が生じる。茹で工程や蒸し工程を経た後、麺の品質は急速に劣化していき、例えば、麺表面の崩壊した澱粉粒が粘着性を発現して麺線同士が付着してほぐれ性を悪化させる等の現象が起こる。一度付着すると喫食時に再加熱することがないため、麺をほぐすことが困難であり、食感も著しく低下してしまう。
このような課題に対応するための方法として、例えば、加熱工程によるα化処理後の麺類の表面をアミラーゼで処理し、その後アミラーゼの作用が進みすぎないように酵素を除去し又は失活させて、麺のほぐれ性を改善した麺の製造方法(特許文献1)、加熱工程によりα化した麺類の表面に、麹菌由来のα-アミラーゼを付着させることにより麺のほぐれ性を改善した麺の製造方法(特許文献2)、等が知られている。
しかし、特許文献1の製造方法においては、α化処理後の麺のアミラーゼ処理は、例えば、60℃の酵素溶液に麺を浸漬させる等、酵素が失活しない条件で行われている(段落[0030])。特許文献2の製造方法においては、麺類の表面へのα-アミラーゼの付着は、例えば、加熱処理後の麺を冷水や氷水等で冷却した後に、酵素溶液に浸漬させることが好ましいとされている(段落[0015])。
このように、従来の方法では、加熱工程と酵素処理工程は別個の異なる工程であり、酵素処理時には酵素が失活することのない温度範囲に温度をコントロールすることが必要である一方で、酵素の作用が進み過ぎないように処理後の酵素の失活化を行ったり、所定量の酵素のみを作用させるように処理条件をコントロールすることが必要である等の点で、調理麺類の製造方法としての簡便性に欠けるという欠点があり、この点での改善が求められていた。
特開平7-123943号公報 特開2000-106836号公報
本発明は、調理麺類のほぐれ性を改善することができ、さらには食感をも改善することができる、より簡便で、優れた調理麺類の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、通常酵素が失活すると考えられる麺類の加熱工程において、α-アミラーゼにより麺類を処理することにより、意外にも調理麺類のほぐれ性を改善できることを見出すとともに、α-アミラーゼによる処理に、好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ(より好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)による処理を、さらに加えることにより、調理麺類のほぐれ性のさらなる改善、及び/又は硬さ、しなやかさ、表面のつるみ等の食感を改善できることを見出し、本発明を完成した。具体的には、本発明は、以下の通りである。
[1]麺類を、加熱工程において、α-アミラーゼにより処理することを含む、ほぐれ性が改善された調理麺類の製造方法。
[2]麺類を、加熱工程において、好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ(より好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)により処理することを、さらに含む、より調理麺類のほぐれ性及び/又は食感が改善された、上記[1]に記載の調理麺類の製造方法。
[3]加熱工程の温度が、60~120℃の範囲である、上記[1]又は[2]に記載の調理麺類の製造方法。
[4]加熱工程の時間が、0.5~30分の範囲である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の調理麺類の製造方法。
[5]α-アミラーゼが、麺類100gあたり、1×10-1~1×10U(好ましくは10~1×10U、より好ましくは1×10~5×10U)使用される、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の調理麺類の製造方法。
[6] グルコースオキシダーゼが、麺類100gあたり、1×10-2~1×10U(好ましくは1~5×10U、より好ましくは1×10~1×10U)使用される、上記[2]~[5]のいずれか1つに記載の調理麺類の製造方法。
[7]トランスグルタミナーゼが、麺類100gあたり、1×10-4~1×10U(好ましくは1×10-1~1×10U、より好ましくは1~1×10U)使用される、上記[2]~[6]のいずれか1つに記載の調理麺類の製造方法。
[8]α-アミラーゼ、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼを含有する、調理麺類のほぐれ性及び食感改善用組成物。
[9]グルコースオキシダーゼの含有量がα-アミラーゼ1Uあたり1.0×10-2~1.0×10Uであり、トランスグルタミナーゼの含有量がα-アミラーゼ1Uあたり1.0×10-4~1.0×10Uである、上記[8]に記載の調理麺類のほぐれ性及び食感改善用組成物。
本発明により、麺類を、加熱工程において、α-アミラーゼ等により処理するという簡便な方法により、ほぐれ性等が改善された調理麺類を製造することが可能となる。
[ほぐれ性等が改善された調理麺類の製造方法]
本発明の一つの目的は、「麺類を、加熱工程において、α-アミラーゼにより処理することを含む、ほぐれ性が改善された調理麺類の製造方法。」を提供することである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の適用対象となる「麺類」には、中華麺(餃子、春巻、ワンタンの皮なども含む)、うどん、そば、そうめん、冷麦、スパゲティ、マカロニ等が広く含まれる。当該麺類には、生麺類及び乾麺類の両者が含まれる。
本発明において「加熱工程」とは、常法で製造された麺類(麺帯又は麺線)を十分にα化するための工程であり、例えば、茹で工程、蒸し工程等により麺類を加熱する工程が挙げられる。
茹で工程とは、加熱された水中で麺類を茹でて加熱する工程である。
蒸し工程とは、加熱蒸気等により麺類を蒸して加熱する工程である。
本発明において使用される「α-アミラーゼ」は、デンプン分子の直鎖構造(アミローズ)および分岐構造(アミロペクチン)を内部から大きく切断して大量のデキストリンと少量のマルトースに分解する酵素であり、α-アミラーゼはデンプンを液化する力は強い。本発明に於いて用いられるα-アミラーゼは特にその起源は問わない。従って、微生物起源のもの、植物起源のもの、動物起源のもの等、いずれも用いることができる。市販されているα-アミラーゼを用いることもできる。例えば、α―アミラーゼ(「スピタ-ゼCP-40FG」、25900U/g、長瀬産業(株)製)を好ましくは用いることができる。
本発明において、「加熱工程においてα-アミラーゼにより処理する」とは、加熱による麺類のα化とα-アミラーゼによる処理を連続的な一体の処理工程として、実質的に麺類が加熱された状態で酵素処理を行うことを意味している。従って、一体化した処理工程として行う限り、麺類のα-アミラーゼによる処理と加熱処理との間に多少の時間差がある場合でも、本発明における「加熱工程におけるα-アミラーゼによる処理」に包含される。従って、加熱による麺類のα化の後に、例えば麺類を冷却した状態で、α-アミラーゼにより処理するような態様は除かれる。
α-アミラーゼに加えて、グルコースオキシダーゼ(もしくはグルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)による処理を行う場合も、同様である。
本発明において、「加熱工程においてα-アミラーゼにより処理する」ための一つの実施態様としては、α-アミラーゼが添加された加熱された水中で、麺類を茹でて加熱することが挙げられる。
この態様では、加熱処理時の麺類と水の好ましい使用量は、特に限定はされないが、例えば、麺類100gに対して水400~600ml、好ましくは、麺類100gに対して水450~550mlを使用して「α-アミラーゼによる処理」を行うことができる。
本実施態様においては、例えば、麺類100gあたり、1×10-1~1×10U、好ましくは10~1×10U、より好ましくは1×10~5×10Uのα-アミラーゼを用いて、加熱工程におけるα-アミラーゼ処理を行うことができる。
α-アミラーゼの水中への添加は、麺類の水中への投入と同時であるか、又は投入後に行うことが好ましい。α-アミラーゼの水中への添加を、麺類の水中への投入前に行う場合には、添加後できるだけ速やかに(例えば、10分以内に)麺類を投入することが好ましい。
加熱工程における水の温度は、麺類のα化とα-アミラーゼによる処理が進行するのに十分な温度であれば特に限定はされず、例えば、60~120℃の範囲であり、好ましくは70~110℃であり、より好ましくは80~105℃の範囲である。なお、麺類の投入により一時的に加熱水の温度が低下する場合があるが、この場合も上記の温度範囲内に包含される。
α-アミラーゼの水中への添加時の温度は特に限定はされないが、例えば、上記した温度範囲にまで水を加熱した後に行うことが好ましい。
本実施態様においては、加熱工程の時間は、対象となる麺類の種類に応じて適宜設定されるが、例えば、0.5~30分間の範囲で設定することができる。
本発明において、「加熱工程においてα-アミラーゼにより処理する」ための別の実施態様としては、麺類を、α-アミラーゼを含む水溶液による噴霧工程、α-アミラーゼを含む水溶液中への浸漬工程等に付すとともに、一連の工程として加熱蒸気による加熱工程に付すことが挙げられる。
水溶液中のα-アミラーゼの使用ユニットは、上記の「α-アミラーゼが添加された加熱された水中で、麺類を茹でて加熱する」態様に準じて当業者であれば適宜決定することができる。その他噴霧時間等の条件も、対象となる麺類の種類により、当業者であれば適宜設定することができる。
「加熱工程においてα-アミラーゼにより処理する」工程においては、必要により、α-アミラーゼの至適pH(pH6~8)を考慮して、酵素活性を最適化するために、酵素が添加される加熱水、又は酵素を含む水溶液のpHを調整することができる。当技術分野で慣用のpH調整剤を用いることができる。
本発明においては、α-アミラーゼによる処理に加えて、加熱工程においてさらにα-アミラーゼの作用を増強するか、又は悪影響を及ぼさないその他の酵素を添加して、ほぐれ性等が改善された調理麺類を製造してもよい。このような実施態様も本発明に包含される。
以下、このような実施態様の好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ(もしくはグルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)を添加する場合について詳述する。
本発明においては、α-アミラーゼによる処理に加えて、加熱工程においてさらにグルコースオキシダーゼ(もしくはグルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)により処理することにより、ほぐれ性がより改善され、及び/又は食感がより改善された調理麺類を製造することができる。
本発明において使用される「グルコースオキシダーゼ」は、β-D-グルコピラノース(六炭糖グルコースのヘミアセタール型)と結びついて代謝産物に分解する酵素である。麹菌等の微生物由来、植物由来のものなど種々の起源のものが知られているが、それらいずれのグルコースオキシダーゼを用いてもよい。また、グルコースオキシダーゼは、組み換え酵素であってもよい。市販のグルコースオキシダーゼ製剤にはカタラーゼを含有するものが多く見られるが、そのような他の酵素の混合物を用いてもよい。例えば、グルコースオキシダーゼ(「スミチームPGO」、2150U/g、新日本化学工業(株)製)を好ましくは用いることができる。
本発明において使用される「トランスグルタミナーゼ」は、タンパク質又はペプチド鎖内のグルタミン残基のγ-カルボキシアミド基と一級アミンとのアシル転移反応を触媒し、一級アミンがタンパク質のリジン残基である場合は、ε-(γ-Glu)-Lys架橋結合を形成させる作用を有する酵素である。本発明で使用するトランスグルタミナーゼは、トランスグルタミナーゼ活性を有する限り、その起源を特に問わず、例えばストレプトマイセス属などの微生物由来のもの、モルモットなどの哺乳動物由来のもの、タラなどの魚類由来のもの、血液中に存在するもの、その他遺伝子組換法で生産されるものなどを用いることができる。本発明で使用するトランスグルタミナーゼとしては、上記のいずれのトランスグルタミナーゼも用いることができる。市販されているものを用いることもできる。例えば、トランスグルタミナーゼ(「アクティバTG」、1150U/g、味の素株式会社製)を好ましくは用いることができる。
本発明において、「α-アミラーゼによる処理に加えて、加熱工程において、好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ(より好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)により処理する」ための一つの実施態様としては、α-アミラーゼに加えて、好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ(より好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)が添加された加熱された水中で、麺類を茹でて加熱することが挙げられる。
α-アミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスグルタミナーゼの添加の順序は特に限定されないが、実質的に同時に添加することが好ましい。
α-アミラーゼ並びにグルコースオキシダーゼ(もしくはグルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)を予め混合して製せられた組成物の形態で添加することもできる。具体的な態様については、後述する[調理麺類のほぐれ性等改善用組成物]に関する説明を参照することができる。
本発明の実施においては、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼは、その両者を添加することがより好ましい。
本実施態様においては、グルコースオキシダーゼ並びにトランスグルタミナーゼの使用量は、酵素の由来やその酵素活性によっても異なり特に限定されるものではないが、例えば、麺類100gあたり、1×10-2~1×10U、好ましくは1~5×10U、より好ましくは1×10~1×10Uのグルコースオキシダーゼ並びに1×10-4~1×10U(好ましくは1×10-1~1×10U、より好ましくは1~1×10U)のトランスグルタミナーゼを用いて、加熱工程におけるα-アミラーゼ処理に加えて、グルコースオキシダーゼ(もしくはグルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)による処理をさらに行うことができる。
グルコースオキシダーゼ(もしくはグルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)の、水中への添加方法、加熱工程における水の温度、加熱工程の時間等の諸条件は、α-アミラーゼについて前記したものを参照することができる。
「加熱工程において、好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ(より好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)により処理する」工程においては、必要により、α-アミラーゼの至適pH(pH6~8)、グルコースオキシダーゼの至適pH(pH5~7)、トランスグルタミナーゼの至適pH(pH5~8)、を考慮して、酵素活性を最適化するために、酵素が添加される加熱水、又は酵素を含む水溶液のpHを必要により調整することができる。当技術分野で慣用のpH調整剤を用いることができる。
本発明において、「加熱工程において、好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ(より好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)により処理する」ための別の実施態様としては、麺類を、α-アミラーゼに加えてグルコースオキシダーゼ(もしくはグルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)を含む水溶液による噴霧工程、α-アミラーゼに加えてグルコースオキシダーゼ(もしくはグルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)を含む水溶液中への浸漬工程等に付すとともに、一連の工程として加熱蒸気による加熱工程に付すことが挙げられる。
水溶液中のα-アミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスグルタミナーゼの各使用ユニットは、上記の「α-アミラーゼに加えて、好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ(より好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)が添加された加熱された水中で、麺類を茹でて加熱する」態様に準じて当業者であれば適宜決定することができる。その他噴霧時間等の条件も、対象となる麺類の種類により、当業者であれば適宜設定することができる。
以上、本発明における「麺類を、加熱工程において、α-アミラーゼ、又はα-アミラーゼ並びにグルコースオキシダーゼ(もしくはグルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)により処理する」ための実施態様について詳述した。
本発明においては、麺類の加熱工程において実質的に同時にα-アミラーゼによる処理を行うことにより、麺類の加熱工程でα化されて生じる麺線表面の澱粉の皮膜を分解することにより、麺線同士の付着を防ぐことができる。しかも、本発明においては、その作用は主として麺線の表面にとどまると考えられ、麺線内部にまで浸透して作用することが避けられ、麺質の低下を防ぐこともできると考えられる。加えて、麺類の加熱と酵素処理とを連続的な一つの工程として行うものであるため、調理麺類の製造方法として極めて簡便であるとの利点をも有するものである。
さらに、本発明においては、α-アミラーゼによる処理に加えて、さらに、好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ(より好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)による処理を行うことにより、調理麺類におけるほぐれ性をさらに改善することができるとともに、硬さ、しなやかさ、表面のつるみ等の麺類の食感をも改善することができる。
[調理麺類のほぐれ性等改善用組成物]
本発明のもう一つの目的は、α-アミラーゼ、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼを含有する、調理麺類のほぐれ性等改善用組成物(以下、「本発明組成物」と称する場合がある)を提供することである。
このような組成物としては、例えば、「グルコースオキシダーゼの含有量がα-アミラーゼ1Uあたり1.0×10-2~1.0×10Uであり、トランスグルタミナーゼの含有量がα-アミラーゼ1Uあたり1.0×10-4~1.0×10Uである、調理麺類のほぐれ性等改善用組成物」が挙げられる。
本発明組成物の総重量におけるα-アミラーゼ、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ3成分の総重量は、0%(w/w)より多く、100%(w/w)以下である。
本発明組成物は、本発明の目的を損なわない限りにおいて、有効成分以外の成分(以下、「他の成分」ともいう)を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、調味料、飲食品、または医薬品に配合して利用されるものを利用できる。他の成分としては、他の酵素;グルコ一ス、デキス卜リン、澱粉、加工澱粉、還元麦芽糖等の賦形剤;植物蛋白、グルテン、卵白、ゼラチン、カゼイン等の蛋白質;グルタミン酸ナトリウム、動物エキス、魚介エキス、蛋白加水分解物、蛋白部分分解物等の調味料;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、焼成カルシウム等のアルカリ剤(pH調整剤);ダルコン酸、クエン酸塩等のキレ一卜剤、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、システィン等の酸化還元剤、アルギン酸、かんすい、油脂、色素、酸味料、香料等その他の食品添加物等が挙げられる。他の成分としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
本発明組成物の形態は特に制限されない。本発明組成物は、液体状、ぺ一スト状、固形状、顆粒状、粉末状等のいずれの形態であってもよい。本発明組成物は、例えば、粉末状であるのが好ましい。
本発明組成物は、例えば、α-アミラーゼ、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ3成分を、必要により上記の他の成分と適宜混合して、当技術分野で慣用の方法により、適切な形態に製剤化して製造することができる。
以上のようにして製せられた本発明組成物は、例えば、麺類の加熱工程において、加熱水中に添加することにより当該麺類を処理して、ほぐれ性及び食感が改善された調理麺類を製造することに用いることができる。
以下、本発明を実施例に従って説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
また、以下の実施例では、α-アミラーゼとして、「スピタ-ゼCP-40FG」、25900U/g、長瀬産業(株)製を、グルコースオキシダーゼとして「スミチームPGO」、2150U/g、新日本化学工業(株)製を、トランスグルタミナーゼとして「アクティバTG」、1150U/g、味の素株式会社製を、それぞれ用いた。
[調理麺類の製造]
比較例1(酵素無添加)
鍋に水(500ml)を加え、約100℃まで加熱した後、生そば(「信州産直 更科生そば」(東洋水産株式会社製))(100g)を投入し、100℃で3分間加熱した。加熱後、茹で上げたそばを冷水で絞め、水切りを行なった後、真空袋に入れて60%まで脱気した。当該袋詰めされたそばを3日間冷蔵保管した。
実施例1(トランスグルタミナーゼ添加)(参考例)
鍋に水(500ml)を加え、約100℃まで加熱した後、生そば(「信州産直 更科生そば」(東洋水産株式会社製))(100g)およびトランスグルタミナーゼ(0.06g)を投入し、100℃で3分間加熱した。加熱後、茹で上げたそばを冷水で絞め、水切りを行なった後、真空袋に入れて60%まで脱気した。当該袋詰めされたそばを3日間冷蔵保管した。
実施例2(グルコースオキシダーゼ添加)(参考例)
鍋に水(500ml)を加え、約100℃まで加熱した後、生そば(「信州産直 更科生そば」(東洋水産株式会社製))(100g)およびグルコースオキシダーゼ(0.75g)を投入し、100℃で3分間加熱した。加熱後、茹で上げたそばを冷水で絞め、水切りを行なった後、真空袋に入れて60%まで脱気した。当該袋詰めされたそばを3日間冷蔵保管した。
実施例3(α-アミラーゼ添加)
鍋に水(500ml)を加え、約100℃まで加熱した後、生そば(「信州産直 更科生そば」(東洋水産株式会社製))(100g)およびα-アミラーゼ(0.05g)を投入し、100℃で3分間加熱した。加熱後、茹で上げたそばを冷水で絞め、水切りを行なった後、真空袋に入れて60%まで脱気した。当該袋詰めされたそばを3日間冷蔵保管した。
実施例4(トランスグルタミナーゼ/グルコースオキシダーゼ添加)(参考例)
鍋に水(500ml)を加え、約100℃まで加熱した後、生そば(「信州産直 更科生そば」(東洋水産株式会社製))(100g)およびトランスグルタミナーゼ(0.06g)並びにグルコースオキシダーゼ(0.75g)を投入し、100℃で3分間加熱した。加熱後、茹で上げたそばを冷水で絞め、水切りを行なった後、真空袋に入れて60%まで脱気した。当該袋詰めされたそばを3日間冷蔵保管した。
実施例5(トランスグルタミナーゼ/α-アミラーゼ添加)(参考例)
鍋に水(500ml)を加え、約100℃まで加熱した後、生そば(「信州産直 更科生そば」(東洋水産株式会社製))(100g)およびトランスグルタミナーゼ(0.06g)並びにα-アミラーゼ(0.05g)を投入し、100℃で3分間加熱した。加熱後、茹で上げたそばを冷水で絞め、水切りを行なった後、真空袋に入れて60%まで脱気した。当該袋詰めされたそばを3日間冷蔵保管した。
実施例6(グルコースオキシダーゼ/α-アミラーゼ添加)
鍋に水(500ml)を加え、約100℃まで加熱した後、生そば(「信州産直 更科生そば」(東洋水産株式会社製))(100g)およびグルコースオキシダーゼ(0.75g)並びにα-アミラーゼ(0.05g)を投入し、100℃で3分間加熱した。加熱後、茹で上げたそばを冷水で絞め、水切りを行なった後、真空袋に入れて60%まで脱気した。当該袋詰めされたそばを3日間冷蔵保管した。
実施例7(トランスグルタミナーゼ/グルコースオキシダーゼ/α-アミラーゼ添加(1))
鍋に水(500ml)を加え、約100℃まで加熱した後、生そば(「信州産直 更科生そば」(東洋水産株式会社製))(100g)およびトランスグルタミナーゼ(0.06g)、グルコースオキシダーゼ(0.75g)並びにα-アミラーゼ(0.05g)を投入し、100℃で3分間加熱した。加熱後、茹で上げたそばを冷水で絞め、水切りを行なった後、真空袋に入れて60%まで脱気した。当該袋詰めされたそばを3日間冷蔵保管した。
実施例8(トランスグルタミナーゼ/グルコースオキシダーゼ/α-アミラーゼ添加(2))
鍋に水(500ml)を加え、約100℃まで加熱した後、生そば(「信州産直 更科生そば」(東洋水産株式会社製))(100g)およびトランスグルタミナーゼ(0.03g)、グルコースオキシダーゼ(0.38g)並びにα-アミラーゼ(0.03g)を投入し、100℃で3分間加熱した。加熱後、茹で上げたそばを冷水で絞め、水切りを行なった後、真空袋に入れて60%まで脱気した。当該袋詰めされたそばを3日間冷蔵保管した。
[調理麺類の評価(官能試験)]
上記の比較例および実施例で調製したそばの官能評価を、3名の専門パネラーにより行った。評価項目は、硬さ、しなやかさ、表面のつるみ、ほぐれ性の4項目とした。比較例1(コントロール)のそばの全ての項目での得点を3点として、各実施例のそばを1~5点の間を0.5点刻みで評価した。
官能評価にあたっての、各評価項目の定義は以下の通りである。
Figure 0007472528000001
Figure 0007472528000002
以上の実験結果から、以下のことが明らかとなった。
1)α-アミラーゼ単独の作用により、ほぐれ性が改善されたこと。
2)α-アミラーゼ、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼを併用することにより、ほぐれ性を含む全ての評価結果が、より改善されたこと。
3)グルコースオキシダーゼの併用により、α-アミラーゼ単独の場合に比較して、しなやかさ、表面のつるみ及びほぐれ性の評価結果が向上したこと。
以上の実験結果により、麺類を、加熱工程において、α-アミラーゼ、又はα-アミラーゼ、並びにグルコースオキシダーゼ(もしくはグルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)により処理することを含む本発明の調理麺類の製造方法により、調理麺類のほぐれ性及び食感が改善できることが明らかとなった。
本発明は、麺類を、加熱工程において、α-アミラーゼ、好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ(より好ましい態様として、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼ)により処理することを、さらに含む、ほぐれ性等が改善された調理麺類の製造方法に関するものであり、食品の分野において有用である。

Claims (4)

  1. 麺類を、加熱工程において、α-アミラーゼ、グルコースオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼにより処理することを含む、ほぐれ性が改善された調理麺類の製造方法。
  2. α-アミラーゼが、麺類100gあたり、1×10-1~1×10U使用される、請求項1に記載の調理麺類の製造方法。
  3. グルコースオキシダーゼが、麺類100gあたり、1×10-2~1×10U使用さ
    れる、請求項1又は2に記載の調理麺類の製造方法。
  4. トランスグルタミナーゼが、麺類100gあたり、1×10-4~1×10U使用さ
    れる、請求項1~3のいずれか一項に記載の調理麺類の製造方法。
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