JP7467843B2 - 炭化珪素エピタキシャル基板および炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法 - Google Patents

炭化珪素エピタキシャル基板および炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、炭化珪素エピタキシャル基板および炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法に関する。
高耐圧、大電流を制御するパワー半導体素子の材料としては、従来シリコン(Si)単結晶が用いられている。シリコンパワー半導体素子にはいくつかの種類があり、用途に合わせてそれらが使い分けられているのが現状である。例えば、PiNダイオード(P-intrinsic-N diode)やバイポーラトランジスタ、さらに、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)は、いわゆるバイポーラ型デバイスである。これらの素子は、電流密度は高くできるものの高速でのスイッチングができず、バイポーラトランジスタは数kHzが、IGBTでは20kHz程度の周波数がその使用限界である。
一方、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)は、大電流では使用できないものの、数MHzまでの高速で使用できる。しかしながら、市場では大電流と高速性を兼ね備えたパワーデバイスへの要求は強く、シリコンIGBTやパワーMOSFETなどの改良に力が注がれ、現在ではほぼシリコン材料物性限界に近いところまで開発が進んできた。
また、パワー半導体素子の観点からの材料検討も行われ、炭化珪素(SiC)が次世代のパワー半導体素子として、低オン電圧、高速・高温特性に優れた素子であることから、最近特に注目を集めている。というのも、SiCは化学的に非常に安定な材料であり、ポリタイプが4H-SiCの場合はバンドギャップが3.26eVと広く、高温でも半導体として極めて安定的に使用でき、また、最大電界強度もシリコンより1桁以上大きいからである。SiCはシリコンにおける材料限界を超える可能性大であることから、パワー半導体用途で今後の伸長が大きく期待される。
炭化珪素半導体装置では、単結晶4H-SiC(四層周期六方晶の炭化珪素)からなるn+型炭化珪素基板のおもて面上にエピタキシャル成長により、n型炭化珪素エピタキシャル層が形成された炭化珪素エピタキシャル基板が用いられる。n型炭化珪素エピタキシャル層は、半導体製造用の高純度ガスを原材料とするエピタキシャル成長により形成されるため高純度で、ドーパント濃度、膜厚を所望の値に制御することが可能である。このn型炭化珪素エピタキシャル層内にSBD、MOSFET、IGBTやPiNダイオードなどのデバイス構造が作成される。
また、エピタキシャルウエハの割れ、あるいはキズの発生を抑制するため、主面方位〔100〕方向から〔01-1〕、〔0-1-1〕、〔011〕又は〔0-1-1〕方向に傾けた面を持つ基板において、傾けた方向と、60~120°で交わる面が主オリエンテーションフラット面である、(100)の面方位を持つIII-V族化合物単結晶半導体基板が公知である(例えば、下記特許文献1)。
特開平7-277886号公報
しかしながら、単結晶4H-SiC基板に膜厚200μm以上のn型炭化珪素エピタキシャル層を形成した厚膜の炭化珪素エピタキシャル基板は、炭化珪素半導体装置の製造工程で非常に破損しやすい。例えば、炭化珪素エピタキシャル基板を取り扱う際のハンドリング作業や、炭化珪素エピタキシャル基板のエッジ研磨や炭化珪素エピタキシャル基板の裏面研磨等の研磨加工や、イオン注入処理や、RTA(Rapid Thermal Annealing:赤外線ランプ高速アニール)処理等のアニール処理中に破損することがある。図12は、従来の破損した直径4インチの炭化珪素半導体基板を示す上面図である。図12は、カーボンイオンを注入するイオン注入工程で、破損した炭化珪素エピタキシャル基板110を示す。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、炭化珪素半導体装置の製造工程で破損しにくい炭化珪素エピタキシャル基板および炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素エピタキシャル基板は、次の特徴を有する。炭化珪素エピタキシャル基板は、膜厚200μm以上の第1導電型の炭化珪素半導体基板と、前記炭化珪素半導体基板の一方の主面上に設けられた、エピタキシャル成長層と、を備える。前記炭化珪素半導体基板の<1-100>方向と角度公差±5°以内の範囲にて平行な向きで、ステップフロー成長方向に対してステップフロー成長の開始点側に第1オリエンテーションフラットが設けられている。前記第1オリエンテーションフラットの矢高は、前記エピタキシャル成長層の膜厚を、前記炭化珪素半導体基板のオフ角の正接で割った値以上である。
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法は、次の特徴を有する。<1-100>と角度公差±5°以内の範囲にて平行な向きが識別できるように、第1導電型の炭化珪素半導体基板の結晶方位を示す溝または点状の孔を、線状または記号や文字として認識できるように並べた目印として、第1導電型の前記炭化珪素半導体基板のうら面側またはおもて面側に、前記炭化珪素半導体基板から切り落とされる領域に形成する第1工程を行う。次に、前記溝または前記点状の孔が形成された前記炭化珪素半導体基板に、エピタキシャル成長により、Si面側エピタキシャル成長層を形成する第2工程を行う。次に、前記エピタキシャル成長層が形成された前記炭化珪素半導体基板の前記溝または前記点状の孔が示す方向で、ステップフロー成長方向に対してステップフロー成長の開始点側に第1オリエンテーションフラットを形成する第3工程を行う。
また、この発明にかかる炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法は、上述した発明において、前記第1工程では、前記溝または前記点状の孔を前記炭化珪素半導体基板の円周を分割する弦に形成し、前記弦により形成される円弧の矢高を、前記エピタキシャル成長層の膜厚を前記炭化珪素半導体基板のオフ角の正接で割った値以上にすることを特徴する。
上述した発明によれば、炭化珪素エピタキシャル基板は、<1-100>方向と平行な向きで、ステップフロー成長方向に対してステップフロー成長の開始点側に第1オリエンテーションフラットを設けている。3C-SiCを伴うクレバス状のエピタキシャル成長欠陥はステップフローエピ成長の開始点となる基板末端のステップがない、またはベベル形状によってステップが崩壊している部分から形成されるため、厚膜エピタキシャル成長を行った後に、<1-100>方向と平行な向きで、ステップフロー成長方向対してステップフロー成長の開始点側に第1オリエンテーションフラットを加工することにより、3C-SiCを伴うクレバス状のエピタキシャル成長欠陥を低減でき、炭化珪素半導体装置の製造工程で炭化珪素エピタキシャル基板が破損しにくくなっている。
本発明にかかる炭化珪素エピタキシャル基板および炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法によれば、炭化珪素半導体装置の製造工程で破損しにくいという効果を奏する。
実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板を示す上面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板の構造を示す断面図である。 従来の炭化珪素半導体基板のフォトルミネセンスイメージング像を示す。 従来の炭化珪素半導体基板の第2オリエンテーションフラット部分のフォトルミネセンスイメージング像の高倍像を示す。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体基板の3C-SiCを伴うクレバス状のエピタキシャル成長欠陥の発生距離を示す断面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板の第1オリエンテーションフラット部分を示す上面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板の落射明視野顕微鏡像を示す。 市販のn型炭化珪素バルク基板をそのまま用いた設定膜厚283μmの炭化珪素エピタキシャル基板の落射明視野顕微鏡像を示す。 実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板の製造途中の状態を模式的に示す上面図である(その1)。 実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その1)。 実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板の製造途中の状態を模式的に示す上面図である(その2)。 実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板の製造途中の状態を模式的に示す断面図である(その2)。 実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板の製造途中の状態を模式的に示す上面図である(その3)。 従来の破損した直径4インチの炭化珪素半導体基板を示す上面図である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素エピタキシャル基板および炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。+および-を含めたnやpの表記が同じ場合は近い濃度であることを示し濃度が同等とは限らない。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本明細書では、ミラー指数の表記において、“-”はその直後の指数につくバーを意味しており、指数の前に“-”を付けることで負の指数をあらわしている。
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板を示す上面図である。図2は、実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板の構造を示す断面図である。図1に示すように、炭化珪素エピタキシャル基板10は、炭化珪素半導体基板の<1-100>方向と平行な向きで、ステップフロー成長方向に対してステップフロー成長の開始点側に第1オリエンテーションフラット8が設けられている。また、<-1-120>方向と平行な向きで、第1オリエンテーションフラットから時計回りに90°の位置に第2オリエンテーションフラット9が設けられていてもよいし、設けなくてもよい。オリエンテーションフラットは、炭化珪素半導体基板の結晶方向を示すために設けられたものであり、図1に示すように、炭化珪素半導体基板のエッジを研磨加工して、円周の一部を直線状にすることにより形成されている。なお、直径6インチφ以上のn型単結晶4H-SiCバルク基板については、第2オリエンテーションフラットは設けられていない市販品が多いが、第2オリエンテーションフラットを設けてもよいし、設けなくてもよい。
また、図2に示すように、炭化珪素エピタキシャル基板10はn+型炭化珪素基板(第1導電型の炭化珪素半導体基板)1、n+型バッファ層2およびn-型ドリフト層3を備える。n+型バッファ層2とn-型ドリフト層3とをあわせて、炭化珪素エピタキシャル層(エピタキシャル成長層)4と称する。n+型バッファ層2は、n+型炭化珪素基板1のおもて面に設けられ、n+型炭化珪素基板1より不純物濃度の低いエピタキシャル成長により形成された半導体層である。n-型ドリフト層3は、n+型バッファ層2のおもて面に設けられ、n+型バッファ層2より不純物濃度の低いエピタキシャル成長により形成された半導体層である。図2では、炭化珪素エピタキシャル層4がn型の半導体層であったが、p型の半導体層であってもかまわない。
実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板では、<1-100>方向と角度公差±5°以内の範囲にて平行な向きで、ステップフロー成長方向に対してステップフロー成長の開始点側に第1オリエンテーションフラット8を設けることにより、炭化珪素半導体装置の製造工程で破損しにくくなっている。この理由について、以下に説明する。
図3は、従来の市販の直径6インチφの炭化珪素半導体基板を用いて製造された設定膜厚295μmの単結晶4H-SiC厚膜エピタキシャル基板のフォトルミネセンスイメージング像を示す。従来の炭化珪素半導体基板110では、<11-20>方向と平行な向きで、ステップフロー成長方向に対してステップフロー成長の開始点側から反時計回りに90°の位置に第1オリエンテーションフラット108設けられている。フォトルミネセンスイメージング像は、単結晶4H-SiCのバンドギャップ(3.26eV)よりも高エネルギーな励起光を照射して、炭化珪素エピタキシャル基板のエピタキシャル膜中で励起された電子が基底状態に戻る際に起きる発光を、光学フィルターなどを介して検出器で検知して撮像された像であり、半導体材料の結晶性などを可視化できる観察方法である。
図4は、従来の炭化珪素半導体基板の<1-100>方向にあるステップフロー成長の開始点側の部分のフォトルミネセンスイメージング像の高倍像を示す。図4に示すように、ステップフロー成長の開始点側の部分に3C-SiCを伴うクレバス(深い割れ目)状のエピタキシャル成長欠陥が多数観察される。つまり、3C-SiCを伴うクレバス状のエピタキシャル成長欠陥はステップフロー成長の開始点側から発生していることがわかる。この3C-SiCを伴うクレバス状のエピタキシャル成長欠陥は、炭化珪素エピタキシャル層4を形成する際に発生した欠陥であり、このエピタキシャル成長欠陥からクラックが成長することにより、炭化珪素半導体装置の製造工程で炭化珪素エピタキシャル基板が破損しやすくなる。
図5は、炭化珪素半導体基板の端部に発生した3C-SiCを伴うクレバス状のエピタキシャル成長欠陥の発生距離を示す断面図である。図5に示すように、エピタキシャル成長欠陥は、炭化珪素半導体基板1のオフ角θの角度で、炭化珪素エピタキシャル層4の内部に進行していく。炭化珪素エピタキシャル層4の膜厚をhとすると、エピタキシャル成長欠陥の横方向(炭化珪素半導体基板1のおもて面と平行な方向)の進行距離lは、l=h/tanθとなる。なお、θの単位はラジアンである。例えば、n+型バッファ層2の膜厚が15μm、n-型ドリフト層3の膜厚が280μmで、オフ角が4°の場合、進行距離lは295/tan(RASIANS(4°))≒4219μmとなる。ただし、実際の3C-SiCを伴うクレバス状のエピタキシャル成長欠陥の横方向の長さにはバラツキが生じる。これは起点の深さにバラツキがあるためである。なお、RASIANSは角度の単位を°からラジアンに変更する関数である。
図6は、実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板の第1オリエンテーションフラット部分を示す上面図である。実施の形態では、第1オリエンテーションフラット8は炭化珪素半導体基板10の<1-100>方向と平行な向きで、ステップフロー成長方向に対してステップフロー成長の開始点側に設けられ、炭化珪素エピタキシャル層4を形成した後に形成される。このため、エピタキシャル成長欠陥が多数存在する領域が第1オリエンテーションフラット8を形成する際に除去され、3C-SiCを伴うクレバス状のエピタキシャル成長欠陥を低減することができる。このため、実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板を用いて炭化珪素半導体装置の製造する際に製造工程で破損しにくくなる。なお、Si面を優先面としてSi面にエピタキシャル成長しても良いし、C面を優先面としてC面にエピタキシャル成長しても良い。
また、第1オリエンテーションフラット8の矢高y(円弧の高さ)は、進行距離l以上であること(y≧l)が好ましい。エピタキシャル成長欠陥は進行距離lまで内部に進行するため、矢高yを進行距離l以上とすることで、内部に進行したエピタキシャル成長欠陥を取り除くことができるためである。
6インチの炭化珪素半導体基板の直径はSEMI規格では150.00±0.20mmなので、半径は、74.9mm~75.1mmであり、第1オリエンテーションフラット8の長さはSEMI規格では57.5±2.5mm、あるいは旧JEITA規格では47.5±2.5mmである。この場合、第1オリエンテーションフラット8の矢高は、約5.22mm~約6.27mm、ないし約3.45mm~約4.30mmとなる。なお、オリエンテーションフラットの長さとは、炭化珪素半導体基板の円周上の直線の長さxのことであり、また、オリエンテーションフラットの矢高とは、オリエンテーションフラットの円弧の高さのことである。上述したように、n+型バッファ層2の膜厚が15μm、n-型ドリフト層3の膜厚が235μm、オフ角が4°の場合、進行距離l≒3575μmとなる。このため、6インチの炭化珪素半導体基板では、第1オリエンテーションフラット8により、内部に進行した3C-SiCを伴うクレバス状エピタキシャル成長欠陥の多くを、ないしは完全に取り除くことができる。
また、4インチの炭化珪素半導体基板の直径はSEMI規格では100.00±0.50mm、あるいは旧JEITA規格では100.00±0.20mmなので、半径は、49.75mm~50.25mm、あるいは49.90mm~50.10mmであり、第1オリエンテーションフラット8の長さはSEMI規格も旧JEITA規格も32.5±2.5mmである。この場合、第1オリエンテーションフラット8の矢高は、約2.29mm~約3.18mm、ないし約2.30mm~約3.17mmとなる。このため、4インチの炭化珪素半導体基板では、内部に進行した3C-SiCを伴うクレバス状のエピタキシャル成長欠陥の多くを取り除くことができる。
図7は、実施の形態にかかる直径4インチの炭化珪素エピタキシャル基板の落射明視野顕微鏡像を示す。図7は、オフ角が4°の炭化珪素半導体基板10上に設定膜厚283μmの炭化珪素エピタキシャル層4を形成して、<1-100>方向に平行な方向で、ステップフロー成長方向に対してステップフロー成長の開始点側に、長さ32.5mm狙いにて第1オリエンテーションフラット8、および<-1-120>方向と平行な向きで、第1オリエンテーションフラットから時計回りに90°の位置に、長さ18.0mm狙いにて第2オリエンテーションフラット9を形成した結果の落射明視野顕微鏡像を示す。図8は、市販のn型炭化珪素バルク基板をそのまま用いた設定膜厚283μmの炭化珪素エピタキシャル基板の落射明視野顕微鏡像を示す。
図7および図8に示すように、図7の実施の形態にかかる直径4インチの炭化珪素エピタキシャル基板10では、従来の炭化珪素エピタキシャル基板110に比べて、クレバス状のエピタキシャル成長欠陥が低減されていることがわかる。なお、直径6インチの炭化珪素エピタキシャル基板10の場合については、第1オリエンテーションフラット8の長さは57.5mm狙い、ないし47.5mm狙いとしてもよく、第2オリエンテーションフラット9は設けなくても良い。
(実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法)
実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板は以下のように製造される。図9A、図10Aおよび図11は、実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板の製造途中の状態を模式的に示す上面図である。図9Bおよび図10Bは、実施の形態にかかる炭化珪素エピタキシャル基板の製造途中の状態を模式的に示す断面図である。
まず、オリエンテーションフラットが加工されていない残厚約350μm、6インチのn+型炭化珪素基板1を用意する。次に、n+型炭化珪素基板1の片面、ないし両面について、CMP(化学機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)仕上げまたは鏡面仕上げを行う。例えば、図9Bに示すように、Si面をCMP仕上げとして、C面を鏡面仕上げとしても良い。ここまでの状態が図9Aおよび図9Bに記載される。
次に、X線回折法などの手法を用いてn+型炭化珪素基板1の結晶軸方向を解析・判定した上で、n+型炭化珪素基板1の裏面(C面)に<1-100>方向と平行な向きが識別できるように、ステップフロー成長方向に対してステップフロー成長の開始点側の位置で基板の端部側の近傍にレーザスクライブ法により<1-100>方向と平行な向きで溝Mを形成する。溝Mはn+型炭化珪素基板1のおもて面(Si面)に作成しても良い。ここで、溝Mは、n+型炭化珪素基板1の円周を分割する弦とすることが好ましい。この弦により形成される円弧の矢高yを、以下で形成される炭化珪素エピタキシャル層4の膜厚をn+型炭化珪素基板1のオフ角の正接で割った値以上に形成することが好ましい。ここまでの状態が図10Aおよび図10Bに記載される。なお、溝Mの加工方法としては、フォトリソグラフィーを用いたドライエッチング加工や、ウォータージェット加工や、切削加工などの加工方法を用いても良い。また、<1-100>方向と平行な向きが識別できるのであれば、溝Mは点状のドットパターンを配列させて形成した線状の目印や、矢印などの直線性を伴う記号、直線性を伴う文字で描いても良い。
さらに、レーザマーキング等により基板のシリアルNo.を基板に再加工しても良い。再レーザマーキング位置は、第2オリエンテーションフラット9近傍のC面が好ましいが、Si面でも良いし、第2オリエンテーションフラット9近傍でなくとも良い。さらに、基板の端部のベベリング加工を行ってベベルを作製する。ベベル面を鏡面仕上げとしても良い。ベベル形状はR形状でも良いし、テーパー形状でも良い。
次に、n+型炭化珪素基板1のSi面側について、研削・研磨加工によりCMP仕上げとする。Si面側の研削加工は行わなくても良い。また、n+型炭化珪素基板1の表面が十分に平坦である場合は、研削・研磨加工のいずれも行わなくても良い。また、n+型炭化珪素基板1のC面の研磨加工を行っても良い。
次に、溝Mが形成されたn+型炭化珪素基板1に、エピタキシャル成長により、Si面側に炭化珪素エピタキシャル層4を形成する。ステップフローエピ成長の開始点となる基板末端のステップがない、またはベベル形状によってステップが崩壊している部分から、3C-SiCを伴うクレバス状のエピタキシャル成長欠陥を含むエピタキシャル成長欠陥Fが形成される。ここまでの状態が図11に記載される。
次に、3C-SiCを伴うクレバス状のエピタキシャル成長欠陥Fが形成されたn+型炭化珪素基板1の<1-100>方向と平行な向きで、ステップフロー成長方向に対してステップフロー成長の開始点側に第1オリエンテーションフラット8をエッジ研磨加工等により形成する。これにより、3C-SiCを伴うクレバス状のエピタキシャル成長欠陥を含むエピタキシャル成長欠陥Fが研磨削除される。この際、スクライブ溝Mまで研磨して第1オリエンテーションフラット8を形成ことにより、第1オリエンテーションフラット8の矢高を、炭化珪素エピタキシャル層4の膜厚をn+型炭化珪素基板1のオフ角の正接で割った値以上にすることができる。また、第1オリエンテーションフラット8の長さは、従来の炭化珪素エピタキシャル基板110の第1オリエンテーションフラット108の長さと同程度にすることが好ましい。
次に、Si面側を優先面の状態として、n+型炭化珪素基板1の<-1-120>方向と平行な向きで、ステップフロー成長方向に対してステップフロー成長の開始点側から時計回りに90°の位置に第2オリエンテーションフラット9をエッジ研磨加工等により形成してもよい。実際にオリエンテーションフラットを加工する際は、必ずしも完全に平行とはならず、角度公差が発生するが少なくとも±5°以内、好ましくは±1°以内の範囲に収めるようにする。第2オリエンテーションフラット9の長さは、従来の炭化珪素エピタキシャル基板110の第2オリエンテーションフラット109の長さと同程度にすることが好ましい。以上のようにして、図1に示す実施の形態の炭化珪素エピタキシャル基板10が製造される。
以上、説明したように、実施の形態の炭化珪素エピタキシャル基板は、<1-100>方向と平行な向きで、ステップフロー成長方向に対してステップフロー成長の開始点側に第1オリエンテーションフラットを設けている。3C-SiCを伴うクレバス状のエピタキシャル成長欠陥はステップフローエピ成長の開始点となる基板末端のステップがない、またはベベル形状によってステップが崩壊している部分から形成されるため、厚膜エピタキシャル成長を行った後に、<1-100>方向と平行な向きで、ステップフロー成長方向対してステップフロー成長の開始点側に第1オリエンテーションフラットを加工することにより、3C-SiCを伴うクレバス状のエピタキシャル成長欠陥を低減でき、炭化珪素半導体装置の製造工程で炭化珪素エピタキシャル基板が破損しにくくなっている。実施の形態の炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法は、<1-100>方向と平行な向きで、ステップフロー成長方向に対してステップフロー成長の開始点側に、厚膜エピタキシャル成長を行った後で第1オリエンテーションフラットを形成することで、3C-SiCを伴うクレバス状のエピタキシャル成長欠陥を研磨除去できる。
以上において本発明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であり、上述した各実施の形態において、例えば各部の寸法や不純物濃度等は要求される仕様等に応じて種々設定される。また、本発明では、各実施の形態では第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としたが、本発明は第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としても同様に成り立つ。
以上のように、本発明にかかる炭化珪素エピタキシャル基板および炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法は、インバータなどの電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置や自動車のイグナイタなどに使用されるパワー半導体装置に有用である。
1 n+型炭化珪素半導体基板
2 n+型バッファ層
3 n-型ドリフト層
4 炭化珪素エピタキシャル層
8、108 第1オリエンテーションフラット
9、109 第2オリエンテーションフラット
10、110 炭化珪素エピタキシャル基板

Claims (3)

  1. 第1導電型の炭化珪素半導体基板と、
    前記炭化珪素半導体基板の一方の主面上に設けられた、膜厚200μm以上のエピタキシャル成長層と、
    を備え、
    前記炭化珪素半導体基板の<1-100>方向と角度公差±5°以内の範囲にて平行な向きで、ステップフロー成長方向に対してステップフロー成長の開始点側に第1オリエンテーションフラットが設けられ、
    前記第1オリエンテーションフラットの矢高は、前記エピタキシャル成長層の膜厚を、前記炭化珪素半導体基板のオフ角の正接で割った値以上であることを特徴とする炭化珪素エピタキシャル基板。
  2. <1-100>方向と角度公差±5°以内の範囲にて平行な向きが識別できるように、第1導電型の炭化珪素半導体基板の結晶方位を示す溝または点状の孔を、線状または記号や文字として認識できるように並べた目印として、第1導電型の前記炭化珪素半導体基板のうら面側またはおもて面側に、前記炭化珪素半導体基板から切り落とされる領域に形成する第1工程と、
    前記溝または前記点状の孔が形成された前記炭化珪素半導体基板に、エピタキシャル成長により、Si面側にエピタキシャル成長層を形成する第2工程と、
    前記エピタキシャル成長層が形成された前記炭化珪素半導体基板の前記溝または前記点状の孔が示す方向で、ステップフロー成長方向に対してステップフロー成長の開始点側に第1オリエンテーションフラットを形成する第3工程と、
    を含むことを特徴とする炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法。
  3. 前記第1工程では、前記溝または前記点状の孔を前記炭化珪素半導体基板の円周を分割する弦に形成し、前記弦により形成される円弧の矢高を、前記エピタキシャル成長層の膜厚を前記炭化珪素半導体基板のオフ角の正接で割った値以上にすることを特徴する請求項2に記載の炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法。
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