JP7421713B2 - 接着方法、及び接着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、接着方法、及び接着剤に関する。特に、本発明は、互いに異なる被着体同士を接着できる接着方法、及び接着剤に関する。
従来、(A)反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体、(C)エポキシ樹脂用硬化剤、及び(D)シランカップリング剤を含有するA剤と、(E)エポキシ樹脂、(F)縮合触媒、及び(G)水を含有するB剤とからなる2液型硬化性組成物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の2液型硬化性組成物によれば、貯蔵安定性が改善された、内部硬化性の良好な2液型硬化性組成物を得ることができる。
特開2002-309077号公報
しかし、特許文献1に記載の2液型硬化性組成物においては、加熱硬化開始後における可搬性の確保や、加熱での硬化により被着体に残存する熱歪の緩和について考慮されていない。
そこで、本発明の目的は、短時間での可搬性の確保ができ、加熱硬化直後は弾性率が低く、熱歪の緩和が可能な接着方法、及び接着剤を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、接着剤を用いて被着体と、被着体とは異なる他の被着体とを接着する接着方法であって、接着剤が、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と、架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体と、エポキシ樹脂とを含有し、被着体及び他の被着体の少なくともいずれか一方に接着剤を塗布する塗布工程と、被着体に接着剤を介して他の被着体を貼り合わせて構造体を形成する貼り合わせ工程と、構造体を加熱して接着剤を硬化させる加熱工程とを備え、加熱工程後、構造体を常温で養生する場合、養生する時間の経過により、接着剤の貯蔵弾性率が増加する接着方法が提供される。
本発明の接着方法、及び接着剤によれば、短時間での可搬性の確保ができ、加熱硬化直後は弾性率が低く、熱歪の緩和が可能な接着方法、及び接着剤を提供することができる。
実施例1に係る接着剤の加熱工程後、常温での養生時間による貯蔵弾性率の変化を示すグラフである。
<接着方法の概要>
本発明に係る接着方法は、所定の接着剤を用いて第1の被着体と第1の被着体とは異なる第2の被着体とを互いに接着させる方法である。そして、本発明に係る所定の接着剤は、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と、架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体と、エポキシ樹脂とを含有する。また、本発明に係る接着剤は、第1の被着体及び/又は第2の被着体に塗布し、加熱された後において、加熱直後から常温(23℃)になるまで接着性と柔軟性とを有し、加熱後から常温になった後、更に常温下で養生する時間が経過することで接着性を維持しつつ徐々に硬くなり、最終的に十分な硬度を有する硬化物を形成する特性を有する。なお、被着体の加熱後から常温になった後、接着剤が第1の被着体、及び/又は第2の被着体の熱歪に追従できる柔軟性を有する間であれば、再度加熱する工程を有していても良い。ここで熱歪に追従できる柔軟性とは、接着剤を硬化するための加熱や、製品の製造工程における加熱による熱歪に追従できる柔軟性であり、最終硬化物が製造した製品の使用時における熱歪への追従性を有していないことを意味するものではない。
したがって、本発明に係る接着方法、及び接着剤によれば、第1の被着体と第2の被着体とを接着剤により貼り合わせると短時間で十分な接着力を発揮して第1の被着体と第2の被着体とが接着してなる構造体を次工程に速やかに提供することができる。また、本発明に係る接着剤は、養生時間の経過により徐々に硬くなる(つまり、貯蔵弾性率が増加する)ので、第1の被着体を構成する材料の線膨張係数と第2の被着体を構成する材料の線膨張係数とが互いに異なっていた場合であっても、第1の被着体及び/又は第2の被着体の冷却により発生する熱歪を緩和できる。これにより、本発明に係る接着方法、及び接着剤によれば、第1の被着体と第2の被着体とを接着させる場合に、第1の被着体及び/又は第2の被着体の熱歪による反り等を抑制することができる。
<接着方法の詳細>
本発明に係る接着方法は、本発明に係る接着剤を用いて被着体(第1の被着体)と、この被着体とは異なる他の被着体(第2の被着体)とを接着する方法である。具体的に、接着方法は、第1の被着体及び第2の被着体の少なくともいずれか一方に接着剤を塗布する塗布工程と、第1の被着体に接着剤を介して第2の被着体を貼り合わせて構造体を形成する貼り合わせ工程と、所定の温度に構造体を加熱して接着剤を硬化させる加熱工程とを備える。
(塗布工程)
塗布工程は、第1の被着体の接着剤を塗布する領域、及び/又は第2の被着体の接着剤を塗布する領域のうち少なくとも一方に、接着剤を塗布する。接着剤の塗布方法は特に限定されず、従来公知の塗布方法を選択することができる。例えば、所定のディスペンサーから接着剤を吐出する方法等が挙げられる。また、塗布工程における雰囲気、温度、及び湿度に特に限定はなく、空気中、常温下で接着剤を塗布することができる。
ここで、本発明の接着剤は後述のように形状保持性を有し、垂れにくい特性を有することが好ましい。また、第1の被着体及び第2の被着体の少なくともいずれか一方に所定の厚み(例えば0.1mm以上)を有するように接着剤を塗布することができ、貼り合わせ後にも所定の厚みを維持できることが好ましい。
(貼り合わせ工程)
貼り合わせ工程は、第1の被着体と第2の被着体とを接着剤を介して貼り合わせ、第1の被着体/接着剤/第2の被着体による構造体を形成する工程である。例えば、第1の被着体に接着剤を塗布した場合、そこに第2に被着体が重ね合わされる。一方、第2の被着体に接着剤を塗布した場合、そこに第1の被着体が重ね合わされる。その際、第1の被着体と第2の被着体との貼り合わせにあたって、貼り合わせ後に一定の接着厚みを保持していることが好ましい。一定の接着厚みを保持する場合、より好適に熱歪に追従することができる。貼り合わせ後に一定の接着厚みを保持する方法としては、接着剤に所期の粒径の充填材を添加することや、厚みを保持できる形状を有する第1の被着体及び/又は第2の被着体を用いる方法等が挙げられる。また、第1の被着体と第2の被着体とを重ね合わせた後、第1の被着体及び/又は第2の被着体を互いに他方の被着体に近づく方向に加圧してもよい。これにより、第1の被着体と第2の被着体との間の接着剤の厚さを調整できる。例えば、貼り合わせ工程後、構造体における接着剤の厚さは0.05mm以上にすることができ、0.1mm以上にすることもできる。
(加熱工程)
加熱工程は、構造体を所定の温度で所定時間、加熱することで接着剤を加熱し、接着剤を硬化させる工程である。加熱温度は接着剤の硬化温度に応じて適宜設定できる。加熱温度は用いる接着剤や、製品の製造工程の短縮等、目的に応じて適宜決定できる。例えば、加熱温度は、50℃以上が好ましく、80℃以上も好ましく、120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。また、接着剤に水が含まれている場合、加熱温度は120℃以下であればよいが、接着剤に発泡を生じさせない観点からは、100℃以下が好ましい。また、加熱する雰囲気や加熱方法に特に限定はなく、所定の加熱炉内での加熱やホットプレート上に構造体を載置して加熱する方法、熱風発生器での加熱等で加熱することができる。
本発明に係る接着方法は、加熱工程後、構造体を常温まで冷却する冷却工程、及び/又は構造体が常温まで冷却された後、更に常温下で養生する養生工程を更に備えてもよい。冷却工程により第1の被着体と第2の被着体との間の接着剤の硬化が進行する。本発明では、加熱工程直後の接着剤は、十分な接着性を発揮する一方で、所定の柔軟性を兼ね備えている。そして、例えば、加熱工程後、常温環境下において構造体を室温まで冷却する冷却工程において、接着剤は徐々に硬度(貯蔵弾性率)が増すので、この工程において構造体の熱歪が緩和される。更に、常温環境下において構造体を養生することで、接着剤は接着性を維持・向上すると共に更に歪が緩和され、かつ、硬度が向上する。
(第1の被着体、第2の被着体)
第1の被着体と第2の被着体とは、同一、若しくは互いに異なる材料から構成される。第1の被着体と第2の被着体とを互いに異なる材料から構成する場合、第1の被着体を構成する材料の線膨張係数と第2の被着体を構成する材料の線膨張係数とは互いに異なる。なお、第1の被着体、及び第2の被着体の形状には特に限定はなく、電気・電子部品、機械部品、自動車用部品等の各種の部品に応じた形状であってよい。本発明では接着剤が熱歪みを抑制できるので、第1の被着体の材料と第2の被着体の材料とが相違する場合に本発明に係る接着方法、及び接着剤を好ましく用いることができる。
第1の被着体は、例えば、アルミニウム、鉄、チタン、ステンレス等の金属材料から主として構成することができる。一方、第2の被着体は、例えば、樹脂材料、炭素繊維強化プラスチック等から主として構成することができる。なお、第1の被着体、及び第2の被着体は、上記の材料とは異なる材料から構成されていてもよい。
<接着剤の詳細>
本発明に係る接着剤は、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体、及びエポキシ樹脂を含有する。また、本発明に係る接着剤は、多孔質添加剤を更に含むことが好ましい。
なお、本発明の接着方法において、加熱して接着剤を硬化させる工程を有しているが、接着剤は加熱工程を経なければ硬化しない接着剤である必要はなく、常温環境下で十分に硬化する接着剤であってもよい。常温環境下で十分に硬化する接着剤を用いる場合には、加熱工程によって硬化が促進するものを用いることが好ましい。
(架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体)
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の架橋性ケイ素基は、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る基である。架橋性ケイ素基としては、例えば、一般式(1)で示される基が挙げられる。
Figure 0007421713000001
式(1)中、Rは、有機基を示す。なお、Rは、炭素数が1~20の炭化水素基が好ましい。これらの中でRは、特にメチル基が好ましい。Rは、置換基を有していてもよい。Rが2個以上存在する場合、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。Xは水酸基、又は加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する場合、複数のXは同一であっても、異なっていてもよい。aは0、1、2又は3の整数のいずれかである。硬化性を考慮し、十分な硬化速度を有する接着剤を得るためには、式(1)においてaは2以上が好ましく、3がより好ましい。十分な柔軟性を有する接着剤を得るためには、aは2が好ましい。
加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1~3個の範囲で結合することができる。加水分解性基や水酸基が架橋性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であっても、異なっていてもよい。
Xで示される加水分解性基としては、特に限定されない。例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アミノオキシ基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの中では、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ない基の方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が多くなるほどに反応性が低くなる。目的や用途に応じて選択できるが、通常、メトキシ基やエトキシ基が用いられる。
架橋性ケイ素基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基、-Si(OR)、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基、-SiR(OR)が挙げられる。ここでRはメチル基やエチル基等のアルキル基である。また、架橋性ケイ素基は1種で用いても、2種以上併用してもよい。架橋性ケイ素基は、主鎖又は側鎖、若しくはいずれに結合していてもよい。接着剤の硬化物の引張特性等の硬化物の物性が優れる観点からは、架橋性ケイ素基が分子鎖末端に存在することが好ましい。架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体において、架橋性ケイ素基は、有機重合体1分子中に平均して1.0個以上5個以下存在することが好ましく、1.1~3個存在することがより好ましい。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格としては、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体等のポリオキシアルキレン系重合体が挙げられる。
ポリオキシアルキレン系重合体は、本質的に一般式(2)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
-R-O- ・・・(2)
一般式(2)中、Rは炭素数が1~20の2価の有機基であればよく、例えば、炭素数が1~14の直鎖状若しくは分岐アルキレン基が好ましく、炭素数が1~14の直鎖状若しくは分岐アルキレン基がより好ましく、炭素数が2~4の直鎖状若しくは分岐アルキレン基が更に好ましい。
一般式(2)で示される繰り返し単位の具体例としては、-CHO-、-CHCHO-、-CHCH(CH)O-、-CHCH(C)O-、-CHC(CHO-、-CHCHCHCHO-等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特にオキシプロピレンを主成分とする重合体からなる主鎖骨格が好ましい。また、主鎖骨格中に分岐構造を有していてもよい。
架橋性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体の分子量に特に制限はないが、作業性の容易さの観点からは数平均分子量が500以上であることが好ましく、1,000以上であることが好ましく、100,000以下であることが好ましく、70,000以下であることがより好ましい。分子量が高くなると重合体の粘度が上昇して接着剤の粘度も上昇するので、数平均分子量が20,000以上の重合体を一部に含む重合体も好ましい。なお、本発明に係る数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算分子量である。
ポリオキシアルキレン系重合体において架橋性ケイ素基の含有量を適度に低下させると、硬化物における架橋密度が低下するので、初期においてより柔軟な硬化物になり、モジュラス特性が小さくなると共に破断時伸び特性が大きくなる。ポリオキシアルキレン系重合体において架橋性ケイ素基は、重合体1分子中に平均して1.2個以上2.8個以下存在することが好ましく、1.3個以上2.6個以下存在することがより好ましく、1.4個以上2.4個以下存在することが更に好ましい。分子中に含まれる架橋性ケイ素基の数が1個未満になると硬化性が不十分になり、また多すぎると網目構造があまりに密になるため良好な機械特性を示さなくなる。そして、主鎖骨格が直鎖である2官能の重合体の場合、当該重合体の架橋性ケイ素基は、重合体1分子中に平均して1.2個以上1.9個未満存在することが好ましく、1.25個以上1.8個以下存在することがより好ましく、1.3個以上1.7個未満存在することが更に好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、例えば、開始剤と触媒との存在下、モノエポキシドを開環重合することによって合成できる。
開始剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、メタリルアルコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の2価アルコールや多価アルコール、水酸基を有する各種のオリゴマー等が挙げられる。
モノエポキシドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α-ブチレンオキサイド、β-ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α-メチルスチレンオキシド等のアルキレンオキサイド類や、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、アリルグリシジルエーテル類、アリルグリシジルエーテル類等が挙げられる。
触媒としては、例えば、KOH、NaOH等のアルカリ触媒、トリフルオロボラン-エーテラート等の酸性触媒、アルミノポルフィリン金属錯体やシアン化コバルト亜鉛-グライム錯体触媒等の複合金属シアン化物錯体触媒等を用いることができる。
すなわち、ポリオキシアルキレン系重合体は、例えば、KOHのようなアルカリ触媒による重合法、例えば、複金属シアン化物錯体触媒による重合法等により得られるが、特に限定されない。複金属シアン化物錯体触媒による重合法によれば、副反応が少なく、数平均分子量6,000以上、Mw/Mnが1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
この他、ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、水酸基末端ポリオキシアルキレン重合体を塩基性化合物、例えばKOH、NaOH、KOCH、NaOCH等の存在下、2官能以上のハロゲン化アルキル、例えばCHCl、CHBr等による鎖延長等によっても得ることができる。また、2官能や3官能のイソシアネート化合物によって水酸基末端ポリオキシアルキレン重合体を鎖延長する方法等も挙げられる。
架橋性ケイ素基をポリオキシアルキレン系重合体中に導入する方法としては、特に限定されず、各種の方法を用いることができる。例えば、分子中に不飽和基、水酸基、エポキシ基、又はイソシアネート基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を有する官能基、並びに架橋性ケイ素基を反応させることで、ポリオキシアルキレン系重合体へ架橋性ケイ素基を導入できる。例えば、1分子中に下記の一般式(3)又は一般式(4)で示される不飽和基を末端に有するポリオキシアルキレン系重合体と、一般式(5)で示される架橋性ケイ素基含有化合物とを、VIII族遷移金属触媒の存在下で反応させる方法が好ましい。
CH=CH-R-O- ・・・(3)
CH=C(R)-R-O- ・・・(4)
式中Rは炭素数1~20の2価の有機基、Rは炭素数10以下の炭化水素基である。
H-[Si(R 2-b)(X)O]Si(R 3-a)Xa ・・・(5)
及びRは同一又は異なる炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基、又は(R’)SiO-で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R又はRが二個以上存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1~20の一価の炭化水素基であり3個のR’は同一であっても異なっていてもよい。Xは水酸基又は加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する時、それらは同一であっても異なっていてもよい。aは0、1、2又は3を、bは0、1、又は2をそれぞれ示し、a+Σb≧2を満たすものとする。また、m個の-Si(R 2-b)(X)-O-基におけるbについて、それらは同一であっても、異なっていてもよい。mは0~19の整数を示す。
また、水酸基末端ポリオキシアルキレン重合体への架橋性ケイ素基含有イソシアネート化合物の添加や、イソシアネート基末端ポリオキシアルキレン重合体と架橋性ケイ素基含有アミン化合物との反応、イソシアネート基末端ポリオキシアルキレン重合体と架橋性ケイ素基含有メルカプタン化合物との反応等を用いることもできる。すなわち、ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中にはウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。ウレタン結合成分としては、例えば、トルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートと水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体との反応から得られる成分を挙げることができる。
末端に一般式(3)又は(4)で示される不飽和基を有するポリオキシアルキレン系重合体の製造法としては、例えば、水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体に不飽和結合を有する化合物を反応させて、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合等により結合させる方法等が挙げられる。これにより、例えば、架橋性ケイ素基を有するウレタン(シリル化ウレタンともいう)を、本発明に係る架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体として用いることができる。
また、エーテル結合により不飽和基を導入する場合、例えば、ポリオキシアルキレン重合体の水酸基末端のメタルオキシ化により-OM(MはNa又はK等)を生成した後、一般式(6)又は一般式(7)で示される不飽和基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
CH=CH-R-X ・・・(6)
CH=C(R)-R-X ・・・(7)
式中R、Rは前記に同じ。Xはハロゲン原子である。
一般式(6)又は(7)で示される不飽和基含有化合物としては、例えば、CH=CH-CH-Cl、CH=CH-CH-Br、CH=CH-C-Cl、CH=CH-C-Br、CH=CH-C-Cl、CH=CH-C-Br、CH=C(CH)-CH-Cl、CH=C(CH)-CH-Br、CH=C(CHCH)-CH-Cl、CH=C(CHCH)-CH-Br、CH=C(CHCH(CH)-CH-Cl、CH=C(CHCH(CH)-CH-Br等が挙げられ、特に反応性の観点から、CH=CH-CH-Cl、CH=C(CH)-CH-Clが好ましい。
不飽和基の導入方法としては、他にも、CH=CH-CH-基やCH=C(CH)-CH-基等を有するイソシアネート化合物、カルボン酸、エポキシ化合物を用いることもできる。
VIII族遷移金属触媒としては、白金、ロジウム、コバルト、パラジウム、及びニッケル等のVIII族遷移金属元素からなる群から選択される1種以上の金属錯体触媒等が挙げられる。例えば、HPtCl・6HO、白金-ビニルシロキサン錯体、白金-オレフィン錯体、Ptメタル、RhCl(PPh、RhCl、Rh/Al、RuCl、IrCl、FeCl、PdCl・2HO、NiCl等の化合物が挙げられる。中でも、ヒドロシリル化の反応性の観点から、HPtCl・6HO、白金-ビニルシロキサン錯体、白金-オレフィン錯体のいずれかを用いることが好ましい。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体)
架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体の架橋性ケイ素基としては、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の架橋性ケイ素基と同様である。(メタ)アクリル系重合体としては、例えば、一般式(8)で表される置換基(以下、「(メタ)アクリロイル系置換基」と称する場合もある。)を分子内(例えば、分子末端)に有する(メタ)アクリル系重合体が挙げられる。
-O-C(=O)-C(R)=CH ・・・(8)
一般式(8)中、Rは水素原子、又は炭素数1~20の炭化水素基である。
(架橋性ケイ素基の導入方法)
(メタ)アクリル酸エステル重合体の調製において、(メタ)アクリル酸エステル重合体への架橋性ケイ素基の導入は公知の種々の方法を用いることができる。例えば、架橋性ケイ素基の導入方法の例として次の方法を挙げることができる。
(1)架橋性ケイ素基を有する不飽和化合物を共重合する。
(2)架橋性ケイ素基を有する開始剤や連鎖移動剤を用いて重合する。
(3)水酸基等の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体にエポキシシラン等の当該官能基と反応し得る他の官能基と架橋性ケイ素基とを有する化合物を反応させる。
これらの架橋性ケイ素基の導入方法のうち、架橋性ケイ素基を容易に導入できる観点から、(1)架橋性ケイ素基を有する不飽和化合物を共重合する方法が好ましい。また、(1)の方法と(2)の方法とを併用する方法も好ましい。例えば、メチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、金属触媒としてのチタノセンジクロリド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(チタノセンジクロリドの作用により開始剤として作用し、連鎖移動剤としても作用する。)、及び重合停止剤としてのベンゾキノン溶液を用い、WO2015-088021の合成例4に準じた合成方法を用いることで、架橋性ケイ素基含有メタクリル酸メチル系重合体としてのトリメトキシシリル基含有(メタ)アクリル系重合体が得られる。
(架橋性ケイ素基を有する不飽和化合物)
共重合に用いる架橋性ケイ素基を有する不飽和化合物としては架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルやビニルシランが好ましい。係る化合物としては、例えば、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ-(メタ)アクリロキシプロピルアルコキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルアルコキシシラン等が挙げられる。これらの中では架橋性ケイ素基を有するアルキル基の炭素数が10以下、好ましくは3以下の置換アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
((メタ)アクリル酸エステル重合体の合成に用いる架橋性ケイ素基を有する単量体を除く他の単量体)
(メタ)アクリル酸エステル重合体の合成に用いる架橋性ケイ素基を有する単量体を除く他の単量体としては、メタクリル酸メチルを必須のモノマー成分とする、一般式(9)で示される繰り返し単位を有するメタクリル酸メチル系ランダム共重合体が挙げられる。
-CHC(R)(COOR)- (9)
一般式(9)中、Rは水素原子若しくはメチル基、Rは置換基を有してもよい炭化水素基を示す。なお、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルを示す。
(メタ)アクリル酸エステルの重合体の合成に用いる架橋性ケイ素基を有する単量体及びメタクリル酸メチルを除く他の単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、アルキル基の炭素数が1~30の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが更に好ましく、アルキル基の炭素数が1~30で置換基を有しない(メタ)アクリル酸アルキルエステルが特に好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物の例としては、公知の化合物が挙げられる。例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等を挙げることができる。
また、優れた接着性を発現する観点からは、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の炭素数が8以上のエステル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体に可撓性を与える観点からは、アクリル酸n-ブチル(Tg;-55℃)、アクリル酸2-エチルヘキシル(Tg;-70℃)、アクリル酸ラウリル(Tg;-3℃)等のガラス転移温度(Tg)が0℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることが好ましい。なお、この段落におけるガラス転移温度はホモポリマーのガラス転移温度を示す。
(メタ)アクリル酸エステルのアルキル基等の炭化水素基は、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、エポキシ基等の置換基を有していてもよい。このような化合物の例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、メトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。なお、ポリスチレン鎖を有するアクリル酸エステル等の高分子鎖を有する不飽和化合物(マクロモノマー若しくはマクロマー)を用いることもできる。
更に、(メタ)アクリル酸エステル重合体の架橋性ケイ素基含メタクリル酸メチル系重合体中には、(メタ)アクリル酸エステル化合物由来の繰り返し単位に加えて、これらと共重合性を有する化合物由来の繰り返し単位を含んでもよい。(メタ)アクリル酸エステル化合物と共重合性を有する化合物の例としては、(メタ)アクリル酸等のアクリル酸;(メタ)アクリルアミド等のアミド化合物、アルキルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;その他アクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等が挙げられる。
(単量体の使用比率)
(メタ)アクリル酸エステル重合体中のメチルメタクリレート量は80重量%未満であり、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル化合物と共重合性を有する化合物の使用比率は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の重合体中に20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。ただし、マクロモノマーを用いる場合、マクロモノマーの量が(メタ)アクリル酸エステル重合体の重合体中に10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。
(ガラス転移温度)
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、0℃以上120℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する。ガラス転移温度は、0℃以上であることが好ましく、20℃以上がより好ましく、40℃以上が更に好ましい。また、120℃以下であることが好ましく、100℃以下がより好ましく、80℃以下が更に好ましい。ガラス転移温度が0℃未満であると接着直後の接着強度が劣る傾向にある。また、ガラス転移温度が120℃を超えると粘度が高くなり、接着剤の被着体への塗布が困難になる傾向にある。ガラス転移温度は上述のFox式を用いて容易に推定できる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体の分子量は、重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算分子量)で、1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましく、3,000以上が更に好ましく、20,000以下が好ましく、10,000以下がより好ましく、6,000以下が更に好ましい。重量平均分子量が1,000未満では、塗布後の初期接着力が低く、20,000を超えると、塗布作業時の粘度が高くなり過ぎ、作業性が低下する。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体の重合体は室温では固体若しくは環球法軟化点が80℃以上であることが好ましい。
((メタ)アクリル酸エステル重合体の重合法)
(メタ)アクリル酸エステル重合体の重合法としては、ラジカル重合方法を用いることができる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等の熱重合開始剤を用いる通常の溶液重合方法や塊状重合方法を用いることができる。また、光重合開始剤を用い、光又は放射線を照射して重合する方法も用いることができる。ラジカル共重合においては、分子量を調節するために、例えば、ラウリルメルカプタンや3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の連鎖移動剤を用いてもよい。また、熱重合開始剤を用いるラジカル重合方法を用いることができ、係る方法で本発明に係る(メタ)アクリル酸エステル重合体の重合体を容易に得ることができる。なお、特開2000-086998号公報に記載されているようなリビングラジカル重合法等、他の重合方法を用いてもよい。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、様々なエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーを用いることができる。
このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4’-(1,3-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4’-(1,4-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4’-シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)等のビスフェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリヒドロキシフェノニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、ヒドロキシナフタレン及び/又はジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られる2官能ないし4官能のナフタレン2量体型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;フェノキシ型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;N,N,N’,N’-テトラグリシジルメタキシレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン、N,N-ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミン類;グリシジル(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物との共重合物;ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。また、エポキシ樹脂をアルコキシシランやシルセスキオキサン等で変性した、シロキサン結合を有する変性エポキシ樹脂を用いることもできる。シロキサン結合を有する変性エポキシ樹脂としては、例えば、特開2010-275411号公報に開示のアルコキシシランで変性したエポキシ樹脂組成物や、特許5569703号公報に開示のシルセスキオキサン変性エポキシ樹脂等が挙げられ、製品としては荒川化学工業株式会社製のコンポセランEシリーズや、コンポセランSQシリーズ等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、耐熱性に優れる観点から、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、ヒドロキシナフタレン及び/又はジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られる2官能ないし4官能のナフタレン2量体型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、シロキサン結合を有する変性エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
(配合量)
本発明においては、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と、架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体との合計100質量部に対し、エポキシ樹脂が10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、300質量部以下であることが好ましく、200質量部以下であることがより好ましい。
(エポキシ樹脂の硬化剤)
エポキシ樹脂の硬化剤としては、従来公知の化合物を広く用いることができるが、特に3級アミン化合物を用いることが好ましい。
3級アミン化合物の例としては、N,N’-ジメチルピペラジン等の脂環族アミン類;ベンジルジメチルアミン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の脂肪芳香族アミン類;モルホリン、N-メチルモルホリン等のエーテル結合を有するアミン類;トリエタノールアミン等の水酸基含有アミン類;アミン類にエポキシ化合物を反応させて得られるエポキシ変性アミン、アミン類にホルマリン、フェノール類を反応させて得られるマンニッヒ変性アミン、マイケル付加変性アミン、ケチミン等の変性アミン類;2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの2-エチルヘキサン酸塩等のアミン塩等が挙げられる。また、3級アミノ基を少なくとも1個有する強塩基性であるアミジン化合物も挙げられる。ここでアミジン化合物とは、下記一般式(10)で示される化合物である。
10N=CR11-NR12 ・・・(10)
(R10、R11、及び2個のR12は、それぞれ独立に、水素原子又は有機基である。また、R10とR12は共同して環構造を形成してもよい。)
例えば、イミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾリン類;1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7(DBU)、6-(ジブチルアミノ)-1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7(DBA-DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン-5(DBN)等の環状アミジン類;DBU-フェノール塩、DBU-オクチル酸塩、DBU-p-トルエンスルホン酸塩、及びDBU-フェノールノボラック樹脂塩等のアミジン塩類等が挙げられる。これらの3級アミン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂の硬化触媒という観点からは3級アミン化合物として活性水素を有する3級アミン化合物を用いるかあるいは、3級アミン化合物と共に活性水素を有する化合物を用いることが好ましい。活性水素は3級アミン化合物の活性を向上させ反応速度を加速する効果がある。反応速度の加速効果はフェノール類>酸>アルコールの順である。なお、3級アミン化合物と共に活性水素を有する化合物を併用する場合、硬化剤に活性水素を有する化合物を添加してもよいし、主剤に添加してもよいが硬化剤に添加することが好ましい。活性水素を有する基の例としてはフェノール性水酸基;アルコール性水酸基;カルボキシ基やスルホン基等の酸性基等が挙げられる。2-(ジメチルアミノメチル)フェノールや2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールのように上記した3級アミン化合物の具体例の中にも活性水素を有する3級アミン化合物が示されている。これらの中で2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールは最も好ましい3級アミン化合物である。活性水素を有する化合物の例としてアルキルフェノール等のフェノール類;テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸基含有化合物が挙げられる。
エポキシ樹脂の硬化剤として2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを用いる場合、一般的な添加量である、エポキシ樹脂100質量部に対して5~10質量部(新エポキシ樹脂(昭和60年5月10日刊行)の537ページ参照)より多量を添加することが好ましい。2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを多量に添加する場合、高温時の貯蔵弾性率が優れるためである。また、多量の2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールに加え、更に他のエポキシ樹脂の硬化剤を添加してもよい。
エポキシ樹脂の硬化剤の配合割合はエポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以上60質量部以下が好ましく、2質量部以上50質量部以下がより好ましく、4質量部以上40質量部以下が更に好ましい。特に、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを用いる場合の配合量としては、エポキシ樹脂100質量部に対して、10質量部以上、更には15質量部以上であることが好ましい。
(多孔質添加剤)
本発明の接着剤は、多孔質添加剤を更に含むことが好ましい。多孔質添加剤としては、細孔(メソ孔)を有する無機化合物や吸油性を有する化合物が挙げられる。例えば、多孔質添加剤としては、多孔質構造、及び/又は吸油性を有する、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸バリウム等からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることができる。多孔質添加剤の形状としては、特に限定されず、例えば、真球状、破砕状、円盤状、棒状、繊維状等であってよい。
また、多孔質添加剤は、その表面が物理的又は化学的に親水化処理若しくは疎水化処理されていてもよい。表面が疎水化処理されている場合、吸油量(JIS K5101に準ずる規定量)が50ml/100g以上である化学的に疎水化処理された化合物であることが好ましい。表面が疎水化処理された多孔質添加剤を用いることで、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体、及び/又はエポキシ樹脂との接着性が増加し、硬化物の機械強度等の特性が向上する。また、吸油量50ml/100g以上である表面が疎水化処理された多孔質添加剤を用いることで、エポキシ樹脂との接着性が向上すると共に熱硬化時における着色を抑制することもできる。多孔質添加剤としては、例えば、多孔質シリカを好適に用いることができる。
また、多孔質添加剤の見掛け密度は、特に限定されないが、0.4g/cm以上であることが好ましく、0.4g/cm以上2.0g/cm以下であることがより好ましい。なお、見掛け密度とは、多孔質添加剤の素原料が占める密度と微細孔の占める空間(すなわち、細孔容積)とを考慮した密度を指す。多孔質添加剤の機械的強度を確保する観点から、見掛け密度は0.4g/cm以上が好ましい。
また、多孔質添加剤の平均粒径は、0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。接着剤の流動性を良好に保つ観点から、多孔質添加剤の平均粒径は100μm以下であり、0.1μm以上であることが好ましい。
また、多孔質添加剤の比表面積は、100m/g以上であることが好ましく、300m/gであることがより好ましく、1000m/g以下であることが好ましく、700m/g以下であることがより好ましい。多孔質添加剤の他の重合体や樹脂の給油量を適切な量に保つ観点から比表面積は100m/g以上であることが好ましく、多孔質添加剤の流動性を良好に保つ観点から、多孔質添加剤の比表面積は1000m/g以下であることが好ましい。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と、架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体との合計100質量部に対し、多孔質添加剤が1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましく、50質量部以下であることが好ましく、作業性の観点から30質量部以下であることがより好ましい。
(接着方法における接着剤の特性)
ここで、本発明の接着方法の加熱工程後、構造体を常温(23℃、50%RH)で養生する場合、養生する時間の経過により、本発明に係る接着剤の貯蔵弾性率は増加する特性を有する。すなわち、本発明の接着剤は、加熱工程後の貯蔵弾性率が、加熱工程後に所定時間経過した後における貯蔵弾性率よりも低い特性を有する。なお、貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定(DMA)装置(セイコーインスツルメンツ社製DMS6100)を用い、下記条件で測定することができる。
(貯蔵弾性率の測定条件)
測定周波数:1Hz、測定モード:引張り、昇温速度:5℃/min
具体的に、加熱工程後、常温環境下で構造体が常温に戻るまでの間の接着剤の貯蔵弾性率は、加熱工程後、常温環境下で構造体を24時間養生した後における接着剤の常温における貯蔵弾性率よりも低い特性を、接着剤は発揮する。
すなわち、
(1)接着剤を硬化するために接着剤を加熱する(加熱工程)。
(2)加熱工程後、接着剤が常温に戻るまで常温環境下に放置する(例えば、30分放置)。
(3)常温になった時に接着剤の貯蔵弾性率を計測する(この時の貯蔵弾性率を、貯蔵弾性率Aとする。)。
(4)常温になった後、更に常温環境下で放置する。
(5)加熱終了時点から24時間経過後に再び貯蔵弾性率を計測する(この時の貯蔵弾性率を、貯蔵弾性率Bとする。)。
という工程を経たときに、貯蔵弾性率Aが貯蔵弾性率Bより低い特性を、接着剤は発揮する。
更に、加熱工程後、常温環境下で構造体を24時間養生した後における接着剤の常温における貯蔵弾性率が、加熱工程後、常温環境下で構造体が常温に戻るまでの間の接着剤の貯蔵弾性率の1.5倍以上であることが好ましく、2.0倍以上であることがより好ましい。
なお、加熱工程後、常温環境下で構造体が常温に戻るまでの時間は、加熱工程後、常温環境下で構造体を24時間養生する時間より短い。すなわち、加熱工程における加熱温度が、例えば、120℃以下程度、特に80℃以下程度であれば、加熱工程後に常温環境下で構造体の温度が常温に戻るまでの時間は、24時間はかからない。
また、本発明の接着剤を70℃~100℃、好ましくは80℃~100℃で30分間、硬化させた場合、JIS K6850に準拠して測定される接着剤の接着強度は1MPa以上であることが好ましく、3MPa以上であることがより好ましい。
更に、本発明の接着剤は、良好な貯蔵弾性率、良好な伸び率の保持率、良好な熱間強度、及び良好な耐湿性を発揮することができる。
すなわち、本発明の接着剤は、70℃~100℃で30分間の加熱硬化後、23℃50%RH環境下で24時間養生後のJIS K7244-1に準拠して測定される貯蔵弾性率が、30MPa以上であって、50MPa以上であることが好ましく、100MPa以上であることがより好ましい。また、本発明の接着剤は、JIS K6251に準拠して測定される23℃環境下での伸び率が50%以上であって、100%以上であることが好ましい。更に、本発明の接着剤は、23℃環境下の伸び率に対する、-40℃(低温)環境下で測定される伸び率の保持率が20%以上であって、30%以上であることが好ましい。なお、伸び率及び保持率は、23℃環境下での測定値を100%とすることによって算出できる。
また、本発明の接着剤は、JIS K6850に準拠して測定される熱間強度が3.0MPa以上であって、5.0MPa以上であることが好ましい。本発明の接着剤は耐湿性に優れるので、少なくともウレタン系接着剤と比較して優れた耐湿性を発揮する。
更に、本発明の接着剤は、良好な形状保持性を有することが好ましい。形状保持性に優れる場合、接着剤を塗布した被着体を移動させる場合や、立てかけて養生する場合等、様々な作業環境に適用できるため好ましい。本発明において形状保持性を有するとは、接着剤の降伏応力が25Pa以上である場合を指す。形状保持性を十分に保つ観点から、降伏応力は、25Pa以上が好ましく、30Pa以上が更に好ましい。
[その他の添加剤]
本発明に係る接着剤には、接着剤の物性等を損なわない範囲で必要に応じ、水、粘着付与剤、充填剤、シランカップリング剤、増量剤、可塑剤、硬化触媒、引張特性等を改善する物性調整剤、補強剤、着色剤、難燃剤、タレ防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、溶剤、香料、顔料、染料、フィラー、希釈剤等の各種添加剤を加えてもよい。
(水)
本発明においては、被着体に所定の厚さ(例えば、0.1mm以上の厚さ)を有する接着剤を塗布する場合、接着剤に所定量の水を添加することが好ましい。
(粘着付与剤)
粘着付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン-フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与剤は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
(充填剤)
充填剤としては、フュームドシリカ、沈降性シリカ、溶融シリカ、無水ケイ酸、及びカーボンブラック等の補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、硬化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン等の充填剤;石綿、ガラス繊維、及びフィラメント等の繊維状充填剤等を用いることができる。これらの充填剤は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤としては、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン等のケチミン型シラン類;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ-クロロプロピルトリメトキシシラン等の塩素原子含有シラン類;γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート含有シラン類;デシルトリメトキシシラン等のアルキルシラン類;フェニルトリメトキシシラン等のフェニル基含有シラン類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、アミノ基含有シラン類と上記のシラン類を含むエポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、(メタ)アクリロイル基含有化合物とを反応させて、アミノ基を変性させた変性アミノ基含有シラン類を用いてもよい。これらのシランカップリング剤は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
(可塑剤)
可塑剤としては、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸エステル類;グリコールエステル類;脂肪族エステル類;リン酸エステル類;ポリエステル系可塑剤類;ポリプロピレングリコールやその誘導体等のポリエーテル類;炭化水素系可塑剤類;塩素化パラフィン類;低分子量のアクリル酸エステル重合体等が挙げられる。これらの可塑剤は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
(硬化触媒)
硬化触媒としては、Si-F結合を有するケイ素化合物、及びその他の硬化触媒が挙げられる。
Si-F結合を有するケイ素化合物としては、Si-F結合を有するケイ素基(以下、フルオロシリル基と称することがある)を含む様々な化合物を用いることができる。Si-F結合を有するケイ素化合物として無機化合物及び有機化合物のいずれも用いることができる。Si-F結合を有するケイ素化合物としてはフルオロシリル基を有する有機化合物が好ましく、フルオロシリル基を有する有機重合体が、安全性が高くより好適である。また、組成物が低粘度となる点からフルオロシリル基を有する低分子有機ケイ素化合物が好ましい。
Si-F結合を有するケイ素化合物の例としては、WO2015-088021号公報に記載のフルオロシラン、WO2015-088021号公報に記載のフルオロシリル基を有する化合物、及びWO2015-088021号公報に記載のフルオロシリル基を有する有機重合体等が挙げられる。
また、その他の硬化触媒としては、公知の硬化触媒を広く用いることができ、特に制限はない。例えば、有機金属化合物、アミン類、脂肪酸、有機酸性リン酸エステル化合物等が挙げられ、シラノール縮合触媒を用いることが好ましい。シラノール縮合触媒としては、例えば、有機錫化合物;ジアルキルスズオキサイド;ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等;チタン酸エステル類;有機アルミニウム化合物類;チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;有機酸ビスマス等が挙げられる。しかしながら、有機錫化合物は添加量に応じて、得られる組成物の毒性が強くなる場合がある。したがって、有機錫化合物を硬化触媒として用いる場合、本発明の目的や効果を達成できる範囲内で用いることが好ましい。
(タレ防止剤)
タレ防止剤としては、公知のタレ防止剤を広く用いることができ、特に制限はないが、例えば、ポリアミドワックス類;水添ヒマシ油誘導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類、有機ベントナイト、シリカ、変性ポリエステルポリオール、石綿粉等の無機揺変剤、脂肪酸アマイド等の有機揺変剤等が挙げられる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系等の化合物、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。これらの酸化防止剤は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
(顔料)
顔料としては、例えば、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等の有機顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
(フィラー)
フィラーとしては樹脂フィラー(樹脂微粉末)や無機フィラー、及び機能性フィラーを用いることができる。フィラーに、シランカップリング剤、チタンキレート剤、アルミカップリング剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、ロジン等で表面処理を施してもよい。樹脂フィラーとしては、有機樹脂等からなる粒子状のフィラーを用いることができる。例えば、樹脂フィラーとして、ポリアクリル酸エチル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂系、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等の有機質微粒子を用いることができる。
(希釈剤)
本発明の接着剤は、希釈剤を含有することもできる。ここでは、引火点(開放式)が50℃以上の溶剤を希釈剤とする。希釈剤を含有することにより、粘度等の物性を調整できる。希釈剤としては、様々な希釈剤を用いることができる。希釈剤としては、例えば、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等の飽和炭化水素系溶剤、リニアレンダイマー(出光興産株式会社商品名)等のα-オレフィン誘導体、芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、クエン酸アセチルトリエチル等のクエン酸エステル系溶剤、ケトン系溶剤等の各種溶剤が挙げられる。
[接着剤の製造方法]
接着剤の製造方法は特に制限はなく、例えば、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と、架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体と、及びエポキシ樹脂とを所定量配合し、また、必要に応じて多孔質添加剤、及び/又は他の配合物質を配合し、脱気攪拌することにより製造できる。各成分及び他の配合物質の配合順は特に制限はなく、適宜決定できる。更に、接着剤は、必要に応じて1液型とすることもできるし、2液型とすることもできる。
[実施の形態の効果]
本発明に係る接着方法は、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と、架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体と、エポキシ樹脂とを含有し、接着剤を硬化させるための加熱の後、接着剤を常温で養生する場合、養生する時間の経過により、接着剤の貯蔵弾性率が増加する特性を接着剤が有するので、短時間で可搬性の確保ができ、加熱硬化直後は弾性率が低く、熱歪の緩和を可能にすることができる。
以下に実施例を挙げて更に具体的に説明する。なお、これらの実施例は例示であり、限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
(合成例1:アルコキシシリル基含有メタクリル樹脂)
アルコキシシリル基含有メタクリル樹脂として、トリメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体を合成した。具体的に、メチルメタクリレート70.00g、2-エチルヘキシルメタクリレート30.00g、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン12.00g、金属触媒としてのチタノセンジクライド0.10g、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン8.60g、重合停止剤としてのベンゾキノン溶液(95%THF溶液)20.00gを用い、WO2015-088021の合成例4の方法に準じ、トリメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体を得た。
得られた反応物の酢酸エチル溶液を105℃で加熱により固形分を求めたところ、70.5%であった。また、得られた重合体についてゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算分子量は、重量平均分子量(Mw)が4,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が2.4であった。更に、H-NMR測定(島津製作所社製のNMR400を用いて、CDCl溶媒中で測定)により、含有されるトリメトキシシリル基が1分子あたり2個であることが確認された。また、ガラス転移温度は、61℃であった。
(合成例2:フッ素化ポリマーの合成)
分子量約2,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート-グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキサイドを反応させ数平均分子量15,000の水酸基末端ポリオキシプロピレンを得た。この水酸基末端ポリオキシプロピレン重合体にNaOCHのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。脱塩精製処理後、ヒドロシリル化合物であるメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下で反応させ、末端にメチルジメトキシシリル基を有し、平均して1分子中に1.7個の架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン重合体(1)を得た。
次に、BFジエチルエーテル錯体2.4g、脱水メタノール1.6g、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン重合体(1)を100g、トルエン5gを用い、特開2009-215330の合成例6の方法に準じ、末端にフルオロシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(以下、フッ素化ポリマーと称する)を得た。得られたフッ素化ポリマーのH-NMRスペクトル(Shimazu社製のNMR400を用いて、CDCl溶媒中で測定)を測定したところ、原料である架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン重合体(1)のシリルメチレン(-CH-Si)に対応するピーク(m,0.63ppm)が消失し、低磁場側(0.7ppm~)にブロードピークが現れた。
(合成例3:シロキサン結合を有する変性エポキシ樹脂の合成)
jER828(三菱化学社製)80質量部と、KBM403(信越化学(株)製)100質量部と、ネオスタンU-810(日東化成(株)製)1質量部と、イオン交換水10質量部を混合し、50~70℃に加熱し、30分間混合した。その後、140℃で2時間の脱水・脱アルコール処理をし、次いで、減圧下で140℃30分間水・アルコールの除去をし、シロキサン結合を有する変性エポキシ樹脂を得た。
(実施例1~2)
表1に示す配合割合で各配合物質をそれぞれ添加し、接着剤を調製した。具体的に、表1に示す配合割合になるように、A剤、及びB剤のそれぞれを秤量して準備した。次に、これらを混合して撹拌した。これにより、実施例1~2に係る接着剤を得た。
Figure 0007421713000002
表1において、各配合物質の配合量の単位は「質量部」である。また、配合物質の詳細は下記のとおりである。
(A剤)
・jER828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ビスA型EP)、三菱化学社製
・ネオスタンU-810:ジオクチル錫ジラウレート、日東化成社製
・サイロホービック200:多孔質シリカ、富士シリシア化学社製
(B剤)
・架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体:合成例1で得た重合体
・SAX575:架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、カネカ社製
・バーサミンEH30:TAP(2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール)、コグニス社製
・KBM603:[3-(2-アミノエチル)アミノプロピル]トリメトキシシラン、信越化学社製
(引張せん断測定)
純度が99%以上のアルミニウム(A1100)からなる第1の被着体に実施例1に係る接着剤を0.5mm厚のスペーサーを用いて12.5mm×25mmで塗布し、接着剤を挟むようにアルミニウム(A1100)からなる第2の被着体を貼り合わせた。この状態で、80℃条件下で30分間養生し、更に23℃50%RH条件下で7日間養生した。そして、養生後直ちにJIS K6850剛性被着材の引張せん断接着強さ試験方法に準拠し、試験速度50mm/minで23℃環境下での引張せん断接着強さを測定し、更に110℃環境中にて、110℃環境下での引張せん断接着強さを測定した。実施例2についても同様に養生後直ちに測定した。
また、あわせて破断時の破壊状態を目視で確認した。表1中、AFは接着剤が界面破壊したことを示し、CFは接着剤が凝集破壊したことを示し、TCFは接着剤が被着体近傍で凝集破壊したことを示す。また、AxCyはAFとCFとが混在していることを示し、AFの割合がxであり、CFの割合がyであることを示す(ただし、x及びyは正数であり、x+y=10を満たす。)。同様にAxTCFyはAFとTCFとが混在していることを示し、AFの割合がxであり、TCFの割合がyであることを示す(ただし、x及びyは正数であり、x+y=10を満たす。)。
表1を参照すると分かるように、実施例2に係る接着剤においては、多孔質シリカの存在により、引張せん断接着強さが実施例1より向上することが示された。
図1は、実施例1に係る接着剤の温度による貯蔵弾性率の変化を示すグラフである。図1では、横軸が温度(℃)を示し、縦軸が貯蔵弾性率(Pa)を示す。
実施例1に係る接着剤を80℃の温度で30分間、加熱硬化させ、更に常温環境下で30分間静置した後の試験片、及び80℃の温度で30分間、加熱硬化させ、更に常温環境下で24時間静置した後の試験片のそれぞれについて、動的粘弾性測定(DMA)装置(セイコーインスツルメンツ社製DMS6100)を用いて下記条件で貯蔵弾性率(E’(Pa))を測定した。貯蔵弾性率は-100℃から120℃の範囲で測定した。その結果を図1に示す。なお、図1において点線のグラフが30分間静置した後の試験片の貯蔵弾性率の変化を示すグラフであり、実線のグラフが24時間静置した後の試験片の貯蔵弾性率の変化を示すグラフである。
測定周波数:1Hz、測定モード:引張り、昇温速度:5℃/min
図1を参照すると分かるように、実施例1に係る接着剤は、常温環境下で放置する時間が長くなることにより、少なくとも-50℃付近から120℃付近の温度範囲において、貯蔵弾性率が向上することが示された。
(実施例3~9)
表2に示す配合割合で各配合物質をそれぞれ添加し、接着剤を調製した。具体的に、表2に示す配合割合になるように、A剤、及びB剤のそれぞれを秤量して準備した。次に、これらを混合して撹拌した。これにより、実施例3~9に係る接着剤を得た。
Figure 0007421713000003
表2において、各配合物質の配合量の単位は「質量部」である。また、配合物質の詳細は下記のとおりである。ただし、表1に記載した配合物質と同一の化合物については説明を省略する。
(A剤)
・フッ素化ポリマー:合成例2で得たフッ素化ポリマー
・KBM403:(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学社製
(B剤)
・架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体:合成例1で得た重合体
・SAX575:架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、カネカ社製
・SPUR+1050MM:シリル化ウレタンポリマー、モメンティブ社製
(破断強度、伸び測定、貯蔵弾性率)
実施例3に係る接着剤を深さ2mmの型枠に均一に充填し、80℃で30分間養生し、更に23℃50%RH環境下で7日間養生することでJIS K6251に規定するダンベル状3号形試験片を採取した。これにより得られた試験片を用い、引張速度を200mm/minに設定し、試験片が破断するまで当該試験片に加力した場合における破断強度(MPa)及び破断時の伸び(%)を測定した。破断時伸び(%)の算出方法は以下のとおりである。また、実施例4~9についても同様に測定した。
破断時伸び(%)は、以下の式から算出した。
破断時伸び(%)=((破断時における試験片の長さ)-(試験前の試験片の長さ))/(試験前の試験片の長さ)×100
(動的粘弾性(DMA)測定)
実施例3に係る接着剤を深さ2mmの型枠に均一に充填し、80℃で30分間養生し、更に23℃50%RH環境下で7日間養生することでDMA測定用の試験片を採取した。得られた試験片について、動的粘弾性測定(DMA)装置(セイコーインスツルメンツ社製DMS6100)を用いて下記条件で貯蔵弾性率(E’)を測定した。また、実施例4~9についても同様に測定した。表2では、常温時(23℃環境下)の貯蔵弾性率を示した。
(DMA測定の条件)
測定周波数:1Hz、測定モード:引張り、昇温速度:5℃/min
表2を参照すると分かるように、実施例3~9に係る接着剤はいずれも、良好な破断強度、破断時伸び、及び動的粘弾性特性(貯蔵弾性率)を示した。
(実施例10~15)
表3に示す配合割合で各配合物質をそれぞれ添加し、接着剤を調製した。具体的に、表3に示す配合割合になるように、A剤のそれぞれを秤量して準備した。次に、これらを混合して撹拌した。これにより、実施例10~15に係る接着剤を得た。
Figure 0007421713000004
表3において、各配合物質の配合量の単位は「質量部」である。また、配合物質の詳細は下記のとおりである。ただし、表1~2に記載した配合物質と同一の化合物については説明を省略する。
・TS720:疎水性ヒュームドシリカ、キャボット社製
・レオロシールQS20:親水性ヒュームドシリカ、トクヤマ社製
・BYK-405:ポリカルボン酸アマイドの溶液、BYK社製
(形状保持性試験)
実施例10に係る接着剤について形状保持性試験を実施した。具体的に、試験においては、レオメーターは「RST-CPS」(ブルックフィールド社製)を用い、センサーはφ25mmのパラレルプレートを用いた。また、測定温度は23℃であり、測定ギャップは0.100mmに設定した。また、試験手順は以下のとおりである。なお、実施例11~15についても同様に試験した。
(ステップ1)せん断速度10(1/s)で60秒間測定してリセット。
(ステップ2)せん断速度1(1/s)、2(1/s)、3(1/s)、4(1/s)、5(1/s)、6(1/s)、7(1/s)、8(1/s)、9(1/s)、10(1/s)の順で各20秒間測定(往路)
(ステップ3)せん断速度10(1/s)、9(1/s)、8(1/s)、7(1/s)、6(1/s)、5(1/s)、4(1/s)、3(1/s)、2(1/s)、1(1/s)の順で各20秒間測定(復路)
(復路)におけるせん断速度とせん断応力の1/2乗(縦軸:せん断応力の1/2乗、横軸:せん断速度の1/2乗)をプロットしたキャッソンプロットから最小二乗法による近似線を引き、当該近似線と縦軸との交点の2乗を降伏応力として算出する。
そして、降伏応力が25Pa以上である場合を「〇」、25Pa未満である場合を「×」と評価した。
その結果、表3に示すように実施例に係る接着剤はいずれも、降伏応力が25Pa以上であり、良好な形状保持性を示すことが示された。
(実施例16~24)
表4に示す配合割合で各配合物質をそれぞれ添加し、接着剤を調製した。具体的に、表4に示す配合割合になるように、各材料のそれぞれを秤量して準備した。次に、これらを混合して撹拌した。これにより、実施例16~24に係る接着剤を得た。
Figure 0007421713000005
表4において、各配合物質の配合量の単位は「質量部」である。また、配合物質の詳細は下記のとおりである。ただし、表1~3に記載した配合物質と同一の化合物については説明を省略する。
・HP4032SS:ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、DIC社製
・HP4700:ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、DIC社製
・HP6000:ナフチレンエーテル骨格を有するエポキシ樹脂、DIC社製
・シロキサン結合を有する変性エポキシ樹脂:合成例3で得たシロキサン結合を有する変性エポキシ樹脂
(高温時の貯蔵弾性率)
実施例16に係る接着剤を深さ2mmの型枠に均一に充填し、80℃で30分間養生し、更に23℃50%RH環境下で7日間養生することでDMA測定用の試験片を採取した。得られた試験片について、動的粘弾性測定(DMA)装置(セイコーインスツルメンツ社製DMS6100)を用いて下記条件で貯蔵弾性率を測定した。実施例17~24についても同様に測定した。なお、表4では、測定した120℃環境下の貯蔵弾性率を示した。
測定周波数:1Hz、測定モード:引張り、昇温速度:5℃/min
表4を参照すると分かるように実施例に係る接着剤においてはいずれも、高温(120℃)においても良好な貯蔵弾性率を示すことが確認された。
表5には、実施例1、及び比較例1~2に係る接着剤の引張弾性率測定の結果を示す。ここで、比較例1~2に係る接着剤は、表5に示す配合割合で各配合物質をそれぞれ添加し、調製した。具体的に、表5に示す配合割合になるように、各材料のそれぞれを秤量して準備した。次に、これらを混合して撹拌した。これにより、比較例1~2に係る接着剤を得た。なお、表5に記載した配合物質はそれぞれ、表1~4に記載の配合物質と同一である。
Figure 0007421713000006
(引張弾性率測定)
引張弾性率測定は以下のようにして測定した。すなわち、純度が99%以上のアルミニウム(A1100)からなる第1の被着体に実施例1に係る接着剤を2mm厚のスペーサーを用いて5mm×25mmで塗布し、接着剤を挟むようにアルミニウム(A1100)からなる第2の被着体を貼り合わせた。この状態で、80℃条件下で30分間養生した。そして、養生後23℃50%RH環境下に10分、又は24時間放置した後直ちにJIS K6850剛性被着材の引張せん断接着強さ試験方法に準拠し、試験速度50mm/minで23℃環境下での引張せん断接着強さを測定し、得られたS-Sカーブを用いて歪み0から2における引張弾性率を算出した。なお、比較例1~2についても同様に試験した。そして、10分後の引張弾性率に対する24時間後の引張弾性率の増加率が5倍以上である場合を「〇」、5倍未満である場合を「×」と評価した。
表5を参照すると分かるように、実施例1においては10分後の引張弾性率に対する24時間後の引張弾性率の増加率が5倍以上であることが示された。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せのすべてが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点、及び本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である点に留意すべきである。

Claims (3)

  1. 接着剤を用いて被着体と、前記被着体とは異なる他の被着体とを接着する接着方法であって、
    前記接着剤が、
    架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と、架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体と、エポキシ樹脂と、多孔質添加剤とを含有し、前記架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と前記架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体との合計100質量部に対し、前記エポキシ樹脂が10質量部以上300質量部以下含まれており、
    80℃で30分間加熱硬化後、23℃50%RH環境下で24時間養生後のJIS K 7244-1に準拠して測定される貯蔵弾性率が、30MPa以上、
    JIS K6251に準拠して測定される23℃環境下での伸び率が50%以上、
    23℃環境下の伸び率に対する、-40℃環境下で測定される伸び率の保持率が20%以上、
    23℃50%RH環境下で24時間養生後、JIS K7244-1に準拠して120℃環境下で測定される周波数1Hzの貯蔵弾性率が20MPa以上、
    JIS K6850に準拠して測定される熱間強度が3.0MPa以上、
    である接着剤であり、
    前記被着体及び前記他の被着体の少なくともいずれか一方に前記接着剤を塗布する塗布工程と、
    前記被着体に前記接着剤を介して前記他の被着体を貼り合わせて構造体を形成する貼り合わせ工程と、
    前記構造体を加熱して前記接着剤を硬化させる加熱工程と
    を備え、
    前記加熱工程後、前記構造体を常温で養生する場合、養生する時間の経過により、前記接着剤の貯蔵弾性率が増加する接着方法。
  2. 架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と、
    架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体と、
    エポキシ樹脂と、
    疎水化処理された多孔質添加剤と
    を含有し、
    前記架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と前記架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル系重合体との合計100質量部に対し、前記エポキシ樹脂が10質量部以上300質量部以下含まれる、線膨張係数が互いに異なる被着体同士の接着に用いる接着剤。
  3. 請求項2に記載の接着剤を用いてなる硬化物。
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