JP2015048426A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 環境負荷が低減され安全性を確保しつつ、プラスチックに対して高い密着性を有する硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 分子内に下記一般式(1)で表される架橋性珪素基を有する硬化性液状樹脂100質量部に対して、特定のシラン化合物を0.1〜30質量部、アミン系硬化触媒を0.01〜10質量部、及び、特定のカルボニル化合物を0.01〜10質量部含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
−SiR 3−a(OR ・・・式(1)
但し、Rはヘテロ原子を含んでいてもよい分子量200以下の有機基、Rは炭素数6以下の炭化水素基、aは2又は3を示す。
【選択図】 なし

Description

本発明は、環境負荷が低減され安全性を確保しつつ、プラスチックに対して高い密着性を有する硬化性樹脂組成物に関するものである。
主鎖が有機重合体であり、その分子内に架橋性珪素基を有する樹脂(以下、硬化性液状樹脂)は、一般的に変成シリコーン、シリル化ウレタンなどと呼ばれ、例えば、特許文献1〜23に見られるように、シーリング材、接着剤、粘着剤、塗料等硬化性樹脂組成物のベースポリマーとして幅広く利用されている。このような硬化性液状樹脂は、その分子内に存在する架橋性珪素基が空気中の湿気等の水分で架橋することにより硬化する。その際、架橋を促進するため硬化触媒が必要になる。従来、該硬化触媒としては、ジブチルスズ化合物等の有機スズ化合物を利用していた。しかしながら、ジブチルスズ化合物については、その毒性が問題となっているものがあり、その使用は近年制限され始めた。そこで、制限の少ないジオクチルスズ化合物を用いる検討がなされているが、触媒活性が低い問題がある。そのようななか、代替の硬化触媒として、例えば特許文献24〜26に見られるように、アミン化合物が提案されている。
特公昭46−030711号 特開昭52−73998号公報 特開平7−53882号公報 特開平11−100427号公報 特開平11−130931号公報 再表98/058007号公報 特開2000−169544号公報 特許第3030020号 特開2000−119368号公報 特表2003−503564号公報 特表2005−501146号公報 WO2005/000931 WO2005/073322号公報 特開2007−91930号公報 WO2007/040143号公報 WO2008/032539号公報 特開2010−24369号公報 WO2010/004948号号公報 特開2012−57148号公報 特開2012−57150号公報 特開2012−214755号公報 WO2010/004948号号公報 特開2013−163787号公報 特開2005−248175号公報 特開2007−204502号公報 WO2007/094276号公報
しかしながら、アミン化合物を利用するとABS樹脂やポリカーボネート樹脂等のプラスチックに対する密着性が低下することがある問題があった。そのため、アミン化合物を硬化触媒として用いても、プラスチックに対して高い密着性を有する硬化性樹脂組成物の開発が望まれていた。
このような問題を解決するために、本発明者らは、鋭意研究の結果、アミン系硬化触媒を用いても、特定のカルボニル化合物あるいは、特定のカルボニル化合物に加えてメチル(1−メチルエテニル)ベンゼン系重合体を添加することによって、ABS樹脂やポリカーボネート樹脂等のプラスチックに対する密着性が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
第1の発明は、分子内に下記一般式(1)で表される架橋性珪素基を有する硬化性液状樹脂(A)100質量部に対して、下記一般式(2)で表されるシラン化合物(B)を0.1〜30質量部、アミン系硬化触媒(C)を0.01〜10質量部、及び、下記一般式(3)で表されるカルボニル化合物(D)を0.01〜10質量部含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物に関するものである。
−SiR 3−a(OR ・・・式(1)
但し、Rはヘテロ原子を含んでいてもよい分子量200以下の有機基、Rは炭素数6以下の炭化水素基、aは2又は3を示す。
−NH−R−SiR 3−b(OR ・・・式(2)
但し、Rは水素又はNH基を含んでいてもよい分子量200以下の有機基、Rは炭素数6以下の炭化水素基、Rはヘテロ原子を含んでいてもよい分子量200以下の有機基、Rは炭素数6以下の炭化水素基、bは2又は3を示す。
−C(=O)−CH=CHR ・・・式(3)
但し、Rはヘテロ原子を含んでいてもよい分子量800以下の有機基又は水酸基、Rは水素原子又はCOORを、Rは水素原子又はヘテロ原子を含んでいてもよい分子量800以下の有機基を示す。
カルボニル化合物(D)を用いることで、アミン系硬化触媒(C)用いてもABS樹脂に対する密着性が高い硬化性樹脂組成物を得ることができる。
第2の発明は、上記アミン系硬化触媒(C)が、N−C=N構造を有する化合物であることを特徴とする第1の発明に記載の硬化性樹脂組成物に関するものである。N−C=N構造を有する化合物を用いることで、硬化性が高い硬化性樹脂組成物を得ることができる。
第3の発明は、上記カルボニル化合物(D)が、マレイン酸エステルであることを特徴とする第1又は2のいずれかの発明に記載の硬化性樹脂組成物に関するものである。マレイン酸エステルを用いることで、より効果的にABS樹脂に対する密着性が高い硬化性樹脂組成物を得ることができる。
第4の発明は、さらに、メチル(1−メチルエテニル)ベンゼン系重合体(E)を0.1〜30質量部配合することを特徴とする第1〜3のいずれかの発明に記載の硬化性樹脂組成物に関するものである。メチル(1−メチルエテニル)ベンゼン系重合体(E)を用いることで、より効果的にABS樹脂及びポリカーボネート樹脂に対する密着性が高い硬化性樹脂組成物を得ることができる。
第5の発明は、第1〜4のいずれかの発明に記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる、ABS樹脂及び/又はポリカーボネート樹脂用接着剤に関するものである。該硬化性樹脂組成物を用いることで、ABS樹脂及びポリカーボネート樹脂に対する密着性が高い接着剤を得ることができる。
本発明は、環境負荷が低減され安全性を確保しつつ、プラスチックに対して高い密着性を有する硬化性樹脂組成物を提供するものである。
以下、本発明を実施するための形態を、詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
[硬化性液状樹脂(A)について]
本発明における硬化性液状樹脂(A)は、分子内に上記一般式(1)で表される架橋性珪素基を有する硬化性液状樹脂であり、本発明においては硬化性樹脂組成物の硬化性ベースポリマーとして用いられる。
硬化性液状樹脂(A)中の架橋性珪素基としては、硬化性の観点では、従来公知の加水分解性基である、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基、ハロゲン基等を有する架橋性珪素基が利用できる。これらの中でも、高反応性及び低臭性等の点から、下記一般式(4)で表されるようなアルコキシ基を有する架橋性珪素基が好適に用いられ、特にメチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ビニルジメトキシシリル基、フェニルジメトキシシリル基が最も好適に用いられる。また、特開2010−024369号公報で提案されているようにトリプロペノキシシリル基等のプロペノキシシリル基も好適に用いられる。硬化性液状樹脂(A)は、所望の性能を得るために適宜選択すればよく、さらに1種単独又は2種以上合わせて使用してもよい。
−SiR10 3−c(OR11 ・・・式(4)
但し、R10、R11は炭素数1〜6の炭化水素基を、cは2又は3を、それぞれ示す。
また、硬化性液状樹脂(A)中に含まれる架橋性珪素基は1種単独又は2種以上混合されていてもよく、架橋性珪素基中の加水分解性基の数は、各々の硬化性樹脂組成物に求められる性能によって適宜比率を調整すればよい。例えば、速硬化性や高モジュラス性を付与したい場合には、上記一般式(1)におけるa=3の硬化性液状樹脂の割合を高くすればよく、長い可使時間や低モジュラス性を付与したい場合には、上記一般式(1)におけるa=2の硬化性液状樹脂の割合を高くすればよい。
硬化性液状樹脂(A)の主鎖骨格としては、従来公知の有機重合体の主鎖骨格を用いることができる。例えば、ポリオキシアルキレン、ビニル重合体(例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等)、飽和炭化水素重合体、不飽和炭化水素重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂及び変成シリコーン樹脂に一般的に用いられている主鎖骨格から選ばれる1種以上の骨格が採用できる。これらのなかでは、本質的にポリオキシアルキレン及び/又はポリ(メタ)アクリレートであることが、入手の容易さや硬化物の皮膜物性等の点から好ましい。ここで、「本質的に」とは、該構造が硬化性液状樹脂(A)の主鎖骨格である繰り返し単位の主要素であることを意味する。また、該構造は、硬化性液状樹脂(A)の中に単独で含まれていてもよいし、2種以上がブロックあるいはランダムに含まれていてもよい。
硬化性液状樹脂(A)の分子量は特に制限されないが、数平均分子量で1,000〜200,000が好ましく、1,500〜100,000がより好ましく、2,000〜40,000が特に好ましい。分子量が1,000を下回ると、硬化後の架橋密度が高くなり過ぎることから得られる硬化物が脆くなる場合があり、分子量が200,000を上回ると、粘度が高くなり作業性が悪くなるため溶剤や可塑剤が多量に必要になる等配合が制限される場合がある。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値をいう。
分子内に上記一般式(1)で表される架橋性珪素基を有する硬化性液状樹脂は、従来公知の方法で合成することができる。例えば、特開昭52−73998号公報、特開平7−53882号公報、特開平11−130931号公報等に記載の方法が挙げられる。
また、本発明では、硬化性液状樹脂(A)として、分子内に架橋性珪素基を有し、かつ、分子内に(特に好ましくは主鎖骨格と架橋性珪素基との間に)特定の含窒素特性基を有する硬化性液状樹脂を好適に用いることができる。含窒素特性基としては、(チオ)ウレタン結合基、(チオ)尿素結合基、置換(チオ)尿素結合基、ウレタン結合基、尿素結合基、置換尿素結合基、アミド結合基、第一級アミノ基、第二級アミノ基及び第三級アミノ基等の含窒素極性基を有する結合基が好ましく、なかでもウレタン結合基(−NHCOO−)、尿素結合基(−NHCONH−)、置換尿素結合基(−NHCONR−;R=有機基)を有する結合基が最も好ましい。ここで上述の「(チオ)」とは、各結合基中の酸素原子のうち1個以上が硫黄原子となった基を意味する。一例を挙げると、「(チオ)ウレタン基」とは、ウレタン基[−NH−C(=O)O−]及びチオウレタン基[−NH−C(=S)O−、−NH−C(=O)S−又は−NH−C(=S)S−]の総称として表記している。また、上述の「N−置換」とは、各結合基中の窒素原子に結合する水素原子が他の有機基に置換されている基を意味する。一例を挙げると、「N−置換ウレタン基」とは、化学式−NR−C(=O)O−(ここでのRは有機基を意味する)という結合基を意味するものである。このような含窒素特性基が、分子内に(特に架橋性珪素基の近傍に)存在すると、硬化性液状樹脂自体の硬化能が高まるうえ、硬化物の凝集力が高まり、接着強さが向上するため好ましい。その理由としては、硬化性液状樹脂の分子内に存在する含窒素特性基同士がドメインを形成し、その結果、硬化性液状樹脂(A)の架橋性珪素基同士のカップリング反応がさらに促進されること、及び、該ドメイン形成により硬化性液状樹脂間の相互作用が強くなるためであると考えられる。
硬化性液状樹脂(A)は市販品を用いることができる。本発明の硬化性液状樹脂(A)として使用可能な市販品の具体例としては、シリコーン樹脂又は変成シリコーン樹脂として販売されているものであり、例えば、カネカ社製のサイリルシリーズ、カネカMSポリマーシリーズ、MAシリーズ、EPシリーズ、SAシリーズ、ORシリーズ、旭硝子社製のエクセスター(ES)シリーズ、デグサジャパン社製のシラン変性ポリアルファオレフィン、信越化学工業社製のKCシリーズ、KRシリーズ、X−40シリーズ、東亞合成社製のXPRシリーズ、綜研化学社製のアクトフローシリーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
分子内に上記一般式(1)で表される架橋性珪素基を有し、かつ、分子内に含窒素特性基を有する硬化性液状樹脂は、従来公知の方法で合成することができる。例えば、特許第3030020号公報記載の方法や、特開2005−54174号公報、特開2005−139452号公報等に記載の方法が挙げられる。
また、本発明では、硬化性液状樹脂(A)として、珪素原子に炭素原子が結合し、さらに該炭素原子に非共有電子対を有するヘテロ原子が結合する架橋性珪素基を分子内に有する硬化性液状樹脂(AX)が、アミン系硬化触媒(C)で硬化性が発現しやすいため、好適に用いることができる。硬化性液状樹脂の末端を架橋性珪素基の加水分解性基と定義した場合、上記ヘテロ原子は主鎖側に含有していてもよく、側鎖(上記一般式(1)におけるR)側に含有していてもよい。上記ヘテロ原子としては、窒素、酸素、塩素、臭素などが好ましく、製造の容易さ及び硬化性の向上の観点から窒素、酸素がより好ましい。上記ヘテロ原子が窒素原子又は酸素である場合において、上記ヘテロ原子を包含する官能基を珪素原子からの結合として表すと、ウレタン基(Si−CH−NH−CO−O−)、アミド基(Si−CH−NH−CO−)、アミノ基(Si−CH−N−)、エーテル基(Si−CH−O−)が好ましく、ウレタン基(Si−CH−NH−CO−O−)、アミノ基(Si−CH−N−)、エーテル基(Si−CH−O−)がより好ましい。
硬化性液状樹脂(AX)は、従来公知の方法で合成することができる。例えば、特表2004−518801号公報、特表2004−536957号公報、特表2005−501146号公報においては、ウレタン基(Si−CH−NH−CO−O−)を有する硬化性液状樹脂が提案されている。また、特表2005−501146号公報、特開2012−57148号公報、特開2013−163787号公報においては、ウレタン基(Si−CH−NH−CO−O−)、アミノ基(Si−CH−N−)、エーテル基(Si−CH−O−)を有する硬化性液状樹脂が提案されている。ウレタン基を有する硬化性液状樹脂(AX)は市販されており、本発明ではそれらを用いることができる。市販品としては、Wacker Chemie AG製のGENIOSIL STP−E10、GENIOSIL STP−E30等が挙げられる。
さらに、硬化性液状樹脂(A)が、主鎖骨格がポリオキシアルキレンである硬化性液状樹脂(PO)と主鎖骨格がポリアクリレートである硬化性液状樹脂(PA)とからなる混合物であると、粘度、耐熱性、プラスチックに対する密着性のバランスの良い硬化性樹脂組成物を得ることができる。硬化性液状樹脂(PO)は適度な粘度で作業性が良いことが特徴であり、硬化性液状樹脂(PA)は耐熱性が高いことが特徴である。そのような混合物は市販されており、本発明ではそれら市販品を用いることができる。市販品としては、カネカ社製商品名MA440、MA451、FCSA−1等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。なお、硬化性液状樹脂(A)において、硬化性液状樹脂(PO)と硬化性液状樹脂(PA)の割合(質量比)は、30〜95質量部:70〜5質量部が好ましく、40〜90質量部:60〜10質量部がより好ましく、50〜80質量部:50〜20質量部が特に好ましい。硬化性液状樹脂(PA)の割合が5質量部を下回ると硬化性液状樹脂(PO)による耐熱性向上効果が十分でなく、70質量部を上回ると粘度が高くなって作業性が悪くなる。
[シラン化合物(B)について]
本発明におけるシラン化合物(B)は、上記一般式(2)で表されるアミノシラン化合物であり、本発明においては各種被着材に対する密着性付与剤として活用され、特に各種金属に対する密着性を向上させる。
シラン化合物(B)の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、ビス(3−トリメトキシプロピル)アミン、ビス(3−メチルジメトキシプロピル)アミン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−ブチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−プロペニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン等のケチミンシラン化合物も、湿気により第1級アミノ基が生成するため、実質的にシラン化合物(B)に含まれる。なかでも、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、又は、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いることが、入手が容易であるという点、及び、密着性付与効果が高いという点から好ましい。また、アミノシラン化合物が配合された硬化物は一般的に熱や光によって黄色く変色しやすいことが知られている。このような黄変が好まれない用途に用いる時は、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン等の窒素原子のβ位の炭素に結合する水素原子の数が少ないアミノシラン化合物を用いると黄変が低減されるため好ましい。
シラン化合物(B)の配合量は、硬化性液状樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、1.0〜20質量部がより好ましく、5.0〜10質量部が接着性と硬化物物性のバランスが良いため特に好ましい。0.1質量部を下回ると、密着性付与効果が十分でない場合があり、30質量部を上回ると、添加量に対する密着性付与効果が小さくなる場合がある。
[アミン系硬化触媒(C)]
本発明におけるアミン系硬化触媒(C)は、分子内にアミノ基を有する化合物もしくはその錯体であり、硬化性液状樹脂(A)の硬化を促進させる。但し、本発明におけるシラン化合物(B)はアミノ基を有する化合物であるが、シラン化合物(B)は本発明における必須成分であるためアミン系硬化触媒(C)に属さない。
アミン系硬化触媒(C)の具体例としては、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン等の第一級アミン化合物、ジn−ブチルアミン、ジオクチルアミン、ジラウリルアミン、ピペリジン等の第二級アミン化合物、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン等の第三級アミン化合物、グアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、N,N′−ジフェニルグアニジン、1−フェニルグアニジン、フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等のグアニジン化合物、ピリジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン等の環状アミン化合物、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンとカルボン酸との塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンとフェノールとの塩、HN(CNH)H(n≧1)で表わされる化合物、ハンツマン社製商品名ジェファーミンシリーズ等の分子末端に第1級アミノ基を有するポリオキシアルキレン、日本触媒株式会社製商品名エポミンシリーズ等のポリエチレンイミン、日本触媒株式会社製商品名ポリメントシリーズ等のアミノエチル化アクリルポリマー等が挙げられる。また、上記のアミン化合物における第一級アミノ基含有化合物とケトン類との反応生成物であるケチミン化合物、第一級アミノ基含有化合物とアルデヒド類との反応生成物であるアルジミン化合物、β−アミノアルコール化合物とケトン類との反応生成物であるオキサゾリジン化合物も使用することができる。
これらのなかでは、N−C=N構造を有する化合物が、その硬化促進効果の高さから特に好適に用いられる。N−C=N構造を有する化合物としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン等のアミジン化合物又はその塩、グアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、N,N′−ジフェニルグアニジン、1−フェニルグアニジン、フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等のグアニジン化合物等が挙げられる。
アミン系硬化触媒(C)の配合量は、硬化性液状樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜7.5質量部がより好ましく、0.5〜5.0質量部が特に好ましい。0.01質量部を下回ると、硬化促進効果が十分でない場合があり、10質量部を上回ると、添加量に対する硬化促進効果が小さくなる場合がある。
[カルボニル化合物(D)]
本発明におけるカルボニル化合物(D)は、上記一般式(3)で表されるカルボニル化合物であり、カルボニル化合物(D)を添加することにより、ABS、ポリカーボネート等のプラスチックに対する密着性が向上する。密着性が向上する理由は定かではないが、カルボニル化合物(D)がABS、ポリカーボネート等のプラスチックに対する馴染み性を向上させることで、結果的に密着性が向上するものと推察される。
カルボニル化合物(D)としては、アクリル酸エステル化合物、アクリルアミド化合物、マレイン酸エステル化合物等が好適に用いられる。具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ2−エチルヘキシル、マレイン酸ジドデシル、マレイン酸ジステアリル、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、モルホリノアクリレート、ジオクチルスズビス(マレイン酸モノオクチルエステル)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらのなかでは、入手の容易さ、臭気の少なさから、ドデシルアクリレート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ2−エチルヘキシルが好適に用いられる。
カルボニル化合物(D)の配合量は、硬化性液状樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5.0質量部がより好ましく、0.1〜3.0質量部が特に好ましい。0.01質量部を下回ると、密着性向上効果が十分でない場合があり、10質量部を上回ると、添加量に対する密着性向上効果が小さくなる場合がある。
[メチル(1−メチルエテニル)ベンゼン系重合体(E)]
本発明におけるメチル(1−メチルエテニル)ベンゼン系重合体(E)は、メチル(1−メチルエテニル)ベンゼンを単独重合もしくは共重合した有機重合体である。メチル(1−メチルエテニル)ベンゼン系重合体(E)を添加することにより、ABS、ポリカーボネート等のプラスチックに対する密着性がさらに向上する。
メチル(1−メチルエテニル)ベンゼン系重合体(E)の具体例としては、メチル(1−メチルエテニル)ベンゼンのホモポリマー、メチル(1−メチルエテニル)ベンゼン/石油系C5留分のコポリマー、メチル(1−メチルエテニル)ベンゼン/α−メチルスチレンのコポリマー、メチル(1−メチルエテニル)ベンゼン/α−メチルスチレン/石油系C5留分のコポリマー等が挙げられる。なお、石油系C5留分とは、ナフサの熱分解によって副生する炭素数5の炭化水素(イソプレン、シクロペンタジエン、ピペリレン等)の混合物を指す。これらのなかでは、メチル(1−メチルエテニル)ベンゼンのホモポリマーがより好適に用いられる。
メチル(1−メチルエテニル)ベンゼン系重合体(E)の配合量は、硬化性液状樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜30質量が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1.0〜10質量部が特に好ましい。0.1質量部を下回ると、密着性向上効果が十分でない場合があり、30質量部を上回ると、粘度が高くなり作業性が低下する場合がある。
メチル(1−メチルエテニル)ベンゼン系重合体(E)は、市販されており、本発明ではそれら市販品を用いることができる。市販品としては、三井化学社製商品名FTR8080、FTR8100、FTR8100等のFTRシリーズが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明における硬化性樹脂組成物は、たとえば、接着剤、粘着剤、シーリング材、塗料、コーティング材、目止め材、注型材、被覆材等に用いることができる。その際、その他の成分として従来公知の任意の化合物乃至物質を配合することができる。たとえば、本発明で用いる硬化性液状樹脂以外の各種硬化性樹脂(例えば、エポキシ系樹脂,ウレタン系樹脂,オキセタン系樹脂,環状カーボネート系樹脂)及び非硬化性樹脂(アクリル樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリエステル樹脂,ポリスチレン樹脂等)、各種硬化促進剤、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン,ビニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、炭酸カルシウム粉体,クレイ粉体,親水性又は疎水性シリカ粉体、酸化チタン粉体、カーボンブラック粉体等の無機系フィラー、ポリアクリル粉体,ポリスチレン粉体,ポリウレタン粉体等の有機系フィラー、フェノール樹脂,テルペン樹脂,テルペンフェノール樹脂,石油系樹脂,ロジン系樹脂等の粘着付与剤、アマイドワックス等の揺変剤、酸化カルシウム,ホウ酸トリメチル,オルト酢酸トリメチル等の脱水剤、希釈剤、可塑剤、難燃剤、各種液状機能性オリゴマー、老化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、乾性油等を配合することができる。なお、本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、必ずしも有機スズ化合物を利用しないが、有機スズ化合物を併用しても本発明にかかる効果が失われるものではない。
本発明における硬化性樹脂組成物は、従来の硬化性シリコーン系樹脂が適用されていた全ての用途に用いることができる。たとえば、接着剤、シーリング材、粘着剤、塗料、コーティング材、目止め材、注型材、被覆材等として用いることができる。
本発明における硬化性樹脂組成物は、水分の存在下で、架橋性珪素基同士が架橋することによって硬化するものである。したがって、1液性の組成物として使用する場合、保管乃至搬送中は、空気中の水分と接触しないよう、気密に密封した状態で取り扱われる。そして、使用時には開封して任意の箇所に適用すれば、空気中の水分と接触して硬化性樹脂組成物が硬化するのである。
また、粘着剤前駆体組成物として使用する場合には、上記の硬化性液状樹脂に対して、必要に応じて粘着付与樹脂を配合し均一に混合して粘着剤前駆体組成物を得る。なお、硬化性液状樹脂と粘着付与樹脂とを均一に混合する場合、たとえば両者の相溶性が不十分な場合などにおいては、有機溶剤を使用してもよい。有機溶剤としては、エタノール等のアルコール類、酢酸エチル、トルエン、メチルシクロヘキサン等が用いられる。また、硬化性液状樹脂と粘着付与樹脂の相溶性が良好な場合や、有機溶媒が好まれない用途などには、有機溶剤を使用しなくてもよい。このようにして得られた粘着剤前駆体組成物を、従来公知のテープ基材又はシート基材の表面(片面又は両面)に塗布し、これを硬化させることで粘着剤層を形成することができ、粘着テープ又は粘着シートが得られる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[硬化性液状樹脂(A)の準備]
(硬化性液状樹脂A−1の準備)
FCS−8(カネカ社製商品名、末端にジメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン、粘度約9,000mPa・s/23℃)を準備した。反応容器に、FCS−8(100質量部)を入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル37.5質量部、メタクリル酸ラウリル25質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3.0質量部、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.0質量部、および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.50質量部を混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.20質量部とメチルエチルケトン10質量部の混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.10質量部とメチルエチルケトン10質量部の混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で3時間反応させた後、メチルエチルケトンを減圧留去することで、FCS−8と、分子内にトリメトキシシリル基を有するビニル重合体との混合物である、硬化性液状樹脂A−1を得た。
(硬化性液状樹脂A−2の準備)
FCSA−1(カネカ社製商品名、末端にジメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレンのアクリル変性物、粘度約110,000mPa・s/23℃)を硬化性液状樹脂A−2として準備した。
[シラン化合物(B)の準備]
シラン化合物(B)として、KBM−903(信越化学工業社製商品名、3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、及び、KBM−603(信越化学工業社製商品名、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を準備した。
[アミン系硬化触媒(C)の準備]
アミン系硬化触媒(C)として、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(以下、DBU)、U−CAT SA1(サンアプロ社製商品名、DBUフェノール塩)、1−フェニルグアニジン(日本カーバイド工業社製)、及び、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体を準備した。
[カルボニル化合物(D)の準備]
カルボニル化合物(D)として、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ビス(2−エチルヘキシル)(以下、マレイン酸ジオクチル)、NS−51(日東化成社製商品名、ジオクチルスズビス(マレイン酸モノオクチルエステル))を準備した。
[メチル(1−メチルエテニル)ベンゼン系重合体(E)の準備]
メチル(1−メチルエテニル)ベンゼン系重合体(E)として、FTR8120(三井化学社製商品名)を準備した。
[各種原料の準備]
充てん材として、白艶華CCR−B(白石カルシウム社製商品名、脂肪酸で表面処理された合成炭酸カルシウム粉)、NS400(日東粉化工業社製商品名、重質炭酸カルシウム粉)を準備した。エポキシ樹脂として、jER828(三菱化学社製商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)を準備した。エポキシ樹脂硬化剤として、アンカミンK54(エアープロダクツジャパン社製商品名、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール)を準備した。シランカップリング剤として、KBM−403(信越化学工業社製商品名、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を準備した。希釈剤として、アイソパーH(エクソンモービル社製商品名、イソパラフィン)を準備した。なお、参考例用の硬化触媒として、ネオスタンU−220H(日東化成社製商品名、ジブチルスズジアセチルアセトナート)およびNS−51(日東化成社製商品名、ジオクチルスズビス(マレイン酸モノオクチルエステル))を、参考例用の希釈剤として、ハイソルブMPM(東邦化学工業社製商品名、ポリエチレングリコールジメチルエーテル)を準備した。
[被着材の準備]
被着材として、ステンレス鋼(SUS304、25mm×100mm×1.5mm)、ABS樹脂(25mm×100mm×3.0mm)、ポリカーボネート樹脂(25mm×100mm×3.0mm)を準備した。ステンレス鋼はメチルエチルケトン脱脂した後、ABS樹脂及びポリカーボネート樹脂はメタノール脱脂した後、試験に供した。
[硬化性樹脂組成物の接着強さ評価]
(参考例1〜3)
表1に示す配合割合(質量部)で、工程1で示される原料を反応容器に投入し、減圧しながら常温で1時間混練した。その後、工程2で示される原料を反応容器に投入し、真空下20分間混練することで、硬化性樹脂組成物を得た。得られた硬化性樹脂組成物を密閉容器に充填し、23℃で1日間静置した。その後、各硬化性樹脂組成物を用いて、各被着材同士のはり合わせを行った。接着面積は12.5mm×25mmとし、0.2mmのガラスビーズをスペーサーとして用い、クリップで圧締した。各はり合わせ試験体を23℃50%RHで14日間養生し、引張りせん断接着強さをJIS K 6850に準じて測定した。各硬化性樹脂組成物の引張せん断接着強さを表1に示す。また、参考のため、各硬化性樹脂組成物の硬化速度を比較した。硬化速度の比較は皮張り時間を用いて行った。皮張り時間は、各硬化性樹脂組成物を23℃50%RHの雰囲気に暴露した直後を開始時間とし、表面に硬化皮膜が形成されるまでの時間とした。硬化皮膜が形成された時間は、金属製のスパーチュラで暴露された各硬化性樹脂組成物の表面を5分おきに60分まで触ってスパーチュラに各硬化性樹脂組成物が転着しなくなる時間とした。各皮張り時間を表1に示す。
表1に示す結果から、硬化触媒として有機スズ触媒であるネオスタンU−220HあるいはNS−51を使用した場合と比較して、アミン系硬化触媒である1−フェニルグアニジンを使用すると、ABS樹脂及びポリカーボネート樹脂に対する密着性が低下することが分かる。
[硬化性樹脂組成物の簡易密着性評価]
(実施例1〜10、比較例1〜7)
表2〜4に示す配合割合(質量比)で各原料を混練りすることで硬化性樹脂組成物を得た。得られた硬化性樹脂組成物を被着材の上に塗布し、23℃50%RHで3日間養生・硬化させた後、プラスチック片で硬化物を削り密着性を確認した。プラスチック片でこそぎ落とした際の評価基準は、「◎:凝集破壊、○:凝集破壊/抵抗感のある界面破壊混在、△:抵抗感のある界面破壊、×:抵抗感のない界面破壊」とした。密着性の結果を表2〜4に示す。
表2〜4の結果から、本発明におけるカルボニル化合物(D)であるマレイン酸ジメチルあるいはマレイン酸ジオクチルを添加することで、ABS樹脂及びポリカーボネート樹脂に対する密着性が向上したことが分かる。
[硬化性樹脂組成物の接着強さ評価]
(実施例10及び11、比較例7)
表5に示す配合割合(質量部)で、工程1で示される原料を反応容器に投入し、減圧しながら120℃で1時間混練した。その後、室温まで冷却した後、工程2で示される原料を反応容器に投入し、真空下20分間混練することで、硬化性樹脂組成物を得た。得られた硬化性樹脂組成物を密閉容器に充填し、23℃で1日間静置した。その後、各硬化性樹脂組成物を用いて、各被着材同士のはり合わせを行った。接着面積は12.5mm×25mmとし、0.2mmのガラスビーズをスペーサーとして用い、クリップで圧締した。各はり合わせ試験体を23℃50%RHで14日間養生し、引張りせん断接着強さをJIS K 6850に準じて測定した。各硬化性樹脂組成物の引張せん断接着強さを表5に示す。また、参考例1〜3と同様の方法により、各硬化性樹脂組成物の硬化速度を皮張り時間により測定した。各硬化性樹脂組成物の皮張り時間を表5に示す。
表5の結果から、本発明におけるカルボニル化合物(D)であるマレイン酸ジメチルを添加することで、ABS樹脂及びポリカーボネート樹脂に対する密着性が向上したことが分かる。さらに、本発明における重合体(E)であるFTR8120を添加することで、ABS樹脂及びポリカーボネート樹脂に対する密着性がより向上したことが分かる。ABS樹脂及びポリカーボネート樹脂に対する引張せん断接着強さにおいても、マレイン酸ジメチルを添加した実施例12、マレイン酸ジメチル及びFTR8120を添加した実施例11ともに、比較例8に対して高い値が出ていることが分かる。また、皮張り時間より、十分な硬化性を発現していることが分かる。
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、従来一液型又は二液型の硬化性樹脂組成物が用いられてきた全ての用途に使用できる。たとえば、接着剤、粘着剤、シーリング材、塗料、コーティング材、目止め材、注型材、被覆材等として用いることができる。特に、ABS樹脂及び/又はポリカーボネート樹脂を主体とする部材(ABS樹脂、ポリカーボネート/ABSアロイ樹脂、ポリカーボネート樹脂等)に対する接着に好適に用いられる。
本発明は、環境負荷が低減され安全性を確保しつつ、プラスチックに対して高い密着性を有する硬化性樹脂組成物を提供するものであり、産業上極めて有用である。

Claims (5)

  1. 分子内に下記一般式(1)で表される架橋性珪素基を有する硬化性液状樹脂(A)100質量部に対して、下記一般式(2)で表されるシラン化合物(B)を0.1〜30質量部、アミン系硬化触媒(C)を0.01〜10質量部、及び、下記一般式(3)で表されるカルボニル化合物(D)を0.01〜10質量部含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
    −SiR 3−a(OR ・・・式(1)
    但し、Rはヘテロ原子を含んでいてもよい分子量200以下の有機基、Rは炭素数6以下の炭化水素基、aは2又は3を示す。
    −NH−R−SiR 3−b(OR ・・・式(2)
    但し、Rは水素又はNH基を含んでいてもよい分子量200以下の有機基、Rは炭素数6以下の炭化水素基、Rはヘテロ原子を含んでいてもよい分子量200以下の有機基、Rは炭素数6以下の炭化水素基、bは2又は3を示す。
    −C(=O)−CH=CHR ・・・式(3)
    但し、Rはヘテロ原子を含んでいてもよい分子量800以下の有機基又は水酸基、Rは水素原子又はCOORを、Rは水素原子又はヘテロ原子を含んでいてもよい分子量800以下の有機基を示す。
  2. 上記アミン系硬化触媒(C)が、N−C=N構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 上記カルボニル化合物(D)が、マレイン酸エステルであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  4. さらに、メチル(1−メチルエテニル)ベンゼン系重合体(E)を0.1〜30質量部配合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる、ABS樹脂及び/又はポリカーボネート樹脂用接着剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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