WO2014061630A1 - 耐熱材料及び耐熱部材 - Google Patents

耐熱材料及び耐熱部材 Download PDF

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直人 矢木
崇之 三木
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Dic株式会社
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L83/00Compositions of macromolecular compounds obtained by reactions forming in the main chain of the macromolecule a linkage containing silicon with or without sulfur, nitrogen, oxygen or carbon only; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L83/10Block- or graft-copolymers containing polysiloxane sequences
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08G77/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing silicon with or without sulfur, nitrogen, oxygen or carbon in the main chain of the macromolecule
    • C08G77/42Block-or graft-polymers containing polysiloxane sequences
    • C08G77/442Block-or graft-polymers containing polysiloxane sequences containing vinyl polymer sequences

Definitions

  • alkylene group having 1 to 6 carbon atoms in R 4 examples include methylene group, ethylene group, propylene group, isopropylene group, butylene group, isobutylene group, sec-butylene group, tert-butylene group, and pentylene.
  • the heat-resistant material containing the composite resin (A) and the inorganic fine particles is well dispersed with the reactive compound, so that the dispersion stability is good.
  • a heat-resistant material containing inorganic fine particles can be obtained.
  • Heat-resistant material containing inorganic fine particles In order to mix the composite resin (A) used in the present invention and the inorganic fine particles, they may be dispersed by a bead mill, a roll mill or the like. When mixing with other blends, the other blends are dispersed in advance by a method such as bead mill or roll mill, and a composition in which inorganic fine particles are blended at a high concentration is prepared in advance. By blending with other blends, a heat-resistant material containing inorganic fine particles can be obtained.
  • Resin tetraphenylolethane resin, naphthol novolak resin, naphthol-phenol co-condensed novolak resin, naphthol-cresol co-condensed novolak resin, biphenyl-modified phenol resin (polyhydric phenol compound in which phenol nucleus is linked by bismethylene group), biphenyl-modified Naphthol resin (polyvalent naphthol compound with phenolic nucleus linked by bismethylene group), aminotriazine modified phenolic resin (melamine, benzoguana) Phenolic compounds such as polyphenol compounds in which phenol nuclei are linked by benzene, etc.) and alkoxy group-containing aromatic ring-modified novolak resins (polyhydric phenol compounds in which phenol nuclei and alkoxy group-containing aromatic rings are linked by formaldehyde); anhydrous Acid anhydrides such as phthalic acid, trimellitic anhydride, pyromellitic anhydr
  • Table 1 shows the amount of siloxane monomer blended (unit: parts by weight) in the above polysiloxane synthesis examples (a11-1 to 10).
  • Examples 2 to 14 In the same manner as in Example 1, each heat-resistant material was obtained by blending in the blending amounts shown in Tables 4-1 and 4-2 below. In particular, when the silica fine particles were dispersed, dispersion was carried out by the same method as in the previous stage to obtain a heat resistant material.

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Abstract

シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するポリシロキサンセグメント(a1)と、ビニル系重合体セグメント(a2)を含有する複合樹脂(A)を含有することを特徴とする、耐熱材料を提供する。 更に、上記複合樹脂(A)において、前記ポリシロキサンセグメント(a1)が、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するシラン化合物を縮合して得られるセグメントであって、前記シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するシラン化合物中において、エポキシ基を含有するシラン化合物が25重量%以上90重量%である耐熱材料を提供する。

Description

耐熱材料及び耐熱部材
 耐光性と耐熱性に優れ、なおかつ低線膨張率である耐熱材料、及び該耐熱材料を用いた耐熱部材に関する。
 太陽光や蛍光灯、LED光やUVランプなどの光によって劣化しない耐光性樹脂は、建築材料や光学部材、電気電子部材といった、様々な用途で利用されている。
 一方、昨今の電子機器の小型化・集積化に伴い、発生する熱によって劣化せず、なおかつ寸法安定性、すなわち低線膨張率な樹脂が求められている。
耐光性に優れた樹脂としては、例えば、特許文献1においてポリシロキサン構造を有する複合樹脂が開示されている。当該複合樹脂は、曝露時の光沢保持性および撥水性保持性などの耐久性に優れた硬化塗膜を形成することが出来るが、熱に対する安定性については開示されていなかった。また、耐熱性に優れた樹脂フィルムとしては、例えば、特許文献2においてノルボルネン化合物重合体フィルムが開示されている。当該樹脂フィルムは、線膨張率が小さくフィルム安定性に優れるものの、太陽光や蛍光灯、LED光やUVランプなどの光による劣化については開示されていなかった。
一方、有機ポリマーが有する加工性、柔軟性等の特性と、無機材料が持つ耐熱性、耐摩耗性等、表面硬度等の特性を付与することを目的として、無機微粒子を有機ポリマーに配合する検討が広く行われている。
例えば、無機材料固有の特性を生かすような設計においては、極力小さい粒径の無機微粒子を高い濃度で配合することで、より高い複合化効果を期待することができる。粒径が小さいほど無機微粒子の重量当たりの表面積が大きくなり、有機ポリマーと無機材料との界面領域が広くなるためである。更に無機微粒子の濃度が高くなると、無機材料の特性をより強く出せることとなる。
このような有機ポリマーと無機微粒子との配合系は、塗工や取り扱いの観点から、液状の有機ポリマー、有機ポリマーの原料となるモノマー、あるいは有機溶媒等を使用し、塗料やインキ等の液状物で供与することが殆どである。しかし、このような無機微粒子を分散媒に高い濃度で配合する場合、安定な分散液を得ることが難しく、製造作業上および得られる製品の価値に種々の問題を引き起こすことも知られている。すなわち、極めて粒径の小さい無機微粒子は表面活性が高いために2次凝集し、この2次凝集体による分散安定性の低下や、得られる塗膜物性が塗膜箇所で異なるといった物性の均一性に欠けるといった問題が生じることがある。
シリカなどの無機微粒子を有機ポリマーへ分散させる技術としては例えば、カップリング剤で表面処理された無機微粒子を樹脂に分散させる方法(特許文献1参照)や、界面活性剤を使用して無機微粒子を分散させる方法(特許文献2参照)や、ラクトン変性カルボキシル基含有(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸のカプロラクトンとの混合物を使用して無機微粒子を分散させる方法(特許文献3参照)等が知られている。
国際公開第96/035755号 国際公開第07/135887号公報 特公平7-98657号公報 特公平8-13938号公報 特開2000-281934号公報 国際公開第96/035755号パンフレット 特開2006-328354号公報
 本発明の課題は、耐光性に優れるだけでなく、耐熱性に優れ、低線膨張率であって、熱履歴に対しても寸法安定性に優れた耐熱材料を提供することにある。
 本発明者らは鋭意検討の結果、特定のポリシロキサンセグメント(a1)とビニル系重合体セグメントを有する複合樹脂(A)が、耐光性だけでなく耐熱性にも優れ、低線膨張比率であることを見出し、上記課題を解決した。
 すなわち本発明は、
一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位とシラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するポリシロキサンセグメント(a1)と、ビニル系重合体セグメント(a2)が、一般式(3)で表される結合により結合された複合樹脂(A)を含有することを特徴とする、耐熱材料を提供することで、上記課題を解決する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
       (1)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
       (2)
(一般式(1)及び(2)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、-R-CH=CH、-R-C(CH)=CH、-R-O-CO-C(CH)=CH、及び-R-O-CO-CH=CHからなる群から選ばれる1つの重合性二重結合を有する基(但し、R4は単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基を表す)、炭素原子数が1~6のアルキル基、炭素原子数が3~8のシクロアルキル基、アリール基、または炭素原子数が7~12のアラルキル基を表す)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006

         (3)
(一般式(3)中、炭素原子は前記ビニル系重合体セグメント(a2)の一部分を構成し、酸素原子のみに結合したケイ素原子は、前記ポリシロキサンセグメント(a1)の一部分を構成するものとする)
更に、上記複合樹脂(A)において、前記ポリシロキサンセグメント(a1)が、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するシラン化合物を縮合して得られるセグメントであって、前記シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するシラン化合物中において、エポキシ基を含有するシラン化合物が25重量%以上90重量%である耐熱材料を提供する。
更に、上記の複合樹脂(A)と、無機微粒子とを含有することを特徴とする、耐熱材料を提供する。
 更に、上記複合樹脂(A)において、ポリシロキサンセグメント(a1)の含有率が、複合樹脂(A)の全固形分量に対して45~95重量%である耐熱材料を提供する。
 更に、上記複合樹脂(A)において、前記ポリシロキサンセグメント(a1)が、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するシラン化合物を縮合して得られるセグメントであって、前記シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するシラン化合物中において、トリアルコキシシランが40モル%以上である、耐熱材料を提供する。
 更に、上記複合樹脂(A)において、トリアルコキシシランが炭素原子数が1~4のモノアルキルトリアルコキシシランであることを特徴とする、耐熱材料を提供する。
 更に、上記耐熱材料を成形してなる耐熱部材を提供する。
 本発明の耐熱材料は、耐光性だけでなく耐熱性にも優れるため、屋外における使用や高温の発生しやすい光学部材や電気・電子部材に好適に使用可能である。また、本耐熱材料を成形して得られる耐熱部材は、線膨張率が低いことから寸法安定性に優れるため、高精度な電気・電子部材として特に好適に用いることが可能である。
〔複合樹脂(A)〕
 本発明で使用する複合樹脂(A)は、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位とシラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するポリシロキサンセグメント(a1)(以下単にポリシロキサンセグメント(a1)と称す)と、ビニル系重合体セグメント(a2)とが、前記一般式(3)で表される結合により結合された複合樹脂(A)であることを特徴とする。
 後述のポリシロキサンセグメント(a1)が有するシラノール基および/または加水分解性シリル基と、後述のビニル系重合体セグメント(a2)が有するシラノール基および/または加水分解性シリル基とが脱水縮合反応して、前記一般式(3)で表される結合が生じる。従って前記一般式(3)中、炭素原子は前記ビニル系重合体セグメント(a2)の一部分を構成し、酸素原子のみに結合したケイ素原子は、前記ポリシロキサンセグメント(a1)の一部分を構成するものとする。
 複合樹脂(A)の形態は、例えば、前記ポリシロキサンセグメント(a1)が前記重合体セグメント(a2)の側鎖として化学的に結合したグラフト構造を有する複合樹脂や、前記重合体セグメント(a2)と前記ポリシロキサンセグメント(a1)とが化学的に結合したブロック構造を有する複合樹脂等が挙げられる。
(複合樹脂(A) ポリシロキサンセグメント(a1))
 本発明におけるポリシロキサンセグメント(a1)は、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するシラン化合物を縮合して得られるセグメントであって、一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位と、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有する。
 該ポリシロキサンセグメント(a1)の含有率は、複合樹脂(A)の全固形分量に対して45~95重量%であることで、複合樹脂(A)の耐熱性が更に向上する。
(一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位)
 具体的には、前記一般式(1)及び(2)におけるR、R及びRは、それぞれ独立して、-R-CH=CH、-R-C(CH)=CH、-R-O-CO-C(CH)=CH、及び-R-O-CO-CH=CHからなる群から選ばれる1つの重合性二重結合を有する基(但しRは単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基を表す)、炭素原子数が1~6のアルキル基、炭素原子が3~8のシクロアルキル基、アリール基または炭素原子が7~12のアラルキル基を表す。
 前記Rにおける前記炭素原子数が1~6のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert-ペンチレン基、1-メチルブチレン基、2-メチルブチレン基、1,2-ジメチルプロピレン基、1-エチルプロピレン基、ヘキシレン基、イソヘシレン基、1-メチルペンチレン基、2-メチルペンチレン基、3-メチルペンチレン基、1,1-ジメチルブチレン基、1,2-ジメチルブチレン基、2,2-ジメチルブチレン基、1-エチルブチレン基、1,1,2-トリメチルプロピレン基、1,2,2-トリメチルプロピレン基、1-エチル-2-メチルプロピレン基、1-エチル-1-メチルプロピレン基等が挙げられる。中でもRは、原料の入手の容易さから単結合または炭素原子数が2~4のアルキレン基が好ましい。
 また、前記炭素原子数が1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,2,2-トリメチルプロピル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基等が挙げられる。
 また、前記炭素原子数が3~8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
また、前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、4-ビニルフェニル基、3-イソプロピルフェニル基等が挙げられる。
また、前記炭素原子数が7~12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
 本発明における耐熱材料では、硬化性樹脂組成物の架橋構造の濃度を、成形物の残留応力が過大にならない程度に高めることが好ましいことから、加水分解性シリル基以外にも架橋構造を形成する官能基を複合樹脂に適度に含有させることがより好ましい。
 上記架橋構造を形成する官能基としては、公知慣用の官能基を使用することができるが、例示すると、
 エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート、酸無水物、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、チオール基、等を挙げることができる。
 中でも、電子機器の用途へ適用する点を考慮すると、エポキシ基を利用した架橋構造を適度に含有させることがより好ましい。
 また、架橋構造を形成する官能基として、重合性二重結合を有する基も挙げられる。前記R、R及びRの少なくとも1つが前記重合性二重結合を有する基であると、活性エネルギー線、熱ラジカル発生剤等により簡便に硬化させることができる。更には、活性エネルギー線、並びに、シラノール基及び/又は加水分解性シリル基の縮合反応の2つの硬化機構により、得られる硬化物の架橋密度が高くなり、より優れた耐熱性、低線膨張率を有する成形物を形成できる。
 前記重合性二重結合を有する基は、ポリシロキサンセグメント(a1)中に2つ以上存在することが好ましく、3~200個存在することがより好ましく、3~50個存在することが更に好ましく、より線膨張の低い成形物を得ることができる。具体的には、前記ポリシロキサンセグメント(a1)中の重合性二重結合の含有率が3~35重量%であれば、所望の線膨張率を得ることができる。尚、ここでいう重合性二重結合とは、ビニル基、ビニリデン基もしくはビニレン基のうち、フリーラジカルによる生長反応を行うことができる基の総称である。また、重合性二重結合の含有率とは、当該ビニル基、ビニリデン基もしくはビニレン基のポリシロキサンセグメント中における重量%を示すものである。
 重合性二重結合を有する基としては、当該ビニル基、ビニリデン基、ビニレン基を含有してなる公知の全ての官能基を使用することができるが、中でも-R-C(CH)=CHや-R-O-CO-C(CH)=CHで表される(メタ)アクリロイル基は、紫外線硬化の際の反応性に富むことや、後述のビニル系重合体セグメント(a2)との相溶性が良好となる。
 前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位は、ケイ素の結合手のうち2または3つが架橋に関与した、三次元網目状のポリシロキサン構造単位である。三次元網目構造を形成しながらも密な網目構造を形成しないので、ゲル化等を生じることもなく保存安定性も良好となる。
(シラノール基および/または加水分解性シリル基)
 本発明においてシラノール基とは、珪素原子に直接結合した水酸基を有する珪素含有基である。該シラノール基は具体的には、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位の、結合手を有する酸素原子が水素原子と結合して生じたシラノール基であることが好ましい。
 また本発明において加水分解性シリル基とは、珪素原子に直接結合した加水分解性基を有する珪素含有基であり、具体的には、例えば、一般式(4)で表される基が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007

       (4)
(一般式(4)中、Rはアルキル基、アリール基又はアラルキル基等の1価の有機基を、Rはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基及びアルケニルオキシ基からなる群から選ばれる加水分解性基である。またbは0~2の整数である。)
 前記Rにおいて、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,2,2-トリメチルプロピル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基等が挙げられる。
 またアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、4-ビニルフェニル基、3-イソプロピルフェニル基等が挙げられる。
 またアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
 前記Rにおいて、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
 アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、第二ブトキシ基、第三ブトキシ基等が挙げられる。
またアシロキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ピバロイルオキシ、ペンタノイルオキシ、フェニルアセトキシ、アセトアセトキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ等が挙げられる。
またアリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
 アルケニルオキシ基としては、例えば、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、1-プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、2-ブテニルオキシ基、3-ブテニルオキシ基、2-ペテニルオキシ基、3-メチル-3-ブテニルオキシ基、2-ヘキセニルオキシ基等が挙げられる。
 前記Rで表される加水分解性基が加水分解されることにより、一般式(4)で表される加水分解性シリル基はシラノール基となる。加水分解性に優れることから、中でも、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
 また前記加水分解性シリル基は具体的には、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位の、結合手を有する酸素原子が前記加水分解性基と結合もしくは置換されている加水分解性シリル基であることが好ましい。
 前記シラノール基や前記加水分解性シリル基は、シラノール基中の水酸基や加水分解性シリル基中の前記加水分解性基の間で加水分解縮合反応が進行するので、ポリシロキサン構造の架橋密度が高まり、線膨張率の低い成形物を形成することができる。
 また、前記シラノール基や前記加水分解性シリル基を含むポリシロキサンセグメント(a1)と後述のビニル系重合体セグメント(a2)とを、前記一般式(3)で表される結合を介して結合させる際に使用する。
 ポリシロキサンセグメント(a1)は、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位と、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有する以外は特に限定はなく、他の基を含んでいてもよい。例えば、
 前記一般式(1)におけるRが前記重合性二重結合を有する基である構造単位と、前記一般式(1)におけるRがメチル等のアルキル基である構造単位とが共存したポリシロキサンセグメント(a1)であってもよいし、
前記一般式(1)におけるRが前記重合性二重結合を有する基である構造単位と、前記一般式(1)におけるRがメチル基等のアルキル基である構造単位と、前記一般式(2)におけるR及びRがメチル基等のアルキル基である構造単位とが共存したポリシロキサンセグメント(a1)であってもよいし、
前記一般式(1)におけるRが前記重合性二重結合を有する基である構造単位と、前記一般式(2)におけるR及びRがメチル基等のアルキル基である構造単位とが共存したポリシロキサンセグメント(a1)であってもよいし、特に限定はない。
 具体的には、ポリシロキサンセグメント(a1)としては、例えば以下の構造を有するもの等が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012

Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
 本発明においては、前記ポリシロキサンセグメント(a1)の含有率が複合樹脂(A)の全固形分量に対して45~95重量%である場合、耐熱性、耐光性、低線膨張率に優れる。
(複合樹脂(A) ビニル系重合体セグメント(a2))
 本発明におけるビニル系重合体セグメント(a2)は、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体、芳香族系ビニル系重合体、ポリオレフィン系重合体等のビニル重合体セグメントである。これらは用途により適宜選択することが好ましい。
 例えば、アクリル系重合性セグメントは、汎用の(メタ)アクリルモノマーを重合または共重合させて得られる。(メタ)アクリルモノマーとしては特に限定はなく、またビニルモノマーも共重合可能である。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の炭素原子数が1~22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類;ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェニルエチル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート等のω-アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメチルマレート、ジ-n-ブチルマレート、ジメチルフマレート、ジメチルイタコネート等の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン類;フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン等のフルオロオレフィン類;エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル類;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン、N-ビニルピロリドン等の3級アミド基含有モノマー類等が挙げられる。
 前記モノマーを共重合させる際の重合方法、溶剤、あるいは重合開始剤にも特に限定はなく、公知の方法によりビニル系重合体セグメント(a2)を得ることができる。例えば、塊状ラジカル重合法、溶液ラジカル重合法、非水分散ラジカル重合法等の種々の重合法により、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、tert-ブチルパーオキシピバレート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の重合開始剤を使用してビニル系重合体セグメント(a2)を得ることができる。
 前記ビニル系重合体セグメント(a2)の数平均分子量としては、数平均分子量(以下Mnと略す)に換算して500~200,000の範囲であることが好ましく、前記複合樹脂(A)を製造する際の増粘やゲル化を防止でき、且つ耐久性に優れる。Mnは中でも700~100,000の範囲がより好ましく、1,000~50,000の範囲が、クラック等を発生しない良好な成形体を得るためにさらに好ましい。
 また前記ビニル系重合体セグメント(a2)は、前記ポリシロキサンセグメント(a1)と一般式(3)で表される結合により結合された複合樹脂(A)とするために、ビニル系重合体セグメント(a2)中の炭素原子に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を有する。これらのシラノール基および/または加水分解性シリル基は、後述の複合樹脂(A)の製造において一般式(3)で表される結合となってしまうために、最終生成物である複合樹脂(A)中のビニル系重合体セグメント(a2)には殆ど存在しない。しかしながらビニル系重合体セグメント(a2)にシラノール基および/または加水分解性シリル基が残存していても何ら問題はなく、複合樹脂(A)を含有する耐熱材料を硬化させる際、シラノール基中の水酸基や加水分解性シリル基中の前記加水分解性基の間で加水分解縮合反応が進行するので、得られる硬化物のポリシロキサン構造の架橋密度が高まり、耐熱性に優れた成形物を形成することができる。
 炭素原子に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を有するビニル系重合体セグメント(a2)は、具体的には、前記汎用モノマー、及び、炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系モノマーとを共重合させて得る。
 炭素原子に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系モノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリ(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、2-トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。中でも、加水分解反応を容易に進行でき、また反応後の副生成物を容易に除去することができることからビニルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
 本発明のビニル系重合体セグメント(a2)は、各種官能基を有していてもよい。例えば重合性不飽和二重結合を有する基、エポキシ基、アルコール性水酸基等であり、導入するには該当する官能基を有するビニル系モノマーを重合時に配合すればよい。
エポキシ基を有するビニル系モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシジルビニルエーテル、メチルグリシジルビニルエーテルもしくはアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
アルコール水酸基を有するビニル系モノマーとしては、例えば、(2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ-2-ヒドロキシエチルフマレート、モノ-2-ヒドロキシエチルモノブチルフマレート、ポリエチレングルコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、「プラクセルFMもしくはプラクセルFA」〔ダイセル化学(株)製のカプロラクトン付加モノマー〕等の各種α、β-エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類、またはこれらとε-カプロラクトンとの付加物、等が挙げられる。
(複合樹脂(A)の製造方法)
 本発明で用いる複合樹脂(A)は、具体的には下記(方法1)~(方法3)に示す方法で製造する。
 (方法1)前記汎用の(メタ)アクリルモノマー等、及び、前記炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系モノマーとを共重合させて炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体セグメント(a2)を得る。これとシラノール基および/または加水分解性シリル基含有シラン化合物とを混合し、加水分解縮合反応させる。このとき、生成するポリシロキサン中にエポキシ基を導入するためには、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを併有するエポキシ基含有シラン化合物を同時に使用すればよい。また、他に導入したい基がある場合は、導入したい基を有するシラン化合物を併用する。例えばアリール基を導入する場合は、アリール基とシラノール基および/または加水分解性シリル基とを併有するシラン化合物を適宜併用すればよい。また重合性二重結合を有する基を導入する場合は、重合性二重結合を有する基とシラノール基および/または加水分解性シリル基とを併有するシラン化合物を併用すればよい。
 該方法においては、シラン化合物のシラノール基あるいは加水分解性シリル基と、炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体セグメント(a2)が有するシラノール基および/または加水分解性シリル基とが加水分解縮合反応し、前記ポリシロキサンセグメント(a1)が形成されると共に、前記リシロキサンセグメント(a1)と、ビニル系重合体セグメント(a2)とが前記一般式(3)で表される結合により複合化された複合樹脂(A)が得られる。
 (方法2)方法1と同様にして、炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体セグメント(a2)を得る。
一方、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するシラン化合物(エポキシ基を導入するためには、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを併有するエポキシ基含有シラン化合物を使用する。他に導入したい基がある場合は、導入したい基を有するシラン化合物を併用する。)を加水分解縮合反応させ、ポリシロキサンセグメント(a1)を得る。そして、ビニル系重合体セグメント(a2)が有するシラノール基および/または加水分解性シリル基と、エポキシ基を有するポリシロキサンセグメント(a1)とが有するシラノール基および/または加水分解性シリル基とを加水分解縮合反応をさせる。
 (方法3)方法1と同様に、炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体セグメント(a2)を得る。一方、方法2と同様にして、ポリシロキサンセグメント(a1)を得る。更に、前記ポリシロキサンセグメント(a1)中にエポキシ基を導入するのであれば、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを併有するエポキシ基含有シラン化合物を、他に導入したい基がある場合は導入したい基を有するシラン化合物等とを混合し、加水分解縮合反応させる。
 また、重合性二重結合を有する基を導入する際に使用する重合性二重結合を有する基とシラノール基および/または加水分解性シリル基とを併有するシラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリ(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、2-トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等を併用する。中でも、加水分解反応を容易に進行でき、また反応後の副生成物を容易に除去することができることからビニルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
 また、その他、前記(方法1)~(方法3)で使用する汎用のシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ-n-ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、iso-ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等の各種のオルガノトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ-n-ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等の、各種のジオルガノジアルコキシシラン類;メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシランもしくは等のクロロシラン類が挙げられる。
 また、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランもしくはテトラn-プロポキシシランなどの4官能アルコキシシラン化合物や該4官能アルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物を、本発明の効果を損なわない範囲で併用することもできる。前記4官能アルコキシシラン化合物又はその部分加水分解縮合物を併用する場合には、前記ポリシロキサンセグメント(a1)を構成する全珪素原子に対して、該4官能アルコキシシラン化合物の有する珪素原子が、20モル%を超えない範囲となるように併用することが好ましい。
 また、前記シラン化合物には、ホウ素、チタン、ジルコニウムあるいはアルミニウムなどの珪素原子以外の金属アルコキシド化合物を、本発明の効果を損なわない範囲で併用することもできる。例えば、ポリシロキサンセグメント(a1)を構成する全珪素原子に対して、上述の金属アルコキシド化合物の有する金属原子が、25モル%を超えない範囲で、併用することが好ましい。
 本発明においては、ポリシロキサンセグメント(a1)を形成するとき、使用するシラノール基および/または加水分解性シリル基含有シラン化合物中において、トリアルコキシシランが40モル%以上であると好ましい。トリアルコキシシランが40モル%以上であると、ポリシロキサンセグメント(a1)の加水分解縮合の反応性基が1分子中に3つ存在することから、架橋密度が向上し結合がより強固になるため、得られる耐熱材料および耐熱部材の線膨張率が低くなる。
 更に、上述のトリアルコキシシランは、好ましくはモノアルキルトリアルコキシシランである。モノアルキルトリアルコキシシランの場合、ポリシロキサンセグメント(a1)の加水分解縮合がより進行しやすく、硬化物の架橋密度がより向上するからである。モノアルキルトリアルコキシシランにおいて、アルコキシ基の炭素原子数が1~4であると好ましく、アルキル基の炭素原子数が1~2であると、より好ましい。
 炭素原子数が1~4のアルキル基を有するモノアルキルトリアルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ-n-ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ-
n-ブトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシランもしくはブチルトリエトキシシラン等が挙げられ、好ましくはメチルトリメトキシシランである。
 また、複合樹脂(A)中にエポキシ基を起点とする架橋構造が組み込まれると、耐熱性がより向上する為、電子機器への用途へ適用する上で好適である。複合樹脂(A)にエポキシ基を導入するには、前記ポリシロキサンセグメント(a1)を合成する際、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するシラン化合物を含有させればよく、シラン化合物中、エポキシ基を含有するシラン化合物が25重量%以上90重量%以下であることが好ましい。
 上記エポキシ基を含有するシラン化合物としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、多官能エポキシシラン(例えば信越シリコーン製X-12-981、X-12-984)、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、等が挙げられる。
(無機微粒子)
 本発明の耐熱材料は、上記複合樹脂(A)を含有するものであるが、無機微粒子を含有することで更に耐熱性が向上する。
 本発明で使用する無機微粒子は、本発明の効果を損なわなければとくに限定は無い。
 本発明で使用する複合樹脂(A)がポリシロキサンセグメント(a1)を有するので無機成分とのなじみがよく、50重量%を超える添加量であっても問題なく分散することができる。また分散後、無機微粒子が沈殿あるいは固化することもなく、長時間の保存安定性を有する。一方、ビニル系重合性セグメントは、反応性化合物との相性がよいため、前記複合樹脂(A)と無機微粒子を含有する耐熱材料は、反応性化合物と良好に分散するため、分散安定性のよい無機微粒子含有耐熱材料を得ることができる。
 無機微粒子としては、特に限定は無く、用途によって適時選択すればよい。
 例えば、耐熱性に優れるものとしては、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、シリカ(石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等)等である。
 これらの無機微粒子は、用途によって適時選択すればよく、単独で使用しても、複数種組み合わせて使用してもかまわない。また、上記無機微粒子は、例に挙げた特性以外にも様々な特性を有することから、適時用途に合わせて選択すればよい。
 例えば無機微粒子としてシリカを用いる場合、特に限定はなく粉末状のシリカやコロイダルシリカなど公知のシリカ微粒子を使用することができる。市販の粉末状のシリカ微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製アエロジル50、200、旭硝子(株)製シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製E220A、E220、富士シリシア(株)製SYLYSIA470、日本板硝子(株)製SGフレ-ク等を挙げることができる。
また、市販のコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製メタノ-ルシリカゾル、IPA-ST、MEK-ST、NBA-ST、XBA-ST、DMAC-ST、ST-UP、ST-OUP、ST-20、ST-40、ST-C、ST-N、ST-O、ST-50、ST-OL等を挙げることができる。
 また、公知の方法にて分散性を改良したシリカ微粒子を使用してもよい。このような分散性を改良したシリカ微粒子としては、例えば、前記シリカ微粒子を、疎水性基を有する反応性シランカップリング剤で表面処理したものや、(メタ)アクリロイル基を有する化合物で修飾したものがあげられる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物で修飾した市販の粉末状のシリカとしては、日本アエロジル(株)製アエロジルRM50、R711等、(メタ)アクリロイル基を有する化合物で修飾した市販のコロイダルシリカとしては、日産化学工業(株)製MIBK-SD等が挙げられる。
 前記シリカ微粒子の形状は特に限定はなく、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、または不定形状のものを用いることができる。例えば、市販の中空状シリカ微粒子としては、日鉄鉱業(株)製シリナックス等を用いることができる。
また一次粒子径は、5~200nmの範囲が好ましい。5nm未満であると、分散体中の無機微粒子の分散が不十分となり、200nmを超える径では、硬化物の十分な強度が保持できないおそれがある。
(組成物)
 本発明における耐熱材料として、無機微粒子と複合樹脂(A)を構成成分として使用する為の分散体を作製する為の方法について説明する。
 前記組成物中で無機微粒子を分散させる方法としては、特に限定されず公知の分散方法を使用することができる。機械的手段としては、例えば、ディスパー、タービン翼等攪拌翼を有する分散機、ペイントシェイカー、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等が挙げられる。無機微粒子分散体を製造するには、得られる分散体をコーティング剤等に用いる場合には、塗工性、塗料安定性および硬化物の透明性等の点から、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ等の分散メディアを使用するビーズミルによる分散が好ましい。
 前記ビーズミルとしては、例えば、アシザワ・ファインテック(株)製のスターミル;三井鉱山(株)製のMSC-MILL、SC-MILL、アトライタ MA01SC;浅田鉄工(株)のナノグレンミル、ピコグレンミル、ピュアグレンミル、メガキャッパーグレンミル、セラパワーグレンミル、デュアルグレンミル、ADミル、ツインADミル、バスケットミル、ツインバスケットミル:寿工業(株)製のアスペックミル、ウルトラアスペックミル、スーパーアスペックミル等が挙げられる。中でも、ウルトラアスペックミルが好ましい。
〔無機微粒子含有の耐熱材料〕
 本発明で使用する複合樹脂(A)と無機微粒子とを混合するには、ビーズミルやロールミル等で分散させればよい。他の配合物と混合する場合、他の配合物とを予めビーズミルやロールミル等の方法で分散しておいた、無機微粒子が高濃度で配合された組成物を予め作成し、該組成物を、その他の配合物と配合することで、無機微粒子含有の耐熱材料とすることができる。
 特に、反応性化合物、例えばポリイソシアネートや活性エネルギー線硬化性モノマー等の反応性希釈剤に分散した耐熱材料とすることで、効率よく、かつゲル化等の心配なく硬化させることができる。このときの無機微粒子の分散濃度は、耐熱材料固形分全量に対して5~90重量%の範囲であると、無機微粒子の沈殿や固化等の心配なく保存安定性に優れる分散液を得る事が出来る。
〔耐熱材料〕
 本発明の耐熱材料は、前記複合樹脂(A)を含有するものであり、該耐熱材料を成形することで耐熱部材が得られる。成形方法は公知慣用の方法でよく、硬化させて成形して良いし、熱可塑性樹脂を配合して成型することにより成形させてもよいが、耐熱性を高める点から、熱硬化による成形を行うと、当該複合樹脂(A)はポリシロキサンセグメント(a1)の加水分解縮合による結合がより強固であるため、得られる耐熱材料および耐熱部材の線膨張率が低くなる。
 本発明の耐熱材料は、複合樹脂(A)や無機微粒子以外の配合物を含有してもよい。例えば各種樹脂、反応性化合物、触媒、重合開始剤、有機フィラー、無機フィラー、有機溶剤、無機顔料、有機顔料、体質顔料、粘土鉱物、ワックス、界面活性剤、安定剤、流動調整剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤等である。
 本発明の複合樹脂(A)が官能基を有する場合、複合樹脂(A)が有する官能基と反応する官能基を有する反応性化合物を耐熱材料に配合することで、より硬化密度が高くなるため、得られる耐熱部材の耐熱性が向上するため好ましい。
 例えば複合樹脂(A)がアルコール性水酸基を有する場合には、イソシアネート基含有化合物;エポキシ基を有する場合には、フェノール系硬化物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、アミン系化合物、などの各種の硬化剤が挙げられる。 
 イソシアネート基含有化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類や、メタ-キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチル-メタ-キシリレンジイソシアネート等のアラルキルジイソシアネート類を主原料とするポリイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-(又は、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソイシアネート、リジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-ジイソシアネートシクロヘキサン、1,3-ビス(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、アロファネート型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート、アダクト型ポリイソシアネート及びイソシアヌレート型ポリイソシアネートが挙げられる。 
 エポキシ基の硬化剤としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等のフェノール系化合物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系化合物;ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等のアミド系化合物;ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ-ル、BF3-アミン錯体、グアニジン誘導体等のアミン系化合物等が挙げられる。 
 また必要に応じて上記硬化剤に加え、硬化促進剤を適宜併用することもできる。硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。特に硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、イミダゾール化合物では2-エチル-4-メチルイミダゾール、リン系化合物ではトリフェニルフォスフィン、第3級アミンでは1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-ウンデセン(DBU)が好ましい。
〔熱硬化〕
 本発明の複合樹脂(A)の有するポリシロキサンセグメント(a1)が有する、シラノール基および/または加水分解性シリル基を介して硬化させる場合には、熱硬化を行えばよい。熱硬化では単独で加熱し硬化させることも可能であるが、以下のような公知な硬化触媒を併用することも可能である。例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸類;p-トルエンスルホン酸、燐酸モノイソプロピル、酢酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等の無機塩基類;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン酸エステル類;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ-n-ブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール等の各種の塩基性窒素原子を含有する化合物類;テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩等の各種の4級アンモニウム塩類であって、対アニオンとして、クロライド、ブロマイド、カルボキシレートもしくはハイドロオキサイドなどを有する4級アンモニウム塩類;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、オクチル酸錫又はステアリン酸錫など錫カルボン酸塩等が挙げられる。触媒は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
また、ビニル系重合体セグメント(a2)がアルコール性水酸基を含有し、更に耐熱材料がイソシアネート基含有化合物を含有する場合には、触媒を添加することでウレタン化反応を起こすことができる。
また、ビニル系重合体セグメント(a2)またはポリシロキサンセグメント(a1)が重合性不飽和基を有する場合には、熱重合開始剤を使用することで、反応させることができる。
また、ビニル系重合体セグメント(a2)またはポリシロキサンセグメント(a1)がエポキシ基を有する場合には、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基または酸無水物、またはアミド基を有する化合物を配合することで、反応させることができ、汎用のエポキシ樹脂用硬化剤が使用可能である。
 また、熱硬化性樹脂を併用することも可能である。熱硬化性樹脂としては、ビニル系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、ケトン樹脂、シリコン樹脂あるいはこれらの変性樹脂等が挙げられる。
〔光硬化〕
 ビニル系重合体セグメント(a2)またはポリシロキサンセグメント(a1)が重合性二重結合を有する基を有する場合には、耐熱材料に光重合開始剤を配合することで、光硬化することが可能である。光硬化としては、紫外線硬化が好ましい。
光重合開始剤としては公知のものを使用すればよく、例えば、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、ベンゾフェノン類からなる群から選ばれる一種以上を好ましく用いることができる。前記アセトフェノン類としては、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン等が挙げられる。前記ベンジルケタール類としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。前記ベンゾフェノン類としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。前記ベンゾイン類等としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。光重合開始剤(B)は単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
 紫外線硬化させる場合は、必要に応じて多官能(メタ)アクリレートを配合してもよく、硬化密度が向上する為、耐熱性が向上する。また、単官能(メタ)アクリレートを使用してもかまわない。
 紫外線硬化させる際に使用する光は、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、アルゴンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、紫外線発光ダイオード等を使用することができる。
〔耐熱部材〕
 本発明の耐熱材料を成形することで、本発明の耐熱部材を得ることができる。耐熱部材の形状としては特に制限はなく、例えば、シート状、板状、球状、フィルム状ないしは大型の構築物又は複雑なる形状の組立物あるいは成形物であってもよく、用途に応じて選択すればよい。
 耐熱部材の製造方法としては特に制限がなく、例えば金型を使った成形方法でもよいし、粘度を調整して塗液化してから塗膜としてもよい。あるいは、接着剤や封止材のように、別の部材間を充填したり被覆した状態で硬化することで、耐熱部材としてもよい。
〔用途〕
 本発明の耐熱材料及び耐熱部材は、耐光性、耐熱性に優れ低線膨張率であることから、様々な用途に使用することができる。例えば、パワー半導体用封止材、高輝度LED用封止材、耐熱コート材、銅張積層板などに使用することができる。特に光半導体の封止材として使用することで、光による劣化と、熱による寸法変化を抑えることができ、高い水準で半導体の性能を維持することが可能となる。
 次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明をする。例中断りのない限り、「部」「%」は重量規準である。
(ポリシロキサン(a1-1)の調製例)
 攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、メチルトリメトキシシラン(MTMS) 415部、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)756部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、60℃まで昇温した。次いで、「Phoslex A-4」〔堺化学(株)製のノルマルブチルアシッドホスフェート〕(A-4)0.1部と脱イオン水 121部からなる混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間攪拌することにより加水分解縮合反応を行い、反応生成物を得た。
 得られた反応生成物中に含まれるメタノールおよび水を、1~30キロパスカル(kPa)の減圧下、40~60℃の条件で除去することにより、数平均分子量が1000で、有効成分が75.0%であるポリシロキサン(a1-1) 1000部を得た。
尚、「有効成分」とは、使用したシランモノマーのメトキシ基が全て加水分解縮合反応した場合の理論収量(重量部)を、加水分解縮合反応後の実収量(重量部)で除した値、即ち、〔シランモノマーのメトキシ基が全て加水分解縮合反応した場合の理論収量(重量部)/加水分解縮合反応後の実収量(重量部)〕の式により算出したものである。
(ポリシロキサン(a1-2)の調製例)
 攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、メチルトリメトキシシラン(MTMS) 642部、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)62部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、60℃まで昇温した。次いで、「Phoslex A-4」〔堺化学(株)製のノルマルブチルアシッドホスフェート〕(A-4)0.1部と脱イオン水 98.6部からなる混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間攪拌することにより加水分解縮合反応を行い、反応生成物を得た。
(ポリシロキサン(a1-9)の調製例)
上述合成例と同様の反応容器に、フェニルトリメトキシシラン(PTMS) 231.9部、ジメチルジメトキシシラン(DMDMS) 26.6部、MTMS 114.5部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、60℃まで昇温した。次いで、「A-4」 0.1部と脱イオン水 44.2部からなる混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間攪拌することにより加水分解縮合反応を行い、反応生成物を得た。
 得られた反応生成物中に含まれるメタノールおよび水を、1~30キロパスカル(kPa)の減圧下、40~60℃の条件で除去することにより、数平均分子量が1000で、有効成分が75.0%であるポリシロキサン(a1-9) 298.5部を得た。
(ポリシロキサン(a1-10)の調製例)
上述合成例と同様の反応容器に、PTMS 151.7部、DMDMS 27.2部、MTMS 117.9部、MPTS 35.0部、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS) 35.2部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、60℃まで昇温した。次いで、「A-4」 0.1部と脱イオン水 42.6部からなる混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間攪拌することにより加水分解縮合反応を行い、反応生成物を得た。
 得られた反応生成物中に含まれるメタノールおよび水を、1~30キロパスカル(kPa)の減圧下、40~60℃の条件で除去することにより、数平均分子量が1000で、有効成分が74.8%であるポリシロキサン(a1-10) 302部を得た。
(ポリシロキサン(a11-1)の調製例)
上述合成例と同様の反応容器に、MTMS 143.06部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、60℃まで昇温した。次いで、「A-4」0.1部と脱イオン水 45部からなる混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間攪拌することにより加水分解縮合反応を行い、反応生成物を得た。
 得られた反応生成物中に含まれるメタノールおよび水を、1~30キロパスカル(kPa)の減圧下、40~60℃の条件で除去することにより、数平均分子量が1000で、有効成分が75.0%であるポリシロキサン(a11-1) 120部を得た。
(ポリシロキサン(a11-2~a11-4、a11-6~10)の調製例)
 上述合成例と同様の装置を用いて、表1に示される配合比においてシロキサンモノマーを仕込んで窒素ガスの通気下、攪拌しながら、60℃まで昇温した。次いで、「A-4」0.1部と脱イオン水 45部からなる混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間攪拌することにより加水分解縮合反応を行い、反応生成物を得た。
 得られた反応生成物中に含まれるメタノールおよび水を、1~30キロパスカル(kPa)の減圧下、40~60℃の条件で除去することにより、ポリシロキサン(a11-2~a11-4、a11-6,7,8)各試料を得た。
 上記ポリシロキサン合成例(a11-1~10)における、シロキサンモノマー配合量(単位は重量部)を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000017
(ビニル系重合体(a2-3)の調製例)
上述合成例と同様の反応容器に、PTMS 120部、酢酸n-ブチル 322.5部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、95℃まで昇温した。次いで、メチルメタクリレート(MMA) 263.3部、グリシジルメタクリレート(GMA) 189.0部、スチレン(St) 3.2部、ブチルアクリレート(BA) 6.3部、MPTS 37.8部、2-ヒドロキシメチルメタクリレート(HEMA) 157.5部、酢酸n-ブチル 45部、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(TBPEH) 25.2部を含有する混合物を、同温度で、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、前記反応容器中へ4時間で滴下した。さらに、同温度にて10時間攪拌することにより、TBPEHの残存量が0.1%以下の反応生成物であるビニル系重合体(a2-3)が得られた。
(ビニル系重合体(a21-1)の調製例)
上述合成例と同様の反応容器に、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)27.58部、酢酸n-ブチル 107.7部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、95℃まで昇温した。次いで、メチルメタクリレート(MMA) 26.9部、n-ブチルメタクリレート(BMA) 3.2部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA) 75部、アクリル酸(AA) 2.0部、ブチルアクリレート(BA) 2.0部、MPTS 3.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA) 37.5部、酢酸n-ブチル 15部、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(TBPEH) 6部を含有する混合物を、同温度で、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、前記反応容器中へ4時間で滴下した。さらに同温度で2時間撹拌したのち、前記反応容器中に、「A-4」 0.07部と脱イオン水 17.1部の混合物を、5分間をかけて滴下し、同温度で5時間攪拌することにより、PTMS、DMDMS、MPTSの加水分解縮合反応を進行させた。反応生成物を、1H-NMRで分析したところ、前記反応容器中のシランモノマーが有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。次いで、同温度にて10時間攪拌することにより、TBPEHの残存量が0.1%以下の反応生成物であるビニル系重合体(a21-1)が得られた。
(ビニル系重合体(a21-2~a21-4、a21-6~12)の調製例)
上述合成例と同様の反応容器に、表2-1及び2-2に示される組成にてシロキサンモノマー(GPTS、PTMS、DMDMS)を仕込み、更に酢酸n-ブチル 107.7部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、95℃まで昇温した。次いで、表2-1及び2-2に従い混合されたシロキサンモノマー以外の重合性モノマーからなる混合物を、同温度で、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、前記反応容器中へ4時間で滴下した。さらに同温度で2時間撹拌したのち、前記反応容器中に、「A-4」 0.07部と脱イオン水 17.1部の混合物を、5分間をかけて滴下し、同温度で5時間攪拌、続いて同温度にて10時間攪拌することにより、TBPEHの残存量が0.1%以下の反応生成物である各ビニル系重合体(a21-2~a21-4、a21-6~12)が得られた。
 上記ビニル系重合体(a21-1~12)を合成する際の重合性モノマー配合量(単位は重量部)を表2-1、表2-2に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000018
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000019
(複合樹脂(A-1)の調製例)
上述合成例と同様の反応容器に、PTMS20.1部、DMDMS 24.4部、酢酸n-ブチル 107.7部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、95℃まで昇温した。次いで、MMA 15部、BMA 45部、2-エチルヘキシルメタクリレート(EHMA) 39部、AA 1.5部、BA 1.5部、MPTS 4.5部、HEMA 45部、酢酸n-ブチル 15部、TBPEH 6部を含有する混合物を、同温度で、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、前記反応容器中へ4時間で滴下した。さらに同温度で2時間撹拌したのち、前記反応容器中に、「A-4」 0.07部と脱イオン水 12.8部の混合物を、5分間をかけて滴下し、同温度で5時間攪拌することにより、PTMS、DMDMS、MPTSの加水分解縮合反応を進行させた。反応生成物を、1H-NMRで分析したところ、前記反応容器中のシランモノマーが有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。次いで、同温度にて10時間攪拌することにより、TBPEHの残存量が0.1%以下の反応生成物が得られた。尚、TBPEHの残存量は、ヨウ素滴定法により測定した。
次いで、前期反応生成物に、合成例1で得られたポリシロキサン(a1-1) 82.4部を添加して、5分間撹拌したのち、脱イオン水 7.2部を加え、80℃で4時間撹拌を行い、前期反応生成物とポリシロキサンとの加水分解縮合反応を行った。得られた反応生成物を、10~300kPaの減圧下で、40~60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、メチルエチルケトン(MEK) 150部、酢酸n-ブチル 28.6部を添加し、ポリシロキサンセグメントとビニル重合体セグメントからなり、ポリシロキサンセグメント(a1-1)の含有量が50重量%である複合樹脂(A-1)溶液 428部(固形分50.1%)を得た。
(複合樹脂(A-3)の調製例)
上述合成例と同様の反応容器に、PTMS 46.7部、DMDMS 18.9部、酢酸n-ブチル 107.7部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、95℃まで昇温した。次いで、グリシジルメタクリレート(GMA) 45部、スチレン(St) 0.8部、MMA 60.8部、BA 1.5部、MPTS 4.5部、HEMA 37.5部、酢酸n-ブチル 15部、TBPEH 7.5部を含有する混合物を、同温度で、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、前記反応容器中へ4時間で滴下した。さらに同温度で2時間撹拌したのち、前記反応容器中に、「A-4」 0.07部と脱イオン水 13.8部の混合物を、5分間をかけて滴下し、同温度で5時間攪拌することにより、PTMS、DMDMS、MPTSの加水分解縮合反応を進行させた。反応生成物を、1H-NMRで分析したところ、前記反応容器中のシランモノマーが有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。次いで、同温度にて10時間攪拌することにより、TBPEHの残存量が0.1%以下の反応生成物が得られた。尚、TBPEHの残存量は、ヨウ素滴定法により測定した。
次いで、前期反応生成物に、ポリシロキサン(a1-2) 143.9部を添加して、5分間撹拌したのち、脱イオン水 71.5部を加え、80℃で4時間撹拌を行い、前期反応生成物とポリシロキサンとの加水分解縮合反応を行った。得られた反応生成物を、10~300kPaの減圧下で、40~60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、メチルエチルケトン(MEK) 150部、酢酸n-ブチル 29.3部を添加し、ポリシロキサンセグメントとビニル重合体セグメントからなり、ポリシロキサンセグメント(a1-2)の含有量が50重量%である複合樹脂(A-3)溶液 600部(固形分50.3%)を得た。
(複合樹脂(A-9)の調製例)
上述合成例で得られたビニル系重合体(a2-3) 421.5部に、ポリシロキサン(a1-9) 107.5部を添加して、5分間攪拌したのち、脱イオン水30.0部を加え、80℃で4時間攪拌を行い、前記反応生成物とポリシロキサンとの加水分解縮合反応を行った。得られた反応生成物を10~300kPaの減圧下で、40~60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、酢酸n-ブチル 122.5部を添加し、不揮発分が55.0%である複合樹脂(A-9) 545.3部を得た。
(複合樹脂(A-10)の調製例)
上述合成例で得られたビニル系重合体(a2-3) 422.3部に、ポリシロキサン(a1-10) 107.6部を添加して、5分間攪拌したのち、脱イオン水28.9部を加え、80℃で4時間攪拌を行い、前記反応生成物とポリシロキサンとの加水分解縮合反応を行った。得られた反応生成物を10~300kPaの減圧下で、40~60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、酢酸n-ブチル 141.5部を添加し、不揮発分が55.0%である複合樹脂(A-10) 548.2部を得た。
(複合樹脂(A-21)の調製例)
上述合成例で得られたビニル系重合体(a21-1)20部に、ポリシロキサン(a11-1)120部を添加して、5分間攪拌したのち、脱イオン水62.3部を加え、80℃で4時間攪拌を行い、前記反応生成物とポリシロキサンとの加水分解縮合反応を行った。得られた反応生成物を10~300kPaの減圧下で、40~60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、メチルエチルケトン 81.8部を添加し、不揮発分が55%であるポリシロキサンセグメントとビニル重合体セグメントからなる複合樹脂(A-21)181.8部を得た。
(複合樹脂(A-22~24、26~30)の調製例)
前記合成例で得られたビニル系重合体(a21-2~4、6~10)に、ポリシロキサン(a11-2~4、6~10)を表3の量比に従い添加して、5分間攪拌したのち、脱イオン水62.3部を加え、80℃で4時間攪拌を行い、前記反応生成物とポリシロキサンとの加水分解縮合反応を行った。得られた反応生成物を10~300kPaの減圧下で、40~60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、メチルエチルケトン 81.8部を添加し、不揮発分が55%であるポリシロキサンセグメントとビニル重合体セグメントからなる複合樹脂(A-22~24、26~30)各181.8部を得た。
 上記複合樹脂(A22~24、26~30)を合成する際の重合性モノマー配合量(単位は重量部)を表3に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000020
<実施例1> 耐熱材料1
固形分量50%である複合樹脂(A-1)溶液を50部、シリカ微粒子(日本アエロジル(株)製アエロジル50)25部及びメチルイソブチルケトン(MIBK)250部を配合した。
 この配合物中のシリカ微粒子の分散を、寿工業(株)製のウルトラアペックスミル UAM015を用いて行った。組成物を調製するにあたり、ミル内にメディアとして30μm系のジルコニアビーズをミルの容積に対して50%充填し、毎分1.5リットルの流量で配合物の循環粉砕を行った。循環粉砕を30分間行い、シリカ微粒子が、複合樹脂(A-1)及び分散媒の混合物中に分散した組成物を得た。得られた組成物をウルトラアペックスミル UAM015の取り出し口から取り出し、エバポレーターを用いて分散媒濃度を調製し、固形分濃度が50%のシリカ微粒子を含有する組成物を得た。
 得られた組成物に、光重合開始剤(イルガキュア184(Ir184):BASF社製)0.5部を配合し、耐熱材料1とした。
<実施例2~14>
 実施例1と同様に、下記表4-1、4-2に記載の配合量にて配合することにより、各耐熱材料を得た。中でもシリカ微粒子を分散させる場合は、前段と同様の方法により分散を行い、耐熱材料を得た。
<比較例1,2>
 下記表4-3に記載の配合量にて、ビニル系重合体各a21-11、a21-12それぞれに、MIBK、2-メチル-4-イミダゾール配合し、比較用耐熱材料を得た。
〔評価〕
 得られた耐熱材料を成形し、耐光性及び耐熱性の評価を行った。
(紫外線硬化による評価用硬化物の作製)
片面鏡面アルミ板の鏡面層(100mm×250mm×0.3mm)に、耐熱材料1,10,14,18を10μm厚にバーコートし、ヤマト科学株式会社製 精密恒温器 DH610S中で80度、4分間プリベイクした後、80W/cmの高圧水銀灯下、約1000mJの照射量で、紫外線照射を行い、評価用硬化物を得た。
(熱硬化による評価用硬化物の作製)
 片面鏡面アルミ板の鏡面層(100mm×250mm×0.3mm)に、1,10,14,18以外の耐熱材料を100μm厚にバーコートし、ヤマト科学株式会社製 精密恒温器 DH610S中で150度で3時間加熱処理を行い、得られた硬化塗膜をアルミ板上から剥離することで膜厚100μmの評価用硬化物を得た。
 得られた評価用硬化物について以下のような評価を行い、結果を表に示した。
[耐光性測定]
 岩崎電気株式会社製アイスーパーUVテスターを使用して、SUV試験(100mW/cm 60度 50%)による耐光性試験(耐UV性試験)を実施し、未曝露の試験体と360時間経過後の試験体を目視観察にて比較評価した。表面状態等に変化がないものを(○)、とした。また、目視にて黄色味を帯びているものを△、更にクラックを生じていることが確認されたものを×と評価した。
[耐熱性試験 線膨張係数]
島津製作所製TMA-50を用いて、評価用硬化物の50度における線膨張係数(CTE)を測定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000021
略号について
Ir184:光重合開始剤(BASF社製)
2E4MZ:2-メチル-4-イミダゾール(熱重合触媒)
SP-170:光酸発生剤(ADEKA製)
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000022
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000023

本発明の耐熱材料は、耐光性、耐熱性に優れ、線膨張率が小さいことから、耐熱性接着剤、パワー半導体用封止材、高輝度LED用封止材、耐熱コート材、銅張積層板などに好適に利用することができる。また、該耐熱材料を硬化させてなる耐熱部材は、太陽光や蛍光灯、LED光やUVランプなどの光による劣化が生じず、さらに熱による寸法変化が小さいという優れた耐熱性を併せ持つため、長期において安定的に利用することができる。

Claims (7)

  1. 一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位とシラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するポリシロキサンセグメント(a1)と、ビニル系重合体セグメント(a2)が、一般式(3)で表される結合により結合された複合樹脂(A)を含有することを特徴とする、耐熱材料。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
           (1)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
           (2)
    (一般式(1)及び(2)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、-R-CH=CH、-R-C(CH)=CH、-R-O-CO-C(CH)=CH、及び-R-O-CO-CH=CHからなる群から選ばれる1つの重合性二重結合を有する基(但し、Rは単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基を表す)、炭素原子数が1~6のアルキル基、炭素原子数が3~8のシクロアルキル基、アリール基、または炭素原子数が7~12のアラルキル基を表す)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003

             (3)
    (一般式(3)中、炭素原子は前記ビニル系重合体セグメント(a2)の一部分を構成し、酸素原子のみに結合したケイ素原子は、前記ポリシロキサンセグメント(a1)の一部分を構成するものとする)
  2.  上記複合樹脂(A)において、前記ポリシロキサンセグメント(a1)が、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するシラン化合物を縮合して得られるセグメントであって、前記シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するシラン化合物中において、エポキシ基を含有するシラン化合物が25重量%以上90重量%以下である、請求項1に記載の耐熱材料。
  3. 更に無機微粒子を含有する、請求項1または2に記載の耐熱材料。
  4. 上記複合樹脂(A)において、ポリシロキサンセグメント(a1)の含有率が、複合樹脂(A)の全固形分量に対して45~95重量%である、請求項1から3の何れかに記載の耐熱材料。
  5.  上記複合樹脂(A)において、前記ポリシロキサンセグメント(a1)が、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するシラン化合物を縮合して得られるセグメントであって、前記シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するシラン化合物中において、トリアルコキシシランが40モル%以上である、請求項1から4の何れかに記載の耐熱材料。
  6. 請求項5に記載のトリアルコキシシランがモノアルキルトリアルコキシシランであることを特徴とする、請求項1から5の何れかに記載の耐熱材料。
  7.  請求項1から6のいずれかに記載の耐熱材料を成形してなることを特徴とする耐熱部材。
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