JP2009173694A - シリコーン系重合体粒子および該粒子を含有する硬化性樹脂組成物 - Google Patents

シリコーン系重合体粒子および該粒子を含有する硬化性樹脂組成物 Download PDF

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義隆 西山
Takao Manabe
貴雄 眞鍋
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Abstract

【課題】高い透明性と硬度を維持しながら耐冷熱衝撃性を向上させることができるシリコーン系重合体粒子を得ることを目的とする。
【解決手段】シリコーンコア粒子(A−1)に、アルコキシシラン縮合物(A−2)が被覆した、シリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子であって、
シリコーンコア粒子(A−1)が、一般式(1)〜(3)
SiO2/2(1)
SiO3/2(2)
SiO4/2(3)
(式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)からなる群から選ばれる構造単位からなり、上記一般式(1)の構造単位がコア成分全体の70モル%以上を占めており、かつ、一般式(2)および/または一般式(3)で架橋することを特長としたシリコーン系重合体粒子。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高い透明性と硬度を維持しながら耐冷熱衝撃性を向上させることができるシリコーン系重合体粒子および該粒子を含有する硬化性樹脂組成物に関する。
白色LEDの開発が進展し、その中でも青色から紫外光までを発光する半導体素子に蛍光体を組み合わせたものが主流と成りつつある。こうした白色LEDの封止材料としては従来からエポキシ樹脂が使用されてきた。しかし、近年の高輝度化による発熱量の増加と、半導体素子から発せられる光の短波長化が進行し、エポキシ樹脂の着色によるLEDの光量低下などの問題が発生してきた。
そのため耐熱、耐UV性が優れ、さらに透明性にも優れたシリコーン系化合物が使われるようになってきた。また最近では、LEDの半導体素子と電極をつないでいるボンディングワイヤーの保護の観点から、硬度の高いシリコーンレジンが封止樹脂として用いられるようになってきた。
しかし、こうしたモールド分野におけるシリコーンレジンは、硬度は高いものの、耐冷熱衝撃性が十分ではなく、基材とパッケージとの間のクラック、ワイヤー断線、基材の反り、剥離等の問題があった。(例えば特許文献1)
こうした中で、上記の問題に対して、シリコーン重合体粒子を含有したシリコーン系組成物が高い耐冷熱衝撃性を持つことが報告されているが(特許文献2)、その高い硬度を維持しながら、耐冷熱衝撃性をさらに向上させたシリコーン系重合体粒子が強く望まれていた。
特開2004−359756号公報 特開2007−131758号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高い硬度と高い透明性を持ち、なおかつ高い耐冷熱衝撃性を有するシリコーン系組成物を得るために、応力緩和能が優れたシリコーン系重合体粒子を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のシリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子を見出し、さらには、このシリコーン系重合体粒子にマトリクス樹脂である特定の構造を有するシリコーン系重合体粒子と予め反応させると、得られた成分をマトリクス成分と配合したシリコーン系重合体粒子が、高い硬度や耐冷熱衝撃性などのバランスに優れ、なおかつ高い透明性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の構成によるものである。
シリコーンコア粒子(A−1)に、アルコキシシラン縮合物(A−2)が被覆した、シリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子であって、
シリコーンコア粒子(A−1)が、一般式(1)〜(3)
SiO2/2(1)
SiO3/2(2)
SiO4/2(3)
(式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)からなる群から選ばれる構造単位からなり、上記一般式(1)の構造単位がコア成分全体の70モル%以上を占めており、かつ、一般式(2)および/または一般式(3)で架橋することを特長としたシリコーン系重合体粒子(請求項1)。
表面にアルケニル基を含有することを特徴とする、請求項1に記載のシリコーン系重合体粒子(請求項2)。
表面にオルガノポリシロキサンが変性されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシリコーン系重合体粒子(請求項3)。
シリコーン系重合体粒子に、アルケニル基含有化合物を反応させて得られることを特徴とする、請求項2に記載の表面にアルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子(請求項4)。
アルケニル基含有シリコーン系重合体粒子と、ヒドロシリル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンを、ヒドロシリル化反応させて得られる、請求項3に記載の表面にオルガノポリシロキサンが変性されたシリコーン系重合体粒子(請求項5)。
(A−1)成分が、体積平均粒径が0.005〜3.0μmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリコーン系重合体粒子(請求項6)。
(A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物が、下記(a)成分および/または下記(b)成分および/または下記(c)成分からなり、なおかつ(A−2)成分全体に占める(a)成分の重量が50重量%以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリコーン系重合体粒子。
(a)成分:一般式(4)
Figure 2009173694
(式中、R42、R43は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R44、R45は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(b)成分:一般式(5)
Figure 2009173694
(式中、R52、R53、R54は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R55は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(6)
Figure 2009173694
(式中、R62、R63、R64およびR65は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物(請求項7)。
(A−1)成分であるシリコーン粒子8〜97重量%に対して、(A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物が3〜92重量%被覆した重合体(ただし、(A−1)成分と(A−2)成分を合わせて100重量%)であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシリコーン系重合体粒子(請求項8)。
請求項1〜8のいずれか1項に記載のシリコーン系重合体粒子、
(B)ヒドロシリル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)アルケニル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン
(D)ヒドロシリル化触媒
を含有することを特徴とするシリコーン系組成物(請求項9)。
請求項5に記載の表面にシリコーン系重合体粒子、
(C)アルケニル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン
(D)ヒドロシリル化触媒
を含有することを特徴とするシリコーン系組成物(請求項10)。
請求項1〜8のいずれか1項に記載のシリコーン系重合体粒子を、マスターバッチ法により組成物中に均一に分散させたことを特徴とする、請求項9に記載のシリコーン系組成物(請求項11)。
(B)成分が、一般式(3)
SiO4/2(3)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(7)、(8)
HRb SiO1/2(7)
SiO1/2(8)
(式中、Rbは水素原子基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その構造の末端が一般式(7)で少なくとも1つ封鎖された重合体であることを特徴とする請求項9に記載のシリコーン系組成物(請求項12)。
(C)成分が、一般式(3)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(9)、(10)
CHCHR SiO1/2(9)
SiO1/2(10)
(式中、Rはアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その構造の末端が一般式(9)で少なくとも1つ封鎖された重合体であることを特徴とする請求項9または10に記載のシリコーン系組成物(請求項13)。
(E)接着性付与剤を含有する請求項9または10に記載のシリコーン系組成物(請求項14)。
本発明によれば、組成物の高い透明性や硬度を維持しながら耐冷熱衝撃性を向上させたシリコーン系重合体粒子が得られる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
[ シリコーン系重合体粒子 ]
本発明におけるシリコーン系重合体粒子は、シリコーン粒子をコアとし、アルコキシシラン縮合物が被覆したシェル構造を有するシリコーン系重合体粒子である。
<(A−1)シリコーンコア粒子>
本発明におけるシリコーンコア成分は、
一般式(1)〜(3)
SiO2/2(1)
SiO3/2(2)
SiO4/2(3)
(式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)からなる群から選ばれる構造単位を有するオルガノシロキサンを重合したものが用いられる。
またシリコーンコアは、上記一般式(1)の構造単位がシリコーンコア全体の70モル%以上を占めており、かつ、一般式(2)および/または一般式(3)で架橋することを特長とする。
シリコーンコア成分は、上記一般式(1)の構造単位が、シリコーンコア全体の70モル%以上占めていることが好ましく、さらに好ましくは80モル%以上を占めていることが好ましい。70モル%以下ではシリコーンコアの柔軟性が損なわれるため、応力緩和の効果が低下し、結果、シリコーン系組成物の低温での耐衝撃性が低下する場合がある。
一般式(2)および/または一般式(3)は、一般式(1)に架橋をかけることでコアの形状を保持することを目的とする。コア成分が一般式(1)のみでは、コア成分に(A−2)成分を被覆したシリコーン系重合体粒子が、コアシェル構造を十分に維持できない恐れがあり、シリコーン系重合体粒子を後述のマトリクス成分である硬質シリコーン中へ分散した際に、コア成分が硬質シリコーン中に溶出する可能性がある。その結果、粒子の応力緩和能が十分に期待されないこととなる。一方、コア成分として、一般式(1)に一般式(2)および/または一般式(3)で架橋することで、コアシェル構造を十分に維持することができるため、コア成分の硬質シリコーン中への溶出を防ぐことができる。その結果、粒子の応力緩和能が十分に発揮される。
一般式(2)および/または一般式(3)成分がシリコーンコア中に含まれており、かつシリコーンコア全体の30モル%以下であれば、その配分は特に限定はない。
本発明に用いる一般式(1)で表される官能基を2個含むいわゆる2官能性オルガノシロキサンは、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサンなどの環状化合物のほかに、直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサンを挙げることができる。このオルガノシロキサンの有する置換または非置換の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、およびそれらをシアノ基などで置換した置換炭化水素基などをあげることができる。一般式(1)で表される2官能性オルガノシロキサンは、直鎖状、分岐状または環状構造を有するが、入手の容易さやコストの観点から、環状構造を有するオルガノシロキサンを用いるのが好ましい。
またコア成分の分子の末端がシラノール基であることが好ましい。分子の末端にシラノール基を有していることで、後述のシェル成分との間で縮合反応により結合を形成するため、安定的なコア−シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子を得ることができる。
本発明に用いる一般式(2)で表される官能基を3個含むいわゆる3官能性オルガノシロキサンは、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどの直鎖上化合物のほかに、分岐状あるいは環状のオルガノシロキサンを挙げることができる。このオルガノシロキサンの有する置換または非置換の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、およびそれらをシアノ基などで置換した置換炭化水素基などをあげることができる。
本発明に用いる一般式(3)で表される官能基を4個含むいわゆる4官能性オルガノシロキサンは、例えば、テトラエトキシシラン、1,3ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−3−〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−4−〔2−ジメトキシメチルシリル〕エチル〕ベンゼンなどの直鎖上化合物のほかに、分岐状あるいは環状のオルガノシロキサンを挙げることができる。
本発明に用いるシリコーンコア成分の製造方法には、特に限定はないが、通常の乳化重合でも得ることが可能であり、粒径の制御が可能である点や簡便性等の点を考慮すると、乳化重合で得ることが好ましい。
一般式(1)、(2)、(3)の構造単位で表される原料の添加に関して、原料の全部を一括添加してもよく、あるいは、原料の一部を仕込んで一定時間撹拌した後、残りの原料を逐次添加しても構わない。その際、原料添加の順番は、特に制限されるものではない。
原料の添加の重合時のpHに関しては、原料の全部を一括添加したのち、一定時間撹拌してからpHを任意の値に調整してもよく、また原料の一部を仕込んでpHを任意の値に調整したエマルジョンに残りの原料を逐次追加してもよい。原料の添加の重合時のpHについては特に制限されるものではないが、重合が十分に進行することから、pH=5以下、特にpH=4以下に調整するのが好ましい。逐次追加する場合、そのままの状態、または水および乳化剤と混合して乳化液とした状態のいずれで添加してもよいが、重合速度を速くすることができるので、乳化状態で追加する方法を用いることが好ましい。
コア成分は、例えば、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合方法により製造することができるが、酸性条件下で反応させる方が、アルカリ性条件下で反応させるよりも、アルコキシシランの縮合反応が速く進行するため有利である。たとえば上記のオルガノシロキサンを含んだ各種原料を、乳化剤および水とともにホモミキサー、コロイドミル、ホモジナイザーなどを用いてエマルジョンとし、ついで、系のpHを酸成分で5以下、好ましくは4以下に調整し、加熱して重合させる。この際に用いる酸成分としては、安定して乳化重合を進行させることができ、またそれ自身も乳化能を併せ持つものが好ましく、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸、アルキルスルホコハク酸などが例示されうる。
反応温度、時間に特に制限はないが、反応制御の容易さから反応温度は0〜100℃が好ましく、50〜95℃がさらに好ましい。反応時間は、好ましくは1〜100時間であり、さらに好ましくは3〜50時間である。
酸性条件下で重合を行う場合、通常、コア成分の骨格を形成しているSi−O−Si結合は、切断と結合生成の平衡状態にある。この平衡は温度によって変化し、低温になるほど高分子量のコア成分が生成しやすくなる。したがって、高分子量のコア成分を得るためには、加熱により重合した後、重合温度以下に冷却して熟成を行うことが好ましい。具体的には、50℃以上で重合を行い重合転化率が75〜90%、さらに好ましくは82〜89%に達した時点で加熱を止め、10〜50℃、好ましくは20〜45℃に冷却して5〜100時間程度熟成を行うことができる。なお、ここで言う重合転化率は原料中の低揮発分のオルガノシロキサンのコア成分への転化率を意味する。
乳化重合に用いる水の量についてはとくに制限は無く、各種原料を乳化分散させるために必要な量であれば良く、通常原料の合計量に対して1〜20倍の重量を用いれば良い。
乳化重合に用いる乳化剤は、反応を行うpH領域において乳化能を失わないものであれば特に限定なく公知のものを使用することができる。かかる乳化剤の例としては、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、該乳化剤の使用量にはとくに限定がなく、目的とするコア成分の粒子径などに応じて適宜調整すればよい。充分な乳化能が得られ、かつ得られるコア成分と、それから得られる、前記シリコーン系重合体粒子であるシリコーン系重合体粒子の物性に悪影響を与えないという点から、エマルジョン中に0.005〜20重量%用いるのが好ましく、特には0.05〜15重量%用いるのが好ましい。
コア成分の粒子径は、乳化剤の使用量の増減など、通常の乳化重合技術を用いて制御することが可能である。例えば、適切な濃度でアルキルベンゼンスルホン酸を用いて乳化重合を行うことで、比較的小粒径のシリコーン粒子を安定して得ることができる。ラテックス状態のシリコーン粒子の体積平均粒径は、0.005μm〜3.0μmの範囲であれば良く、0.01μm〜2.0μmが好ましく、0.050μm〜0.095μmがより好ましい。体積平均粒径が0.005μm未満のものを安定的に得ることは難しく、3.0μmを越えると硬化組成物の透明性が悪くなる場合がある。なお、体積平均粒径の測定は、例えば、ナノトラック粒度分析計UPA150(日機装株式会社製)を用いて行うことができる。
本発明に用いるコア成分の合成の際に、必要によっては、グラフト交叉剤と言われるものを添加することもできる。
本発明に用いることができるグラフト交叉剤は、例えば、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルエチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3−(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、テトラビニルテトラメチルシクロシロキサン、アリルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等があげられる。
<(A−2)アルコキシシラン縮合物>
本発明に用いるアルコキシシラン縮合物は、以下の一般式(4)で表される2官能性アルコキシシラン化合物、一般式(5)で表される3官能性アルコキシシラン化合物、一般式(6)で表される4官能性アルコキシシラン化合物、およびそれらの部分縮合物(アルコキシ基を縮合させた部分縮合物)等を用いて得ることができる。これらは単独でも2種類以上でも用いることができる。
(a)成分:一般式(4)
Figure 2009173694
(一般式(4)において、R42、R43は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R44、R45は同一または異なる一価の有機基を示す。)
Figure 2009173694
(b)成分:一般式(5)
(一般式(5)において、R52、R53、R54は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R55は一価の有機基を示す。)
(c)成分:一般式(6)
Figure 2009173694
(一般式(6)において、R62、R63、R64およびR65は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)
本発明におけるシェル成分であるアルコキシシラン縮合物は、一般式(4)で表される2官能性アルコキシシラン化合物、一般式(5)で表される3官能性アルコキシシラン化合物、一般式(6)で表される4官能性アルコキシシラン化合物、およびそれらの部分縮合物を用いたものとを混合した物を用いて加水分解・縮合して得られるシェルが好ましい。
そのなかでも、一般式(4)で表現できる2官能性のアルコキシシラン化合物およびその部分縮合物を、(A−2)成分の50%以上(重量基準)を使用したものが、シリコーン系組成物全体の応力緩和の能力を向上できる点、(B)および(C)成分からなるマトリクスとの相溶性に優れる点から特に好ましい。
また上記の特徴を妨げない範囲で一般式(11)で表される1官能性アルコキシシラン化合物を用いることができる。これらは1種類でも2種類以上でも用いることができる。
Figure 2009173694
一般式(11)において、R112はアルキル基を示し、R113、R114、R115は同一または異なる一価の有機基を示す。
上記一般式(4)、(5)、(6)および(11)において挙げられるアルコキシ基としては、たとえばメトキシ、エトキシ、ノルマルプロポキシ、イソプロポキシ、ノルマルブトキシ、イソブトキシ、第2級ブトキシ、第3級ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等の、炭素数1〜6のアルコキシ基である。またアルコキシ基以外の一価の有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アリル基、アラルキル基等があげられる。
本発明に用いるアルコキシシラン化合物の具体的な化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどの縮合反応に関与できる官能基を3個含むいわゆる3官能性架橋剤、テトラエトキシシラン、1,3ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−3−〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−4−〔2−ジメトキシメチルシリル〕エチル〕ベンゼンなどの縮合反応に関与できる官能基を4個含むいわゆる4官能性架橋剤、さらにはこれら架橋剤のアルコキシ基を縮合させた部分縮合物等の架橋剤を挙げることができる。p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルエチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3−(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、テトラビニルテトラメチルシクロシロキサン、アリルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のグラフト交叉剤、あるいはそのアルコキシ基を縮合させた部分縮合物が挙げられる。
アルコキシシラン化合物を用いてシェル成分を得る重合方法は、乳化重合を用いることができる。乳化重合の条件は一般的な条件が適用できるが、特に重合温度に注意を払うことが好ましい。重合の際の温度は、20〜85℃を適用することが好ましい。また、重合時間は1〜50時間が適用できる。
またシェル成分は、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合方法により製造することができるが、酸性条件下で反応させる方が、アルカリ条件下で反応させるよりも、アルコキシシランの縮合反応の際にゲル化を抑制しやすい等の理由により有利である。
乳化重合によって得られたシリコーン系重合体粒子であるシリコーン系重合体粒子のラテックスから粒子を分離する方法としては、特に限定は無いが、たとえばラテックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの金属塩を添加することによりラテックスを凝固、分離、水洗、脱水し、乾燥する方法などがあげられる。また、スプレー乾燥法も使用できる。
コアシェル構造を持つシリコーン系重合体粒子は、コア成分にシェル成分が被覆したものであれば良く、組成等に特に限定はないが、コア成分8〜97重量%の存在下に、シェル成分3〜92重量%を縮合反応させた重合体であることが好ましい(ただし、コア成分とシェル成分を合わせて100重量%)。さらには、コア成分10〜95重量%の存在下に、シェル成分5〜90重量%を縮合反応させることが好ましい。コア成分が8重量%以下では、シリコーン系重合体粒子の屈折率が、マトリクスの屈折率と大きく相違して組成物の透明性が損なわれることがあり、またシェル成分が3重量%以下ではマトリクスとの相溶性が不十分になることがある。
さらに本発明においては、シリコーン系重合体粒子を水系ラテックスから取り出して、有機溶剤中に一次粒径のまま再分散させることが可能であることから、緩凝集・再分散法を用いるのが好ましい。
ここでいう緩凝集・再分散法とは、以下のような方法である。まず粒子を含む水系ラテックス溶液に、水に部分可溶な有機溶剤、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール等)やケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)などを加えることで、ラテックス中の粒子の乳化状態を解き、粒子どうしを緩凝集させる。さらに遠心沈降や濾過などの方法で緩凝集体を回収し、この緩凝集体が分散可能な有機溶剤に再分散させる方法である。
この方法によって得られる、有機溶剤中にシリコーン系重合体粒子が、均一に分散した溶液を使用すれば、後述の表面にオルガノポリシロキサンが変性したシリコーン系重合体粒子を合成する際に、シリコーン系重合体粒子と(B)成分を均一に反応させる事ができて、粒子がマトリクス樹脂中に均一に分散した硬化組成物を得ることができるので好ましい。
<アルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子>
以下、表面にアルケニル基を含有するシリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子(以下、アルケニル基含有シリコーン系重合体粒子)について、詳しく説明する。
シリコーン系重合体粒子の表面に導入するアルケニル基の量は、0.01〜10モル/kg、特に0.05〜9モル/kgであることが好ましい。0.01モル/kg以下では、後述の表面にオルガノポリシロキサンが変性したシリコーン系重合体粒子(以下、粒子−オルガノポリシロキサン変性体と記す)を合成する際に、(B)成分と十分に反応することができないため、組成物中にシリコーン系重合体粒子が均一に分散する事ができずに透明性が低下することがある。逆に10モル/kg以上では官能基密度が高すぎて、後述の粒子−オルガノポリシロキサン変性体を合成する際にゲル状の組成物になってしまい、配合が困難になることがある。
このアルケニル基をシリコーン系重合体粒子の表面に導入する際の表面処理剤としては、アルケニル基を有するシリル化剤を用いることができる。具体的にはアルケニルシラン、例えばクロロジメチルビニルシラン、ジクロロメチルビニルシラン、ジクロロジビニルシラン、トリクロロビニルシラン、テトラメチルジビニルジシロキサンが挙げられる。上記アルケニル基を有するシリル化剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また表面処理を行わないと、シリコーン系重合体粒子の表面にはアルコキシ基由来のシラノール基が多数残存しているため、組成物中に配合した際に(B)成分の発泡の原因となったり、マトリクス樹脂である(B)成分と(C)成分とのヒドロシリル化反応による架橋反応を阻害したりする原因となる場合がある。
このような問題を解決するための表面処理剤としては、前記のアルケニル基を有するシリル化剤、およびこれと併用する形で、その他の表面処理剤を使用してもよい。その他の表面処理剤としては、アルケニル基を持たないシリル化剤を用いることができる。具体的にはアルキルシラン、例えば、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチル(ジ)シラザン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシランが挙げられる。上記シリル化剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
シリル化剤の総添加量は、シリコーン系重合体粒子100重量部に対して、2〜1000重量部であることが好ましく、10〜400重量部であることがより好ましい。シリル化剤の添加量が2重量部より少ないと、シリコーン系重合体粒子表面のシラノール基を十分減少させることができず、シリコーン系重合体粒子とマトリクスとの親和性を十分に確保することができないおそれがある。またシリル化剤の添加量が1000重量部より多いとシリコーン系重合体粒子表面のシラノール基と反応できなかったシリル化剤が不純物として組成物中に混入するおそれがある。
<表面にオルガノポリシロキサンが変性したシリコーン系重合体粒子>
以下、表面にオルガノポリシロキサンが変性したシリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子(以下、粒子−オルガノポリシロキサン変性体と記す)について、詳しく説明する。
本発明において粒子−オルガノポリシロキサン変性体を合成することは、シリコーン系重合体である粒子を、(B)成分および/または(C)成分からなるシリコーン樹脂マトリクスに均一に分散させるための手段であり、このマトリクスが硬質シリコーン樹脂である場合において、マトリクスが元々有している高い透明性や硬度を維持しながら耐熱衝撃性を向上させることができる。
また、粒子−オルガノポリシロキサン変性体の合成方法は、具体的に例えばアルケニル基含有シリコーン系重合体粒子および(B)成分を、両成分が可溶な溶剤に溶解させた後、アルケニル基含有シリコーン系重合体粒子のアルケニル基の一部と(B)成分のヒドロシリル基の一部を、後述のヒドロシリル化触媒の存在下で反応させ、溶媒を留去することにより得られる。両成分が可溶な溶剤の具体例としては、トルエン、ヘキサン、キシレンなどが挙げられる。
粒子−オルガノポリシロキサン変性体の合成に用いるアルケニル基含有シリコーン系重合体粒子と(B)成分の使用量としては、10重量部:90重量部〜90重量部:10重量部が好ましく、20重量部:80重量部〜80重量部:20重量部がさらに好ましい。粒子−オルガノポリシロキサン変性体の合成に用いる(D)成分の使用量は、アルケニル基含有シリコーン系重合体粒子に対し、白金原子として1.0−10〜1.0モル%の範囲とすることが好ましい。
アルケニル基含有シリコーン系重合体粒子のアルケニル基の一部と(B)成分のヒドロシリル基の一部を反応させる温度としては、(D)成分の存在下、温度10〜180℃、さらに好ましくは、20℃〜150℃とすることが好ましい。温度が低すぎると、反応が進行せず、温度が高くなりすぎると必要以上の反応が進行して、得られた粒子−オルガノポリシロキサン変性体がゲル化して、室温で液状のものが得られなくなりハンドリングが困難となる。
また粒子−オルガノポリシロキサン変性体は、取り扱いが容易であることから、ヒドロシリル化反応後に溶媒を留去した後、室温において液状であることが好ましく、その室温における粘度が1,000Pa・s以下であることが好ましい。
本発明の粒子−オルガノポリシロキサン変性体の保存安定性を改良する目的、あるいは反応過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもかまわない。
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示されうる。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示されうる。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示されうる。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示されうる。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。
前記の窒素含有化合物としては、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン、2,2’−ビピリジン等が例示されうる。
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、マレイン酸ジメチル、3、5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、N、N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンが好ましい。
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10−1〜10モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜500モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
[(B)ヒドロシリル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン]
本発明における(B)成分は、後述の(C)成分とヒドロシリル化反応により硬化し、シリコーン樹脂マトリクスを形成するものである。このため、1分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであれば、特に限定は無く、広く公知のものを使用することができる。またその構造も直鎖状、分岐鎖状、環状および三次元架橋構造を有するもののいずれであってもよい。
直鎖状の(B)成分の例としては、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体などが例示されうる。
また環状の(B)成分の例としては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが例示されうる。
また三次元架橋構造を有する(B)成分の例としては、特に限定はしないが、一般式(3)
SiO4/2(3)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(7)、(8)
HRb SiO1/2(7)
SiO1/2(8)
(式中、Rbは水素原子基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その構造の末端が一般式(7)で少なくとも1つ封鎖された重合体が、(C)成分との相溶性が良好で、硬度が高い硬化物を得られることから好ましいものとして例示される。
上記一般式(8)の水素原子基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基である。中でも、耐熱性や耐光性の観点からはメチル基が好ましい。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの添加量は、アルケニル基含有シリコーン系重合体粒子のアルケニル基に対して(B)成分のヒドロシリル基が50〜500モル%、好ましくは100〜200モル%となる割合であることが望ましい。
更に上記(B)成分は、取り扱いが容易であることから、室温において液状であることが好ましく、その室温における粘度が1,000Pa・s以下であることが好ましい。このような(B)成分を使用すると、これをアルケニル基含有シリコーン系重合体粒子と反応させて得られる、粒子−オルガノポリシロキサン変性体を取り扱いが容易な液状にすることができる。
[(C)分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するポリシロキサン]
本発明における(C)成分は、(B)成分である一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと共に硬質シリコーン樹脂マトリクスを形成するものであり、ヒドロシリル化反応により硬化する。硬化後は硬度が高く、透明性に優れたものが好ましい。
また(C)成分は、一般式(3)
SiO4/2(3)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(9)、(10)
CHCHR SiO1/2(9)
SiO1/2(10)
(式中、Rはアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その構造の末端が一般式(9)で少なくとも1つ封鎖された重合体であることが好ましい。主構造に一般式(3)で表される4官能性の構造単位を用いると、高い架橋密度の主骨格が得られるため、熱硬化後の組成物の強度および硬度を高くすることができて有利である。その主構造の末端を一般式(9)、(10)で表される1官能性の構造単位で封鎖すると、ヒドロシリル化反応による組成物の架橋点となるアルケニル基を簡便な方法で導入する事ができて有利であり、またRのアルケニル基と、アルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基の比率を調節することで、(B)成分中のアルケニル基の量を調節する事ができるため、任意の架橋密度が簡便な方法で得られるので優れている。
前記アルケニル基は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等であり、入手性、また、耐熱性・耐光性の観点からビニル基が好ましい。
またアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基である。中でも、耐熱性や耐光性の観点からメチル基が好ましい。
この(C)成分は、一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有していれば良いが、(C)成分中のアルケニル基の含有量は0.1〜10モル/kg、特に0.5〜9モル/kgであることが好ましい。0.1モル/kg以下では硬化組成物が十分な硬度が得られず、10モル/kg以上では架橋密度が高すぎて耐熱衝撃性が低下する。
更に上記(C)成分は、取り扱いが容易であることから、室温において液状であることが好ましく、その室温における粘度が1,000Pa・s以下であることが好ましい。
また本発明に用いる(C)成分の他に、硬化物の硬度を低下させない範囲で、アルケニル基を有する直鎖状、分岐鎖状、環状のポリシロキサンを添加することもできる。
[(D)ヒドロシリル化触媒]
本発明におけるヒドロシリル化触媒としては、例えば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒を添加することができる。前記白金系触媒としては公知のものが使用でき、具体的には白金元素単体、白金化合物、白金複合体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類とのコンプレックスなどが例示される。白金系触媒の添加量は、(C)成分に対し、白金原子として1.0−10〜1.0モル%の範囲とすることが望ましい。
[(E)接着性付与剤]
本発明における(E)成分である接着性付与剤は、シリコーン系組成物から得られる硬化物に接着性を付与する成分である。
本発明における(E)成分としては、シランカップリング剤、ほう素系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等を好適に使用することが可能である。
前記、シランカップリング剤の例としては、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基と、ケイ素原子結合アルコキシ基を有するシランカップリング剤が好ましい。前記官能基については、中でも、硬化性及び接着性の点から、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。具体的に例示すると、エポキシ官能基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられる。また、メタクリル基あるいはアクリル基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシランが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
前記、ほう素系カップリング剤の例としては、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイドが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
前記、チタン系カップリング剤の例としては、テトラ(n−ブトキシ)チタン,テトラ(i−プロポキシ)チタン,テトラ(ステアロキシ)チタン、ジ−i−プロポキシ−ビス(アセチルアセトネート)チタン,i−プロポキシ(2−エチルヘキサンジオラート)チタン,ジ−i−プロポキシ−ジエチルアセトアセテートチタン,ヒドロキシ−ビス(ラクテト)チタン、i−プロピルトリイソステアロイルチタネート,i−プロピル−トリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート,テトラ−i−プロピル)−ビス(ジオクチルホスファイト)チタネート,テトラオクチル−ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート,i−プロピルトリオクタノイルチタネート,i−プロピルジメタクリル−i−ステアロイルチタネートが例示されるが、これらに限定されるわけではない。
また、アルミニウム系カップリング剤としては、アルミニウムブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウムエチルアセトアセトナート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが例示されるが、これらに限定されるわけではない。
本発明における(E)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。添加量は、シリコーン系重合体粒子および(C)成分の総量の0.05〜30重量%であることが好ましい。また、接着性付与剤の種類あるいは添加量によっては、ヒドロシリル化反応を阻害するものがあるため、ヒドロシリル化反応に対する影響を考慮しなければならない。
<組成物>
粒子−オルガノポリシロキサン変性体に含まれるシリコーン系重合体粒子の使用量については、シリコーン系組成物中、シリコーン系重合体粒子が80〜0.5重量%、さらには、50〜1重量%の割合であることが好ましい。シリコーン系重合体粒子の割合が80重量%より大きいと、配合時に増粘したり組成物の透明性が低下したりする場合がある。また0.5重量部より小さいと耐熱衝撃性が不十分になる場合がある。
本発明のシリコーン系組成物の特性を改質する目的で、各種樹脂を添加してもよい。当該樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明のシリコーン系組成物には、必要に応じて各種フィラーを添加してもよい。フィラーを添加すると、材料の高強度化や難燃性向上などに効果がある。フィラーとしては、微粒子状のものが好ましく、アルミナ、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ、疎水性超微粉シリカなどの各種シリカ、タルク、硫酸バリウム等を挙げることができる。その他、粉砕石英、炭酸カルシウム、カーボンブラック、二酸化チタン、炭酸マンガン、Fe、フェライト、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレークなどのフィラーも使用することができる。
フィラーを添加する方法としては、例えば、アルコキシシラン、アシロキシシラン、ハロゲン化シラン等の加水分解性シランモノマー又はオリゴマーや、チタン、アルミニウム等の金属のアルコキシド、アシロキシド又はハロゲン化物等を、本発明のシリコーン系組成物に添加して、組成物中あるいは組成物の部分反応物中で反応させ、組成物中で無機フィラーを生成させる方法等も挙げることができる。
本発明のシリコーン系組成物には、必要に応じて各種蛍光体を添加してもよい。蛍光物質を含有させることで、発光素子から放出される光を吸収し、波長変換を行い、発光素子の光と異なる波長の光を放出することができる。これにより、発光素子から放出される光の一部と、蛍光体から放出される光の一部とが混合して、白色を含む多色系のLEDを作製することが可能である。具体的には、青色系LEDにLEDからの光によって黄色系の発光色を発光する蛍光物質を光学的に結合させることによって単一のLEDチップを用いて白色系を発光させることができる。
上述のような蛍光体には、緑色に発光する蛍光体、青色に発光する蛍光体、黄色に発光する蛍光体、赤色に発光する蛍光体等の種々の蛍光体がある。
緑色に発光する蛍光体として、例えば、SrAl2O4:Eu、Y2SiO5:Ce,Tb、MgAl11O19:Ce,Tb、Sr7Al12O25:Eu、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)Ga2S4:Euなどがある。
青色に発光する蛍光体として、例えば、Sr5(PO4)3Cl:Eu、(SrCaBa)5(PO4)3Cl:Eu、(BaCa)5(PO4)3Cl:Eu、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)2B5O9Cl:Eu,Mn、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)(PO4)6Cl2:Eu,Mnなどがある。
緑色から黄色に発光する蛍光体として、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦括されたイットリウム・ガドリニウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット酸化物蛍光体、及び、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・ガリウム・アルミニウム酸化物蛍光体などがある(いわゆるYAG系蛍光体)。具体的には、Ln3M5O12:R(Lnは、Y、Gd、Laから選ばれる少なくとも1以上である。Mは、Al、Caの少なくともいずれか一方を含む。Rは、ランタノイド系である。)、(Y1−xGax)3(Al1−yGay)5O12:R(Rは、Ce、Tb、Pr、Sm、Eu、Dy、Hoから選ばれる少なくとも1以上である。0<R<0.5である。)を使用することができる。
赤色に発光する蛍光体として、例えば、Y2O2S:Eu、La2O2S:Eu、Y2O3:Eu、Gd2O2S:Euなどがある。
但し、緑色、青色、黄色、赤色等に発光する蛍光体は、上記の蛍光体に限定されず、種々の蛍光体を使用することができる。
本発明のシリコーン系組成物には、必要に応じて各種拡散剤を添加してもよい。拡散材を含有させることによってLEDチップから光の指向性を緩和させ視野角を増やすこともできる。拡散剤としては、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素等が好適に用いられる。
本発明のシリコーン系組成物には、必要に応じて各種着色材を添加してもよい。着色材を含有させることによって、不要な波長をカットし所望の発光波長を有するLEDとすることもできる。したがって、LEDの発光色(発光光の主ピークである主発光波長)に応じて染料及び/又は顔料が種々選択される。
本発明のシリコーン系組成物には、必要に応じて各種光安定化材を添加してもよい。光安定化材を含有させることによって、外来光からの光やLEDチップから照射される光に紫外域光を含む場合に、モールド部材に用いられる樹脂劣化などを防止し長期間に渡って安定した発光特性を得ることができる。光安定化材としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定化剤などが好適に用いられる。
本発明で得られるシリコーン系組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系等一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。
ヒンダートフェノール系老化防止剤としては、チバスペシャリティーケミカルズ社から入手できるイルガノックス1010をはじめとして、各種のものが用いられる。
硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のシリコーン系組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のシリコーン系組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のシリコーン系組成物には、その他、難燃剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、オゾン劣化防止剤、増粘剤、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、加工安定剤、反応性希釈剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤等を、本発明の目的及び効果を損なわない範囲において添加することができる。
本発明においては、シリコーン系組成物の保存安定性を改良する目的、あるいは反応過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、窒素含有化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもかまわない。
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示されうる。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示されうる。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示されうる。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示されうる。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。
前記の窒素含有化合物としては、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン、2,2’−ビピリジン等が例示されうる。
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、マレイン酸ジメチル、3、5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、N、N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンが好ましい。
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、(D)成分であるヒドロシリル化触媒1モルに対して10−1〜10モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜500モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
本発明のシリコーン系組成物は、所望に応じて、上記各成分を種々の割合で分散、混合等することにより得られる。
また、本発明のポリシロキサン系組成物を硬化させる方法としては、特に限定されないが、各成分を単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られ易いという観点から、加熱して反応させる方法が好ましい。
反応温度としては種々設定できるが、下限25℃、上限300℃の温度範囲が好ましく、下限50℃、上限280℃がより好ましく、下限60℃、上限260℃がさらに好ましい。反応温度が25℃より低いと十分に反応させるための反応時間が長くなる傾向があり、反応温度が300℃より高いと製品の熱劣化が生じ易くなる傾向がある。
反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより、多段階的あるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が、歪のない均一な硬化物が得られ易いという点で好ましい。
反応時の圧力も必要に応じて種々設定でき、常圧、高圧又は減圧状態で反応させることもできる。
本発明のシリコーン系組成物は、成形体として使用することができる。成型方法としては、既存の液状樹脂に用いられる方法であれば特に限定されない。例えば、押出成型、圧縮成型、ブロー成型、真空成型、射出成型、液状射出成型、注型成型などがある。
本発明のポリシロキサン系組成物を硬化してなる硬化物を光学用途に適用する場合には、透明性を有することが好ましい。より具体的には、透明性について、可視光域で十分に光を通すという意味では、2mm厚硬化物の400nmにおける透過率が45%以上であること好ましい。当該透過率が45%を超えないと十分な視野が確保できない。さらに、色目が変わるという意味では、50%以上あることが好ましく、60%以上あることがさらに好ましい。また、光や熱に対する環境試験後の変色、着色の度合いが低い場合、試験前後での透過率の変化が小さく、長期間の使用に耐えうることを示す。具体的には、後述の耐光性試験後、2mm厚みの硬化物の400nmにおける透過率が45%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。
硬化物の接着力は、長期間使用していくことにより、光や熱がかかり、樹脂自体が劣化して低下していく傾向にある。本発明の硬化物は、メタルハライドランプによる1平方メートルあたり50MJ照射後(耐光性試験)における硬化物(厚みが10〜40μm)の接着力が、上記照射前における硬化物の接着力(初期状態の接着力)に比べて70%以上であることが好ましく、80%以上あることがより好ましい。このような接着力を示すことは、紫外線を長時間当てても接着力が低下しないことを明示し、長期間にわたって良好な接着性を維持することを実現できるような、優れた接着性を有することが示される。本発明における接着力の評価は、耐久性の指標として、初期状態と一定の条件下で保存したものの接着力の差を提示する方法(米国 MIL STD−883)を参考にしておこなっている。ここでの接着力としては、具体的に、例えば、ダイシェア接着強度を用いる。
本発明で言うコーティング材とは、各種基材の上に付着させ、各種機能発現を目的に用いる材料一般を示す。例えば、各種塗料や、保護膜、平坦化膜、封止剤、モールド剤等が挙げられる。
また、本発明で言う光学用材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザー等の光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。
例えば、カラーフィルター保護膜、TFT平坦化膜、基板材料のような液晶表示装置に用いられる材料や、封止剤、ダイボンド剤等のLED(LED)に用いられる材料が挙げられる。さらに、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、偏光子保護フィルム、カラーフィルター等やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
また、LED表示装置に使用されるLED素子のモールド剤、LEDの封止剤、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
また、カラーPDP(プラズマディスプレイ)の反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料等やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、プラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、偏光子保護フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料やそれらに用いられる各種コーティング剤接着剤等も挙げられる。また、フィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
その他、光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、受光センサー部、保護フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、プロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。光センシング機器のレンズ用材料、各種フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルールやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
その他光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイド等、工業用途のセンサー類、表示・標識類等、また通信インフラ用及び家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーやそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料も挙げられる。
自動車・輸送機分野では、自動車用ヘッドランプ・テールランプ・室内ランプ等のランプ材料、ランプリフレクタ、ランプレンズ、外装板・インテリアパネル等の各種内外装品、ガラス代替品やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、鉄道車輌用の外装部品、ガラス代替品やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。また、航空機の外装部品、ガラス代替品やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
建築分野では、ガラス中間膜、ガラス代替品等も挙げられる。
農業用では、ハウス被覆用フィルムも挙げられる。
次世代の光・電子機能有機材料としては、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤やそれらに用いられる各種コーティング剤、接着剤等も挙げられる。
次に本発明の組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<試験方法>
(硬化物性状)
厚さ2mmの試験片を目視により性状を評価した。
(タイプDデュロメーター硬度)
JIS K7215に記載の方法に準じて、(株)上島製作所製デュロメーター HD−1120を用いて測定した。測定5回の測定値の平均値を採用した。試験片は試験前に温度23±2℃、相対湿度50±5%で24時間以上、状態調節したものを用いた。
(透明性)
厚さ2mmの試験片を目視により性状を評価した。
(冷熱試験)
株式会社エノモト製LEDパッケージ(品名:TOP LED 1−IN−1)に、0.4mm×0.4mm×0.2mmの単結晶シリコンチップ1個を、株式会社ヘンケルジャパン製エポキシ系接着剤(品名:LOCTITE348)で貼り付け、150℃で30分オーブンに入れた。このLEDパッケージに組成物を注入し、所定時間熱硬化させて試料を作成した。試料を260℃のはんだ浴(株式会社石崎電気製、品名:SOLDERING BATH HP−410)に10秒間漬け、すぐに20℃の冷却水に10秒間漬けた(以下、はんだ試験)。このはんだ試験を5回行った後、試料を観察した。試験後、変化が無ければ○、クラックが入ったり、パッケージとの間に剥離が起きたりした場合は×とした。
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、チッ素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに純水400重量部および10重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液12重量部(固形分)を混合したのち窒素雰囲気下で50℃に昇温した。その後アクリル酸ブチル(BA)10重量部、t−ドデシルメルカプタン3重量部、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.01重量部(固形分)を加えた。30分後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.18部、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA)0.019重量部、硫酸第一鉄0.019重量部を添加し、1時間攪拌した。BA90重量部、t−ドデシルメルカプタン27重量部、および、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.18重量部(固形分)の混合液を3時間かけて連続追加した。さらに1時間の後重合を行い、シードポリマー(体積平均粒径0.008μm)を含むラテックスを得た。
次に、撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、上述のシードポリマーを2.0重量部(固形分)、10重量%ドデシルベンゼンスルホン酸1.5重量部(固形分)および純水300重量部(シードポリマーを含むラテックスからの持ち込み分を含む)を仕込んだ後、15分間攪拌してから、窒素雰囲気下で系を80℃に昇温させた。これとは別に純水150重量部、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.5重量部(固形分)、オクタメチルシクロテトラシロキサン97重量部、テトラメトキシシラン3重量部からなる混合物をホモミキサーにて、8000rpmで5分間強制乳化した後に、この混合液を5時間かけて連続追加した。さらに2時間の後重合を行い、25℃に冷却して20時間放置して重合を終了し、シリコーンコア粒子(体積平均粒径0.085μm)を含むラテックスを得た。
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、上述のシリコーンコア粒子90重量部(固形分)を仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温させた。これとは別に、純水50重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを15重量%水溶液で0.1重量部(固形分)、ジメトキシジメチルシラン8.1重量部((CHSiO2/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して5.0重量部に相当)、テトラエトキシシラン17.3重量部(SiO4/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して5.0重量部に相当)からなる混合物をホモミキサーにて8000rpmで5分間強制乳化した後に、60分間かけて滴下して加えた。この溶液を40℃に保ったまま6時間攪拌することで、シリコーン系重合体粒子(体積平均粒径0.087μm)を含むラテックスを得た。
(合成例2)
合成例1で得られたシリコーン系重合体粒子を含むラテックス(樹脂固形分濃度22重量%)の樹脂固形分25.0重量部に対してメチルエチルケトン200重量部を加えて粒子を凝集させた後、遠心分離機で6000rpm、5分間遠心沈降させた。得られた沈殿をメチルエチルケトン/メタノール=1/1 (vol/vol)の混合溶媒に分散させて洗浄した後、遠心分離機で6000rpm、5分間遠心沈降させた。この洗浄を合計3回行った後、得られた沈殿25.0重量部にトルエン475重量部を加えて、シリコーン系重合体粒子のトルエン溶液を得た。
さらに試薬追加用ラバーセプタム、窒素吹込口、窒素吹出口、温度計、マグネティックスターラー用撹拌子を備えた四つ口フラスコに、上記のシリコーン系重合体粒子のトルエン溶液500重量部(うち樹脂固形分25.0重量部)を仕込んで、室温で撹拌しながらビニルジメチルクロロシラン1.0重量部、トリメチルクロロシラン49.0重量部を滴下した。この溶液を室温で3時間撹拌した。さらに得られた溶液を分液漏斗に移して純水500重量部を加えて撹拌した後に水層を捨てるという洗浄操作を、トルエン層が中性になるまで繰り返した。こうして粒子表面のシラノール基が表面処理されてビニル基およびメチル基になったシリコーン系重合体粒子である表面にアルケニル基を含有するシリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子(体積平均粒径0.082μm)のトルエン溶液を得た。
(合成例3)
合成例2で得られたシリコーン系重合体粒子である表面にアルケニル基を含有するシリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子のトルエン溶液の樹脂固形分25.0重量部に対して、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQH−5(ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)を65.8重量部と、同じくクラリアント社製MQH−8、ヒドロシリル基含有量7.6モル/kg)を6.71重量部とを加えて溶解させ、これに、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)を0.0005重量部を加えた。このようにして得られた溶液を60℃で3時間加温したのち、室温まで冷却し、N、N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを0.0015重量部と1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.015重量部を加えて撹拌した。
このようにして得られた反応溶液について、ロータリーエバポレータ−でトルエンを留去した。すると室温で液状の粒子−オルガノポリシロキサン変性体を得た。
(合成例4)
攪拌機、還流冷却機、チッ素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに純水400重量部および10重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液12重量部(固形分)を混合したのち窒素雰囲気下で50℃に昇温した。その後アクリル酸ブチル(BA)10重量部、t−ドデシルメルカプタン3重量部、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.01重量部(固形分)を加えた。30分後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.18部、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA)0.019重量部、硫酸第一鉄0.019重量部を添加し、1時間攪拌した。BA90重量部、t−ドデシルメルカプタン27重量部、および、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.18重量部(固形分)の混合液を3時間かけて連続追加した。さらに1時間の後重合を行い、シードポリマー(体積平均粒径0.008μm)を含むラテックスを得た。
次に、撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、上述のシードポリマーを2.0重量部(固形分)、10重量%ドデシルベンゼンスルホン酸1.5重量部(固形分)および純水300重量部(シードポリマーを含むラテックスからの持ち込み分を含む)を仕込んだ後、15分間攪拌してから、窒素雰囲気下で系を80℃に昇温させた。これとは別に純水150重量部、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.5重量部(固形分)、オクタメチルシクロテトラシロキサン100重量部からなる混合物をホモミキサーにて、8000rpmで5分間強制乳化した後に、この混合液を5時間かけて連続追加した。さらに2時間の後重合を行い、25℃に冷却して20時間放置して重合を終了し、シリコーンコア粒子(体積平均粒径0.082μm)を含むラテックスを得た。
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、上述のシリコーンコア粒子90重量部(固形分)を仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温させた。これとは別に、純水50重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを15重量%水溶液で0.1重量部(固形分)、ジメトキシジメチルシラン8.1重量部((CHSiO2/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して5.0重量部に相当)、テトラエトキシシラン17.3重量部(SiO4/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して5.0重量部に相当)からなる混合物をホモミキサーにて8000rpmで5分間強制乳化した後に、60分間かけて滴下して加えた。この溶液を40℃に保ったまま6時間攪拌することで、シリコーン系重合体粒子(体積平均粒径0.086μm)を含むラテックスを得た。
(合成例5)
合成例4で得られたシリコーン系重合体粒子以外は、合成例2、合成例3と同じ方法で粒子−オルガノポリシロキサン変性体を作製した。
(実施例1)
合成例3で得られた粒子−オルガノポリシロキサン変性体の97.5重量部に対して、(C)成分である三次元構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQV−7(ビニル基含有量3.5モル/kg)を28.0重量部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである東レダウコーニング製SH6040を5.0重量部と、さらに、ほう酸トリメチルを1.0重量部加えた後、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い液状混合物を得た。
この液状混合物を型枠およびLEDパッケージに流し込み、60℃で3時間、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で5時間加熱して硬化させることで、評価用硬化物を得た。各種評価結果を表1に示す。
(比較例1)
合成例5で得られた粒子−オルガノポリシロキサン変性体以外は、実施例1と同じ。
(比較例2)
(C)成分である三次元構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQV−7、ビニル基含有量3.5モル/kg)を28.0重量部と、(B)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンとしてクラリアント社製MQH−5(ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)を65.8重量部と、同じくクラリアント社製MQH−8、ヒドロシリル基含有量7.6モル/kg)を6.71重量部とを加えて、マレイン酸ジメチルを0.03重量部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである東レダウコーニング製SH6040を5重量部と、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)を0.03重量部と、さらに、ほう酸トリメチルを1重量部加えた後、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い液状混合物を得た。
この液状混合物を型枠およびLEDパッケージに流し込み、60℃で3時間、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で5時間加熱して硬化させることで、評価用硬化物を得た。各種評価結果を表1に示す。
Figure 2009173694
表1に示されるように実施例1の硬化物は、比較例1のマトリクス樹脂単独硬化物と比較したときに、高い透明性や硬度はほとんど低下させずに耐冷熱衝撃性を改善することが確認できた。

Claims (14)

  1. シリコーンコア粒子(A−1)に、アルコキシシラン縮合物(A−2)が被覆した、シリコーン粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系重合体粒子であって、
    シリコーンコア粒子(A−1)が、一般式(1)〜(3)
    SiO2/2(1)
    SiO3/2(2)
    SiO4/2(3)
    (式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)からなる群から選ばれる構造単位からなり、上記一般式(1)の構造単位がコア成分全体の70モル%以上を占めており、かつ、一般式(2)および/または一般式(3)で架橋することを特長としたシリコーン系重合体粒子。
  2. 表面にアルケニル基を含有することを特徴とする、請求項1に記載のシリコーン系重合体粒子。
  3. 表面にオルガノポリシロキサンが変性されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシリコーン系重合体粒子。
  4. シリコーン系重合体粒子に、アルケニル基含有化合物を反応させて得られることを特徴とする、請求項2に記載の表面にアルケニル基を含有するシリコーン系重合体粒子。
  5. アルケニル基含有シリコーン系重合体粒子と、ヒドロシリル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンを、ヒドロシリル化反応させて得られる、請求項3に記載の表面にオルガノポリシロキサンが変性されたシリコーン系重合体粒子。
  6. (A−1)成分が、体積平均粒径が0.005〜3.0μmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリコーン系重合体粒子。
  7. (A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物が、下記(a)成分および/または下記(b)成分および/または下記(c)成分からなり、なおかつ(A−2)成分全体に占める(a)成分の重量が50重量%以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリコーン系重合体粒子。
    (a)成分:一般式(4)
    Figure 2009173694
    (式中、R42、R43は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R44、R45は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
    (b)成分:一般式(5)
    Figure 2009173694
    (式中、R52、R53、R54は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R55は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
    (c)成分:一般式(6)
    Figure 2009173694
    (式中、R62、R63、R64およびR65は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
  8. (A−1)成分であるシリコーン粒子8〜97重量%に対して、(A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物が3〜92重量%被覆した重合体(ただし、(A−1)成分と(A−2)成分を合わせて100重量%)であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシリコーン系重合体粒子。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のシリコーン系重合体粒子、
    (B)ヒドロシリル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
    (C)アルケニル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン
    (D)ヒドロシリル化触媒
    を含有することを特徴とするシリコーン系組成物。
  10. 請求項5に記載のシリコーン系重合体粒子、
    (C)アルケニル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン
    (D)ヒドロシリル化触媒
    を含有することを特徴とするシリコーン系組成物。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のシリコーン系重合体粒子を、マスターバッチ法により組成物中に均一に分散させたことを特徴とする、請求項9または10に記載のシリコーン系組成物。
  12. (B)成分が、一般式(3)
    SiO4/2(3)
    で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(7)、(8)
    HRb SiO1/2(7)
    SiO1/2(8)
    (式中、Rbは水素原子基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
    で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その構造の末端が一般式(7)で少なくとも1つ封鎖された重合体であることを特徴とする請求項9に記載のシリコーン系組成物。
  13. (C)成分が、一般式(3)
    で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その構造の末端を、一般式(9)、(10)
    CHCHR SiO1/2(9)
    SiO1/2(10)
    (式中、Rはアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
    で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その構造の末端が一般式(9)で少なくとも1つ封鎖された重合体であることを特徴とする請求項9または10に記載のシリコーン系組成物。
  14. (E)接着性付与剤を含有する請求項9または10に記載のシリコーン系組成物。
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