JP7415193B2 - 溶融めっき鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融めっき鋼板に関し、特に、疵を目立ちにくくした溶融めっき鋼板に関する。本願は、2020年3月30日に、日本に出願された特願2020-061206号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
耐食性の良好な鋼板として使用されるものに溶融めっき鋼板がある。溶融めっき鋼板の代表例である溶融亜鉛めっき鋼板は、自動車、家電、建材分野など種々の製造業において広く使用されている。
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法としては、冷間圧延鋼板や熱間圧延鋼板を母材鋼板とし、連続溶融亜鉛めっきライン(以下、CGLと称する)に通板して製造する方法が一般的である。CGLのプロセスとしては、入り側の洗浄セクションにおいて、母材鋼板をアルカリスプレー脱脂した後にブラシ洗浄し、焼鈍セクションにおいて、還元雰囲気で焼鈍した後に、溶融亜鉛めっき浴に浸漬するという、全還元炉法を用いるのが一般的である。また、焼鈍セクションの前段に無酸化炉を有し、表面洗浄された母材鋼板を、無酸化炉において予備加熱した後に還元炉において還元焼鈍し、その後溶融亜鉛めっき浴に浸漬する、ゼンジミア法を用いる場合もある。
上記のようなプロセスで製造される、溶融亜鉛めっき鋼板の耐食性をさらに向上させることを目的として、溶融亜鉛めっき層にAlやMgを含有させた高耐食性溶融亜鉛めっき鋼板が提案されている。例えば、特許文献1においてはZn-Al-Mg系溶融めっき鋼板が提案されている。さらに、特許文献1では、Zn-Al-Mg系溶融めっき鋼板にCa、Be、Ti、Cu、Ni、Co、Cr、Mnの一種または二種以上を含有させることにより、さらに耐食性に優れた溶融めっき鋼板が得られることが記載されている。
ところで、Zn-Al-Mg系溶融めっき鋼板は、溶融めっき層中に、〔Al相〕、〔Zn相〕、〔MgZn相〕、〔Al/MgZn/Znの三元共晶組織〕、の主に4種類の相及び組織が含まれる。また、Zn、Al、Mgに加えて溶融めっき層にSiが含有される場合は、上記の4種類の相及び組織に加え、〔MgSi相〕を含めた、主に5種類の相及び組織から構成される。このうち、〔Al相〕は、めっき層表面に現れた際に白色を呈し、〔Al/MgZn/Znの三元共晶組織〕は金属光沢を呈する。めっき層表面には、〔Al相〕と〔Al/MgZn/Znの三元共晶組織〕とが混在して存在するため、溶融めっき層の表面は、梨地状の外観を呈する。
溶融めっき層の梨地状の外観は、〔Al相〕のサイズや、〔Al/MgZn/Znの三元共晶組織〕のサイズに影響される。これらの相および組織のサイズが溶融めっき層の表面全体に渡ってほぼ均一に揃っていれば、全体として外観均一性が向上する。最近では、溶融Zn-Al-Mg系溶融めっき鋼板の外観向上のために、様々な技術が提案されている(特許文献2~4)。
しかし、外観が向上したZn-Al-Mg系溶融めっき鋼板は、鋼板の取り扱い時に表面疵が発生すると、疵が目立ちやすくなる問題がある。特に、Zn-Al-Mg系溶融めっき鋼板の梨地状の外観を、製品のデザインの一部として利用する際に、疵の目立ちやすさが問題となっていた。
国際公開第2000/071773号 日本国特開2001-295015号公報 日本国特許第4542434号公報 日本国特許第5482914号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、疵が目立ちにくく、かつ、耐食性に優れた溶融めっき鋼板を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
[1] 鋼板と、前記鋼板の表面に形成された溶融めっき層と、を備え、
前記溶融めっき層は、平均組成で、Al:2~22質量%、Mg:0.1~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物を含み、
前記溶融めっき層の表面から一辺が5mmの正方形の測定領域を5箇所選定し、下記の測定方法によって各測定領域毎の強度比率Aをそれぞれ求めた場合に、5箇所の測定領域の強度比率Aの平均値Aaveに対する各測定領域の強度比率Aの比(A/Aave)のうち1つ以上が、0.50~0.65または1.45~2.00であり、
前記測定方法は、フラットベッド型のスキャナを用いた測定により各測定領域を50ピクセル×50ピクセルのサイズのグレースケールの256階調画像データとして抽出し、前記256階調画像データに対して二次元離散フーリエ変換を行って空間周波数の振幅スペクトル像を得て、得られた前記振幅スペクトル像において、空間周波数1~25の強度和S25と、空間周波数1~5の強度和S5を算出し、強度和S25に対する強度和S5の比率(S5/S25)を強度比率Aとする方法であることを特徴とする溶融めっき鋼板。
[2] 前記溶融めっき層が、平均組成で、Al:4~22質量%、Mg:1.0~10質量%を含有することを特徴とする[1]に記載の溶融めっき鋼板。
[3] 前記溶融めっき層が、更に、平均組成で、Si:0.0001~2質量%を含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の溶融めっき鋼板。
[4] 前記溶融めっき層が、更に、平均組成で、Ni、Ti、Zr、Srのいずれか1種または2種以上を、合計で0.0001~2質量%含有することを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の溶融めっき鋼板。
[5] 前記溶融めっき層が、更に、平均組成で、Fe、Sb、Pb、Sn、Ca、Co、Mn、P、B、Bi、Cr、Sc、Y、REM、Hfのいずれか1種または2種以上を、合計で0.0001~2質量%含有することを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の溶融めっき鋼板。
[6] 前記溶融めっき層の付着量が前記鋼板両面合計で30~600g/mであることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の溶融めっき鋼板。
本発明によれば、疵が目立ちにくく、かつ、耐食性に優れた溶融めっき鋼板を提供できる。
図1は、平均組成で、Al:11質量%、Mg:3質量%、Si:0.2質量%、残部がZnおよび不純物を含む溶融めっき層を有する溶融めっき鋼板の代表的な断面SEM観察像を示す図である。 図2は、測定領域のグレースケールの256階調画像データの一例と、その階調画像データに対する二次元離散フーリエ変換によって得られた空間周波数の振幅スペクトル像の一例を示す図である。 図3は、測定領域のグレースケールの256階調画像データと、その階調画像データに対する二次元離散フーリエ変換によって得られた空間周波数の振幅スペクトル像を示す図である。 図4は、本実施形態の溶融めっき鋼板の溶融めっき設備の一例を示す模式図である。
平均組成で、Al:2~22質量%、Mg:0.1~10質量%を含有する溶融めっき層には、〔Al相〕、〔Zn相〕、〔MgZn相〕、〔Al/MgZn/Znの三元共晶組織〕の主に4種類の相及び組織から構成される。また、溶融めっき層がZn、Al、Mgに加えてSiを含有する場合は、上記の4種類の相及び組織に加え、〔MgSi相〕を含めた、主に5種類の相及び組織から構成される。
〔Al相〕は、めっき層表面に現れた際に白色を呈し、〔Al/MgZn/Znの三元共晶組織〕は金属光沢を呈する。めっき層表面には、〔Al相〕と〔Al/MgZn/Znの三元共晶組織〕とが混在して存在するため、溶融めっき層の表面は、梨地状の外観を呈する。そして、溶融めっき層の梨地状の外観は、〔Al相〕のサイズや〔Al/MgZn/Znの三元共晶組織〕のサイズに影響される。これらの相および組織のサイズが溶融めっき層の表面全体に渡ってほぼ均一に揃っていれば、全体として外観均一性が向上する。
しかし、外観均一性が向上した場合に、溶融めっき層の表面に物理的な疵(引っ掻き疵、擦れ疵など)が発生すると、疵が目立ちやすくなる問題が新たに生じる。また、溶融めっき層の外観は、梨地模様が均一になるにつれて向上するが、めっき外観の向上はこれだけに限らず、例えばスパングル模様を有する亜鉛めっき鋼板のように、大小様々な模様が乱雑に現れることによっても、全体として外観が向上する可能性がある。
そこで本発明者らが鋭意検討したところ、溶融めっき層表面の画像データを取得し、この画像データを構成する画素の明度に対して二次元離散フーリエ変換による画像解析を行ったところ、溶融めっき鋼板に対する疵の目立ちにくさを模様の乱雑さとして客観的に評価できることを見出し、この評価方法によって疵が目立ちにくい溶融めっき鋼板を特定できることを見出した。
具体的には、溶融めっき層表面から所定の大きさの複数の領域を選択し、各領域毎にグレースケールの画像データを取得し、これらの画像データに対して二次元離散フーリエ変換を行い、得られた空間周波数の振幅スペクトル像を解析したところ、各振幅スペクトル像の解析結果と梨地状模様の大きさとが相関することを突き止め、更に、各振幅スペクトル像の解析結果のばらつきを評価することで、梨地状模様の乱雑さ、すなわち、疵の目立ちにくさを特定できることを見出した。
以下、本実施形態の溶融めっき鋼板について説明する。
本実施形態の溶融めっき鋼板は、鋼板と、鋼板の表面に形成された溶融めっき層と、を備え、溶融めっき層は、平均組成で、Al:2~22質量%、Mg:0.1~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物を含み、溶融めっき層の表面から一辺が5mmの正方形の測定領域を5箇所選定し、下記の測定方法によって各測定領域の強度比率Aをそれぞれ求めた場合に、5箇所の測定領域の強度比率Aの平均値Aaveに対する各測定領域の強度比率Aの比(A/Aave)のうち1つ以上が、0.50~0.65または1.45~2.00の溶融めっき鋼板である。
測定方法は、各測定領域を50ピクセル×50ピクセルのサイズのグレースケールの256階調画像データとして抽出し、256階調画像データに対して二次元離散フーリエ変換を行って空間周波数の振幅スペクトル像を得る。振幅スペクトル像において、空間周波数1~25の強度和S25と、空間周波数1~5の強度和S5とを算出し、強度和S25に対する強度和S5の比率(S5/S25)を強度比率Aとする方法である。
溶融めっき層の下地となる鋼板は、材質に特に制限はない。材質として、一般鋼などを特に制限はなく用いることができ、Alキルド鋼や一部の高合金鋼も適用することも可能であり、形状にも特に制限はない。鋼板に対して後述する溶融めっき法を適用することで、本実施形態に係る溶融めっき層が形成される。
次に、溶融めっき層の化学成分について説明する。溶融めっき層は、平均組成で、Al:2~22質量%、Mg:0.1~10質量%を含有し、残部としてZnおよび不純物を含む。更に好ましくは、溶融めっき層は、平均組成で、Al:2~22質量%、Mg:0.1~10質量%を含有し、残部としてZnおよび不純物からなる。また、溶融めっき層は、平均組成で、Si:0.0001~2質量%を含有していてもよい。更に、溶融めっき層は、平均組成で、Ni、Ti、Zr、Srのいずれか1種または2種以上を合計で、0.0001~2質量%含有していてもよい。また、更に、溶融めっき層は、平均組成で、Fe、Sb、Pb、Sn、Ca、Co、Mn、P、B、Bi、Cr、Sc、Y、REM、Hfのいずれか1種または2種以上を合計で、0.0001~2質量%含有していてもよい。
Alの含有量は、平均組成で2~22質量%の範囲である。Alは、耐食性を確保するために含有させるとよい。溶融めっき層中のAlの含有量が2質量%以上であれば、耐食性を向上させる効果がより高まる。Alの含有量が22質量%を超えると、原因は不明であるが、耐食性が低下する。22質量%を超えると耐食性を向上させる効果が飽和する。耐食性の観点から、Alの含有量は、好ましくは4~22質量%、より好ましくは5~18質量%とする。Alの含有量は、さらに好ましくは6~16質量%とする。
Mgの含有量は、平均組成で0.1~10質量%の範囲である。Mgは、耐食性を向上させるために含有させるとよい。溶融めっき層中のMgの含有量が0.1質量%以上であれば、耐食性を向上させる効果がより高まる。10質量%を超えるとめっき浴でのドロス発生が著しくなり、めっきへのドロス付着によってめっきが正常に形成しない箇所が生じるため、耐食性が低下するおそれがある。このため、Mgの含有量は10質量%以下とする。ドロスの発生による耐食性低下の観点から、Mgの含有量は、好ましくは1.0~10質量%、より好ましくは1.5~6.0質量%とする。Mgの含有量は、さらに好ましくは2.0~5.0質量%の範囲とする。
また、Siは、溶融めっき層の密着性を向上させる場合があるので、含有させてもよいし、含有させなくてもよい。Siを0.0001質量%以上含有させることで密着性を向上させる効果が発現するため、Siを0.0001質量%以上含有させることが好ましい。一方、2質量%を超えて含有させてもめっき密着性を向上させる効果が飽和するため、Siの含有量は2質量%以下とする。めっき密着性の観点からは、0.0001~1質量%の範囲としてもよく、0.01~0.8質量%の範囲としてもよい。
溶融めっき層中には、平均組成で、Ni、Ti、Zr、Srの1種又は2種以上を合計で0.0001~2質量%を含有していてもよい。また、溶融めっき層中には、平均組成で、Fe、Sb、Pb、Sn、Ca、Co、Mn、P、B、Bi、Cr、Sc、Y、REM、Hfの1種又は2種以上を合計で0.0001~2質量%を含有していてもよい。これらの元素を含有することで、さらに耐食性を改善することができる。REMは、周期律表における原子番号57~71の希土類元素の1種または2種以上である。
溶融めっき層の化学成分の残部は、亜鉛及び不純物である。不純物には、亜鉛ほかの地金中に不可避的に含まれるもの、めっき浴中で、鋼が溶解することによって含まれるものがある。
なお、溶融めっき層の平均組成は、次のような方法で測定できる。まず、めっきを浸食しない塗膜剥離剤(例えば、三彩化工社製ネオリバーSP-751)で表層塗膜を除去した後に、インヒビター(例えば、スギムラ化学工業社製ヒビロン)入りの塩酸で溶融めっき層を溶解し、得られた溶液を誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析に供することで求めることができる。また、表層塗膜を有しない場合は、表層塗膜の除去作業を省略できる。
次に、溶融めっき層の組織について説明する。具体的には、溶融めっき層が平均組成で、Al:11質量%、Mg:3質量%、Si:0.2質量%、残部がZnおよび不純物を含む場合(図1)を例に各組織を説明する。Al、Mg及びZnを含有する溶融めっき層は、〔Al相〕と、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕とを含んでいる。〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕の素地中に、〔Al相〕が包含された形態を有している。更に、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕の素地中に、〔MgZn相〕や〔Zn相〕が含まれていてもよい。また、溶融めっき層がSiを含有する場合には、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕の素地中に、〔MgSi相〕が含まれていてもよい。
〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕は、図1に示されるように、SEM画像において、白色領域、灰色領域、微細な白色と黒色の混合領域で表される部分である。〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕は、Al相と、Zn相と金属間化合物MgZn相との三元共晶組織であり、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕を形成しているAl相は例えばAl-Zn-Mgの三元系平衡状態図における高温での「Al″相」(Znを固溶するAl固溶体であり、少量のMgを含む)に相当するものである。この高温でのAl″相は常温では通常は微細なAl相と微細なZn相に分離して現れる。また、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕中のZn相は少量のAlを固溶し、場合によってはさらに少量のMgを固溶したZn固溶体である。〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕中のMgZn相は、Zn-Mgの二元系平衡状態図のZn:約84質量%の付近に存在する金属間化合物相である。状態図で見る限りそれぞれの相にはその他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられるがその量は通常の分析では明確に区別できないため、この3つの相からなる三元共晶組織を本明細書では〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕と表す。
〔Al相〕は、図1に示されるように、SEM画像において〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える、白色と黒色が微細に混合した状態で表される部分である。〔Al相〕は、例えばAl-Zn-Mgの三元系平衡状態図における高温での「Al″相」(Znを固溶するAl固溶体であり、少量のMgを含む)に相当するものである。この高温でのAl″相はめっき浴のAlやMg濃度に応じて固溶するZn量やMg量が相違する。この高温でのAl″相は常温では通常は微細なAl相と微細なZn相に分離するが、常温で見られる島状の形状は高温でのAl″相の形骸を留めたものであると見てよい。状態図で見る限りこの相にはその他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられるが通常の分析では明確に区別できないため、この高温でのAl″相に由来し且つ形状的にはAl″相の形骸を留めている相を本明細書では〔Al相〕と呼ぶ。この〔Al相〕は〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕を形成しているAl相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
〔Zn相〕は、図1に示されるように、SEM画像において〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える、白色で表される部分である。円相当直径で2.5μm以上となる領域をZn相とする。〔Zn相〕には、実際には少量のAlさらには少量のMgを固溶していることもある。状態図で見る限りこの相にはその他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。この〔Zn相〕は〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕を形成しているZn相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。本発明のめっき層には、製造条件により〔Zn相〕が含まれる場合も有るが、実験では加工部の耐食性の向上に与える影響はほとんど見られなかったため、めっき層に〔Zn相〕が含まれても特に問題はない。
〔MgZn相〕は、図1に示されるように、SEM画像において、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える、灰色で表される部分である。〔MgZn相〕には実際には少量のAlを固溶していることもある。状態図で見る限りこの相にはその他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。この〔MgZn相〕は〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕を形成しているMgZn相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。本発明のめっき層には、製造条件により〔MgZn相〕が含まれない場合も有るが、ほとんどの製造条件ではめっき層中に含まれる。
〔MgSi相〕は、図1に示されるように、SEM画像において、Siを含有する場合の溶融めっき層の凝固組織中に明瞭な境界をもって島状に見える、黒色で表される部分である。状態図で見る限り、〔MgSi相〕はZn、Al、その他の添加元素は固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。この〔MgSi相〕はめっき中では顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
次に、溶融めっき層の外観について説明する。
本実施形態に係る溶融めっき層は、溶融めっき層の表面から選定された5箇所の測定領域に対して下記の測定方法によって各測定領域毎に強度比率Aを求めた場合に、5箇所の測定領域の強度比率Aの平均値Aaveに対する各測定領域の強度比率Aの比(A/Aave)のうち1つ以上が、0.50~0.65または1.45~2.00になる必要がある。
5箇所の測定領域は、任意に選定してよいが、測定領域同士の間隔は、例えば10cm以下とすることが好ましい。測定領域同士の間隔が10cmよりも離れている場合、梨地模様などの外観の模様の乱雑さを適切に判断することが困難になり、目視による疵の目立ちにくさの判断結果と齟齬が生じるおそれがある。目視によって疵の目立ちにくさを判断する場合は、模様のサイズとの兼ね合いで、10cm四方の範囲を視認して判断する場合が多いことから、本実施形態では測定領域の間隔を10cm以下とする。より具体的には、めっき層表面の任意の位置において、一辺が10cmの正方形の領域を選び、その正方形の4つの角部と、正方形の2本の対角線の交差部の計5箇所の位置に、一辺5mmの正方形の測定領域を選定するとよい。
選定した測定領域及びその周囲を含むサンプルを溶融めっき鋼板から切り出し、このサンプルを用いて測定領域の画像データを抽出する。
測定領域の画像データの抽出は、コンピュータに接続されたスキャナーによってサンプルの溶融めっき層の表面を走査することにより行う。測定領域は、50ピクセル×50ピクセルのサイズのグレースケールの256階調画像データとして抽出する。使用するスキャナーは例えばフラットベッド型のスキャナーがよい。一般に、スキャナーでの画像データ取得では、取得毎に画像補正が行われるため、測定領域の抽出は、サンプル全体の画像データを一度に取得した後、トリミングによって実施することが好ましい。また、一般的なスキャナーでは、5mmに対して50ピクセル以上の大きなピクセル数で画像データが取得されるので、コンピュータソフトを用いて50ピクセル×50ピクセルにリサイズするのがよい。
一般に、画像データの抽出は、写真撮影によっても可能であるが、写真撮影の場合、被写体である溶融めっき層全体に撮影時の照明光を完全に均等に照射することが難しく、模様の乱雑さの評価を正確に行えなくなる可能性があるため、スキャナーによる抽出が好ましい。
また、画像データはグレースケールの256階調画像データとする。画像データには、2値化画像、階調画像、カラー画像等があるが、2値化画像は明と暗の2つの値で表現されるものであり、情報量として不十分である。また、カラー画像では、画素が色の情報を持つため、情報量が過剰となる。本実施形態の溶融めっき層の表面外観は彩度が低いので、情報量としてはグレースケールの階調画像データで十分である。よって、本実施形態では、情報量が適切で、コンピュータで取扱いやすい0~255段の階調であるグレースケールの256階調画像が好ましい。
また、一辺が5mmの正方形の測定領域を、50ピクセル×50ピクセルのサイズの階調画像データとして抽出することにより、階調画像データは2500個の画素を含んだデータとなる。それぞれの画素は、梨地模様などの外観模様が反映された、一辺が0.1mmの正方形の領域における明度のデータを持つことになる。理論上、測定領域のサイズやピクセル数を大きくしても、同傾向の測定結果が得られるが、計算負荷を下げるため、実用上問題が無い最小サイズである5mm、50ピクセルを測定領域として設定した。
次に、得られた測定領域の階調画像データに対して、二次元離散フーリエ変換を行って、空間周波数の振幅スペクトル像を得る。二次元離散フーリエ変換は、予めプログラムを組み込んだコンピュータに実施させればよい。
二次元離散フーリエ変換は下記の(式1)を用いて行う。f(x,y)は(x,y)位置における画素値、F(u,v)は空間周波数の(u,v)位置における正弦波を示す複素数である。また、uはx成分の周波数で有り、vはy成分の周波数である。本実施形態では、50ピクセル×50ピクセルのサイズの階調画像データを使用するため、M、Nはそれぞれ50である。正弦波を示す複素数の絶対値を求めることで、振幅スペクトル像を得る。得られた振幅スペクトル像に対し、データの扱いやすさを改善する目的で、第1象限と第3象限、第2象限と第4象限を入れ替える操作を行う。
Figure 0007415193000001
例えば、めっき表面の模様が粗い梨地模様である場合、二次元離散フーリエ変換を行うと、比較的小さな周波数成分の正弦波が多く含まれる。一方、めっき表面の模様が細かい梨地模様である場合、二次元離散フーリエ変換を行うと、比較的大きな周波数成分の正弦波が多く含まれる。離散フーリエ変換を実施後の空間周波数の振幅スペクトル像には、このような離散フーリエ変換の結果が反映される。
図2には、階調画像データの一例と、その階調画像データに対する二次元離散フーリエ変換によって得られた空間周波数の振幅スペクトル像の一例を示す。振幅スペクトル像は、画像の中央に近づくほど低周波数成分の正弦波の振幅が表されており、中央から同心円状に遠ざかるほど周波数成分が高い正弦波の振幅を示している。図2に示す空間スペクトル画像では、正弦波の振幅の大きさ(強度)を濃淡で表しており、黒くなるほど強度が高く、白くなるほど強度が低いことを表している。すなわち、図2に示す空間スペクトル画像は、全周波数の正弦波のうち、低い周波数成分の正弦波の強度が高くなっていることを表している。
そして、図2に示すように、階調画像データ毎の空間周波数の振幅スペクトル像において、空間周波数1~25の強度和S25と、空間周波数1~5の強度和S5を算出することができる。ここで、空間周波数1~25以上の強度和S25は、図2中の外側の円で囲まれた領域における強度の総和であり、空間周波数1~5の強度和S5は、図2中の内側の円で囲まれた領域における強度の総和である。いずれの強度和計算においても振幅スペクトル像中央の空間周波数0の強度は除く。強度和S25及び強度和S5から、強度和S25に対する強度和S5の比率(S5/S25)である強度比率Aを求めることができる。
各階調画像データ毎の空間周波数の振幅スペクトル像において、強度比率Aが比較的大きい場合は、空間周波数1~5の強度和S5が多く、低空間周波数成分が多い。このように強度比率Aが比較的大きい階調画像データは、比較的粗い梨地状の外観を有するものとなる。一方、各階調画像データ毎の空間周波数スペクトル像において、強度比率Aが比較的小さい場合は、空間周波数1~5の強度和S5が少なく、低空間周波数成分が少ない。このように強度比率Aが比較的小さい階調画像データは、比較的細かい梨地状の外観を有するものとなる。以上のことから、強度比率Aは、模様の細かさを客観的に評価可能なパラメータになる。
図3には、各種の階調画像データと、階調画像データから得られた空間周波数の振幅スペクトル像の一例を示す。図3において、上段の画像が階調画像データであり、下段の画像が振幅スペクトル像であり、図3では、5組の画像データが示されている。図3の左側から右側に向かうにつれて、梨地模様が粗くなっている。梨地模様が粗くなるにつれて、空間周波数スペクトル像の中央における強度が高くなり、強度比率Aが大きくなることが分かる。
上記と同様にして、溶融めっき層の任意の5箇所から抽出した階調画像データに対してそれぞれ、二次元離散フーリエ変換を実施して強度比率Aを得る。更に、得られた5つの強度比率Aの平均値Aaveを求める。
本実施形態の溶融めっき層は、平均値Aaveに対する5箇所の各測定領域の強度比率Aの比(A/Aave)のうち1つ以上が、0.50~0.65または1.45~2.00となる必要がある。これは、各測定領域の強度比率Aの比(A/Aave)が、平均値Aaveから離れていることを意味する。このような溶融めっき層は、比較的細かい梨地模様を示す領域と、比較的粗い梨地模様を示す領域とが混在した状態になる。このように、比較的細かい梨地模様を示す領域と粗い梨地模様を示す領域とが混在した溶融めっき層は、全体として乱雑な外観を呈するようになり、擦り疵や引っ掻き疵などの物理的な疵がめっき層表面に生じたとしても、疵が目立ちにくくなる。平均値Aaveに対する5箇所の各測定領域の強度比率Aの比(A/Aave)がそれぞれ、0.50~0.65または1.45~2.00の範囲外になると、外観均一性が向上するものの、疵が目立ちやすくなる。比(A/Aave)は0.50~0.60でもよく、0.50~0.55でもよい。また、比(A/Aave)は1.55~2.00でもよく、1.70~2.00でもよい。5箇所の測定領域における比(A/Aave)が1.00から離れるほど、疵が目立ちにくくなる。
次に、本実施形態の溶融めっき鋼板の製造方法を説明する。図4に、本実施形態の溶融めっき鋼板の製造に好適な溶融めっき設備を示す。図4に示す溶融めっき設備は、溶融めっき浴2と、溶融めっき浴2内に配置されたシンクロール3と、溶融めっき浴2の上方に配置されたワイピングノズル4と、ワイピングノズル4の上方に配置された電磁振動装置5と、電磁振動装置5の上方に配置された冷却装置6と、冷却装置6の上方に配置されたトップロール7とを備えている。
溶融めっき浴2は、Al:2~22質量%、Mg:0.1~10質量%を含有し、残部としてZnおよび不純物を含むことが好ましい。更に、溶融めっき浴は、Si:0.0001~2質量%を含有してもよい。更にまた、溶融めっき浴は、Ni、Ti、Zr、Srのいずれか1種または2種以上を、合計で0.0001~2質量%含有してもよい。また、溶融めっき浴は、Sb、Pb、Sn、Ca、Co、Mn、P、B、Bi、Cr、Sc、Y、REM、Hfのいずれか1種または2種以上を、合計で0.0001~2質量%含有してもよい。なお、本実施形態の溶融めっき層の平均組成は、溶融めっき浴2の組成とほぼ同じである。溶融めっき浴2の温度は、組成によって異なるが、例えば、400~500℃の範囲が好ましい。溶融めっき浴2の温度がこの範囲であれば、所望の溶融めっき層を形成できるためである。
電磁振動装置5は、磁力によって鋼板を振動させるものであり、搬送中の鋼板1に磁力を付与して鋼板1を振動させる。電磁振動装置5としては、例えば、一般的な電磁制震装置を利用することができる。電磁制振装置は、本来、鋼板の振動を防止するものであって、走行する鋼板1の両側に所定の間隔(例えば、40~60mm)をあけて対称に配置された一対の電磁石、さらに望ましくは板幅方向に片側2つ以上の電磁石と、非接触式の鋼帯位置検出器とを備えている。この電磁制振装置は、位置検出器の検出信号に基づいて各電磁石の吸引力を制御器により制御することで、鋼板の振動を抑制するものであるが、通常と逆の制御を行うことで、振動を増幅させることも可能である。本実施形態では、電磁制振装置を電磁振動装置5として用い、めっき浴を通過させた鋼板を板幅方向にうねりを与えるように振動させる。電磁振動装置5は、冷却装置6の冷却開始位置(冷媒を鋼板に向けて噴射する場合は、冷媒が鋼板に当たった中心位置)から鋼板1の進行方向と反対の方向に沿って1mまでの範囲内に設置されていることが望ましい。すなわち、冷却装置6の入側の近くに設置されているとよい。電磁振動装置5を出てからの鋼板1の振幅(冷却装置内における鋼板の最大振幅)は60mm以上であることが望ましい。また、電磁制振装置5は0.07~0.09Tの範囲で作動させることが望ましい。
以下、図4の製造設備を用いた溶融めっき鋼板の製造法について説明する。まず、熱間圧延鋼板を製造し、必要に応じて熱延板焼鈍を行う。酸洗後、冷間圧延を行い、冷延板とする。冷延板を脱脂、水洗した後、焼鈍(冷延板焼鈍)する。
次いで、図4に示すように、焼鈍された鋼板1を溶融亜鉛めっき浴2に浸漬させてから、シンクロール3により進行方向を変えて垂直方向に引き上げる。引き上げた鋼板1の表面に対して、溶融亜鉛めっき浴2の上方に配置したワイピングノズル4から、空気、窒素等の高圧ガスを吹き付けることにより、鋼板1の表面に付着した溶融めっきの過剰付着量を除去する。
溶融めっき層の付着量は、鋼板両面の合計の付着量が30~600g/mの範囲になるように調整することが好ましい。付着量が30g/m未満の場合、溶融めっき鋼板の耐食性が低下するので好ましくない。付着量が600g/m超の場合、鋼板に付着した溶融金属の垂れが発生して、溶融めっき層の表面を平滑にすることができなくなるため好ましくない。
次いで、図4に示すように、電磁振動装置5によって鋼板1に振動を与えつつ、鋼板1を冷却装置6に導入する。鋼板1は、電磁振動装置5よって振動したままの状態で冷却装置6に導入される。冷却装置6には、冷媒を鋼板に向けて噴射する噴射ノズルが内蔵されており、この噴射ノズルによって非酸化性ガスまたはミストを含んだ非酸化性ガス等の冷媒が鋼板1に向けて噴射される。鋼板1が振動されている状態で冷媒が噴射されるため、噴射ノズルと鋼板1との間隔が不規則に変化し、これにより、溶融めっき層全体に渡って冷媒が不均一に当たるようになり、溶融めっき層における冷却速度が溶融めっき層の全面にわたってばらつくようになる。これにより、凝固後の溶融めっき層の金属組織や合金組成がばらつき、溶融めっき層の外観模様が乱雑化するため、疵が目立ちにくい外観になる。なお、従来の設備においては、たとえばめっきの付着量のばらつきを抑制するためにワイピングノズル4の付近に電磁制振装置が配置される場合がある。この場合、電磁制振装置は冷却装置6から離れていることに加え、鋼板1の振動を抑制しているので、疵が目立ちにくい外観が得られない。
本実施形態の溶融めっき鋼板によれば、溶融めっき層の表面から選定された5箇所の測定領域の強度比率Aの平均値Aaveに対する各測定領域の強度比率Aの比(A/Aave)のうち1つ以上が、0.50~0.65または1.45~2.00であるので、物理的な疵が生じた場合でも疵が目立ちにくくなる。また、本実施形態の溶融めっき鋼板は、溶融めっき層の平均組成が、Al:2~22質量%、Mg:0.1~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物を含むものであるため、耐食性に優れる。
次に、本発明の実施例を説明する。冷間圧延後の鋼板を脱脂、水洗した。その後、鋼板に対して冷延板焼鈍を行った。冷延板焼鈍後の鋼板を図4に示す溶融めっき設備に導入し、溶融めっき浴に浸漬してから引き上げた。その後、付着量をガスワイピングによって調整し、さらに冷却を行った。冷却は、電磁振動装置によって鋼板を振動させながら、冷却装置において非酸化性ガスを吹き付けることによって冷却した。なお、電磁振動装置は、表1Aの通りに、冷却開始位置(非酸化性ガスが鋼板に当たった中心位置)から鋼板の進行方向と反対方向に沿って位置を変えた。表1A中において、振動装置位置の欄の冷却装置直下とは、「振動装置が冷却開始位置から鋼板1の進行方向と反対の方向に沿って1mまでの範囲内である」ことを示す。また、冷却装置内における鋼板の最大振幅を表1Aに示す。このようにして、表1A及び表1Bに示すNo.1~54の溶融めっき鋼板を製造した。
また、電磁振動装置による鋼板の振動を行わなかったこと以外はNo.1~54の溶融めっき鋼板の場合と同様にして、No.55及び56の溶融めっき鋼板を製造した。
得られた溶融めっき鋼板について、溶融めっき層の表面に、測定領域として一辺が5mmの正方形の領域を5箇所選定し、各測定領域を50ピクセル×50ピクセルのサイズの階調画像データとして抽出した。測定領域の選定は次の通りとした。めっき層表面の任意の位置において、一辺が10cmの正方形の領域を選び、その正方形の4つの角部と、正方形の2本の対角線の交差部の計5箇所の位置にて、一辺5mmの正方形の測定領域を選定した。測定領域の画像データの抽出は、コンピュータに接続されたフラットベッド型スキャナーによってサンプルの溶融めっき層の表面を走査することにより行った。画像データはグレースケールの256階調画像データとした。
次いで、各階調画像データ毎に、階調画像データに対して二次元離散フーリエ変換を行って空間周波数の振幅スペクトル像を得た。各階調画像データ毎の空間周波数の振幅スペクトル像において、空間周波数1~25の強度和S25と、空間周波数1~5の強度和S5を算出し、強度総和S25に対する強度和S5の比率(S2/S25)を強度比率Aとして求めた。更に、得られた5つの強度比比率Aの平均値Aaveを求めた。そして、平均値Aaveに対する5箇所の各測定領域の強度比率Aの比(A/Aave)を求めた。結果を表1Bに示す。表1Bにおいて、「左上角」「右上角」「左下角」「右下角」は、一辺10cmの正方形の角部における比(A/Aave)であり、「中央」は、正方形の2本の対角線の交差部における比(A/Aave)である。
5箇所の測定領域における比(A/Aave)のうち、少なくとも1つ以上が0.50~0.65または1.45~2.00になる場合を模様が乱雑で疵が目立ちにくくなるとしてFと評価し、5箇所の測定領域における比(A/Aave)が1つも0.50~0.65または1.45~2.00にならなかった場合を外観が均一で疵が目立ちやすくなるとしてPとした。Fを合格とし、Pを不合格とした。結果を表1Bに示す。
また、目視による疵の目立ちにくさの評価を行った。めっき外観を目視によって評価した。擦り疵をつけた後、3m先から擦り疵が視認されない場合を疵の目立ちにくさが良好であるとしてFと評価し、擦り疵が視認される場合を疵の目立ちにくさが不十分であるとしてPとした。Fを合格とし、Pを不合格とした。結果を表1Bに示す。
溶融めっき鋼板の耐食性は、CCT試験後の腐食減量で評価した。めっき鋼板を150×70mmに切断し、JASO-M609に準拠したCCTを用いて、CCT30サイクル後の腐食減量を調査した。評価は、腐食減量30g/m未満をF、腐食減量30g/m以上50g/m未満をG、腐食減量50g/m以上60g/m未満をPとし、腐食減量60g/m以上をXとし、F、GおよびPを合格とし、Xを不合格とした。結果を表1Bに示す。
表1A及び表1Bに示すように、No.1~No.46の本発明例の溶融めっき鋼板は、疵が目立ちにくく、また、耐食性に優れていた。
一方、表1A及び表1Bに示すように、No.47~No.56の比較例の溶融めっき鋼板は、疵が目立つか、または、耐食性が劣っていた。
また、疵の目立ちにくさの評価については、本発明に係る比(A/Aave)を利用した評価と、目視による評価との間には、十分な相関が見られた。
Figure 0007415193000002
Figure 0007415193000003

Claims (6)

  1. 鋼板と、前記鋼板の表面に形成された溶融めっき層と、を備え、
    前記溶融めっき層は、平均組成で、Al:2~22質量%、Mg:0.1~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物を含み、
    前記溶融めっき層の表面から一辺が5mmの正方形の測定領域を5箇所選定し、下記の測定方法によって各測定領域毎の強度比率Aをそれぞれ求めた場合に、5箇所の測定領域の強度比率Aの平均値Aaveに対する各測定領域の強度比率Aの比(A/Aave)のうち1つ以上が、0.50~0.65または1.45~2.00であり、
    前記測定方法は、フラットベッド型のスキャナを用いた測定により各測定領域を50ピクセル×50ピクセルのサイズのグレースケールの256階調画像データとして抽出し、前記256階調画像データに対して二次元離散フーリエ変換を行って空間周波数の振幅スペクトル像を得て、得られた前記振幅スペクトル像において、空間周波数1~25の強度和S25と、空間周波数1~5の強度和S5を算出し、強度和S25に対する強度和S5の比率(S5/S25)を強度比率Aとする方法であることを特徴とする、溶融めっき鋼板。
  2. 前記溶融めっき層が、平均組成で、Al:4~22質量%、Mg:1.0~10質量%を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶融めっき鋼板。
  3. 前記溶融めっき層が、更に、平均組成で、Si:0.0001~2質量%を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶融めっき鋼板。
  4. 前記溶融めっき層が、更に、平均組成で、Ni、Ti、Zr、Srのいずれか1種または2種以上を、合計で0.0001~2質量%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の溶融めっき鋼板。
  5. 前記溶融めっき層が、更に、平均組成で、Fe、Sb、Pb、Sn、Ca、Co、Mn、P、B、Bi、Cr、Sc、Y、REM、Hfのいずれか1種または2種以上を、合計で0.0001~2質量%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の溶融めっき鋼板。
  6. 前記溶融めっき層の付着量が前記鋼板両面合計で30~600g/mであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の溶融めっき鋼板。
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