JP7395327B2 - 二次電池に含まれるリチウムの析出を判定する判定装置及び判定方法 - Google Patents

二次電池に含まれるリチウムの析出を判定する判定装置及び判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、二次電池に含まれるリチウムの析出を判定する判定装置及び判定方法に関するものである。
従来より、非水系電解液を備えたリチウムイオン二次電池の状態検出方法が知られている(特許文献1)。特許文献1記載の状態検出方法では、特定の周波数として、0.1Hz以上10Hz未満の範囲(例えば2Hz)と、10Hz以上300Hz以下の範囲(例えば100Hz)の周波数で位相差を求め、位相差に基づいて、電池劣化状態と負極でのリチウム金属析出状態とを判別する。
特開2009-244088号公報
しかしながら、上記の従来技術の方法において判別のために用いた位相は、リチウム金属の析出以外の要因でも変化するため、上記の従来技術の方法ではリチウム金属析出状態の判定精度が低いという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、リチウムの析出の判定精度を高めた判定装置及び判定方法を提供することである。
本発明は、リチウムイオン二次電池の交流インピーダンスを測定し、二次電池の交流インピーダンスの特性のうち、複数の特定周波数における特性に基づいて、二次電池の負極反応抵抗を演算し、二次電池の充電中、負極反応抵抗が単位時間あたり所定値以上低下した場合に、リチウムの析出が有ると判定することにより、上記課題を解決する。
本発明によれば、リチウムの析出の判定精度を高めることができる。
図1は、本実施形態に係る二次電池の判定システムを示すブロック図である。 図2は、本実施形態に係る二次電池の平面図である。 図3は、図2のIII-III線に沿った二次電池の断面図である。 図4は、インピーダンス測定器によって測定された交流インピーダンスの実軸成分値(Z’)および虚軸成分値(-Z”)を、実軸および虚軸が直交してなる複素平面座標上にプロットして得られた、円弧軌跡を含む複素インピーダンスプロット(ナイキストプロット;コール・コールプロット)のグラフである。 図5は、本実施形態に係る二次電池において、二次電池に含まれる電解質及び負極の等価回路を示す回路図である。 図6は、本実施形態に係る二次電池において、二次電池の全体の虚軸成分値、正極虚軸成分値、及び負極虚軸成分値の周波数特性を示すグラフである。 図7は、本実施形態に係る二次電池において、リチウム析出が発生した時の反応抵抗の時間的推移を表すグラフである。 図8は、本実施形態に係る二次電池において、交流インピーダンスZを構成する虚部成分Z”のナイキストプロットの温度推移を説明するためのグラフである。 図9は、本実施形態に係る二次電池において、反応抵抗の時間的推移を表すグラフである。 図10は、本実施形態に係る二次電池において、二次電池の虚軸成分値の周波数特性を示すグラフである。 図11は、本実施形態に係る二次電池において、二次電池の温度、充電電流、及び析出ポイントのセル電圧の関係を説明するためのグラフである。 図12は、リチウム析出の判定システムにおける判定処理の手順及び充電処理の手順を示すフローチャートである。 図13は、図11に示すステップS12の制御処理のサブフローを示すフローチャートである。
図1は、本実施形態に係るリチウムの析出を判定する判定システムの構成を示す図である。本実施形態に係るリチウム析出の判定システムは、リチウムイオン二次電池において、リチウムの析出が有るか否かを判定する。なお、本実施形態に係るリチウム析出の判定方法、判定装置、及び判定システムは、全固体リチウムイオン二次電池に限らず、電解液を含むリチウムイオン電池にも適用できる。判定システム1は、図1に示すように、二次電池2と、電圧センサ3と、温度センサ4と、電圧電流調整部5と、電流センサ6と、インピーダンス測定器7と、コントローラ8と、外部電源9とを備えている。図1に示すリチウム析出の判定システムは、外部電源9の電力で二次電池2を充電するためのシステムであり、この際に、二次電池2のリチウム析出の有無を判定する。
本実施形態における二次電池2の一例として全固体リチウムイオン二次電池について説明する。二次電池2は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質を含有する正極活物質層を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質を含有する負極活物質層を含む負極と、正極活物質層および負極活物質層との間に介在する固体電解質層と、を有する発電要素を備える。二次電池2は、発電要素の他に、電極タブと、電極タブ及び発電要素を収容する外装部材を有している。二次電池の詳細な構造及び材料については後述する。
電圧センサ3は、二次電池2の入出力電圧を検出するためのセンサであり、二次電池2の正極と負極との間のセル電圧(端子間電圧)を検出する。電圧センサ3の接続位置は特に制限されず、二次電池2に接続される回路内において正極と負極との間のセル電圧を検出できる位置であればよい。
温度センサ4は、二次電池2の外表面温度(環境温度)を測定する。温度センサ4は、例えば、二次電池2のケース(外装体、筐体)の表面などに取り付けられる。
電圧電流調整部5は、二次電池2の充電時及び/又は放電時の電池電流及びセル電圧を調整するための回路であって、コントローラ8からの指令に基づき、二次電池2の電流/電圧を調整する。電圧電流調整部5は、外部電源から出力される電力を二次電池の充電電圧に変換するための電圧変換回路等を有している。
電流センサ6は、二次電池2の入出力電流を検出するためのセンサである。電流センサ6は、二次電池2の充電時には電圧電流調整部5から二次電池2へ供給される電流を検出し、放電時には二次電池2から電圧電流調整部5へ供給される電流を検出する。
インピーダンス測定器7は、二次電池2に接続されており、交流摂動電流を入力信号として二次電池2に流し、交流信号(交流電流)に応じた応答電圧を取得することにより二次電池2の交流インピーダンス(複素インピーダンス)を測定する。インピーダンス測定器7は、一般的な交流インピーダンス測定装置として通常に使用されているものから任意に選択すればよい。例えば、インピーダンス測定器7は、交流インピーダンス法により、交流摂動電流の周波数を経時的に変化させて二次電池2の交流インピーダンスを測定するものでありうる。また、周波数の異なる複数の交流摂動電流を同時に印加可能なものであってもよい。交流インピーダンス法における交流インピーダンスの測定方法としては特に限定されない。例えば、リサージュ法、交流ブリッジ法などのアナログ方式や、デジタル・フーリエ積分法、ノイズ印加による高速フーリエ変換法などのデジタル方式が適宜採用されうる。本実施形態では、周波数の異なる複数の交流摂動電流が二次電池2に印加されて交流インピーダンスが測定される。複数の周波数は、例えば、インピーダンス測定器7によって測定される交流インピーダンスZを構成する実部成分Z’および虚部成分Z”を複素平面座標上にプロットしたグラフ(ナイキストプロット;コール・コールプロット)から、二次電池2の反応抵抗成分を算出できる範囲であればよい。電池に印加する交流摂動電流の波形(例えば、正弦波)の振幅などについては特に制限はなく、任意に設定される。インピーダンス測定器7によって測定された交流インピーダンスの測定結果は、インピーダンス測定器7の出力としてコントローラ8に送られる。
コントローラ8は、CPU81及び記憶部82等を有している。コントローラ8は、インピーダンス測定器7により測定された二次電池2の反応抵抗に基づき、二次電池2に含まれるリチウムの析出の有無を判定する制御装置である。また、コントローラ8は、電圧センサ3により検出された二次電池2のセル電圧、及び、電流センサ6により検出された二次電池2に流れる充放電電流に基づいて、二次電池2の充電を制御する。
外部電源9は、二次電池2を充電するための電源である。電源には、例えば三相200Vの交流電源が使用される。外部電源9は、単相100V又は単相200Vの交流電源でもよい。また外部電源9は、交流に限らず直流電源でもよい。
次に、図2及び図3を参照して、二次電池(全固体リチウムイオン二次電池)2の構造を説明する。図2に、本実施形態に係る二次電池2の平面図、図3に、図2のIII- III線に沿った二次電池2の断面図を示す。
二次電池2は、図2、図3に示すように、3つの正極層102、7つの電解質層103、3つの負極層104を有する発電要素101と、3つの正極層102にそれぞれ接続された正極タブ105と、3つの負極層104にそれぞれ接続された負極タブ106と、これら発電要素101および正極タブ105、負極タブ106を収容して封止している上部外装部材107および下部外装部材108とから構成されている。
なお、正極層102、電解質層103、負極層104の数は特に限定されず、1つの正極層102、3つの電解質層103、1つの負極層104で、発電要素101を構成してもよいし、また、必要に応じて正極層102、電解質層103および負極層104の枚数を適宜選択してもよい。
発電要素101を構成する正極層102は、正極タブ105まで伸びている正極側集電体102a、および正極側集電体102aの一部の両主面にそれぞれ形成された正極活物質層を有している。正極層102を構成する正極側集電体102aとしては、たとえば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、銅チタン箔、または、ステンレス箔等の電気化学的に安定した金属箔で構成することができる。正極側集電体102aには、金属としては、ニッケル、鉄、銅などが用いられてもよい。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材などが用いられてもよい。
正極側集電体102aには、金属の代わりに、導電性を有した樹脂を用いてもよい。導電性を有する樹脂は、非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーを添加された樹脂で構成することができる。非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)など)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等、優れた耐電位性を有した材料が用いられる。導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限はないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、およびSbからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物が挙げられる。
正極層102を構成する正極活物質層としては、特に制限されないが、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、Li(Ni-Mn-Co)O等の層状岩塩型活物質、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO等のオリビン型活物質、LiFeSiO、LiMnSiO等のSi含有活物質等が挙げられる。また上記以外の酸化物活物質としては、例えば、LiTi12が挙げられる。リチウムとニッケルとを含有する複合酸化物が好ましく用いられ、さらに好ましくはLi(Ni-Mn-Co)Oおよびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの(以下、単に「NMC複合酸化物」とも称する)が用いられる。NMC複合酸化物は、上述したように、遷移金属元素の一部が他の金属元素により置換されている複合酸化物も含む。その場合の他の元素としては、Ti、Zr、Nb、W、Pなどが挙げられる。
正極活物質層には、硫黄系正極活物質が用いられてもよい。硫黄系正極活物質としては、有機硫黄化合物または無機硫黄化合物の粒子または薄膜が挙げられ、硫黄の酸化還元反応を利用して、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸蔵することができる物質であればよい。有機硫黄化合物としては、ジスルフィド化合物、硫黄変性ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。無機硫黄化合物としては、硫黄(S)、S-カーボンコンポジット、TiS、TiS、TiS、NiS、NiS、CuS、FeS、LiS、MoS、MoS等が挙げられる。
なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよい。正極活物質の形状は、例えば、粒子状(球状、繊維状)、薄膜状等が挙げられる。正極活物質層における正極活物質の含有量は、特に限定されない。正極活物質層は、必要に応じて、固体電解質、導電助剤、バインダの少なくとも1つをさらに含有してもよい。正極活物質の形状は、例えば、粒子状(球状、繊維状)、薄膜状等が挙げられる。正極活物質層における正極活物質の含有量は、特に限定されない。正極活物質層は、必要に応じて、固体電解質、導電助剤、バインダの少なくとも1つをさらに含有してもよい。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質や酸化物固体電解質が挙げられ、後述する電解質層103を構成可能な固体電解質として例示されたものなどを用いることができる。
導電助剤としては、特に限定されないが、その形状が、粒子状または繊維状であるものであることが好ましい。導電助剤が粒子状である場合、粒子の形状は特に限定されず、粉末状、球状、棒状、針状、板状、柱状、不定形状、燐片状、紡錘状等、いずれの形状であっても構わない。
導電助剤が粒子状である場合の平均粒子径(一次粒子径)は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01~10μmであることが好ましい。
バインダとしては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(水素原子が他のハロゲン元素にて置換された化合物を含む)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリエーテルニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子;テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂;ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-HFP-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFP-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-パーフルオロメチルビニルエーテル-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFMVE-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム;エポキシ樹脂;等が挙げられる。中でも、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。
そして、これら3枚の正極層102を構成する各正極側集電体102aが、正極タブ105に接合されている。正極タブ105としては、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、銅箔、または、ニッケル箔等を用いることができる。
発電要素101を構成する負極層104は、負極タブ106まで伸びている負極側集電体104aと、当該負極側集電体104aの一部の両主面にそれぞれ形成された負極活物質層とを有している。
負極層104の負極側集電体104aは、例えば、ニッケル箔、銅箔、ステンレス箔、または、鉄箔等の電気化学的に安定した金属箔である。
負極層104は、負極活物質を含有する層で形成されている。負極活物質の種類としては、特に制限されないが、炭素材料、金属酸化物および金属活物質が挙げられる。炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等が挙げられる。また、金属酸化物としては、例えば、Nb、LiTi12、SiO等が挙げられる。さらに、金属活物質としては、例えば、In、Al、SiおよびSn等の金属単体や、TiSi、LaNiSn等の合金が挙げられる。
負極活物質は、Liを含有するリチウム合金でもよい。リチウム合金としては、たとえば、リチウムと、金(Au),マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、及びビスマス(Bi)から選択される少なくとも1種の金属との合金が挙げられる。また、リチウム合金としては、リチウムと、上述した金属のうち2種以上の金属との合金であってもよい。リチウム合金の具体例としては、例えば、リチウム-金合金(Li-Au)、リチウム-マグネシウム合金(Li-Mg)、リチウム-アルミニウム合金(Li-Al)、リチウム-カルシウム合金(Li-Ca)、リチウム-亜鉛合金(Li-Zn),リチウム-スズ合金(Li-Sn)、リチウム-ビスマス合金(Li-Bi)などが挙げられる。
なお、負極活物質層としては、リチウム合金を含有するものであればよく、その構成は、特に限定されないが、たとえば、リチウム合金を構成するリチウム以外の金属を「Me」とした場合に、次の(1)~(3)のいずれかの態様とすることができる。
(1)リチウム合金のみからなる単一の層からなるもの(すなわち、Li-Me層)
(2)リチウム金属からなる層と、リチウム合金からなる層とを備えるもの(すなわち、Li層/Li-Me層)
(3)リチウム金属からなる層と、リチウム合金からなる層と、リチウム以外の金属からなる層とを備えるもの(すなわち、Li層/Li-Me層/Me層)
上記(2)の態様においては、リチウム合金からなる層(Li-Me層)を電解質層103側の層(電解質層103との界面を形成する層)とすることが望ましく、また、上記(3)の態様においては、リチウム以外の金属からなる層(Me層)を電解質層103側の層(電解質層103との界面を形成する層)とすることが望ましい。リチウム金属を含むリチウム金属層と、リチウム金属とは異なる金属を含む層(中間層)とする場合には、中間層は、リチウム金属層と固体電解質の間の層であり、リチウム金属のうち少なくとも一部と、中間層を形成する金属のうち少なくとも一部とが、合金化することが望ましい。
例えば、負極を、上記(3)の態様、すなわち、リチウム金属からなる層と、リチウム合金からなる層と、リチウム以外の金属からなる層とを備える態様(すなわち、Li層/Li-Me層/Me層)とする場合には、リチウム金属と、リチウム以外の金属とを積層することで、これらの界面部分を合金化し、これにより、これらの界面にリチウム合金からなる層を形成することができる。なお、リチウム金属と、リチウム以外の金属とを積層する方法としては、特に限定されないが、リチウム金属からなる層の上に、リチウム以外の金属を真空蒸着などにより蒸着させることにより、リチウム金属からなる層の上に、リチウム以外の金属からなる層を形成しつつ、これらの界面を合金化させる方法が挙げられる。あるいは、リチウム以外の金属からなる層上に、リチウム金属を真空蒸着などにより蒸着させ、リチウム以外の金属からなる層の上に、リチウム金属からなる層を形成しつつ、これらの界面を合金化させる方法などが挙げられる。
なお、本実施形態の二次電池2では、3枚の負極層104は、負極層104を構成する各負極側集電体104aが、単一の負極タブ106に接合されるような構成となっている。すなわち、本実施形態の二次電池2では、各負極層104は、単一の共通の負極タブ106に接合された構成となっている。
発電要素101の電解質層103は、上述した正極層102と負極層104との短絡を防止するものであり、固体電解質を主成分として含有し、上述した正極活物質層と負極活物質層との間に介在する層である。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質や酸化物固体電解質、高分子固体電解質などが挙げられるが、硫化物固体電解質であることが好ましい。
硫化物固体電解質としては、例えば、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、LiS-P、LiI-LiPS、LiI-LiBr-LiPS、LiPS、LiS-P、LiS-P-LiI、LiS-P-LiO、LiS-P-LiOLiI、LiS-SiS、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-LiBr、LiS-SiS-LiCl、LiS-SiS-B-LiI、LiS-SiS-P-LiI、LiS-B、LiS-P-ZmSn(ただし、m、nは正の数であり、Zは、Ge、Zn、Gaのいずれかである)、LiS-GeS、LiS-SiS-LiPO、LiS-SiS-LixMOy(ただし、x、yは正の数であり、Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれかである)等が挙げられる。なお、「LiS-P」の記載は、LiSおよびPを含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質を意味し、他の記載についても同様である。
硫化物固体電解質は、例えば、LiPS骨格を有していてもよく、Li骨格を有していてもよく、Li骨格を有していてもよい。LiPS骨格を有する硫化物固体電解質としては、例えば、LiI-LiPS、LiI-LiBr-LiPS、LiPSが挙げられる。また、Li骨格を有する硫化物固体電解質としては、例えば、LPSと称されるLi-P-S系固体電解質(例えば、Li11)が挙げられる。また、硫化物固体電解質として、例えば、Li(4-x)Ge(1-x)(xは、0<x<1を満たす)で表されるLGPS等を用いてもよい。なかでも、硫化物固体電解質は、P元素を含む硫化物固体電解質であることが好ましく、硫化物固体電解質は、LiS-Pを主成分とする材料であることがより好ましい。さらに、硫化物固体電解質は、ハロゲン(F、Cl、Br、I)を含有していてもよい。
また、硫化物固体電解質がLiS-P系である場合、LiSおよびPの割合は、モル比で、LiS:P=50:50~100:0の範囲内であることが好ましく、なかでもLiS:P=70:30~80:20であることが好ましい。また、硫化物固体電解質は、硫化物ガラスであってもよく、結晶化硫化物ガラスであってもよく、固相法により得られる結晶質材料であってもよい。なお、硫化物ガラスは、例えば原料組成物に対してメカニカルミリング(ボールミル等)を行うことにより得ることができる。また、結晶化硫化物ガラスは、例えば硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で熱処理を行うことにより得ることができる。また、硫化物固体電解質の常温(25℃)におけるイオン伝導度(例えば、Liイオン伝導度)は、例えば、1×10-5S/cm以上であることが好ましく、1×10-4S/cm以上であることがより好ましい。なお、固体電解質のイオン伝導度の値は、交流インピーダンス法により測定することができる。
酸化物固体電解質としては、例えば、NASICON型構造を有する化合物等が挙げられる。NASICON型構造を有する化合物の一例としては、一般式Li1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦2)で表される化合物(LAGP)、一般式Li1+xAlTi2-x(PO(0≦x≦2)で表される化合物(LATP)等が挙げられる。また、酸化物固体電解質の他の例としては、LiLaTiO(例えば、Li0.34La0.51TiO)、LiPON(例えば、Li2.9PO3.30.46)、LiLaZrO(例えば、LiLaZr12)等が挙げられる。
固体電解質層103は、上述した固体電解質に加えて、バインダをさらに含有していてもよい。バインダとしては、特に限定されないが、例えば、上述したものを用いることができる。
固体電解質の含有量は、例えば、10~100質量%の範囲内であることが好ましく、50~100質量%の範囲内であることがより好ましく、90~100質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
そして、図3に示すように、正極層102と負極層104とは、電解質層103を介して、交互に積層され、さらに、その最上層および最下層に電解質層103がそれぞれ積層されており、これにより、発電要素101が形成されている。
以上のように構成されている発電要素101は、上部外装部材107および下部外装部材108(封止手段)に収容されて封止されている。発電要素101を封止するための上部外装部材107および下部外装部材108は、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂フィルムや、アルミニウムなどの金属箔の両面をポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂でラミネートした、樹脂-金属薄膜ラミネート材など、柔軟性を有する材料で形成されており、これら上部外装部材107および下部外装部材108を熱融着することにより、正極タブ105および負極タブ106を外部に導出させた状態で、発電要素101が封止されることとなる。
なお、正極タブ105および負極タブ106には、上部外装部材107および下部外装部材108と接触する部分に、上部外装部材107および下部外装部材108との密着性を確保するために、シールフィルム109が設けられている。シールフィルム109としては、特に限定されないが、たとえば、ポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、または、アイオノマー等の耐電解液性及び熱融着性に優れた合成樹脂材料から構成することができる。
次に、図2及び図3を参照して、二次電池2を、電解液リチウムイオン二次電池とする場合の構造及び材料について説明する。なお、上述した全固体リチウムイオン二次電池と電解液リチウムイオン二次電池との間で、共通する構成は、上記記載を適宜、援用する。以下で説明する電池の構造及び材料は、一例であって、その他、周知の構造及び/又は材料を、二次電池2に用いてもよい。
二次電池(電解液リチウムイオン二次電池)2は、図3に示す構造と同様に、3つの正極層102と、3つの負極層104と、3つの正極層102にそれぞれ接続された正極タブ105と、3つの負極層104にそれぞれ接続された負極タブ106と、これら発電要素101および正極タブ105、負極タブ106を収容して封止している上部外装部材107および下部外装部材108とから構成されている。異なる点は、図3に示す電解質層103の代わりにセパレータが用いられ、特に図示しない非水電解液が電池内部に含まれている。
正極層102を構成する正極活物質層は、正極活物質と、カーボンブラック等の導電剤と、ポリフッ化ビニリデンや、ポリ四フッ化エチレンの水性ディスパージョン等の結着剤とを混合したものを、正極側集電体102aの一部の主面に塗布し、乾燥およびプレスすることにより形成されている。
本実施形態に係る二次電池2は、正極層102を構成する正極活物質層中に、正極活物質として、SOCが高くなるにしたがって抵抗が増大する特性を有する正極活物質を少なくとも含有する。このようなSOCが高くなるにしたがって抵抗が増大する特性を有する正極活物質としては、特に限定されないが、LiMnOを母構造とするLi過剰層上正極材料が挙げられ、具体的には、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。特に、下記一般式(1)で表される化合物は、高電位かつ高容量であるため、正極活物質として、このような化合物を用いることにより、二次電池10を高いエネルギー密度を有するものとすることができる。なお、下記一般式(1)で表される化合物は、通常、固溶体を形成している。
Figure 0007395327000001
(上記式(1)において、0.1≦x≦0.5であり、式中のMは、NiαCoβMnγM’σ(ただし、0<α≦0.5、0≦β≦0.33、0<γ≦0.5、0≦σ≦0.1、α+β+γ+σ=1、M’は金属元素である。)である。)
また、上記一般式(1)で表される化合物において、M’としては、金属元素(Li,Ni,Co,Mn以外の金属元素)であれば何でもよく特に限定されないが、Fe,V,Ti,Al,Mgから選択される少なくとも1種が好ましく、なかでもTiが特に好ましい。
また、上記一般式(1)において、α,β,γ,σは、0<α≦0.5、0≦β≦0.33、0<γ≦0.5、0≦σ≦0.1、α+β+γ+σ=1を満たす範囲であればよく特に限定されないが、σ=0であることが好ましい。すなわち、下記一般式(2)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 0007395327000002
(上記式(2)において、0.1≦x≦0.5、0<α≦0.5、0≦β≦0.33、0<γ≦0.5、α+β+γ=1である。)
なお、正極活物質層には、上述したSOCが高くなるにしたがって抵抗が増大する特性を有する正極活物質以外の正極活物質、たとえば、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、コバルト酸リチウム(LiCoO)等のリチウム複合酸化物や、LiFePOやLiMnPO等を含有していてもよい。
また、負極層104を構成する負極活物質層は、負極活物質と、カーボンブラック等の導電剤と、ポリフッ化ビニリデン等の結着剤、およびN-メチル-2-ピロリドン等の溶剤を加えてスラリーを調製して負極側集電体104aの一部の両主面に塗布し、乾燥およびプレスすることにより形成されている。
負極活物質層を構成する負極活物質としては、特に限定されないが、たとえば、ケイ素または炭素を主たる元素とする負極活物質を少なくとも含有するものを用いることができる。ケイ素を主たる元素とする負極活物質としては、ケイ素の他、ケイ素酸化物などのケイ素化合物などが挙げられる。また、炭素を主たる元素とする負極活物質としては、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、黒鉛などが挙げられる。
セパレータは、上述した正極層102と負極層104との短絡を防止するもので、電解質を保持する機能を備えてもよい。このセパレータは、例えば、厚さ25μm程度のポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン等から構成される微多孔性膜であり、過電流が流れると、その発熱によって、層の空孔が閉塞され、電流を遮断する機能をも有するものである。
二次電池2に含有される電解液は、有機液体溶媒にホウフッ化リチウム(LiBF)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)などのリチウム塩を溶質として溶解させた液体である。電解液を構成する有機液体溶媒としては、たとえば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ギ酸メチル(MF)、酢酸メチル(MA)、プロピオン酸メチル(MP)等のエステル系溶媒を挙げることができ、これらは混合して用いることができる。
本実施形態に係る二次電池2は、上述した全固体リチウムイオン二次電池、又は、電解液リチウムイオン二次電池で構成される。
次いで、本実施形態におけるリチウム析出の有無を判定する判定方法と、二次電池2の充電制御方法について説明する。本実施形態においては、以下に説明する、二次電池2の判定方法は、インピーダンス測定器7及びコントローラ8により実行される。また、リチウム析出の判定制御は、二次電池2の充電制御中に実行される。二次電池2の充電制御は、電圧電流調整部5及びコントローラ8で実行される。なお、図4以下の図で示されるグラフは、電解液リチウムイオン二次電池の特性を示しているが、本実施形態に係るリチウム析出の判定方法、判定装置、及び判定システムは、全固体リチウムイオン二次電池にも適用可能である。
まず、二次電池2の充電制御について説明する。本実施形態においては、コントローラ8は、二次電圧2のセル電圧が所定の上限電圧に達するまで電流を徐々に高めて、二次電池2の充電電流が設定電流に達したら、電流値を一定にする(いわゆる定電流制御;CC充電)。二次電池2の充電中、コントローラ8は、電圧センサ3及び電流センサ6から検出値を取得し、二次電池2に流れている電流及び二次電池2に印加されるセル電圧を管理している。またコントローラ8は、電圧センサ3の検出電圧に基づき、二次電池2のSOCを管理している。本実施形態では、設定電流にて二次電池2の充電を行うことにより、二次電池2のSOCが増加し、二次電池2のセル電圧が徐々に上昇していく。
二次電池2のセル電圧が上限電圧に達すると、コントローラ8は、上限電圧にて定電圧充電(CV充電)を行う。二次電池2のセル電圧が上限電圧に維持された状態のまま、二次電池2のSOCの増加に伴い、充電電流が減衰していくこととなる。そして、本実施形態では、充電電流が減衰していき、終止電流既定値(カットオフ電流値)まで低下すると、二次電池20の充電を終了する。本実施形態においては、このようにして二次電池20の充電制御が行われる。なお、充電方法は、上記説明のような、いわゆるCC-CV充電に限らず、他の方式の充電方法でもよい。
次いで、二次電池2におけるリチウム析出の判定制御について説明する。本実施形態では、二次電池2のリチウム析出の有無を推定するために、まず二次電池2の正極反応抵抗と負極反応抵抗をそれぞれ演算する。図4は、インピーダンス測定器7によって測定された交流インピーダンスの実軸成分値(Z’)および虚軸成分値(-Z”)を、実軸および虚軸が直交してなる複素平面座標上にプロットして得られた、円弧軌跡を含む複素インピーダンスプロット(ナイキストプロット;コール・コールプロット)のグラフである。なお、交流インピーダンス(Z)は、Z=Z’+jZ”の定義式で表され、当該定義式の下、図4のグラフは、縦軸を-Z”として容量性リアクタンスをマイナス、誘導性リアクタンスをプラスで描いている。
インピーダンス測定器7は、所定の周波数帯内の多数の周波数値の交流信号を印加して、各周波数値ごとに交流インピーダンスの実軸成分値(Z’)および虚軸成分値(-Z”)を測定する。所定の周波数帯は、少なくとも反応抵抗を測定するための周波数を含んでいる。実軸および虚軸が直交してなる複素平面座標上において、実軸成分値を複素平面座標の実軸成分とし、虚軸成分値を複素平面座標の虚軸成分としてプロットすると、図4に示すように、所定の周波数帯において円弧軌跡を含む複素インピーダンスプロット(ナイキストプロット;コール・コールプロット)が得られる。複素平面座標の原点から高周波側の極小値を示す点Hまでの距離が電解質抵抗(Rsep)の大きさを示している。電解質抵抗(Rsep)は、電解質中をイオンが移動する際の抵抗や電極や配線中を電子が移動する際の抵抗等の合成値である。点Hと点Lとの距離、すなわち円弧軌跡の直径が反応抵抗(R)の大きさを示している。点Lは、円弧軌跡を低周波側で円弧状に延在させて実軸と交わる点である。このように、図4に示すナイキストプロットから、電解質抵抗(Rsep)及び反応抵抗(R)を求めることができる。
インピーダンス測定器7は、交流インピーダンスの特性のうち特定周波数における特定に基づいて、二次電池2の負極反応抵抗を演算する。図5は、二次電池2に含まれる電解質及び負極の等価回路を示す回路図である。Ractは負極反応抵抗を示し、Cdlは負極の電気二重層容量を示す。図5に示す等価回路のインピーダンスから、虚部(Z”)のみを抜き出すと、下記式(3)が導出される。なお、ωは交流信号の周波数により決まる角周波数である。
Figure 0007395327000003
さらに、式(3)を変形すると下記式(4)が導出される。
Figure 0007395327000004
式(4)において、-1/(ωZ”)を縦軸に、1/ωを横軸に取り、グラフを描くと、1/Cdlаct を傾きとし、Cdlを切片とする直線となる。そして、切片から負極の容量(Cdl)を演算し、傾き(1/Cdlаct )と容量(Cdl)から、負極反応抵抗(Rаct)を演算できる。
またインピーダンス測定器7は、図5に示す等価回路のインピーダンスの実部から負極反応抵抗を演算できる。図5に示す等価回路のインピーダンスから、実部(Z’
)のみを抜き出すと、下記式(5)が導出される。
Figure 0007395327000005
さらに、式(5)を変形すると下記式(6)が導出される。
Figure 0007395327000006
式(6)において、1/(Zre-Rsep)を縦軸に、ωを横軸に取り、グラフを描くと、Cdl аctを傾きとし、1/Rаctを切片とする直線となる。そして、切片から負極反応抵抗(Rаct)を演算できる。なお、上記演算方法は、負極反応抵抗について説明したが、上記演算方法により、正極反応抵抗を演算することもできる。
インピーダンス測定器7は、正極反応抵抗と負極反応抵抗を区別して演算するために、特定周波数をもつ交流信号を印可して、特定周波数におけるインピーダンス特性に基づいて、正極反応抵抗と負極反応抵抗を演算している。
図6は、二次電池2の全体の虚軸成分値、正極虚軸成分値、及び負極虚軸成分値の周波数特性を示すグラフである。縦軸は虚軸成分値であり、横軸は周波数である。グラフаは負極反応抵抗の特性を示し、グラフbは正極反応抵抗の特性を示し、グラフcは全体の反応抵抗の特性を示す。
グラフаに示すように、負極虚軸成分値は周波数(fа)でピーク値となる。グラフbに示すように、正極虚軸成分値は周波数(f)でピーク値となる。図6のグラフに示すように、虚軸成分値の周波数特性は正極と負極で異なっている。そのため、例えば、負極の虚軸成分値を測定するためには、正極虚軸成分値低く、かつ、負極虚軸成分値高くなるような特定周波数を選択して、選択された特定周波数の交流信号を二次電池2に印可する。このとき、正極の反応抵抗には電流が流れ難くなるため、交流信号を二次電池2に流した時の、二次電池の交流インピーダンスから、負極の虚軸成分値の変化を測定できる。図6の例では、インピーダンス測定器7は、特定周波数をfаに設定して、交流信号を二次電池2に印可し、交流インピーダンスの特性から負極の反応抵抗を演算する。また、インピーダンス測定器7は、特定周波数をfに設定して、交流信号を二次電池2に印可し、交流インピーダンスの特性から正極の反応抵抗を演算する。すなわち、特定周波数(fа)は負極反応抵抗を測定するための周波数(負極計測用の周波数)であり、特定周波数(f)は正極反応抵抗を測定するための周波数(正極計測用の周波数)となる。また、負極側の特定周波数(fа)は、少なくとも正極側の特定周波数(f)より高い周波数に設定されており、好ましくは100Hz以上20kHz以下の範囲内に、あるいは、300Hz以上3kHz以下の範囲内に設定されている。正極側の特定周波数(f)は、例えば、20Hz以上80Hz以下の範囲内に設定されている。なお、虚軸成分値の周波数特性は、二次電池2に使用される材料や温度等により異なるため、正極側及び負極側の特定周波数を、実験的に求めればよい。例えば、負極の反応抵抗の変化が現れる周波数帯域を把握するために、参照極を挿入した二次電池2に、所定の周波数帯内の多数の周波数値の交流信号を印加して、周波数ごとに交流インピーダンスを測定する。そして、測定された交流インピーダンスの虚部の特性から、反応抵抗の測定に適した周波数を特定する。正極の特定周波数も同様に特定すればよい。
コントローラ8は、二次電池2の充電中に、インピーダンス測定器7により測定された負極の反応抵抗に基づき、単位時間あたりの負極反応抵抗の変化を演算し、リチウムの析出の有無を判定する。二次電池2の充電している場合、二次電池2の反応抵抗は、通常の充電反応で変化するが、リチウムの析出が発生した場合には、二次電池2の反応抵抗はリチウムの析出によっても変化する。そのため、二次電池2の反応抵抗が変化した場合に、反応抵抗の変化が、通常の充電反応によるものか、リチウムの析出によるものか区別できれば、リチウムの析出が発生したことを特定できる。
図7は、リチウム析出が発生した時の反応抵抗の時間的推移を表すグラフである。図7(а)は負極反応抵抗の特性を示し、図7(b)は正極反応抵抗の特性を示す。縦軸は“反応抵抗を、横軸は充電時間を示す。また、時間(tа)の時点で、リチウムの析出が発生したと仮定する。二次電池2の充電開始時点から時間(tа)の時点までは、負極の反応抵抗の変化量は小さい。時間(tа)の時点でリチウムの析出が発生すると、負極の反応抵抗は大きく低下し、負極の反応抵抗は時間(t)の時点で最も低くなる。一方、正極の反応抵抗は、リチウムの析出が発生しても、低下しない。すなわち、リチウムの析出が発生すると、負極反応抵抗は大きく低下するが、正極反応抵抗は大きく低下しない。コントローラ8は、二次電池2の充電中、負極反応抵抗の変化を検出しており、負極反応抵抗が単位時間あたり所定値以上低下した場合に、リチウムの析出が有ると判定する。
また、本実施形態では、リチウム析出の有無の判定精度をより高めるために、二次電池2の温度に応じて、負極反応抵抗を測定するための特定周波数を設定する。図8は、交流インピーダンスZを構成する虚部成分のナイキストプロットの温度推移を説明するためのグラフである。図8において、縦軸は交流インピーダンスの虚部値(-Z”)であり横軸は周波数である。(а)は電池温度(T)の時の特性であり、(b)は電池温度(T)の時の特性であり、(c)は電池温度(T)の時の特性である。二次電池の温度は、T、T、Tの順に高くなっている。各グラフにおいて、グラフ上の点Pは、ナイキストプロットで電池の反応抵抗の大きさを表す円弧の頂点である。図8に示すように、反応抵抗の大きさを表す円弧の頂点が現れる周波数は、温度が高くなるにつれて、f、f、fの順に高くなっている。このことから反応抵抗の大きさを計測するのに適した周波数は温度が高いほど高い周波数となることが分かる。
負極の反応抵抗を測定するための特定周波数についても、温度が高いほど高い周波数に設定する。具体的には、異なる複数の温度において二次電池2でリチウム析出を発生させた時の交流インピーダンスを複数の周波数で計測し、各温度でリチウム析出が検知できる(反応抵抗の低下が捉えられる)周波数帯を割り出し、その周波数帯の範囲内で設定する。
図9を参照し、一例として電池温度が25℃の時に設定される周波数について説明する。図9は、周波数ごとの負極反応抵抗の特性を示すグラフである。縦軸は反応抵抗であり横軸は時間である。またグラフа~fは、200Hz、300Hz、400Hz、3.2kHz、5.4kHz、6.6kHzの時の特性をそれぞれ示している。グラフа~fの特性は、電池温度25℃でリチウム析出させた際の反応抵抗を複数の周波数のインピーダンスから計算したものである。図9の例では、グラフаに示すように、周波数を200Hzに設定した場合には、反応抵抗が大きく低下している時間(t)の時点よりも前の時間帯(図9のKの部分)で、反応抵抗が低下している。正極の挙動の影響を受けてリチウム析出前に反応抵抗が低下するため、グラフаに示すような挙動になる。また、200Hz未満の場合も、反応抵抗の特性は、グラフаに示すような挙動と同様に、正極の挙動の影響を受けてリチウム析出前に反応抵抗が低下する。すなわち、図9の例では、周波数を200Hz以下に設定した場合には、反応抵抗の低下が、リチウム析出によるものか、正極の挙動の影響によるものか区別がし難いため、200Hz以下の周波数帯の周波数は、負極反応抵抗を測定するための特定周波数として、好ましくない。
また、図9の例では、グラフfに示すように、周波数を6.6kHzに設定した場合には、反応抵抗がほとんど低下しない。6.6kHzより高い場合も、反応抵抗の特性は、グラフfに示すような挙動と同様に、反応抵抗がほとんど低下しない。そのため、6.6kHz以上の周波数帯の周波数は、反応抵抗の低下を測定するための特定周波数として、好ましくない。したがって、図9の例では、電池温度25℃とした場合に、特定周波数として設定可能な周波数は、200Hzより高くて6.6kHzより低い範囲内の周波数となる。
なお、特定周波数として設定可能な周波数帯がある場合に、どの温度でも共通に設定可能な特定周波数が存在するときには、温度に対して、特定周波数を固定してもよい。また、特定周波数として設定可能な周波数帯がある場合に、周波数帯うち一部の周波数帯において、他の機器等に対してノイズ発生源となるときには、その周波数帯を避けて、特定周波数を設定してもよい。
なお、インピーダンス測定器7は、電池温度に応じた負極反応抵抗の変化が小さい周波数帯に含まれる周波数を、特定周波数に設定してもよい。図8を用いて説明した、負極反応抵抗の温度特性は、二次電池2に使用される材料等により変わる。そして、二次電池2の温度変化に対して“負極反応抵抗の変化が小さく、かつ、リチウム析出が発生した時に、負極反応抵抗が大きく低下する周波数が存在する場合には、このような周波数を特定周波数に設定すればよい。これにより、電池温度の変化に対して、リチウム析出の判定精度を高めることができる。
なお、インピーダンス測定器7は、二次電池2の電池温度に応じて、正極反応抵抗を測定するための特定周波数を設定する。特定周波数の設定方法は、上述した負極の時の設定方法と同様であればよい。
また本実施形態において、リチウム析出の有無の判定精度をより高めるために、二次電池2の状態に基づき、リチウムの析出が発生する可能性を検知している。そして、リチウムの析出が発生する可能性がある場合に、コントローラ8はリチウムの析出の有無を判定し、リチウムの析出が発生する可能性がない場合に、コントローラ8はリチウムの析出の有無を判定しない。以下、リチウム析出の可能性を検知する方法を説明する。
図10は、二次電池2の虚軸成分値(-Z”)の周波数特性を示すグラフである。図10において、縦軸は虚軸成分値(-Z”)であり横軸は周波数である。グラフаは負極虚軸成分値の特性を示し、グラフbは正極虚軸成分値の特性を示し、グラフcは全体の虚軸成分値の特性を示す。(а)は充電状態(SOC:State of Charge)(SOC)の時の特性であり、(b)は充電状態(SOC)の時の特性であり、(c)は充電状態(SOC)の時の特性である。二次電池の充電状態は、SOC、SOC、SOCの順に高くなっている。図10に示すように、負極の虚軸成分値はSOC変化による影響を受ける。そして、バッテリ充電時に、Cレートが高い場合など、二次電池2内でSOCの偏りがつきやすい状態では、反応抵抗の低下が、SOC変化によるものか、リチウム析出の発生によるものか区別がつきにくい場合がある。さらに、このようなSOCの偏りによる影響は、電池温度が低い場合にも顕著に表れる。
そこで、本実施形態では、二次電池2の温度、充電電流及び充電状態の相関関係を用いて、リチウム析出が発生しない条件を実験的に求め、実験データを電析マップとして、コントローラ8のメモリに格納している。実験データの取得方法は、例えば、参照極を挿入した二次電池2において、参照極を用いて負極電位を計測しながら充電する。そして、リチウム析出が発生した時の負極電位を析出ポイントとして記録する。このような析出ポイントの記録を、Cレート及び温度をそれぞれ変えて実施する。記録されたデータは、二次電池2の温度と充電電流に対して、析出ポイントとなるセル電圧の大きさの関係を表すことができる。析出ポイントを導出するための実験データは、充電後の二次電池2を解体、分析してリチウム析出の有無を確認する方法でもよい。
図11は、二次電池2の温度、充電電流、及び析出ポイントのセル電圧の関係を説明するためのグラフである。図11において、縦軸はセル電圧であり、横軸は充電時の電流(Cレート)である。なお、セル電圧は充電状態(SOC)と相関性をもつため、縦軸は充電状態に対応している。図11に示される各グラフは、充電電流に対して析出ポイントの電圧を示している。例えば二次電池2の温度がTであり、充電電流(I)で充電した場合には、析出ポイントのセル電圧はVとなる。そして、充電電流(I)で充電した場合に、二次電池2の温度が高いほど、析出ポイントのセル電圧は高くなる。析出ポイントは、リチウム析出が開始する点に相当する。
コントローラ8は、温度センサ4の検出温度、電流センサ6の検出電流、及び電圧センサ3の検出電圧に基づき、リチウムの析出が発生する可能性を検知する。具体的には、コントローラ8は、図11に示されるマップ(電析マップ)をメモリから取得し、現在の電池温度に対応する電流とセル電圧の相関性をマップ上で特定する。例えば、温度センサ4の検出温度がTである場合には、図11においてTの矢印で示されるグラフを特定する。二次電池2の充電電流(電流センサ6の検出電流に相当)がIである場合に、コントローラ8、特定されたグラフ上で、電流Iに対応する析出ポイントのセル電圧(V)を特定する。二次電池2の温度(T)及び充電電流(I)で充電を開始し、充電が進むにつれて、二次電池2のSOCが高くなる。二次電池2のセル電圧がV以下であれば、リチウム析出の可能性はない。一方、二次電池2のセル電圧がVより高くなると、リチウム析出の可能性がある。
コントローラ8は、電析マップを用いて、二次電池2の温度(T)及び充電電流(I)から析出ポイントの電圧(V)を特定した後に、二次電池2のセル電圧(電圧センサ3の検出電圧に相当)と析出ポイントのセル電圧(V)を比較する。そして、二次電池2のセル電圧が析出ポイントのセル電圧(V)以下である場合には、コントローラ8はリチウム析出の可能性は無いと判定する。一方、二次電池2のセル電圧が析出ポイントのセル電圧(V)より高い場合には、コントローラ8はリチウム析出の可能性が有ると判定する。そして、リチウム析出の可能性が有る状態で、コントローラ8は、負極反応抵抗に基づきリチウム析出の発生の有無を判定する。これにより、リチウム析出の判定精度を高めることができる。
なお、本実施系形態では、二次電池2の状態に基づきリチウムの析出が発生する可能性を検知するために、正極反応抵抗の変化を用いてもよい。図7を用いて説明したように、リチウムの析出が発生した場合には、負極反応抵抗は低下するが、正極反応抵抗は低下しないような特性を示すことがある。そのため、この特性を利用し、コントローラ8は、負極反応抵抗が低下したタイミングと対応させて、正極反応抵抗が低下しているか否かを判定する。そして正極反応抵抗が低下していない場合には、コントローラ8は、リチウムの析出が発生する可能性があると判定する。一方、負極反応抵抗が低下したタイミングと対応させて、正極反応抵抗も低下している場合には、負極反応抵抗の低下がリチウム析出の判定以外の要因の可能性も高いため、コントローラ8は、リチウム析出の有無の判定を行わなくてもよい。なお、正極反応抵抗が低下していない場合には、正極反応抵抗が全く低下していない場合に限らない。正極反応抵抗の低下幅が所定値未満の場合には、正極反応抵抗が低下していないと判定してもよく、正極反応抵抗の低下幅が所定値以上の場合に、正極反応抵抗が低下していると判定してもよい。
次いで、二次電池2におけるリチウム析出の判定方法及び二次電池2の充電制御方法について説明する。図12は、リチウム析出の判定システムにおける判定処理の手順及び充電処理の手順を示すフローチャートである。図12の制御フローは、二次電池2の充電継続中は、所定周期繰り返し実行する。
ステップS1にて、コントローラ8は、温度センサ4を用いて電池温度を測定し、電圧センサ3を用いてセル電圧(二次電池2の電圧)を測定する。ステップS2にて、インピーダンス測定器7は、電池温度に応じて、負極反応抵抗を測定するための特定周波数(fа)と正極反応抵抗を測定するための特定周波数(f)をそれぞれ設定する。ステップS3にて、コントローラ8は二次電池2の充電を開始する。またインピーダンス測定器7は、特定周波数(fа)と特定周波数(f)を含む交流信号(インピーダンス測定用電流)を、充電電流に重畳することで、二次電池2に交流信号を印可する。
ステップS4にて、コントローラ8は、セル電圧と電圧規定値とを比較する。電圧規定値は、CC充電からCV充電に切り替えるための上限電圧を示している。セル電圧が電圧規定値より高い場合には、ステップS5にて、コントローラ8は、CV充電(定電圧充電)で二次電池2を充電する。ステップS6にて、コントローラ8は、充電電流と終止電流規定値(カットオフ電流値)とを比較する。充電電流は電流センサ6を用いて測定すればよい。充電電流が終止電流規定値以上である場合には、コントローラ8はステップS8の制御フローを実行する。充電電流が終止電流規定値未満である場合には、コントローラ8は二次電池2の充電を停止し、制御フローを終了する。
ステップS4の判定処理の後、セル電圧が電圧規定値以下である場合には、ステップS7にて、コントローラ8は、CC充電(定電流充電)で二次電池2を充電する。ステップS9にて、コントローラ8は、重畳電流を流し始めた時点から所定時間を経過したか否かを判定する。重畳電流開始の直後は、過渡的な電流変化の影響を受けるため、このような影響を避けるために、ステップS9の制御フローを行っている。重畳電流を流し始めた時点から所定時間を経過していない場合には、図12に示す制御フローを一旦終了し、再び、ステップS1の制御フローを実行する。つまり、重畳電流を流し始めた時点から所定時間を経過していない場合には、インピーダンス測定器7で測定されたデータが、リチウム析出の有無に用いられることはない。
重畳電流を流し始めた時点から所定時間を経過した場合には、ステップS10にて、インピーダンス測定器7は、特定周波数(fа、f)における交流インピーダンスに基づいて、正極及び負極の反応抵抗をそれぞれ測定する。ステップS11にて、コントローラ8は、二次電池2の電池状態に基づき、リチウムの析出が発生する可能性を検知する。リチウムの析出が発生する可能性がない場合には、図12に示す制御フローを一旦終了し、再び、ステップS1の制御フローを実行する。
リチウムの析出が発生する可能性がある場合には、ステップS12にて、コントローラ8は、リチウム析出の有無を判定する。図13は、ステップS12の制御処理のサブフローを示すフローチャートである。コントローラ8は、図13に示す制御フローを実行することで、図12に示すステップS12の制御処理を実行する。
ステップS21にて、コントローラ8は、インピーダンス測定器7で測定された反応抵抗に対してフィルタリング処理を行い、ノイズを除去する。フィルタには例えばローパスフィルタが使用される。ステップS22にて、単位時間あたりの負極反応抵抗の変化を測定するために、負極の反応抵抗の傾きを演算する。傾きは、負極反応抵抗の前回値(Rаct(k-1))と負極反応抵抗の今回値(Rаct(k))との差分から、サンプリング周期を除算することで演算できる。傾きは、単位時間当たりの負極反応抵抗の減少幅(減少割合)を示している。ただし、kは自然数である。サンプリング周期は、インピーダンス測定器7の測定周期と対応している。なお、単位時間を長くするために、インピーダンス測定器7の測定タイミングを複数含むよう、サンプリング周期をインピーダンス測定器7の測定周期より長くしてもよい。言い換えると、負極反応抵抗の差分に相当する期間内に、反応抵抗の測定値が例えば2~10個含むように、サンプリング周期を設定すればよい。
ステップS23にて、コントローラ8は、演算された傾きと予め設定されている判定閾値とを比較する、傾きが判定閾値以上である場合、すなわち、単位時間当たりの負極反応抵抗の減少幅が判定閾値より大きい場合には、ステップS24にて、コントローラ8はリチウムの析出があると判定する。一方、傾きが判定閾値未満である場合、すなわち、単位時間当たりの負極反応抵抗の減少幅が判定閾値より小さい場合には、ステップS25にて、コントローラ8はリチウムの析出が無いと判定する。すなわち、コントローラ8は、ステップS23~S25の制御処理を実行することで、負極反応抵抗が単位時間あたり所定値以上低下しているか否かを検知し、負極反応抵抗が単位時間あたり所定値以上低下した場合にリチウムの析出があると判定し、負極反応抵抗が単位時間あたり所定値以上低下していない場合にリチウムの析出が無いと判定する。
そして、コントローラ8は図13に示す制御フローを終了し、図12に示すステップS13の制御フローを実行する。ステップS13の制御処理は、ステップS12の制御処理における判定結果に応じて、以下の制御フローを分岐するための制御処理である。
ステップS12の制御処理においてリチウム析出が有ると判定された場合には、ステップS13の制御処理から「Yes」に進む、ステップS14にて、コントローラ8は、充電電流を現在の電流よりも低い値に設定する。なお、充電電流をゼロにして、充電電流を停止させてもよい。そして、図12に示す制御フローは終了する。
ステップS12の制御処理においてリチウム析出が無いと判定された場合には、ステップS13の制御処理から「No」へ進み、図12に示す制御フローを一旦終了し、再び、ステップS1の制御フローを実行する。
以上のとおり、本実施実施形態では、リチウムイオン二次電池2の交流インピーダンスを測定し、二次電池2の交流インピーダンスの特性のうち、複数の特定周波数における特性に基づいて、二次電池2の負極反応抵抗を演算し、二次電池2の充電中、負極反応抵抗が単位時間あたり所定値以上低下した場合に、リチウムの析出が有ると判定する。これにより、リチウム析出の判定精度を高めることができる。
また本実施形態では、特定周波数は、100Hz以上20kHz以下の範囲内に設定されている。これにより、正極等他の影響を受けにくい状態で負極の反応抵抗を測定できる。
また本実施形態では、温度センサ4により検出された温度が高いほど、特定周波数を高い周波数に設定する。これにより、二次電池2の温度が変化しても負極反応抵抗を精度よく測定できる。
また本実施形態では、交流インピーダンスの実部と虚部の少なくともいずれか一方のインピーダンスに基づき、負極反応抵抗を演算する。これにより、指定の周波数帯の反応抵抗を演算できる。
また本実施形態では、二次電池2の状態に基づき、リチウムの析出が発生する可能性を検知し、リチウムの析出が発生する可能性がある場合に、リチウムの析出の有無を判定し、リチウムの析出が発生する可能性がない場合に、リチウムの析出の有無を判定しない。これにより、リチウム析出の判定精度を高めることができる。
また本実施形態では、電圧センサ3及び/又は電流センサ6(本発明の「電圧/電流センサ」に相当)の検出値に基づき、二次電池2の充電状態(SOC)を演算し、温度センサ4により検出された温度、二次電池2の電流、充電状態に基づき、リチウムの析出が発生する可能性を検知する。これにより、リチウム析出の判定精度を高めることができる。
また本実施形態では、二次電池2の交流インピーダンスの特性のうち、特定周波数よりも低い周波数における特性に基づいて、二次電池2の正極反応抵抗を演算し、正極反応抵抗が低下していない場合に、リチウムの析出の有無を判定する。これにより、リチウム析出の判定精度を高めることができる。
また本実施形態では、リチウムの析出が有ると判定した場合には、二次電池2の充電電流を低くする。これにより、リチウムの析出が進むことを防止できる。
なお、本実施形態において、コントローラ8は、ステップS22及びステップS23の制御フローで、負極反応抵抗の傾きを演算し、演算された傾きと判定閾値を比較したが、傾きの代わりに、負極反応抵抗の差分(負極反応抵抗の減少幅)を演算し、差分と判定閾値を比較してもよい。負極反応抵抗の差分は、負極反応抵抗のk回目の値と、負極反応抵抗のk-n回目の値である。ただし、nは自然数であって、単位時間相当のサンプリング回数である。判定抵抗は、差分に対応するよう予め設定すればよい。そして、負極反応抵抗の差分が判定閾値以上である場合には、負極反応抵抗が単位時間あたり所定値以上低下したことに相当する。また、負極反応抵抗の差分が判定閾値未満である場合には、負極反応抵抗が単位時間あたり所定値以上低下していないことに相当する。
なお、上述の実施形態において、リチウム析出の判定装置は、少なくともインピーダンス測定器7とコントローラ8と備えていればよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
1…リチウム析出の判定システム
2…二次電池
3…電圧センサ
4…温度センサ
5…電圧電流調整部
6…電流センサ
7…インピーダンス測定器
8…コントローラ
9…外部電源

Claims (9)

  1. リチウムイオン二次電池に含まれるリチウムの析出を判定する判定装置であって、
    前記二次電池の交流インピーダンスを測定する測定器と
    前記リチウムの析出の有無を判定するコントローラとを備え
    前記測定器は、前記二次電池の交流インピーダンスの特性のうち複数の特定周波数における特性に基づいて、前記二次電池の負極反応抵抗を演算し、
    前記コントローラは、前記二次電池の充電中、前記負極反応抵抗が単位時間あたり所定値以上低下した場合に、前記リチウムの析出が有ると判定する判定装置。
  2. 請求項1記載の判定装置であって、
    前記特定周波数は、100Hz以上20kHz以下の範囲内に設定されている判定装置。
  3. 請求項1又は2記載の判定装置であって、
    前記二次電池の温度を検出する温度センサを備え、
    前記測定器は、前記温度センサにより検出された温度が高いほど、前記特定周波数を高い周波数に設定する判定装置。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の判定装置であって、
    前記測定器は、前記交流インピーダンスの実部と虚部の少なくともいずれか一方のインピーダンスに基づき、前記負極反応抵抗を演算する判定装置。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の判定装置であって、
    前記コントローラは、
    前記二次電池の状態に基づき、前記リチウムの析出が発生する可能性を検知し、
    前記リチウムの析出が発生する可能性がある場合に、前記リチウムの析出の有無を判定し、
    前記リチウムの析出が発生する可能性がない場合に、前記リチウムの析出の有無を判定しない判定装置。
  6. 請求項5に記載の判定装置であって、
    前記二次電池の温度を検出する温度センサと、
    前記二次電池のセル電圧及び/又は電流を検出する電圧/電流センサとを備え、
    前記コントローラは、
    前記電圧/電流センサの検出値に基づき、前記二次電池の充電状態を演算し、
    前記温度センサにより検出された温度、前記二次電池の電流、前記充電状態に基づき、前記リチウムの析出が発生する可能性を検知する判定装置。
  7. 請求項5に記載の判定装置であって、
    前記測定器は、前記二次電池の交流インピーダンスの特性のうち、負極計測用の前記特定周波数よりも低い周波数における特性に基づいて、前記二次電池の正極反応抵抗を演算し、
    前記コントローラは、
    前記正極反応抵抗が低下していない場合に、前記リチウムの析出の有無を判定する判定装置。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の判定装置であって、
    前記コントローラは、前記リチウムの析出が有ると判定した場合には、前記二次電池の充電電流を低くする判定装置。
  9. リチウムイオン二次電池に含まれるリチウムの析出を判定する方法であって、
    前記二次電池の交流インピーダンスを測定し、
    前記二次電池の交流インピーダンスの特性のうち、複数の特定周波数における特性に基づいて、前記二次電池の負極反応抵抗を演算し、
    前記二次電池の充電中、前記負極反応抵抗が単位時間あたり所定値以上低下した場合に、前記リチウムの析出が有ると判定する判定方法。
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