JP7388279B2 - 圧延装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧延装置に関する。
線材の圧延技術としては、銅鋳塊を連続的に圧延して銅線の原料となる線材を製造する技術がある(例えば特許文献1参照)。
特開2010-46710号公報
連続的に線材を圧延する圧延装置では、操業時間の経過とともに圧延ロールの表面に付着した銅の一部が圧延ロールの表面に焼き付くことが発生する。この焼き付きを放置したまま線材を製造すると、圧延ロールの表面に発生した焼き付きが異物となって線材の表面と接触し、線材の表面粗さが粗くなるなどの問題が発生する。このような問題が発生した線材をそのまま次の加工工程に供すると、加工治具の消耗、あるいは線材表面への異物発生の原因となる。一方、焼き付きを除去するために操業を停止すると、製造効率が低下する。
本発明の目的は、圧延ロールの表面の焼き付きを含む異物を除去することが可能な技術を提供することにある。
一実施の形態である圧延装置は、圧延される線材の進行方向に沿って配列される複数の圧延部を備え、前記複数の圧延部の少なくとも一つは、互いに対向して配置されて前記線材を圧延する一対の圧延ロールと、前記一対の圧延ロールの少なくとも一方の周方向に配置された複数のノズルと、を有する。前記複数のノズルは、前記圧延ロールの第1領域に向かって第1の圧力で潤滑剤を吹き付ける第1ノズルと、前記線材の進行方向に対して前記第1領域よりも上流側に位置する前記圧延ロールの第2領域に向かって前記第1の圧力より高い第2の圧力で潤滑剤を吹き付ける第2ノズルと、を有する。
例えば、前記第2ノズルは、前記第2ノズルのノズル軸の角度が、前記圧延ロールの外周円の法線方向から前記圧延ロールの外周円の接線方向までの範囲で調節可能である。
例えば、前記第1ノズル、および前記第2ノズルは、前記複数の圧延部のうち、少なくとも前記線材の進行方向の最も上流側に配置された第1圧延部に配置されている。
例えば、前記第1ノズル、および前記第2ノズルは、前記複数の圧延部のうち、前記第1圧延部、前記第1圧延部の隣に配置された第2圧延部、および前記第2圧延部の隣に配置された第3圧延部に配置されている。
例えば、前記第2ノズルから吹き付けられる前記潤滑剤の流量は、前記第2圧延部に配置された前記第2ノズルから吹き付けられる第2流量が前記第1圧延部に配置された前記第2ノズルから吹き付けられる第1流量より多く、前記第3圧延部に配置された前記第2ノズルから吹き付けられる第3流量が前記第2流量より多い。
例えば、前記第1ノズルから吹き付けられる前記潤滑剤の流量は、前記第2ノズルから吹き付けられる前記液体の流量より多い。
例えば、前記第2ノズルから吐出される前記潤滑剤は、前記第1ノズルから吐出される前記潤滑剤と同じ成分の潤滑剤である。
例えば、前記第1ノズルのノズル軸の延長線は、前記圧延ロールの前記第1領域と交差し、前記第2ノズルのノズル軸の延長線は、前記圧延ロールの前記第2領域と交差する。
本発明の代表的な実施の形態によれば、圧延ロールの表面の焼き付きを含む異物を除去することが可能である。
本実施の形態の圧延装置の構成例を示す側面図である。 図1に示す圧延装置を上方から視た平面図である。 図2に示す複数の圧延部のうち、最も上流側に配置される圧延部の構成例を示す説明図である。 図3に示す高圧用のノズルのノズル軸の角度が、圧延ロールの外周円の法線方向と一致している場合の例を示す説明図である。 図3に示す高圧用のノズルのノズル軸の角度が、圧延ロールの外周円の接線方向と一致している場合の例を示す説明図である。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、ノズルからロールに吹き付けられる液体(潤滑剤)の圧力について説明するが、この圧力とは、ノズル出口での圧力(吐出圧力)を意味する。
<圧延装置>
図1は、本実施の形態の圧延装置の構成例を示す側面図である。図2は、図1に示す圧延装置を上方から視た平面図である。
図1および図2に示すように、圧延装置100は、線材10の進行方向11に沿って配列される複数の圧延部12を有している。図1および図2に示す例では、圧延装置100は、線材10の進行方向11において、最も上流側に位置する圧延部(第1圧延部)V1から最も下流側に位置する圧延部(第11圧延部)V11まで、11個の圧延部12を備えている。圧延装置100は、複数の圧延部12を用いて線材10を徐々に圧延し、線材10の外形を細化させている。ただし、圧延装置100が有する圧延部12の数は、図1および図2に示す例には限定されず、種々の変形例がある。例えば10個以下の場合もあるし、12個以上の場合もある。
複数の圧延部12のそれぞれは、互いに対向するように配置される一対の圧延ロール20および30を有する。図1および図2に矢印を付して模式的に示すように、圧延ロール20および30のそれぞれは、線材10を圧延ロール20と30との間に挟み、圧延しながら進行方向11に送り出すように回転可能になっている。
複数の圧延部12のそれぞれが有する一対の圧延ロール20および30は、互いに対向するが、配列方向が一様ではない。図1および図2に示す例では、圧延部(第1圧延部)V1、圧延部(第3圧延部)V3、圧延部(第5圧延部)V5、圧延部(第7圧延部)V7、圧延部(第9圧延部)V9および圧延部(第11圧延部)V11のそれぞれは、図2に示すY方向(例えば水平方向)において、一対の圧延ロール20と30とが互いに対向するように配列されている。また、圧延部(第2圧延部)V2、圧延部(第4圧延部)V4、圧延部(第6圧延部)V6、圧延部(第8圧延部)V8、および圧延部(第10圧延部)V10のそれぞれは、図1に示すZ方向(例えば鉛直方向)において、一対の圧延ロール20と30とが互いに対向するように配列されている。圧延装置100に供される線材10は、図1に示すZ方向と図2に示すY方向に交互に圧延されるので、線形状に圧延される。
また、図示は省略するが、圧延装置100の上流工程には、例えば、銅を溶解させる工程、溶解した銅を鋳造装置で冷却し、個体の鋳造バーを成型する工程がある。本実施の形態の圧延装置100が組み込まれる連続鋳造圧延システムでは、鋳造バーが連続的に成型され、成形された鋳造バーが圧延装置100の圧延部V1に連続的に供給される。
<圧延部>
次に、図1および図2に示す圧延部12の構成例について説明する。以下では、図1および図2に示す複数の圧延部12のうち、最も上流側に配置される圧延部V1を取り上げて説明する。図3は、図2に示す複数の圧延部のうち、最も上流側に配置される圧延部の構成例を示す説明図である。以下の説明において、図3に示す圧延ロール20の外周円20Rとは、圧延ロール20の回転軸20rの軸線方向から視た平面視において、圧延ロール20の外縁を構成する円である。外周円20Rの中心が中心20cである。同様に、圧延ロール30の外周円30Rとは、圧延ロール30の回転軸30rの軸線方向から視た平面視において、圧延ロール30の外縁を構成する円である。外周円30Rの中心が中心30cである。図3に示す例では、中心20cは回転軸20rと一致し、中心30cは回転軸30rと一致する。
図3に示すように、圧延装置100(図1参照)の圧延部V1は、線材10を圧延する圧延ロール(第1圧延ロール)20と、圧延ロール20と対向する位置に配置され、圧延ロール20との間に線材10を挟んで圧延する圧延ロール(第2圧延ロール)30と、を有する。また、圧延部V1は、圧延ロール20に向かって第1の圧力で潤滑剤41を吹き付けるノズル(第1ノズル)40と、圧延ロール20に向かって第1の圧力より高い第2の圧力で液体51を吹き付けるノズル(第2ノズル)50と、を有する。
鋳造バーを連続的に圧延し、線材10を成形する場合、圧延ロール20および30の線材10と接する面に焼き付きが発生する。図1に示す複数の圧延部12のうち、最も上流に位置する圧延部V1は、特に焼き付きが発生し易い。この焼き付きを放置したまま線材を製造すると、線材10の表面粗さが粗くなるなどの問題が発生する。
ノズル40から吐出される潤滑剤41は、例えば水で希釈された潤滑油である。圧延装置100(図1参照)は、高温状態で線材10を圧延するので、圧延ロール20および30の温度が上昇する。潤滑剤41は、圧延ロール20の温度を冷却する機能を備える。圧延ロール20を冷却するため、ノズル40から吐出される潤滑剤41の場合、その吹き付け圧力よりも、流量が重要である。図3に示すように潤滑剤吐出部42は、複数の(図3では4個)ノズル40を有しているが、複数のノズル40から吐出される潤滑剤41の合計の流量は、例えば350[リットル/分]以上420[リットル/分]程度である。なお複数のノズル40のそれぞれの流量は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、複数のノズル40のそれぞれから吐出される潤滑剤41の吐出圧力は、例えば、0.7MPa以下である。
また、潤滑剤41は、圧延ロール20と線材10とが接触する部分での潤滑性を向上させる機能を備える。複数のノズル40のそれぞれから吐出された潤滑剤41は、圧延ロール20を介して線材10の表面にも付着する。圧延ロール20と線材10との間に潤滑剤41が介在することにより、線材10が圧延ロール20により圧延される際の接触界面の潤滑性を向上させることができる。
しかし、本発明者の検討によれば、上記した圧延ロール20の焼き付きは、連続的に圧延処理を施すことにより形成されるので、複数のノズル40のそれぞれから吐出される潤滑剤41の流量を増大させても、焼き付きを除去することはできないことが判った。本実施の形態の圧延装置100の場合、ノズル40とは別に、焼き付きを除去することを目的としたノズル50が設置される。ノズル50から液体51を圧延ロール20に高圧で吹き付けることで、圧延ロール20に形成された焼き付きを操業しながら取り除くことができる。
液体51は、例えば、ソリュブル油を水で数倍から数十倍に希釈した潤滑液である。液体51は、ノズル40から吐出される潤滑剤41と同じ成分の潤滑剤であってもよい。あるいは、液体51は、潤滑剤41とは、異なる潤滑剤であってもよい。液体51と潤滑剤41とが異なる場合には、潤滑成分である油が異なる場合の他、同じ成分の油をもちいていても希釈の程度が異なる場合が含まれる。また、液体51の吐出圧力は、1MPa~14MPaであり、潤滑剤吐出部42のノズル40からの潤滑剤41の吐出圧力より高い。
仮に、ノズル50から吐出される液体を線材10に吹き付けた場合、線材10に張り付いたスケールは除去できるが、圧延ロール20に形成された焼き付きを含む異物は、除去することができない。一方、本実施の形態によれば、圧延ロール20に高圧の液体51を吹き付けるので、圧延ロール20の表面から焼き付きを含む異物を除去することが可能である。
次に、ノズル50のレイアウトについて説明する。ノズル50は、ノズル40と干渉しない範囲内で任意の位置に配置することができるが、以下のレイアウトが特に好ましい。すなわち、圧延ロール20が液体51を吹き付けられた後、線材10と接触するまでの時間が長い場合、圧延ロール20に異物が再び付着する懸念がある。したがって、液体51により焼き付きが除去された後、線材10と接触するまでの時間を短縮する観点から、ノズル50は、線材10の入り口側に近い位置に配置することが好ましい。
ただし、圧延ロール20に液体51を吹き付ける位置が、線材10の直近になっている場合には、液体51により除去された焼き付きが異物となって線材10に付着して、そのまま圧延ロール20と線材10との間に挟まれる懸念がある。したがって、除去された焼き付きなどの異物が線材10に付着することを回避できる程度に液体51を吹き付ける位置と線材10との距離があることが好ましい。
上記を考慮して、本実施の形態の圧延装置100が備えるノズル40およびノズル50は、以下の位置に配置されている。すなわち、圧延ロール20の回転軸20rを中心20cとして圧延ロール20の外周円を、領域(第1領域)21、領域(第2領域)22、および領域(第3領域)23に区画する。領域22は、領域21よりも線材10の入口(供給側、上流側ともいう)に近く、かつ、領域21と領域23の間にある。線材10の進行方向に対して領域22は領域21よりも上流側に位置する。詳しくは、中心20cから線材10の進行方向に向かう角度を0度とすると、領域21は、中心20cに対して時計回り-90度以上135度未満である。領域22は、中心20cに対して時計回り135度以上180度以下である。領域23は、中心20cに対して時計回り180度より大きく、270度未満である。上記の前提において、ノズル40は、圧延ロール20の領域21に向かって潤滑剤41を吹き付ける。ノズル50は、圧延ロール20の領域22に向かって液体51を吹き付ける。
なお、上記した「ノズル50は、圧延ロール20の領域22に向かって液体51を吹き付ける。」とは、ノズル50から吐出される液体51が少なくとも領域22の一部分に吹き付けられることを意味するものである。したがって、液体51の一部が領域21あるいは領域23に吹き付けられるものを排除するものではない。同様に、「ノズル40は、圧延ロール20の領域21に向かって潤滑剤41を吹き付ける。」とは、ノズル40から吐出される潤滑剤41が少なくとも領域21の一部分に吹き付けられることを意味するものであり、潤滑剤41の一部が領域22に吹き付けられるものを排除するものではない。ただし、ノズル40および50から吹き付けられる潤滑剤41または液体51の拡散範囲は限られる。したがって、例えば、ノズル50から吐出された液体51が、領域21と領域22との境界、および領域22と領域23との境界のそれぞれを跨いで吹き付けられることはない。言い換えれば、液体51は、領域22の全体に同時に吹き付けられる場合は除外される。
ノズル40およびノズル50を上記したようにレイアウトすることにより、ノズル50から高圧で吹き付けられた液体51により圧延ロール20の焼き付きが除去された後、線材10と接触するまでの間に圧延ロール20に異物が付着することを抑制できる。また、ノズル50は領域22において、焼き付きを除去するので、除去された異物が圧延部V1による圧延前の線材10に付着することを抑制できる。
圧延ロール20に形成された焼き付きを除去する場合、上記したように、圧延ロール20の周囲にノズル40およびノズル50を配置することで、除去することができる。ただし、上記したように圧延部V1を含む複数の圧延部12(図1参照)のそれぞれは、一対の圧延ロール20および30を備え、この一対の圧延ロール20と30との間に線材10を挟むことで、線材10を圧延する。したがって、圧延ロール30にも圧延ロール20と同様の焼き付きが形成される懸念があり、これを操業しながら除去することが特に好ましい。そこで、本実施の形態の圧延装置100(図1参照)の場合、圧延部V1を構成する一対の圧延ロール20および30が、線材10の中心線を基準として線対称な構造になっている。
すなわち、圧延装置100は、圧延ロール30に向かって第3の圧力で潤滑剤61を吹き付けるノズル(第3ノズル)60と、圧延ロール30に向かって第3の圧力より高い第4の圧力で液体71を吹き付けるノズル(第4ノズル)70と、を有する。ここで、第3の圧力は、潤滑剤吐出部62が備える複数のノズル60からの吐出圧力であって、潤滑剤吐出部42が有するノズル40からの吐出圧力と同程度である。また、第4の圧力は、ノズル50からの吐出圧力と同程度であり、5MPa~10MPaである。また、潤滑剤61は、例えば潤滑剤41と同じ成分から成り、希釈倍率も同じである。また、液体71は、液体51と同じ成分から成り、希釈倍率も同じである。
また、ノズル60およびノズル70のレイアウトは以下が好ましい。すなわち、圧延ロール30の回転軸30rを中心(第2中心)30cとして圧延ロール30の外周円を、領域(第4領域)31、領域(第5領域)32、および領域(第6領域)33に区画する。領域32は、領域31よりも線材10の入口(供給側、上流側ともいう)に近く、かつ、領域31と領域33の間にある。線材10の進行方向に対して領域32は領域31よりも上流側に位置する。詳しくは、中心30cから線材10の進行方向に向かう角度を0度とすると、領域31は、中心30cに対して反時計回り-90度以上135度未満である。領域32は、中心30cに対して反時計回り135度以上180度以下である。領域33は、中心30cに対して反時計回り180度より大きく、270度未満である。上記の前提において、ノズル60は、圧延ロール30の領域31に向かって潤滑剤61を吹き付ける。ノズル70は、圧延ロール30の領域32に向かって液体71を吹き付ける。
<ノズル軸の角度>
次に、図3に示すノズル50を代表例として、ノズル軸の好ましい角度について説明する。なお、「ノズル軸の角度」とは、ノズルの吐出口の向きである。例えばノズルの吐出口を頂点として放射状に液体が圧延ロールの外周面の第2領域に放出される場合、第2領域に放射された液体が形成する三角錐の頂点から当該三角錐の底面に向かう垂線をノズル軸とし、圧延ロールの外周円の第2領域に接する接線と当該ノズル軸とのなす角度を「ノズル軸の角度」と呼ぶ。図4は、図3に示す高圧用のノズルのノズル軸の角度が、圧延ロールの外周円の法線方向と一致している場合の例を示す説明図である。図5は、図3に示す高圧用のノズルのノズル軸の角度が、圧延ロールの外周円の接線方向と一致している場合の例を示す説明図である。
図4に示す状態では、ノズル50は、ノズル50のノズル軸50sが、圧延ロール20の外周円20Rの第2領域22における法線方向と一致する角度(ノズル軸の角度が90度)に配置されている。液体51(図3参照)は、ノズル50のノズル軸50sの先端付近から放射状に吐出される。このため、図4に示すように、ノズル50のノズル軸50sが、圧延ロール20の外周円20Rの第2領域22における法線方向と一致する場合、液体51が圧延ロール20に吹き付けられる圧力が逃げ難い。この結果、焼き付きを効率よく除去することができる。
一方、図5に示す状態では、ノズル50は、ノズル50のノズル軸50sが、圧延ロール20の外周円20Rの第2領域22における接線方向と一致する角度(ノズル軸の角度が180度)に配置されている。なお、ノズル40とノズル50との干渉を回避する必要があるので、圧延ロール20の外周円20Rの接線方向とノズル軸50sとを一致させる場合、図5に示すように、ノズル50は、領域22の液体51(図3参照)が吹き付けられる位置よりも線材10に近い側に配置される。この場合、液体51は、線材10に近い側から線材10から離れる方向に向かって吹き付けられるので、除去された焼き付きなどの異物が、線材10と圧延ロール20との間に巻き込まれることを抑制できる。
このように、ノズル50の角度は、図4に示す状態および図5に示す状態のそれぞれにメリットがある。そこで、本実施の形態の圧延装置100(図1参照)の場合、ノズル50は、ノズル50のノズル軸50sの角度が、圧延ロール20の外周円20Rの法線方向から圧延ロール20の外周円20Rの接線方向までの範囲(ノズル軸の角度が0度以上、180度以下)で調節可能である。この場合、焼き付きの発生状況などに応じて、ノズル50の角度を適切な状態に調節することができるので、焼き付きの除去効率を向上させつつ、かつ、線材10と圧延ロール20との間に異物が巻き込まれることを抑制できる。
なお、図示による説明は省略するが、図3に示すノズル70の角度についてもノズル70の角度と同様のことが言える。したがって、ノズル70は、ノズル70のノズル軸の角度が、圧延ロール30の外周円30R(図3参照)の法線方向から圧延ロール30の外周円の接線方向までの範囲で調節可能であることが好ましい。
<焼き付き除去用ノズルの配置>
また、図1および図2を用いて説明したように、圧延装置100は、線材10の進行方向11に沿って配列される複数の圧延部12を有する。圧延装置100に対する変形例として、全ての圧延部12において、図3を用いて説明したノズル40、50、60、および70を配置する場合もある。ただし、設備の管理負担や、潤滑剤41および液体51の消費量を考慮すれば、複数の圧延部12のうち、特に焼き付きに起因する課題が生じやすい圧延部12に、選択的にノズル40、50、60、および70を配置することが好ましい。
上記したように、複数の圧延部12のうち、線材10の進行方向11において、最も上流側に位置する圧延部V1は、特に焼き付きが発生し易い。したがって、図3を用いて説明したように、圧延部V1は、圧延ロール20、圧延ロール30、ノズル40、およびノズル50を含むことが好ましい。また、圧延部V1の圧延ロール30において、焼き付きに起因する問題を解消するため、圧延部V1は、ノズル60、およびノズル70を含むことが好ましい。
また、複数の圧延部12のうち、圧延部V1、圧延部V1の隣に配置される圧延部V2、および圧延部V2の隣に配置される圧延部V3までは、線材10の温度が高い状態で加工され、焼き付きが発生し易い。このため、圧延部V1、V2、V3のそれぞれは、圧延ロール20、圧延ロール30、ノズル40、およびノズル50を含むことが好ましい。圧延部V1、V2、V3のそれぞれの圧延ロール30において、焼き付きに起因する問題を解消するため、圧延部V1、V2、V3のそれぞれは、ノズル60、およびノズル70を含むことが好ましい。
なお、図1および図2に示す例では、圧延部V4~V11のそれぞれは、ノズル40、50、60および70を含まず、単に、圧延ロール20および30の対により構成されている。ただし、変形例として、圧延部V4~V11のいずれかまたは全てにノズル40、50、60、および70のいずれかを配置する場合もある。例えば、圧延部V4~V11では焼き付きが発生する可能性は低くなるが、潤滑剤を塗布する必要がある場合には、圧延部V4~V11において、ノズル50および70は配置せず、ノズル40および60を配置する構成とする場合がある。
<液体の流量>
次に、図3に示す液体51および71の流量について好ましい態様を説明する。既に説明した通り、図3に示すノズル50は、液体51を高圧で圧延ロール20に吹き付けることで圧延ロール20に発生した焼き付きを除去するための高圧ノズルである。ノズル50から液体51を高圧で吐出する場合、ノズル50の上流側に図示しない加圧ポンプを接続し、加圧ポンプで加圧された液体51をノズル50の先端周辺から吹き付ける。ノズル50からの吐出圧力は、ノズル50と加圧ポンプとの接続経路における圧力損失を考慮する必要がある。例えば、ノズル50からの吐出圧力を10MPaにするためには、加圧ポンプの加圧性能は10MPaよりも高くする必要がある。
また、吐出圧力を高くするためには、液体51の流量の影響もある。同じ加圧性能の加圧ポンプを用いた場合、液体51の流量が少ない方が、流量が多い場合よりも安定的に加圧できる。そこで、本実施の形態の圧延装置100(図1参照)の場合、特に安定的に高圧で液体51を吹き付ける必要がある優先順位を規定し、この優先順位に基づいて液体51の流量を制御している。
すなわち、図3に示すノズル50から吹き付けられる液体51の流量は、圧延部V1(図2参照)に含まれるノズル50から吹き付けられる第1流量より圧延部V2(図1参照)に含まれるノズル50から吹き付けられる第2流量の方が多い。また、上記第2流量より圧延部V3(図2参照)に含まれるノズル50から吹き付けられる第3流量の方が多い。この場合、圧延部V1は、圧延部V2およびV3と比較して、ノズル50からの吐出圧力を、高圧の状態で維持し易い。また圧延部V2は、ノズル50からの吐出圧力は、圧延部V3のノズル50からの吐出圧力と比較して高圧の状態を維持し易い。線材10の圧延時の温度に起因して、焼き付きの発生頻度は、圧延部V1、圧延部V2、圧延部V3の順で高い。本実施の形態の場合、焼き付きの発生頻度と反比例するようにノズル50から吐出される液体51の流量を制御している。
一例として、上記第1流量は、14「リットル/分」、上記第2流量は、23「リットル/分」、上記第3流量は、25「リットル/分」である。ただし、本実施の形態に対する変形例として、上記第1流量、第2流量、および第3流量が同じである場合がある。
また、図3に示すノズル50は、液体51を高圧で吐出することで、焼き付きを除去する機能を発揮する。一方、複数のノズル40のそれぞれは、圧延ロール20の線材10と接触する面に潤滑剤41を安定液に供給することが重要である。このため、ノズル40から吹き付けられる潤滑剤41の流量は、ノズル50から吹き付けられる液体51の流量より多いことが好ましい。例えば、本実施の形態の場合、複数のノズル40のそれぞれから供給される潤滑剤41の流量は35~100[リットル/分]程度である。この場合、高圧ノズルであるノズル50は高圧状態を維持し易く、ノズル40からは、潤滑剤41が安定的に供給される。
なお、図示による説明は省略するが、図3に示す複数のノズル60は複数のノズル40と同様であり、ノズル70はノズル50と同様であることが好ましい。すなわち、図3に示すノズル70から吹き付けられる液体71の流量は、圧延部V1(図2参照)に含まれるノズル70から吹き付けられる第4流量より圧延部V2(図1参照)に含まれるノズル70から吹き付けられる第5流量の方が多いことが好ましい。また、上記第5流量より圧延部V3(図2参照)に含まれるノズル70から吹き付けられる第6流量の方が多いことが好ましい。例えば、上記第4流量は上記第1流量と、上記第5流量は上記第2流量と、上記第6流量は上記第3流量と、それぞれ等しい。
また、ノズル60から吹き付けられる潤滑剤61の流量は、ノズル70から吹き付けられる液体71の流量より多いことが好ましい。
<ノズルレイアウトの別表現>
図3を用いて説明したノズル50のレイアウトは、図4等を参照して以下のように表現することができる。すなわち、圧延装置100(図1参照)は、線材10を圧延する圧延ロール20と、圧延ロール20と対向する位置に配置され、圧延ロール20との間に線材10を挟んで圧延する圧延ロール30と、圧延ロール20に向かって第1の圧力で潤滑剤41(図3参照)を吹き付けるノズル40と、圧延ロール20に向かって第1の圧力より高い第2の圧力で液体51(図3参照)を吹き付けるノズル50と、を有する。この点は、図3を用いて説明した表現と同様である。
圧延ロール20の回転軸20rを中心20cとして圧延ロール20の外周円20Rを、領域(第1領域)21、領域(第2領域)22、および領域(第3領域)23に区画する。線材10の進行方向に対して領域22は領域21よりも上流側に位置する。中心20cから線材10の進行方向に向かう角度を0度とすると、領域21は、中心20cに対して時計回り-90度以上135度未満である。領域22は、中心20cに対して時計回り135度以上180度以下である。領域23は、中心20cに対して時計回り180度より大きく、270度未満である。
別表現の圧延装置100は、以下の点で図3を用いて説明した表現と異なる。すなわち、図4に示すように、ノズル40のノズル軸40sの延長線は、圧延ロール20の領域21と交差する。また、ノズル50のノズル軸50sの延長線は、圧延ロール20の領域22と交差する。
本発明は前記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しな
い範囲で種々変更可能である。
本発明は、圧延装置に利用可能である。
10 線材
11 進行方向
12 圧延部
20,30 圧延ロール(第1圧延ロール,第2圧延ロール)
20c,30c 中心(第1中心,第2中心)
20r,30r 回転軸
21,22,23,31,32,33 領域(第1領域~第6領域)
40,50,60,70 ノズル(第1ノズル~第4ノズル)
40s,50s ノズル軸
41,61 潤滑剤
42,62 潤滑剤吐出部
51,71 液体(潤滑剤)
100 圧延装置
V1~V11 圧延部(第1圧延部~第11圧延部)

Claims (7)

  1. 圧延される線材の進行方向に沿って配列される複数の圧延部を備え、
    前記複数の圧延部の少なくとも一つは、互いに対向して配置されて前記線材を圧延する一対の圧延ロールと、前記一対の圧延ロールの少なくとも一方の周方向に配置された複数のノズルと、を有し、
    前記一対の圧延ロールのうちの第1圧延ロールの回転軸を第1中心とし、
    前記線材の進行方向と平行であり、かつ、前記第1中心から前記線材の進行方向に向かう方向を0度とし、
    前記線材の進行方向に直交し、かつ前記第1中心から前記線材に向かう方向を-90度とすると、
    前記第1圧延ロールの外周円は、
    前記第1中心を基準として、-90度以上135度未満の範囲にある第1領域と、
    前記第1中心を基準として、135度以上180度以下の範囲にある第2領域と、
    を含み、
    前記複数のノズルは、前記第1圧延ロールの前記第1領域に向かって第1の圧力で潤滑剤を吹き付ける第1ノズルと、前記線材の進行方向に対して前記第1領域よりも上流側に位置する前記圧延ロールの前記第2領域に向かって前記第1の圧力より高い第2の圧力で潤滑剤を吹き付ける第2ノズルと、を有し、
    前記第2ノズルから吐出される前記潤滑剤は、前記第1ノズルから吐出される前記潤滑剤と同じ成分の潤滑剤である、圧延装置。
  2. 請求項1に記載の圧延装置において、
    前記第2ノズルは、前記第2ノズルのノズル軸の角度が、前記圧延ロールの外周円の法線方向から前記圧延ロールの外周円の接線方向までの範囲で調節可能である、圧延装置。
  3. 請求項1または2に記載の圧延装置において、
    前記第1ノズル、および前記第2ノズルは、前記複数の圧延部のうち、少なくとも前記線材の進行方向の最も上流側に配置された第1圧延部に配置されている、圧延装置。
  4. 請求項3に記載の圧延装置において、
    前記第1ノズル、および前記第2ノズルは、前記複数の圧延部のうち、前記第1圧延部、前記第1圧延部の隣に配置された第2圧延部、および前記第2圧延部の隣に配置された第3圧延部に配置されている、圧延装置。
  5. 請求項4に記載の圧延装置において、
    前記第2ノズルから吹き付けられる前記潤滑剤の流量は、
    前記第2圧延部に配置された前記第2ノズルから吹き付けられる第2流量が前記第1圧延部に配置された前記第2ノズルから吹き付けられる第1流量より多く、
    前記第3圧延部に配置された前記第2ノズルから吹き付けられる第3流量が前記第2流量より多い、圧延装置。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の圧延装置において、
    前記第1ノズルから吹き付けられる前記潤滑剤の流量は、前記第2ノズルから吹き付けられる前記潤滑剤の流量より多い、圧延装置。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載の圧延装置において、
    前記第1ノズルのノズル軸の延長線は、前記圧延ロールの前記第1領域と交差し、
    前記第2ノズルのノズル軸の延長線は、前記圧延ロールの前記第2領域と交差する、圧延装置。
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