JP7370808B2 - 巻回型二次電池およびその製造方法 - Google Patents

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Description

特許法第30条第2項適用 令和1年5月27日にニチコン株式会社が友晃電気株式会社にリチウムイオン二次電池を販売したことにより公開された。
本発明は、巻回型二次電池およびその製造方法に関する。
一般に、正極箔と負極箔とセパレータとを巻回した二次電池素子を備える巻回型二次電池では、セパレータとして合成樹脂製のものが使用される(例えば、特許文献1参照)。合成樹脂製のセパレータは、熱によって合成樹脂が溶融してセパレータの貫通孔が埋まり、電極間(正極箔-負極箔間)が絶縁されるため、二次電池素子の熱暴走を防止することができる。その一方で、合成樹脂製のセパレータは内部抵抗が高く、内部抵抗の低減が求められている。
また、巻回型二次電池では、二次電池素子の巻止めにテープが使用される。巻止め用のテープは、合成樹脂製基材に粘着剤を塗布したものが一般的である。しかしながら、近年は二次電池素子の小型化が進み、二次電池素子の径が小さくなっているため、テープでの固定が困難になり、特に二次電池素子の直径がφ8mm以下ではテープで固定してもはがれてしまうことがある。
特開2004-319311号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、セパレータの内部抵抗を低減し、かつ二次電池素子の巻止めを確実に行うことが可能な巻回型二次電池およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る巻回型二次電池は、
正極箔と負極箔とセパレータとを巻回した二次電池素子と、
前記二次電池素子を収容する外装ケースと、
を備える巻回型二次電池であって、
前記セパレータは、セルロース系および/またはレーヨン系の繊維製のセパレータであり、前記正極箔と前記負極箔との間に介在するとともに、前記二次電池素子の外周部に少なくとも二重に重なった積層領域を有し、
前記積層領域において、前記セパレータ同士が接着剤によって固定されていることを特徴とする。
上記巻回型二次電池において、
前記接着剤は、粘度が200mPa・s以上、400mPa・s以下であることが好ましい。
上記巻回型二次電池において、
前記積層領域の巻回中心側の面は、前記負極箔と対向することが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明に係る巻回型二次電池の製造方法は、
正極箔と負極箔とセパレータとを巻回して二次電池素子を形成する第1ステップと、
前記二次電池素子を電解液に浸漬させる第2ステップと、
前記電解液に浸漬させた前記二次電池素子を外装ケースに収容する第3ステップと、
を含む巻回型二次電池の製造方法であって、
前記第1ステップでは、
前記セパレータとしてセルロース系および/またはレーヨン系の繊維製のセパレータを用いて、前記セパレータが前記正極箔と前記負極箔との間に介在するとともに前記二次電池素子の外周部に少なくとも二重に重なった積層領域を有するように、前記正極箔と前記負極箔と前記セパレータとを巻回し、
前記積層領域において、接着剤を用いて前記セパレータ同士を固定することを特徴とする。
上記巻回型二次電池の製造方法において、
前記接着剤は、粘度が200mPa・s以上、400mPa・s以下であることが好ましい。
上記巻回型二次電池の製造方法において、
前記積層領域の巻回中心側の面は、前記負極箔と対向することが好ましい。
上記巻回型二次電池の製造方法において、
前記第1ステップでは、前記外周部において最外周の層となる前記セパレータとその内側の層となる前記セパレータとの間に前記接着剤を塗布し、前記最外周の層となる前記セパレータを巻回するよう構成できる。
前記接着剤としては、水溶性接着剤、水分散性接着剤、溶剤系接着剤が好ましい。水溶性接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキサイド系、ポリアクリルアミド系、デンプン系、ゼラチン、カゼイン、エーテル系セルロース、フェノール樹脂系、水ガラス等の水溶性接着剤が挙げられる。また、水分散性接着剤としては、アクリル系、酢酸ビニル系、エチレン-酢酸ビニル共重合体系、スチレン・ブタジエン共重合体系、ウレタン系、α-オレフィン系等の水分散性接着剤が挙げられる。これらの中で、接着剤の水への溶出率が低いため、水溶性接着剤としては、ポリビニルアルコール系、フェノール樹脂系が、水分散性接着剤としては、アクリル系、スチレン・ブタジエン共重合体系が好ましい。また、溶剤系接着剤としては、ポリウレタン接着剤、ポリイソシアネート接着剤、ポリウレア接着剤、エポキシ接着剤、アクリル接着剤、ポリアミド接着剤、ポリブタジエン系接着剤などを例示することができる。
本発明によれば、セパレータの内部抵抗を低減し、かつ二次電池素子の巻止めを確実に行うことが可能な巻回型二次電池およびその製造方法を提供することができる。
本発明に係る巻回型二次電池の断面図である。 本発明に係る巻回型二次電池の二次電池素子の斜視図である。 本発明に係る巻回型二次電池の製造方法における二次電池素子の巻止めを説明するための図である。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る巻回型二次電池およびその製造方法の実施形態について説明する。なお、以下では、巻回型二次電池がリチウムイオン二次電池である場合について説明するが、本発明は、リチウムイオン二次電池に限定されるものではない。
[巻回型二次電池]
図1に、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池1の断面図を示す。リチウムイオン二次電池1は、二次電池素子10と、外装ケース2と、封口体3とを備える。外装ケース2は、二次電池素子10を収容する有底筒状のケースであり、例えばアルミニウムケースである。封口体3は、外装ケース2の開口部を封止する弾性体であり、例えばゴムからなる。外装ケース2の開口部には、気密性を確保するために絞り加工が施されている。
図2に示すように、二次電池素子10は、負極に相当する負極箔11と、正極に相当する正極箔12と、セパレータ13と、電解質(図示せず)と、負極リード14と、正極リード15とを備える。二次電池素子10は、負極箔11、正極箔12およびセパレータ13を巻回した巻回構造になっている。
負極箔11は、負極集電体と、負極集電体に形成された負極活物質層とを備える。負極集電体は、例えば、アルミニウム箔からなる。負極活物質層は、リチウムを吸蔵・放出しうる負極活物質として、リチウム金属またはリチウム合金などの無機化合物(例えば、チタン酸リチウム)を含む。
正極箔12は、正極集電体と、正極集電体に形成された正極活物質層とを備える。正極集電体は、例えば、アルミニウム箔からなる。正極活物質層は、正極活物質としてリチウムと遷移金属元素とを含む酸化物(例えば、マンガン酸リチウム)を含む。
セパレータ13は、繊維製のセパレータである。特に、セルロースなどの天然繊維を含むセルロース系のセパレータおよび/またはレーヨンなどの再生繊維を含むレーヨン系のセパレータが好ましい。セルロース系および/またはレーヨン系の繊維製のセパレータは、合成樹脂製のセパレータと比べて内部抵抗が小さいため、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池1では、セパレータ13の内部抵抗を低減することができる。
セパレータ13は、負極箔11と正極箔12との間、および負極箔11の外側(外周側)に設けられている。セパレータ13は、二次電池素子10の外周部を構成し、当該外周部において少なくとも二重に重なった積層領域を有する。積層領域では、セパレータ13同士が接着剤によって固定(巻止め)されている。
巻止めに使用する接着剤として、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)を含む水溶液系の糊が使用される。接着剤は、粘度を200mPa・s以上、400mPa・s以下であることが好ましい。なお、本明細書において、接着剤の粘度とは、測定温度を25℃に保持した状態で、エー・アンド・デイ社製の音叉型振動式粘度計SV-10を用いて測定した値をいう。
粘度を200mPa・s以上にすることで、接着剤がセパレータ13に浸透し、さらに負極箔11および正極箔12まで浸入してしまうのを防ぐことができる。また、粘度を400mPa・s以下にすることで、接着剤が硬くなり過ぎたことにより二次電池素子10の生産性が低下してしまうのを防ぐことができる。
電解質は、二次電池素子10を電解液に浸漬することで、負極箔11、正極箔12およびセパレータ13に付着する。電解液は、非水系溶媒に支持塩を溶解した非水系電解液である。支持塩は、例えば、ヘキサフルオロリン酸塩を含む。
負極リード14は、負極箔11に電気的に接続され、封口体3に形成された第1貫通孔を介して外装ケース2の外部に引き出されている。同様に、正極リード15は、正極箔12に電気的に接続され、封口体3に形成された第2貫通孔を介して外装ケース2の外部に引き出されている。負極リード14および正極リード15の電極箔との接続部はアルミニウムからなり、外装ケース2の外部に引き出されている部位は鉄芯または銅芯で外層にすずめっきを施したものである。負極リード14および正極リード15は、同一方向に平行に引き出されたラジアルリード構造になっている。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池1では、セパレータ13として繊維製のセパレータ、具体的にはセルロースなどの天然繊維を含むセルロース系のセパレータおよび/またはレーヨンなどの再生繊維を含むレーヨン系のセパレータを用いているので、合成樹脂製のセパレータを用いた場合と比べて、セパレータ13の内部抵抗を低減することができる。
さらに、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池1では、二次電池素子10の巻止めに接着剤を使用しているので、テープのようにはがれてしまうことがなく、巻止めを確実に行うことができる。
[巻回型二次電池の製造方法]
本実施形態に係る製造方法は、リチウムイオン二次電池1の製造方法である。本実施形態に係る製造方法は、負極箔11と正極箔12とセパレータ13とを巻回して二次電池素子10を形成する第1ステップと、形成した二次電池素子10を電解液に浸漬させる第2ステップと、電解液に浸漬させた二次電池素子10を外装ケース2に収容する第3ステップと、を含む。
第1ステップでは、セパレータ13が正極箔12と負極箔11との間に介在するとともに負極箔11の外側(外周側)に設けられ、さらに二次電池素子10の外周部に少なくとも二重に重なった積層領域を有するように、負極箔11と正極箔12とセパレータ13とを巻回する。
図3に示すように、外周部の積層領域において、二次電池素子10の最外周の層となるセパレータ13aとその内側の層となるセパレータ13bとの間に(図3では、セパレータ13bに)、予め粘度を調整した水溶液系の糊を塗布する。
次いで、最外周の層となるセパレータ13aを巻回することで、セパレータ13aをセパレータ13bに固定する。これにより、二次電池素子10の巻止めが完了する。二次電池素子10は、最外周からセパレータ13a、セパレータ13b、負極箔11の順になる。
水溶液系の糊の塗布は、例えば、専用のへら(図示せず)に水溶液系の糊を注液し、へらをセパレータ13bに押し当てて、セパレータ13aを巻回しながら行われる。水溶液系の糊は、セパレータ13aとセパレータ13bとの間に留まり、負極箔11への浸入が抑制される。セパレータ13bの下(巻回中心側)に負極箔11が位置するため、セパレータ13bにへらを押し当てても二次電池素子10へのストレスを少なくすることができる。
第2ステップでは、形成した二次電池素子10を電解液に浸漬させ、負極箔11、正極箔12およびセパレータ13に電解質を付着させる。第3ステップでは、電解液に浸漬させた二次電池素子10を外装ケース2に収容し、封口体3で外装ケース2の開口部を封止する。
また、本実施形態では、正極箔12は正極活物質としてマンガン酸リチウムを含み、負極箔11は負極活物質としてチタン酸リチウムを含み、セパレータ13はレーヨン系の繊維製のセパレータを用い、電解液にはヘキサフルオロリン酸塩を含む非水系電解液を用いて、下記の実験1を行った。リチウムイオン二次電池1の仕様は表1記載のとおりである。
Figure 0007370808000001
(実験1)
実験1では、第1ステップにおいて、互いに粘度の異なる条件1~5の水溶液系の糊を用いて二次電池素子10の巻止めを行った3つのリチウムイオン二次電池1をそれぞれ5000個準備し、電気検査を行った。巻止めは、図3を参照して説明した上記の方法で行った。条件1~5は、表2記載のとおりである。
Figure 0007370808000002
電気検査では、準備した上記リチウムイオン二次電池1を、電池電圧2.8[V]まで充電電流1.75[mA](5[C])にて定電流定電圧充電(カットオフ電流0.1[mA])を行った後、10分の休止時間を挟んで、放電電流1.75[mA](5[C])にて電池電圧1.8[V]まで放電させて、特性不良(LC大不良、容量不良)の判定を行った。
LC大不良の判定では、漏れ電流が所定値よりも大のものを不良品として判定し、容量不良の判定では、容量が所定値よりも小のものを不良品として判定した。特性不良の判定結果を表3に示す。
Figure 0007370808000003
表3から分かるように、条件1の水溶液系の糊を用いて二次電池素子10の巻止めを行ったリチウムイオン二次電池1では、5000個のうち1132個のLC大不良と346個の容量不良が見られる。これは、水溶液系の糊がセパレータ13に浸透し、さらに負極箔11および正極箔12まで浸入したためと考えられる。
一方で、条件2~5の水溶液系の糊を用いて二次電池素子10の巻止めを行ったリチウムイオン二次電池1では、LC大不良と容量不良が大幅に減少している。これは、水溶液系の糊の粘度を200mPa・s以上(厳密には、208mPa・s以上)に調整することで、水溶液系の糊がセパレータ13aとセパレータ13bとの間に留まり、負極箔11および/または正極箔12への浸入が抑制されたためと考えられる。また、水溶液系の糊の粘度が400mPa・sを超えると、糊が硬くなり過ぎ塗布が困難になり、二次電池素子10の生産性に支障をきたすが、水溶液系の糊の粘度400mPa・s以下にすることで、糊が硬くなり過ぎるのを回避し、二次電池素子10の生産性が低下することを防止することができる。
結局、本実施形態に係る製造方法によれば、セパレータ13として、セルロースなどの天然繊維を含むセルロース系のセパレータおよび/またはレーヨンなどの再生繊維を含むレーヨン系のセパレータを用いているので、合成樹脂製のセパレータを用いた場合と比べて、セパレータ13の内部抵抗を低減することができる。
また、本実施形態に係る製造方法によれば、二次電池素子10の巻止めに水溶液系の糊を使用しているので、二次電池素子10の外周にテープを巻回しないため素子径の小型化が図れ、さらに、テープのようにはがれてしまうことがなく、巻止めを容易かつ確実に行うことができる。さらに、水溶液系の糊の粘度を200mPa・s以上、400mPa・s以下の範囲で調整することで、リチウムイオン二次電池1の生産性を低下させることなく特性不良(LC大不良、容量不良)を大幅に減少させることができる。
以上、本発明に係る巻回型二次電池およびその製造方法の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
本発明に係る巻回型二次電池は、正極箔と負極箔とセパレータとを巻回した二次電池素子と、二次電池素子を収容する外装ケースと、を備える巻回型二次電池であって、セパレータは、セルロース系またはレーヨン系の繊維製のセパレータであり、正極箔と負極箔との間に介在するとともに、二次電池素子の外周部に少なくとも二重に重なった積層領域を有し、積層領域においてセパレータ同士が接着剤によって固定されているのであれば、適宜構成を変更できる。
本発明に係る巻回型二次電池の製造方法は、正極箔と負極箔とセパレータとを巻回して二次電池素子を形成する第1ステップと、二次電池素子を電解液に浸漬させる第2ステップと、電解液に浸漬させた二次電池素子を外装ケースに収容する第3ステップと、を含む巻回型二次電池の製造方法であって、第1ステップでは、セパレータとしてセルロース系またはレーヨン系の繊維製のセパレータを用いて、セパレータが正極箔と負極箔との間に介在するとともに二次電池素子の外周部に少なくとも二重に重なった積層領域を有するように、正極箔と負極箔とセパレータとを巻回し、積層領域において接着剤を用いてセパレータ同士を固定するのであれば、適宜構成を変更できる。
例えば、二次電池素子の巻止めに用いる接着剤の粘度は、200mPa・s以上、400mPa・s以下の範囲で調整することが好ましい。また、接着剤として、ポリビニルアルコール(PVA)を含む水溶液系の糊以外のものを使用してもよい。
1 リチウムイオン二次電池
2 外装ケース
3 封口体
10 二次電池素子
11 負極箔
12 正極箔
13、13a、13b セパレータ
14 負極リード
15 正極リード

Claims (2)

  1. 正極箔と負極箔とセパレータとを巻回して二次電池素子を形成する第1ステップと、
    前記二次電池素子を電解液に浸漬させる第2ステップと、
    前記電解液に浸漬させた前記二次電池素子を外装ケースに収容する第3ステップと、
    を含む巻回型二次電池の製造方法であって、
    前記第1ステップでは、
    前記セパレータとしてセルロース系および/またはレーヨン系の繊維製のセパレータを用いて、前記セパレータが前記正極箔と前記負極箔との間に介在するとともに前記二次電池素子の外周部に少なくとも二重に重なった積層領域を有するように、前記正極箔と前記負極箔と前記セパレータとを巻回し、
    前記積層領域において、接着剤を用いて前記セパレータ同士を固定し、
    前記接着剤は、粘度が200mPa・s以上、400mPa・s以下の水溶液系の糊であり、
    前記第1ステップでは、前記積層領域における前記セパレータを巻回しながら、前記セパレータ同士の間に前記水溶液系の糊を塗布することで、前記二次電池素子の巻止めを行うことを特徴とする巻回型二次電池の製造方法。
  2. 前記積層領域の巻回中心側の面が前記負極箔と対向することを特徴とする請求項1に記載の巻回型二次電池の製造方法。
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