JP4052537B2 - 非水二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水二次電池に関し、さらに詳しくは、高容量化を図りながら安全性を確保するために特定の構造を有する非水二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リチウムイオン二次電池に代表される非水二次電池は、電解液の主溶媒として有機溶媒を用いる二次電池であり、この非水二次電池は、容量が大きく、かつ高電圧、高エネルギー密度、高出力であることから、ますます需要が増える傾向にある。現在、正極活物質としてLiCoO(コバルト酸リチウム)を用い、負極活物質として炭素系材料を用いたリチウムイオン二次電池が商品化されているが、この電池は高容量化のために、従来のリチウム金属を負極とする非水二次電池とは異なり、上記活物質を結着剤などとともに有機溶剤中に分散させたペーストとし、このペーストを用いて正極集電体、負極集電体ともに集電体の両面すべてにそれぞれ活物質を含有する塗膜を形成し、それをそれぞれ正極、負極として用いている。そして、それらの帯状の電極をセパレータを介して渦巻状に巻回した電極体を電池缶に挿入して電池が構成されている。
【0003】
ところで、この非水二次電池では、電解液の主溶媒として、これまで引火性の有機溶媒であるエチレンカーボネートなどの環状エステルやジメチルカーボネート、プロピオン酸メチルなどのエステルを混合したものが用いられてきた。そのため、安全性確保のための設計には特に注意が払われており、従来からも安全機構として、ガス発生による電池缶の破裂を防止するために封口体に遮断ベントを設けることや、過電流が流れて電池が発熱することを防止するために電池缶にPTC素子を設けたり、高温時にセパレータの細孔が溶着して細孔を閉鎖することによりリチウムイオンの移動を阻害するシャットダウン機構を持たせることなどが行われてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らの研究によれば、この非水二次電池は、今後さらに高容量化を図っていた場合やユーザーから要求される仕様によっては、電池の発電要素自体の構造についてさらに工夫をしていかないと、安全性面で充分に対応することができなくなるおそれのあることがわかってきた。つまり、故意に異常使用を想定した圧壊試験や釘刺し試験、外部短絡試験などの苛酷な条件下での安全性試験では安全性に欠ける傾向のあることが判明した。
【0005】
例えば、上記の圧壊試験は、電池が故意に何らかの事故で押し潰された場合を想定したものであるが、この圧壊試験では、負極集電体に溶接したリード体がセパレータを介して正極と対向していると短絡しやすいことが判明した。これは、電池を圧壊することにより、負極のリード体がセパレータを突き破ることによるものと考えられる。また、電池缶は電極端子を兼ねているため、圧壊試験により電池缶に異極の電極が接触した場合、短絡電流が流れることになり、特に抵抗の高い活物質含有塗膜があると発熱量が増加する。また、上記発熱により電極体を包むセパレータが溶融した場合、上記電極(電池缶と異極の電極)の他の箇所も電池缶と接触して、二次的な内部短絡が生ずるおそれがある。さらに、集電体に活物質含有塗膜を設けた電極を用いる非水二次電池では、生産工程における金属片などの異物の混入や、巻回構造の電極体を電池缶に挿入する際に活物質の脱落が生じることが多い。通常、正極と負極の間はセパレータで隔離されているので、それらの異物によって短絡が生じることは少ないが、異物が大きい場合には圧壊試験時においてこれらの異物が電池缶内に存在するといわゆる微小短絡(ソフトショート)が発生し、これが引き金となって内部短絡にまで至る可能性がある。
【0006】
また、釘刺し試験は、電池の圧壊や外部短絡に比べて少ない部分で電池を確実に短絡させるので、短絡部位に電流が集中し、より発熱しやすくなり、電池が部分的に急速に高温になりやすいため、セパレータのフューズ(溶融による目詰り)のばらつきが生じやすく、また短絡部位での電解液と負極との反応による発熱が多くなるので、この釘刺し試験は通常の使用条件下では生じ得ないような安全性の欠如も見出し得るほど苛酷な安全性確認試験である。従って、この釘刺し試験で安全性が確認できれば、異常使用に遭遇した場合でも安全性が確保できるものと考えられる。
【0007】
また、上記釘刺し試験は室温で行うよりも45℃の高温状態で行う方が、電池がより高温にまで上昇しやすく、電池の熱暴走反応が生じやすい。さらに、1/2釘刺しのように、釘を電池の途中で止める方が、短絡部分が少なくなり電流がより集中して発熱しやすい。従って、この釘刺し試験を45℃で行い、1/2釘刺しにすると、安全性を確認するための試験として非常に苛酷な試験となり、そのような苛酷な条件下の試験で安全性が確認できれば、実使用で充分な安全性が確保できるものと考えられる。
【0008】
さらに、非水二次電池では安全性が高いことを確認するために、例えば4.2V以上の充電状態にした後、正極と負極とを接続する強制的な外部短絡試験が行われるが、電池の高エネルギー化が進むにつれ外部短絡時に大電流が流れることになる。そのため、電池内部で比較的抵抗の高い部分と接触するセパレータが溶融するため二次的な内部短絡を引き起し、電池が部分的に急速に高温になりやすい。また、上記圧壊試験と同様に、巻回構造の電極体と電池缶との間のセパレータが溶融した場合、異極の電極と電池缶の内壁とが接触して短絡が生じるとともに、電池缶内に異物が存在すると、それらの異物が抵抗の高いものである場合、微小短絡が生じた箇所の短絡が進む結果、その短絡が生じた箇所でも局部的な発熱が生じるおそれがある。従って、この外部短絡試験で安全性が確認できればそのような異常使用に遭遇した場合でも安全性が確保できるものと考えられる。
【0009】
また、外部短絡試験も室温で行うよりも45℃の高温状態で行う方が、電池がより高温にまで上昇しやすく、電池の熱暴走反応が生じやすいため、外部短絡試験を45℃で行うと安全性を確認するための試験として非常に苛酷な試験となり、そのような苛酷な条件下の試験で安全性が確認できれば、実使用で充分な安全性が確保できるものと考えられる。
【0010】
最近の高容量化への流れにより電池のエネルギー密度は今後ますます高くなる傾向にあるため、上記のような苛酷な条件下での安全性確認試験である圧壊試験や釘刺し試験、さらには外部短絡試験においても高い安全性を有するようにしておくことが必要であり、そのためには電池の内部構造を発火しにくい構造に変更しておくことが必要であることがわかってきた。
【0011】
本発明は、上記のような事情により、今後の高容量化に備え、苛酷な条件下での安全性確認試験である圧壊試験や釘刺し試験、さらには外部短絡試験においても充分に安全性が確認できるように電池の構造を改良し、安全性が高い非水二次電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、非水二次電池の構造について鋭意検討を重ねた結果、正極集電体の少なくとも一部には両面に正極活物質含有塗膜を形成してなる正極と、負極集電体の少なくとも一部には両面に負極活物質含有塗膜を形成してなる負極とをセパレータを介して巻回してなり満充電での充放電可能な容量が単位体積当たり130mAh/cm以上である巻回構造の電極体を電池缶に収容してなる非水二次電池であって、上記巻回構造の電極体の電池缶と対向する電極は負極のみで構成されており、上記巻回構造の電極体における正極の少なくとも最外周部の正極集電体の外周面側に正極活物質含有塗膜を形成していない部分を1周以上設け、上記正極集電体の正極活物質含有塗膜を形成していない部分がセパレータを介して負極と対向し、かつ負極集電体に溶接したリード体がセパレータを介して負極、負極缶としての電池缶、正極集電体に接着した正極絶縁テープのいずれかに対向して、正極と直接対向しない構造にし、かつ巻回構造の電極体の最外周部における正極活物質含有塗膜と負極活物質含有塗膜との重なり開始部分と負極のリード体との距離を負極の最外周部1周に対して1/6周以上1/2周以下離れさせることにより、高容量化を達成しながら、圧壊試験、釘刺し試験さらには外部短絡試験などの苛酷な安全性確認試験においても優れた安全性を示す安全性の高い非水二次電池が得られることを見出したものである。
【0013】
以下、本発明を完成するに至った経過および上記構成にすることによって高容量化を達成しながら高い安全性を確保できる理由を詳細に説明する。
【0014】
リチウムイオン二次電池などの非水二次電池における巻回構造の電極体の最も一般的なのは、容積当たりの容量を増加して高容量の電池にするためにアルミニウム箔などからなる正極集電体の少なくとも一部には両面に正極活物質含有塗膜を形成した1枚の帯状の正極と銅箔などからなる負極集電体の少なくとも一部には両面に負極活物質含有塗膜を形成した1枚の帯状の負極と2枚のセパレータとを、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積み重ね、負極が正極より外周側になるように渦巻状に巻回したものである。
【0015】
そこで、本発明者らは、上記のような巻回構造の電極体を有し、かつ、非水二次電池として最も普及しているリチウムイオン二次電池を入手し、圧壊試験や釘刺し試験、外部短絡試験を行ったところ、通常の市販のリチウムイオン二次電池では危険性が低いものの、このリチウムイオン二次電池においてエネルギー密度を上げていくとその危険性が高くなっていくことが判明した。すなわち、これらの電池の負極には通常炭素材料などのリチウムを脱挿入できる化合物が使用されているが、負極が過充電されてリチウムが多少でも電着した場合、約100℃付近から電解液と電着リチウムやリチウムが挿入された炭素材料との間で発熱反応が生じることが判明した。
【0016】
また、正極でも、リチウムが脱離することによって、電解液との反応開始温度が低くなり、100℃付近から発熱することがある。そして、さらに温度が上昇して正極の熱暴走温度に達すると、電池は異常発熱を起こす。このような連続反応を伴う発熱現象があるため、電池の満充電での充放電可能な容量が巻回構造の電極体の単位体積当たり130mAh/cm以上になると、電池が充電された時の安全性が低下する。
【0017】
ここでいう巻回構造の電極体の体積とは、正極、負極およびセパレータを巻回したものの電池内における嵩体積であり、渦巻状に巻回する際に使用した巻き軸を取り除いた時に残った孔などは体積として含まない。要は正極、負極およびセパレータが占める嵩体積を合計したものである。これらの3つの体積要素は電池の容量を決定する重要な要因であり、電池の大きさにかかわらず巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量(放電容量/巻回構造の電極体の体積)を計算することによって電池の容量密度を比較することができる。
【0018】
また、ここでいう放電容量とはその電池の標準使用条件で充放電させた場合の放電容量である。そして、この標準使用条件での放電容量を測定することによって満充電での充放電可能な容量がわかる。なお、標準使用条件が特に定まっていない場合は、25℃、1C(その電池を1時間で放電できる電流)で4.2Vまで充電し、4.2Vに達した後は、定電圧充電を行い、充電2時間半で充電を終了し、0.2Cで2.75Vまで放電を行い容量を計算する。
【0019】
つまり、巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電可能な容量が多いほど過充電時に発熱した場合に単位体積当たりの発熱量が多くなり、電池温度が正極の熱暴走温度にまで上昇する可能性が高くなる。従って、単位体積当たりの放電容量の大きい電池ほど発熱をうまくコントロールして電池の温度が正極の熱暴走温度にまで上昇しないようにしておく必要がある。また、巻回構造の電極体の体積が大きい場合も放熱されにくい。本発明はそのように体積の大きい場合、具体的には、巻回構造の電極体の体積が10cm以上、特に11cm以上の場合に適用しても安全性を確保することができるので、特にその効果が顕著に発現し、好ましい結果が得られる。
【0020】
本発明において、巻回構造の電極体における正極の少なくとも最外周部の正極集電体の外周面側に正極活物質含有塗膜を形成せずに正極集電体のみの部分を1周以上設け、その正極集電体の正極活物質含有塗膜を形成していない部分がセパレータを介して負極と対向し、かつ負極集電体に溶接したリード体がセパレータを介して正極と直接対向しないようにすることよって、安全性を向上させることができる理由は、以下のように考えられる。
【0021】
前記のように、負極に炭素材料のようなリチウムを脱挿入できる化合物を用いることによって、電解液と負極との高温での反応性はリチウム金属を負極に用いていた場合よりも低くなっているが、正極集電体の少なくとも一部には両面に正極活物質含有塗膜を形成しているため、正極の充放電可能な容量が増えることにより電解液との反応性が増加して、発熱量が多くなり、電池の温度が上昇しやすくなる。しかし、巻回構造の電極体における正極の少なくとも最外周部の正極集電体の外周面側に正極活物質含有塗膜を1周以上形成せず、その正極集電体の正極活物質含有塗膜を形成していない部分をセパレータを介して負極と対向させることにより、正極活物質含有塗膜が存在する場合に比べて釘刺し試験で釘を刺した場合の局所的な発熱が分散され、それによって、放熱が早くなり、正極が熱暴走温度に達しにくくなって、電池が異常発熱を起こしにくくなり、電池の安全性が向上する。すなわち、上記構成になっていると、最外周部の最初の短絡箇所には充電された正極活物質が存在しないため発熱しても熱暴走温度までには至りにくい。そして、電極体の外周側から見て2番目の短絡箇所には、充電された正極活物質があるものの、1番目の短絡箇所に合わせて電流が流れるので、2番目の短絡箇所だけでは最初の電流の半分以下が流れることになり、充電した正極活物質の温度上昇が抑えられ熱暴走温度には至りにくい。
【0022】
また、圧壊試験においては、電極に設けられているリード体が電極上で凸部となり、この部分に大きな集中応力や、電極体にねじれ応力が発生しやすくなる。そして、電解液を注入し、封口して電池を組み立てて充電を行うと、活物質の膨潤、特に負極活物質の膨潤によって電極体が膨らむため、上記の集中応力やねじれ応力がさらに増大し、電極体が歪むようになる。このような場合に、負極集電体に溶接されたリード体がセパレータに強く押し付けられ、しかもリード体には負極活物質含有塗膜よりも硬い金属材料が用いられるため、圧壊時において、巻回構造の電極体がつぶれる際にセパレータを突き破りやすくなり、それによって内部短絡が生じやすい。また、巻回構造の電極体の最外周部に正極および負極のいずれもが存在する構造では、この巻回構造の電極体にその外周側で対向する電池缶は一方の電極に対して異極として作用するため、電極体と電池缶内壁との間のセパレータが溶融した場合、電池缶と異極の電極とが接触することになり、短絡が発生するとともに、短絡による発熱で電極体を包むセパレータが溶融した場合、上記電極(電池缶と異極の電極)の他の箇所も電池缶と接触することになるため、二次的な内部短絡が生ずるおそれがある。さらに巻回構造の電極体と電池缶との間に異物が混入した場合、それによって電極が導通状態になるため微小短絡が生じやすく、圧壊試験時にこの微小短絡を誘発する要因になりやすい。
【0023】
また、一般に負極のリード体や活物質含有塗膜部分は抵抗が高いため、圧壊試験においてリード体がセパレータを突き破り内部短絡による大電流が流れたときに負極のリード体と対向している正極活物質含有塗膜がジュール熱により、電池内部の発熱を助長し、しかも放熱を妨げるため、正極は比較的早い段階で熱暴走温度に達しやすい。さらに、釘刺し試験により強制的に大電流が流れた場合、電流は負極のリード体に集中するため局部的に高温になり、リード体に接しているセパレータが軟化、溶融しやすくなり、それによってもリード体がセパレータを突き破りやすくなる。
【0024】
また、外部短絡試験においては、充電電圧を通常使用ではあり得ない高電圧にして正極と負極を接続して外部短絡させることにより電池が高い安全性を有していることを確認することができるが、そのような高電圧の充電状態にした場合、負極のリード体周辺のセパレータはリード体の持つ抵抗による発熱のため、リード体を中心に放物線状に、しかも外周側から溶融することが判明した。すなわち、負極のリード体を負極の最外周部に設けた巻回構造の電極体に外部短絡によって大電流が流れた場合、まず、負極のリード体の外周側のセパレータが激しく溶融し、ついで、負極のリード体の内周側のセパレータが溶融する。特に負極のリード体の内周側のセパレータは電池のエネルギー密度が高くなるのに比例して巻回構造の電極体の内周側2、3層にわたり溶融、破壊する。そして、正極活物質含有塗膜と負極活物質含有塗膜とが対向している部分のセパレータまで溶融、破壊すると、正極活物質含有塗膜と負極活物質含有塗膜との接触により内部短絡を起こし電池は異常発熱を起こす。このような外部短絡試験からの二次的な内部短絡が起こった際には、圧壊試験の場合と同様に大電流が流れて負極のリード体と対向している正極活物質含有塗膜がジュール熱により電池内部の発熱を助長し、しかも放熱を妨げるため正極は比較的早い段階で熱暴走温度に達しやすい。また、圧壊試験と同様に、巻回構造の電極体の最外周部に正極と負極の両方が存在すると、負極のリード体の外周面側のセパレータの溶融が進み、異極となる電極と電池缶との間のセパレータが溶融した場合、電池缶と異極の電極とが接触することになり、短絡が発生するとともに、外部短絡時に電極体と電池缶との間に異物が混入している場合、特にそれらの異物の抵抗が高い場合には、この短絡箇所に電流が集中するため、局部的な発熱が大きくなる。
【0025】
本発明は、上記のような事情を考慮して、巻回構造の電極体の電池缶と対向する電極は負極のみで構成するとともに、負極のリード体がセパレータを介して負極、負極缶としての電池缶、正極集電体に接着した正極絶縁テープのいずれかと対向して正極と直接対向しないようにしているので、内部短絡が生じやすい最外周部においても短絡の発生する確率を低減するとともに、混入した異物による局部的な発熱を防止し、しかも本発明の電池を圧壊試験にかけて強制的に圧壊してもリード体による内部短絡が生じにくく、また外部短絡試験により負極のリード体に大電流が流れて発熱した場合でも、セパレータの溶融を抑制して発熱を低減することができる。巻回構造の電極体の電池缶と対向する電極とは活物質含有塗膜が形成されていない電極集電体のみであってもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより具体的に説明する。
【0027】
本発明の具体的形態(1)によれば、図2に示すように、正極1の最外周部では正極集電体1aの外周面側には正極活物質含有塗膜を形成せず、内周面側のみ正極活物質含有塗膜1bを形成している(なお、図2には図示していないが、正極の最外周部から見て内周側2周目以降の正極には正極集電体の両面に正極活物質含有塗膜が形成されている)。また、巻回構造の電極体の電池缶と対向する電極は負極のみで構成されており(ただし、この図2をはじめ、後に説明する図3〜4、図6〜8、図10〜11などでも、図が大きくなりすぎるのを避けるためリード体の周辺のみを示している)、そして、負極2は最外周部と該最外周部から2周目が示されているが、負極2の最外周部は負極集電体2aのみで、そのいずれの面にも負極活物質含有塗膜が形成されておらず、その最外周部から2周目では負極集電体2aの両面に負極活物質含有塗膜2bが形成されている。そして、セパレータ3は正極1と負極2との間のみならず、巻回構造の電極体の最外周部に位置する負極集電体2aと電池缶5[この具体的形態(1)の場合は、電池缶5は負極缶である]の内面との間にも介在している。なお、この図2をはじめ、巻回構造の電極体を示す図はいずれも巻回構造の電極体を模式的に示したものであって、各部材の寸法比は必ずしも正確ではない。これは実際には厚みの薄い部材にも一定の厚みを持たせて図示しているからである。また、そのような関係もあって、実際には隙間がないところを隙間があるかのように図示したり、その逆であったり、さらには実際には小さな隙間しかあいていないところを大きな隙間があいているかのように図示している部分がある。
【0028】
この具体的形態(1)の巻回構造の電極体では、図2に示すように、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極は負極のみで構成されており、正極1の最外周部の正極集電体1aの外周面側には正極活物質含有塗膜が形成されておらず、その正極集電体1aの露出部分(つまり、正極集電体1aの正極活物質含有塗膜が形成されていない部分)がセパレータ3を介して負極2の負極集電体2aの露出部分(つまり、負極集電体2aの負極活物質含有塗膜が形成されていない部分)と対向し、かつ負極2の負極集電体2aに溶接したリード体15がセパレータ3を介して最外周部から2周目の負極2の負極活物質含有塗膜2bと対向し、正極1とは直接対向しないようになっている。
【0029】
従って、この具体的形態(1)の巻回構造の電極体を有する電池では、満充電の充放電可能な容量が巻回構造の電極体の単位体積当たり130mAh/cm以上の高容量にした場合でも、釘刺し試験において電極体の最外周部の負極集電体2aがセパレータ3を介して正極集電体1aと対向している部分に釘が刺された場合に局部的な熱が分散され、正極1が熱暴走温度に達しにくくなって、電池が異常発熱を起こしにくくなり、安全性を向上させることができる。また、圧壊試験においても、負極2のリード体15部分での応力がかかりにくいので、圧壊試験時の内部短絡を防止できるとともに、圧壊した場合でも、負極2のリード体15が最外周部からみて2周目の負極2と接触することになるため、内部短絡の発生を防止することができる。さらに、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極を負極2のみで構成しているので、負極端子を兼ねる電池缶5と正極1は負極2を介して対向することになり、圧壊試験や外部短絡試験により巻回構造の電極体と電池缶5との間に介在するセパレータ3が溶融、破壊した場合でも正極1と電池缶5との接触による内部短絡が生ずることがなく、また巻回構造の電極体と電池缶5との間に混入した異物などによる微小短絡が生じにくく、圧壊試験時において内部短絡にまで進行する確率を低減することができ、外部短絡試験においては電池缶5と対向する電極に正極1が存在しないので、導通状態になることを防止することができ、局部的な発熱を避けることができる。そして、釘刺し試験、圧壊試験、外部短絡試験などによりリード体15に大電流が流れ、リード体15が発熱してセパレータ3が溶融した場合でも、リード体15が正極1と対向していないので、内部短絡の発生を防止することができる。
【0030】
特に、上記巻回構造の電極体の形状を楕円状または長円形状にした場合には、リード体15の凸部によってねじれ応力や歪み応力がかかりやすく、それによってリード体15と接するセパレータ3にかかる応力が増加するため、リード体15が発熱した際にセパレータ3がさらに溶融しやすくなるが、本発明によれば、そのような場合にも安全性が確保できるので、本発明をそのような場合に適用すると、その効果を顕著に発現させることができる。なお、上記最外周部は、後述する具体的形態(2)に述べるように真正に電極の最外周1周に該当する場合が好ましいが、内部短絡が発生する確率を低減できる程度であれば1周未満に該当する場合であってもよい。
【0031】
また、本発明においては、上記巻回構造の電極体にするとともに、巻回構造の電極体の長さ方向において正極1の正極活物質含有塗膜1bがセパレータ3を介して負極2の負極活物質含有塗膜2bと対向し、正極1の最外周部において正極集電体1aに正極活物質含有塗膜1bを形成していない部分を外周面側に1周以上設けることを特徴としている。すなわち、正極1の最外周部において正極集電体1aに正極活物質含有塗膜1bを形成していない部分を実質的に1周以上設けることにより、電極体のいずれの箇所を釘刺しした場合でも異常発熱が発生する確率を低減することができる。
【0032】
さらに、本発明においては、上記巻回構造の電極体にする場合、負極集電体2aに溶接したリード体15の厚みが対向する部分の負極2の厚みとセパレータ3の厚みの3倍との合計厚み(負極2の厚み+セパレータ3の厚み×3)よりも薄くすることが好ましい。すなわち、圧壊試験において、負極2のリード体15が内周側に押圧された場合に、負極2のリード体15の厚みを負極2の厚みとセパレータ3の厚みの3倍との合計厚よりも薄くすることにより、圧壊が進んでリード体15が最外周部からみて2周目の負極2を突き破り、さらにその内周側の正極1と接触することによる内部短絡の発生を低減することができる。
【0033】
なお、上記説明からも明らかなように、ここでいう負極2の厚みとは、負極2のリード体15が対向している負極2を突き破ることによる内部短絡を防止する観点から、負極2のリード体15と対向する内周側の負極2の厚みを意味している。
【0034】
また、本発明においては、巻回構造の電極体の最外周部における正極活物質含有塗膜1bと負極活物質含有塗膜2bとの重なり開始部分17と負極2のリード体15との距離(両者の最も近接した部分間の距離をいう。以下同様)が巻回構造の電極体の最外周部の負極1周分に対して1/6周以上1/2周以下離れていることを特徴としている。すなわち、外部短絡試験においては、前述したように負極2のリード体15の内周側のセパレータは電池のエネルギー密度が高くなるのに比例して巻回構造の電極体の内周側2、3層にわたり溶融、破壊し、最外周部の負極2のリード体15周辺のセパレータ3は負極2のリード体15を中心に放物線状に溶融することから、正極活物質含有塗膜1bと負極活物質含有塗膜2bとの重なり開始部分17と負極2のリード体15とはある一定距離以上で離れた位置を維持しないと外部短絡させたときに二次的な内部短絡を引き起こす可能性がある。本発明者らの検討によれば、そのような二次的な内部短絡を低減するためには、最外周部における正極活物質含有塗膜1bと負極活物質含有塗膜2bとの重なり開始部分17と負極2のリード体15との距離が最外周部の負極2の1周分に対して1/6周以上、特に1/5周以上であって、かつ1/2周以下離れて設置しておくことが好ましいことも見出した。
【0035】
さらに、本発明においては、上記巻回構造の電極体にする場合、負極2の最外周部における放熱がスムーズに行い得るように、図2に示すように、負極2の最外周部において負極集電体2aの両面に負極活物質含有塗膜が形成されていない構造にすることが好ましい。
【0036】
なお、図2に示すように、正極1の最外周部においては、正極集電体1aの外周面側には正極活物質含有塗膜を形成せず、正極集電体1aの内周面側にのみ正極活物質含有塗膜を形成することにより、充放電されない正極活物質含有塗膜や負極活物質含有塗膜による厚みを減少させ、電池缶内の空間を効率よく利用することができ、さらなる高容量化を図ることができる。そして、このような高容量電池でも本発明を適用することにより、安全性を大幅に向上させることができる。
【0037】
また、上記巻回構造の電極体としては、さらに内部短絡の発生する確率を低減するために、具体的形態(2)として、図7に示すように、負極2の最外周部において負極集電体2aの両面に負極活物質含有塗膜が形成されていない部分を1周以上設けることが好ましく、かつ正極1の最外周部において正極集電体1aの外周面側に正極活物質含有塗膜を形成していない部分を1周以上設けることが必要である。
【0038】
すなわち、この具体的形態(2)では、図7に示すように、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極は1周以上が負極2のみで構成されており、負極2は最外周部と該最外周部から2周目が示されているが、負極2の最外周部の1周以上が負極集電体2aのみで、そのいずれの面にも負極活物質含有塗膜が形成されておらず、その最外周部から2周目以降では負極集電体2aの両面に負極活物質含有塗膜2bが形成されている。そして、この正極1も最外周部と該最外周部から2周目が示されているが、最外周部において正極集電体1aの外周面側に正極活物質含有塗膜を形成せず、正極集電体1aが露出した部分を1周以上設けており、上記正極集電体1aの露出部分は、セパレータ3を介して負極2の負極集電体2aの露出部分と対向している。また、負極2の負極集電体2aに溶接したリード体15は、前記具体的形態(1)の場合と同様に、セパレータ3を介して最外周部から2周目の負極2の負極集電体2aと対向し、正極1とは直接対向しないようになっている。
【0039】
従って、この具体的形態(2)の巻回構造の電極体を有する電池では、前記具体的形態(1)の場合と同様に、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極を負極のみにすることや、負極のリード体15が正極1と直接対向しない構造に基づく効果が得られるとともに、正極1、負極2とも最外周部の1周以上にわたって抵抗の高い活物質含有塗膜で対向する部分がなく、いずれの箇所でも抵抗の低い負極集電体2aと正極集電体1aとで短絡することになるので、さらに内部短絡による発熱を低減することができる。そして、巻回構造の電極体の最外周部と電池缶5との間に異物が混入している場合でも、正極1、負極2とも集電体のみで対向しているので、微小短絡が生じた場合でも抵抗が小さく、内部短絡に至る可能性を低減できる。さらに、たとえ短絡しても、金属製の集電体同士での接触であるため、それらの熱伝導率の高さによって放熱を助長することから、最外周部の全体において電池が異常発熱しにくい。なお、上記具体的形態(2)では、負極2を巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極とした場合で説明したが、後述する参考形態(5)と同様に巻回構造の電極体の正極と負極の巻回構造を逆にし、正極を巻回構造の電極体の電池缶と対向する電極とし、該正極の最外周部では正極集電体の両面に正極活物質含有塗膜が形成されていない部分を1周以上設け、かつ負極の最外周部において負極集電体の外周面側に負極活物質含有塗膜を形成していない部分を1周以上設けた場合でも同様に内部短絡の低減に寄与できる。
【0040】
本発明の具体的形態(3)では、前記具体的形態(1)において負極2の最外周部の内周面側に負極のリード体15を設けるのとは逆に、図6に示すように、負極2の最外周部の外周面側にリード体15を設けている。すなわち、この巻回構造の電極体の最外周部では正極集電体1aの外周面側には正極活物質含有塗膜を形成せず、内周面側のみ正極活物質含有塗膜1bを形成している。そして、この図6では、負極2は最外周部と該最外周部から2周目が示されているが、負極2の最外周部では負極集電体2aのみで、そのいずれの面にも負極活物質含有塗膜が形成されておらず、その最外周部から2周目では負極集電体2aの両面に負極活物質含有塗膜2bが形成されている。そして、この具体的形態(3)では、負極2のリード体15は最外周部の負極集電体2aの先端部の外周面側に取り付けられ、セパレータ3は正極1と負極2との間のみならず、巻回構造の電極体の最外周部に位置する負極集電体2aと電池缶5[この具体的形態(3)では、電池缶5は負極缶である]の内周面との間にも介在している。
【0041】
この具体的形態(3)の巻回構造の電極体では、図6に示すように、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極が負極2のみで構成されており、正極1の最外周部の正極集電体1aの外周面側には正極活物質含有塗膜が形成されておらず、内周面側のみ正極活物質含有塗膜1bが形成され、その正極集電体1aの露出部分がセパレータ3を介して負極2の負極集電体2aの露出部分と対向し、かつ負極2の負極集電体2aに溶接したリード体15がセパレータ3を介して電池缶5と対向し、正極1とは直接対向しないようになっている。
【0042】
従って、この具体的形態(3)の巻回構造の電極体を有する電池では、満充電での充放電可能な容量が巻回構造の電極体の単位体積当たり130mAh/cm以上と高容量であった場合でも、釘刺し試験において釘を刺した場合に局部的な熱が分散され、正極が熱暴走温度に達しにくくなって、電池が異常発熱を起こしにくくなり、安全性を向上させることができる。また、圧壊試験においても、負極2のリード体15が電池缶5[この具体的形態(3)の場合、電池缶5は負極缶である]と対向しているため、圧壊した場合でも負極のリード体15が負極缶としての電池缶5と接触するだけなので、内部短絡の発生を防止することができる。さらに、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極を負極のみにしているので、負極端子を兼ねる電池缶5と正極1は負極2を介して対向することになり、圧壊試験や外部短絡試験により電池缶と対向する負極のリード体15周辺のセパレータ3が溶融、破壊した場合でも正極1と電池缶5とが接触することがなく、また電池缶5との間の異物による微小短絡が生じにくく、圧壊試験時において内部短絡まで進行する確率を低減することができ、外部短絡試験において電池缶5と対向する電極に正極1が存在しないので、導通状態になることを防止することができ、局部的な発熱を避けることができる。そして、釘刺し試験、圧壊試験および外部短絡試験により負極2のリード体15に大電流が流れ、リード体15が発熱してセパレータ3を溶融させた場合でも、リード体15が正極1と直接対向していないので、内部短絡の発生を防止することができる。
【0043】
本発明における具体的形態(4)の巻回構造の電極体においては、図3に示すように、前記具体的形態(1)の場合と同様に、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極が負極2のみで構成されており、正極1の最外周部の外周面側に無地部、つまり、正極集電体1aの露出部分(正極活物質含有塗膜が形成されていない部分、ただし、内周面側のみ正極活物質含有塗膜1bが形成されている)を設けるが、先端部の外周面側には正極絶縁テープ16が接着され、この正極絶縁テープ16がセパレータ3を介して負極集電体2aに溶接したリード体15と対向し、負極2のリード体15は正極1と直接対向しない構造になっている。
【0044】
従って、この具体的形態(4)の巻回構造の電極体を有する電池においても、釘刺し試験、圧壊試験において正極が熱暴走温度に達しにくくなって、電池が異常発熱を起こしにくくなり、安全性を向上させることができる。また、圧壊試験においても、負極2のリード体15に応力がかかりセパレータ3を突き破って正極1に近接した場合でも、リード体15と対向する正極絶縁テープ16により、正極1との直接の接触を防止でき、内部短絡の発生を防止することができる。さらに、前記具体的形態(1)の場合と同様に、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極を負極2のみにしているので、巻回構造の電極体の最外周部での内部短絡の発生を低減できるとともに、釘刺し試験、圧壊試験、外部短絡試験などにおいて負極2のリード体15に大電流が流れてリード体15が局部的に高温になりセパレータ3が軟化、溶融した場合でも、負極2のリード体15がセパレータ3を介して対向する正極絶縁テープ16と接触するだけなので、内部短絡の発生を防止することができる。
【0045】
また、本発明においては、上記巻回構造の電極体において、負極集電体2aに溶接したリード体15の厚みを対向する部分の正極絶縁テープ16の厚みとセパレータ3の厚みとの合計厚み(正極絶縁テープ16の厚み+セパレータ3の厚み)よりも薄くすることが好ましい。すなわち、上記巻回構造の電極体では圧壊試験において、負極2のリード体15の厚みを正極絶縁テープ16の厚みとセパレータ3の厚みの合計厚みよりも薄くすることにより、負極2のリード体15が内周側に押圧された場合に、圧壊が進んでリード体15がセパレータ3を突き破り、その内周側の正極1と接触することによる内部短絡の発生を低減することができる。
【0046】
本発明における巻回構造の電極体の参考形態(5)は、前記具体的形態(1)の巻回構造の電極体の正極と負極の巻回構造を逆にし、正極を電極体の電池缶5と対向する電極とした場合であり、このような巻回構造の電極体にも本発明を適用することができる。すなわち、図4に示すように、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極は正極のみで構成されており、正極1の正極集電体1aの最外周部の外周面側には正極活物質含有塗膜を形成せず、無地部、つまり、正極集電体1aの露出部分になっていて、その正極集電体1aの露出部分がセパレータ3を介して電池缶5[この参考形態(5)では、電池缶5は正極缶である]の内面と対向している。
【0047】
そして、正極1の正極集電体1aの先端部の内周面側には前記具体的形態(4)の場合とは逆に、正極集電体1aの露出部分のリード体15(負極のリード体15)と対向する内周面側には正極絶縁テープ16が接着され、負極2の最外周部の負極集電体2aの外周面側にはリード体15が溶接されていて、このリード体15がセパレータ3を介して前記の正極絶縁テープ16と対向している。
【0048】
従って、上記参考形態(5)の巻回構造の電極体にすることにより、前記具体的形態(1)と同様に、釘刺し試験における電池の異常発熱を防止できるとともに、圧壊試験において負極2のリード体15がセパレータ3を突き破った場合でも正極絶縁テープ16と接触するだけであり、内部短絡の発生を防止することができる。また、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極を正極1のみにしているので、巻回構造の電極体と電池缶5との間に介在するセパレータ3が溶融した場合でも正極端子を兼ねる電池缶5と負極2とが接触することがなく、また、巻回構造の電極体と電池缶5との間に混入した異物による微小短絡が生じにくく、圧壊試験時において内部短絡にまで進行する確率を低減することができ、外部短絡試験において電池缶5と対向する電極に負極2が存在しないため、導通状態になることを防止することができ、局部的な発熱を避けることができる。そして、釘刺し試験、圧壊試験および外部短絡試験によりリード体15が高温になり、セパレータ3が軟化、溶融した場合でも、負極2のリード体15が正極絶縁テープ16と接触するだけなので、内部短絡の発生を防止することができる。
【0049】
なお、上記参考形態(5)の巻回構造の電極体においては、前記具体的形態(4)の場合と同様に、負極集電体2aに溶接したリード体15の厚みを対向する部分の正極絶縁テープ16の厚みとセパレータ3の厚みとの合計厚み(正極絶縁テープ16の厚み+セパレータ3の厚み)よりも薄くすることが好ましい。
【0050】
また、上記具体的形態(3)、(4)および参考形態(5)の巻回構造の電極体を有する電池においても、前記具体的形態(2)において説明したように、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極を集電体の両面に活物質含有塗膜を設けず、他方の電極を内周面側にのみ活物質含有塗膜を設け、外周面側に集電体が露出した部分を1周以上設けることもでき、そのような構造にすることにより巻回構造の電極体の最外周部においてはいずれの箇所でも1周以上集電体のみで対向する構造にすることができるので、内部短絡時には低抵抗の金属同士の接触になって、大電流が流れることを防止できるとともに、内部短絡時に内周側においても発熱量を低減することが可能になる。また、上記具体的形態(2)〜(4)および参考形態(5)においても、前記具体的形態(1)の場合と同様に、外部短絡試験における二次的な内部短絡を防止するため、巻回構造の電極体の最外周部における正極活物質含有塗膜1bと負極活物質含有塗膜2bとの重なり開始部分17と負極2のリード体15とが最外周部の負極1周分に対して1/6周以上離れて配置していることが好ましい。
【0051】
なお、上記具体的形態(1)〜(4)および参考形態(5)においては、釘刺し試験、圧壊試験、外部短絡試験などにおいて内部短絡時の放熱がより容易になるため、負極2のリード体15を負極2の最外周側に設けた例で説明したが、例えば図8に示すように、負極2のリード体15が正極1と直接対向しない形態であれば負極2のリード体15を電極体の内部に設けることもできる。
【0052】
つぎに、本発明の電池構成について説明する。
【0053】
本発明の非水二次電池において、電解質としては、有機溶媒系の液状電解質、ゲル状電解質、固体電解質のいずれでもよいが、本発明は液状電解質(以下、「電解液」という)を用いる場合に対して特に効果が大きい。電解液の溶媒として、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸メチルなどの鎖状のCOO−結合を有する鎖状エステルや、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ガンマ−ブチロラクトン(γ−BL)、エチレングリコールサルファイト(EGS)などの環状エステル、また、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,3−ジオキソラン(DO)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチル−テトラヒドロフラン(2Me−THF)、ジエチルエーテル(DEE)などのエーテルのほか、アミン系またはイミド系有機溶媒や、含イオウ系または含フッ素系または含リン酸系または含シリコン系有機溶媒なども用いることができる。
【0054】
本発明において、上記電解液における溶媒の主溶媒として鎖状エステルを用いると、電解液の粘度を下げ、イオン伝導度を高めることから好ましい。主溶媒というのは、これらの鎖状エステルを含んだ全電解液溶媒中で鎖状エステルが50体積%を超えることを意味する。鎖状エステルが65体積%を超えると、従来技術では4.4V充電後の釘刺し試験での電池の安全性が低下する傾向にあるが、本発明によれば、そのように鎖状エステルが65体積%を超える場合でも安全性を確保でき、本発明の効果が顕著に発現する。
【0055】
そして、鎖状エステルが70体積%を超えると、従来技術では電池の安全性がより低下しやすくなるので、本発明の効果がより一層顕著に発現するようになり、鎖状エステルが75体積%を超えると、従来技術では電池の安全性がさらに低下しやすくなるので、本発明の効果がさらに一層顕著に発現するようになる。また、鎖状エステルがメチル基を有する場合も従来技術では電池の安全性が低下しやすかったが、本発明によれば、そのような鎖状エステルがメチル基を有する場合でも安全性を確保でき、本発明の効果がより一層顕著に発現する。
【0056】
また、上記鎖状エステルに下記の誘電率が高いエステル(誘電率30以上)を混合して用いると、鎖状エステルだけで用いる場合よりも、サイクル特性や電池の負荷特性が向上するので、電池としてはより好ましいものとなる。このような誘電率の高いエステルとしては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ガンマ−ブチロラクトン(γ−BL)、エチレングリコールサルファイト(EGS)などが挙げられる。特に環状構造のものが好ましく、とりわけ環状のカーボネートが好ましく、エチレンカーボネート(EC)が最も好ましい。
【0057】
上記高誘電率エステルは電解液の全溶媒中の40体積%未満が好ましく、より好ましくは30体積%以下、さらに好ましくは25体積%以下である。そして、これらの誘電率の高いエステルによる安全性の向上は、上記エステルが電解液の全溶媒中で10体積%以上になると電池特性が良くなり、20体積%に達するとさらに向上が見られるようになる。
【0058】
電解液の溶質としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などが単独でまたは2種以上混合して用いられるが、特にLiPF6 やLiC4 9 SO3 などが充放電特性が良好なことから好ましい。電解液中における溶質の濃度は、特に限定されるものではないが、0.3〜1.7mol/l、特に0.4〜1.5mol/l程度が好ましい。
【0059】
本発明において、正極活物質としては、特に限定されることはないが、例えば、LiCoOなどのリチウムコバルト酸化物、LiMnなどのリチウムマンガン酸化物、LiNiOなどのリチウムニッケル酸化物、二酸化マンガン、五酸化バナジウム、クロム酸化物などの金属酸化物またはこれらを基本構造とする複合酸化物(例えば、異種金属添加品)、あるいは二硫化チタン、二硫化モリブデンなどの金属硫化物などが用いられる。特にLiNiO、LiCoO、LiMnなどの充電時の開路電圧がLi基準で4V以上を示すリチウム複合酸化物を正極活物質として用いる場合には、高エネルギー密度が得られるので好ましい。特に充電したLiCoOやLiNiOは電解液との反応開始温度がLiMnなどより低く、負極の発熱によって正極が熱暴走温度に達しやすいが、本発明によれば、正極活物質としてLiCoOやLiNiOを用いる場合にも安全性を確保することができるので、本発明は、正極活物質としてLiCoOやLiNiOを用いる場合に、その効果が顕著に発現する。
【0060】
そして、正極は、例えば、上記の正極活物質に例えば鱗片状黒鉛やカーボンブラックなどの導電助剤や、例えばポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレンなどの結着剤などを適宜添加し、溶剤でペースト状にし(結着剤はあらかじめ溶剤に溶解させておいてから正極活物質などと混合してもよい)、その正極活物質含有ペーストをアルミニウム箔などの金属箔からなる正極集電体に塗布し、乾燥して正極活物質含有塗膜を形成することによって作製される。ただし、本発明においては、前記のように巻回構造の電極体において正極の少なくとも最外周部の正極集電体の外周面側となる部分には正極活物質含有塗膜を形成せず正極集電体のみの部分を残しておく。
【0061】
本発明において、上記正極集電体の厚さとしては、5〜60μm、特に8〜40μmが好ましく、また、正極活物質含有塗膜の厚さとしては、片面当たり30〜300μm、特に50〜150μmが好ましい。
【0062】
負極に用いる材料としては、リチウムイオンをドープ、脱ドープできるものであればよく、本発明においては、そのようなリチウムイオンをドープ、脱ドープできる物質を負極活物質という。そして、この負極活物質としては、特に限定されることはないが、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などの炭素材料、Si、Sn、Inなどの合金またはLiに近い低電圧で充放電できるSi、Sn、Inなどの酸化物などを用いることができる。
【0063】
負極活物質として炭素材料を用いる場合、該炭素材料としては下記の特性を持つものが好ましい。すなわち、その(002)面の面間距離(d002)に関しては、3.5Å以下が好ましく、より好ましくは3.45Å以下、さらに好ましくは3.4Å以下である。また、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)に関しては、30Å以上が好ましく、より好ましくは80Å以上、さらに好ましくは250Å以上である。そして、上記炭素材料の平均粒径は8〜20μm、特に10〜15μmが好ましく、純度は99.9重量%以上が好ましい。
【0064】
負極は、例えば、上記負極活物質に例えばポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレンなどの結着剤を適宜添加し、さらに要すれば導電助剤を適宜添加して、溶剤でペースト状にし(結着剤はあらかじめ溶剤に溶解させておいてから負極活物質などと混合してもよい)、その負極活物質含有ペーストを銅箔などからなる負極集電体に塗布し、乾燥して負極活物質含有塗膜を形成することによって作製される。ただし、本発明においては、後記の実施例に示すように巻回構造の電極体において少なくとも負極の最外周部の負極集電体の外周面側となる部分には負極活物質含有塗膜を形成せず、負極集電体のみの部分を残しておくことが好ましい。
【0065】
本発明において、上記負極集電体の厚さとしては、5〜60μm、特に8〜40μmが好ましく、また上記負極活物質含有塗膜の厚さとしては、片面当たり30〜300μm、特に50〜150μmが好ましい。
【0066】
上記正極集電体や負極集電体としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼などの金属の箔、エキスパンドメタル、網などが用いられるが、正極集電体としては特にアルミニウム箔が好ましく、負極集電体としては特に銅箔が好ましい。
【0067】
上記正極や負極の作製にあたって、上記正極活物質含有ペーストや負極活物質含有ペーストを集電体に塗布する際の塗布方法としては、例えば、押出しコーター、リバースローラー、ドクターブレードなどをはじめ、各種の塗布方法を採用することができる。
【0068】
また、高容量化を図るという観点からは、巻回構造の電極の単位体積当たりの充放電可能な容量が大きいことが好ましく、満充電での充放電可能な容量が巻回構造の電極の単位体積当たり130mAh/cm以上が好ましく、140mAh/cm以上がより好ましく、150mAh/cmがさらに好ましい。このような高容量の電池では、異常発熱などを起こしやすいが、本発明では上記のような高容量の電池に対しても安全性を確保することができるので、本発明は上記のような高容量の電池に適用する場合にその効果を顕著に発現する。
【0069】
本発明において、負極のリード体は、前記のようにして作製された負極に、抵抗溶接、超音波溶接などにより負極集電体の露出部分に溶接されるが、この負極のリード体の断面積としては、大電流が流れた場合の抵抗を低減し発熱量を低減するために、0.1mm以上で1.0mm以下が好ましく、0.3mm以上で0.7mm以下がより好ましい。負極のリード体の材質としては、ニッケルが一般に用いられるが、銅、チタン、ステンレス鋼なども用いることができる。
【0070】
また、本発明において、正極集電体に接着する正極絶縁テープとしては、例えば、イミド系、ポリテトラフルオロエチレン系、ポリフェニレンサルファイト系などの絶縁テープを用いることが好ましい。上記正極絶縁テープの厚みとしては、50μm以上で120μm以下が好ましく、60μm以上で100μm以下がより好ましい。そして、正極絶縁テープの幅としては対向するリード体(負極のリード体)の幅にもよるが、通常、5mm以上で15mm以下が好ましく、7mm以上で12mm以下がより好ましい。
【0071】
本発明において、セパレータとしては、強度が充分でしかも電解液を多く保持できるものが好ましく、そのような観点から、厚さが10〜50μmで、開孔率が30〜70%のポリプロピレン製、ポリエチレン製またはエチレンとプロピレンのコポリマー製の微孔性フィルムや不織布などが好ましい。
【0072】
本発明の非水二次電池は、例えば、上記のようにして作製された正極と負極との間にセパレータを介在させて重ね合わせ、それを渦巻状、楕円状、長円形状などに巻回して作製した巻回構造の電極体をニッケルメッキを施した鉄やステンレス鋼、あるいはアルミニウムまたはアルミニウム合金製の電池缶内に挿入し、封口する工程を経て作製される。また、上記電池には、通常、電池内部に発生したガスをある一定圧力まで上昇した段階で電池外部に排出して、電池の高圧下での破裂を防止するための防爆機構が取り入れられる。
【0073】
なお、本発明が対象とする非水二次電池は、充電電圧が4.25V以上、特に4.35Vまで充電される場合には異常発熱などの危険性が増す傾向にあるが、本発明によればそのような場合にも安全性が確保できるので、本発明をそのような場合に適用するとその効果が顕著に発現する。その詳細は実施例で説明する。
【0074】
本発明は、電池の形状のいかんにかかわらず適用でき、どのような形状の電池にも適用可能であるが、特に円筒形、楕円筒形、角形などの電池に適用するのが適している。そして、電池の放電状態において巻回構造の電極体の巻回外径の最小値を上記のような円筒形電池や楕円筒形電池の電池缶の内径より0.4〜0.7mm小さくすることが好ましい。すなわち、巻回構造の電極体の巻回外径の最小値を電池の放電状態において電池缶の内径より0.4mm以上小さくすることによって、電池の容量が高くなっても釘刺し試験などでの安全性を確実に確保でき、また、巻回構造の電極体の巻回外径の最小値を電池の放電状態において電池缶の内径より0.7mm小さくすることによって、電池の容量が大きく減少するのを防止することができる。なお、巻回構造の電極体の巻回外径の測定方法は後記の実施例において詳細に説明する。
【0075】
【実施例】
つぎに、実施例をあげて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものでもない。
【0076】
実施例1
メチルエチルカーボネートとエチレンカーボネートとを体積比2:1で混合した混合溶媒に、LiPFを1.2mol/l溶解させて、組成が1.2mol/lLiPF/EC:MEC(1:2体積比)で示される電解液を調製した。
【0077】
上記電解液におけるECはエチレンカーボネートの略称であり、MECはメチルエチルカーボネートの略称である。従って、上記電解液を示す1.2mol/lLiPF/EC:MEC(1:2体積比)は、メチルエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの体積比1:2の混合溶媒にLiPFを1.2mol/l溶解させたものであることを示している。
【0078】
これとは別に、正極活物質としてのLiCoOに導電助剤として鱗片状黒鉛を重量比92:4.5の割合で加えて混合し、この混合物と、ポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液とを混合してペーストを調製した。この正極活物質含有ペーストを70メッシュの網を通過させて大きなものを取り除いた後、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥して正極活物質含有塗膜を形成した。ただし、これより作られる正極を負極やセパレータなどと共に巻回構造の電極体にした時に、正極の最外周部の正極集電体の外周面側となる部分には上記正極活物質含有ペーストの塗布を行わず、無地部(つまり、正極活物質含有塗膜が形成されていない正極集電体の露出部分)の長さが53mm(約1周分)になるようにした。この帯状体を乾燥後、厚み169μmに圧縮成形し、切断した後、幅3mmで厚み100μmのアルミニウム製のリード体の一端を上記無地部(つまり、正極集電体の露出部分)に溶接してリード体を取り付け、帯状の正極を作製した。
【0079】
つぎに、負極活物質としての黒鉛系炭素材料〔ただし、002面の面間距離(d0002)=3.37Å、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)=950Å、平均粒径10μm、純度99.9%以上という特性を持つ炭素材料〕を、ポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液と混合してペーストを調製した。この負極活物質含有ペーストを厚さ10μmの帯状の銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥して負極活物質含有塗膜を形成した。ただし、これより作られる負極を前記正極やセパレータなどと共に巻回構造の電極体にした時に、負極の最外周部となる部分の負極集電体には上記負極活物質含有ペーストの塗布を行わず、無地部(つまり、負極活物質含有塗膜が形成されていない負極集電体の露出部分)の長さが48mmになるようにした。この帯状体を乾燥後、厚み167μmに圧縮成形し、切断した後、無地部(つまり、負極集電体の露出部分)の最先端から8mmのところに、幅3mmで厚み0.1mm(断面積0.3mm)のニッケル製のリード体の一端を溶接して、帯状の負極を作製した。
【0080】
上記正極および負極を乾燥処理後、ドライ雰囲気中で上記正極を厚さ25μmの微孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータを介して上記負極に重ね、渦巻状に巻回して渦巻状の巻回構造の電極体にした。この巻回構造の電極体の体積は11.3cmであった。その後、この巻回構造の電極体を後述のように電池缶内に挿入し、図1に構造を模式的に示す円筒形の非水二次電池を作製した。また、上記巻回構造の電極体の最外周部およびその近傍の要部を図2に示す。
【0081】
まず、図2に示す巻回構造の電極体から先に説明すると、この図2においては、正極1は最外周部が示されており、この最外周部ではアルミニウム箔からなる正極集電体1aの外周面側には正極活物質含有塗膜を形成せず、内周面側のみ正極活物質含有塗膜1bを形成している。そして、負極2は最外周部と該最外周部から2周目が示されていて、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極は負極2のみで構成され、その最外周部は負極集電体2aの露出部分を有し、そのいずれの面にも負極活物質含有塗膜が形成されておらず、その最外周部から2周目では負極集電体2aの両面に負極活物質含有塗膜2bが形成されている。この負極2のリード体15は最外周部の負極集電体2aの内周面側に取り付けられている。そして、セパレータ3は正極1と負極2との間のみならず、巻回構造の電極体の最外周部に位置する負極集電体2aと電池缶5の内面との間にも介在している。
【0082】
この実施例1の電池の巻回構造の電極体では、図2に示すように、正極1の最外周部の正極集電体1aの外周面側には正極活物質含有塗膜が形成されておらず、内周面側のみ正極活物質含有塗膜1bが形成されている。そして、その正極集電体1aの露出部分がセパレータ3を介して負極2の負極集電体2aの露出部分と対向し、かつ負極2の負極集電体2aに溶接したリード体15がセパレータ3を介して最外周部から2周目の負極2の負極活物質含有塗膜2bと対向し、正極1とは直接対向しないようになっている。なお、最外周部における正極活物質含有塗膜1bと負極活物質含有塗膜2bとの重なり開始部分17とリード体15との距離は、負極2の最外周部1周に対して1/3周離れているように配置した。ただし、図2では図が大きくなりすぎるのを避けるために両者を近接させて図示している。
【0083】
従って、この実施例1の電池では、通常の使用条件下では、負極集電体2aに溶接したリード体15に基づく内部短絡が生じない。また、この電池における負極2のリード体15の厚みは0.1mm(100μm)であり、また、負極2の厚みは167μmで、セパレータ3の厚みは25μmであって、負極集電体2aに溶接したリード体15の厚みは負極2の厚みとセパレータ3の厚みの3倍との合計厚み(負極2の厚み+セパレータ3の厚み×3)よりも薄く、従って、この電池では、圧壊試験で強制的に圧壊しても、負極集電体2aに溶接したリード体15が最外周部から2周目の負極2を押圧し、その内周側の負極活物質含有塗膜2bがセパレータ3を突き破って正極1に接触して内部短絡を引き起こすようなことはない。また、釘刺し試験、圧壊試験および外部短絡試験においてリード体15に大電流が流れた場合にリード体15が高温になり、リード体15の周辺のセパレータ3が軟化、溶融し、リード体15がセパレータ3を突き破った場合でも、内周側の負極2と接触するだけなので、内部短絡を発生することがなく、しかも最外周部における正極活物質含有塗膜1bと負極活物質含有塗膜2bとの重なり開始部分17とリード体15との距離は、負極2の最外周部1周に対して1/3周離れているので、二次的な内部短絡の発生も防止することができる。さらに、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極を負極2のみにしているので、負極端子を兼ねる電池缶5と正極1は負極2を介して対向することになり、圧壊試験や外部短絡試験により巻回構造の電極体と電池缶5との間に介在するセパレータ3が溶融、破壊した場合でも正極1と電池缶5の接触による内部短絡が生ずることがなく、また、巻回構造の電極体と電池缶5との間に混入した異物による微小短絡が生じにくく、圧壊試験時において内部短絡にまで進行する確率を低減することができ、外部短絡試験において電池缶5と対向する電極に正極1が存在しないので、導通状態となることを防止することができ、局部的な発熱を避けることができる。なお、この実施例1の電池の巻回構造の電極体では、正極1の正極活物質含有塗膜1bが必ずセパレータ3を介して負極2の負極活物質含有塗膜2bと対向しているので、高容量が得られる。
【0084】
つぎに、この巻回構造の電極体を用いた非水二次電池について説明する。まず、その作製方法の概略を図1を参照しつつ説明すると、上記非水二次電池は次に示すようにして作製される。すなわち、上記巻回構造の電極体を外径17.87mmの有底円筒状の電池缶5内に挿入し、負極2のリード体15の自由端を電池缶5の底部内面に溶接し、正極1のリード体の自由端を封口板7に溶接し、電解液4を電池缶5内に注入し、電解液4がセパレータ3などに充分に浸透した後、封口し、予備充電、エイジングを行い、図1にその構造を模式的に示す円筒形の非水二次電池を作製した。
【0085】
この電池の標準使用条件(1700mAで充電し、4.2Vに達した後は4.2Vの低電圧で充電する操作を2時間行う。そして、340mAで2.75Vに達するまで放電を行う)下で測定した巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量は138mAh/cmであり、高容量であった。また、この電池を2.75Vまで1700mAで放電した後ドライボックス中で分解し、ジメチルカーボネートで洗浄し、拭き取り、乾燥した後、巻回構造の電極体の巻回外径をキーエンス社製のレーザースキャンマイクロメーターLS−50407を用いて測定したところ、その最小値が16.9mmであり、その最小値部分と電池缶の内径との差は0.5mmであった。
【0086】
ここで、この電池の概略構造を図1を参照しつつ説明する。ただし、この図1は巻回構造の電極体と他の部材との配置状態を模式的に示し、主として他の部材(巻回構造の電極体以外の部材)の役割などを説明するためのものであって、巻回構造の電極体の構成は必ずしも正確には示されておらず、巻回構造の電極体の正確な構成については図2に示す通りである。図中、1は前記帯状の正極で、2は帯状の負極である。ただし、図1では、繁雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使用した集電体としての金属箔などは図示していない。そして、これらの正極1と負極2はセパレータ3を介して渦巻状に巻回され、渦巻状巻回構造の電極体として上記の電解液4と共に電池缶5内に収容されている。
【0087】
電池缶5はステンレス鋼製で、負極端子を兼ねており、電池缶5の底部には上記渦巻状巻回構造の電極体の挿入に先立って、ポリプロピレンからなる絶縁体6が配置されている。封口板7はアルミニウム製で円板状をしていて、その中央部に薄肉部7aを設け、かつ上記薄肉部7aの周囲に電池内圧を防爆弁9に作用させるための圧力導入口7bとしての孔が設けられている。そして、この薄肉部7aの上面に防爆弁9の突出部9aが溶接され、溶接部分11を構成している。なお、上記の封口板7に設けた薄肉部7aや防爆弁9の突出部9aなどは、図面上での理解がしやすいように、切断面のみを図示しており、切断面後方の輪郭線は図示していない。また、封口板7の薄肉部7aと防爆弁9の突出部9aとの溶接部分11も、図面上での理解が容易なように、実際よりは誇張した状態に図示している。
【0088】
端子板8は、圧延鋼製で表面にニッケルメッキが施され、周縁部が鍔状になった帽子状をしており、この端子板8にはガス排出口8aが設けられている。防爆弁9はアルミニウム製で円板状をしており、その中央部には発電要素側(図1では、下側)に先端部を有する突出部9aが設けられ、その突出部9aの下側が、前記のように、封口板7の薄肉部7aの上面に溶接され、溶接部分11を構成している。絶縁パッキング10は、ポリプロピレン製で環状をしており、封口板7の周縁部の上面に配置され、その上部に防爆弁9が配置していて、封口板7と防爆弁9とを絶縁するとともに、両者の間から電解液が漏れないように両者の間隙を封止している。そして、防爆弁9と端子板8との間には、外部短絡などによって大電流が流れたときに無限大の抵抗となり、電池内部に大電流が流れないようにするPTC素子18が設けられている。環状ガスケット12はポリプロピレン製で、リード体13はアルミニウム製で、前記封口板7と正極1とを接続し、巻回構造の電極体の上部には絶縁体14が配置され、負極2と電池缶5の底部とはニッケル製のリード体15で接続されている。
【0089】
前記のように、電池缶5の底部には絶縁体6が配置され、前記正極1、負極2およびセパレータ3からなる渦巻状の巻回構造の電極体や、電解液4、上記電極体上部の絶縁体14などは、この電池缶5内に収容され、それらの収容後、電池缶5の開口端近傍部分に底部が内方に突出した環状の溝が形成される。そして、上記電池缶5の開口部に、封口板7、絶縁パッキング10、防爆弁9などが挿入された環状ガスケット12を配置し、さらにその上から端子板8を挿入し、電池缶5の溝から先の部分を内方に締め付けることによって、電池缶5の開口部が封口されている。ただし、上記のような電池組立にあたっては、あらかじめ負極2と電池缶5とをリード体15で接続し、正極1と封口板7とをリード体13で接続しておくことが好ましい。
【0090】
上記のようにして組み立てられた電池においては、封口板7の薄肉部7aと防爆弁9の突出部9aとが溶接部分11で接触し、防爆弁9の周縁部と端子板8の周縁部とが接触し、正極1と封口板7とは正極側のリード体13で接続されているので、正極1と端子板8とはリード体13、封口板7、防爆弁9およびそれらの溶接部分11によって電気的接続が得られ、電路として正常に機能する。
【0091】
そして、電池に異常事態が起こり、電池内部にガスが発生して電池の内圧が上昇した場合には、その内圧上昇により、防爆弁9の中央部が内圧方向(図1では、上側の方向)に変形し、それに伴って溶接部分11で一体化されている薄肉部7aに剪断力が働いて該薄肉部7aが破断するか、または防爆弁9の突出部9aと封口板7の薄肉部7aとの溶接部分11が剥離した後、この防爆弁9に設けられている薄肉部9bが開裂してガスを端子板8のガス排出口8aから電池外部に排出させて電池の破裂を防止することができるように設計されている。
【0092】
実施例2
巻回構造の電極体における正極の最外周部の外周面側の無地部(つまり、正極活物質含有塗膜が形成されていない正極集電体の露出部分)が70mmの長さになるようにし、その最外周部の外周面側に正極絶縁テープとして幅10mmで厚み80μmのポリフェニレンサルファイドテープを接着し、この正極絶縁テープが負極集電体に溶接したリード体とセパレータを介して対向するようにし、負極の外周面側の負極活物質含有塗膜の形成部分の長さを20mm短くした以外は、実施例1と同様にして巻回構造の電極体を作製し、かつ非水二次電池を作製した。
【0093】
この実施例2の電池の巻回構造の電極体の最外周部およびその近傍の要部を図3に模式的に示す。
【0094】
図3に示すように、この実施例2の電池の巻回構造の電極体においては、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極を負極2のみで構成しており、正極1は内周面側のみ正極活物質含有塗膜1bを形成しており、正極1の最外周部の外周面側の無地部、つまり、正極集電体1aの露出部分(正極活物質含有塗膜が形成されていない部分)の外周面側には、正極絶縁テープ16として幅10mmで厚み80μmのポリフェニンサルファイドテープが接着され、この正極絶縁テープ16がセパレータ3を介して負極集電体2aに溶接したリード体15と対向している。なお、最外周部における正極活物質含有塗膜1bと負極活物質含有塗膜2bとの重なり開始部分17とリード体15との距離は、負極2の最外周部1周に対して1/4周離れているように配置した。ただし、図3では図が大きくなるすぎるのを避けるため両者を近接させて図示している。
【0095】
従って、この実施例2の電池は、通常の使用条件下では、この負極集電体2aに溶接したリード体15に基づく内部短絡が生じない。また、リード体15の厚みは0.1mm(100μm)で、正極絶縁テープ16の厚みが80μmでセパレータ3の厚みが25μmであることから、リード体15の厚みの方が正極絶縁テープ16の厚みとセパレータ3の厚みとの合計厚みよりも薄いので、この電池をたとえ圧壊試験にかけて強制的に圧壊しても、内部短絡は生じない。また、外部短絡試験により、リード体15が高温になり、リード体15の周辺のセパレータ3が軟化、溶融し、リード体15がセパレータ3を突き破った場合でも、内周側の正極絶縁テープ16と接触するだけなので、内部短絡を生ずることがなく、しかも最外周部における正極活物質含有塗膜1bと負極活物質含有塗膜2bとの重なり開始部分17とリード体15との距離は、負極2の最外周部1周に対して1/4周離れているので、二次的な内部短絡の発生を防止することができる。さらに、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極を負極2のみで構成しているので、巻回構造の電極体と電池缶5との間に介在するセパレータ3が溶融、破壊した場合でも負極端子を兼ねる電池缶5と正極1とが接触することがなく、また、巻回構造の電極体と電池缶5との間に混入した異物による微小短絡が生じにくく、圧壊試験時において内部短絡まで進行する確率を低減することができ、外部短絡試験において電池缶5と対向する電極に正極1が存在しないので、導通状態になることを防止することができ、局部的な発熱を避けることができる。
【0096】
この電池の標準使用条件での巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量を実施例1と同様に測定したところ、巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量は138mAh/cmであり、高容量であった。また、この電池を2.75Vまで1700mAで放電した後、分解し、実施例1と同様に巻回構造の電極体の巻回外径を測定したところ、その最小値は16.9mmであり、その最小値部分と電池缶の内径との差は0.5mmであった。
【0097】
参考例1
この参考例1では、これまでの実施例1〜2とは異なり、巻回構造の電極体の最外周部を正極が占め、巻回構造の電極体の電池缶と対向する電極を正極のみで構成しており、図4に示すように、正極1の正極集電体1aの最外周部の外周面側には正極活物質含有塗膜を形成せず、無地部、つまり、正極集電体1aの露出部分になっていて、その無地部を48mmとしセパレータ3を介して電池缶5(この参考例1では、電池缶5は正極缶である)の内面と対向させている。そして、負極1の最外周部においては、外周面側に負極集電体2aが露出している部分を53mmとしている。
【0098】
そして、正極1の正極集電体1aの最外周部の内周面側には前記実施例2の場合と同様の幅10mmで厚み80μmのポリフェニンサルファイドテープを正極絶縁テープ16として接着し、また、負極2の最外周部の負極集電体2aの先端部には幅3mmで厚み0.1mm(100μm)のニッケル製のリード体15を溶接し、このリード体15がセパレータ3を介して前記の正極絶縁テープ16と対向している。なお、最外周部における正極活物質含有塗膜1bと負極活物質含有塗膜2bの重なり開始部分17とリード体15との距離は、負極2の最外周部1周に対して1/4周離れているように配置した。ただし、この図4でも図が大きくなりすぎるのを避けるため両者を近接させて図示している。
【0099】
従って、この図4に示す巻回構造の電極体を用いた参考例1の電池では、通常の使用条件下では、負極集電体2aに溶接したリード体15に基づく内部短絡が生じない。また、負極集電体2aに溶接したリード体15の厚みは0.1mm(100μm)で、正極絶縁テープ16の厚みは80μm、セパレータの厚みは25μmであることから、負極2のリード体15の厚みの方が正極絶縁テープ16の厚みとセパレータ3の厚みとの合計厚みよりも薄いので、この電池をたとえ圧壊試験にかけて強制的に圧壊しても内部短絡は生じない。しかも、最外周部における正極活物質含有塗膜1bと負極活物質含有塗膜2bとの重なり開始部分17とリード体15との距離は、負極2の最外周部1周に対して1/4周離れているので、二次的な内部短絡の発生も防止することができる。さらに、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極を正極1のみにしているので、正極端子を兼ねる電池缶5と負極2は正極1を介して対向することになり、圧壊試験や外部短絡試験により巻回構造の電極体と電池缶5との間に介在するセパレータ3が溶融、破壊した場合でも負極2と電池缶5の接触による内部短絡が生ずることがなく、また、巻回構造の電極体と電池缶5との間に混入した異物による微小短絡が生じにくく、圧壊試験時において内部短絡まで進行する確率を低減することができ、外部短絡試験において電池缶5と対向する電極に負極2が存在しないので、導通状態になることを防止することができ、局部的な発熱を避けることができる。
【0100】
図5にこの参考例1の非水二次電池の構造を概略的に示す。この参考例1の電池では巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極は正極1のみが占めていて、電池缶5はリード体13で正極1と接続されていて正極端子としての機能を有している。つまり、この参考例1の電池では電池缶5は正極缶である。そして、封口板7と負極2とはリード体15で接続され、端子板8は防爆弁13およびその溶媒部分11を介して上記封口板7に接続することにより負極端子としての機能を有している。この参考例1の電池は上記の点を除き前記実施例1の電池とほぼ同様に構成されている。
【0101】
この参考例1の電池の標準使用条件下での巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量を実施例1と同様に測定したところ、巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量は132mAh/cmであり、高容量であった。また、この電池を2.75Vまで1700mAで放電した後、分解し、実施例1と同様に巻回構造の電極体の巻回外径を測定したところ、その最小値は17.1mmであり、その最小値部分と電池缶5の内径との差は0.3mmであった。
【0102】
参考例2
負極のリード体として幅3mm、厚み0.2mm(断面積0.6mm2 )のニッケル製リード体を用いるとともに、巻回構造の電極体を楕円形状にし、PTC素子を設けていない角形の電池缶を用いた以外は、参考例1と同様に図4に要部を示す巻回構造の電極体を作製し、図9に示す非水二次電池を作製した。なお、最外周部における正極活物質含有塗膜1bと負極活物質含有塗膜2bとの重なり開始部分17とリード体15との距離は、負極の最外周部1周に対して1/3周離れているように配置した。ただし、この場合も図が大きくなりすぎるのを避けるため両者を近接させて図示している。
【0103】
この図9に示す電池について説明すると、正極1と負極2とはセパレータを介して渦巻状に巻回され、長円形巻回電極体20として、角形の電池缶5に前記電解液とともに収容されている。ただし、図9では、煩雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使用した集電体は図示していない。
【0104】
電池缶5はアルミニウム合金製で電池の外装ケースとなるものであり、この電池缶5は正極端子を兼ねている。そして、電池缶5の底部にはポリテトラフルオロエチレンシートからなる絶縁体6が配置され、前記正極1、負極2およびセパレータ3からなる長円形巻回電極体20からは正極1および負極2のそれぞれ一端に接続された正極のリード体13と負極のリード体15が引き出されている。また、電池缶5の開口部を封口するアルミニウム合金製の蓋板21にはポリプロピレン製の絶縁パッキング22を介してステンレス鋼製の端子23が取り付けられ、この端子23には絶縁体24を介してステンレス鋼製のリード板25が取り付けられている。
【0105】
そして、この蓋板21は上記電池缶5の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、電池缶5の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。
【0106】
この参考例2の電池では、正極1のリード体13を蓋板21に直接溶接することによって電池缶5と蓋板21とが正極端子として機能し、負極2のリード体15をリード板25に溶接し、そのリード板25を介して負極2のリード体15と端子23とを導通させることによって端子23が負極端子として機能するようになっている。
【0107】
この参考例2の電池の標準使用条件下での巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量を実施例1と同様に測定したところ、巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量は132mAh/cmであり、高容量であった。
【0108】
実施例3
負極のリード体を負極の最外周部の外周面側に設け、負極の最外周部の負極集電体の露出部分の長さを10mm短くし、負極の最外周部から2周目の負極集電体の外周面側の負極活物質含有塗膜の形成部分の長さを20mm短くした以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
【0109】
すなわち、この実施例3の電池の巻回構造の電極体においては、図6に示すように、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極を負極2のみで構成しており、負極2の最外周部は負極活物質含有塗膜が形成されておらず負極集電体2aの露出部分を有し、また正極1の最外周部の正極集電体1aの外周面側には正極活物質含有塗膜が形成されておらず正極集電体1aが露出しており、内周面側のみ正極活物質含有塗膜1bが形成されている。そして、その正極集電体1aの露出部分がセパレータ3を介して負極2の負極集電体2aの露出部分と対向し、かつ負極2の負極集電体2aに溶接したリード体15はセパレータ3を介して電池缶5(この実施例3では、電池缶5は負極缶である)と対向し、正極1とは直接対向しないようになっている。なお、最外周部における正極活物質含有塗膜1bと負極活物質含有塗膜2bとの重なり開始部分17とリード体15との距離は、最外周部における正極集電体と負極集電体の長さを10mm短くすることによって負極2の最外周部1周に対して1/5周離れているように配置した。ただし、この図6においても図が大きくなりすぎるのを避けるため両者を近接させて図示している。
【0110】
従って、この実施例3の電池は、通常の使用条件下では、負極集電体2aに溶接したリード体15に基づく内部短絡が生じない。また、負極2のリード体15は負極端子としての機能を有する電池缶5と対向しているので、この電池をたとえ圧壊試験にかけて強制的に圧壊しても内部短絡が生じない。また、外部短絡試験により、リード体15が高温になり、リード体15の周辺のセパレータ3が軟化、溶融し、リード体15がセパレータ3を突き破った場合でも、電池缶5と接触するだけなので、内部短絡を生ずることがなく、しかも、最外周部における正極活物質含有塗膜1bと負極活物質含有塗膜2bとの重なり開始部分17とリード体15との距離は、負極2の最外周部1周に対して1/5周離れているので、二次的な内部短絡の発生も防止することができる。さらに、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極を負極2のみにしているので、負極端子を兼ねる電池缶5と正極1は負極2を介して対向することになり、圧壊試験や外部短絡試験により電池缶5と対向する負極2のリード体15の周辺のセパレータ3が溶融、破壊した場合でも正極1と電池缶5とが接触することがなく、また、巻回構造の電極体と電池缶5との間に混入した異物による微小短絡が生じにくく、圧壊試験時において内部短絡にまで進行する確率を低減することができ、外部短絡試験において電池缶5と対向する電極に正極1が存在しないので、導通状態になることを防止することができ、局部的な発熱を避けることができる。
【0111】
この実施例3の電池の標準使用条件下での巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量を実施例1と同様に測定したところ、巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量は138mAh/cm3 であり、高容量であった。また、この電池を2.75Vまで1700mAで放電した後、分解して、実施例1と同様に巻回構造の電極体の巻回外径を測定したところ、その最小値は16.8mmであり、その最小値部分と電池缶5の内径との差は0.6mmであった。
【0112】
実施例4
巻回構造の電極体における正極の最外周部の外周面側の無地部(つまり、正極活物質含有塗膜が形成されていない正極集電体1aの露出部分)を53mmの長さにし、負極1の最外周部では両面に負極活物質含有塗膜を形成せず、負極集電体2aのみからなる部分を80mmの長さにし、負極のリード体の厚みを0.8mm(80μm)にした以外は、実施例1と同様にして巻回構造の電極体を作製し、かつ非水二次電池を作製した。
【0113】
この実施例4の巻回構造の電極体の最外周部およびその近傍の要部を図7に模式的に示す。
【0114】
図7に示すように、この実施例4の電池の巻回構造の電極体においては、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極を負極2のみで構成しており、負極2の最外周部1周以上が負極集電体2aのみで、そのいずれの面にも負極活物質含有塗膜が形成されておらず、その最外周部から2周目以降では負極集電体2aの両面に負極活物質含有塗膜2bが形成されていて、負極2の負極集電体2aに溶接したリード体15がセパレータ3を介して最外周部から2周目の負極2の負極集電体2aと対向し、正極1とは直接対向しないようになっている。そして、正極1も最外周部と該最外周部から2周目が示されているが、最外周部には外周面側に正極活物質含有塗膜を形成せず、正極集電体1aが露出した部分を1周以上設けており、上記正極集電体1aの露出部分は、セパレータ3を介して負極2の負極集電体2aの露出部分と1周以上対向している。なお、最外周部における正極活物質含有塗膜1bと負極活物質含有塗膜2bとの重なり開始部分17とリード体15との距離は、負極の最外周部1周に対して1/3周離れているように配置した。ただし、図7では図が大きくなりすぎるのを避けるために両者を近接させて図示している。
【0115】
従って、この実施例4の電池は、通常の使用条件下では、負極集電体2aに溶接したリード体15に基づく内部短絡が生じない。特に上記巻回構造の電極体を有する電池は、負極2の最外周部に設けたリード体15が、最外周部から2周目の負極2に対向しているとともに、この電池における負極2のリード体15の厚みは0.8mm(80μm)であり、また、負極集電体2aの厚みは10μmで、セパレータ3の厚みは25μmであって、負極集電体2aに溶接したリード体15の厚みは負極2の厚みとセパレータ3の厚みの3倍との合計厚み(負極2の厚み+セパレータ3の厚み×3)より5μm薄く、従って、この実施例4の電池では、圧壊試験により強制的に圧壊しても、負極集電体2aに溶接したリード体15が最外周部から2周目の負極2を押圧し、その内周側の負極集電体2aがセパレータ3を突き破って正極1に接触して内部短絡を引き起こすようなことはない。また、正極1、負極2とも最外周部の1周以上が抵抗の高い活物質含有塗膜で対向する部分がなく、いずれの箇所でも抵抗の低い負極集電体2bと正極集電体1bとで短絡することになるので、内部短絡による発熱をさらに低減することができる。そして、巻回構造の電極体の電池缶5と対向する電極を負極2のみで構成しているので、負極端子を兼ねる電池缶5と正極1は負極2を介して対向することになり、圧壊試験や外部短絡試験により巻回構造の電極体と電池缶5との間に介在するセパレータ3が溶融、破壊した場合でも正極1と電池缶5との接触による内部短絡や二次的な短絡が生じることがなく、また、巻回構造の電極体と電池缶5との間に混入した異物による微小短絡が生じにくく、圧壊試験時において内部短絡にまで進行する確率を低減することができ、しかも、外部短絡試験において電池缶5と対向する電極に正極1が存在しないので、導通状態になることを防止することができ、局部的な発熱を避けることができる。
【0116】
この電池の標準使用条件での巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量を実施例1と同様に測定したところ、巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量は138mAh/cmであり、高容量であった。また、この電池を2.75Vまで1700mAで放電した後、分解し、実施例1と同様に巻回構造の電極体の巻回外径を測定したところ、その最小値は16.7mmであり、その最小値部分と電池缶との内径との差は0.7mmであった。
【0117】
比較例1
実施例1の巻回構造の電極体における正極の最外周部の正極集電体の外周面側の無地部(つまり、正極活物質含有塗膜が形成されていない正極集電体の露出部分)をその開始端から先の部分を切断し、正極集電体の両面に正極活物質含有塗膜を形成した部分から内側の部分を残し、一方、負極側は巻回構造の電極体における負極の最外周側の負極集電体の無地部(つまり、負極活物質含有塗膜が形成されていない負極集電体の露出部分)をリード体の取り付けのための部分5mmを残して、そこから先の部分を切断し、残りの負極集電体の露出部分5mm長の部分の内周面側に幅4mm、厚み0.3mm(断面積1.2mm)のリード体を溶接して取り付けたものを用い、セパレータも電極に合わせて短くし、電極巻回時の最外周部の位置関係が図10に模式的に示すようにした以外は、実施例1と同様に巻回構造の電極体を作製し、かつ非水二次電池を作製した。なお、最外周部における正極活物質含有塗膜1bと負極活物質含有塗膜2bとの重なり開始部分17とリード体15との距離は、負極2の最外周部1周に対して1/12周離れているように配置した。ただし、この図10においても図が大きくなりすぎるのを避けるため両者を近接させて図示している。
【0118】
図10に示すように、この比較例1の電池の巻回構造の電極体においては、正極1の正極集電体1aの両面に正極活物質含有塗膜1bが形成され、負極集電体2aの先端の内周面側に溶接したリード体15はセパレータ3を介して正極1の正極活物質含有塗膜1bに対向している。
【0119】
従って、この比較例1の電池においては、通常の使用条件下ではセパレータ3によって負極集電体2aに溶接したリード体15と正極1との接触は防止されるが、例えば圧壊試験に供して強制的に圧壊すると、負極2のリード体15がセパレータ3を突き破ることによって負極2のリード体15と正極1との接触が生じ内部短絡が発生する。
【0120】
この比較例1の電池の標準使用条件下での巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量を実施例1と同様に測定したところ、巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量は134mAh/cmであった。また、この電池を2.75Vまで1700mAで放電した後、分解し、実施例1と同様に巻回構造の電極体の巻回外径を測定したところ、その最小値は16.4mmであり、その最小値部分と電池缶5の内径との差は1.0mmであった。
【0121】
比較例2
比較例1の正極の正極集電体および正極活物質含有塗膜の形成部分をそれぞれ47mm長くし、かつ負極の負極集電体および負極活物質含有塗膜の形成部分をそれぞれ47mm長くし、それに合わせてセパレータも47mm長くした以外は、比較例1と同様の巻回構造の電極体を作製し、かつ非水二次電池を作製した。
【0122】
この比較例2の電池の標準使用条件の巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量を実施例1と同様に測定したところ、巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量は150mAh/cmであった。また、この比較例2の電池を2.75Vまで1700mAで放電した後、分解し、実施例1と同様に巻回構造の電極体の巻回外径を測定したところ、その最小値は17.1mmであり、その最小値部分と電池缶5の内径との差は0.3mmであった。
【0123】
比較例3
比較例1の巻回構造の電極体において、正極の最外周部の正極集電体のみの部分を30mm延ばし、図11に示すように、巻回構造の電極体の最外周部に正極、負極の両方が存在する構造にした以外は、比較例1と同様に巻回構造の電極体を作製し、かつ非水二次電池を作製した。
【0124】
図11に示すように、この比較例3の電池の巻回構造の電極体においては、正極1の正極集電体1aの両面に正極活物質含有塗膜1bが形成され、負極集電体2aの先端の内周面側に溶接したリード体15はセパレータ3を介して正極1の正極集電体1aに対向している。
【0125】
従って、この比較例3の電池においては、通常の使用条件下ではセパレータ3によって負極集電体2aに溶接したリード体15と正極1の正極集電体1aとの接触は防止されるが、例えば圧壊試験に供して強制的に圧壊すると、負極2のリード体15がセパレータ3を突き破ることによって負極2のリード体15と正極集電体1aとの接触が生じて内部短絡が発生する。
【0126】
この比較例3の電池の標準使用条件下での巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量を実施例1と同様に測定したところ、巻回構造の電極体の単位体積当たりの放電容量は134mAh/cmであった。また、この電池を2.75Vまで1700mAで放電した後、分解し、実施例1と同様に巻回構造の電極体の巻回外径を測定したところ、その最小値は16.5mmであり、その最小値部分と電池缶5の内径との差は0.9mmであった。
【0127】
上記実施例1〜4、参考例1〜2および比較例1〜3の電池を1700mAで2.75Vまで放電した後、1700mAで充電し、4.25Vに達した後は、4.25Vの定電圧に保つ条件で2時間半の充電を行った。その後、電池を圧壊試験または釘刺し試験に供した。
【0128】
圧壊試験は、4.25Vまで充電した電池をそのまま1トンの力で押し潰して内部短絡が発生するか否かを調べた。また、釘刺し試験は4.25Vまで充電した電池を45℃の恒温槽に入れて2時間後に取り出し、その電池をホルダの上に置き、1/2釘刺し試験を行った。すなわち、直径3mmのステンレス鋼製釘を電池の側面から電池の直径の1/2のところまで突き刺し、各電池20個中で異常発熱する電池の個数を調べた。さらに、外部短絡試験は、参考例2以外の電池はあらかじめPTC素子が作動しないようにした後、4.25Vまで充電した電池を45℃の恒温槽に入れて2時間保存し、恒温槽中で強制的に外部短絡させて、各電池20個の異常発熱する電池の個数を調べた。その結果を表1に示す。表1中において結果を示す数値の分母は試験に供した電池個数であり、分子は圧壊試験では内部短絡が発生した電池個数で、釘刺し試験および外部短絡試験では異常発熱した電池個数である。なお、異常発熱とは電池表面温度が150℃以上になった場合をいう。
【0129】
【表1】
Figure 0004052537
【0130】
表1に示すように、実施例1〜4の電池は、比較例1〜3の電池に比べて、圧壊試験での短絡発生が少なく、かつ45℃という苛酷な条件下でも釘刺し試験や外部短絡試験での異常発熱が少なかった。また、実施例1〜4の電池は、正極の最外周部において正極集電体の正極活物質含有塗膜を形成していない部分が外周面側に1周存在するとともに、負極のリード体の断面積を0.1〜1.0mmにすることによって1/2釘刺し試験、圧壊試験、外部短絡試験でも安全性を向上することができ、高い安全性を確保することができた。さらに、実施例1〜4電池では、負極のリード体の厚みが対向する部分の負極の厚みとセパレータの厚みの3倍との合計厚み(負極の厚み+セパレータの厚み×3)または正極絶縁テープの厚みとセパレータの厚みとの合計厚み(正極絶縁テープの厚み+セパレータの厚み)よりも薄くしているので、圧壊試験においても高い安全性が得られていることがわかる。また、実施例1〜3の電池では電極体の最外周部を集電体のみにしているので、短絡時の放熱効果が優れ、異常発熱の発生割合が抑えられている。
【0131】
これに対して、比較例1〜3の電池では、負極集電体に溶接したリード体がセパレータを介して正極と対向しているため、圧壊試験で内部短絡が発生しやすく、また45℃での釘刺し試験で全部異常発熱を起こした。特に比較例2の電池は、塗膜形成部分が長く、巻回構造の電極体の巻回外径と電池缶の内径との差が0.3mmしかないため、電池充電電圧を4.25Vにし、室温で釘刺し試験を行った場合でも異常発熱するものがあった。また、比較例3は正極の最外周部において正極活物質含有塗膜が負極活物質含有塗膜と対向し、負極のリード体が正極集電体に直接対向しているとともに、最外周部の1周が単一電極でないため、いずれの試験においても、安全性の劣るものになった。
【0132】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、高容量で、かつ、安全性の高い非水二次電池を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の非水二次電池における実施例1の電池の構造を概略的に示す縦断面図である。
【図2】 実施例1の電池の巻回構造の電極体の最外周部およびその近傍の要部を拡大して示す横断面図である。
【図3】 実施例2の電池の巻回構造の電極体の最外周部およびその近傍の要部を拡大して示す横断面図である。
【図4】 参考例1の電池の巻回構造の電極体の最外周部およびその近傍の要部を拡大して示す横断面図である。
【図5】 参考例1の電池の構造を概略的に示す縦断面図である。
【図6】 実施例3の電池の巻回構造の電極体の最外周部およびその近傍の要部を拡大して示す横断面図である。
【図7】 実施例4の電池の巻回構造の電極体の最外周部およびその近傍の要部を拡大して示す横断面図である。
【図8】 本発明の非水二次電池で上記実施例以外の電池の巻回構造の電極体の最外周部およびその近傍の要部を拡大して示す横断面図である。
【図9】 参考例2の電池の構造を概略的に示すもので、(a)はその平面図、(b)はその部分縦断面図である。
【図10】 比較例1の電池の巻回構造の電極体の最外周部およびその近傍の要部を拡大して示す横断面図である。
【図11】 比較例3の電池の巻回構造の電極体の最外周部およびその近傍の要部を拡大して示す横断面図である。
【符号の説明】
1 正極
1a 正極集電体
1b 正極活物質含有塗膜
2 負極
2a 負極集電体
2b 負極活物質含有塗膜
3 セパレータ
5 電池缶
15 リード体
16 正極絶縁テープ
17 巻回構造の電極体の最外周部における正極活物質含有塗膜と負極活物質含有塗膜との重なり開始部分

Claims (6)

  1. 正極集電体の少なくとも一部には両面に正極活物質含有塗膜を形成してなる正極と、負極集電体の少なくとも一部には両面に負極活物質含有塗膜を形成してなる負極とを、セパレータを介して巻回した巻回構造の電極体であって、満充電での充放電可能な容量が単位体積当たり130mAh/cm以上である巻回構造の電極体を電池缶に収容してなる非水二次電池であって、上記巻回構造の電極体の電池缶と対向する電極がみで構成されており、上記巻回構造の電極体における正極の少なくとも最外周部の正極集電体の外周面側に正極活物質含有塗膜を形成していない部分を周以上設け、上記正極集電体の正極活物質含有塗膜を形成していない部分がセパレータを介して負極対向し、かつ負極集電体に溶接したリード体がセパレータを介して負極、負極缶としての電池缶、正極集電体に接着した絶縁テープのいずれかと対向し、上記巻回構造の電極体の最外周部における正極活物質含有塗膜と負極活物質含有塗膜との重なり開始部分と負極のリード体との距離が最外周部の負極1周分に対して1/6周以上1/2周以下離れていることを特徴とする非水二次電池。
  2. 負極集電体に溶接したリード体がセパレータを介して負極と対向し、負極集電体に溶接したリード体の厚みが対向する部分の負極の厚みとセパレータの厚みの3倍との合計厚み(負極の厚み+セパレータの厚み×3)よりも薄いことを特徴とする請求項1記載の非水二次電池。
  3. 負極集電体に溶接したリード体がセパレータを介して正極集電体に接着した正極絶縁テープと対向し、負極集電体に溶接したリード体の厚みが対向する部分の正極絶縁テープの厚みとセパレータの厚みとの合計厚み(正極絶縁テープの厚み+セパレータの厚み)よりも薄いことを特徴とする請求項1記載の非水二次電池。
  4. 負極のリード体の断面積が0.1mm以上1.0mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水二次電池。
  5. 巻回構造の電極体における正極の最外周部の正極集電体の内周面側には正極活物質含有塗膜を形成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非水二次電池。
  6. 電池缶が負極缶であり負極の最外周部負極集電体の両面に活物質含有塗膜が形成されていない部分が周以上存在することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非水二次電池。
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