JP5614432B2 - リチウムイオン二次電池用非水電解液及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用非水電解液及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用非水電解液及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池はニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池と比べ、軽量、高容量であるため、携帯電子機器用電源として広く応用されている。またハイブリッド自動車や、電気自動車用に搭載される電源として有力な候補ともなっている。しかしながら、近年の携帯電子機器の小型化、高機能化に伴い、これらの電源となるリチウムイオン二次電池への更なる高容量化が期待されている。
リチウムイオン二次電池は、主として、正極、負極、セパレータ、非水電解液から構成されており、一般に、正極にリチウム金属複合酸化物、負極にリチウムイオンを吸蔵放出可能な炭素材等を用い、非水電解液として常温で液体の有機溶媒にリチウム塩を溶解させた液状の電解質が用いられている。しかし、負極の炭素材の表面では、有機溶媒が関与する副反応が生じ、期待される放電容量が得られないなど特性に悪影響を及ぼしてしまう。このため、負極が有機溶媒と直接反応しないように、負極表面に被膜を形成するとともに、この被膜の状態や性質を制御することが重要な課題になっている。
この負極活物質表面に被膜を形成、制御するために、電解液中に特殊な添加剤を加えることが行われている。例えば、特許文献1、2に示されるように、炭素材を含むリチウムイオン二次電池の非水電解液にエチレングリコールサルフェートを添加することで、サイクル特性が向上することが記載されている。エチレングリコールサルフェート添加により、負極活物質の表面に被膜が形成されて、負極上での副反応が抑制されたことに起因すると考えられる。
特開平10−189042号公報 特開2002−237331号公報
しかしながら、エチレングリコールサルフェートを添加した場合においても、温度特性、特に低温における放電時に十分な容量を得ることができなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、低温でも十分な放電容量が得られ、かつ、良好なサイクル特性を持つリチウムイオン二次電池用非水電解液及びリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のリチウムイオン二次電池用非水電解液は、非水溶媒と、電解質と、下記式(1)で表されるエチレングリコールサルフェートを0.1〜6質量%と、3級炭素を有する鎖状エーテルを0.001〜7質量%含有することを特徴とする。
Figure 0005614432
エチレングリコールサルフェートと3級炭素を有する鎖状エーテルは、共にリチウムイオン二次電池の負極活物質と非水電解液との界面において被膜の形成に寄与する。エチレングリコールサルフェートと3級炭素を有する鎖状エーテルの含有量をそれぞれ規定の範囲内にすることで、リチウムイオン伝導性の高い被膜となり、低温においても十分な放電容量を持つリチウムイオン電池を得ることができる。また、この被膜は非水溶媒の分解など副反応を抑制する作用を有するため、良好なサイクル特性を実現できるものと考えられる。
本発明のリチウムイオン二次電池用非水電解液に含まれる3級炭素を有する鎖状エーテルは、t−ブチルメチルエーテルであることが好ましい。これにより、室温において十分な初期放電容量を得られる上、壊れにくい被膜を形成できることから、サイクル特性を良好にすることが可能となる。
本発明のリチウムイオン二次電池用非水電解液に含まれる電解質は、少なくともLiPFを含有することが好ましい。これにより、低温における非水電解液の導電率が上昇し、低温においてより大きな放電容量を得ることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、セパレータと、非水溶媒及び電解質を有する非水電解液とを備え、負極として炭素材を含み、下記式(1)で表されるエチレングリコールサルフェートを0.1〜6質量%と、3級炭素を有する鎖状エーテルを0.001〜7質量%含有することを特徴とする。
Figure 0005614432
本発明によれば、エチレングリコールサルフェートと3級炭素を有する鎖状エーテルを適量含むことで、リチウムイオン伝導性の高い被膜を形成し、低温でも十分な放電容量が得られ、かつ、良好なサイクル特性を持つリチウムイオン二次電池用非水電解液及びリチウムイオン二次電池を提供することができる。
リチウムイオン二次電池の模式断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明にかかるリチウムイオン二次電池用非水電解液及びリチウムイオン二次電池は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
(リチウムイオン二次電池)
図1に、本実施形態のリチウムイオン二次電池10の断面を模式的に示す。図1のリチウムイオン二次電池10は、リチウムイオンを吸蔵・放出する材料(負極活物質、正極活物質)を含む負極20と正極30と、正極30と負極20の間にあって本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用非水電解液(以下、「非水電解液」という。)が保持されたセパレータ40から構成されている。
(負極)
負極20は、負極集電体22の両面に負極活物質層21を備えて構成されている。さらに、負極活物質層21は、負極活物質材料と、導電助剤と、結着剤とを含む塗料を負極集電体22に塗布することによって形成されている。
負極活物質材料は、天然黒鉛、人造黒鉛(難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等)、MCF(メソカーボンファイバ)等の炭素材から選ばれる少なくとも1種を含んでいる。中でも、良好な負極容量及びサイクル特性を示すことから人造黒鉛が好ましく、電極密度向上の観点から、人造黒鉛を天然黒鉛と混合して使用することが更に好ましい。
その他、例えば、Al、Si、Sn等のリチウムと化合物を形成することのできる金属、SiO、SnO等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)など公知の負極活物質材料を炭素材と混合させて使用してもよい。
導電助剤は特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、カーボンブラックのような熱分解炭素、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成材料、炭素繊維、あるいは活性炭などの炭素材が挙げられる。また、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛などの負極活物質材料を、形状を変えて添加してもよい。
カーボンブラックとしては、特に、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が好ましく、ケッチェンブラックが特に好ましい。電子伝導性の多孔体を含有させることにより負極活物質材料の粒子と結着剤の界面に空孔を形成でき、その空孔により負極活物質層21への非水電解液の染み込みを容易にするので好ましい。
結着剤は、上記の負極活物質材料の粒子と導電助剤の粒子とを結着可能なものであれば特に限定されない。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。また、この結着剤は、上記の負極活物質材料の粒子と導電助剤の粒子との結着のみならず、負極集電体22への結着に対しても寄与している。
負極集電体22は、リチウムイオン二次電池用の集電体に使用されている各種公知の金属箔を用いることができる。具体的には、銅箔を用いることが好ましい。
(正極)
正極30は、正極集電体32の両面に正極活物質層31を備えて構成されている。さらに正極活物質層31は、正極活物質材料と、導電助剤と、結着剤とを含む塗料を正極集電体32に塗布することによって形成されている。
正極活物質材料は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知の電極活物質材料を使用できる。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、一般式:LiNiCoMn(x+y+z=1)やLiNiCoAl1−x−y(0.98<a<1.2、0<x,y<1)で表される複合金属酸化物、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、FeまたはVを示す)、リチウムバナジウム化合物(LiVOPO)等の複合金属酸化物が挙げられる。
更に、正極活物質材料以外の各構成要素(導電助剤、結着剤)は、負極20で使用されるものと同様の物質を使用することができる。したがって、正極30に含まれる結着剤も、上記の正極活物質材料の粒子と導電助剤の粒子との結着のみならず、正極集電体32への結着に対しても寄与している。
正極集電体32は、リチウムイオン二次電池用の集電体に使用されている各種公知の金属箔を用いることができる。具体的には、アルミニウム箔を用いることが好ましい。
(セパレータ)
セパレータ40は絶縁性の多孔体から形成されていれば、材料、製法等は特に限定されず、リチウムイオン二次電池に用いられている公知のセパレータを使用することができる。例えば、絶縁性の多孔体としては、公知のポリオレフィン樹脂、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどを重合した結晶性の単独重合体または共重合体が挙げられる。これらの単独重合体または共重合体は、1種を単独で使用することができるが、2種以上のものを混合して用いてもよい。また、単層であっても複層であってもよい。
(非水電解液)
非水電解液は、非水溶媒と、電解質と、下記式(1)で表されるエチレングリコールサルフェートを0.1〜6質量%と、3級炭素を有する鎖状エーテルを0.001〜7質量%と、を含む。
Figure 0005614432
エチレングリコールサルフェートと、3級炭素を有する鎖状エーテルとを非水電解液に同時に含有することによる効果発現のメカニズムははっきりとしないが、本発明者らは以下のように考えている。
非水電解液にエチレングリコールサルフェートと3級炭素を含む鎖状エーテルを適量含ませておくと、非水電解液の融点が下がり、低温においてもリチウムイオン伝導度をある程度高く維持できるようになる。そのため、低温においても大きな放電容量を得ることができるようになる。
また、エチレングリコールサルフェートが負極活物質表面での被膜形成に大きく関わっており、初期放電容量やサイクル後の放電容量の大きさに関係している。そこへ3級炭素を有する鎖状エーテルを加えると、3級炭素を有する鎖状エーテルが結着剤のような働きをし、エチレングリコールサルフェートが形成する被膜の隙間を埋め、被膜同士の結合力を強めることができる。そのため、エチレングリコールサルフェート、または3級炭素を有する鎖状エーテルを単独で含有させた場合よりも更に優れたサイクル特性を示すようになる。
エチレングリコールサルフェートの含有量が0.1質量%以上であれば、強固な被膜が形成されるため、非水溶媒を構成するプロピレンカーボネートなどの化合物の不必要な重合や分解を抑制することができ、特に充放電サイクル時における容量低下を抑制することが可能になる。また、エチレングリコールサルフェートの含有量を6質量%以内にすることで、内部インピーダンスの増大を抑え、十分な放電容量を得ることができる。
3級炭素を含む鎖状エーテルが0.001質量%以上であれば、特に負極界面での非水溶媒の粘度を低下させ、エチレングリコールサルフェートが被膜形成しやすくなるとともに、低温においても非水電解液の粘度が上昇しすぎることがなく、リチウムイオン伝導度をある程度維持できることから、低温での放電容量を向上させることができる。また、3級炭素を含む鎖状エーテルはその含有量が多すぎると、負極界面で還元されガスが発生してしまうが、含有量を7質量%以下とすることでガス発生を抑制でき、それに伴う放電容量の低下を最小限に抑制することができる。
低温において優れた放電容量を得るために、エチレングリコールサルフェートの含有量が2〜4質量%、かつ、3級炭素を含む鎖状エーテルの含有量が0.1〜3質量%であることが好ましい。加えて、サイクル特性を大きく向上させるため、エチレングリコールサルフェートの含有量が1〜4質量%、かつ、3級炭素を含む鎖状エーテルの含有量が0.2〜1質量%であることが更に好ましい。
3級炭素を含む鎖状エーテルとしては、t−ブチルメチルエーテル、エチル−t−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、などが挙げられ、サイクル特性をより向上させるt−ブチルメチルエーテルであることが好ましい。
非水溶媒は、環状カーボネートと、鎖状カーボネートと、を含有していることが好ましい。環状カーボネートは電解質であるリチウム塩の解離を促す様、誘電率が20以上であり、鎖状カーボネートはリチウムイオンの移動度を改善する様、粘度が1.0cP以下であることを特徴とする。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートなどを用いることができ、2種類以上を混合して使用してもよい。
また、鎖状カーボネートとして、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジアリルカーボネートなどが挙げられ、この中から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。その他、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、2,5−ジオキサヘキサン二酸ジアルキルなどを混合して使用してもよい。
非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は体積にして1:9〜1:1にすることが好ましい。
電解質としては、LiClO、LiBF、LiPF、LiPOF、LiAsF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)等が挙げられ、2種以上を混合して用いてもよい。特に、導電性が高くなることから、LiPFを含むことが好ましい。
LiPFを非水溶媒に溶解する際は、非水電解液中の電解質の濃度を、0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。電解質の濃度が0.5mol/L以上であると、非水電解液の導電性を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすい。また、電解質の濃度が2.0mol/L以内に抑えることで、非水電解液の粘度上昇を抑え、リチウムイオンの移動度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすくなる。
LiPFをその他の電解質と混合する場合にも、非水電解液中のリチウムイオン濃度が0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましく、LiPFからのリチウムイオン濃度がその50mol%以上含まれることがさらに好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
以下に示す手順により、実施例1〜36、比較例1〜5のリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例1)
先ず、負極を作製した。負極の作製においては、負極活物質材料として人造黒鉛(90質量%)、導電助剤としてカーボンブラック(2質量%)、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(8質量%)を混合し、溶剤のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーをドクターブレード法により集電体である電解銅箔に塗布し、110℃で乾燥させた。乾燥後に圧延を行い、負極を得た。
次に、正極を作製した。正極の作製においても、正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3(90質量%)、導電助剤としてカーボンブラック(6質量%)、結着剤としてPVDF(4質量%)を混合し、NMP中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを集電体であるアルミニウム箔に塗布して乾燥させ、圧延を行い、正極を得た。
次に、非水電解液を調製した。エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートを体積比3:7で混合した溶液中に、LiPFを1.0mol/Lの割合で添加し作製した。更に、この溶液に対して、エチレングリコールサルフェートを0.1質量%、3級炭素を含む鎖状エーテルとしてt−ブチルメチルエーテルを0.001質量%となるように添加して非水電解液を得た。
得られた負極及び正極の間にポリエチレンからなるセパレータを挟んで積層し積層体(素体)を得た。得られた積層体をアルミラミネートパックに入れ、このアルミラミネートパックに非水電解液を注入した後に真空シールし、リチウムイオン二次電池(縦:60mm、横:85mm、厚さ:3mm)を作製した。なお、アルミラミネートパックのフィルムには、非水電解液に接触する合成樹脂製の最内部の層(変性ポリプロピレンからなる層)、アルミニウム箔からなる金属層、ポリアミドからなる層がこの順で順次積層された積層体を使用した。そして、この複合包装フィルムを2枚重ね合せてその縁部を熱圧着して作製した。
(実施例2〜36及び比較例1〜5)
非水溶媒の構成比率とリチウムイオン濃度、非水電解液に添加するエチレングリコールサルフェートの含有量と、3級炭素を含む鎖状エーテルの種類と含有量を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして実施例2〜36及び比較例1〜5のリチウムイオン二次電池を各5個ずつ作製した。なお、表1中、非水溶媒の「EC」はエチレンカーボネートを、「PC」はプロピレンカーボネートを、「DEC」はジエチルカーボネートを、「EMC」はエチルメチルカーボネートを表す。また、表1中、「EGS含有量」はエチレングリコールサルフェートの含有量を表し、3級炭素を有する鎖状エーテルの「tBME」はt−ブチルメチルエーテルを、「EtBE」はエチル−t−ブチルエーテルを、「DtBE」はジ−t−ブチルエーテルを表す。
(初期放電容量評価試験)
リチウムイオン二次電池作製後、恒温槽にて25℃に設定された環境下で初回の充電を行い、その直後に放電を行った。なお、充電は30mAで4.2Vまで定電流定電圧充電を行い、放電は30mAで2.5Vまで定電流放電を行った。上記初回放電における放電容量(mAh)の測定値は表1中、初期放電容量(mAh)として示すが、表から明らかな通り、エチレングリコールサルフェートを0.1〜6質量%、かつ、3級炭素を有する鎖状エーテルを0.001〜7質量%含有する実施例はいずれも良好な放電容量であることが確認できた。
(−10℃放電容量評価試験)
初期放電容量評価後、各2個ずつの該電池を入れた恒温槽の温度を−10℃に設定し、2時間待機した後、その温度において充放電を行った。なお、充電は30mAで4.2Vまで定電流定電圧充電を行い、放電は30mAで2.5Vまで定電流放電を行った。表1には、−10℃における放電時の容量を「−10℃放電容量」として示す。表1から、エチレングリコールサルフェートを0.1〜6質量%、かつ、3級炭素を有する鎖状エーテルを0.001〜7質量%含有する実施例はいずれも−10℃において70mAh以上の−10℃放電容量を示し、特にエチレングリコールサルフェートの含有量が1〜4質量%、かつ、3級炭素を有する鎖状エーテルの含有量が0.2〜3質量%の場合に87mAhを超える大きな放電容量を示した。
(25℃サイクル試験)
初期放電容量評価後、各3個ずつの該電池を入れた恒温槽の温度を25℃とし、サイクル試験を行った。その際、充電は150mAで4.2Vまで定電流定電圧充電を、放電は150mAで2.5Vまで定電流放電を行った。表1には、500サイクル後の放電容量を初期放電容量で除して100をかけた値を「サイクル後放電容量比」として示す。3級炭素を有する鎖状エーテルがt−ブチルメチルエーテルであれば、それ以外の場合と比較して、サイクル後放電容量比が大きくなった。また、エチレングリコールサルフェートを0.1〜6質量%、かつ、3級炭素を有する鎖状エーテルを0.001〜7質量%含有する実施例はいずれも500サイクル後においても82%を超え、十分な放電容量を保持していること実証された。特に、エチレングリコールサルフェートの含有量が2〜4質量%、かつ、3級炭素を有する鎖状エーテルの含有量が0.2〜1質量%の場合、500サイクル後放電容量比が90%以上と、大きな値を示した。
Figure 0005614432
10 リチウムイオン二次電池、20 負極、21 負極活物質層、22 負極集電体、30 正極、31 正極活物質層、32 正極集電体、40 セパレータ

Claims (6)

  1. 鎖状カーボネートと環状カーボネートからなる非水溶媒と、
    電解質と、
    下記式(1)で表されるエチレングリコールサルフェートを0.1〜6質量%と、
    3級炭素を有する鎖状エーテルとしてt−ブチルメチルエーテル、エチル−t−ブチルエーテル、もしくはジ−t−ブチルエーテルを0.001〜7質量%含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用非水電解液。
    Figure 0005614432
  2. 前記3級炭素を有する鎖状エーテルがt−ブチルメチルエーテルであることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用非水電解液。
  3. 前記電解質は少なくともLiPFを含有することを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用非水電解液。
  4. 正極と、負極と、セパレータと、非水電解液とを備え、
    前記負極は炭素材を含み、
    前記非水電解液は、鎖状カーボネートと環状カーボネートからなる非水溶媒と、
    電解質と、
    下記式(1)で表されるエチレングリコールサルフェートを0.1〜6質量%と、
    3級炭素を有する鎖状エーテルとしてt−ブチルメチルエーテル、エチル−t−ブチルエーテル、もしくはジ−t−ブチルエーテルを0.001〜7質量%とを含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
    Figure 0005614432
  5. 前記3級炭素を有する鎖状エーテルがt−ブチルメチルエーテルであることを特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記電解質は少なくともLiPFを含有することを特徴とする請求項4または5に記載のリチウムイオン二次電池。
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