JP3408152B2 - 非水系電解液二次電池 - Google Patents
非水系電解液二次電池Info
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Description
電池に係わり、特にサイクル特性の向上を目的とした非
水系電解液の改良に関する。
テトラヒドロフランなどの溶媒を含む非水系電解液を使
用した場合、電解液の変質に起因して非水系電解液が劣
化するため、電池の保存特性が低下するという欠点があ
った。この点を改良するために、例えば特開平6-176768
号公報に示されるように、ハロゲン原子を含む特定の環
状エーテルを溶媒として使用することにより、電解液の
安定性の向上を図ってきた。
果、添加剤として特定の環状エーテルを含有した非水系
電解液二次電池には、サイクル寿命が短いという課題が
あることが分かった。
解決すべくなされたものであって、安定剤としてハロゲ
ン原子を含む特定の環状エーテルを添加した従来の非水
系電解液二次電池に比べて、保存特性を良好に保ちつ
つ、サイクル特性に優れた非水系電解液二次電池を提供
することにある。
本発明の非水系電解液二次電池(以下、「本発明電池」
と称することがある。)は、正極と、リチウム金属又は
リチウムを吸蔵放出可能な物質を主材とする負極と、こ
れら両電極を隔離するセパレーターと、非水系電解液と
を備えてなる非水系電解液二次電池において、前記非水
系電解液が、一般式CnF2n+1‐O‐CmH
2m+1(式中、n,mは整数であり、m=1の場合n
=1、m=2の場合n=1〜3、m=3の場合n=1〜
4、m=4の場合n=1〜5である。)で示される鎖状
エーテルを含有していることを特徴とする。
鎖状エーテルが添加された非水系電解液が使用されてお
り、充放電サイクル時に起こる放電容量の低下が抑制さ
れるのである。
起因して、安定且つ良質な被膜を負極の表面に形成させ
ることにより、負極と溶媒分子の接触を断ち、溶媒の安
定化、つまり非水系電解液の劣化を防止するものであ
る。
ルの具体例としては、例えば、トリフルオロメチルメチ
ルエーテル(n=1、m=1であって、化学式はCF3
OCH3)、ノナフルオロブチルプロピルエーテル(n
=4、m=3であって、化学式はC4F9OC
3H7)、ノナフルオロブチルブチルエーテル(n=
4、m=4であって、化学式はC4F9OC4H9)な
どが挙げられる。
添加量は少量でもその効果を発揮するが、特に全溶媒
(鎖状エーテルは除く)の0.1体積%〜30体積%に相当
する鎖状エーテルを含有させるのが好ましい。
エーテルとして、全ての水素がフッ素置換されたアルキ
ル鎖を含んでいるので、これらの鎖状エーテル分子が負
極表面上で分解されやすく、且つ、全ての水素がフッ素
置換されたアルキル基に起因する、より安定な被膜を形
成することが可能になる。
関するものであり、添加剤以外の他の電池材料について
は、非水系電解質電池用として従来公知の材料を特に制
限なく使用することができる。
ーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(P
C)、ビニレンカーボネート(VC)、ブチレンカーボ
ネート(BC)等の有機溶媒や、これらとジメチルカー
ボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DE
C)、メチルエチルカーボネート(EMC)、1,2−ジ
エトキシエタン(DEE)、1,2−ジメトキシエタン
(DME)、エトキシメトキシエタン(EME)などの
低沸点溶媒との混合溶媒が例示される。なかでも、本発
明で規定する添加剤との相性が良く、サイクル特性を向
上させる上で特に好ましい溶媒としては、一種又は二種
以上の環状炭酸エステルと一種又は二種以上の鎖状炭酸
エステルとの体積比1:4〜4:1の混合溶媒である。
ン、リチウムを含有したマンガン酸化物、リチウムを含
有したコバルト酸化物、リチウムを含有したバナジウム
酸化物、リチウムを含有したニッケル酸化物、リチウム
を含有した鉄酸化物、リチウムを含有したクロム酸化
物、リチウムを含有したチタン酸化物が例示される。
や、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−鉛合金、
リチウム−錫合金等のリチウム合金、また黒鉛、コーク
ス、有機物焼成体等の炭素材料や、SnO2、SnO、
TiO2、Nb2O3等の電位が正極活物質に比べて卑
な金属酸化物が例示される。
は、非水系電解液に添加した、上記鎖状エーテルが、安
定且つ良質な被膜を負極の表面に形成することにより、
負極と溶媒分子の接触を断ち、溶媒を安定化するためで
あり、これが充放電時に起こる電解液の分解反応を抑制
し、充放電における可逆性が向上するためと推察され
る。また、室温下のみならず、高温下においても電解液
が安定に存在しうるため、高温保存特性にも優れた非水
系電解液二次電池を得ることができる。
て、更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例により
何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範
囲において適宜変更して実施することが可能なものであ
る。
サイクル特性との関係を調べた。
た。まず、正極主材料としてのリチウム含有コバルト酸
化物(LiCoO2)粉末90重量部と、人造黒鉛粉末5
重量部と、ポリフッ化ビニリデン5重量部のN−メチル
-2-ピロリドン(NMP)溶液とを混合して、スラリー
を調製した。このスラリーをアルミニウム箔の両面にド
クターブレード法により塗布して活物質層を形成した。
その後、150℃で2時間真空乾燥して、正極を作製し
た。
然黒鉛95重量部と、ポリフッ化ビニリデン5重量部のN
MP溶液とを混合しスラリーを調製した。このスラリー
を銅箔の両面にドクターブレード法により塗布して炭素
層を形成した。その後、150℃で2時間真空乾燥して、
負極を作製した。
カーボネートとの等体積混合溶媒に、LiN(C2F5
SO2)2を0.5mol/リットル溶かした非水電解液を準
備する。更に、鎖状エーテルとしてトリフルオロメチル
メチルエーテルを、前記等体積混合溶媒の体積に対して
10体積%を準備し、非水電解液に添加混合して、非水系
電解液を調製した。
て、AAサイズの非水系電解液二次電池(電池寸法:直径
14mm、高さ50mm)の本発明電池A1を作製した。尚、セ
パレータとしてはポリプロピレン製の多孔膜を用いてい
る。
エーテルに代えて、鎖状エーテルとしてノナフルオロブ
チルプロピルエーテルを用いて、本発明電池A2を作製
した。
エーテルに代えて、鎖状エーテルとしてノナフルオロブ
チルブチルエーテルを用いて、本発明電池A3を作製し
た。
エーテルに代えて、鎖状エーテルであるトリデカフルオ
ロヘキシルメチルエーテルを用いて、比較例としての比
較電池Vを作製した。
ルメチルエーテルは鎖状エーテルではあるが、一般式に
おいてn=6、m=1である化合物であり、本発明に云
う鎖状エーテルではない。
エーテルに代えて、鎖状エーテルとしてノナフルオロブ
チルペンチルエーテルを用いて、比較例としての比較電
池Wを作製した。
チルエーテルは鎖状エーテルではあるが、一般式におい
てn=4、m=5である化合物であり、本発明に云う鎖
状エーテルではない。
エーテルに代えて、エピフルオロヒドリンを用いて、比
較例としての比較電池Xを作製した。このエピフルオロ
ヒドリンは、鎖状エーテルではなく環状エーテルであっ
て、先行技術である特開平6-176768号に開示されたもの
である。
エーテル(鎖状エーテル)を使用せず非水系電解液を準
備し、比較例としての比較電池Yを作製した。
た。実験条件は、各電池を室温(25℃)にて、200mAで
4.2Vまで定電流充電した後、200mAで2.75Vまで定電流
放電する工程を1サイクルとする充放電サイクル試験を
繰り返して行い、放電容量が初期放電容量の90%を下回
るまでのサイクル数を求めた。
添加剤の名称とその化学式、化学式(CnF2n+1‐
O‐CmH2m+1)におけるn、mの値、サイクル数
の順で明記してある。
剤を無添加の比較電池Y及び添加剤としてエピフルオロ
ヒドリンを添加した比較電池Xに比べて、サイクル後の
放電容量残存率が高く、サイクル特性が良いことが分か
る。
以上のフルオロアルキル鎖、または、炭素数5以上のア
ルキル鎖を有する鎖状エーテルを添加した比較電池Vま
たは比較電池Wに比べて、サイクル特性に優れる傾向が
見られた。これは、炭素数の多いフルオロアルキル鎖ま
たは、アルキル鎖を有する鎖状エーテルを添加すること
により、電解液粘度の増加および電解液に対する溶解度
の減少がおこるためと考えられる。
の特性が優れないのは、いずれの比較電池においても、
アルキル鎖長、即ちn及びmの増加により分子量が増大
し、これに伴い電解液の粘度の上昇、導電率の低下が起
こるためと考えられる。
剤として使用しているが、環状エーテル分子自体が分解
されにくく、負極表面上への被膜形成が難しいため秀逸
な特性が得にくいと考えられる。
A1〜A3及び比較電池X、比較電池Yの充電保存特性
を調べた。
まで充電した後、200mAで2.75Vまで放電する。その
後、200mAで4.2Vまで充電し、この状態で60℃、20日間
保存試験を行うというものである。また、各電池の保存
に伴う放電容量の変化は、200mAで2.75Vまで放電して
測定した。
について、各電池の保存後の放電容量を、縦軸に放電容
量(mAh)、横軸に保存期間(日)をとって示したもので
ある。
A3では比較電池X、比較電池Yに比べて、保存後の放
電容量が大きく、保存特性に優れていることが分かる。
これは、鎖状エーテルが、負極と電解液の界面に被膜を
形成し、この被膜が充電状態で安定に存在するためと考
えられる。
電池は、サイクル特性及び保存特性が優れたものであ
り、特定の鎖状エーテルの秀逸性が伺える。
る非水系電解液を使用することにより、非水系電解液中
の溶媒の分解に起因して起こる非水系電解液の劣化が抑
制され、サイクル特性に優れた非水系電解液二次電池を
提供できるものであり、その工業的価値は極めて大き
い。
に伴う放電容量変化を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 正極と、リチウム金属又はリチウムを吸
蔵放出可能な物質を主材とする負極と、これら両電極を
隔離するセパレーターと、非水系電解液とを備えてなる
非水系電解液二次電池において、前記非水系電解液が、 一般式CnF2n+1‐O‐CmH2m+1(式中、
n,mは整数であり、m=1の場合n=1、m=2の場
合n=1〜3、m=3の場合n=1〜4、m=4の場合
n=1〜5である。)で示される鎖状エーテルを含有し
ていることを特徴とする非水系電解液二次電池。 - 【請求項2】 前記非水系電解液が、全溶媒の体積に対
し0.1〜30体積%に相当する前記鎖状エーテルを含有さ
せることを特徴とする請求項1記載の非水系電解液二次
電池。 - 【請求項3】 前記非水系電解液が、LiN(CF 3 S
O 2 )(C 4 F 9 SO 2 )またはLiN(C 2 F 5 SO
2 ) 2 から選ばれた少なくとも一種の電解質塩を含有す
ることを特徴とする請求項1記載の非水系電解液二次電
池。
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JP13698998A JP3408152B2 (ja) | 1998-05-19 | 1998-05-19 | 非水系電解液二次電池 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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