JP7363110B2 - SiCエピタキシャルウェハ、SiC基板及びSiCエピタキシャルウェハの評価方法、及びSiCデバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
課題の一つとして製造プロセスの効率化があり、歩留まりの改善も課題の一つである。SiCの結晶成長技術は現在も発展途上にあるため、基板中に多くの結晶欠陥が存在する。これらの結晶欠陥がSiCデバイスの特性を劣化させるデバイスキラー欠陥となり、歩留まりを悪化させる大きな要因となっている。
すなわち、本発明は上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
図1は、本発明の一実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハの断面模式図である。図1に示すSiCエピタキシャルウェハ100は、主面にマーカー欠陥を有するSiC基板1と、主面上に形成されたSiCエピタキシャル層2とを有する。本明細書においてSiC基板はSiCエピタキシャル層が形成されていないものをいい、SiCエピタキシャルウェハはSiC基板上にSiCエピタキシャル層が形成されているものをいう。また、本明細書においてSiCウェハとは、SiCエピタキシャルウェハおよびSiC基板のいずれも指す場合がある。
また、本発明のSiCエピタキシャルウェハ100に用いるSiC基板1はオフ角を有し、例えば、0.4°以上、8°以下のものであることが好ましい。典型的には、オフ角4°のものを用いることができる。
SiC基板1の厚さとしては特に限定するものではないが、例えば、150μm以上550μm以下のものを用いることができる。好ましくは300μm以上400μm以下のものを用いることができる。
SiC基板1のサイズとしては特に限定するものではないが、例えば、3インチ~6インチのものを用いることができる。
マーカー欠陥の深さや幅は、原子間力顕微鏡や段差計を用いて測定されてもよい。
また、「マーカー欠陥」は、共焦点微分干渉顕微鏡とフォトルミネッセンス(PL)観察機能を併設した検査装置(レーザーテック株式会社製、SICA88と同様の原理の装置)を用いた場合に、得られた顕微鏡像(以下、SICA像ということがある)においても観察することができる。マーカー欠陥は、SICA像において、幅(増における外周の2点間を直線で結んだときの最大距離)が4μm以上20μm以下の凹み又は穴(ピット)である。
また、マーカー欠陥10は、レーザーマーキングにより形成してもよい。レーザーマーキングによりマーカー欠陥10を形成する場合は深さが0.4μm以上となるように出力や波長等の条件を調整して行う。
尚、マーカー欠陥10の形成は、凹み又は穴(ピット)がSiC基板1を貫通しないように行う。
図5は、図2に示されるマーカー欠陥10がレーザー顕微鏡で観察された結果である。この三角欠陥の形成に起因したマーカー欠陥10は、深さが0.44μmであり、幅が4.5μmである。
図7及び図8に示されるように、マーカー欠陥10は、X線トポ像及びPL検査像でも観察することができる。三角欠陥11は、PL検査像でも容易に見つけることができるため、三角欠陥11の位置を基にPL検査像においてもマーカー欠陥10を容易に見つけることができる。すなわち、SiCエピタキシャルウェハ100は、X線トポ像とPL検査像といった、異なる原理を用いて観察された画像においても位置合わせを容易に行うことができる。また、異なる原理の観察方法で観察を行うことで、単一の観察方法では検出できなかったSiC基板1の欠陥およびSiCエピタキシャルウェハ100の欠陥を検出することができる。
また、図7に示されたBPDはSiCエピタキシャル層2に進展するBPDであったが、SiC基板1のBPDにはSiCエピタキシャル層2に進展しないBPDもある。本実施形態では、マーカー欠陥10を利用してSiC基板1のX線トポ像とSiCエピタキシャルウェハ100のPL検査像とを比較することでSiCエピタキシャル層2に進展するBPDと進展しないBPDとの識別および位置の特定を正確に行うことができる。
以下、SiCエピタキシャルウェハの製造方法に関する実施形態の好ましい例について図を適宜参照しながら説明する。
本実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造方法は、マーカー欠陥形成工程と、積層工程と、欠陥位置決定工程と、を有する。好ましくは、マーカー欠陥形成工程の前にマーカー欠陥位置決定工程をさらに有する。
マーカー欠陥形成工程は、SiC基板の主面にマーカー欠陥を形成する。
積層工程は、SiC基板の主面上にSiCエピタキシャル層を形成することによって、前記マーカー欠陥に起因して形成された三角欠陥を有するSiCエピタキシャルウェハを製造する。
欠陥位置決定工程は、前記マーカー欠陥と前記三角欠陥とに基づいて、SiC基板及び前記SiCエピタキシャルウェハの少なくとも一方の欠陥の位置を決定する。
マーカー欠陥位置決定工程は、予定されているSiCエピタキシャル層2の厚さに基づいて、SiC基板1の主面上に形成するマーカー欠陥10の位置を決定する工程である。主面にマーカー欠陥を有するSiC基板にSiCエピタキシャル層を積層するとマーカー欠陥10に起因して三角欠陥11がSiCエピタキシャルウェハ100に形成される。三角欠陥11の形成される向きは、SiC基板1のオフ角等に依存し、三角欠陥11の大きさは、積層するSiCエピタキシャル層11の厚さに依存する。そのため、用いるSiC基板1とSiC基板1に積層するSiCエピタキシャル層2の厚さに応じてマーカー欠陥10を形成する適切な位置を決定する。具体的には、オフ角が4°のSiC基板1を用いて厚さがd(μm)のSiCエピタキシャル層2を積層した場合は、マーカー欠陥10から[11-20]方向にd×{1/tan(4°)}以上間隔を空けることが好ましい。より好ましくは、マーカー欠陥10から[11-20]方向に2×d×{1/tan(4°)}以上間隔を空けることが好ましい。当該構成により異なるマーカー欠陥10に起因して形成する三角欠陥が重なることを抑制することができる。
三角欠陥11は、デバイスキラー欠陥となりうるため過剰に形成されることは好ましくないが、マーカー欠陥位置決定工程を行い、マーカー欠陥10を形成すべき位置を決定することで過剰に三角欠陥が形成されることを抑制することができる。また、マーカー欠陥が適度な距離だけ離間して形成されることで位置合わせの精度を向上することができる。
マーカー欠陥形成工程は、SiC基板1にマーカー欠陥10を形成する工程である。マーカー欠陥10は、公知の方法で形成することができる。マーカー欠陥10を形成する方法はこの例に限定されないが、例えば、ダイヤモンドペンでSiC基板1にダメージを加えることで形成する方法等がある。
ダイヤモンドペンは、公知のダイヤモンドペンを用いることができる。例えば、先端外径が1~4mmのダイヤモンドペンを好ましく用いることができる。ダイヤモンドペンでSiC基板1にダメージを加えることによりマーカー欠陥10を形成する場合は、深さ0.4μm以上の凹み又は穴(ピット)が形成されるようにダイヤモンドペンの径、押し圧、時間や角度等を調整して行う。
また、マーカー欠陥10は、レーザーマーキングにより形成してもよい。レーザーマーキングによりマーカー欠陥10を形成する場合は深さが0.4μm以上となるように出力や波長等の条件を調整して行う。
尚、マーカー欠陥10の形成は、凹み又は穴(ピット)がSiC基板1を貫通しないように行う。
積層工程は、SiC基板1の主面上にSiCエピタキシャル層2を形成することによって、マーカー欠陥10に起因して形成された三角欠陥11を有するSiCエピタキシャルウェハ100を製造する工程である。SiCエピタキシャル層2の積層は、公知の方法で行うことができる。例えば、化学気相成長法等により行うことができる。積層するSiCエピタキシャル層は、任意の構成とすることができるが、例えば1~65μmの厚さとすることが好ましく、5~35μmの厚さとすることがより好ましい。
欠陥位置決定工程は、マーカー欠陥10と三角欠陥11とに基づいてSiC基板1およびSiCエピタキシャルウェハ100の少なくとも一方の欠陥の位置を決定する工程である。好ましくは、SiC基板1およびSiCエピタキシャルウェハ100の両方の欠陥の位置を決定する。
欠陥位置決定工程は、SiC基板1およびSiCエピタキシャルウェハ100の検査像でマーカー欠陥10や三角欠陥11の位置や角度等に基づいてSiC基板1またはSiCエピタキシャルウェハ100に存在する欠陥の位置を決定する工程である。用いることのできるSiC基板1およびSiCエピタキシャルウェハ100の検査像は、例えばSiC基板1のX線トポ像とSiCエピタキシャルウェハ100のPL検査像とである。
SiC基板1及びSiCエピタキシャルウェハ100の欠陥の両方の位置を決定した場合、両方の位置を比較することで、積層工程の前後における欠陥の位置を比較することができる。SiC基板1を用いてMOSFETを形成すると、SiC基板1上のBPDは、SiCエピタキシャル層2が成膜された際に、貫通刃状転位に変換するものとBPDのまま残存するものと、に分類される。MOSFETのボディダイオードに順方向電流を流すとBPDのまま残存するものは高抵抗でありデバイス特性を悪化させる積層欠陥(SF)に拡張する場合がある。SiC基板1及びSiCエピタキシャルウェハ100の欠陥の両方の位置を決定した場合、両方の位置を比較することで、デバイス特性を悪化させる恐れのある欠陥等を分類し、特性不良を示す位置を把握することができる。
X線トポ像及びPL検査像以外の検査像を組み合わせて用いる場合、X線トポ像及びPL検査像の倍率と位置合わせマーカーの位置関係を他の検査像に適用することができる。X線トポ像及びPL検査像に代用して検査像を用いる場合、X線トポ像及びPL検査像を用いる場合と同様にして位置合わせ及び欠陥の位置決定を行うことができる。
本実施形態にかかるSiCデバイスは、マーカー欠陥形成工程と、積層工程と、欠陥位置決定工程と、NGチップ決定工程と、デバイス形成工程とを有する。マーカー欠陥形成工程と、積層工程と、欠陥位置決定工程と、は上述のSiCエピタキシャルウェハの評価方法に記載した工程を行うことができる。デバイス形成工程は、SiCチップを用いて、公知の方法でデバイス形成を行うことができる。
NGチップ決定工程は、欠陥位置決定工程において決定したSiC基板1及びSiCエピタキシャルウェハ100の少なくとも一方の欠陥の位置に基づいて、SiCエピタキシャルウェハ100のチップ化切断によって得られる複数のチップのうち、NGチップを決定する工程である。NGチップは、SiCデバイスを形成するチップに混ざらないよう区別される。
チップ化切断は、公知の方法で行うことができるが、欠陥の位置がチップに含まれることを避けて切断してもよい。NGチップは、SiCデバイスを形成した際に特性不良を示すチップである。NGチップは例えば、デバイスを形成する領域にデバイスキラー欠陥が含まれるチップである。
2 SiCエピタキシャル層
10 マーカー欠陥
11 三角欠陥
100 SiCエピタキシャルウェハ
Claims (9)
- 主面にマーカー欠陥を有するSiC基板と、
前記主面上に形成されたSiCエピタキシャル層と、を有するSiCエピタキシャルウェハであって、
前記マーカー欠陥に起因して形成された三角欠陥を有する、SiCエピタキシャルウェハ。 - 前記マーカー欠陥の深さは前記SiC基板の主面から0.4μm以上である、請求項1に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
- 前記マーカー欠陥を複数有する、請求項1又は2に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
- 前記マーカー欠陥の最大径は、4μm以上20μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
- SiC基板の主面にマーカー欠陥を形成するマーカー欠陥形成工程と、
前記SiC基板の主面上にSiCエピタキシャル層を形成することによって、前記マーカー欠陥に起因して形成された三角欠陥を有するSiCエピタキシャルウェハを製造する積層工程と、
前記マーカー欠陥と前記三角欠陥とに基づいて、SiC基板及び前記SiCエピタキシャルウェハの少なくとも一方の欠陥の位置を決定する欠陥位置決定工程と、を有するSiC基板及びSiCエピタキシャルウェハの評価方法。 - 前記マーカー欠陥形成工程の前に、予定されているSiCエピタキシャル層の厚さに基づいて、前記SiC基板の主面上に形成する前記マーカー欠陥の位置を決定するマーカー欠陥位置決定工程を有する、請求項5に記載のSiC基板及びSiCエピタキシャルウェハの評価方法。
- 前記欠陥位置決定工程は、前記SiCエピタキシャル層の厚さをdとすると、
前記マーカー欠陥の間隔をd×{1/tan(4°)}とする、請求項5または6に記載のSiC基板及びSiCエピタキシャルウェハの評価方法。 - 前記欠陥位置決定工程は、前記SiC基板及び前記SiCエピタキシャルウェハの欠陥の両方の位置を決定し、前記積層工程の前後における欠陥の位置を比較する工程をさらに有する、請求項5~7のいずれか一項に記載のSiC基板及びSiCエピタキシャルウェハの評価方法。
- SiC基板の主面にマーカー欠陥を形成するマーカー欠陥形成工程と、
前記SiC基板の主面上にSiCエピタキシャル層を形成することによって、前記マーカー欠陥に起因して形成された三角欠陥を有するSiCエピタキシャルウェハを製造する工程と、
前記マーカー欠陥と前記三角欠陥とに基づいて、SiC基板及び前記SiCエピタキシャルウェハの少なくとも一方の欠陥の位置を決定する欠陥位置決定工程と、
前記欠陥位置決定工程において、決定したSiC基板及び前記SiCエピタキシャルウェハの少なくとも一方の欠陥の位置に基づいて、前記SiCエピタキシャルウェハのチップ化切断によって得られる複数のチップのうち、NGチップを決定するNGチップ決定工程と、を有する、SiCデバイスの製造方法。
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