JP7357132B1 - 防食構造及び保護カバーユニット - Google Patents
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Abstract
Description
鋼管矢板10は、外面に継手管(C型継手管)12が固定された複数の鋼管本体11が、継手管12を介して互いに連結されて構成され、且つ複数の鋼管本体11の連結方向Xに隣り合う一対の鋼管本体11,11の間に、該一対のうちの一方の継手管12と他方の継手管12とが連結した継手管連結構造120を有している。防食構造1Zが設置されている鋼管矢板10の表面(被防食面)10aは、鋼管本体11に対応する凸部13と、継手管連結構造120に対応する凹部14とからなる凹凸構造を有している。鋼管矢板10の表面10aでは、凸部13と凹部14とが連結方向Xに交互に配置されており、図13は、その複数の凹部14のうちの1つを示している。凸部13は、連結方向Xに直交する方向である鉛直方向に延在する畝部であり、凹部14は、同方向に延在する溝部である。
被防食面10aには、複数の凹部14に対応して複数の防食構造1Zが設置されており、複数の防食構造1Zは連結方向Xに連なって配置されている。複数の防食構造1Zは、それぞれ、1つの凹部14(継手管連結構造120)とその両側に位置する一対の凸部13,13(一対の鋼管本体11,11)における該1つの凹部14寄りの部分とに対応している。
防食構造1Zは、継手管連結構造120の連結方向Xの中央部に配置され、継手管連結構造120を構成する継手管12と接触する第1の防食構造90Aと、凹部14の連結方向Xの両側に配置され、鋼管本体11と接触する一対の第2の防食構造90B,90Bとを有している。防食構造90A,90Bは、それぞれ、被防食面10aから近い順に、防食層91、緩衝材92、保護カバー93を有している。防食構造90A,90Bは、継手管12の外面に固定されたボルト94と、ボルト94に螺合されたナット95とによって、被防食面10aに固定されている。防食構造90A,90Bは、それぞれ、当該防食構造を厚み方向に貫通し、ボルト94が挿通される挿通孔(図示せず)を有している。
被防食面10aと防食構造90A,90Bとで囲まれた空間には防食材96が充填されている。
このような鋼管矢板における継手管位置の不均一現象は、特に鋼管矢板10の如き、P-P型の鋼管矢板に多く見られる。その理由は、P-P型の鋼管矢板における継手管連結構造が、継手管どうしの連結が比較的緩いC型継手管によって構成されているためである。C型継手管は、継手管12に代表されるように、周方向の一部に切り欠き部を有し、一対のC型継手管による継手管連結構造は、一方の切り欠き部と他方の切り欠き部との嵌合によって構成されるところ、その嵌合部では、一方のC型継手管と他方のC型継手管とが相互に幾分の余裕を持って連結していることが多い。
このような、防食対象である鋼管矢板の構造の不均一性に起因する問題を解決し、施工性及び防食効果に優れる防食技術は未だ提供されていない。
前記鋼管矢板は、外面に継手管が固定された複数の鋼管本体が、該継手管を介して互いに連結されて構成され、且つ該複数の鋼管本体の連結方向に隣り合う一対の鋼管本体の間に、該一対のうちの一方の継手管と他方の継手管とが連結した継手管連結構造を有しており、
前記鋼管矢板の表面に接触する防食層と、該防食層の該鋼管矢板との接触面側とは反対側に位置する保護カバーユニットと、該保護カバーユニットを該鋼管矢板に固定する固定手段とを有し、
前記固定手段は、前記継手管連結構造の外面に固定されたボルトと、該ボルトとともに前記保護カバーユニットを締結するナットとを有し、
前記保護カバーユニットは、前記防食層から近い順に、内層、中間層及び外層を有し、これら3層は、それぞれ、緩衝材と、該緩衝材よりも該防食層から遠い側に位置する保護カバーとを有するとともに、当該層を厚み方向に貫通し且つ前記ボルトが挿通される挿通孔を前記継手管連結構造に対応する位置に有し、
前記中間層の前記挿通孔は、前記連結方向に沿って延びる長孔である、
防食構造である。
前記鋼管矢板は、外面に継手管が固定された複数の鋼管本体が、該継手管を介して互いに連結されて構成され、且つ該複数の鋼管本体の連結方向に隣り合う一対の鋼管本体の間に、該一対のうちの一方の継手管と他方の継手管とが連結した継手管連結構造を有しており、
前記保護カバーユニットは、使用時に前記防食層から最も近い位置に配置される内層と、該内層よりも該防食層から遠い側に配置される中間層と、該中間層よりも該防食層から遠い側に配置される外層とを有し、これら3層は、それぞれ、緩衝材と、使用時に該緩衝材よりも該防食層から遠い側に配置される保護カバーとを有するとともに、当該層を厚み方向に貫通し且つ固定用ボルトが挿通される挿通孔を前記継手管連結構造に対応する位置に有し、
前記中間層の前記挿通孔は、前記連結方向に沿って延びる長孔である、
保護カバーユニットである。
前記鋼管矢板は、外面に継手管が固定された複数の鋼管本体が、該継手管を介して互いに連結されて構成され、且つ該複数の鋼管本体の連結方向に隣り合う一対の鋼管本体の間に、該一対のうちの一方の継手管と他方の継手管とが連結した継手管連結構造を有しており、
前記固定手段は、使用時に前記継手管連結構造の外面に固定されるボルトと、該ボルトとともに前記保護カバーユニットを締結するナットとを有し、
前記保護カバーユニットは、使用時に前記防食層から最も近い位置に配置される内層と、該内層よりも該防食層から遠い側に配置される中間層と、該中間層よりも該防食層から遠い側に配置される外層とを有し、これら3層は、それぞれ、緩衝材と、使用時に該緩衝材よりも該防食層から遠い側に配置される保護カバーとを有するとともに、当該層を厚み方向に貫通し且つ前記ボルトが挿通される挿通孔を前記継手管連結構造に対応する位置に有し、
前記中間層の前記挿通孔は、前記連結方向に沿って延びる長孔である、
保護カバーユニットセットである。
本発明の防食構造は、防食対象の鋼管矢板において継手管連結構造を構成する継手管どうしの相対位置が施工誤差によって不均一となっている場合でも、鋼管矢板に対する防食層の密着性を確保して優れた防食効果を発現し得る。そのため、本発明の防食構造を鋼管矢板に適用するに際しては、斯かる継手管位置の不均一現象に備えて、使用されない可能性のある余分な防食構造を予め用意する必要がなく、省資源に役立つととともにコスト低減が図られ、また、施工現場で保護カバーユニットに固定用ボルトの挿通孔を穿設する作業も不要であるため、施工期間の短縮が図られる。加えて、本発明の防食構造は、被防食面との間に隙間が生じにくいため、該隙間に防食材を充填する作業を軽減することができ、設置作業が容易である。
本実施形態では、鋼管矢板10の被防食面10aは、図2に示すように、鋼管本体11に対応する凸部13と、継手管12(継手管連結構造120)に対応する凹部14とからなる凹凸構造を有している。凸部13と凹部14とは鋼管本体11の連結方向Xに交互に配置されている。連結方向Xは水平方向に一致し、連結方向Xに直交する方向Yは鉛直方向に一致する。鋼管本体11及び継手管12それぞれの軸方向(長手方向)は方向Yに一致する。鋼管矢板10については、前述の図13及び図14に基づく説明が適宜適用される。
防食層2を形成する防食材としては、この種の被覆防食体において防食材として使用可能なものを特に制限無く用いることができ、例えば、ペトロラタム系防食材、ウレタン系防食材、水中硬化形エポキシ系樹脂等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの防食材の中でも特にペトロラタム系防食材は、約30年もの長期間にわたって優れた防食効果を発現可能である上に、補修、更新が比較的容易であるため、本発明に係る防食層として好ましい。
防食層2の厚みは、これを形成する防食材の種類等によって適宜設定すればよく特に限定されない。例えば、防食層2がペトロラタム系防食材を含む場合、防食層2の厚み(防食層2が多層構造の場合は該多層構造の厚み)は、好ましくは2mm以上である。
本実施形態では、複数のボルト41は何れもスタッドボルトであり、継手管連結構造120を構成する一対の継手管12,12に対応して連結方向Xに一対が間欠配置されているとともに、方向Yに複数が間欠配置されている。
ボルト41及びナット45の構成材料は特に制限されず、金属、樹脂等を用いることができる。ボルト41及びナット45は、典型的には、金属製である。
固定板43の構成材料は特に制限されず、金属、樹脂等を用いることができるが、固定板43が接触する部材(本実施形態では外層33の保護カバー332)が耐食性金属から構成されている場合は、耐食性金属との接触による腐食(異種金属接触腐食)を防止する観点から、固定板43は絶縁性材料から構成されることが好ましい。絶縁性材料としては、例えば、フッ素樹脂、繊維強化プラスチック(FRP)、塩化ビニル樹脂等の樹脂製材料が挙げられる。
固定板43は、前記機能を十分に発揮させる観点から、曲げ剛性に優れていることが好ましく、その観点から、FRP等の樹脂からなる板状部材であることが好ましい。前記板状部材からなる固定板43の厚みは特に制限されないが、好ましくは5~20mmである。固定板43の厚みが小さすぎると、十分な曲げ剛性が得られないおそれがあり、固定板43の厚みが大きすぎると、固定板43の重量増加による施工性の低下を招くおそれがある。
保護カバーユニット3は、防食層2から近い順に、内層31、中間層32及び外層33を有している。前記3層31~33は、それぞれ、緩衝材と、該緩衝材よりも防食層2から遠い側に位置する保護カバーとを有するとともに、当該層31、32又は33を厚み方向に貫通し且つボルト41が挿通される挿通孔を継手管連結構造120に対応する位置に有している。
両内層31A,31Bは、それぞれ、継手管連結構造120を構成する一対の継手管12,12のうちの一方に対応する継手管対応部314と、該一方の継手管12に隣接する鋼管本体11に対応する鋼管本体対応部315とを有し、使用時には図4に示すように、該一方の継手管12と該鋼管本体11とに跨って配置される。
継手管対応部314及び鋼管本体対応部315は、それぞれ、防食層2から近い順に、防食層313、緩衝材311及び保護カバー312を有している。本実施形態では、防食層313は、緩衝材311及び保護カバー312それぞれの方向Yに沿う縁部から延出しており、緩衝材311及び保護カバー312に比べて、被防食面10aとの重なり部の面積が大きい。
両外層33A,33Bは、それぞれ、継手管連結構造120を構成する一対の継手管12,12のうちの一方に対応する継手管対応部334と、該一方の継手管12に隣接する鋼管本体11に対応する鋼管本体対応部335とを有し、使用時には図4に示すように、該一方の継手管12と該鋼管本体11とに跨って配置される。
鋼管本体対応部335は、防食層2から近い順に、防食層333、緩衝材331及び保護カバー332を有している。一方、継手管対応部334は、保護カバー332のみからなり、防食層333及び緩衝材331を有してない。継手管対応部334は主として、外層33(33A,33B)を鋼管矢板10に固定する固定手段として機能する。
挿通孔310,320,330は、それぞれ図3に示すように、継手管連結構造120を構成する一対の継手管12,12に対応して連結方向Xに一対が間欠配置されているとともに、方向Yに複数が間欠配置されている。
挿通孔310,320,330の前記3層31~33における位置は、継手管連結構造120に固定されたボルト41が挿通可能な位置であることを前提として特に制限されない。本実施形態では、前述したように、内層31及び外層33は、使用時に継手管12に対応する部分(継手管対応部314,334)と鋼管本体11に対応する部分(鋼管本体対応部315,335)を有しているので、挿通孔310,330は前者に設けられる。図6(b)を参照して、内層31(31A,31B)の継手管対応部314において、挿通孔310は、緩衝材311及び保護カバー312の積層構造に設けられていてもよい。
本発明では、長孔320の形状は特に制限されず、例えば、長孔320の長軸方向(連結方向X)の一端又は他端は開放端であってもよく、すなわち長孔320の輪郭線は、連結方向Xの一方側又は他方側に向かって凸のU字状であってもよい。
したがって、鋼管矢板10に適用された複数の防食構造1どうしは、未使用状態(被防食面10aに配置する前の状態)において、少なくとも保護カバーユニット3の形状及び寸法が互いに同じである。
ここで言う「見掛け厚み」とは、中間層32の一方の面の頂部(最も突出した部位)と他方の面の頂部との間の厚み方向に沿う長さを指し、斯かる頂部どうしの間に空間部が存在する場合は、その空間部の厚みを含む。図7に示す中間層32は、一方の面の頂部と他方の面の頂部との間に空間部が存在していないので、中間層32の見掛け厚みは、中間層32の中実部分の厚み(実質厚み)と同じであるが、例えば、後述する図12に示す中間層36~39は、一方の面(被防食面との対向面とは反対側の面)に溝329すなわち空間部が形成されているので、中間層36~39の溝329の形成部位の見掛け厚みは、溝329の深さを含む。
そして本実施形態では、図4、図5及び図9に示すように、中間層32における高厚み部324が、継手管連結構造120に対応する位置に配置されている。より具体的には、高厚み部324は、継手管連結構造120の外面に固定された一対のボルト41,41の間に配置されている。継手管連結構造120の外面(周面)における前記一対のボルト41,41の間は、該一対のボルト41,41の固定位置よりも窪んだ窪み部であり、防食層23が接触しにくい部分である。このような被防食面10aの窪み部に中間層32の高厚み部324が配置されることで、防食層2の被防食面10aへの密着性が一層向上し得る。特に本実施形態の中間層32では、高厚み部324は、低厚み部325に比べて緩衝材321の実質厚みが大きいことで見掛け厚みも大きいため、クッション性に優れ、防食層2を被防食面10aに密着させる効果に優れる。
まず、鋼管矢板10の被防食面10aに付着した海生生物を除去し、被防食面10aの素地調整の程度がISO St2以上となるように素地調整を行う。
次に、被防食面10aにおける複数の継手管連結構造120それぞれの外面に、ボルト41が固定された一対の支持基材40,40を溶接により固定する。その後、ボルト41を絶縁スリーブ42で被覆することにより、ボルト41に絶縁処理を施す。
次に、被防食面10aにペースト状のペトロラタム系防食材等の防食材を直接塗布する等して、被防食面10aに防食層2を設置する。なお、防食層2の設置方法はこれに制限されず、例えば、保護カバーユニット3の内面(被防食面10aとの対向面)に予め形成しておいてもよい。必要に応じ、被防食面10a、特に被防食面10aにおける保護カバーユニット3との間に隙間が生じやすい部位に、パテ状、テープ状又はシート状の防食材96を配置する。
次に、被防食面10aに保護カバーユニット3を設置する。具体的には、被防食面10aに固定済みのボルト41を、内層31(31A,31B)の挿通孔310、中間層32の挿通孔(長孔)320、外層33(外層33A,33B)の挿通孔330に順次挿通させる。この手順で保護カバーユニット3を設置することで、防食構造1の所定の効果が一層確実に奏されるようになり、防食層2の被防食面10aに対する密着性を一層確実に確保し得る。
次に、固定板43の挿通孔430にボルト41を挿通させて、固定板43を保護カバーユニット3の外層33(継手管対応部334)の外面に重ねた後、ボルト41にワッシャー44を挿通させ、ナット45を螺合し、ボルト41の先端部にボルトキャップ46を被せる。また、外層33(33A,33B)の方向Yに延びる縁部に穿設された貫通孔にリベット47を挿通させる。
こうして、鋼管矢板10の被防食面10aに防食構造1を設置することができる。
両中間層34A,34Bは、それぞれ、図10(a)及び(b)に示すように、防食層2から近い順に、緩衝材321及び保護カバー322を有するとともに、当該中間層34A,34Bを厚み方向に貫通する長孔320を有する。両中間層34A,34Bは、それぞれ中間層32と同様に、防食層2から最も近い位置に防食層を有していてもよい。
そして、図10に示す形態では、図10(c)に示すように、内層31は、継手管連結構造120の連結方向Xの中央を基準として、継手管連結構造120の一方側に対応する第1の内層31Aと、他方側に対応する第2の内層31Bとに分割されているところ、第1の中間層34Aは使用時に第1の内層31Aに重ねて配置され、第2の中間層34Bは、使用時に第2の内層31Bに重ねて配置される。
図10に示す形態では、両中間層34A,34Bは、それぞれ、高厚み部324と低厚み部325とを有しているところ、使用時には図10(c)に示すように、両中間層34A,34Bそれぞれの高厚み部324が、継手管連結構造120の外面に固定された一対のボルト41,41の間(継手管連結構造120の外面の窪み部)に位置するように、内層31(31A,31B)に重ねて配置され固定される。その際、第1の中間層34Aの高厚み部324における第2の中間層34B寄りの縁部と、第2の中間層34Bの高厚み部324における第1の中間層34A寄りの縁部とが重ね合わされた状態で固定される。つまり両中間層34A,34Bは、それぞれ、使用時に他方と重ね合わされる部分(以下、「被重なり部」とも言う。)326を有し、且つ各被重なり部326が高厚み部324を含んでいる。両中間層34A,34Bの高厚み部324は、柔軟性及び弾力性を有する緩衝材321を含んで構成されているので、このように互いに重ね合わせた状態で固定することができる。両中間層34A,34Bどうしの固定には、必要に応じ、リベット等の、ボルト41以外の他の固定手段を用いてもよい。
なお、両中間層35A,35Bは、それぞれ、被重なり部326を含む任意の部位における、防食層2から最も近い位置に、防食層を有していてもよい。例えば、第2の中間層35Bの被重なり部326は、保護カバー322の内面側(内層31との対向面側)に配置された防食層を有していてもよい。
中間層35の使用時には図11(c)に示すように、第1の中間層35Aの被重なり部326である高厚み部324と、第2の中間層35Bの被重なり部326である低厚み部325とが、継手管連結構造120の外面に固定された一対のボルト41,41の間にて互いに重なり合うように、両中間層35A,35Bが内層31(31A,31B)の外面上に固定される。その際、両中間層35A,35Bの被重なり部326どうしの重なり部では、緩衝材321を含まず被重なり部326の厚みが相対的に小さい第2の中間層35Bの被重なり部326が、外面側(被防食面10aから相対的に遠い側)とされる。両中間層35A,35Bの被重なり部326は、それぞれ、保護カバー322を含み、使用時には両者の保護カバー322どうしが重なり合うので、海水等が保護カバー322の内側に侵入する不都合が一層確実に防止され得る。
図11に示す形態では、図11(c)に示すように、両中間層35A,35Bの被重なり部326どうしが重ね合わされた状態でリベット327により固定されるところ、第2の中間層35Bの被重なり部326を構成する保護カバー322には、図11(a)及び(b)に示すように、リベット327が挿通される挿通孔328が穿設されている。
中間層36~39は何れも、保護カバー322の外面(内層31との対向面とは反対側の面)に溝329が形成されている点で特徴付けられる。溝329は、中間層36~39の連結方向Xの中央部に形成され、方向Yに延在している。溝329は、中間層36~39を鋼管矢板10に適切に設置した場合に、継手管連結構造120の外面における一対のボルト41,41の間(一対のボルト41,41の固定位置よりも窪んだ窪み部)に配置される。
中間層37の溝329は、図12(b)に示すように、厚み方向且つ連結方向Xに沿う断面視において、保護カバー322の内面に向かって凸のV字状を有している。
中間層38の溝329は、図12(c)に示すように、厚み方向且つ連結方向Xに沿う断面視において、保護カバー322の内面に向かって凸の四角形形状を有している。
中間層39の溝329は、図12(d)に示すように、厚み方向且つ連結方向Xに沿う断面視において、保護カバー322の内面に向かって凸のM字状を有している。すなわち中間層39の溝329は、前記断面視においてV字状の2つの溝が連結方向Xに連接することで構成されている。
保護カバー322の外面に溝329が形成されていることで、溝329が形成されていない場合に比べて、保護カバー322の断面二次モーメントが向上し、保護カバー322の剛性が向上する。
また本発明には、保護カバーユニットセットが包含される。本発明の保護カバーユニットセットは、前記の本発明の保護カバーユニットと、前記固定手段4(ボルト41、ナット45等)に代表される固定手段とを含む。
本発明の保護カバーユニット及び保護カバーユニットセットについては、基本的に、前述の本発明の防食構造についての説明が適宜適用される。
前記実施形態では、保護カバーユニット3を構成する3層(内層31、中間層32、外層33を)は、それぞれ、少なくとも緩衝材及び保護カバーを有していればよく、防食層は任意に選択し得る要素である。
前記実施形態では、内層31及び外層33が、それぞれ、互いに分離独立した複数の要素(内層31は31A,31B、外層33は33A,33B)から構成され、中間層32は単一の要素から構成されていたが、これら3層31~33は、それぞれ、単一の要素から構成されていてもよく、複数の要素から構成されていてもよい。
前記実施形態はP-P型の鋼管矢板に適用したものであったが、本発明が適用可能な鋼管矢板はP-P型に制限されず、例えば、P-T型、L-T型にも適用可能である。しかしながら、本発明が解決しようとする課題の主なものの1つである、「鋼管矢板における継手管位置の不均一現象」は、前述したとおりP-P型の鋼管矢板で頻発することから、本発明はP-P型の鋼管矢板に特に好適である。
2,91 防食層
3 保護カバーユニット
31 内層
31A 第1の内層
31B 第2の内層
310 内層の挿通孔
311 内層の緩衝材
312 内層の保護カバー
313 内層の防食層
32,34~39 中間層
34A,35A 第1の中間層
34B,35B 第2の中間層
320 中間層の挿通孔(長孔)
321 中間層の緩衝材
322 中間層の保護カバー
323 中間層の防食層
324 高厚み部
325 低厚み部
326 被重なり部
33 外層
330 外層の挿通孔
331 外層の緩衝材
332 外層の保護カバー
333 外層の防食層
4 固定手段
40 支持基材
41 ボルト
42 絶縁スリーブ
43 固定板
44 ワッシャー
45 ナット
46 ボルトキャップ
47 リベット
10 鋼管矢板
10a 鋼管矢板の表面(被防食面)
11 鋼管本体
12 継手管
120 継手管連結構造
13 凸部
14 凹部
X 鋼管本体の連絡方向(水平方向)
Y 鉛直方向
Claims (7)
- 鋼管矢板の表面に設置される防食構造であって、
前記鋼管矢板は、外面に継手管が固定された複数の鋼管本体が、該継手管を介して互いに連結されて構成され、且つ該複数の鋼管本体の連結方向に隣り合う一対の鋼管本体の間に、該一対のうちの一方の継手管と他方の継手管とが連結した継手管連結構造を有しており、
前記鋼管矢板の表面に接触する防食層と、該防食層の該鋼管矢板との接触面側とは反対側に位置する保護カバーユニットと、該保護カバーユニットを該鋼管矢板に固定する固定手段とを有し、
前記固定手段は、前記継手管連結構造の外面に固定されたボルトと、該ボルトとともに前記保護カバーユニットを締結するナットとを有し、
前記保護カバーユニットは、前記防食層から近い順に、内層、中間層及び外層を有し、これら3層は、それぞれ、緩衝材と、該緩衝材よりも該防食層から遠い側に位置する保護カバーとを有するとともに、当該層を厚み方向に貫通し且つ前記ボルトが挿通される挿通孔を前記継手管連結構造に対応する位置に有し、
前記内層は、前記継手管連結構造の前記連結方向の中央を基準として、該継手管連結構造の一方側に対応する第1の内層と、他方側に対応する第2の内層とに分割されており、
前記中間層は、前記第1の内層及び前記第2の内層の双方に重なる単一の連続層であり、
前記中間層の前記挿通孔は、前記連結方向に沿って延びる長孔である、防食構造。 - 鋼管矢板の表面に設置される防食構造であって、
前記鋼管矢板は、外面に継手管が固定された複数の鋼管本体が、該継手管を介して互いに連結されて構成され、且つ該複数の鋼管本体の連結方向に隣り合う一対の鋼管本体の間に、該一対のうちの一方の継手管と他方の継手管とが連結した継手管連結構造を有しており、
前記鋼管矢板の表面に接触する防食層と、該防食層の該鋼管矢板との接触面側とは反対側に位置する保護カバーユニットと、該保護カバーユニットを該鋼管矢板に固定する固定手段とを有し、
前記固定手段は、前記継手管連結構造の外面に固定されたボルトと、該ボルトとともに前記保護カバーユニットを締結するナットとを有し、
前記保護カバーユニットは、前記防食層から近い順に、内層、中間層及び外層を有し、これら3層は、それぞれ、緩衝材と、該緩衝材よりも該防食層から遠い側に位置する保護カバーとを有するとともに、当該層を厚み方向に貫通し且つ前記ボルトが挿通される挿通孔を前記継手管連結構造に対応する位置に有し、
前記内層は、前記継手管連結構造の前記連結方向の中央を基準として、該継手管連結構造の一方側に対応する第1の内層と、他方側に対応する第2の内層とに分割されており、
前記中間層は、前記第1の内層に重なる第1の中間層と、前記第2の内層に重なる第2の中間層とに分割されており、
前記中間層の前記挿通孔は、前記連結方向に沿って延びる長孔である、防食構造。 - 前記中間層は、見掛け厚みが部分的に異なっており、
前記中間層における見掛け厚みが相対的に大きい部分が、前記継手管連結構造に対応する位置に配置されている、請求項1又は2に記載の防食構造。 - 前記鋼管矢板の表面に、複数の前記継手管連結構造に対応して複数の前記防食構造が前記連結方向に連なって配置されており、
前記保護カバーユニットは、形状及び寸法が同じである複数の構成要素から形成される、請求項3に記載の防食構造。 - 鋼管矢板の表面に設置された防食層を保護する保護カバーユニットであって、
前記鋼管矢板は、外面に継手管が固定された複数の鋼管本体が、該継手管を介して互いに連結されて構成され、且つ該複数の鋼管本体の連結方向に隣り合う一対の鋼管本体の間に、該一対のうちの一方の継手管と他方の継手管とが連結した継手管連結構造を有しており、
前記保護カバーユニットは、使用時に前記防食層から最も近い位置に配置される内層と、該内層よりも該防食層から遠い側に配置される中間層と、該中間層よりも該防食層から遠い側に配置される外層とを有し、これら3層は、それぞれ、緩衝材と、使用時に該緩衝材よりも該防食層から遠い側に配置される保護カバーとを有するとともに、当該層を厚み方向に貫通し且つ固定用ボルトが挿通される挿通孔を前記継手管連結構造に対応する位置に有し、
前記内層は、前記継手管連結構造の前記連結方向の中央を基準として、該継手管連結構造の一方側に対応する第1の内層と、他方側に対応する第2の内層とに分割されており、
前記中間層は、使用時に前記第1の内層及び前記第2の内層の双方に重ねて配置される単一の連続層であり、
前記中間層の前記挿通孔は、前記連結方向に沿って延びる長孔である、保護カバーユニット。 - 鋼管矢板の表面に設置された防食層を保護する保護カバーユニットであって、
前記鋼管矢板は、外面に継手管が固定された複数の鋼管本体が、該継手管を介して互いに連結されて構成され、且つ該複数の鋼管本体の連結方向に隣り合う一対の鋼管本体の間に、該一対のうちの一方の継手管と他方の継手管とが連結した継手管連結構造を有しており、
前記保護カバーユニットは、使用時に前記防食層から最も近い位置に配置される内層と、該内層よりも該防食層から遠い側に配置される中間層と、該中間層よりも該防食層から遠い側に配置される外層とを有し、これら3層は、それぞれ、緩衝材と、使用時に該緩衝材よりも該防食層から遠い側に配置される保護カバーとを有するとともに、当該層を厚み方向に貫通し且つ固定用ボルトが挿通される挿通孔を前記継手管連結構造に対応する位置に有し、
前記内層は、前記継手管連結構造の前記連結方向の中央を基準として、該継手管連結構造の一方側に対応する第1の内層と、他方側に対応する第2の内層とに分割されており、
前記中間層は、使用時に前記第1の内層に重ねて配置される第1の中間層と、前記第2の内層に重ねて配置される第2の中間層とに分割されており、
前記中間層の前記挿通孔は、前記連結方向に沿って延びる長孔である、保護カバーユニット。 - 前記中間層は、見掛け厚みが部分的に異なっており、
前記中間層における見掛け厚みが相対的に大きい部分は、使用時に前記継手管連結構造に対応する位置に配置される、請求項5又は6に記載の保護カバーユニット。
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