JP6291308B2 - 鋼管矢板の防食構造 - Google Patents
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Description
従来、防食処理として、水環境下の耐食性が大きい有機被覆を用いた有機被覆防食法が採用されていた。
有機被覆防食法としては、重防食塗装と樹脂ライニング法が用いられている。これらは、いずれも鋼材表面に下地処理を施し、その上に樹脂塗料を塗布して固化させるか、或いは射出成形等で得た樹脂皮膜や樹脂含浸シート等を接着して、鋼材表面全体又はその所定範囲に有機皮膜を形成させる防食被覆法である。
複層被覆防食法では、構造物を構成する鋼管矢板の表面にペトロラタム等の有機皮膜による有機防食層を形成し、更にその表面を耐食性金属薄板で被覆している。
このような複層被覆防食法では、有機防食層により鋼管矢板の表面の防食性が確保されるとともに、その表面を被覆する耐食性金属薄板によって有機防食層の耐久性を確保している。
すなわち、有機防食層を形成するペトロラタム等の有機皮膜は、鋼管矢板の表面に付着されていれば高い防食性が確保できるが、衝撃力に弱く、船体や流木等の衝突により傷つき易い。また、港湾や河川に設置される構造物は、通常はきわめて長い期間(例えば50年以上)の耐久性が要求されるが、このような状況では、紫外線による劣化や、油分の水中への流失などにより、有機皮膜のみでは耐久性を確保することが難しい。
これに対し、複層被覆防食法では、耐食性金属薄板により有機防食層の表面を被覆して保護することができ、長期間にわたり十分な防食性を確保することができる。
このようなクッション層を用いることで、外側の耐食性金属薄板と鋼管矢板との間隔が一定にできない海中設置等の状況下であっても、耐食性金属薄板で覆われた際にクッション層が防食層を鋼管矢板に押し付け、密着性を確保して確実な防食状態を得ることができる。
しかし、このようなクッション層を用いつつ、鋼管矢板の相互連結部分のスタッドボルトで耐食性金属薄板を締め付け固定する構成では、場合によって、当該締め付け固定部分で耐食性金属薄板が傾き、当該締め付け部分の直下にあるクッション層が部分的に過剰に圧縮されるとともに、他の部分では押し付けが不十分になる可能性がある。
耐食性金属薄板3は、断面形状の中間部分が鋼管矢板1に沿った半円弧状の本体部31を有し、その両端に締め付け固定用の平坦部32が形成されている。
固定板41は、端部を鋼管矢板1に溶接等で固定されており、その表面には、鋼管矢板1の延伸方向に沿って所定間隔でスタッドボルト44が設置されている。前述した防食層21、クッション層22、連結板42、平坦部32および押圧板43は、それぞれスタッドボルト44の位置に貫通孔が形成され、この貫通孔にスタッドボルト44が挿通され、スタッドボルト44に螺合されたナット45で締め付けることで固定板41に固定される。
なお、ナット45を工具で締め付けるために、スタッドボルト44と本体部31との間には工具を導入するのに十分な間隔が必要であり、スタッドボルト44は本体部31から同間隔だけ離れた位置とする必要がある。
この際、クッション層22では本体部31による圧縮に対して反発力F1を生じ、これに伴う張力F2が本体部31に生じる。この張力F2は、平坦部32および押圧板43を傾けるように作用する。すなわち、平坦部32および押圧板43において、本体部31が起立する側では張力F2に従って上向きの力F3が生じる。一方で、平坦部32および押圧板43は、ナット45の角の当接部位を支点Pとして回転するように傾き、本体部31が起立する側とは反対側では下向きの力F4を生じる。
このような下向き力F4によって、本体部31が起立する側とは反対側では、固定板41との間でクッション層22が過剰に圧縮されて潰れてしまい、所期のクッション性が得られなくなる。一方で、上向きの力F3が生じる本体部31が起立する側では、クッション層22が十分に押圧されず、防食層21を固定板41に対して密着させる機能が得られなくなる。
本発明の目的は、鋼管矢板を複層被覆防食で防食する際、防食カバーの締め付け固定部分での耐食性金属薄板の傾きを解消し、防食カバーの密着性を確保して確実に防食性能を発揮できる鋼管矢板の防食構造を提供することにある。
鋼管矢板に対する耐食性金属薄板の固定は、耐食性金属薄板の本体部(鋼管矢板の断面半円形状の本体部分を覆う耐食性金属薄板としての主要な部分)に対し、本体部の辺縁に形成される平坦部と、鋼管矢板に固定された固定板と、これらを挿通する締め付けボルトとにより行われる。固定板と平坦部との間には、耐食性金属薄板の本体部と鋼管矢板との間に積層された防食層およびクッション層の延長部分が配置され、耐食性金属薄板の固定部分においても本体部分から一連の防食構造が構成される。
従来、耐食性金属薄板を固定する際には、図9で説明したように、本体部からの張力により、平坦部および押圧板は締め付けボルト周辺の当接部位を支点として傾き、平坦部の本体部側が上向きに、本体部と反対側が下向きに変位していた。
以上により、本発明の鋼管矢板の防食構造では、防食層およびクッション層を耐食性金属薄板で被覆する複層被覆防食が確保できるとともに、締め付け固定部分での耐食性金属薄板の傾きおよびこれに伴う不都合を解消することができる。
このような本発明では、押圧板および固定板の少なくとも何れかに固定されたブロックが、押圧板と固定板との間に介在し、これをスペーサとして利用することができる。このようなスペーサでは、既存の押圧板あるいは固定板をそのまま利用し、これにブロックを固定するだけでよく、製造が簡易かつコストを低減することができる。
ブロックの材質としては、金属材料あるいは繊維強化合成樹脂成形品などが利用できる。押圧板あるいは固定板と同様な材料としてもよい。
ブロックの固定には、接着、融着、溶接、締結など任意の固定手段が利用できる。
このような本発明では、押圧板および固定板の少なくとも何れかに形成された膨出部が、押圧板と固定板との間に介在し、これをスペーサとして利用することができる。このようなスペーサでは、既存の押圧板あるいは固定板に対して膨出部の加工が必要であるが、スペーサが形成された押圧板あるいは固定板を一体に取り扱うことができ、つまりスペーサを別部品として搬送し、現場で組立てる必要がなく、品質管理および現場作業を簡素化することができる。
〔第1実施形態〕
図1において、鋼管矢板1は、断面円形の長尺筒型鋼材で形成された本体部11と、本体部11の外側対向位置に配置された連結部12とを有する。連結部12は本体部11に対して小径の円筒状とされ、その周方向の一部が切断され、この切断部分に他の鋼管矢板1の連結部12を装入することで、複数の鋼管矢板1を相互に連結し、一連の壁面状構造物を構成することができる。
本実施形態の鋼管矢板1は、港湾施設の岸壁構造物を構築するために用いられる。このような用途では、海水に曝されることによる腐食が進行しやすい。そこで、本実施形態の鋼管矢板1には、本発明に基づく防食構造9Aが適用されている。
有機防食層2は、ペトロラタム防食シートによる防食層21と、厚手の特殊発砲ポリエチレンによるクッション層22とによる2層とされている。
耐食性金属薄板3は、チタン材(純チタン、チタン合金)や、耐海水性ステンレス鋼等で形成されたものであり、鋼管矢板1の本体部11に沿った半円弧状の本体部31と、その両端に形成された締め付け固定用の平坦部32とを有する。
図2において、固定板41の表面側には、前述した鋼管矢板1の表面から連続する防食層21およびクッション層22と、耐食性金属薄板3と同質の連結板42と、前述した平坦部32と、鋼管矢板1の延伸方向(図面と交差する方向)に沿って延びる長尺平板状の押圧板43とが順次積層されている。
押圧板43は、接着剤による接着、リベット等による機械的接続により、平坦部32の表面に固定されている。
なお、防食層21、連結板42、平坦部32および押圧板43の貫通孔においては、スタッドボルト44との間の異種金属腐食を防止するための絶縁処理が施される。例えば、平坦部32がチタン材で形成され、スタッドボルト44が普通鋼で形成される場合、平坦部32および連結板42の貫通孔の内径を押圧板43の内径よりも大きくとるか、あるいは貫通孔内に絶縁材のパイプを配置する等がなされる。
ブロック46は、FRP(繊維強化プラスチック)製の板材で形成され、固定板41に対して接着により固定されている。
なお、ブロック46は、一対の平坦部32の隙間に沿って、その全長にわたり連続していてもよく、間欠的に形成されていてもよい。
前述のように、ブロック46は、一対の平坦部32の隙間をカバーする領域に配置され、押圧板43との位置関係としては、スタッドボルト44を挟んで本体部11とは反対側となる領域に配置されている。
これにより、ブロック46は、平坦部32の端部および連結板42とともに、押圧板43の端部と固定板41との間に挟み込まれるようになっている。
この際、固定されるブロック46と固定板41との間で、異種金属接触腐蝕を生じないように、同じ金属材料を用いるか、あるいはブロック46をFRP等の電気絶縁性材料とすることが望ましい。
さらに、ブロック46と固定板41との間に防食層21を介在させる際には、ブロック46と固定板41との接着等による直接的な固定ができなくなるが、ブロック46と連結板42とを接着する等により、固定性能を補ってもよい。
先ず、連結部12で相互に連結された複数の鋼管矢板1に対し、連結部12を跨ぐように固定板41を溶接等により固定する。固定板41には、ブロック46を接着等により固定しておく。
次に、鋼管矢板1の本体部11ないし連結部12の表面に防食層21を貼り付け、続いて防食層21の表面にクッション層22を貼り付ける。
連結部12の領域においては、固定板41に予め固定されているスタッドボルト44と対応する位置に、防食層21およびクッション層22に切れ目等の挿通孔を形成し、この孔にスタッドボルト44を挿通させる。防食層21およびクッション層22の端部は、それぞれブロック46の側面に密着するように押し込んでおく。
まず、耐食性金属薄板3の本体部31を、本体部11のクッション層22の表面に被せ、その両端の平坦部32を連結部12の領域、つまり固定板41の表面側に張られたクッション層22の表面に被せる。ここで、ブロック46の表面およびその両側のクッション層22の表面には、先に耐食性金属薄板3と同質の連結板42を設置しておき、両側から延びてくる平坦部32どうしの隙間が閉じられるようにする。
これらの耐食性金属薄板3の平坦部32および連結板42は、防食層21およびクッション層22と同様に、それぞれスタッドボルト44に挿通される。
このナット45を締め付けることで、耐食性金属薄板3は、平坦部32が固定板41に向けて押し付けられる。これにより、耐食性金属薄板3の本体部31が、有機防食層2である防食層21とクッション層22とを鋼管矢板1の本体部11に押し付け、クッション層22が適宜圧縮された状態とされ、このクッション層22による一様な圧力によって防食層21が本体部11の表面に密着される。
そして、この力F3は、押圧板43の本体部11側を持ち上げ、スタッドボルト44の締め付け部分を支点として押圧板43を傾け、押圧板43の本体部31が起立する側とは反対側では下向きの力F4を生じさせ、反対側の端部を相対的に押し下げる。
しかし、本実施形態では、押圧板43のスタッドボルト44を挟んで反対側の端部と固定板41との間に、スペーサとしてのブロック46が設置されているため、力F3による押圧板43の傾きを規制することができる。
しかし、本実施形態では、連結板42および平坦部32とともにブロック46が挟み込まれており、これらの材質の圧縮剛性により、押圧板43の端部と固定板41との近接が規制される。
本実施形態の防食構造9Aでは、ペトロラタムを含む防食層21、クッション層22および耐食性金属薄板3により、鋼管矢板1の表面に複層被覆防食法に基づく防食構造が形成され、鋼管矢板1に対して十分な防食性能を得ることができる。
本実施形態において、鋼管矢板1に対する耐食性金属薄板3の固定は、鋼管矢板1に固定された固定板41、スタッドボルト44およびナット45により、耐食性金属薄板3の本体部31の辺縁に形成される平坦部32を、当該部分まで延びる防食層21およびクッション層22とともに一括して締め付け固定することで行うことができる。
また、スペーサとしてのブロック46により、押圧板43の端部と固定板41との近接を規制することで、本体部31からの張力F2が平坦部32に伝達された場合でも、押圧板43が傾くことを防止することができる。
本実施形態では、ブロック46を固定板41に固定したため、これらを現場搬入前に予め固定しておいてもよく、固定板41と一体化させることで管理や搬送を簡素化することができる。また、ブロック46は、FRP製の板材を接着する等により簡単に製造でき、コスト低減にも好適である。
さらに、スタッドボルト44が予め固定板41に固定されているため、施工作業にあたっては防食層21、クッション層22、平坦部32および押圧板43の各々を順次スタッドボルト44に挿通してゆけば、ナット45を締め付けない状態であっても仮止め状態とすることができ、例えば港湾構造物の海中作業等であっても作業を容易に行うことができる。
なお、ブロック46は、予め固定板41に接着しておくのではなく、現場で固定板41に接着してもよい。一方、防食層21、クッション層22、高耐食金属薄板3および押圧板43を現場で順次施工するのではなく、予め工場などで一体成形したカバーとしておき、一括して現地に搬入、施工することもできる。この場合、現場作業がさらに簡便にすることができる。
図3には、本発明の第2実施形態の防食構造9Bの要部が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態と同様な鋼管矢板1に、本発明に基づく防食構造を適用したものである。本実施形態の防食構造は、前述した第1実施形態の防食構造9Aと一部を除き共通であるため、重複する説明は省略し、以下には相違点のみ説明する。
前述した第1実施形態のブロック46は、断面長方形状のFRP製の板材が用いられ、一対の押圧板43を1枚のブロック46でカバーしていた。
これに対し、本実施形態のブロック47は、断面テーパ状の鋼材を用い、各側の押圧板43のそれぞれに対応して一対が配置されている。
本実施形態において、ブロック47は、表裏を貫通する孔にスタッドボルト44が挿通されており、これらの係合により固定板41に対する位置を固定されている。
なお、本体部11から連続するクッション層22は、ブロック47の傾斜した表面に張られ、その先端部は平坦部32との間に圧縮されている。また、一対のブロック47の間の隙間にも、防食層21の表面にクッション層22が張られている。
さらに、平坦部32および押圧板43を、前述した第1実施形態と同様に設置し、ナット45をスタッドボルト44に螺合させ、これにより押圧板43から固定板41までを一括して締め付け固定する。
さらに、本実施形態では、固定板41の表面に防食層21が連続するため、防食性能が確実に得られる。また、ブロック47がテーパ形状であり、クッション層22の端部を圧縮し、確実に保持することができる。
図4には、本発明の第3実施形態の防食構造9Cの要部が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態と同様な鋼管矢板1に、本発明に基づく防食構造を適用したものである。本実施形態の防食構造は、前述した第1実施形態の防食構造9Aと一部を除き共通であるため、重複する説明は省略し、以下には相違点のみ説明する。
ブロック48は、FRP製の角材で形成され、接着により押圧板43の端部(本体部11とは反対側の端部)の裏面側に固定されている。
折曲部42Cは、固定板41の表面に張られた防食層21に直接密接されている。連結板42の他の部分は、押圧板43に近い位置に維持され、押圧板43との間に平坦部32が挟持されるとともに、固定板41との間に防食層21およびクッション層22が挟持される。
次に、連結板42をクッション層22の表面に配置する。この際、連結板42の折曲部42Cを、クッション層22がない部分に配置し、防食層21に直接密着させる。
さらに、平坦部32および押圧板43を順次配置する。この際、押圧板43のブロック48を、連結板42の折曲部42Cの表面に当接させ、これにより押圧板43の端部と固定板41との間にブロック48、連結板42および防食層21を挟み込む。そして、前述した第1実施形態と同様に、ナット45をスタッドボルト44に螺合させ、これにより押圧板43から固定板41までを一括して締め付け固定する。
さらに、本実施形態では、固定板41の表面に防食層21が連続するため、防食性能が確実に得られる。また、ブロック48が押圧板43と一体化でき、搬送や管理をまとめて行うことができる。
なお、本実施形態では、折曲部42Cに対応する領域はクッション層22を張らず、固定板41と連結板42との間には防食層21だけが介装されるようにしたが、クッション層22の厚みを薄くしたものをこの領域に設置し、固定板41と連結板42との間に防食層21およびクッション層22がともに挟持される構成としてもよい。
図5には、本発明の第4実施形態の防食構造9Dの要部が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態と同様な鋼管矢板1に、本発明に基づく防食構造を適用したものである。本実施形態の防食構造は、前述した第1実施形態の防食構造9Aと一部を除き共通であるため、重複する説明は省略し、以下には相違点のみ説明する。
膨出部43Dは、押圧板43の本体部11側では厚みが薄く、反対側に至るに従って漸次厚みを増し、反対側の端部で最大の厚みとなる。すなわち、膨出部43Dを有する押圧板43は、本体部11側では薄く、反対側では厚くなるような、断面テーパ状に形成されている。
傾斜部42Dの表面は、押圧板43の裏面(膨出部43D)の傾斜に対応した傾斜とされ、これらの間に平坦部32が挟持される。傾斜部42Dの裏面と押圧板43との間には、防食層21およびクッション層22が挟持される。
次に、連結板42をクッション層22の表面に配置する。この際、連結板42の中間部分(傾斜部42Dでない部分)を、クッション層22が薄い部分に配置し、防食層21に直接密着させる。そして、傾斜部42Dで、クッション層22を圧縮し、先端側が薄くなるようにしておく。
そして、前述した第1実施形態と同様に、ナット45をスタッドボルト44に螺合させ、これにより押圧板43から固定板41までを一括して締め付け固定する。
さらに、本実施形態では、固定板41の表面に防食層21が連続するため、防食性能が確実に得られる。また、スペーサとして押圧板43の一部である膨出部43Dを用いるため、押圧板43とスペーサとを一体化でき、搬送や管理をまとめて行うことができる。
例えば、前述した第1実施形態では、固定板41に幅の広いブロック46を固定し、左右の押圧板43による締め付けに共用したが、押圧板43毎にブロックを配置してもよい。
図6においては、固定板41にFRP製の角材を用いたブロック46Aが配置され、このブロック46Aは押圧板43毎に設置されている。さらに、図6の構成では、ブロック46Aと固定板41との間にも、本体部11から連続して防食層21が設置されている。
このような構成でも、第1実施形態と同様な効果が得られるとともに、防食層21が連続することで、耐食性能をさらに向上することができる。
図7において、固定板41にはFRP角材製のブロック46Bが接着により直接固定されている。防食層21は、本体部11側からブロック46Bまで固定板41の表面に沿って張られているとともに、ブロック46B部分では、ブロック46Bの側面から上面側を経て反対側で固定板41の表面に戻るように配置され、いわばブロック6Bを迂回しつつ連続している。
このような構成では、連続した防食層21により耐食性能を向上できるとともに、ブロック46Bを固定板41に確実に固定しておくことができる。
要するに、本発明のスペーサとして、スタッドボルト44を挟んで本体部11と反対側に設置され、押圧板43と固定板41との近接を規制するスペーサが形成できればよい。
11…本体部
12…連結部
2…有機防食層
21…防食層
22…クッション層
3…耐食性金属薄板
31…本体部
32…平坦部
41…固定板
42…連結板
42C…折曲部
42D…傾斜部
43…押圧板
43D…膨出部
44…スタッドボルト
45…ナット
46,46A,46B,47,48…スペーサであるブロック
43D…スペーサである膨出部
9…複層被覆防食構造
9A,9B,9C,9D…防食構造
Claims (5)
- 鋼管矢板の表面に、ペトロラタムを含む防食層と、クッション層とを積層するとともに、前記クッション層の表面を耐食性金属薄板で被覆した防食構造であって、
前記耐食性金属薄板の本体部の辺縁に形成された平坦部と、前記平坦部の裏面側に沿って配置されかつ前記鋼管矢板に固定された固定板と、前記固定板と前記平坦部との間に積層された前記防食層および前記クッション層の延長部分と、前記平坦部の表面に沿って配置されかつ前記平坦部と前記本体部との境界部分まで延びる押圧板と、前記押圧板から前記固定板までを締め付け固定する締め付けボルトと、前記固定板と前記押圧板の前記締め付けボルトを挟んで前記本体部と反対側の端部との間に介在して前記押圧板の端部と前記固定板との近接を規制するスペーサとを有することを特徴とする鋼管矢板の防食構造。 - 請求項1に記載した鋼管矢板の防食構造において、
前記スペーサは、前記押圧板および前記固定板の少なくとも何れか一方に固定されたブロックであることを特徴とする鋼管矢板の防食構造。 - 請求項2に記載した鋼管矢板の防食構造において、
前記ブロックは、前記固定板に固定され、前記本体部側から反対側に至るに従って厚みが増大する断面テーパ状部材とされ、前記押圧板の最大厚み部分で前記スペーサが形成されることを特徴とする鋼管矢板の防食構造。 - 請求項1に記載した鋼管矢板の防食構造において、
前記スペーサは、前記押圧板および前記固定板の少なくとも何れか一方に形成された膨出部であることを特徴とする鋼管矢板の防食構造。 - 請求項4に記載した鋼管矢板の防食構造において、
前記押圧板は、前記本体部側から反対側に至るに従って厚みが増大する断面テーパ状部材とされ、少なくとも前記押圧板の最大厚み部分で前記スペーサが形成されることを特徴とする鋼管矢板の防食構造。
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