JP2012140796A - 鋼管矢板の被覆防食方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】防食層を内側に有する保護カバーで鋼管矢板の鋼管部を被覆防食する鋼管矢板の被覆防食方法において、前記保護カバーを2分割し、その保護カバー同士をリベットにより固定、連結する。好ましくは、さらに、鋼管矢板の鋼管部を連結する連結部に、鋼管矢板法線に対して垂直にスタッドボルトを固定し、該スタッドボルトに、前記連結部の形状に合わせて成形され且つ防食層と一体化した連結板を嵌め込み、さらに前記保護カバーの一端に予め形成されたフランジ部を嵌め込み、ナットで固定することにより、連続した保護層と防食層を形成する。
【選択図】図3
Description
この方法による保護カバーの取り付けは、鋼管矢板がすべて同じ間隔で設置されている場合は問題ないが、一般に矢板打設時に被る力により一定の間隔で設置されることは殆どなく、その結果、フランジ近傍に隙間を生じ、その部分は防食できないことになる。
即ち、従来の一般的な保護カバーの取り付け方法としては、図5及び図6に示すように、鋼管矢板Aの鋼管部1と同じ径で四つ割り形状の湾曲板2枚に、その湾曲方向の両側端を曲げて増厚したフランジ部2a,2aをそれぞれ設け、保護カバー2とし、一方、鋼管部1を連結するための連結部3にはスタットボルト3aを溶接にて取り付け、該スタッドボルト3aに保護カバー2のフランジ部2aの一方をナットにて固定すると共に、保護カバー2の他方のフランジ部2a同士をボルトナット2bにて固定することにより、保護カバー2を鋼管矢板Aに取り付ける方法であった。
また、塗装の塗膜自体には殆ど強度が無いため、漂流物の衝突などで比較的容易に破損してしまう。
そのほかに、モルタルもしくはコンクリートをライニングする方法もある。これはFRPや鋼製の型枠をある一定の間隔を保持して鋼管矢板に取り付け、その間にモルタルもしくはコンクリートを注入し防食をする方法である。この方法は、型枠の取り付けやコンクリート注入に大型の機械設備が必要となる。また、コンクリートの保護として型枠をそのままにしておく方法もあるが、コンクリートの強度を保つためには中に鉄筋やアンカーを内蔵する場合もあり、構造物に対する重量負荷やコスト高という課題もある(非特許文献1参照)。
しかし、ペトロラタム被覆では、防食層と保護層が一体化した状態で取り付けるため、フランジを締め込んでいく際に、フランジの両サイドで浮き上がりが生じ、防食上問題となる場合がある。また、連結部で固定した部分が引っ張られ、大きな隙間を形成してしまうこともある。
しかしながら、保護カバーの固定方法として前述した鋼管杭などで採用されているようなフランジ方式で行うと、フランジをボルトナットで締め付ける際に発生する大きな力により、フランジ近傍や反対側の固定部で保護カバーの変形や移動が生じ、隙間となって防食上欠陥箇所となってしまう。
本発明の鋼管矢板の被覆防食方法においては、保護カバーの一端にフランジ部を予め形成しておき、鋼管矢板の鋼管部を連結する連結部に、鋼管矢板法線に対して垂直にスタッドボルトを固定し、該スタッドボルトに、前記連結部の形状に合わせて成形され且つ防食層と一体化した連結板を嵌め込み、さらに前記保護カバーの一端に予め形成されたフランジ部を嵌め込み、ナットで固定することにより、連続した保護層と防食層を形成することが好ましい。
鋼管部における保護カバーのフランジ部を無くし、その部分の固定は、保護カバーを重ねた状態でリベットを用いて固定しているため、連結部に設置したスタッドボルトを利用し、アイナットを取り付け、そこに掛けたラッシングベルトで締め込むことにより、鋼管矢板を隙間無く被覆することができる。
鋼管部における保護カバーのフランジ部が無くなったことにより、フランジ部を締め付けた際に発生する隙間がなくなり防食性能の向上が図れる。
連結部における保護カバーのフランジ部においても鋼管側から強く引っ張られることが無くなったため、フランジ近傍の隙間が殆どなくなり、この部分も防食性能の向上が図れる。
フランジ部の増厚加工が不要となることから、保護カバーの大量生産が可能な機械成形が適用できるようになり、また弾力性が生じ、その弾力性により多少孔径の異なる鋼管への適用も可能となる。このことは従来のカバーが防食対象の鋼管の径にあったものだけしか使用できなかったことと比較すると、極めて生産性が良くなったことになる。
鋼管部における保護カバーのフランジ部が無くなったことにより、被覆防食後の鋼管矢板の景観が向上した。
また、従来からこの種の被覆防食では防食層にペトロラタム系防食材が用いられるが、フランジ部で保護カバーを固定する場合は、フランジ部直下に強力な圧力が付加されることから、防食材中の油分が搾り出され、外部に漏れ出すことがある。しかし、本発明の方法では、局所的に大きな展圧が加わることはないため、防食材中の油分が滲出することはない。
まず、図1乃至図3に示す好ましい実施形態について説明する。
本実施形態は、鋼管連結部3の連結形状がL−Tタイプの既設の鋼管矢板Aに対して、ペトロラタム系防食材からなる防食層4を内側に有するガラス繊維強化プラスチック(FRP)製保護カバー2を使用して被覆防食する場合の一例である。
FRP製保護カバー2は、工場にて成形加工した厚さ2〜3mmで、鋼管矢板Aの鋼管部1と同じ径で四つ割り形状のFRP製湾曲板に、JIS Z1902に規定された防食テープ(防食層4)を貼り付けて一体化したもので、その一端には幅50〜70mmのフランジ部2aが形成されている。該フランジ部2aには、防食テープの貼り付けをせず、ボルト5aに掛かる部分は切り欠き加工がなされている。
鋼管連結部3を構成するL鋼31と鋼管の隙間に防食テープもしくはペトロラタム系マスチック材9を充填し、L鋼31の脇に窪みが生じないようにする。
鋼管部1の被覆防食対象部分の残り半分に、上記と同様にして、保護カバー2を取り付ける。
保護カバー2は予め50mm以上重なるように作製しておき、保護カバー2の重なり部をリベット7で固定する。なお、重なり部の上側になる保護カバー2の防食層は除去しておいてもよく、除去しなくてもよい。
保護カバー2のリベット固定部において、保護カバー2と防食層4との間に、リベット本体の長さに対し50〜90%の間隔、特に60〜75%の間隔が確保されることが好ましい。この間隔が狭すぎると、リベットによる固定が困難となり、この間隔が広すぎると、防食上好ましくない。
上記間隔は、保護カバー2と防食層4との間に、発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタンなどのシート状発泡材などを貼付して緩衝層を設けることにより確保することが好ましい。
以上のようにして、鋼管連結部3の連結形状がL−Tタイプの既設の鋼管矢板Aに対して、本発明の被覆防食方法を実施することができる。
図4は、鋼管連結部3における保護カバー2の取り付け状況を拡大して示す断面図であり、鋼管部1における保護カバー2同士のリベット固定状況については、図示していないが、図1に示す実施形態と同じである。
本実施形態で使用するFRP製保護カバー2は、図1に示す実施形態で使用したものと同じものである。また、図1に示す実施形態と同様に、鋼管部1の鋼材表面もしくは保護カバー2の防食テープ表面には、JIS Z1903に規定された防食ペーストを塗布する。
鋼管部1の被覆防食対象部分の残り半分に、上記と同様にして、保護カバー2を取り付ける。
以上のようにして、鋼管連結部3の連結形状がP−Pタイプの既設の鋼管矢板Aに対して、本発明の被覆防食方法を実施することができる。
なお、図4中の9は、鋼管連結部3と鋼管と連結板8の隙間に充填されたペトロラタム系マスチック材である。
保護カバー同士を固定するリベットとしては、自己閉塞型ブラインドタイプのリベットを用いるのが好ましく、またリベットの材質は、チタン、チタン合金、耐海水性ステンレスが好ましい。
防食層を形成する防食材としては、ペトロラタム系防食材、ウレタン系若しくはシリコン系のシーリング材、ブチルゴム系粘着材などが挙げられる。
1 鋼管部
2 保護カバー
2a フランジ部
2b ボルトナット
3 鋼管連結部
31 L鋼
3a スタッドボルト
4 防食層
5 プレート
5a ボルト
5b ナット
5c キャップ
6 あて板
7 リベット
8 連結板
Claims (8)
- 防食層を内側に有する保護カバーで鋼管矢板の鋼管部を被覆防食する鋼管矢板の被覆防食方法において、前記保護カバーを2分割し、その保護カバー同士をリベットにより固定、連結することを特徴とする鋼管矢板の被覆防食方法。
- 鋼管矢板の鋼管部を連結する連結部に、鋼管矢板法線に対して垂直にスタッドボルトを固定し、該スタッドボルトに、前記連結部の形状に合わせて成形され且つ防食層と一体化した連結板を嵌め込み、さらに前記保護カバーの一端に予め形成されたフランジ部を嵌め込み、ナットで固定することにより、連続した保護層と防食層を形成する、請求項1記載の鋼管矢板の被覆防食方法。
- 前記保護カバーのリベット固定部において、前記保護カバーと前記防食層との間に、リベット本体の長さに対し50〜90%の間隔が確保される、請求項1又は2記載の鋼管矢板の被覆防食方法。
- 前記リベットとして、自己閉塞型ブラインドタイプのリベットを用いる、請求項1〜3の何れか1項に記載の鋼管矢板の被覆防食方法。
- 前記保護カバーが、プラスチック、繊維強化プラスチック又は耐食性金属からなる、請求項1〜4の何れか1項に記載の鋼管矢板の被覆防食方法。
- 前記防食層が、ペトロラタム系防食材、ウレタン系若しくはシリコン系のシーリング材、又はブチルゴム系粘着材からなる、請求項1〜5の何れか1項に記載の鋼管矢板の被覆防食方法。
- 前記保護カバーと前記防食層との間に緩衝層を設ける、請求項1〜6の何れか1項に記載の鋼管矢板の被覆防食方法。
- 前記リベットが、チタン、チタン合金又は耐海水性ステンレスからなる、請求項1〜7の何れか1項に記載の鋼管矢板の被覆防食方法。
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