JP7353432B1 - 金属複合化合物及びリチウム金属複合酸化物の製造方法 - Google Patents

金属複合化合物及びリチウム金属複合酸化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】初回充放電効率が高いリチウム二次電池が得られ、正極活物質の原料となる金属複合化合物の提供。【解決手段】少なくともNiを含み、下記式(1)を満たす、金属複合化合物。1.10≦S2/S1≦3.50・・・(1)[前記S1は40/(C50-C10)であり、前記S2は40/(C90-C50)である。前記C10、前記C50及び前記C90は、それぞれ前記金属複合化合物の体積基準の円形度分布曲線において、全体を100%としたときに、円形度が小さい側からの累積体積がそれぞれ10%、50%及び90%となる円形度である。]【選択図】なし

Description

本発明は、金属複合化合物及びリチウム金属複合酸化物の製造方法に関する。
リチウム二次電池用の正極活物質に使用されるリチウム金属複合酸化物の製造方法としては、例えばリチウム化合物と、Li以外の金属元素を含む金属複合化合物とを混合して焼成する方法がある。
サイクル特性の向上、低抵抗化又は出力の向上といった、リチウム二次電池の電池特性を達成するため、正極活物質の原料である金属複合化合物について粒子形状等の物性を適切な範囲に制御する検討がされている。
正極製造時に正極活物質を高密度で充填することを目的とし、正極活物質の粒子の形状を制御する検討がされている。
例えば特許文献1は、ニッケルマンガン複合水酸化物粒子の円形度を向上させ、これを前駆体とする正極活物質の充填性を向上させた発明を開示している。具体的には、特許文献1は円形度の平均値が0.82以上であるニッケルマンガン複合水酸化物粒子を開示している。
国際公開第2015/115547号
リチウム二次電池の電池性能のさらなる向上を目指し、前駆体となる金属複合化合物の粒子の形状についてはさらに検討の余地がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、初回充放電効率が高いリチウム二次電池が得られ、正極活物質の原料となる金属複合化合物を提供することを課題とする。
本発明は以下の態様を包含する。
[1]少なくともNiを含み、下記式(1)を満たす、金属複合化合物。
1.10≦S2/S1≦3.50 ・・・(1)
[前記S1は40/(C50-C10)であり、前記S2は40/(C90-C50)である。
前記C10、前記C50及び前記C90は、それぞれ前記金属複合化合物の体積基準の円形度分布曲線において、全体を100%としたときに、円形度が小さい側からの累積体積がそれぞれ10%、50%及び90%となる円形度である。]
[2]前記C10は0.75以下であり、前記C50は0.93以下であり、前記C90は0.95以上である、[1]に記載の金属複合化合物。
[3]前記C10、前記C50及び前記C90は下記式(2)を満たす、[1]又は[2]に記載の金属複合化合物。
0.20≦(C90-C10)/C50≦0.50 ・・・(2)
[4]前記S1は200以上300以下であり、前記S2は340以上1050以下である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の金属複合化合物。
[5]タップ密度が2.20g/cm未満である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の金属複合化合物。
[6]前記金属複合化合物を、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定し、得られた累積粒度分布曲線において全体を100%としたときに、小粒子側からの累積体積が50%となる粒子径D50が、3μm以上20μm以下である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の金属複合化合物。
[7]下記組成式(A)を満たす、[1]~[6]のいずれか1つに記載の金属複合化合物。
Ni1-x(OH)2-t ・・・(A)
(組成式(A)中、0<x≦0.3、0≦z≦3、-0.5≦t≦2、及びt-z<2であり、Mは、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、V、B、Si、S及びPからなる群より選択される1種以上の元素である)
[8][1]~[7]のいずれか1つに記載の金属複合化合物とリチウム化合物とを混合し、得られた混合物を焼成する工程を備える、リチウム金属複合酸化物の製造方法。
本発明によれば、初回充放電効率が高いリチウム二次電池が得られ、正極活物質の原料となる金属複合化合物を提供することができる。
リチウム二次電池の一例を示す概略構成図である。 全固体リチウム二次電池の全体構成を示す模式図である。 金属複合化合物の体積基準の円形度分布曲線の一例である。
本明細書において「初回充放電効率が高い」とは、下記の方法により測定する初回充放電効率の値が85%以上であることを意味する。
本明細書において、金属複合化合物(Metal Composite Compound)を以下「MCC」と称し、リチウム金属複合酸化物(Lithium Metal composite Oxide)を以下「LiMO」と称する。
リチウム二次電池用正極活物質(Cathode Active Material
for lithium secondary batteries)を以下「CAM」と称する。
「Ni」との表記は、特に言及しない限りNi金属単体ではなく、Ni元素であることを示す。Co、Mn等の他の元素の表記も同様である。
[リチウム二次電池の初回充放電効率の算出]
リチウム二次電池の初回充放電効率は、以下の方法でリチウム二次電池を作製して算出する。
(LiMOの作製)
MCCと水酸化リチウム一水和物粉末を、モル比がLi/(Ni+M)=1.02となる割合で秤量して混合し、混合物を得る。得られた混合物を酸素含有雰囲気下、740℃で5時間焼成し、LiMOを得る。
(リチウム二次電池用正極の作製)
上記の方法により作製されるLiMOからなるCAMと導電材(アセチレンブラック)とバインダー(PVdF)とを、CAM:導電材:バインダー=92:5:3(質量比)の組成となる割合で加えて混練することにより、ペースト状の正極合剤を調製する。正極合剤の調製時には、N-メチル-2-ピロリドンを有機溶媒として用いる。
得られた正極合剤を、集電体となる厚さ40μmのAl箔に塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、リチウム二次電池用正極を得る。このリチウム二次電池用正極の電極面積は1.65cmとする。
(リチウム二次電池の作製)
以下の操作を、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行う。
(リチウム二次電池用正極の作製)で作製されるリチウム二次電池用正極を、コイン型電池R2032用のパーツ(例えば、宝泉株式会社製)の下蓋にアルミ箔面を下に向けて置き、その上にセパレータ(ポリエチレン製多孔質フィルム)を置く。ここに電解液を300μl注入した。電解液は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの30:35:35(体積比)混合液に、LiPFを1.0mol/lとなる割合で溶解したものを用いる。
次に、負極として金属リチウムを用いて、前記負極を積層フィルムセパレータの上側に置き、ガスケットを介して上蓋をし、かしめ機でかしめてリチウム二次電池(コイン型ハーフセルR2032)を作製する。
(充放電試験)
上記の方法で作製されるリチウム二次電池を用いて、以下の方法で初回充放電効率試験を実施し、リチウム二次電池の初回充放電効率を算出する。
(測定方法)
まず、前述で作製されるリチウム二次電池を室温で12時間静置することでセパレータ及び正極合剤層に充分電解液を含浸させる。
次に、試験温度25℃において、充電及び放電ともに電流設定値0.2CAとし、それぞれ定電流定電圧充電と定電流放電を行う。充電最大電圧は、4.3V、放電最小電圧は2.5Vとする。充電容量を測定し、得られた値を「初回充電容量」(mAh/g)とする。さらに放電容量を測定し、得られた値を「初回放電容量」(mAh/g)とする。
そして、初回放電容量の値と、初回充電容量の値を用い、下記の式で初回充放電効率を算出する。
初回充放電効率(%)=初回放電容量(mAh/g)/初回充電容量(mAh/g) ×100
<MCC>
本実施形態のMCCは少なくともNiを含む。
MCCと、リチウム化合物と混合して焼成すると、LiMOが製造できる。
本実施形態の一つの態様において、MCCは一次粒子と、一次粒子の凝集体である二次粒子と、から構成される。
本実施形態の一つの態様において、MCCは粉末である。
MCCとしては、Niを含む金属複合酸化物又は金属複合水酸化物や、Niと、元素Mからなる群より選ばれる1種以上の元素とを含む金属複合酸化物又は金属複合水酸化物が挙げられる。元素Mとしては、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、V、B、Si、S及びPからなる群より選ばれる1種以上の元素が挙げられる。
MCCは、下記[円形度の測定方法]に記載の方法により得られる円形度分布曲線において、後述する(1)を満たす。
[円形度の測定方法]
まず、MCCの画像を撮影し、MCCの投影像である粒子画像を得る。次に、MCCを構成する個々の粒子について、下記式(X)により算出される円形度を測定する。得られた円形度を横軸に、累積体積を縦軸とし、MCCの円形度分布曲線が得られる。
下記式(X)に示す円形度は、数値が1に近づくほど真円であることを意味する。
円形度=4πS/L・・・(X)
(SはMCCの投影画像の投影面積であり、LはMCCの周囲長である。)
円形度の測定には、例えばマルバーン社製のモフォロギシリーズ(装置名:Morphologi G3SE)が使用できる。
MCCは、上記方法により得られる円形度分布曲線において、下記式(1)を満たす。
1.10≦S2/S1≦3.50 ・・・(1)
[S1は40/(C50-C10)であり、S2は40/(C90-C50)である。C10、C50及びC90は、それぞれMCCの体積基準の円形度分布曲線において、全体を100%としたときに、円形度が小さい側からの累積体積がそれぞれ10%、50%及び90%となる円形度である。]
図3を参照し、式(1)について説明する。
図3中の円形度分布曲線Sは、本実施形態のMCCの体積基準の円形度分布曲線の一例である。
40/(C50-C10)であるS1は、図3中S1で示す直線の傾きを示す。
S1は、円形度が低いMCCの増加率を示す。
40/(C90-C50)であるS2は、図3中S2で示す直線の傾きを示す。
S2は、円形度が高いMCCの増加率を示す。
図3中の円形度分布曲線Tは、本実施形態ではないMCCの体積基準の円形度分布曲線の一例である。
図3中T1で示す直線の傾きは、40/(C50-C10)である。
図3中T2で示す直線の傾きは、40/(C90-C50)である。
S2/S1の値が大きいと円形度が高い粒子が多く、S2/S1の値が小さいと円形度が低い粒子が多いことを示す。
従来、正極製造時に高密度で充填できるCAMを得る観点から、CAMとして用いられるLiMOの原料であるMCCの円形度を高くする思想のもとに種々の検討が行われてきた。
本発明者らの検討により、円形度が低いMCCが一定量の体積を占める前駆体を用いると、リチウム化合物と混合した混合物を焼成した際に、反応が進行しやすいことが見いだされた。
これは、体積と平均粒径が同じ混合物同士で比較した場合に、円形度が低いMCCが一定量の体積を占める混合物の方がリチウム化合物とMCCとが接触する表面積が増大するためと推察される。
リチウム化合物と反応しやすいMCCを原料として得られるCAMを備えるリチウム二次電池は、電池内部でCAM同士の接触面積が増大するためリチウムイオンがスムーズに移動しやすく、初回充放電効率が増加する。
S2/S1が上記下限値以上であると、円形度が低いMCCが、MCC全体の表面積の増大に寄与し、リチウム化合物との接触面が増大し、反応しやすくなる。
S2/S1が上記上限値以下であれば、円形度が低いMCCが多すぎないため、歪な形状のMCCの存在割合が少ない。この場合、MCCとリチウム化合物とが点接触よりも面接触をしやすくなるため、接触する表面積が増大し、リチウム化合物と反応しやすくなる。
(1)は、下記(1)-1が好ましく、下記式(1)-2がより好ましく、下記式(1)-3がさらに好ましい。
1.20≦S2/S1≦3.40 ・・・(1)-1
1.40≦S2/S1≦3.30 ・・・(1)-2
1.50≦S2/S1≦3.20 ・・・(1)-3
C10は、0.75以下であることが好ましく、0.50以上0.75以下であることがより好ましい。
C50は、0.93以下であることが好ましく、0.80以上0.93以下であることがより好ましい。
C90は、0.95以上であることが好ましく、0.96以上1.00以下であることがより好ましい。
C10、C50及びC90が上記の範囲であると、円形度が低いMCCが一定量の体積を占めることを意味する。このようなMCCを原料に用いて得られるCAMを備えるリチウム二次電池は、電池内部でCAM同士が接触しやすくなるためリチウムイオンがスムーズに移動しやすく、初回充放電効率が増加する。
C10、C50及びC90は下記式(2)を満たすことが好ましい。
0.20≦(C90-C10)/C50≦0.50 ・・・(2)
(C90-C10)/C50が上記の範囲であると、円形度に一定のばらつきを有し、特定の円形度への偏りが少ないMCCであることを意味する。このようなMCCを原料に用いて得られるCAMを備えるリチウム二次電池は、電池内部でCAM同士が接触しやすくなるためリチウムイオンがスムーズに移動しやすく、初回充放電効率が増加する。
上記式(1)及び(2)を満たすMCCは、MCCとリチウム化合物とが接触しやすくなるため、リチウム化合物と反応しやすくなる。
S1は、200以上300以下であることが好ましく、210以上290以下であることがより好ましく、220以上280以下であることが特に好ましい。
S2は、340以上1050以下であることが好ましく、360以上1000以下であることがより好ましく、380以上950以下であることが特に好ましい。
MCCのタップ密度は、2.20g/cm未満であることが好ましく、2.00g/cm未満であることがより好ましく、1.74g/cm未満が特に好ましい。
タップ密度が上記範囲を満たすMCCを原料に用いて得られるCAMは、正極を製造する際に高密度で充填しやすく、得られるリチウム二次電池の初回充放電効率をより増加させる。
MCCのタップ密度の下限値の例は、1.25g/cm以上、1.40g/cm以上である。
MCCのタップ密度の上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。組み合わせの例としては、MCCのタップ密度は、1.25g/cm以上2.20g/cm未満、1.40g/cm以上1.74g/cm未満が挙げられる。
[タップ密度の測定方法]
タップ密度は、JIS R 1628-1997に記載の方法で求めた値を用いればよい。
MCCのD50は、3μm以上15μm以下であることが好ましい。
D50は、MCCを、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定し、得られた累積粒度分布曲線において全体を100%としたときに、小粒子側からの累積体積が50%となる粒子径(μm)である。
D50が上記範囲であるMCCは、リチウム化合物と均一に反応が進行しやすい。
[D50の測定方法]
「累積体積粒度」は、レーザー回折散乱法によって測定される値である。具体的には、0.1gのMCCを、0.2質量%ヘキサメタりん酸ナトリウム水溶液50mlに投入し、MCCを分散させた分散液を得る。
次に、得られた分散液についてレーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製、マイクロトラックMT3300EXII)を用いて、粒度分布を測定し、体積基準の累積粒度分布曲線を得る。得られた累積粒度分布曲線において、全体を100%としたときに、小粒子側からの累積体積が50%となる粒子径の値がD50(μm)である。
MCCは下記組成式(A)を満たすことが好ましい。
Ni1-x(OH)2-t ・・・(A)
(組成式(A)中、0<x≦0.3、0≦z≦3、-0.5≦t≦2、及びt-z<2であり、Mは、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、V、B、Si、S及びPからなる群より選択される1種以上の元素である)
MCCは、下記組成式(A)-1で表される水酸化物であることが好ましい。
Ni1-x(OH)2-t ・・・式(A)-1
(組成式(A)-1中、0<x≦0.3、及び-0.5≦t<2を満たし、MはCo、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Al、Zn、Sn、Zr、Nb、Ga、W、Mo、V、Si、S及びPからなる群より選ばれる1種以上の元素である。)
(x)
xは、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.03以上が特に好ましい。
またxは、0.3未満が好ましく、0.25以下がより好ましく、0.20以下が特に好ましい。
xの上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
上記組成式(A)又は上記組成式(A)-1は0.01≦x≦0.3を満たすことが好ましく、0.02≦x≦0.25を満たすことがより好ましく、0.03≦x≦0.20を満たすことが特に好ましい。
(z)
zは、0.02以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.05以上が特に好ましい。
zは、2.8以下が好ましく、2.6以下がより好ましく、2.4以下が特に好ましい。
上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
上記組成式(A)は0≦z≦2.8を満たすことが好ましく、0.02≦z≦2.8を満たすことがより好ましく、0.03≦z≦2.6を満たすことがさらに好ましく、0.05≦z≦2.4を満たすことが特に好ましい。
(t)
tは、-0.45以上が好ましく、-0.40以上がより好ましく、-0.35以上が特に好ましい。
tは、1.8以下が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.4以下が特に好ましい。上記上限値及び下限値は任意に組みわせることができる。
上記組成式(A)又は上記組成式(A)-1は-0.45≦t≦1.8を満たすことが好ましく、-0.40≦t≦1.6を満たすことがより好ましく、-0.35≦t≦1.4を満たすことが特に好ましい。
上記組成式(A)又は上記組成式(A)-1は、0.01≦x≦0.3、0≦z≦2.8、及び-0.45≦t≦1.8を満たすことが好ましい。
元素Mとしては、Co、Mn、Al、W、B、Nb、及びZrからなる群より選択される1種以上の元素が好ましい。
[MCCの組成分析]
MCCの組成分析は、得られたMCCを塩酸に溶解させた後、ICP発光分光分析装置を用いて測定できる。
ICP発光分光分析装置としては、例えば株式会社パーキンエルマー製、Optima8300が使用できる。
<MCCの製造方法>
本実施形態のMCCの製造方法は、金属含有水溶液と、アルカリ性水溶液と、を反応槽に連続供給し、連続的に結晶成長させ、連続的に取り出す方法である。
具体的には、JP-A2002-201028に記載された連続式共沈殿法により、金属含有水溶液、アルカリ性水溶液を反応させ、金属複合水酸化物を製造する方法が挙げられる。
金属含有水溶液としては、例えばNiを含む金属含有水溶液、Coを含む金属含有水溶液、Mnを含む金属含有水溶液、Alを含む金属含有水溶液、Ni、Co及びMnを含む金属含有水溶液、Ni、Co及びAlを含む金属含有水溶液、Ni、Mn及びAlを含む金属含有水溶液が挙げられる。
Ni、Co及びMnを含む金属含有水溶液は、ニッケル塩、コバルト塩、及びマンガン塩の混合水溶液である。
Ni、Co及びAlを含む金属含有水溶液は、ニッケル塩、コバルト塩、及びアルミニウム塩の混合水溶液である。
Ni、Mn及びAlを含む金属含有水溶液は、ニッケル塩、マンガン塩、及びアルミニウム塩の混合水溶液である。
金属含有水溶液とアルカリ性水溶液は、それぞれ2以上の供給口から反応槽に供給してもよい。また、金属含有水溶液を2以上の供給口から供給する場合は、異なる金属元素を含有する水溶液をそれぞれの供給口から供給してもよい。
反応槽に供給する金属含有水溶液の少なくとも一つはNiが含まれており、NiとNi以外の金属元素を含んでいてもよい。金属含有水溶液が含んでいてもよいNi以外の金属元素とは、例えば、上記元素Mが挙げられる。
上記ニッケル塩としては、特に限定されないが、例えば硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及び酢酸ニッケルのうちの何れか1種又は2種以上を使用することができる。
上記コバルト塩としては、例えば硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト、及び酢酸コバルトのうちの何れか1種又は2種以上を使用することができる。
上記マンガン塩としては、例えば硫酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガン、及び酢酸マンガンのうちの何れか1種又は2種以上を使用することができる。
上記アルミニウム塩としては、例えば硫酸アルミニウムを使用することができる。
各金属塩は、各金属元素の原子比が、組成式(A)の組成比に対応して、1-x:xとなる割合で用いる。
本実施形態で用いる金属含有水溶液のpHは、7.0以下であることが好ましい。
なお、本明細書におけるpHの値は、混合液の温度が40℃の時に測定された値であると定義する。混合液のpHは、反応槽からサンプリングした混合液の温度が、40℃になったときに測定する。
アルカリ性水溶液は、例えば水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムである。
本実施形態で用いるアルカリ性水溶液のpHは、12.5以上であることが好ましい。
本実施形態において、金属含有水溶液の流量(単位:ml/分)をN1、アルカリ性水溶液の流量(単位:ml/分)をN2としたときに、N1/N2を2.20以上4.5以下の範囲に調整し、金属含有水溶液とアルカリ性水溶液を供給する。
金属含有水溶液、アルカリ性水溶液をそれぞれ複数の供給口から供給する場合は、複数の供給口から供給される金属含有水溶液の流量の合計をN1、複数の供給口から供給されるアルカリ性水溶液の流量の合計をN2とする。
本実施形態において、反応槽内のpH調整は実施せず、固定の流量比であるN1/N2を維持して金属含有水溶液とアルカリ性水溶液を供給する。これにより、反応槽内でのpHにムラが常に発生して反応に一定のバラツキが生じるため、上記式(1)を満たすMCCが得られる。
反応槽内で発生するpHのムラとは、反応槽内において、pHが高い領域と低い領域が分散して発生している状態である。
N1/N2を調整することにより、得られるMCCのC10、C50、C90、タップ密度、及びD50を本実施形態の範囲に調整することができる。
反応槽内のpHは、概ね7.0以上12.5以下の範囲で常にムラが生じている。
金属含有水溶液と、アルカリ性水溶液に加え、錯化剤を供給することが好ましい。
錯化剤は、水溶液中で、ニッケルイオン、コバルトイオン、及びマンガンイオンと錯体を形成可能な化合物である。錯化剤は、例えば、アンモニウムイオン供給体(水酸化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、弗化アンモニウム等のアンモニウム塩)、ヒドラジン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ウラシル二酢酸、及びグリシンが挙げられる。
金属含有水溶液及び錯化剤を含む混合液に含まれる錯化剤の量は、例えば金属塩のモル数の合計に対するモル比が0より大きく2.0以下である。
反応に際しては、反応槽の温度を、例えば20℃以上85℃以下、好ましくは30~75℃の範囲内で制御する。
反応槽内の物質は、適宜撹拌して混合する。
連続式共沈殿法で用いる反応槽は、形成された反応沈殿物を分離のためオーバーフローさせるタイプの反応槽を用いることができる。
上記の条件の制御に加えて、各種気体、例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガス、空気、酸素等の酸化性ガス、またはそれらの混合ガスを反応槽内に供給してもよい。
以上の反応後、得られた反応沈殿物を水で洗浄した後、乾燥することで、MCCである金属複合水酸化物が得られる。
MCCが金属複合酸化物である場合、金属複合水酸化物を加熱して金属複合酸化物を製造する。加熱時間は、昇温開始から達温して温度保持が終了するまでの合計時間を1時間以上30時間以下とすることが好ましい。加熱温度は、400℃以上700℃以下であることが好ましい。
<リチウム金属複合酸化物の製造方法>
LiMOは、本実施形態のMCCと、リチウム化合物と、を混合し、得られた混合物を焼成することで製造できる。
リチウム化合物としては、炭酸リチウム、水酸化リチウム、水酸化リチウム一水和物からなる群より選択される1種以上が使用できる。
リチウム化合物とMCCとを、最終目的物の組成比を勘案して混合し、リチウム化合物とMCCとの混合物を得る。
[焼成工程]
得られた混合物を例えば酸素含有雰囲気下、500℃以上1000℃以下の焼成温度で焼成する。混合物を焼成することにより、LiMOの結晶が成長する。
本明細書における焼成温度とは、焼成炉内の雰囲気の温度であって、保持温度の最高温度(最高保持温度)を意味する。
焼成工程が、複数の加熱工程を有する場合、焼成温度とは、各加熱工程のうち最高保持温度で加熱した際の温度を意味する。
保持温度として、具体的には、550℃以上980℃以下が好ましく、600℃以上960℃以下が好ましい。
また、前記保持温度で保持する時間は、0.1時間以上20時間以下が挙げられ、0.5時間以上10時間以下が好ましい。
また、酸素含有雰囲気下で焼成することが好ましい。具体的には、酸素ガスを導入し、焼成炉内を酸素含有雰囲気とすることが好ましい。
昇温速度は、焼成装置において、昇温を開始した時間から最高保持温度に到達するまでの時間と、焼成装置の焼成炉内の昇温開始時の温度から最高保持温度までの温度差と、から算出される。
焼成工程の後、焼成により得られた焼成品は適宜粉砕及び篩別され、LiMOが得られる。
<リチウム二次電池>
本実施形態の製造方法により製造されるLiMOをCAMとして用いる場合に好適なリチウム二次電池用正極について説明する。以下、リチウム二次電池用正極を正極と称することがある。
さらに、正極の用途として好適なリチウム二次電池について説明する。
本実施形態の製造方法により製造されるLiMOをCAMとして用いる場合の好適なリチウム二次電池の一例は、正極及び負極、正極と負極との間に挟持されるセパレータ、正極と負極との間に配置される電解液を有する。
図1は、リチウム二次電池の一例を示す模式図である。例えば円筒型のリチウム二次電池10は、次のようにして製造する。
まず、図1の部分拡大図に示すように、帯状を呈する一対のセパレータ1、一端に正極リード21を有する帯状の正極2、及び一端に負極リード31を有する帯状の負極3を、セパレータ1、正極2、セパレータ1、負極3の順に積層し、巻回することにより電極群4とする。
正極2は、一例として、CAMを含む正極活物質層2aと、正極活物質層2aが一面に形成された正極集電体2bとを有する。このような正極2は、まずCAM、導電材及びバインダーを含む正極合剤を調製し、正極合剤を正極集電体2bの一面に担持させて正極活物質層2aを形成することで製造できる。
負極3は、一例として、不図示の負極活物質を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、及び負極活物質単独からなる電極を挙げることができ、正極2と同様の方法で製造できる。
次いで、電池缶5に電極群4及び不図示のインシュレーターを収容した後、缶底を封止し、電極群4に電解液6を含浸させ、正極2と負極3との間に電解質を配置する。さらに、電池缶5の上部をトップインシュレーター7及び封口体8で封止することで、リチウム二次電池10を製造することができる。
電極群4の形状としては、例えば、電極群4を巻回の軸に対して垂直方向に切断したときの断面形状が、円、楕円、長方形又は角を丸めた長方形となるような柱状の形状を挙げることができる。
また、このような電極群4を有するリチウム二次電池の形状としては、国際電気標準会議(IEC)が定めた電池に対する規格であるIEC60086、又はJIS C 8500で定められる形状を採用することができる。例えば、円筒型又は角型などの形状を挙げることができる。
さらに、リチウム二次電池は、上記巻回型の構成に限らず、正極、セパレータ、負極、セパレータの積層構造を繰り返し重ねた積層型の構成であってもよい。積層型のリチウム二次電池としては、いわゆるコイン型電池、ボタン型電池、又はペーパー型(又はシート型)電池を例示することができる。
リチウム二次電池を構成する正極、セパレータ、負極及び電解液については、例えば、WO2022/113904A1の[0113]~[0140]に記載の構成、材料及び製造方法を用いることが出来る。
<全固体リチウム二次電池>
本実施形態の製造方法により製造されるLiMOは、全固体リチウム二次電池のCAMとして用いることができる。
図2は、全固体リチウム二次電池の一例を示す模式図である。図2に示す全固体リチウム二次電池1000は、正極110と、負極120と、固体電解質層130とを有する積層体100と、積層体100を収容する外装体200と、を有する。また、全固体リチウム二次電池1000は、集電体の両側にCAMと負極活物質とを配置したバイポーラ構造であってもよい。バイポーラ構造の具体例として、例えば、JP-A-2004-95400に記載される構造が挙げられる。
正極110は、正極活物質層111と正極集電体112とを有している。正極活物質層111は、上述したCAM及び固体電解質を含む。また、正極活物質層111は、導電材及びバインダーを含んでいてもよい。
負極120は、負極活物質層121と負極集電体122とを有している。負極活物質層121は、負極活物質を含む。また、負極活物質層121は、固体電解質及び導電材を含んでいてもよい。
積層体100は、正極集電体112に接続される外部端子113と、負極集電体122に接続される外部端子123と、を有していてもよい。その他、全固体リチウム二次電池1000は、正極110と負極120との間にセパレータを有していてもよい。
全固体リチウム二次電池1000は、さらに積層体100と外装体200とを絶縁する不図示のインシュレーター及び外装体200の開口部200aを封止する不図示の封止体を有する。
外装体200は、アルミニウム、ステンレス鋼又はニッケルメッキ鋼などの耐食性の高い金属材料を成形した容器を用いることができる。また、外装体200として、少なくとも一方の面に耐食加工を施したラミネートフィルムを袋状に加工した容器を用いることもできる。
全固体リチウム二次電池1000の形状としては、例えば、コイン型、ボタン型、ペーパー型(またはシート型)、円筒型、角型、又はラミネート型(パウチ型)などの形状を挙げることができる。
全固体リチウム二次電池1000は、一例として積層体100を1つ有する形態が図示されているが、本実施形態はこれに限らない。全固体リチウム二次電池1000は、積層体100を単位セルとし、外装体200の内部に複数の単位セル(積層体100)を封じた構成であってもよい。
全固体リチウム二次電池については、例えば、WO2022/113904A1の[0141]~[0181]に記載の構成、材料及び製造方法を用いることができる。
以上のような構成のリチウム二次電池において、CAMは、上述した本実施形態のMCCを前駆体として用いているため、このCAMを用いたリチウム二次電池の初回充放電効率を向上させることができる。
本発明は、以下の態様を有する。
[9]少なくともNiを含み、前記式(1)-3を満たす、MCC。
[10]前記C10は0.50以上0.75以下であり、前記C50は0.80以上0.93以下であり、前記C90は0.96以上1.00以下である、[9]に記載のMCC。
[11]前記C10、前記C50及び前記C90は前記式(2)を満たす、[9]又は[10]に記載のMCC。
[12]前記S1は220以上280以下であり、前記S2は380以上950以下である、[9]~[11]のいずれか1つに記載のMCC。
[13]タップ密度が1.40g/cm以上1.74g/cm未満である、[9]~[12]のいずれか1つに記載のMCC。
[14]前記MCCのD50が、3μm以上20μm以下である、[9]~[13]のいずれか1つに記載のMCC。
[15]前記組成式(A)-1を満たす、[9]~[14]のいずれか1つに記載のMCC。
[16][9]~[15]のいずれか1つに記載のMCCとリチウム化合物とを混合し、得られた混合物を焼成する工程を備える、LiMOの製造方法。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
<組成分析>
MCCの組成分析は、上記[MCCの組成分析]に記載の方法により実施した。
<円形度の測定>
MCCの円形度は、上記[円形度の測定方法]に記載の方法により実施した。
<タップ密度の測定>
MCCのタップ密度は、上記[タップ密度の測定方法]に記載の方法により実施した。
<D50の測定>
MCCのD50は、上記[D50の測定方法]に記載の方法により取得した累積粒度分布曲線に基づいて測定した。
<リチウム二次電池の初回充放電効率の算出>
リチウム二次電池の初回充放電効率は、[リチウム二次電池の初回充放電効率の算出]に記載の方法により取得した。
<実施例1>
まず、撹拌機及びオーバーフローパイプを備えた反応槽の中に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を供給し、液温を70℃に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸アルミニウム水溶液とを混合して、金属含有水溶液を調製した。
次に、反応槽の中に、攪拌下、金属含有水溶液と、錯化剤として硫酸アンモニウム水溶液を、反応槽内のNiとCoとAlとの原子比が88.0:9.0:3.0となる割合で、それぞれ一定の流量で連続的に添加した。このとき、金属含有水溶液の流量(N1)と、水酸化ナトリウム水溶液の流量(N2)の比(N1/N2)は2.38であった。これにより、ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物の粒子を得た。
ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物の粒子を洗浄した後、遠心分離機で脱水し、単離して105℃で乾燥することで、ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物1を得た。
<実施例2>
まず、撹拌機及びオーバーフローパイプを備えた反応槽の中に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を供給し、液温を70℃に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸マンガン水溶液とを混合して、金属含有水溶液を調製した。
次に、反応槽の中に、攪拌下、金属含有水溶液と、錯化剤として硫酸アンモニウム水溶液を、反応槽内のNiとCoとMnとの原子比が83:12:5となる割合で、それぞれ一定の流量で連続的に添加した。このとき、金属含有水溶液の流量(N1)と、水酸化ナトリウム水溶液の流量(N2)の比(N1/N2)は2.98であった。これにより、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の粒子を得た。
ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の粒子を洗浄した後、遠心分離機で脱水し、単離して105℃で乾燥することで、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物1を得た。
<実施例3>
まず、撹拌機及びオーバーフローパイプを備えた反応槽の中に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を供給し、液温を70℃に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸マンガン水溶液と硫酸アルミニウム水溶液とを混合して、金属含有水溶液を調製した。
次に、反応槽の中に、攪拌下、金属含有水溶液と、錯化剤として硫酸アンモニウム水溶液を、反応槽内のNiとMnとAlとの原子比が93.0:3.5:3.5となる割合で、それぞれ一定の流量で連続的に添加した。このとき、金属含有水溶液の流量(N1)と、水酸化ナトリウム水溶液の流量(N2)の比(N1/N2)は2.33であった。これにより、ニッケルマンガンアルミニウム複合水酸化物の粒子を得た。
ニッケルマンガンアルミニウム複合水酸化物の粒子を洗浄した後、遠心分離機で脱水し、単離して105℃で乾燥することで、ニッケルマンガンアルミニウム複合水酸化物1を得た。
<比較例1>
N1/N2を2.17に変更した以外は実施例1と同様の方法により、ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物2を得た。
ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物2のC10、C50、C90、(C90-C10)/C50、S1、S2、S2/S1、タップ密度、D50及び初回充放電効率を表1に記載する。
<比較例2>
N1/N2を4.81に変更した以外は実施例1と同様の方法により、ニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物3を得た。
実施例1~3及び比較例1~2で得られた金属複合水酸化物のC10、C50、C90、(C90-C10)/C50、S1、S2、S2/S1、タップ密度(g/cm)、D50(μm)及び初回充放電効率を表1に記載する。
Figure 0007353432000001
表1に示した結果のとおり、本実施形態のMCCを原料に製造したCAMを用いたリチウム二次電池は、初回充放電効率がいずれも85%以上であった。
1:セパレータ、3:負極、4:電極群、5:電池缶、6:電解液、7:トップインシュレーター、8:封口体、10:リチウム二次電池、21:正極リード、100:積層体、110:正極、111:正極活物質層、112:正極集電体、113:外部端子、120:負極、121:負極活物質層、122:負極集電体、123:外部端子、130:固体電解質層、200:外装体、200a:開口部、1000:全固体リチウム二次電池

Claims (7)

  1. 少なくともNiを含み、下記式(1)を満たし、
    下記組成式(A)-1を満たす、金属複合化合物であるリチウム二次電池用正極活物質原料
    1.10≦S2/S1≦3.50 ・・・(1)
    [前記S1は40/(C50-C10)であり、前記S2は40/(C90-C50)である。
    前記C10、前記C50及び前記C90は、それぞれ前記金属複合化合物の体積基準の円形度分布曲線において、全体を100%としたときに、円形度が小さい側からの累積体積がそれぞれ10%、50%及び90%となる円形度である。]
    Ni 1-x (OH) 2-t ・・・式(A)-1
    (組成式(A)-1中、0<x≦0.3、及び-0.5≦t<2を満たし、MはCo、Mn、Al、W、B、Nb及びZrからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、MはCo、Mn、及びAlからなる群より選ばれる2種以上の元素を含む。)
  2. 前記C10は0.75以下であり、前記C50は0.93以下であり、前記C90は0.95以上である、請求項1に記載の金属複合化合物であるリチウム二次電池用正極活物質原料
  3. 前記C10、前記C50及び前記C90は下記式(2)を満たす、請求項1又は2に記載の金属複合化合物であるリチウム二次電池用正極活物質原料
    0.20≦(C90-C10)/C50≦0.50 ・・・(2)
  4. 前記S1は200以上300以下であり、前記S2は340以上1050以下である、請求項1又は2に記載の金属複合化合物であるリチウム二次電池用正極活物質原料
  5. タップ密度が2.20g/cm未満である、請求項1又は2に記載の金属複合化合物であるリチウム二次電池用正極活物質原料
  6. 前記金属複合化合物を、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定し、得られた累積粒度分布曲線において全体を100%としたときに、小粒子側からの累積体積が50%となる粒子径D50が、3μm以上20μm以下である、請求項1又は2に記載の金属複合化合物であるリチウム二次電池用正極活物質原料
  7. 請求項1又は2に記載の金属複合化合物であるリチウム二次電池用正極活物質原料とリチウム化合物とを混合し、得られた混合物を焼成する工程を備える、リチウム金属複合酸化物の製造方法。
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