JP7416897B1 - リチウム金属複合酸化物、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極、及びリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム金属複合酸化物、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極、及びリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】初回放電容量及びレート特性が高いリチウム二次電池が得られる、リチウム金属複合酸化物、前記リチウム金属複合酸化物を含むリチウム二次電池用正極活物質、並びに前記リチウム二次電池用正極活物質を含むリチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池の提供。【解決手段】一次粒子の凝集体である二次粒子を複数有し、前記二次粒子の少なくとも一部は、内部に空隙を有し、前記内部に空隙を有する二次粒子の断面に露出する前記空隙の輪郭形状について、円相当径が0.2μm以上の空隙のアスペクト比の面積加重平均値は、1.8以上5.0以下であり、前記二次粒子の総数に対する、円相当径が0.5μm以上の空隙を前記内部に有する二次粒子の数の割合が、3%以上95%以下である、リチウム金属複合酸化物。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム金属複合酸化物、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極、及びリチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池用正極活物質として、リチウム金属複合酸化物が使用されている。リチウム二次電池の性能向上を目的としてリチウム金属複合酸化物の組成、物性、細孔構造等の検討が行われている。
例えば、特許文献1では、リチウム金属複合酸化物の細孔構造に着目した検討が行われている。具体的には、一次粒子からなる殻部と、前記殻部の内側に形成された中空部とを有し、前記殻部には、前記殻部の外側と前記殻部の中空部とを連通する貫通孔が設けられている二次粒子を含む正極活物質が開示されている。前記貫通孔の直径及び前記貫通孔の細孔分布等を特定の範囲とすることによって、リチウム二次電池の出力が向上することが開示されている。
JP-A-2017-004635
リチウム二次電池の応用が進む中、リチウム二次電池には、さらなる初回放電容量及びレート特性の向上が求められる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、初回放電容量及びレート特性が高いリチウム二次電池が得られる、リチウム金属複合酸化物、前記リチウム金属複合酸化物を含むリチウム二次電池用正極活物質、並びに前記リチウム二次電池用正極活物質を含むリチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池を提供することを課題とする。
本発明は、下記[1]~[12]である。
[1] 一次粒子の凝集体である二次粒子を複数有し、前記二次粒子の少なくとも一部は、内部に空隙を有し、前記内部に空隙を有する二次粒子の断面に露出する前記空隙の輪郭形状について、円相当径が0.2μm以上の空隙のアスペクト比の面積加重平均値は、1.8以上5.0以下であり、前記二次粒子の総数に対する、円相当径が0.5μm以上の空隙を前記内部に有する二次粒子の数の割合が、3%以上95%以下である、リチウム金属複合酸化物。
[2] 前記円相当径が0.2μm以上の空隙の円相当径の平均値は、0.3μm以上である、[1]に記載のリチウム金属複合酸化物。
[3] 前記円相当径が0.2μm以上の空隙の長径の面積加重平均値は、0.2μm以上15μm以下である、[1]又は[2]に記載のリチウム金属複合酸化物。
[4] 円相当径が0.2μm以上の空隙を内部に有する二次粒子のアスペクト比の面積加重平均値は、1.0以上5.0以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のリチウム金属複合酸化物。
[5] 円相当径が0.2μm以上の空隙を内部に有する二次粒子の長径の面積加重平均値に対する、前記円相当径が0.2μm以上の空隙の長径の面積加重平均値の割合は、0.001以上0.9以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のリチウム金属複合酸化物。
[6] 50%累積体積粒度であるD50が、5μm以上20μm以下である、[1]~[5]のいずれかに記載のリチウム金属複合酸化物。
[7] Liと、Niと、を含み、Co及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含んでもよく、前記リチウム金属複合酸化物に含まれるLi及び酸素元素以外の元素の総モル数に対するCoのモル数の割合が5%以下である、[1]~[6]のいずれかに記載のリチウム金属複合酸化物。
[8] 下記組成式(I)で表される、[1]~[7]のいずれかに記載のリチウム金属複合酸化物。
Li[Li(Ni(1-y-z)M1M21-x]O (I)
前記組成式(I)中、M1は、Co、Mn及びAlからなる群より選択される1種以上の元素を表し、M2は、Fe、Cu、Ti、Mg、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、B、Si、S及びPからなる群から選択される1種以上の元素を表し、前記組成式(I)は、-0.1≦x≦0.2、0<y<1、0≦z≦0.2、及びy+z<1を満たす。
[9] CuKα線を使用した粉末X線回折測定において、2θ=18.5±1°の範囲内の回折ピークのピーク面積をI、2θ=44.5±1°の範囲内の回折ピークのピーク面積をIとしたときにI/Iが0.8以上である、[1]~[8]のいずれかに記載のリチウム金属複合酸化物。
[10] [1]~[9]のいずれかに記載のリチウム金属複合酸化物を含む、リチウム二次電池用正極活物質。
[11] [10]に記載のリチウム二次電池用正極活物質を含む、リチウム二次電池用正極。
[12] [11]に記載のリチウム二次電池用正極を含む、リチウム二次電池。
本発明によれば、初回放電容量及びレート特性が高いリチウム二次電池が得られる、リチウム金属複合酸化物、前記リチウム金属複合酸化物を含むリチウム二次電池用正極活物質、並びに前記リチウム二次電池用正極活物質を含むリチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池を提供することができる。
リチウム金属複合酸化物に含まれる二次粒子の二値化処理後の断面画像の模式図である。 リチウム二次電池の一例を示す概略構成図である。 全固体リチウム二次電池の全体構成を示す模式図である。
本明細書における用語の定義は以下の通りである。
金属複合化合物(Metal Composite Compound)を以下「MCC」ともいう。
リチウム金属複合酸化物(Lithium Metal Composite Oxide)を以下「LiMO」ともいう。
リチウム二次電池用正極活物質(Cathode Active Material for lithium secondary batteries)を以下「CAM」ともいう。
「Ni」とは、ニッケル金属単体ではなく、Ni元素であることを示す。Co、Mn等の他の元素の表記も同様である。
「一次粒子」とは、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」ともいう。)などを用いて10000倍の視野にて観察した際に、外観上に粒界が存在しない粒子を意味する。
「二次粒子」とは、前記一次粒子が凝集している粒子である。即ち、二次粒子は一次粒子の凝集体である。
数値範囲が例えば「5.00~15.00μm」と記載されている場合、5.00μmから15.00μmまでの範囲を意味し、下限値である5.00μmと上限値である15.00μmを含む数値範囲を意味する。
円相当径とは、対象とする断面の面積をSとしたときに、(4×S/π)1/2で表される長さを意味する。
本明細書におけるLiMOの各パラメータの測定方法は以下の通りである。
<空隙のアスペクト比の面積加重平均値等>
・LiMOに含まれる二次粒子の断面画像の取得
LiMOを加工し、LiMOの断面を得る。LiMOの断面を得る方法としては、LiMOを収束イオンビーム装置で加工する方法が例として挙げられる。また、LiMOをCAMとして用いて作製した正極の一部を切り取り、イオンミリング装置で加工し、電極の合剤層に含まれるLiMOの断面を得てもよい。
断面加工を行う試料は、LiMOや電極だけでなく、LiMOを樹脂で固めたもの等を適宜選択することができる。また、断面の作製方法は、イオンビーム法だけでなく、研磨等を適宜選択することができる。
SEMを用いて、前記加工により得たLiMOの断面を反射電子像で観察して、二次粒子の断面画像を得る。測定条件としては、例えば、加速電圧5kV、画像分解能をx、y=0.023μm、z=0.023μmとすることができる。また、倍率は、一視野で二次粒子が10個以上確認できる倍率とすればよい。
・LiMOに含まれる二次粒子の断面画像の二値化処理
LiMOに含まれる二次粒子の断面画像をコンピュータに取り込み、画像解析ソフトを用い、二次粒子の断面画像中における最大輝度及び最小輝度の中間値で二値化処理を行い、前記二次粒子の実体断面を任意の色(例えば、灰色)とし、前記二次粒子の実体断面に露出する空隙(以下、空隙断面と称する)を任意の色(例えば、黒色)として変換した二値化処理済み画像を得る。画像解析ソフトとしては、例えば、定量解析ソフト(TRI/3D-BON-FCS、ラトックシステムエンジニアリング社製)を使用することができる。この定量解析ソフトを使用する場合、ソフトの機能であるAuto-LWで画像の二値化処理を行うことができる。このとき、二値化処理前の断面画像を目視し、二値化処理前後の断面画像を対比して、二次粒子の実体断面及び空隙断面との齟齬がないことを確認する。齟齬が見られた場合は、二値化処理を行う閾値の調整を行う。なお、LiMOがAlを含む場合、二次粒子の実体断面及び空隙断面にAl偏析が生じ、中間コントラストを示す場合がある。このような場合には、画像演算機能を用いて中間コントラスト部のみを抽出し、空隙断面と重ね合わせる処理を行う。この処理により、Al偏析による影響を除去した二次粒子の実体断面と、空隙断面をより正確に識別して二値化処理を行うことができる。
二値化処理して得られた画像において、画像演算機能を用いて円相当径が6.0μm以下の二次粒子を除去する。さらに、画像端に存在し、一部しか確認されない二次粒子、二値化処理時に割れている二次粒子、及び粒子形状が不明瞭な二次粒子を除去し、「二値化処理済み画像」を得ることができる。すなわち、本明細書の後述のパラメータの算出に用いられる二次粒子は、円相当径が6.0μm超の二次粒子のみである。
図1は、LiMOに含まれる二次粒子の二値化処理後の断面画像の模式図である。図1の二次粒子の断面40は、二次粒子の実体断面41、二次粒子の実体断面42、二次粒子の実体断面43と、空隙断面44、空隙断面45とを有する。空隙断面44は、円相当径が0.2μm以上の空隙断面であり、空隙断面45は、円相当径が0.2μm未満の空隙断面である。図1の二次粒子の円相当径を求める場合は、二次粒子の実体断面41、二次粒子の実体断面42、二次粒子の実体断面43、空隙断面44、及び空隙断面45の総面積より円相当径を求める。
断面画像の二値化処理により抽出した空隙断面は、一次粒子間の極めて小さい空隙も含むため、円相当径0.2μm以上(すなわち、面積が0.03μm以上)の空隙断面のみを抽出し、これらの空隙断面に関してアスペクト比等を算出する。以下、円相当径0.2μm以上の空隙断面を、「空隙断面A」と表記する。また、円相当径0.5μm以上の空隙断面を、「空隙断面B」と表記する。空隙断面44又は空隙断面45の円相当径を求める場合は、それぞれ空隙断面44又は空隙断面45の面積より円相当径を求める。すなわち、空隙断面44又は空隙断面45の円相当径を求める場合、二次粒子の実体断面41、二次粒子の実体断面42及び二次粒子の実体断面43の面積は考慮しない。
また、以下、円相当径0.2μm以上の空隙を「空隙A」と表記し、空隙Aを内部に有する二次粒子を「二次粒子A」と表記する。また、円相当径0.5μm以上の空隙を「空隙B」と表記し、空隙Bを内部に有する二次粒子を、「二次粒子B」と表記する。
(空隙Aのアスペクト比の面積加重平均値)
得られた二値化処理済み画像における空隙断面Aの輪郭形状について、空隙断面Aの長径を短径で除すことにより、空隙Aのアスペクト比を求めることができる。なお、「長径」とは、空隙断面Aに外接する円の径の内、最長径を有する径の長さを意味し、「短径」とは、空隙断面Aに外接する円の径の内、前記長径に直交し、かつ、最長径を有する径の長さを意味する。
二値化処理済み画像に確認される全ての空隙断面Aの輪郭形状について、各空隙断面Aのアスペクト比及び面積を測定し、アスペクト比と面積の積を算出する作業を全ての空隙断面Aに対して行い、各空隙断面Aのアスペクト比と面積の積の合計値を、全ての空隙断面Aの総面積で除すことにより、「空隙Aのアスペクト比の面積加重平均値」を求めることができる。例えば、二値化処理済み画像に空隙断面A’と空隙断面A’’が存在している場合、以下の式Aで算出される。
空隙Aのアスペクト比の面積加重平均値=(空隙断面A’のアスペクト比×空隙断面A’の面積+空隙断面A’’のアスペクト比×空隙断面A’’の面積)/(空隙断面A’の面積+空隙断面A’’の面積) (式A)
(空隙Aの円相当径の平均値)
二値化処理済み画像に確認される全ての空隙断面Aの輪郭形状について、各空隙断面Aの円相当径と面積の積を算出する作業を全ての空隙断面Aに対して行い、各空隙断面Aの円相当径と面積の積の合計値を全ての空隙断面Aの総面積で除すことにより、「空隙Aの円相当径の平均値」を求めることができる。例えば、二値化処理済み画像に空隙断面A’と空隙断面A’’が存在している場合、以下の式Bで算出される。
空隙Aの円相当径の平均値=(空隙断面A’の円相当径×空隙断面A’の面積+空隙断面A’’の円相当径×空隙断面A’’の面積)/(空隙断面A’の面積+空隙断面A’’の面積) (式B)
(空隙Aの長径の面積加重平均値、短径の面積加重平均値)
二値化処理済み画像に確認される全ての空隙断面Aの輪郭形状について、各空隙断面Aの長径、短径及び面積を測定し、長径と面積の積、及び短径と面積の積を算出する作業を全ての空隙断面Aに対して行う。各空隙断面Aの長径と面積の積の合計値を、全ての空隙断面Aの総面積で除すことにより、「空隙Aの長径の面積加重平均値」を求めることができ、各空隙断面Aの短径と面積の積の合計値を、全ての空隙断面Aの総面積で除すことにより、「空隙Aの短径の面積加重平均値」を求めることができる。例えば、二値化処理済み画像に空隙断面A’と空隙断面A’’が存在している場合、以下の式C及び式Dで算出される。
空隙Aの長径の面積加重平均値=(空隙断面A’の長径×空隙断面A’の面積+空隙断面A’’の長径×空隙断面A’’の面積)/(空隙断面A’の面積+空隙断面A’’の面積) (式C)
空隙Aの短径の面積加重平均値=(空隙断面A’の短径×空隙断面A’の面積+空隙断面A’’の短径×空隙断面A’’の面積)/(空隙断面A’の面積+空隙断面A’’の面積) (式D)
(一つの二次粒子中の空隙Bの平均アスペクト比)
一つの二次粒子が1個の空隙Bのみを有する場合は、空隙断面Bにおける前記空隙Bのアスペクト比が「一つの二次粒子中の空隙Bの平均アスペクト比」である。一つの二次粒子が2個以上の空隙Bを有する場合は、一つの二次粒子に含まれる空隙断面Bの輪郭形状について、全ての空隙Bのアスペクト比を測定し、それらの合計値を一つの二次粒子に含まれる空隙断面Bの総数で除すことにより、「一つの二次粒子中の空隙Bの平均アスペクト比」を求めることができる。
(二次粒子Aのアスペクト比の面積加重平均値)
二値化処理済み画像に確認される空隙断面Aを有する二次粒子断面A(二次粒子Aの断面)を全て抽出する。抽出した二次粒子断面Aの輪郭形状について、二次粒子断面Aの長径を短径で除すことにより、二次粒子Aのアスペクト比を求めることができる。なお、「長径」とは、二次粒子断面Aに外接する円の径の内、最長径を有する径の長さを意味し、「短径」とは、二次粒子断面Aに外接する円の径の内、前記長径に直交し、かつ、最長径を有する径の長さを意味する。
上記で抽出した全ての二次粒子断面Aの輪郭形状について、各二次粒子断面Aのアスペクト比を測定し、アスペクト比と面積の積を算出する作業を全ての二次粒子断面Aに対して行い、各二次粒子断面Aのアスペクト比と面積の積の合計値を、全ての二次粒子断面Aの総面積で除すことにより、「二次粒子Aのアスペクト比の面積加重平均値」を求めることができる。例えば、二値化処理済み画像から二次粒子断面A’と二次粒子断面A’’を抽出した場合、以下の式Eで算出される。
二次粒子Aのアスペクト比の面積加重平均値=(二次粒子断面A’のアスペクト比×二次粒子断面A’の面積+二次粒子断面A’’のアスペクト比×二次粒子断面A’’の面積)/(二次粒子断面A’の面積+二次粒子断面A’’の面積) (式E)
(二次粒子Aの長径の面積加重平均値、短径の面積加重平均値)
上記で抽出した全ての二次粒子断面Aの輪郭形状について、各二次粒子断面Aの長径、短径及び面積を測定し、長径と面積の積、及び短径と面積の積を算出する作業を全ての二次粒子断面Aに対して行う。各二次粒子断面Aの長径と面積の積の合計値を、全ての二次粒子断面Aの総面積で除すことにより、「二次粒子Aの長径の面積加重平均値」を求めることができ、各二次粒子断面Aの短径と面積の積の合計値を、全ての二次粒子断面Aの総面積で除すことにより、「二次粒子Aの短径の面積加重平均値」を求めることができる。例えば、二値化処理済み画像から二次粒子断面A’と二次粒子断面A’’を抽出した場合、以下の式F及び式Gで算出される。
二次粒子Aの長径の面積加重平均値=(二次粒子断面A’の長径×二次粒子断面A’の面積+二次粒子断面A’’の長径×二次粒子断面A’’の面積)/(二次粒子断面A’の面積+二次粒子断面A’’の面積) (式F)
二次粒子Aの短径の面積加重平均値=(二次粒子断面A’の短径×二次粒子断面A’の面積+二次粒子断面A’’の短径×二次粒子断面A’’の面積)/(二次粒子断面A’の面積+二次粒子断面A’’の面積) (式G)
(D50
LiMOの50%累積体積粒度であるD50(単位:μm)は、レーザー回折散乱法によって測定されるLiMOの粒度分布から求めることができる。具体的には、LiMOの粉末0.10gを、0.20質量%ヘキサメタりん酸ナトリウム水溶液50mLに投入し、前記粉末を分散させた分散液を得る。次に、得られた分散液についてレーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製、マイクロトラックMT3300EXII)を用いて、粒度分布を測定し、体積基準の累積粒度分布曲線を得る。得られた累積粒度分布曲線において、微小粒子側から50%累積時の粒子径の値がD50である。
(組成)
LiMOの各金属元素の組成は、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP)により測定することができる。例えば、LiMOを塩酸に溶解させた後、誘導結合プラズマ発光分析装置(例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SPS3000)を用いて、各金属元素量の測定を行うことができる。
(XRDパターン)
LiMOのXRDパターンは、CuKαを線源とし、かつ回折角2θの測定範囲を10-90°とする粉末X線回折測定により得ることができる。例えば、LiMOについて、X線回折装置(例えば、株式会社リガク製、Ultima IV)を用いて、XRDパターンを得ることができる。得られたXRDパターンの解析は、解析ソフトウェア(例えば、株式会社リガク製、統合粉末X線解析ソフトウェアPDXL2)を用いて行うことができる。
本明細書におけるLiMOの評価方法は以下の通りである。LiMOをCAMとして用いてリチウム二次電池を作製し、初回放電容量及びレート特性を測定する。
<リチウム二次電池用正極の作製>
CAMと導電材(アセチレンブラック)とバインダー(PVdF)とを、CAM:導電材:バインダー=92:5:3(質量比)の組成となるように加えて混練することにより、ペースト状の正極合剤を調製する。正極合剤の調製時には、N-メチル-2-ピロリドンを有機溶媒として用いる。
得られた正極合剤を、集電体となる厚さ40μmのAl箔に塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、リチウム二次電池用正極を得る。このリチウム二次電池用正極の電極面積は1.65cmとする。
<リチウム二次電池(コイン型ハーフセル)の作製>
以下の操作を、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行う。
上述のリチウム二次電池用正極を、コイン型電池R2032用のパーツ(宝泉株式会社製)の下蓋にアルミ箔面を下に向けて置き、その上にポリエチレン製多孔質フィルムの上に耐熱多孔層を積層した積層フィルムセパレータ(厚み16μm)を置く。ここに電解液を300μl注入する。電解液は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートを30:35:35(体積比)で混合した混合液にLiPF6を1mol/lとなるように溶解した液体を用いる。
次に、負極として金属リチウムを用いて、セパレータの上側に置き、ガスケットを介して上蓋をし、かしめ機でかしめてリチウム二次電池を作製する。
(初回放電容量)
作製したリチウム二次電池を用いて以下の方法で初回放電容量試験を実施し、初回放電容量を算出する。
・初回放電容量試験
リチウム二次電池を25℃で12時間静置することでセパレータ及び正極合剤層に充分電解液を含浸させる。
次に、試験温度25℃において、充電及び放電ともに電流設定値0.20CAとし、それぞれ定電流定電圧充電と定電流放電を行う。充電最大電圧は、4.30V、放電最小電圧は2.50Vとする。充電時間は6時間、放電時間は5時間とする。放電容量を測定し、得られた値を「初回放電容量」(mAh/g)とする。
(レート特性)
作製したリチウム二次電池を用いて以下の方法で放電レート試験を実施し、放電容量を算出し、得られた値を「レート特性」(mAh/g)とする。
・放電レート試験
以下の条件で定電流放電させたときの放電容量をレート特性とする。
試験温度:25℃
充電最大電圧4.3V、充電電流1.00CA、定電流定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電電流5.00CA、定電流放電
≪リチウム金属複合酸化物≫
LiMOは、複数の粒子の集合体である。言い換えればLiMOは、粉末状である。LiMOは、一次粒子の凝集体である二次粒子を複数有する。LiMOは、二次粒子のみを含んでいてもよく、一次粒子と二次粒子の混合物であってもよい。
前記二次粒子の少なくとも一部は、内部に空隙を有し、前記内部に空隙を有する二次粒子の断面に露出する前記空隙の輪郭形状について、空隙Aのアスペクト比の面積加重平均値は、1.8以上5.0以下である。前記二次粒子の総数に対する、空隙Bを前記内部に有する二次粒子の数の割合は、3%以上95%以下である。
空隙Aのアスペクト比の面積加重平均値は、1.9~4.0であることが好ましく、2.0~3.5であることがより好ましい。
LiMOに含まれる複数の二次粒子の少なくとも一部が内部に空隙を有する二次粒子であることにより、リチウムイオンの脱離(充電)及びリチウムイオンの挿入(放電)時のLiMOの膨張収縮が緩和され、LiMOの結晶構造が安定する。
また、空隙Aのアスペクト比の面積加重平均値が前記範囲の下限値以上であるということは、空隙断面が比較的扁平であることを意味する。空隙断面が扁平であることにより、電池作製に際して圧密されるときに空隙の短手方向に二次粒子が変形し、二次粒子の密度が高まりやすくなる。さらに、リチウム二次電池製造時において、LiMOに圧力がかかったときに、二次粒子の割れ方向が比較的均一になることから、安定した性能のリチウム二次電池が得られやすくなる。結果として、初回放電容量及びレート特性の高いリチウム二次電池が得られやすくなる。
さらに、空隙Aのアスペクト比の平均値が前記範囲の上限値以下であると、上述した充放電時のLiMOの膨張収縮がより緩和されやすくなり、LiMOの結晶構造がより安定化しやすくなる。
二次粒子Bは、上述の方法で測定される一つの二次粒子中の空隙Bの平均アスペクト比が1.8~5.0である二次粒子(以下「二次粒子B’」ともいう。)を含むことが好ましい。
二次粒子の総数に対する、二次粒子B’の数の割合は、8~94%であることが好ましく、10~93%であることがより好ましく、15~92%であることがさらに好ましく、20~92%であることが特に好ましい。前記割合が前記範囲の下限値以上であると、リチウムイオンの脱離(充電)及びリチウムイオンの挿入(放電)時のLiMOの膨張収縮が緩和され、LiMOの結晶構造が安定する。結果として、初回放電容量及びレート特性の高いリチウム二次電池が得られやすくなる。前記割合が前記範囲の上限値以下であると、粒子充填密度が高まることにより、エネルギー密度が増加する結果、電池の出力特性が向上する。
二次粒子の総数に対する、二次粒子Bの数の割合は、3~95%であることが好ましく、5~95%であることがより好ましく、10~95%であることがさらに好ましい。前記割合が前記範囲の下限値以上であると、リチウムイオンの脱離(充電)及びリチウムイオンの挿入(放電)時のLiMOの膨張収縮が緩和され、LiMOの結晶構造が安定する。結果として、初回放電容量及びレート特性の高いリチウム二次電池が得られやすくなる。前記割合が前記範囲の上限値以下であると、粒子充填密度が高まることにより、エネルギー密度が増加する結果、電池の出力特性が向上する。
空隙Aの円相当径の平均値は、0.3μm以上であることが好ましく、0.4μm以上であることがより好ましい。空隙Aの円相当径の平均値が前記範囲の下限値以上であると、リチウムイオンの脱離(充電)及びリチウムイオンの挿入(放電)時のLiMOの膨張収縮が緩和され、LiMOの結晶構造が安定する。結果として、初回放電容量及びレート特性の高いリチウム二次電池が得られやすくなる。空隙Aの円相当径の平均値の上限値は本発明の効果が得られる限り、特に限定されないが、例えば10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。
空隙Aの円相当径の平均値の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
組み合わせの例としては、0.3~10μmが好ましく、0.3~8μmがより好ましく、0.4~5μmがさらに好ましい。
前述の方法で測定される空隙Aの長径の面積加重平均値は、0.2~15μmであることが好ましく、0.2~10μmであることがより好ましく、0.3~5.0μmであることがさらに好ましい。
空隙Aの短径の面積加重平均値は、0.1~3.0μmであることが好ましく、0.1~2.5μmであることがより好ましく、0.1~2.0μmであることがさらに好ましい。
空隙Aの長径の面積加重平均値及び空隙Aの短径の面積加重平均値のうちの少なくとも一つが前記範囲の下限値以上であると、リチウムイオンの脱離(充電)及びリチウムイオンの挿入(放電)時のLiMOの膨張収縮が緩和され、LiMOの結晶構造が安定する。結果として、初回放電容量及びレート特性の高いリチウム二次電池が得られやすくなる。空隙Aの長径の面積加重平均値及び空隙Aの短径の面積加重平均値のうちの少なくとも一つが前記範囲の上限値以下であると、粒子充填密度が高まることにより、エネルギー密度が増加する結果、電池の出力特性が向上する。
二次粒子Aが有する空隙としては、アスペクト比が1.8未満である空隙(以下、「空隙A1」ともいう。)、アスペクト比が1.8~5.0である空隙(以下、「空隙A2」ともいう。)、アスペクト比が5.0超である空隙(以下、「空隙A3」ともいう。)の3種類が挙げられる。
空隙A1~A3の総数に対する空隙A2の数の割合は、20~90%であることが好ましく、30~80%であることがより好ましく、40~70%であることがさらに好ましい。
空隙A1~A3の総数に対する空隙A1の数の割合は、10~80%であることが好ましく、20~70%であることがより好ましく、30~60%であることがさらに好ましい。
空隙A1~A3の総数に対する空隙A3の数の割合は、0~40%であることが好ましく、0.3~30%であることがより好ましく、1~20%であることがさらに好ましい。
空隙A1~A3の数の割合の少なくとも一つが前記範囲の下限値以上であると、リチウムイオンの脱離(充電)及びリチウムイオンの挿入(放電)時のLiMOの膨張収縮が緩和され、LiMOの結晶構造が安定する。結果として、初回放電容量及びレート特性の高いリチウム二次電池が得られやすくなる。空隙A1~A3の数の割合の少なくとも一つが前記範囲の上限値以下であると、粒子充填密度が高まることにより、エネルギー密度が増加する結果、電池の出力特性が向上する。
空隙A2の数は、上述の二値化処理済み画像に確認される空隙断面Aの輪郭形状について、全ての空隙のアスペクト比をそれぞれ計算し、前記アスペクト比が1.8~5.0である空隙の総数として得ることができる。空隙A1の数、空隙A3の数も同様にして得ることができる。
二次粒子Aのアスペクト比の面積加重平均値は、1.0~5.0であることが好ましく、1.0~3.0であることがより好ましく、1.0~2.5であることがさらに好ましい。
二次粒子Aの長径の面積加重平均値は、6.0μm超20μm以下であることが好ましく、6.0μm超17μm以下であることがより好ましく、6.0μm超14μm以下であることがさらに好ましい。
二次粒子Aの短径の面積加重平均値は、1~20μmであることが好ましく、2~16μmであることがより好ましく、4~12μmであることがさらに好ましい。
二次粒子Aの長径の面積加重平均値に対する、空隙Aの長径の面積加重平均値の割合は、0.001~0.9であることが好ましく、0.005~0.8であることがより好ましく、0.01~0.7であることがさらに好ましい。
二次粒子Aの短径の面積加重平均値に対する、空隙Aの短径の面積加重平均値の割合は、0.01~0.5であることが好ましく、0.01~0.3であることがより好ましく、0.02~0.2であることがさらに好ましい。
二次粒子Aのアスペクト比の面積加重平均値、二次粒子Aの長径及び短径の面積加重平均値、二次粒子Aの長径の面積加重平均値に対する、空隙Aの長径の面積加重平均値の割合、及び二次粒子Aの短径の面積加重平均値に対する、空隙Aの短径の面積加重平均値の割合のうちの少なくとも一つが前記範囲の下限値以上であると、リチウムイオンの脱離(充電)及びリチウムイオンの挿入(放電)時のLiMOの膨張収縮が緩和され、LiMOの結晶構造が安定する。結果として、初回放電容量及びレート特性の高いリチウム二次電池が得られやすくなる。二次粒子Aのアスペクト比の面積加重平均値、二次粒子Aの長径及び短径の面積加重平均値、二次粒子Aの長径の面積加重平均値に対する、空隙Aの長径の面積加重平均値の割合、及び二次粒子Aの短径の面積加重平均値に対する、空隙Aの短径の面積加重平均値の割合のうちの少なくとも一つが前記範囲の上限値以下であると、粒子充填密度が高まることにより、エネルギー密度が増加する結果、電池の出力特性が向上する。
LiMOのD50は、5~20μmであることが好ましく、7~18μmであることがより好ましく、9~16μmであることがより好ましい。D50が前記範囲の下限値以上であると、粒子間の空隙を形成させることができ、その空隙を通じて電解質が内部にまで浸透する結果、内部抵抗が抑制され電池特性が向上する。D50が前記範囲の上限値以下であると、粒子間の空隙のサイズをある程度まで抑制することができ、粒子充填密度が高まることにより、エネルギー密度が増加する結果、電池の出力特性が向上する。
LiMOは、層状構造を有することが好ましい。LiMOの結晶構造は、六方晶型の結晶構造又は単斜晶型の結晶構造であることがより好ましく、層状岩塩型構造であることがさらに好ましい。
六方晶型の結晶構造は、P3、P3、P3、R3、P-3、R-3、P312、P321、P312、P321、P312、P321、R32、P3m1、P31m、P3c1、P31c、R3m、R3c、P-31m、P-31c、P-3m1、P-3c1、R-3m、R-3c、P6、P6、P6、P6、P6、P6、P-6、P6/m、P6/m、P622、P622、P622、P622、P622、P622、P6mm、P6cc、P6cm、P6mc、P-6m2、P-6c2、P-62m、P-62c、P6/mmm、P6/mcc、P6/mcm、及びP6/mmcからなる群から選ばれるいずれか一つの空間群に帰属される。
また、単斜晶型の結晶構造は、P2、P2、C2、Pm、Pc、Cm、Cc、P2/m、P2/m、C2/m、P2/c、P2/c、及びC2/cからなる群から選ばれるいずれか一つの空間群に帰属される。
これらのうち、放電容量が高いリチウム二次電池を得るため、結晶構造は、空間群R-3mに帰属される六方晶型の結晶構造、又はC2/mに帰属される単斜晶型の結晶構造であることが特に好ましい。
前述のXRDパターンにおいて、2θ=18.5±1°の範囲内の回折ピークのピーク面積をI、2θ=44.5±1°の範囲内の回折ピークのピーク面積をIとしたときにI/Iが0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、1.0以上であることがさらに好ましい。
/Iは、1.4以下でもよく、1.3以下でもよく、1.2以下でもよい。
/Iの前記上限値及び前記下限値は任意に組み合わせることができる。
組み合わせの例としては、I/Iは、0.8~1.4であることが好ましく、0.9~1.3であることがより好ましく、1.0~1.2であることがさらに好ましい。
<組成>
LiMOは、Liと、Niと、を含む。LiMOは、Co及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の元素を含んでもよく、Co、Mn、及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含んでもよい。
LiMOに含まれるLi及び酸素元素以外の元素の総モル数に対するCoのモル数の割合は、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
前記割合は、0%でもよく、0.01%以上でもよく、0.1%以上でもよい。
前記割合の前記上限値及び前記下限値は任意に組み合わせることができる。
組み合わせの例としては、前記割合は、0~5%であることが好ましく、0~3%であることがより好ましく、0~1%であることがさらに好ましい。
≪組成式≫
LiMOは、下記組成式(I)で表されるLiMOであることが好ましい。
Li[Li(Ni(1-y-z)M1M21-x]O (I)
前記組成式(I)中、M1は、Co、Mn、及びAlからなる群より選択される1種以上の元素を表し、M2は、Fe、Cu、Ti、Mg、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、B、Si、S及びPからなる群から選択される1種以上の元素を表し、前記組成式(I)は、-0.1≦x≦0.2、0<y<1、0≦z≦0.2、及びy+z<1を満たす。
サイクル特性が高いリチウム二次電池を得る観点から、xは、-0.05以上が好ましく、0以上がより好ましい。初回クーロン効率がより高いリチウム二次電池を得る観点から、xは、0.15以下が好ましく、0.1以下がより好ましい。
xの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
xは-0.05~0.15が好ましく、0~0.15がより好ましい。
出力特性の高いリチウム二次電池を得る観点から、yは、0.001以上が好ましく、0.005以上がより好ましく、0.01以上がさらに好ましい。熱的安定性が高いリチウム二次電池を得る観点から、yは、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。
yの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
yは0.001以上1未満が好ましく、0.005~0.5がより好ましく、0.01~0.3がさらに好ましい。
LiMOが元素M2を含む場合、サイクル特性が高いリチウム二次電池を得る観点から、zは、0.001以上が好ましく、0.005以上がより好ましい。高温(例えば60℃環境下)での保存特性が高いリチウム二次電池を得る観点から、zは、0.08以下が好ましく、0.07以下がより好ましく、0.05以下がさらに好ましい。
zの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
zは、0.001~0.08が好ましく、0.005~0.07がより好ましく、0.005~0.05がさらに好ましい。
熱的安定性が高いリチウム二次電池を得る観点から、元素M2は、Fe、Mg、W、Zr、Nb、B及びSiからなる群より選ばれる1種以上の元素であることがより好ましい。
出力特性の高いリチウム二次電池を得る観点から、y+zは、0.001以上が好ましく、0.005以上がより好ましく、0.01以上がさらに好ましい。熱的安定性が高いリチウム二次電池を得る観点から、y+zは、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。
y+zの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
y+zは、0.001以上1未満が好ましく、0.005~0.5がより好ましく、0.01~0.3がさらに好ましい。
≪LiMOの製造方法≫
LiMOの製造方法は、MCCを製造するMCC製造工程と、得られたMCC及びリチウム化合物を混合する混合工程と、得られた混合物を酸素含有雰囲気下で焼成する焼成工程と、を含む。
<MCC製造工程>
MCCは、Niと任意の元素M1及び元素M2を含む化合物であり、下記式(I’)で表されるモル比率で金属元素を含む金属複合水酸化物、金属複合酸化物、及びこれらの混合物のいずれでもよい。
Ni:M1:M2=(1-y-z):y:z (I’)
前記式(I’)中、M1、M2、y、及びzは前記組成式(I)のM1、M2、y、及びzと同じである。
MCCの製造方法は、ニッケル塩溶液と、元素M1の金属塩溶液と、錯化剤と、アルカリ溶液と、を反応させることを含む。金属複合水酸化物の調製時に、任意元素M2を添加してもよい。この場合、MCCは、金属複合水酸化物となる。金属複合水酸化物は、公知のバッチ式共沈殿法又は連続式共沈殿法により製造することができる。MCCとして、金属複合酸化物を製造する場合、前記金属複合水酸化物を酸化すればよい。
以下、Ni、及び元素M1を含むMCCの製造方法を一例として説明する。具体的には、JP-A-2002-201028に記載された連続式共沈殿法により、ニッケル塩溶液、元素M1の金属塩溶液、及び錯化剤を反応させ、Ni(1-y)M1(OH)で表される金属複合水酸化物を製造する。yは前記組成式(I)と同じである。
ニッケル塩溶液の溶質であるニッケル塩としては、特に限定されないが、例えば硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及び酢酸ニッケルのうちの少なくとも1種を使用することができる。
元素M1の金属塩溶液の溶質である元素M1の金属塩としては、特に限定されないが、例えば元素M1の硫酸塩、硝酸塩、塩化物、又は酢酸塩を使用することができる。例えば、硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト、酢酸コバルト、硫酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガン、酢酸マンガン、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム等が挙げられる。
以上の金属塩は、前記Ni(1-y)M1(OH)の組成比に対応する割合で用いられる。すなわち、上記金属塩を含む混合溶液中におけるNi及び元素M1のモル比が、前記組成式の(1-y):yと対応するように各金属塩の量を規定する。また、溶媒として水が使用される。
錯化剤としては、水溶液中で、ニッケルイオン、元素M1のイオンと錯体を形成可能なものであり、例えば、水酸化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、又は弗化アンモニウム等のアンモニウムイオン供給体、ヒドラジン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ウラシル二酢酸及びグリシンが挙げられ、アンモニウムイオン供給体が好ましい。
金属複合水酸化物の製造工程において、錯化剤は、用いられてもよく、用いられなくてもよい。錯化剤が用いられる場合、ニッケル塩溶液、元素M1の金属塩溶液、及び錯化剤を含む混合液に含まれる錯化剤の量は、例えば金属塩(ニッケル塩及び元素M1の金属塩)のモル数の合計に対するモル比が0.00より大きく2.00以下であることが好ましい。
共沈殿法に際しては、ニッケル塩溶液、元素M1の金属塩溶液、及び錯化剤を含む混合液のpH値を調整するため、混合液のpHがアルカリ性から中性になる前に、混合液にアルカリ溶液を添加する。アルカリ溶液としては、例えば、アルカリ金属水酸化物の水溶液が例として挙げられる。また、アルカリ金属水酸化物とは、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが例として挙げられる。
なお、本明細書におけるpHの値は、混合液の温度が40℃の時に測定された値であると定義する。混合液のpHは、反応槽からサンプリングした混合液の温度が、40℃になったときに測定する。サンプリングした混合液が40℃未満である場合には、混合液を40℃まで加温してpHを測定する。サンプリングした混合液が40℃を超える場合には、混合液を40℃まで冷却してpHを測定する。
上記ニッケル塩溶液、元素M1の金属塩溶液のほか、錯化剤を反応槽に連続して供給すると、Ni及び元素M1が反応し、Ni(1-y)M1(OH)が生成する。
反応温度は、20~80℃であることが好ましく、30~70℃であることがより好ましい。
反応槽内のpH値は、例えばpH9~13であることが好ましく、pH11~13であることがより好ましい。
反応温度及びpH値が前記範囲内であると、結晶性の高いMCCが得られる。その結果、混合工程及び焼成工程を経て得られるLiMOにおいてリチウムイオンの脱離(充電)及びリチウムイオンの挿入(放電)時のLiMOの膨張収縮が緩和され、LiMOの結晶構造が安定する。その結果、初回放電容量及びレート特性の高いリチウム二次電池が得られやすくなる。
反応槽内で形成された反応沈殿物を撹拌しながら中和する。反応沈殿物の中和の時間は、例えば1~20時間である。
撹拌は、撹拌翼を有する撹拌機を回転させながら行うことが好ましい。撹拌を行うことにより、反応槽内の物質が適切に撹拌され、反応槽内の混合状態を適切に保つことで、上記のように調整した反応条件がMCCの物性に反映されやすくなる。
連続式共沈殿法で用いる反応槽は、形成された反応沈殿物を分離するためオーバーフローさせるタイプの反応槽を用いることができる。
バッチ式共沈殿法により金属複合水酸化物を製造する場合、反応槽としては、オーバーフローパイプを備えない反応槽、及びオーバーフローパイプに連結された濃縮槽を備え、オーバーフローした反応沈殿物を濃縮槽で濃縮し、再び反応槽へ循環させる機構を有する装置等が挙げられる。
各種気体、例えば、窒素、アルゴン又は二酸化炭素等の不活性ガス、空気又は酸素等の酸化性ガス、又はそれらの混合ガスを反応槽内に供給してもよい。
以上の反応後、中和された反応沈殿物を水で洗浄した後に、単離する。単離には、例えば反応沈殿物を含むスラリー(つまり、共沈物スラリー)を遠心分離や吸引ろ過などで脱水する方法が用いられる。
単離された反応沈殿物を洗浄、脱水、乾燥及び篩別し、Ni及び元素M1を含む金属複合水酸化物が得られる。
反応沈殿物の洗浄は、水、弱酸水、アルカリ性洗浄液で行うことが好ましい。本実施形態においては、アルカリ性洗浄液で洗浄することが好ましく、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液で洗浄することがより好ましい。また、硫黄元素を含有する洗浄液を用いて洗浄してもよい。硫黄元素を含有する洗浄液としては、カリウムやナトリウムの硫酸塩水溶液等が挙げられる。
反応沈殿物の質量に対して10倍以上の質量の水、弱酸水、アルカリ性洗浄液で洗浄することが好ましい。また、使用する水、弱酸水、アルカリ性洗浄液の温度は30℃以上とすることが好ましい。さらに、洗浄は回分式であれば2回以上行うことが好ましい。
なお、水以外の溶液で洗浄を行った後は、さらに水で洗浄を行い、前記溶液由来の化合物が反応沈殿物に残存しないようにすることが好ましい。
乾燥温度は、80~250℃であることが好ましく、90~230℃であることがより好ましい。乾燥時間は0.5~24時間であることが好ましく、1~20時間であることが好ましい。乾燥圧力は、常圧、減圧でもよい。
MCCとして金属複合酸化物を製造する場合、金属複合水酸化物を加熱して金属複合酸化物とすればよい。具体的には、金属複合水酸化物を400~700℃で加熱する。必要ならば複数の加熱工程を実施してもよい。本明細書における加熱温度とは、加熱装置の設定温度を意味する。複数の加熱工程を有する場合、各加熱工程のうち、最高保持温度で加熱した工程の温度を意味する。
加熱温度は、400~700℃であることが好ましく、450~680℃であることがより好ましい。加熱温度が400~700℃であると、金属複合水酸化物が十分に酸化され、かつ適切な範囲のBET比表面積を有する金属複合酸化物が得られる。
前記加熱温度で保持する時間は、0.1~20時間が挙げられ、0.5~10時間が好ましい。前記加熱温度までの昇温速度は、例えば、50~400℃/時間である。また、加熱雰囲気としては、大気、酸素、窒素、アルゴン又はこれらの混合ガスを用いることができる。
加熱装置内は、適度な酸素含有雰囲気であってもよい。酸素含有雰囲気は、不活性ガスと酸化性ガスとの混合ガス雰囲気であってもよく、不活性ガス雰囲気下で酸化剤を存在させた状態であってもよい。加熱装置内が適度な酸素含有雰囲気であることにより、金属複合水酸化物に含まれる遷移金属が適度に酸化され、金属複合酸化物の形態を制御しやすくなる。
酸素含有雰囲気中の酸素や酸化剤は、遷移金属を酸化させるために十分な酸素原子が存在すればよい。
酸素含有雰囲気が不活性ガスと酸化性ガスとの混合ガス雰囲気である場合、加熱装置内の雰囲気の制御は、加熱装置内に酸化性ガスを通気させる又は混合液に酸化性ガスをバブリングするなどの方法で行うことができる。
酸化剤として、過酸化水素などの過酸化物、過マンガン酸塩などの過酸化物塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、硝酸、ハロゲン又はオゾンなどを使用できる。
以上の工程により、MCCを製造することができる。MCCの組成や後述のリチウム化合物の量を調整することによって、I/Iを本実施形態の範囲に調整することができる。
[混合工程]
上述したMCC製造工程で製造されたMCCと、リチウム化合物と、を混合する。
リチウム化合物は、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、水酸化リチウム水和物、酸化リチウム、塩化リチウム及びフッ化リチウムの少なくとも何れか一つを使用することができる。これらの中では、水酸化リチウム、水酸化リチウム水和物及び炭酸リチウムのいずれか一種又はそれらの混合物が好ましい。
MCCとリチウム化合物とを、最終目的物の組成比を勘案して混合し、リチウム化合物とMCCとの混合物を得る。MCCに含まれる金属元素の合計量1に対するLiの量(モル比)は、0.98~1.20が好ましく、0.99~1.15がより好ましく、1.00~1.10がさらに好ましい。
MCCとリチウム化合物とを混合する際は、MCC全量にリチウム化合物を分割して添加及び混合を行う、又はリチウム化合物全量にMCCを分割して添加及び混合を行うことが好ましい。例えば、MCC全量にリチウム化合物を2回に分割して添加及び混合する場合、MCC全量にリチウム化合物の一部を添加及び混合し、得られた混合物に残りのリチウム化合物を添加及び混合する。例えば、リチウム化合物全量にMCCを2回に分割して添加及び混合する場合、リチウム化合物全量にMCCの一部を添加及び混合し、得られた混合物に残りのMCCを添加及び混合する。
MCC全量にリチウム化合物を分割して添加及び混合を行う、又はリチウム化合物全量にMCCを分割して添加及び混合を行うことによって、Liが偏在することなく、MCC全体に均一に分散できる。その結果、空隙Aのアスペクト比の面積加重平均値が本実施形態の範囲であり、二次粒子Bを、本実施形態の割合で含むLiMOを製造することができる。
分割の回数は、2~8回であることが好ましく、2~6回がより好ましい。
MCC全量にリチウム化合物を分割して添加及び混合を行う場合、1回あたりのリチウム化合物の添加量は、分割の回数に応じて適宜設定することができる。1回あたりのリチウム化合物の添加量は、例えば、本混合工程で添加するリチウム化合物の全量の20~50%であることが好ましく、30~50%であることがより好ましい。
リチウム化合物全量にMCCを分割して添加及び混合を行う場合、1回あたりのMCCの添加量は、分割の回数に応じて適宜設定することができる。1回あたりのMCCの添加量は、例えば、本混合工程で添加するMCCの全量の20~50%であることが好ましく、30~50%であることがより好ましい。
分割の回数や1回あたりのリチウム化合物の添加量等を調整することで、空隙A又は二次粒子Aのアスペクト比の面積加重平均値、二次粒子Bの数の割合、空隙Aの円相当径の平均値、空隙A又は二次粒子Aの長径又は短径の面積加重平均値、空隙A1~A3の数の割合を本実施形態の範囲にすることができる。
混合は、例えば、ボールミル、振動ミル、ミキサー、ホモジナイザー等により行うことが好ましく、1回の混合時間は、1分~20時間であることが好ましく、3分~12時間であることがより好ましい。
MCCにリチウム化合物を分割して添加及び混合を行うことにより、空隙Aのアスペクト比の面積加重平均値が1.8以上5.0以下となりやすい。
[焼成工程]
得られた混合物を酸素含有雰囲気下で焼成する。混合物を焼成することにより、LiMOの結晶が成長する。
本明細書における焼成温度とは、焼成炉内の雰囲気の温度であって、保持温度の最高温度(最高保持温度)を意味する。
焼成工程が、複数の焼成段階を有する場合、焼成温度とは、各焼成段階のうち最高保持温度で加熱した際の温度を意味する。
焼成温度は、例えば500~1000℃であることが好ましく、600~900℃であることがより好ましく、650~850℃であることがさらに好ましく、650℃~820℃であることが特に好ましい。焼成温度が前記範囲の下限値以上であると、強固な結晶構造を有するLiMOを得ることができる。また、焼成温度が前記範囲の上限値以下であると、LiMOの粒子表面のリチウムイオンの揮発を低減できる。
焼成における保持時間は、1~50時間が好ましく、2~20時間がより好ましい。焼成における保持時間が前記範囲の上限値以下であると、リチウムの揮発が抑制され、電池性能の低下が抑制される。焼成における保持時間が前記範囲の下限値以上であると、結晶の発達が促進され、電池性能の低下が抑制される。
本実施形態において、最高保持温度に達する焼成工程の昇温速度は80℃/時間以上が好ましく、100℃/時間以上がより好ましく、150℃/時間以上が特に好ましい。最高保持温度に達する加熱工程の昇温速度は、焼成装置において、昇温を開始した時間から保持温度に到達するまでの時間から算出される。
焼成工程は、焼成温度が異なる複数の焼成段階を有することが好ましい。例えば、第1の焼成段階と、第1の焼成段階よりも高温で焼成する第2の焼成段階を有することが好ましい。さらに焼成温度及び焼成時間が異なる焼成段階を有していてもよい。
焼成雰囲気として、所望の組成に応じて大気、酸素、窒素、アルゴン又はこれらの混合ガス等が用いられ、必要ならば複数の焼成工程が実施される。焼成雰囲気は、酸素含有雰囲気が好ましい。
MCCとリチウム化合物との混合物は、不活性溶融剤の存在下で焼成されてもよい。不活性溶融剤は、得られるLiMOをCAMとして使用した電池の初期容量が損なわれない程度に添加され、焼成物に残留してもよい。不活性溶融剤としては、例えばWO2019/177032A1に記載の不活性溶融剤を使用することができる。
焼成時に用いる焼成装置は、特に限定されず、例えば、連続焼成炉又は流動式焼成炉の何れを用いて行ってもよい。連続焼成炉としては、トンネル炉又はローラーハースキルンが挙げられる。流動式焼成炉としては、ロータリーキルンを用いてもよい。
[任意工程]
(洗浄工程)
焼成後の焼成物を純水やアルカリ性洗浄液などの洗浄液で洗浄する洗浄工程を含んでもよい。
洗浄工程において、洗浄液と焼成物とを接触させる方法としては、各洗浄液中に、焼成物を投入して撹拌する方法や、各洗浄液をシャワー水として、焼成物にかける方法等が挙げられる。各洗浄液を焼成物にかける方法としては、洗浄液中に、焼成物を投入して撹拌した後、各洗浄液から焼成物を分離する方法が挙げられる。
洗浄液の温度は、20℃以下が好ましく、15℃以下がより好ましく、10℃以下がさらに好ましい。洗浄液の温度を前記上限値以下で、かつ、洗浄液が凍結しない温度に制御することで、洗浄時に焼成物の結晶構造中から洗浄液中へのリチウムイオンの過度な溶出が抑制できる。
焼成物の質量に対して2倍以上の質量の洗浄液で洗浄することが好ましい。また、洗浄は回分式であれば2回以上行うことが好ましい。
なお、水以外の溶液で洗浄を行った後は、さらに水で洗浄を行い、前記溶液由来の化合物が反応沈殿物に残存しないようにすることが好ましい。
乾燥温度は、80~250℃であることが好ましく、90~230℃であることがより好ましい。乾燥時間は0.5~24時間であることが好ましく、1~10時間であることが好ましい。乾燥圧力は、常圧、減圧でもよい。
以上のような製造方法によりLiMOが得られる。
<リチウム二次電池>
本実施形態の製造方法により製造されるLiMOをCAMとして用いる場合に好適なリチウム二次電池用正極について説明する。以下、リチウム二次電池用正極を正極と称することがある。
さらに、正極の用途として好適なリチウム二次電池について説明する。
本実施形態の製造方法により製造されるLiMOをCAMとして用いる場合の好適なリチウム二次電池の一例は、正極及び負極、正極と負極との間に挟持されるセパレータ、正極と負極との間に配置される電解液を有する。
図2は、リチウム二次電池の一例を示す模式図である。例えば円筒型のリチウム二次電池10は、次のようにして製造する。
まず、図2の部分拡大図に示すように、帯状を呈する一対のセパレータ1、一端に正極リード21を有する帯状の正極2、及び一端に負極リード31を有する帯状の負極3を、セパレータ1、正極2、セパレータ1、負極3の順に積層し、巻回することにより電極群4とする。
正極2は、一例として、CAMを含む正極活物質層2aと、正極活物質層2aが一面に形成された正極集電体2bとを有する。このような正極2は、まずCAM、導電材及びバインダーを含む正極合剤を調製し、正極合剤を正極集電体2bの一面に担持させて正極活物質層2aを形成することで製造できる。
負極3は、一例として、不図示の負極活物質を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、及び負極活物質単独からなる電極を挙げることができ、正極2と同様の方法で製造できる。
次いで、電池缶5に電極群4及び不図示のインシュレーターを収容した後、缶底を封止し、電極群4に電解液6を含浸させ、正極2と負極3との間に電解質を配置する。さらに、電池缶5の上部をトップインシュレーター7及び封口体8で封止することで、リチウム二次電池10を製造することができる。
電極群4の形状としては、例えば、電極群4を巻回の軸に対して垂直方向に切断したときの断面形状が、円、楕円、長方形又は角を丸めた長方形となるような柱状の形状を挙げることができる。
また、このような電極群4を有するリチウム二次電池の形状としては、国際電気標準会議(IEC)が定めた電池に対する規格であるIEC60086、又はJIS C 8500で定められる形状を採用することができる。例えば、円筒型又は角型などの形状を挙げることができる。
さらに、リチウム二次電池は、上記巻回型の構成に限らず、正極、セパレータ、負極、セパレータの積層構造を繰り返し重ねた積層型の構成であってもよい。積層型のリチウム二次電池としては、いわゆるコイン型電池、ボタン型電池、又はペーパー型(又はシート型)電池を例示することができる。
リチウム二次電池を構成する正極、セパレータ、負極及び電解液については、例えば、WO2022/113904A1の[0113]~[0140]に記載の構成、材料及び製造方法を用いることが出来る。
<全固体リチウム二次電池>
本実施形態の製造方法により製造されるLiMOは、全固体リチウム二次電池のCAMとして用いることができる。
図3は、全固体リチウム二次電池の一例を示す模式図である。図3に示す全固体リチウム二次電池1000は、正極110と、負極120と、固体電解質層130とを有する積層体100と、積層体100を収容する外装体200と、を有する。また、全固体リチウム二次電池1000は、集電体の両側にCAMと負極活物質とを配置したバイポーラ構造であってもよい。バイポーラ構造の具体例として、例えば、JP-A-2004-95400に記載される構造が挙げられる。
正極110は、正極活物質層111と正極集電体112とを有している。正極活物質層111は、上述したCAM及び固体電解質を含む。また、正極活物質層111は、導電材及びバインダーを含んでいてもよい。
負極120は、負極活物質層121と負極集電体122とを有している。負極活物質層121は、負極活物質を含む。また、負極活物質層121は、固体電解質及び導電材を含んでいてもよい。
積層体100は、正極集電体112に接続される外部端子113と、負極集電体122に接続される外部端子123と、を有していてもよい。その他、全固体リチウム二次電池1000は、正極110と負極120との間にセパレータを有していてもよい。
全固体リチウム二次電池1000は、さらに積層体100と外装体200とを絶縁する不図示のインシュレーター及び外装体200の開口部200aを封止する不図示の封止体を有する。
外装体200は、アルミニウム、ステンレス鋼又はニッケルメッキ鋼などの耐食性の高い金属材料を成形した容器を用いることができる。また、外装体200として、少なくとも一方の面に耐食加工を施したラミネートフィルムを袋状に加工した容器を用いることもできる。
全固体リチウム二次電池1000の形状としては、例えば、コイン型、ボタン型、ペーパー型(またはシート型)、円筒型、角型、又はラミネート型(パウチ型)などの形状を挙げることができる。
全固体リチウム二次電池1000は、一例として積層体100を1つ有する形態が図示されているが、本実施形態はこれに限らない。全固体リチウム二次電池1000は、積層体100を単位セルとし、外装体200の内部に複数の単位セル(積層体100)を封じた構成であってもよい。
全固体リチウム二次電池については、例えば、WO2022/113904A1の[0141]~[0181]に記載の構成、材料及び製造方法を用いることができる。
本発明のさらに一つの側面は、以下の態様を包含する。
[A1] 一次粒子の凝集体である二次粒子を複数有し、前記二次粒子の少なくとも一部は、内部に空隙を有し、前記内部に空隙を有する二次粒子の断面に露出する前記空隙の輪郭形状について、空隙Aのアスペクト比の面積加重平均値は、2.0~3.5であり、前記二次粒子の総数に対する、二次粒子Bの数の割合が、10~93%である、LiMO。
[A2] 前記空隙Aの円相当径の平均値は、0.4~5μmである、[A1]に記載のLiMO。
[A3] 前記空隙Aの長径の面積加重平均値は、0.3μm~5.0μmである、[A1]又は[A2]に記載のLiMO。
[A4] 前記二次粒子Aのアスペクト比の面積加重平均値は、1.0~2.5である、[A1]~[A3]のいずれかに記載のLiMO。
[A5] 前記二次粒子Aの長径の面積加重平均値に対する、前記空隙Aの長径の面積加重平均値の割合は、0.01~0.7である、[A1]~[A4]のいずれかに記載のLiMO。
[A6] D50が、7~18μmである、[A1]~[A5]のいずれかに記載のLiMO。
[A7] Liと、Niと、を含み、Co及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含んでもよく、前記LiMOに含まれるLi及び酸素元素以外の元素の総モル数に対するCoのモル数の割合が1%以下である、[A1]~[A6]のいずれかに記載のLiMO。
[A8] 前記組成式(I)で表される、[A1]~[A7]のいずれかに記載のLiMO。
[A9] 前記I/Iが0.8以上である、[A1]~[A8]のいずれかに記載のLiMO。
[A10] 二次粒子Aの短径の面積加重平均値に対する、空隙Aの短径の面積加重平均値の割合は、0.01~0.5である、[A1]~[A9]のいずれかに記載のLiMO。
[A11] 前記二次粒子の総数に対する、前記二次粒子Bの数の割合が、20~92%である、[A1]~[A10]のいずれかに記載のLiMO。
[A12] D50が、9~16μmである、[A1]~[A11]のいずれかに記載のLiMO。
[A13] [A1]~[A12]のいずれかに記載のLiMOを含む、CAM。
[A14] [A13]に記載のCAMを含む、リチウム二次電池用正極。
[A15] [A14]に記載のリチウム二次電池用正極を含む、リチウム二次電池。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<各種パラメータの測定>
後述の方法で製造されるLiMOの各種パラメータの測定は、上述の<空隙のアスペクト比の面積加重平均値等>、(D50)、(組成)、(XRDパターン)で説明した測定方法等により行った。
<初回放電容量及びレート特性の測定>
上述の方法で作成したリチウム二次電池の初回放電容量は、上述の(初回放電容量)で説明した測定方法等により行った。初回放電容量が200mAh/g超の場合、初回放電容量が高いと評価する。
<レート特性の測定>
上述の方法で作成したリチウム二次電池のレート特性は、上述の(レート特性)で説明した測定方法等により行った。レート特性が50mAh/g超の場合、レート特性が高いと評価する。
[実施例1]
撹拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を70℃(反応温度)に保持した。
硫酸ニッケル水溶液、硫酸マンガン水溶液、及び硫酸アルミニウム水溶液をNi:Mn:Alのモル比が93:3.5:3.5になるように混合して、混合原料液1を調製した。
窒素流通下、反応槽内に、撹拌下、混合原料液1及び硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加した。反応槽内の混合液のpHが12(測定温度:40℃)になるように水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、反応沈殿物1を得た。
反応沈殿物1の質量に対して、20倍の質量の水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム濃度:5質量%)を用いて、反応沈殿物1の洗浄を行った。洗浄後、遠心分離機で脱水し、水で洗浄、脱水、単離して、105℃で20時間乾燥することにより、Ni、Mn、及びAlを含む金属複合水酸化物を得た。金属複合水酸化物を650℃で5時間加熱することにより金属複合酸化物であるMCC1を得た。
MCC1に含まれるNi、Mn及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.04となるように水酸化リチウム一水和物を秤量した。MCC1に秤量した水酸化リチウム一水和物の半量を添加し、5分間混合して混合物1Aを得た。その後、混合物1Aに残りの半量の水酸化リチウム一水和物を添加し、さらに5分間混合して混合物1を得た。
次いで、得られた混合物1を、酸素雰囲気下、650℃(昇温速度:300℃/時間)で5時間焼成し、その後750℃(昇温速度:300℃/時間)で5時間焼成し、粉末1を得た。得られた粉末1と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して上記粉末1の質量の割合が0.3になるように混合し作製したスラリーを20分間撹拌させた後、脱水し、さらに上記粉末1の2倍の質量の液温を5℃に調整した純水でリンス後、単離し、150℃で乾燥することでLiMO1を得た。LiMO1は前記組成式(I)において、x=0.04、y=0.07、z=0.00であり、元素M1はMn、Alであった。
LiMO1の各種パラメータを表1に示す(以下、実施例2~5、比較例1~3も同様に示す)。
得られたLiMO1をCAMとして用いて、リチウム二次電池を作製し、初回放電容量及びレート特性の測定を行った。結果を表1に示す(以下、実施例2~5、比較例1~3も同様に示す)。
[実施例2]
反応槽内の溶液のpHを11.4(測定温度:40℃)、MCC1に含まれるNi、Mn及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)を1.02となるように水酸化リチウム一水和物を秤量した以外は、実施例1と同様の操作を行い、LiMO2を得た。LiMO2は前記組成式(I)において、x=0.02、y=0.07、z=0.00であり、元素M1はMn、Alであった。
[実施例3]
Ni:Mn:Alのモル比を93:1:6、反応槽内の溶液のpHを11.4(測定温度:40℃)とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、金属複合酸化物であるMCC3を得た。MCC3に含まれるNi、Mn及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)を1.03となるように水酸化リチウム一水和物を秤量した以外は、実施例1と同様の操作を行い、LiMO3を得た。LiMO3は前記組成式(I)において、x=0.03、y=0.07、z=0.00であり、元素M1はMn、Alであった。
[実施例4]
Ni:Co:Mn:Alのモル比を92.9:0.1:3.5:3.5になるように混合した以外は、実施例1と同様の操作を行い、金属複合酸化物であるMCC4を得た。MCC4に含まれるNi、Co、Mn及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)を1.03となるように水酸化リチウム一水和物を秤量した以外は、実施例1と同様の操作を行い、LiMO4を得た。LiMO4は前記組成式(I)において、x=0.03、y=0.07、z=0.00であり、元素M1はCo、Mn、Alであった。LiMO4に含まれる、Li及び酸素元素以外の元素の総モル数に対するCoのモル数の割合は1%であった。
[実施例5]
MCC1に含まれるNi、Mn及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)を1.05となるように水酸化リチウム一水和物を秤量した以外は、実施例1と同様の操作を行い、LiMO5を得た。LiMO5は前記組成式(I)において、x=0.05、y=0.07、z=0.00であり、元素M1はMn、Alであった。
[比較例1]
撹拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を70℃(反応温度)に保持した。
硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液、及び硫酸アルミニウム水溶液をNi:Co:Alのモル比が88:9:3になるように混合して、混合原料液6を調製した。
窒素流通下、反応槽内に、撹拌下、混合原料液6及び硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加した。反応槽内の混合液のpHが11.4(測定温度:40℃)になるように水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、反応沈殿物6を得た。
反応沈殿物6の質量に対して、20倍の質量の水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム濃度:5質量%)を用いて、反応沈殿物6の洗浄を行った。洗浄後、遠心分離機で脱水し、水で洗浄、脱水、単離して、105℃で20時間乾燥することにより、Ni、Co、及びAlを含む金属複合水酸化物得た。金属複合水酸化物を650℃で5時間加熱することにより、金属複合酸化物であるMCC6を得た。
MCC6に含まれるNi、Co及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.03となるように水酸化リチウム一水和物を秤量した。MCC6に秤量した水酸化リチウム一水和物の全量を添加し、5分間混合して混合物6を得た。
次いで、得られた混合物6を、酸素雰囲気下、650℃(昇温速度:300℃/時間)で5時間焼成し、その後740℃(昇温速度:300℃/時間)で5時間焼成し、粉末6を得た。得られた粉末6と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して上記粉末6の質量の割合が0.3になるように混合し作製したスラリーを20分間撹拌させた後、脱水し、さらに上記粉末6の2倍の質量の液温を5℃に調整した純水でリンス後、単離し、150℃で乾燥することでLiMO6を得た。LiMO6は前記組成式(I)において、x=0.03、y=0.12、z=0.00であり、元素M1はCo、Alであった。LiMO6に含まれる、Li及び酸素元素以外の元素の総モル数に対するCoのモル数の割合は9%であった。
[比較例2]
MCC1に含まれるNi、Mn及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)を1.03となるように水酸化リチウム一水和物を秤量し、MCC1に秤量した水酸化リチウム一水和物の全量を添加して5分間混合した以外は、実施例1と同様の操作を行い、LiMO7を得た。LiMO7は前記組成式(I)において、x=0.03、y=0.07、z=0.00であり、元素M1はMn、Alであった。
[比較例3]
Ni:Co:Mnのモル比を34:36:30になるように混合した以外は、実施例1と同様の操作を行い、金属複合酸化物であるMCC8を得た。MCC8に含まれるNi、Mn及びCoの合計量1に対するLiの量(モル比)を1.03となるように水酸化リチウム一水和物を秤量した以外は、比較例1と同様の操作を行い、LiMO8を得た。LiMO8は前記組成式(I)において、x=0.03、y=0.66、z=0.00であり、元素M1はMn、Coであった。LiMO8に含まれる、Li及び酸素元素以外の元素の総モル数に対するCoのモル数の割合は34%であった。
なお、LiMO8の多くが、円相当径が6.0μm以下の二次粒子であったため、二値化処理して得られた画像において、画像演算機能を用いて、円相当径が6.0μm以下の二次粒子の代わりに円相当径が1.5μm以下の二次粒子を除去した以外は同様に処理して測定した。
Figure 0007416897000001
空隙Aのアスペクト比の面積加重平均値が1.8以上5.0以下であり、かつ、二次粒子Bの数の割合が、3%以上95%以下である実施例1~5のLiMOをCAMとして用いて製造されたリチウム二次電池では、初回放電容量及びレート特性の両方が高くなることがわかった。
1…セパレータ、2…正極、2a…正極活物質層、2b…正極集電体、3…負極、4…電極群、5…電池缶、6…電解液、7…トップインシュレーター、8…封口体、10…リチウム二次電池、21…正極リード、31…負極リード、40…二次粒子の断面、41、42、43…二次粒子の実体断面、44、45…空隙断面、100…積層体、110…正極、111…正極活物質層、112…正極集電体、113…外部端子、120…負極、121…負極活物質層、122…負極集電体、123…外部端子、130…固体電解質層、200…外装体、200a…開口部、1000…全固体リチウム二次電池

Claims (11)

  1. 一次粒子の凝集体である二次粒子を複数有し、
    前記二次粒子の少なくとも一部は、内部に空隙を有し、
    前記内部に空隙を有する複数の二次粒子の断面画像を二値化処理し、円相当径が6.0μm以下の二次粒子を除去して得られる二値化処理済み画像において、前記二値化処理済み画像に含まれる円相当径が0.2μm以上の空隙断面の輪郭形状より算出される、円相当径が0.2μm以上の空隙のアスペクト比の面積加重平均値は、1.8以上5.0以下であり、
    前記二次粒子の総数に対する、円相当径が0.5μm以上の空隙を前記内部に有する二次粒子の数の割合が、3%以上95%以下である、リチウム金属複合酸化物であって、
    Liと、Niと、を含み、Co及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含んでもよく、前記リチウム金属複合酸化物に含まれるLi及び酸素元素以外の元素の総モル数に対するCoのモル数の割合が5%以下であるリチウム金属複合酸化物
  2. 一次粒子の凝集体である二次粒子を複数有し、
    前記二次粒子の少なくとも一部は、内部に空隙を有し、
    前記内部に空隙を有する複数の二次粒子の断面画像を二値化処理し、円相当径が6.0μm以下の二次粒子を除去して得られる二値化処理済み画像において、前記二値化処理済み画像に含まれる円相当径が0.2μm以上の空隙断面の輪郭形状より算出される、円相当径が0.2μm以上の空隙のアスペクト比の面積加重平均値は、1.8以上5.0以下であり、
    前記二次粒子の総数に対する、円相当径が0.5μm以上の空隙を前記内部に有する二次粒子の数の割合が、3%以上95%以下であり、下記組成式(I)で表される、リチウム金属複合酸化物。
    Li[Li (Ni (1-y-z) M1 M2 1-x ]O (I)
    前記組成式(I)中、M1は、Co、Mn及びAlからなる群より選択される1種以上の元素を表し、M2は、Fe、Cu、Ti、Mg、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、B、Si、S及びPからなる群から選択される1種以上の元素を表し、前記組成式(I)は、-0.1≦x≦0.2、0<y<1、0≦z≦0.2、及びy+z<1を満たす。
  3. 前記二値化処理済み画像を用いて算出される、前記円相当径が0.2μm以上の空隙の円相当径の平均値は、0.3μm以上である、請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物。
  4. 前記二値化処理済み画像を用いて算出される、前記円相当径が0.2μm以上の空隙の長径の面積加重平均値は、0.2μm以上15μm以下である、請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物。
  5. 前記二値化処理済み画像を用いて算出される、円相当径が0.2μm以上の空隙を内部に有する二次粒子のアスペクト比の面積加重平均値は、1.0以上5.0以下である、請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物。
  6. 前記二値化処理済み画像を用いて算出される、円相当径が0.2μm以上の空隙を内部に有する二次粒子の長径の面積加重平均値に対する、前記円相当径が0.2μm以上の空隙の長径の面積加重平均値の割合は、0.001以上0.9以下である、請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物。
  7. 50%累積体積粒度であるD50が、5μm以上20μm以下である、請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物。
  8. CuKα線を使用した粉末X線回折測定において、2θ=18.5±1°の範囲内の回折ピークのピーク面積をI、2θ=44.5±1°の範囲内の回折ピークのピーク面積をIとしたときにI/Iが0.8以上である、請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物。
  9. 請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物を含む、リチウム二次電池用正極活物質。
  10. 請求項に記載のリチウム二次電池用正極活物質を含む、リチウム二次電池用正極。
  11. 請求項10に記載のリチウム二次電池用正極を含む、リチウム二次電池。
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